良薬は口に美味し!

この物語で語られるのは《争い》です。
ワケあってその身を後宮の食医に甘んじているヒロインは、自分の境遇を嘆くことなく真正面から受け止め、負けずに進んでいく、強い意志を持っています。
それは、様々な種類の責任感からくるもので、一つたりとも欠けたら自分でなくなるということを理解しています。
何者にも寄り添い、それでいてへつらうこともなく、自分自身の争いとして歩みが止まることはありません。その強かさには、誰もが応援したくなる健気さがあります。

そこに、謎解きとグルメ、風水、毒、薬、後宮に住まう美女、イケメンのダークヒーロー・・・、てんこ盛りの内容で飽きることがありません。これだけの情報量を余すところなく伝え、その場にいるかのような錯覚を起こす程の情景描写も、この物語の抜きん出たところです。
感情移入して読むも良し、俯瞰的に物語を楽しむも良し、是非御一読をおすすめします。

食わず嫌いじゃ薬も体に届きませんよ。

その他のおすすめレビュー

赤葉鶏頭さんの他のおすすめレビュー4