10 さらなる強さへの可能性を

「すべての生物には基本的に『成長限界』というものが存在するんだ」


 と、フレアが言った。


「どれだけ修行しても、あらかじめ定められたその限界を超えられない、ということか」

「そ。つまりは能力の上限――乱暴にいえば、才能だね」


 私の言葉にフレアがうなずく。


「もちろん、例外はある。たゆまぬ鍛錬の果てにその限界の壁を越えてしまうもの。あるいは突然変異的なひらめきで限界突破する者など……そんな中で、限界を大幅に超える方法が一つある」

「――まさか」


 彼女の言わんとしていることに気づき、私はハッとなった。


「そ。『生まれ変わる』こと。ガーラ、もともとあんたは『成長限界』上限まで鍛え上げた究極の武闘家だった。いや、限界を超えていたかもしれないね。それほどまでに、前世のあんたはすさまじい鍛錬を積んでいた」


 と、フレアが説明する。


「だけど、生まれ変わったことで、その成長限界はリセットされたんだ。あんたはこれから鍛えれば、前世の限界をさらに超えることだってできる。もちろん、サボってたらだめだけどね」


 ぺろり、と悪戯っぽく舌を出すフレア。


「――転生による限界突破というのは、魔族にも当てはまるのか?」

「もちろん」


 フレアがうなずいた。


「……もしも、魔王に匹敵するレベルの高位魔族が生まれ変わったとしたら、どうなる?」

「あははは、魔王クラスを超える強さを手に入れるかもね。あるいは伝説の『魔王神』レベルになるかも」


 フレアが楽しげに笑う。


 笑い事ではないと思うが――。


 そう思いつつ、私の口元も緩んでいた。

 それほどの強者ならば、ぜひ手合わせしてみたい。


 武人としての本能だ。


「ふふっ、やっぱり変わってないね」

「えっ」

「あんたは……根っからの武人だ。今も、そう。自分がもっと強くなれることに――ワクワクしてるだろ?」

「違いない」


 私は小さく笑う。


 そう、新しく生まれ変わった私の人生は、まだまだこれから。


 これから控えている強敵と。

 そして、まだ見ぬ強敵と。


 猛者たちとの邂逅を楽しみに、私の戦いはまだまだ続く――。



***


 ここでいったん一区切りとさせていただきます……!

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『武術の神』と呼ばれたじいさん若返る。10歳の美少年になって無双&ハーレムの二周目人生を堪能します。 六志麻あさ@12シリーズ書籍化 @rokuasa

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