待ち時間

黒夜

本編

あと2分00秒

カチリカチリと腕時計の秒針が動く。

あと何回だ?何回鳴れば終わるのだ?


「玲司、あと何分か計ってる?」

「知るか!自分で計れよ!」


……ボクは自分のは何分後かはしっかり記憶してるけど他の人の分までは覚えている余裕はない。それは玲司も同じだろう。


「……何でわざわざ秒単位で計ってるんだ?」


バカがアホなことを聞いてくる。

なのでボクの目の前に置いてある物をバカの目の前に見せるように押す。


「これを見れば分かるだろ?」

「……いやいや、マジで?」

「流石に秒単位はヤバいな。大体で良いだろう?」

「宗也、君はしっかりと計った方が良い。流石に勘だけとかはアホ過ぎる」


体内時計が働いているからなのか宗也は割と正確に五分以内なら上手く計測できる。多分この四人で目を瞑ってストップウォッチで正確に10秒で止めろと言われたら常に宗也だけがソレに近い時間で止められる。

だからって3分を時計も使わないで計るのはアホ過ぎる行為だが、ボクのでは無いので関係ない話か。

完成まで残り、30秒。


「…………まだか?」

「一応言っとくが俺のは5分だから違うぞ。ボクっ子に合わせれば良いんじゃないか?」

「ボクっ子……いい加減名前覚えてくれない?」


玲司が名前を覚えるのが苦手なのはまだ一週間も経ってない付き合いだけど知っている仲だ。その代わり、妙なあだ名で呼ぶ癖があってボクの名前を知る人が少数なのが玉に瑕だ。


「あ、時間だ」

「マジか!」


ボクは急いで蓋を外して液体スープと調味油を入れて箸で麺を解す。カップ麺は至高の食べ物だ。お気楽に作れてリーズナブルな味。下手な学食の値段未満なクオリティの物よりも断然ボクはカップ麺派だ。


「……おい!」

「ズズズ……………………なに?」

「まだ固ぇじゃねぇか!?」


宗也がボクと同じタイミングで食べ始めたら文句を言ってくる。これだから彼はアホなのだ。


「ボクと君では時間が違う。当然でしょ?」


宗也のは普通のカップ麺だけど、ボクのカップ麺は少し違う。


「ボクのカップ麺は、バリカタだよ?」

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