あまりにもか細い希望の光

 若き双子の野球選手が、どうにもならない現状から抜け出そうともがくお話。

 いわゆるスポーツもののお話……には違いないのですけれど、主軸がもっと大きなところにあるのが魅力の物語です。

 彼らを取り巻く社会とか、あるいは国家という枠組みとか。
 彼ら自身の努力ではおよそどうにもできない、大状況としての〝厳しい現実の壁〟に、それでも抗わんとする姿に胸を締め付けられます。
 その悲壮な覚悟と、そして縋った夢のか細さがもう……。

 わずか4,000文字ほどの小品ながら、ぐっと胸に迫るような分厚さを持った作品でした。すごい。