まさにオレンジの味がする短編。

オレンジの描写と恋心が、こんなにしっくりと一致する。初恋っていうのはやっぱり本当に甘酸っぱいんだと、納得です。
登場人物たちそれぞれの、瑞々しく揺れ動く想い。いくつものシーンに、その想いは時に弾けるように、時に滲み出すように生き生きと描かれます。プリントや髪留めなどの小物も恋心のときめきを細やかに演出し、小さなシーンひとつひとつにドキドキが詰まっています。初々しい疾風に巻き取られ、読み手は呼吸も忘れラストシーンまで連れて行かれてしまいます。
誰かを恋い慕う想いが芽生える尊さをたっぷりと味わえる、まさにオレンジの味のする短編です。

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