3.新しき世界

 教室に入り、クラスメイトの顔を確認する。知らない顔が多いな。


 日向は一人、教室の窓側の席に座っていた。二人を見つけると大きな声で呼び掛けてきた。


「おー、遅かったな。高城も一緒か」


「おー、来たぜ。日向っち」


 高城と日向は、掛け声をかけながらハンドシェイクをする。


 そしてお互いにやってやったぜといった表情をした。


 クラスメイトたちは、みんな何事もなかったように素知らぬ顔をしていた。


 チャイムの音と同時に教師が入ってきた。今からホームルームが始まる。


 担任である教師の挨拶から始まり、授業の時間割表が配られた。


「じゃあ、一人一人自己紹介をしてもらおうか」


 翼の順番がくると【石橋翼です。よろしく】と、翼は簡素な挨拶をした。


 誰も翼を気にする人はいなかった。そういつもの日常だ。変わることのないそんな日々。


「顔合わせも済んだところで、クラスメイトと親睦を深めるため、男女合同でスポーツをしようと思う。何がいい?」


「ソフトボール」6票


「テニス」17票


「卓球」12票


「17票でテニスに決定だな。ホームルームが終了したら、着替えてすぐに男女合同でテニス大会を始めるぞ」


 男子生徒は喜びガッツポーズをしていた。俺はそういった輪には入れないんだよな。陰キャだから…ダブルスだし、組んでくれる女子とかいないんだろうな。


 着替えを済ませてグラウンドに行くと、高城は既にスタンバっていた。


「おーす、翼っち。ダブルス組もうぜ☆」


 助けに船とはこのことか。


「だけど、俺で良かったのか?」


 他にスポーツが上手い奴なんてたくさんいると思うけど。正直俺は助かるが。


「んー、私はテニスに決まったときから、組むなら翼っちって決めてたんだ。種目が違ったとしても、それは変わらないけどさ」


「なぜ、俺なんだ?」


「みなまで言うな。私と組めて嬉しいんでしょ?私も嬉しいぞ☆」


 高城のこういうノリは素直に助かる。冗談で言ってるのだろうが。


「ああ、俺もお前と組めて嬉しいぞ」


 すると高城は、ボッと顔を赤く染めた。


「なに言ってんのさ、翼っち。照れるにゃ~」


 高城は、誤魔化すように冗談を言う。


「それよりストレッチしよ?」


「そうだな」


 翼は追求することをせず、話を進めることにした。


 しかし女子と密着してストレッチをすることになるとは思わなかった。


 なにがとは言わないが、柔らかいし、女性特有の甘い匂いがする。


 東合高校の女子の体操着はブルマである。その…なんと言うか、先ほどから気になっているが…高城がはみパンしている。


 高城の引き締まったお尻の付け根、ブルマから白い下着がはみ出している。


「高城…」


 翼は、高城に小声で耳打ちする。


 先ほどの赤らめた顔を、一瞬で越える早さで赤く染めると。


「翼っち、どこ見てんのさ。えっち♥️でも、ありがと」


 高城は、翼に耳打ちで返すと、ブルマを直した。

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