読者の数だけ「答え」がある

登場人物はたったの二人。
明かされている情報はこの二人は学生だということ、同じ家に住んでいること、そして「まったくの他人」であること。
家族構成もどうして同じ家に学生だけで住んでいるかも、明確な性別、名前すら出てきていません。
「彼女」と書かれているので一人は「女性である」ことだけが明確です。

まるで世界にこの二人しかいないかのような、非現実的でもありながらもリアルな世界。
そんな世界観が特徴的な作品です。

「静かな荒波」「静寂な騒音」「平行した交差」「意識された無意識」「真っ直ぐな曲線」「完全なる不完全」「濁った清流」「安定した不安定」「幸福な不幸」「正しい不正解」そして「整った歪」

たった約4400文字程の短い文章の中に見え隠れするそれらが、読者を魅了することは間違いないでしょう。
明確な相反する言葉を一切使わずに、それを表現されている作者様の文章力に感動すら覚えました。

皆さんもどうかこの作品を読んでみて下さい。
きっと「答え」はあなたの心の中に生まれるはずです。
さて、この二人の関係性をあなたはどう感じましたか?

え? 私の「答え」ですか?
勿論、見付けましたよ。
秘密ですけどね。