hard cage

@truthSnow

第1章 探偵事務所 Bond

【なんて甘ったるい


禿鷹の入れる珈琲より甘い


そうは思わないかね禿鷹】








歌舞伎町の寂れたビルの4階で

リンはニュースを観ていた



「そうですねぇ…世知辛い、いや、アホらしい


しかし私の入れるコーヒーは甘くありませんよリンさん」




禿鷹はそう言いながらコーヒーに角砂糖を五個もいれた




【なんだかねーなんだかねー傍観者だねー身内までもがいやだねーやだねー】



リンはソファーに転がり訳のわからないことをつぶやく



「あっ、リンさんそろそろ見廻りの時間では?


コーヒー飲んでってくださいね」



【あぁ…もうそんな時間?


やっぱ甘いよー甘い甘い】



「時間に遅れるとまたGさんにどやされますよ


コーヒーは全部飲んで下さいね」




【ねぇ、その笑顔腹立つんだけどねーなんでいつもにやけてるの】




「こういう顔なんです


何度聞いても答えは同じですよ」



そう言いながら禿鷹はコーヒーを手渡す





(未だ逃走中の犯人は拳銃を所持しており、都内に潜伏してる可能性が高いようです、事件がおきた近隣の皆様には警察が注意を促しています)








【んー、甘いわ】





ショートカットの黒髪に華奢な体

肌は青白く不健康そうな容姿をした彼女は探偵だ


少年のようだが

生物学的上 女性である



新宿 歌舞伎町



ここにはいろんな人種がいる


肌の色が違うと言いたい訳じゃない


魂の色が違うのだ



十人十色の考えがあるように


十人十色の犯罪も起きる



リンはそれを知っていた


そして裁く手段も


知っていた




【禿鷹の野郎、私を糖尿にする気だな、



まったく誰がやつを雇ったんだ?



まぎれもなく私だが】





禿鷹(ハゲタカ)


雑用件、リンのおもり役



いつも笑っていて薄気味悪い男

身長は190㎝あり、灰色の髪を肩まで伸ばしてる


やっぱり薄気味悪い男だった





さて、見廻りに徹するとしよう




リンは日課になっている歌舞伎の見廻りに出掛けた



彼女のことを歌舞伎の番犬

という奴もいる



番犬と言えばヤクザなイメージだが



リンはヤクザよりタチの悪い番犬として


後ろめたい事がある奴らにすれば

避けて通りたい存在だった



その理由は

おのずとそのうち解ることになるので少々お待ちを




【最近平和平和


別にこんな忠実に毎日 毎日


見廻ることもないんじゃないかねー


本当都知事変わってからやりずらいねー】





(おっ、リンちゃん、今日もやってるねー)





キャッチの看板を持ったおっさんがリンに話しかける





【あらっ、おっちやん


変わったことはないかい?】





(あぁ、なんもねーよ、


しいて言えば、昨日若僧がラリって暴れてなぁ


シメたことくれーかなぁ)




【あらっ、頼もしいその調子で頼むよー


仕事が減って大変結構】



(任しときな!)




【はいよー】




リンが歩けば

歌舞伎町の住民が声をかけてくる


見馴れた光景だ





それだけリンはこの街に


必要な存在だった





「HEY!リン!調子はどうだ」






【へーぃ、マザーファッカー


すこぶるハッピーだよー】





「ハッハーりん、それホカノガイジンに言ったらオコラレルヨー(笑)」





【そうなの?


hideさんがマンソンにこんな風に挨拶してたから


てっきり親愛なる気持ちを込めた挨拶だとおもってたわよー】




「まぁ、リンならいいか(笑)」





嘘くさい片言で喋るこいつの名前は スカッシュ


アメリカ出身で



セクシーキャバクラの店長だか

時々こんなふうにじゃれて遊ぶ



リンの玩具





スカッシュ「そうだ、ちょっとタノミタイことがある」





【なんだい?mydarlingー】




スカッシュが店の中へと促す




野暮なはなしかい?

嫌だねー

いゃだねー




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

hard cage @truthSnow

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ