第3話 決着

ワタルと別れると、僕は山への道を歩き出した。

遠くの方に山が微かに見えた。

 特に何もなく木に沿って続く道は、どこか僕の不安をそそった。

道は長いかと思われたが、気がつくと、山はもうすぐそこまで迫っていた。

山頂を目指して山道を登り始めたが、気がつけば山頂が目と鼻の先にあった。

 先程から、なぜか進展が早い。

ワタルと別れた後、僕は山への道を歩き出した。

遠くの方に山が微かに見えた。

 特に何もなく木に沿って続く道は、僕を不安にした。

道は長いかと思われたが、気がつくと、山はもうすぐそこまで迫っていた。

山頂を目指して山道を登り始めたが、気がつけば山頂が目と鼻の先にあった。

 先程から、なぜか進展が早い。

ワタルと別れると、僕は山への道を歩き出した。

遠くの方に山が微かに見えた。

 特に何もなく木に沿って続く道は、あまりにも殺風景すぎて、僕を不安にさせた。

道は長いかと思われたが、気がつくと、山はもうすぐそこまで迫っていた。

山頂を目指して山道を登り始めたが、気がつけば山頂が目と鼻の先にあった。

 先程から、なぜか進展が早いし、進展が早いし、進展が早い。

何かがおかし先ほどから、なぜか進展が早い。い。

何かがおかし何かがおかしい。


「やあ。」


どこかから声が聞こえた。どこか。声

繝輔の男繝ュの声だ。


「その声は、ワタル、さん?」


空気中も何かおかしくなっていた。

謎の物体が現れて、消えて…

黒くなったり白くなったり。

壊れていく。


「そう、ワタル、さ。」


「ワタルさん、今、何がどうなってるんですか? 何も見えないし、分からなくなって…」


声が

届いたかは分からない。

けど、

届いたと思う。


「今、どうなってるか、って?見りゃ分かる、そのまんまさ。ぜーんぶ、壊れてる。」

「壊れて、る?」

「そ。誰がやったと思う?」


僕を取り巻く

なに

の黒い物体の隙間

から、ワタル

見えた。

でも、言葉では言い表せない。

ワタルが

見えた。言葉では言い表せない。

でも、


「俺さ。」


でも、


ワタルぢゃないって言えば、分

軽かな。

これは、全部ワタルがや

つたらしい。

全てを壊して、バグらせて。

 みんなも壊す。


「知ってたか? ここにいるのって、植物だけじゃ、ないんだぜ?」

「ユグが、そう言ってただけさ、その証拠に、オレはコンピューター。知能を持たず、コミュニュケーションを図れない物は、みんなここに来るんだ。驚いたろ?」


「ユグって」?」


僕はやっと

の思いで口を開いた。


「ユグを知らない? ユグは、この世界を作った植物さ。それだからか、みんな、アイツを神だとか、救世主だとか呼んでる。まったく、アホらしい。あいつはただの雑草さ。」

「本当に、本当にこの世界を作ったのは、」

「エーリュウさ…でも、彼女は、彼女はすごいよ。」

「世界を作ったのは自分さ、とも言わずに、その後に手柄をユグに取られたってお構いなし。そしてそのまま…誰にも察されることなく…姿を消したんだ。」






「ユグが偉そうにふんぞり返ってるこの世界で、誰が過ごしたい。何が楽園。お前もそう思わないか?」


「そうだろ?」


「な?」


「答えろよ、どうした。」





「確かに、気持ちは分かる。けど、」


咳払いをして、声の調子を整えた。


「もし、もしもだけどさ、この世界を壊すのを、エーリュウが見てたら? それをエーリュウが望まなかったら?」


「望むもなにも、エーリュウはもういないんだ。ユグが追い出したも同然だ。」


エーリュウは、まだいる。

いるのは分かってる、でも、どうしようもない。

あれ以来、エーリュウには会っていないのだから。

 ワタルは、やつれた顔をして、俯いている。


背後に、気配を感じた。


エーリュウが、そこに立っていた。


エーリュウ…! 今、ワタルが…

 声が出なかった。

エーリュウは僕に向かって微笑むと、ワタルに向かって歩いて行った。


「エー、リュウ…? なぜ君が……ここに…」


「ワタルさん。こんにちは、お久しぶりですね」

「エーリュウ! 君は、ユグに利用されたんだ! アイツが、みんなにチヤホヤされるためだけにな。分かってくれ。」


エーリュウは黙ったままだった。それでも柔らかな笑顔は崩していなかった。


「頼むよ…」


「ワタルさん、よく聞いてくださいね。」


「モノを壊すことって、誰にとってもいいことじゃないですよね。相手への親切心も同じです。気の毒に思ってやったことで、自分にとってはいいことでも、それは誰にとってもいいことではありませんよ」


ワタルは、エーリュウの言葉を聞いて、ゆっくりと頷いた。


「あなたは、地上にお帰りなさい。地上で、友達や、家族があなたを待っていますよ」

「はい、ありがとうございました」


僕は山頂へ一歩を踏み出した。

 天井から、眩い光が差していた。

光の中に入ると、視界が真っ白になって、何も見えなくなった。

意しきもとおのいていく。


*


僕は川辺の草原に寝転がっていた。

秋のひんやりとした風に、温かな日差し。

 それがとても気持ち良くて、しばらく寝ていたかった。

でも、あることを思い出し、飛び起きた。

 

「そっか、もう充分寝てたわ」


名前も知らない鳥がさえずっている。

 その下を、僕はゆっくりと歩き出した。

遠くでは学校のチャイムが鳴り響き…


「学校のチャイム!?」


川辺に置いていたカバンを持って、学校への道を走った。

ーーワタルは、改心してたらいいけど。

 そして思った。

夢じゃなきゃいいな。

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plants world 〜なんのひねりもない物語〜 小説書く夫 @let_is_novel

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