概要
未来になびく風を、あなたと共に感じたい。
滑走中にアキレス腱を断裂した杉浦光は、走ることに恐怖を持った。
もう走ることはできない。
図書室の窓から、陸上部が練習するグラウンドを眺め。こぶしを強く握りしめた。
そんな彼女にそっと、一冊の本を差し出した男子生徒。
七井智春。彼はいつもこの図書室の窓からあのグラウンドを眺めていた。
「どうしたのこれ?」
「どうもしないさ、今の君に必用かもねって思ったから」
差し出された本。それは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」だった。
「読んだことある?」
「ないかも……」
「なら読んでみたほうがいい」
彼とはこんな会話から始まった。
未来に絶望し、未来を捨てた私と。未来を望み、未来に自分を託す彼との思春期の一ページ。
「約束して。またここであなたと、この風に触れることを……」
もう走ることはできない。
図書室の窓から、陸上部が練習するグラウンドを眺め。こぶしを強く握りしめた。
そんな彼女にそっと、一冊の本を差し出した男子生徒。
七井智春。彼はいつもこの図書室の窓からあのグラウンドを眺めていた。
「どうしたのこれ?」
「どうもしないさ、今の君に必用かもねって思ったから」
差し出された本。それは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」だった。
「読んだことある?」
「ないかも……」
「なら読んでみたほうがいい」
彼とはこんな会話から始まった。
未来に絶望し、未来を捨てた私と。未来を望み、未来に自分を託す彼との思春期の一ページ。
「約束して。またここであなたと、この風に触れることを……」
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