誘拐

ラッキー

第1話

終業のチャイムの音で目が覚めた

ガラガラと扉が空き、他の生徒達もガヤガヤと騒ぎ始める。


私はきりたん小学五年生

東北の片田舎に住み、ずんだ好きな姉を溺愛するごく一般的な小学生だ

「ガラガラ」とまた音と共に担任のそら先生が教室に入る。終わりのHRの時間だ

先生は教壇の前に立つと諭すような優しい声で

「最近、学校周辺で不審者の目撃情報が出ています。皆さん帰りの際にはお友だちと手を繋いで帰る様に、それと知らない人についていっちゃ行けませんよ」

小学五年生は遊び盛りだ、不審者の話は一度学校でも問題になり集団下校あったがそれ以外で具体的に何かしてる訳でもないし先生がHRで言った話何て言うものはなんとなく聞いて教室を出たら忘れてしまう様な物だと思う。


しかし、このクラスは違った。何故ならクラスメイトの「音町ウナ」が行方不明になってからもう丸二日経つからだ。


音町は私と違ってクラスの中心的存在だった。誰にでも優しく思い出すと常に誰かの回りで笑っている様な奴だった。


クラスの雰囲気が変わる。空気が静かになるのを感じる。皆が音町の事を考えているのだろう

特に仲の良かったグループの付近からは小さく啜り泣く声も聞こえる。

「~以上です。皆さん今日も気を付けて帰ってくださいね。」

そう言って先生が教室を出ると、またクラスは何時ものようにガヤガヤと騒ぎだした。


この時期はカラスが煩い、「きりたん、今日は何の本を読んでるのだ?」

甲高い声で横を歩くこの生き物はずんだもん、クラスメイトだ。

私は人と関わらない、社交的な姉や音町と違い私は昔から内向的だった。

お陰で友達は居ない、少ないではなく言葉の通り居ないのだ。姉さまに友達が居ないことを心配されないように休みの日には部屋で読む本を代わりに木陰で読むこともあった。

公園にいると時々他のボール遊びをしている子に揶揄される時や「どんな本を読むの?」と言って近づいて来て二三言話すと興味無さそうにどこかに行く子もいた。


そんな中、興味ないはずなのに話しかけて来たのがこのずんだもんだ。

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誘拐 ラッキー @kazusa_TM

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