最終話 邪神戦闘Ⅴ 決着
「……はぁ……はぁ……はぁ」
邪神も魔王様を失い、力を失っている。
だが、僕も僕で魔王様へと自身の生命エネルギーを半分を分け与え、毒自体も僕の体を蝕んでいる。
正直に言って限界が近かった。
「クソッ!何もかもが忌々しい!」
明らかにいらだった様子の邪神を観察しながら僕はエクスカリバーを構える。
チャンスはあって一度だろう。
「魔王も魔王だが!貴様もだッ!我に勝てるなどというその驕りが非常に腹立つッ!」
僕の方へと近づいてくる邪神。
「その剣以外に見どころのない人間風情がッ!!」
邪神は無造作に僕の間合いへと入る。
「ふんッ!」
邪神は僕に向かって腕を振り下ろし……僕はそれをギリギリのところで回避する。
「ハァッ!」
そして、一歩。
僕は前に出て聖剣を振るう。
「ふんッ!無駄よッ!」
僕が聖剣による一振りで決着をつけざるを得ないことなど邪神は理解している……ゆえに僕の一振りを対処
「……ぁ」
僕の右腕は、聖剣を握る右腕は邪神の蹴りによって切り離される。
聖剣は地面へと落ち、僕の右腕からは大量の血があふれだす……僕の目的はこれだ。
「ぬぁッ!」
僕は血があふれだす腕を邪神の口へと突っ込み、毒に塗れた血を流し込む。
本来は僕が死ぬことで発動する特殊な毒素ではあるが、それでも自身の腕を消し飛ばした相手の体に血を流し込めば相手を弱らせることくらいなら出来る。
「……ガァ!?」
突如として毒を流し込まれた邪神は悲鳴を上げる。
「ァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
僕は地面に落ちている聖剣を足で掴み、振り上げる。
股下から頭を両断するように。
「ば、馬鹿……な」
毒素によって一時的に体が痺れ、防御力が落ち込んでいた邪神を僕の一撃は両断することに成功する。
「は、ははは……やってやったぞ」
足を思いっきり振り上げた僕はそのまま地面へと倒れる。
「あぁ……終わったよ。魔王様」
僕は自分の近くで倒れ伏している魔王様へと手を伸ばし、彼女の頭へと触れる。
「これで全部」
魔王様も生きている。
僕も生きている。
自分が思い描いていた以上の最良の結果を前に僕は笑みを浮かべ、瞳を瞑った。
ゲームのモブに転生した僕は全てを利用して最強へと至り、最推しの魔王のために暗躍しようと思います!!! リヒト @ninnjyasuraimu
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