異世界ポテト辞典
ポンデ林 順三郎
異世界ポテト辞典
■目次
01.ジャガイモ
02.サツマイモ
03.サトイモ
04.キャッサバ
05.ヤマイモ
06.ナガイモ
07.コンニャクイモ
■01.ジャガイモ
ジャガイモの歴史は他の芋類と並べれば比較的浅い。
現在ジャガイモを主食としているのは中央大陸西側にある複数の
人食いの猛獣を駆逐した功績で、時の皇帝により西部の荒野に封じられたジャガースレイヤー男爵家。
その二代目が発見し、栽培方法を確立させたのがジャガイモ、あるいは男爵芋と呼ばれるポテトである。
農業に不向きな荒野でも安定した収量を得られるジャガイモは、当時のジャガースレイヤー男爵領に隣接する地域から徐々に広まったとされる。
帝国が分裂し、ジャガースレイヤーの血が絶えた現在でも、現代に至るまでジャガイモの名と彼らの逸話は残されている。
主な調理方法は焼く、蒸かす、茹でる等。
他の食材と合わせても味が喧嘩をしないため使いやすく、ジャガイモを主食としない地域でも副食や軽食用の食材として好まれる。
■02.サツマイモ
サツマイモは、主に
地上の
主な調理法は焼く、蒸かす等。
甘さが強く、簡単な調理で安全に食べられる。
文化的にサツマイモを主食とする地域以外では、その甘さから甘味として扱われることが多く、主食としては受け付けられない者も多い。
名前の由来は、これを食べた
干からびた土地でも育つことから、カライモと呼ぶ地域もある。
■03.サトイモ
人類が最初に出会ったポテトはサトイモ(タロイモ)だと言われている。
世界各地、様々な種族の国家において主食とされているが、最もサトイモの生産量・消費量が多いのは
名前の由来は、山で育つヤマイモに対し、人里で栽培されることから。
象獣人のサト氏族が広めたからとする説は誤り。
タロイモはポテトを意味する古語「タロ」が由来であり、こちらも犬獣人のタロ氏族とは無関係。
主な調理法は煮る、煮っ転がす等。
カレーに入れても美味だが、大抵の芋はカレーに入れても美味。
■04.キャッサバ
一部の
異種族間での交流、つまり各種族が異文化圏の芋を認識するまで、ほとんどの芋は単に「芋」を意味する各地の古語で呼ばれていた。
キャッサバも同様だが、この「キャッサバ」という言葉自体は生食時の食感が由来。
死んだ大蛙の腹を
主な調理法は製粉してパン状に加工する等。
現代ではタピオカとしてミルクティー等に入れられる場合が多い。
■05.ヤマイモ
野生種しか存在しないため、これを主食とする種族はないが、山間部では広く食材として活用されている。
人里で育てていたサトイモに対し、文字通り山で育つ芋という意味でヤマイモの名を付けられた。
病人のための流動食として、ヤマイモを擂りおろした「とろろ」を用いる風習は「
主な調理法は焼く、擂りおろす等。
皮膚に付着すると強い痒みを催すことから、拷問具として用いられる地域もあるが、使用後は無駄にせずきちんと食べることが国際法で義務付けられている。
■06.ナガイモ
蛇人が信仰する蛇の神にもたらされた食材として「ナーガ」と呼んでいたことが名前の由来。
文字通り「長い芋」が由来だと勘違いされる場合が多いが、大陸共通語の「
ヤマイモの一種ともされるが、一般的なヤマイモと違って粘り気が弱く、農地での栽培にも適している。
かつては他種族の間で「蛇人の前でナガイモをヤマイモと呼ぶと殺される」とも言われていたが、若い世代ならば実際に手を出されることは比較的少ない。
ただし多くの蛇人国家ではナガイモ・ヤマイモを意図的に呼び間違えたり、誤った表示を行った場合は、重大な違法行為と定められている。
主な調理法は焼く、煮る、擂りおろす等。
生のまま叩いて細胞を潰し、酢の物やサラダとして食べることもある。
■07.コンニャクイモ
魔芋という別名の通り、以前は
かつて、サツマイモを食べただけでショック死した、という話が生まれる程に魔人の食料事情は厳しかったが、当時の主食がコンニャクイモ。
強いえぐみを持つため、食用にするために極めて複雑な手順を要するが、食材としての熱量はほぼゼロであり、食べれば食べるほど空腹になるという代物だった。
主食にすること自体が現実的ではないのだが、大気中の魔素を取り込んで生命維持が可能な魔人は、主として「胃を膨らませるため」に調理したコンニャクイモを食べていた。
魔人国家にも他ポテトが流通するようになって主食の座は譲ったが、現在でも副食の食材や、減量食品として愛されている。
独特の風味、そして名前の由来でもある食感が癖になる、魔人のソウルフード。
主な調理法は擂りおろしてお湯を入れて練って寝かせて薬剤を混ぜて練って型に入れて固めて茹でる等。
異世界ポテト辞典 ポンデ林 順三郎 @Ponderingrove
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