りんごと浩史郎の恋愛シュミレーション&続編(夏編)のお知らせ

✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽「やぁ。君…その絵、ずっと見てるけど、ミネの絵が好きなの?」


美術館で、芸術家っぽい雰囲気の長髪のイケメンに話しかけられては、気後れしながら答えた。


「は、はいっ。(わあっ。素敵な人!本当は友達に余ったチケットもらったから来ただけから、絵にすごく興味があるわけじゃないんだけど、そんな事言えないっ。)」


「じゃあ、こっちの絵とあっちの絵はどっちが好きかな?」


日傘を差した女の人の絵と、睡蓮の絵を指差して、問いかけてくる彼に私は答えた。


「日傘を差した女の人の絵が素敵だと思います。」


一瞬の間の後…。


「そうか。僕とはあまり気が合わなさそうだね。じゃ、美術館、楽しんで行ってね?」


愛想笑いを浮かべて、そのイケメン《芸術家タイプ》は、去って行った。


✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


「だーっ!!ちょっと、この男の子気難し過ぎでしょ?もう少し会話してから人を見極めればいいのに…!また最初からやり直しだぁっ!!」


飲み物を飲みに下に降りてきたところ、リビングのソファーで、りんごが携帯にむかって何やら叫んでいるのを見て、俺は呆れながら声をかけた。


「りんごは何をキレているんだ?」


「芸術家タイプのイケメン、タクヤくんがなかなか攻略できなくて、困っているんです!!」


「ああ?💢」


「ひっ…。浩史郎先輩、怖いっ!」


その答えに思わず凄んでしまった俺に、りんごは怯えて仰け反った。


「いや、クラスの友達に恋愛シュミレーションゲームのアプリを紹介してもらって、やってみてるんですけどね。一人どうしても攻略できない男の子がいるんですよ。」


「なんだ、ゲームの話か…。」


りんごが他の男を口説いているのかと思った俺は、詳細を聞いてホッと胸を撫で下ろした。


「浩史郎先輩は、こういうの、やった事あります?」


「いや、ない。下らないし、出来たところで、現実生活に何に立たないだろ?」


聞かれて、眉を顰めてそう答えると、りんごは半眼で、蔑むように俺を見た。


「ああ、そりゃ、浩史郎先輩はリアルハーレムを持ってるから、必要ないですよね?


何だぁ。やった事あるなら、アドバイスもらえるかと思ったのに、ないなら、しょうがないですね…。」


「な、何だよ?今はリアルハーレムなんか、持ってねーよ。(目の前の奴すら攻略できてねーのに!)

役立たずを見るような目で俺を見るな!やった事はなくても、俺は男なんだから、君の分からない視点でアドバイスする事だってできるぞ!」


「ホントですか?じゃあ、日傘を持った女の人の絵と、睡蓮の絵どっちが好きですか?」


「当然睡蓮だろ?」


「おおうっ!!✨✨」


りんごは俺の答えに目を輝かせた。

        

         *

         *


「デートに誘われました。シックで大人っぽいワンピースか可愛いヒラヒラレースがついたワンピース。どっちの服を着ていけばいいですか?」


「シックで大人っぽい方!」

「あっ!好感度上がった!」


「お家にご飯を食べに来てもらう事になりました。カルボナーラとペペロンチーノ。作るならどっち?」


「ペペロンチーノ!」

「おおっ!ついに好感度100に?!」


ゲームの進行に従って、主人公の選択肢について、俺はりんごに正しい方を次々とアドバイスしていった。


その結果…。


「やったぁ!梅の木の下で告白されました!!浩史郎先輩、ありがとう!!」


とうとう、りんごは芸術家タイプのタクヤくんを攻略出来たらしく、スマホの画面に向かってガッツポーズをとった。


「ふっ。俺の手にかかればざっとこんなもんよ…。」


「ふふっ。ホントすごいですね?(そう言えば、浩史郎先輩もこだわりがあって繊細な感じで同じタイプだから、キャラの気持ちが分かるのかなぁ…。ぷぷぷ…。)」


「今、なんかムカつく事考えてないか…?」


何だか、意味ありげにニヤニヤしているりんごに問うと、彼女はぶんぶんと首を振った。


「いーえ。ちっとも!それより、浩史郎先輩。この恋愛シュミレーションアプリ、男性用のもあるんですよ。ちょっと、やってみませんか?」


「え。」


りんごに勧められるまま、俺は携帯にアプリをダウンロードすると、今までのモテ経験を生かして、次々とターゲットの女の子を攻略していった。


ただ一人を除いては…。


「クッソー!この不思議系女子、さくらんだけ、どうしても攻略出来ない。コイツ、どんな思考回路してるんだ?!」


何度も攻略に失敗し、座っていたソファーの隣の席に携帯を放り投げたところに、りんごがニヤニヤ怪しい笑顔を浮かべてやって来た。


「おやおや。浩史郎先輩、お困りですか?

もしかしたら、私がお役に立てるかもしれませんよ?」


「はぁ〜?経験豊富な俺でも分からないのに、りんごに分かる訳が…。ハッ!(こいつの頭の中も割とカオスで何考えてるか分からない不思議系女子だよな。もしかしたら、思考パターンが似てるから参考になるのかも…。)」


「浩史郎先輩。今、何か失礼な事考えてませんか?」


「い、いや、まさか、そんな訳ないだろ?」


りんごに探るような目で見られ、慌てて否定する俺だった。


「じゃ、じゃあ、せっかくだから、りんごの意見も、聞いてみるかな?


公園にデートに誘おうと思っているが、虫かごとシャボン玉どちらを持っていけば、彼女は喜ぶか?」


「虫かご一択じゃないですか?この時期は、色んな虫が取れますし。」


「ほ、ホントだ…!好感度がアップした!」


「じゃあ、彼女の家に行く時、お土産を買いにケーキ屋さんに寄りました。アップルパイとりんごプリンどっちを買ったらいい?」


「う〜ん。迷いますけど、この季節なら、りんごプリンかな?」


「おおっ!好感度100に!!マジか!?」


そのまま、ゲームの進行に従って、俺はりんごのアドバイスに従い、主人公の選択肢を選んでいった。


その結果…。

✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


呼び出され、がコナラの木の下へ行くと、そこには、頬を染めた彼女が待っていた。


「あなたの事が大好きです!これからも私と一緒にカブトムシ育てたり、バンジージャンプをしてくれませんか…?」


「さくらんちゃん。俺も自由で不思議ちゃんな君が大好きだよ。二人で立派なカブトムシを育てよう。世界中のバンジージャンプの名所を制覇しよう!」


「嬉しい…♡」


二人は寄り添って、手を繋いで、夏の夕暮れの道を歩いて行くのだった…。


✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


「やった!!やっと攻略できたぜ!!」


俺はハッピーエンドの文字が浮かんだスマホの画面に向かってガッツポーズをとった。


「君、すごいな?!」

「ふふん。どんなもんですか?」


俺に褒められ、りんごは腕組みをしてドヤ顔をしていた。


「ゲームを楽しんでもらえたみたいでよかったです。では、もうそろそろ夕方の特売時間なので、私は買い物に行って来ますね?」


「あ、ああ…。もう、そんな時間か…!」


りんごの言葉に、時計を見て、もう夕方になってる事に気付いた。


昼過ぎからやっていたから、このゲームに何時間もかけてしまった事になるな…。

まぁ、いいか。なかなか楽しめたし、りんごの趣向も少し分かった気がしたしな…。


「俺も買いたい物あるから一緒に行くよ。」


玄関先へと向かうりんごの後を追った。

       

         *      


「あれ?あの…。浩史郎先輩、手…?」


玄関口からりんごの手を取って歩き出すと、戸惑ったように俺を見上げるりんごは、心なしか頬が赤らんでいるようだった。


「ほ、ホラッ。迷子になったら困るだろ?」


言い訳のようにそう言う俺の頬も繋いだ手も少し熱を帯びているようだった。


「ふふっ。かっくんみたい…。分かりました。迷子にならないように手を繋いでてあげますね?」


「……。」


また、弟を重ねて子供扱いされ、軽く睨むと、りんごはいたずらっぽい笑顔を向けて来た。


「いい子にしてたら、今日の夕食にペペロンチーノを作ってあげますからね?」


「じゃあ、俺は君がいい子にしてたら、デザートコーナーにりんごプリンがないか探してやるよ。」


「ふはっ!」


仕返しのように言ってやると、りんごは吹き出した。




*あとがき*


「イケメン=万能…ではない」いつも読んで下さってありがとうございます✨✨

続編の宣伝におまけ話を書かせて頂きました。


続編(夏編)はタイトル変わりまして、

「許嫁=猫…ではない」

7/4(火)12:00〜投稿予定となっております。


新たにフォロー、ご評価頂けますと大変有難いです。どうか宜しくお願いしますm(_ _)m


基本週一で投稿していきたいと思います。

書き溜めがあまりなく、取り敢えず7月分しか書いていない為、執筆に難航する場合、途中で止まってしまう可能性があります💦


近況ノートで投稿スケジュールをお知らせしますので、ご確認頂ければと思います。


浩史郎とりんごのその後を見守って下さると嬉しいです。

今後共宜しくお願いしますm(_ _)m


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イケメン=万能…ではない 東音 @koba-koba

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