第184話 糸


灰色の雨が止んだ

鮮やかなピンク薔薇の

花びらから雫が落ちた

跳ねる飛沫は儚くて

胸の奥からこみ上げる

切なさにそっと蓋をした

空は青くて透明で

それすらもまた儚くて

手からこぼれてしまいそう

絡まる雲の白さだけが

やけに心に残ったので

するするとほどけていく

記憶の糸に手を伸ばした

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暗がりに叫ぶ・4 マフユフミ @winterday

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