第一章は名作。二章は良作。三章は凡作。四章は……。

 まず一章は間違いなく名作。

 やや主人公の口調が独特なのが賛否両論あるかもしれませんが、内面とのギャップを狙ったという意味でなら高評価。

 負けヒロインの救済という点は、むしろ原作主人公になら負けた方が良かったという節もあるので普通に救済物。最後の主人公補正の概念の使い方には唸らされました。

 二章も良作。

 突如手に入れた力に戸惑いながらも、それをどう使うか思案していく主人公には素直に好感を抱きました。まあうっかりやらかす事はあれども、責任をとるべく奮闘している姿もグッド。

 三章はやや展開がダレ始めるので凡作。

 会話の言い回しの豊富さは見事と言えましたが、主人公の行動原理に首を傾げる描写が幾つか見られて共感はしづらいかも。

 四章は……強いて言うなら怪作。

 話が突然ぶっとんだ方向に行って読者の置いてけぼり感が凄い。良く言えば吹っ切れた。悪く言えば自棄になっているとも見える主人公の行動についていけないと思う場面もちらほら。

 今の世界がゲームではなく現実だと受け入れながらも、与えられたスキルを平然と行使するのはやや都合が良すぎるかもしれない。ただ何が何でもハッピーエンドにするという心意気自体は良いと思います。

 最後は勢いだけで押し切った感もありましたが、総合的に見れば良い作品でした。

 長文失礼いたしました。

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