部屋

シカンタザ(AIのべりすと使用)

部屋

僕は元総理大臣と元総理夫人と一緒に謎の部屋に閉じ込められているらしい。

「どういうことなんだ?」

僕はつぶやきながらあたりを見回した。白い壁に囲まれた正方形の部屋だ。床や天井、ドアや窓といった開口部はない。家具や調度品も見当たらない。部屋の中央にダブルサイズのベッドが置いてあり、その上には僕が横になっていた。

僕は起き上がってベッドの端に座ってみた。やはり何もない空間である。試しに壁を叩いてみると、コンコンという音がした。

「いったい何が起きたんだ……」

僕は頭を抱えた。

「ようこそ」

突然、声をかけられたので驚いて顔を上げると、そこには女性が立っていた。

「君は?」

「私はこのゲームの案内役です」

女性は言った。

「これは夢か?」

「いいえ、違いますよ」

「じゃあこれは現実だとでもいうのか?」

「いいえ、違いますよ」

「じゃあなんなんだよ!」

僕は叫んだ。頭が混乱してきた。

「これは『ゲーム』です。私たちの遊び。あなた方がやるべきことです」

「ふざけるな! 俺は帰るぞ!」

そう言って立ち上がると、女性の姿はかき消えた。

「くそっ……なんだったんだ今のは……」

僕は頭を振ってため息をついた。どう考えてもおかしい状況だが、他に手がかりもない。さっきからずっと黙っている元総理夫妻に声をかけてみる。

「あの……大丈夫ですか?」

「……」

二人とも返事がないと思ったら、バタバタッと倒れてしまった。慌てて駆け寄ると、元総理夫妻は眠っているようだ。呼吸している様子なのでほっとする。

少しすると二人は目を覚ました。僕は事情を説明した。元総理夫妻はお互いの顔を見てうなずいたあとで元総理が話し始めた。そして驚くべきことを告げた。

「私たちはもう死んでいます」

「……どういうことでしょうか? おっしゃっている意味がよく分かりませんが……」

「言葉通りの意味ですよ。私たちは既に死んでいるんです」

元総理は淡々と言った。僕は信じられなかった。

「そんなバカなことが……」

「あるんですよ」

「じゃあここは死後の世界ということですか?」

「まぁそういうことになりますね」

元総理はこともなげに答えた。

「そんなわけないでしょう。私はまだやりたいことがあるんです」

僕は叫んだ。しかし元総理は首を横に振るだけだった。

「残念ですけどそれは無理ですね」

「なぜですか!?」

「この世界では時間という概念がないのです。あなたにはこれから死ぬまでここで暮らしてもらいます」

「嫌だ! 私は帰りたいんだ!」

「申し訳ありませんが、それがルールなんです」

「そんな……」

僕はその場に崩れ落ちた。元総理は僕を無視して話をする。

「とりあえずはこんなところでしょうかね。後はよろしく頼むよ」

元総理がそう言うと、元総理夫妻は消えていった。

「待ってくれ! お願いだから行かないでくれ!」

僕の叫びもむなしく、二人の姿は完全に見えなくなってしまった。一人残された僕は途方に暮れていた。これからどうすればいいのだろう……。

しばらくして、誰かの声が聞こえてきた。

「こんにちは」

どこかで聞いたことのあるような声だ。姿を探して見回すと、部屋の中央に置いてあったベッドの上に一人の男が座っていた。年齢は二十代後半くらいだろうか。整った顔立ちをしている。男は微笑みながら話しかけてくる。

「君の名前は?」

「名前なんてありませんよ。あなたこそ誰なんですか?」

「私はこのゲームの案内人だよ」

「ゲームだって? ふざけてるのか!」

僕が叫ぶと、案内人は肩をすくめた。

「まぁそう思うよね。でも本当なんだ。君はこのゲームに参加してもらうことになっているんだよ」

「どうして俺達が参加する必要があるんだ」

「それは言えないよ。ゲームに参加するかどうかは君が決めればいい」

「……」

僕は考えた。もしこのまま家に帰れないとしたら、どうなるんだろうか。不安に押しつぶされそうになる。とにかく今は少しでも情報が欲しい。僕は質問してみた。

「ここから出る方法はあるのか?」

「ないね」

「本当に?」

「うん」

「嘘じゃないな?」

「もちろん」

「じゃあそのゲームというのはどんなものなんだ?」

「そうだな……ざっくり言えば、ここにある謎を解くっていうシンプルなものだね」

「その謎というのが分からないんだけどな……」

「それを考えるのも含めてゲームなんだよ」

「……」

結局、それ以上は何も分からなかった。僕は仕方なく部屋を調べ始めた。壁や天井、床やドアなど、あらゆる場所を叩きまくったが、どこからも音はしない。家具や調度品もない。ヒントになりそうなものは何一つ見つからなかった。

それから数時間後、僕は疲れ切ってベッドの上で横になっていた。何も見つからないまま時間が過ぎていく。

「クソッ……」

思わずつぶやいた時だった。

「やぁ」

いつの間にか、目の前に先ほどの男がいた。

「なっ……お前、どうやってここに入ってきた?」

「それは秘密」

「ふざけるな!」

「そんなに怒らないでよ」

「いいから早く出て行け!」

「はいはい」

男は姿を消した。

「なんだったんだ……」

僕はため息をついた。再び壁や天井を叩いてみるが、やはり反応はない。ふと気がつくと、部屋の中央に何かが落ちている。拾い上げると、それは小さなノートだった。ページをめくってみると、そこにはこう書かれていた。

私は総理大臣としてこの国を導いていかなければならない立場にあった。しかし、私にはできなかった。

私にできたのは、国民を騙し続けることだけだった。

私は、この国の指導者として失格だ。

それでも、私はこの国が好きだ。愛していると言ってもいい。

だからこそ、私は私のできる最善のことをしたいと思う。

それが、せめてもの罪滅ぼしになると信じて。

そういえば、妻も私と同じ気持ちでいると言っていた。

妻は私よりももっと大きな責任を背負っていたはずだ。

きっと心細いに違いない。

私が支えてあげなければ。

そう思って、私は妻の様子を見に行った。

すると、妻は泣いていた。

「大丈夫かい?」

私が聞くと、妻は涙で濡れた目を向けた。

「えぇ……大丈夫よ」

「無理をすることはない。辛い時は頼ってくれ」

「ありがとう。でも大丈夫よ」

妻は笑った。しかしその笑顔はどこかぎこちなく見えた。

ノートの文章はこれで終わっていた。どういう意味なのかよく分からなかったが、おそらくは元総理夫妻のことについて書いたものだろうと思った。他にも何かないか探索を続けることにした。すると、ベッドの下に古びた箱を見つけた。開けてみると、中には古い鍵が入っていた。僕は迷わず手に取った。そして、元総理夫妻の部屋へと向かった。

元総理夫妻は相変わらずベッドに座っていたが、少し様子がおかしかった。二人は寄り添うように抱き合っていたのだ。僕は話しかけようとしたが、なぜか言葉が出てこなかった。しばらく二人を見つめた後、僕は部屋を出た。元総理夫妻はもう僕には興味がないようで、こちらを見ることはなかった。

その後も、僕は様々な部屋を見て回った。どの部屋にも不思議な装置のようなものはなかった。

「こんなことなら、さっきあの男を捕まえればよかったな……」

そう思ったが、後の祭りだ。仕方がないので、僕はベッドで横になった。

どれくらい眠っていただろう。目が覚めると、ベッドの上に男が座っていた。

「やぁ」

「またお前か」

「お腹減らない?」

「減ったけど……」

「じゃあこれ食べて」

男はパンを差し出した。僕は素直にパンを食べた。

「はい、ごちそうさま」

「どういたしまして」

「それで、今度は何の用だ? いい加減教えてくれよ」

「それは言えないね」

「ふざけてるのか?」

「もちろん」

「……」

「そんなに怒らないでよ」

「いいから答えろ」

「しょうがないなぁ。ヒントをあげるよ」

「ヒントだと?」

「そう。まず、君はここに来る前に、とある人物に会っているはずなんだ」

「ある人物?」

「思い出せないかな?」

「全然分からない」

「まぁいいや。とにかく君はある人に会ったんだよ」

「誰なんだ?」

「それは秘密」

「おい!」

「まぁまぁ落ち着いて」

「誰なんだ?」

「それも秘密」

「なんなんだ一体……」

「でも、その人は君にとって大切な人だよ」

「ますます分からないぞ」

「ま、頑張って」

「クソッ……」

「そろそろ時間みたいだね」

「待て! まだ聞きたいことがある」

「ダメだよ。それじゃ」

「くっ……」

そこで僕の意識は再び途切れた。

次に目を開けた時、僕は見知らぬ部屋にいた。周りを見ると、先ほどまで一緒に行動していた仲間たちの姿があった。僕はほっとした。

「みんな無事か?」

そう声をかけると、全員がこちらを見た。

「はい、大丈夫です」

と言ったのは右沢という男。

「問題ないわ」

これは河野という女

「平気っすよ」

これは浦賀というちょっとチャラい男

「心配ない」

これは嘉納という武骨な男。

全員の返事を聞いて安心した。

「ここはどこでしょうか?」

右沢が尋ねる。

「分かんないな……」

僕が返事をすると

「扉はありますけど、開きませんよね?」

浦賀が扉をガチャガチャ触る。

「うん。窓もないし……」

僕が答える。

「壁は壊せないよな」

嘉納が壁に手をつく。

「そうですね。脱出は不可能ということですか」

「多分そうだな」

右沢の言葉に僕が答える。

「困りましたねぇ……」

浦賀が言うと、突然ドアが開いた。入ってきたのは、あの男だった。

「出たな!」

僕が叫ぶと、男はにっこりと笑った。

「やぁ、こんにちは」

「お前、本当に何者なんだ?」

「言ったでしょ? 僕はこの世界の案内役だって」

僕の問いに笑顔で答える。

「お前の目的は何だ?」

「目的?別に、僕はただの案内人だからね」

「ふざけるなよ!」

僕が激昂すると

「ふぅん……じゃあ、これでどうかな?」

男は右手を前に突き出すし、何かを唱えた。すると、男の手に拳銃が現れ、銃口を向けてきた。誰も動くことができなかった。

「動くなよ。死にたくなければね」

僕たちは言われた通り、じっとしていた。しかし、誰も何も言わなかった。しばらく沈黙が続いた後、男が口を開いた。

「さて、ここでクイズです。僕が持っているのは何でしょう?」

「…………拳銃だろ」

僕が答えた。男は満足げに笑った。

「正解。じゃあ、次は僕が今何を考えているでしょう?」

「分かるわけないだろ!」

僕が叫ぶと

「簡単さ。僕は君たちに死んで欲しいと思ってるんだ」

「なっ……」

パンパンパンパン……銃声が響き渡ると、僕以外の仲間が血を流して倒れた。

「うわあーっ!!!」

僕は悲鳴を上げた。

「君にだけは助かるチャンスをやろう」

男が言うと、床に穴が空いた。僕はそこから下に落ちていった。

「助けてくれぇっ!!…………はっ!?」

目が覚めると、僕はベッドの上にいた。心臓が激しく動いていた。

「夢か……」

汗をかいていた。着替えて、シャワーを浴びた。気持ちが落ち着くと、僕は仲間たちに電話をかけた。電話に出たのは、右沢だけだった。他の皆は出てこなかった。右沢に事情を話すと、彼は驚いた様子でこう言った。

「実は私も同じような悪夢を見ていました」

「本当かい?」

「はい。私がいた部屋にもあの男が現れました」

「そうなのか?」

「はい。私の場合は、そのあと殺されてしまいました」

「……」

「私は必死に逃げ回りながら、何とか脱出しようと試みました。でも、結局捕まってしまって……」

「そうか……」

「すみません。せっかくの手がかりを……」

「気にすることはないよ」

僕は右沢と一緒に仲間のもとへ訪ねたが、彼らは誰一人として僕の話を信じてくれず、逆に僕が変人扱いされてしまった。

「どうなっているんだ? これは一体どういうことなんだ?」

僕は頭を抱えた。

それから数日が経った。仲間たちは相変わらず僕を無視し続けていた。右沢は毎日のように彼らのところへ行ってくれたが、状況は変わらなかった。ある日のこと、右沢から連絡があった。

「今日も皆さんに会ってきましたが、やはり私の話をまともに聞いてくれませんでした」

「そうか……」

「それで、明日もう一度彼らに会いに行くのですが、あなたも来ますか?」

「ああ、行くよ」

僕は右沢と共に仲間たちのところへ行くことにした。

翌日、右沢とともに仲間の家を訪ねてみると、そこには見知らぬ男たちが待っていた。

「あんたらは?」

僕が尋ねると

「我々は警察の者です」

と言って、警察手帳を見せてくれた。僕たちは事情聴取を受ける羽目になってしまった。この日を境に僕と右沢と他の仲間は完全に断交状態となり、二度と会うことはなくなった。あれは夢、ただの夢だったことにしておこう……。

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