悲しい過去を持つ、元料理人の関川。ある日彼は、不思議な天使と出会う。
何故か「師匠」と呼ばれ懐かれてしまい、彼は見習い天使だという彼女に食事を振る舞うことになる。
一緒に食卓を囲むうち、関川は純真で無垢な彼女に心癒されていく。だが、彼の魂が救われる時、二人の時間は終わりを迎えるのだ───
この作品、飯テロが企画テーマなのですが、ラブコメ要素も強いです。くっつきそうでくっつかない、天然な色音ちゃんと誠実極まりない関川さんがじれったくてたまりません。個人的には、色音ちゃんの寝相の悪さがツボです。
出てくる料理はもちろんどれも料理美味しそうですし、修行の意味や天使の正体などがわかってくる終盤、色々なことが見事に繋がって「おお!」と声が出ます。果たして、彼女の選択は。
切ないけれど、優しくてあたたかい。とても美しい物語です。
過去の辛い恋から立ち直れない元料理人の主人公は、行き場のない見習い天使を拾い色音という名前をつけます。
心が傷付いていた主人公は可愛い見習い天使との不思議な同居生活を続け、料理を教えていくうちに料理人としての自分を見つめ直します。
食卓に並ぶ料理はどれも美味しそうで、二人の息もぴったり。実はこの色音さんにはある事実が隠されていました。
――亡くした恋人への辛い想い。
そこから立ち直れない主人公。
なぜ見習い天使は地上界に現れたのか……。
天の国のミッションをクリアした見習い天使の選んだ新たなルートは、天使なのか転生なのか……。
ちょっぴり切なくて、ほんのりあったかい。
ラストは緩やかな時の流れとともに、主人公にも幸せが訪れます。
心あたたまる作品です。
元料理人の関川さんが拾ったのは、お腹をすかせた天使見習いの少女。
一人前の天使になるために、「色音」と名づけられた少女は関川さんに弟子入りします。
二人が過ごす、料理と食事と優しさの日々は、ちょっとドキドキ、可愛らしいラブコメエピソードににんまりしてしまいます。
でも、修行が終わると二人はお別れしなければならないのでしょうか…?
それに、関川さんの脳裏にちらつく過去の女性の影は、一体?
美少女との甘〜いデザートのようなキュンキュンラブコメかと思いきや、切ないほろ苦スパイスも加わって、胸がギュギュッと締めつけられてしまいます。
関川さんと色音との関係はどうなるの?
驚きのラストまで、ぜひご賞味くださいませ。
大きな感動が待っています!
ラストが素晴らしいお話は、それだけで得をした気分になるモノ。
そして、そこへ盛り上げていく作者様の力量は、他の作品でも実証済み!
この作品は飯テロでありその描写は勿論素晴らしいのですが、飯テロが第三者の食欲を刺激して苛ませる行為というのなら、実はこの話は恋愛テロも同時進行で行われていると言っても過言ではないでしょう。
第3者=読者の恋愛感情を刺激し、主人公とシンクロしながら恋をし愛に悩む。
そんなお話に心と舌が感銘を受けました。
ラストは、ぜひ、手嶌さんの歌で盛り上がりながら泣きましょう!
どうぞ、ご一読を!
どの世界でも見習いというのは経験が乏しく、良いものを肌や味などで感じたりして成長していくもの。天使の業界もそれは同じだ。良い行いを「徳」として積み上げ、一定のレベルに達したら見習いというステージからステップアップする。色音と称した見習い天使は、プロの料理人「だった」関川に拾われた。
苦い経験をし、人にも自分の料理の腕にも疑心暗鬼だった関川は、拾った色音の天真爛漫さに昔の恋人を重ね、次第に心が解れていく。同情に重きを置いていた最初の気持ちも、自分の料理を食べてもらうことで、次第に愛情へと変化し自分の料理の腕にも再び自信がついてくる。この変化が色音にとっての「徳」だった。
見習いからプロへと変わろうとする終盤は必読。閉ざされていた関川の心が開いた瞬間も必読。読み終えた時は、天使の手にするリュートの「音色」が脳内で奏でられることでしょう☆