”アイ”に満ちた世界に幸福あれ……。

誇大妄想患者が抱く夢のような世界に思わずクラクラとしてしまった。崩壊の一歩手前で危うく踏みとどまる文章である。肥大していく”アイ”で世界は秩序を失うどころか融解していくのである。この作品の主人公は決して特別な存在ではない。それがまた、恐ろしい。奇妙な味わいだが核心をついていた作品だったと思った。

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