第5話 恋よりも恋に近しい

 そういやひどいこともされたしひどいことも言ったし、つまりは中身がぎっしり。恋や愛なんてキレイに収まらない溢れる思いの受入れ先を探している。君はまだその準備ができていないと、思っていた。正直君からすきだよと言われていたけど、僕は喜びすぎないようにしていた。気まぐれな彼女だから。


「すきだよ、にはおさまらないから代わる言葉を探してる」


「結婚する?」


「しない、もういい。そういうんじゃなく、ちゃんと気持ちをね、伝えたい」


「同棲する?」


「しない!ホント茶化すのすきだよね?うーん、ちょっと先なら半同棲、は考えてる」


「え、考えてるの」


「考えてるよ、全部は言葉に出せないし、まとまりもないけど、考えて、いま、それを伝えようとしてるけど、伝わってる?」


「伝わってる、よ」


「い、嫌かな?私のことすきで、一緒にいても大変じゃ、ないんだよ、ね?えっと、うん、嫌いになったらすぐ言ってほしいんだけど」


「違う違う、今ちょっとパニック、一緒にいていいの?今まで悩んでたんじゃない?」


「君が私といたら不幸になると思ってたから。でも私も君といたいと思いまして。君を幸せにするように頑張るから」



 勘弁してくれ。



「これ以上すきになったら困る」


「じゃ取り消し」


「取り消し禁止!こっちのセリフ!僕が君を幸せにする!僕の言葉が信じられない時はいつでも疑って、僕も頑張る」



 僕の恋のようなものが実った

 嬉しいじゃ足りない

 とんでもなく足りない足りない

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恋よりも恋に近しい 新吉 @bottiti

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