全員、悪人。

序盤はいかにもありがちなデスゲームもの。しかし一人、また一人とその「罪」が暴かれていくうちに、何やら雲行きが違うぞ? となるサスペンスでした。
犯した罪の内容は、実際に起きた事件の影響が強く見られ、風刺のおもむきも感じられます。
この話が特に重いなと感じるのは、主催側も別に正義ではなく、罪に溺れた狂人たちでしかない、という点ですね。
織兵衛や安路は、完全に本人の自助努力ではどうにもならない、社会からのケアが必要なケース。玲美亜さんもしかるべき医療が必要な人でした。恵流も環境が悪すぎた……。
「病気だと言えば許されるのか!」とは言うけれど、自己責任能力がない人間に罪を問えないのが法治国家であり人権というもの。
彼らの罪は決して許されるものではないけれど、当人の罪業にだけ帰結させて一方的に断罪するという点では、主催者側も同レベルの罪人でしかない。
あんなにカネをかけて会場をセッティングできる組織力ならば、医療や福祉を改善していく方がよほど建設的な気がしますが、そうはならなかったあたりが、終わりのない罪と罰のループという無惨な結末を感じさせます。
最後までハラハラして読みましたが、誰一人として救われないお話だな……と苦いものがありました。楽しかったです。