1.何て素敵な世界でしょう!?

 いつもと同じ日常、そんな日常は終わりを迎える。


 ある軍用機の山墜落事故が起きた。燃える軍用機の火が燃え移り、山火事が発生したが、幸いなことに消防隊の活躍により、半日ほどで山火事は無事に鎮火された。


 しかし、その日から突如として、動く死体というカテゴリーに属する化物が現れるようになった。


 午前7時、自転車登校をするつばさ。安寧の睡眠時間、まつりに叩き起こされてしまった。


「今日は入学式でしょ。学校遅れるよ。起きなさい」


 眠っている俺の上に馬乗りになる祭。その位置だとデニムスカートから下着が丸見えだぞ。


 可愛らしいピンクの水玉。


 微かにシャンプーの匂いと、果実のような汗の甘酸っぱい匂いがする。


 コイツもまだまだ子供だな。しかし俺の息子は不覚にも反応してしまった。だがしかし、祭は気づいていないようだ。


【セーフ】


「あと五分」


「ダメー、起きるの。そんなこと言って、起きるつもりないでしょ?」


「当たりっ」


 祭の下着を視姦しながら、揺さぶられ続けるので、眠るのを諦める。


「起きるよ、起きるから、揺さぶるの止めて」


「むー、起きろー」


 と、耳元で叫ばれる。


「起きた、起きたから」


「ホント?」


 祭を俺の上から退かし、ベッドからモソモソと這い出る。


「はい、制服」


 祭は律儀にも、制服を用意して手渡してくれた。


「じゃあ、早く着替えてね。もう朝ごはんできてるんだから」


 そう言って祭は、パタパタとスリッパの音を鳴らして、部屋を出ていった。


「顔洗ってくるか」


 欠伸を噛み殺しながら、洗面台で顔を洗う。


「眠い」


 また今日も、モンスター戦線を徹夜でオンラインプレイしてしまった。


 ゲームは1日10時間。ゲーム廃人と呼びたけば呼べ。


 両親は共働きで、もうすでに家にいない。いつも両親の代わりに、朝昼晩と食事を用意してくれる。


 だから祭には、頭が上がらない。


 制服って苦手なんだよな。シャツの第一ボタンを外し、ネクタイを緩める。


 ダイニングから味噌のいい香りがする。テーブルには、朝ごはんが並べられていた。


「今日は、ジャガイモの味噌汁か」


「好きでしょ?」


「もちろん」


 手間がかかっただろうに、優しい妹だ。


「祭の結婚相手は、幸せ者になるだろうな」


「馬鹿っ!何言ってるの」


 祭は味噌汁を盛大に吹き出し、嬉しさと照れくささを隠すように両手で顔を覆った。


「昔はにーにと結婚するって、いつも言ってたんだが」


「そんなの昔の話でしょ。だけど…お兄ちゃんを好きな人は多いんだよ」


 ゴニョゴニョと最後の方が聞き取れなかった。

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