柳 シュンスケと青葉 マリ

 Side 柳 シュンスケ


 =朝・クロガネ学園、学生寮・自室=


 泉 リョウコ教官との対面の後、俺とエリクは部屋で休養、安静と言う形になった。


 それでも根は真面目なのかエリクは予習、復習をしていた。

 バトルスーツの雑誌を読み漁っている自分とはえらい違いだなと思う。


 そんなエリクを見ていると何だか罪悪感と言うかE組の皆に申し訳が立たないと言うか――自分もやれる範囲で予習、復習をした。


 エリクは「僕の事は気にしなくても」と言ってくれたが、人間と言うのは近場、周囲の人間になにかしら影響される生き物なのだ。


 エリクを適当に言いくるめて黙々と勉強、休憩する。



 =放課後・クロガネ学園、敷地内=


 部屋に一日缶詰めと言うのもアレなので息抜きがてらコッソリ部屋を抜け出した。

 今日も同じクラスのE組の皆は罰則を終えた頃だろうか。

 

 そんな時にふと近寄ってくる影が――

 青い髪の綺麗な――男装の女性劇団員と言えば良いだろうか。

 美少女と言うよりか美人、同性から告白受けてそうな女子だ。

 

 名前は青葉 マリ。

 見た目に反してとても体育会系でコミュ力が高くてテンションも高い。

 この僅かな短期間のウチにクラスメイトの顔と名前も全員覚えているらしい。


 そんな彼女は何の用なのか体操着姿で俺に話しかけてきた。

 内容はエリクと俺の事だ。

 

「体調不良で急遽お休みと言う形で、柳君はそれの看病していたんですか」


「まあ概ねそんな感じだ」


 間違ってはいない。

 それに馬鹿正直に話すと「それは大変です! スグに行かないと!?」と無計画にエリクへ突撃する様がアリアリと見える。


 たぶんクラスメイトの引き篭もりの子がいたら勇気づけようと寄せ書きを送ったり、毎日家に通ったり、最悪クラスメイト全員を引き連れて家に突撃とかやるタイプのように思えた。(*柳 シュンスケの勝手な妄想です)


「――早く罰則解けてバトルスーツ動かしたいな」


「ああ分かります。と言うかそのためにこの学園に入学したんですよねみんな! 私も早く動かしたいです!」


(元気だな……)「そう言えばエリクと戦うつもりらしいけど、勝算はあるのか?」


「本当はバトルスーツを着用して猛特訓したいんですけど、着用禁止なのが痛いですね」


「確かにな――」


 エリクの戦闘能力はテロリストとの戦いで観たが素人目から見ても異常だ。

 恐らくだが勝ち目はないだろう。


「だけど諦めません! それを言い訳にして逃げたくはありませんから!」


「分かった分かった。落ち着こうな――周りの子とか見てるから」


「すいません。昔からどうも熱くなってしまう性質でして……」


「皆もう知ってると思うよ」


「えぇ!? そうなんですか!?」


 何故か口を大きく開けて目を見開き、体をビクッとさせて本気でショックを受ける。


「そんなんだからだよ――て言うか気づいてなかったのか――」 


 中学時代の周りの子は苦労したんだろうなと同情してしまう。

 

「話を変えよう――体を鍛える以外にも方法はあると思う」


「うん?」


「使用するバトルスーツとか使う武装とかそう言う確認だよ」


「ほうほう。戦いは戦う前から始まっていると言う事ですね」


「そうだ。俺達は学生だから教官が使うような最新鋭機は使わせてもらえないだろう。使えるのはどうしたって旧世代機になるがそれはエリクも同じだ――ただ」


「ただ?」


「勝負をつけるなら開始数秒の一瞬で決めろ。それが出来なければ負けだ」


 俺は青葉さんに厳しい現実を突きつけた。

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バトルスーツ・ハイスクール MrR @mrr

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