無理して笑顔を見せるより、優しい嘘をつく友達がほしい

現代ファンタジーなミステリー。
嘘をつくと足音が聞こえる発想が斬新でよかった。

ミステリーなのだけれども、特殊能力で事件を解決していく作品ではない。
物心つくことから、嘘つきの足音が聞こえるという特異な体質のおかげで、足音の騒音に悩まされ、人との距離をとるように生活をしてきた琴葉が、日常の嘘に対して、どう向き合って行くのかを描いているところに、面白さと作品の良さがある。

天文部を「文化部では珍しい夜行性の部活動だ」と表現するのは面白い。
しかも、主人公はちょっと他人とは違う着眼点をもった子だと、伝わってくる。
他にも、小学生からの友達の咲花とのやり取りも面白い。

持ち物に足音が集まり、嘘の大きさで重くなる。
事態の大きさを実感しやすくていい。
よく「犯した罪は重い」という言い方をする。
嘘も悪事も重いのだ。