第12話_東京ユグドラシル11

僕もいずれ見に行ってみたいな。ドラゴンとは遭遇したくないけど。

そんな話をしているうちに、隣の駅に着いた。この駅は先ほどの駅よりも大きい。だが目的地ではないらしい。

「この辺は上野って呼ばれていたみたい。ここにもコロニーはあるよ」

「コロニーって地下にあるんだよね」

「そうだよ。駅がそのままコロニーになっていたりみんなで協力して新しく掘削したり、ずっと昔に閉鎖された地下通路を再利用したりしてるの」

僕も記憶がないだけで、そういうコロニーで生まれ育ったのだろうか。

ノヤと僕は上野を通りすぎて、さらに先へ進む。

「そう言えばあなたって自分の名前を覚えてないんだよね」

「うん」

「あなたって呼ぶのもなんか違和感あるし名前決めようよ。とりあえず思い出すまでの間はそれを名乗ればいいよ」

「確かにそうだね。そうするよ」

名前は重要だ。普通な感じがする名前がいいな。どんな名前にしようか。

「なにがいいかなぁ。そうだ!クロなんてどう?黒い服着てるし」

見たままじゃないか。まあ、わかりやすくていいのかな?

「オッケイ?」

ノヤが聞いてくるので僕は頷いた。

「よーし、よろしくね。クロ!」

「よろしく……」

やっぱり違和感がある。

それからも僕たちはしばらく歩き続けた。

歩くにしたがって徐々にトンネル内で人とすれ違うようになった。みんなノヤの知り合いのようで僕らにあいさつをしていく。

「ついたよ。ここが私たちディグアウターのコロニー、アキバ!」

秋葉原は元々日本一の電気街で2000年代からはオタクの聖地として有名な街だ。僕の知っている範囲だとマニアックなショップが多数あるイメージだったが、今はディグアウターの拠点となっているようだ。

駅のホームに設置された梯子で線路から上がると、ホーム上は何人もの人が行き来していた。

「凄い、人が沢山いる……」

「ここは新宿駅、東京駅に次いで大きな拠点だからね」

「へぇーそうなんだ」

秋葉原の地下街ってそんなに大きいイメージなかったけどな。どんな感じだっけ。

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東京ユグドラシル 浅川さん @asakawa3

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