第13話
こころ、私の娘の症状は毎日悪化
しているように見えた。
もうすぐ14歳で本来なら中学2年生。
中学にはほぼ行けてない。
おしゃれもほど遠く、病院着と
検査着ばかりの生活。
毎日、車椅子に乗せ病院内のコンビニに
行く毎日。そして、一緒にテレビや
雑誌をみたりしていた。
その日、仕事場で欠員がでたそうで
昼の2時間でいいから出勤してほしいと
言われたので、仕方なく行った。
「頑張ってねぇ。帰ってきたら
おやつ一緒に食べよう。」
娘の心はそう言って送り出してくれた。
おやつ、ブルーベリーの飲むヨーグルト、
バニラのアイスクリーム。
固形物を飲み込むのも一苦労で、
少しでも栄養価が高い飲み物や
半分刻みの様な食事内容になっていた。
私がいない間、娘のこころは
秘密?のノートとサインペンを
取り出し、時間をかけて
手紙を書いていたらしい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日、なん月なん日?
さむい日だろうね。
かんごしさんは、いつもどおり
半そで、だけど、お母さんや
お見まいの人たちは、ぶあつい
上着やコートを着ている日。
この日記もいつまで書けるかな?
まだまだ、ページあるけど
私の食べれる日や、ちょうしが
いいとき、少なくなってきた。
あーあー、もう一度、思いっきり
走ってみたいなぁ。
中学生の学校イベント何があるのかな?
小学生とはちがい、中間と期末の
テストあるみたいだけど、勉強の
せいかを試すゲームみたいで楽しいかも。
あっ、でも、私、漢字とか文字
どんどんわすれてる気がする。
毎日かかなきゃ、文字忘れるわ。
リハビリに、文字かきあるけど
アレ、だ、い、じ。
あした、ていねいなお手紙けいしきを
お母さんあてに書こうかな?
そろそろ手がつかれたし、おやつの
時間になるので書くのやめます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
見開き2ページにわたり、娘の字が
書かれていた。
娘がノートに何か書いているのは知っていた。
恥ずかしそうにしついたから、日記や
日頃のグチを書いているんだろうなぁとは
思っていた。
塗り絵や文字を書くリハビリなど
午前中しているらしく、夜勤を終え
仮眠をとったあと昼前に娘のいる病室に
行くようにしていた。
私は栄養ドリンク、娘には食べれるか
どうかわからないけど、かわいい絵柄が
ついた美味しそうな栄養あるドリンク味の
ゼリーや、プリン、ヨーグルト系の飲み物など
買って病院に向かった。
まさか翌日、娘と会えない日々が
続くだなんて思わなかった。
朝、寝ないまま娘にあいに行けばよかった。
昨日しっかりと言葉を交わしたし、
こんな日が来ることは覚悟しきれていなかった。
翌日の夕方、娘は息を引き取ってしまった。
ガリガリにやせ細った娘は15歳だった。
冒頭のような、ノートの手紙だけが
私の手元に残った。
私はどうやって生きればいいかわからない。
私のこころは、もういない。
私の大好きなこころがいない。
私のこころ、どこ?
おわり
13話完結 ノートの手紙 さつき @sathuki3104329429
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