10

「ハルカゼ……」

「…………

「なあ、ハルカゼ」

「……なに?」


 帰り道。学校から出て五分くらいしてから、ようやくハルカゼはこちらを向いてくれた。

 今日はこの子、どこかずっとこの調子なのだ。

 俺が小川とシンジュと仲良くしていたからだろうか?

 ほんのり寂しかったのかもしれない。


「今日の帰り、俺と二人きりの時に話があると言っていたのはハルカゼの方だろ? どうしたんだよ。そんなにあいつらと俺が話してんのが嫌だったのか?」

「そういうわけじゃない」

「じゃ、どうしてなんだよ」

「わたし、コウの他にお友達ってできたことがないの。わたしが二人と仲良くなるためにはどうすればいいと思う?」

「なんだ、シンジュもあいつらと友達になりたいって思ってたのか」

「…………知らない」

「そうむくれるなって」


 ハルカゼ、顔は大人びてるけど本当に子供っぽいところがあるよな。


 ま、そこが可愛らしくはあるんだけど。


「明日、俺がハルカゼをうまいこと会話に混ぜてあげよう」

「本当? ……でも、今までよりも少なするのはダメだから」

「少なくするって、昼飯の量?」

「ほんっと、デリカシーない!」

「俺たちの時間だろ!」


 怒られそうになったので、最初からわかりきっていた回答を告げた。

 その言葉を聞いた瞬間、ハルカゼの瞳がうるりと光った。


「どうしてわかったの……?」

「そりゃ、俺だっていやだもの」

「そ、そっか。コウもいやなんだ……」


 ハルカゼはどこかうれしそうににんまりと笑っていた。

 こんなにもかわいいんだから、きっとハルカゼにはこれからも大切な友人が増えていくだろう。


――――あとがき

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幼馴染が塩対応すぎるので、何度か好意を確認しているんだけど、愛されてしかいない りんごかげき @ringokageki

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