短編③ ハロウィンナイトパーティー! 600PV記念

 高校1年生の10月。

 10月に入ったばかりの頃に、こんな話が出た。


「みんな、ハロウィンパーティーやらない⁉」


 クラスで一番元気な男の子が言った。

 高校になったから、こういうのもオッケーになったんだ。


「何それ! めっちゃ楽しそう!」


 同じ高校に進んだ有留ちゃんが声を上げる。


「私もやりたいな。せっかく高校生なんだから、夜とかどう?」


 10月だから、席替えもしていて、真夜の隣に座っている美桜ちゃんが言う。


「夜⁉ サイコー!」

「サンセーの人ー!! 満場一致! 決定でいいよな⁉ イインチョー、よろしく!!」


 中学生に続いてずっと学級委員長を務めている美桜ちゃんは、他の人より忙しくて、遊ぶ時間が取りづらいけど、ハロウィンパーティーに反応するってことは、大丈夫だってことだよね。


 夜のパーティーか……どこでやるんだろ。

 クラスは40人いるから、それが全部入る部屋なんて……。


「どこでやるんだ?」


 私の心の声を聴いたかのように、真夜が声を上げる。


「それなら、私の家いけると思うよ。パーティー用の部屋があるから」


 聖奈ちゃんが手を挙げて言う。

 パーティー用の部屋とは⁉

 聖奈ちゃんすごすぎる……。


「マジで? 全員入る?」

「入るよー」


 聖奈ちゃんのおうちってすごいんだよね。

 すっごい広くて、豪邸みたいで、執事さんもいるんだとか。

 前おうちに招いてもらった時にめちゃくちゃ驚いた。


「じゃあそこでやるか! 日にちは10月31日、全員空いてるなー?」

「おう! もちよ!」

「そのためだったら何が何でも空けるわ‼」


 そんな感じで、とんとんと話が進み、題してハロウィンナイトパーティーの開催が決定したのだった。




「やっほー!」

「やっほ」


 私と有留ちゃん、美桜ちゃん、柚芽ちゃんで駅に集まって、聖奈ちゃんのおうちに行くことにした。


「楽しみだね! お菓子持ってきた?」


 と私が聞くと、有留ちゃんが、


「もち! このリュックほぼお菓子だよ!」


 と得意げにリュックを持ち上げた。

 すっごいおっきい。


「それは多すぎない?」

「さすがにやりすぎでしょ。全部は食べられないわよ」


 と、呆れ顔で2人が言う。


「まぁいいじゃん! 残ったのはあたし食べるし!!」

「有留の食欲は半端ないからね……」

「あんなに食べてるのになんでそんなにスリムなのか教えて欲しいよ~……」


 有留ちゃんは、すごい量食べるのにすごく体型がよくて、痩せてて、人類全員の憧れのような身体だ。


 私はそんなに食べられないのに有留ちゃんよりは絶対に太ってるから、羨ましい。

 真夜に呆れられるよ~……。




 そんなこんな話していると、お目当ての聖奈ちゃんの家に着いた。

 私たちは、家の場所を知っていることもあって、早く来て、準備のお手伝いをすることにしたはずなんだけど……。




「よし!! 選ぼう!!」


 そう言って聖奈ちゃんがクローゼットから取り出したのは、色とりどりのハロウィンの仮装。


「え、選ぶって?」

「仮装するんだよ仮装! 私はもう着替えてるじゃん。準備とは言ったけど準備イコール仮装だからね!」


 確かに、聖奈ちゃんはもう魔女の仮装をしている。


「有留はやっぱりかぼちゃ! だよね」


 有留ちゃんはいつも明るいから、オレンジ色のかぼちゃの色が似合ってる。


「おー! ただのかぼちゃかと思いきや可愛いじゃん! これにする!」


 有留ちゃんは即決。

 私はどうしようかな……。

 プリンセス、ティンカーベル、巫女、ナースがある。


「柚芽はティンカーベルかな。ほら、似合ってる!」


 柚芽ちゃんの身体に合わせたティンカーベルの衣装は、柚芽ちゃんみたいな可愛くて元気な子に似合ってる。


「ほんと? ありがとう! じゃあこれにしようかな」


 どんどん無くなっていく。どうしよう、私に似合うようなのがない。全部可愛いから。


「私はこれがいいな」


 美桜ちゃんが指さしたのは、ナース。

 美桜ちゃんの少しクールな性格によく似合っている。


「いいじゃん! 似合うよ、ほらこの帽子とかつけてさ」


 聖奈ちゃんがクローゼットの奥から引っ張り出してきた帽子も、ナースの衣装によく似合っている。


「じゃあやっぱり、紗弥はこれだな」


 そう言って聖奈ちゃんが持ったのは、巫女の衣装。


「えっ⁉ こんなの似合わないよ……」

「ハロウィンナイトパーティーで彼氏に可愛いとこ見せたいっていうのに一番同意してたのは誰かな~?」


 うっ、確かにそんなことがあった……。

 確かに可愛いから、これにするしかない。


 悩んだうえで選んだのは……。


「これにする」





 実は、そのあとパーティーが始まった途端に真夜が近づいてきて、「可愛い」って言ってくれて、ゆでだこになって最後まで部屋のすみっこにいた。

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