あとがき

ごちそうさまでした ~あとがきに添えて~

 【Hell's Kitchen関川】

 閉店のお時間となりました。


 お味の方はいかがでしたか?

 確かな腕をもったシェフたちによる、バラエティーに富んだ料理の数々。

 きっと美味しく召し上がっていただけたものと確信しております。

 もちろん支配人であるわたしも、個性あふれる料理の数々、たっぷりと堪能させていただきました。


 自慢するようで恐縮ですが、このレストランの良いところは腕のいい料理人が多数在籍しているという一点に尽きます。

 しかもこの料理人たち、心底料理をするのが好きで、人が食べて笑顔になるのを見るのが好きで、そのためには努力を惜しまない愛すべき職人たちです。

 そんな彼らが作り上げた料理ですから美味しいに決まっています。


 さて今回召し上がっていただいたコース料理『ハーフ&ハーフ』は支配人であるわたしがテーマを設けた上で料理と順番を指定するという、一風変わったものでした。

 シェフのみなさんは普段、自分のキッチンで腕を振るっていらっしゃるのですが、今回はテーマあり指定ありで、勝手が違いさぞかしご苦労されたことと思います。


 ですが普段とは違った料理が多数登場したのはわたしにとってはもちろんのこと、料理人の皆さんにとっても得るものが多かったのではないかと思います。

 またこうして【Hell's Kitchen関川】にて一堂に会していただき、自慢の腕を披露するばかりでなく、いろんなジャンルの料理人たちと知り合い、交流を深められたこともきっと皆さんの糧になったと思います。


 世の中にはいろんなレストランがありますが、こんなコース料理を出す店もなかなかいいものでしょう? そしてわたしが何よりうれしいのは、このコースをより楽しんでもらうために料理人の方々それぞれが盛り上げようとしてくれたこと。いろんな料理を食べあい、その感想を伝えあう。言葉にして伝えてきた。これがわたしにとってはなにより大事で、うれしいことでもありました。


 ほら、「ごちそうさまでした」の一言だけとか、無言のお客様もいらっしゃいますからね。たまには率直な言葉の数々を聞いてみたいものでしょう? そんな自由な雰囲気がこのレストランに流れていた、それこそがわたしにとっての栄誉なのです。


 加えて言うなら、与えられた食材をテーマに、料理人たちの巧みな技術によって、いろんな料理が生みだされてゆく様は本当に素晴らしい時間でした。また末席ながらわたしも参加させていただき、コースの組み立てや料理のことを考える時間は本当に楽しいものでした。悩んだり、行き詰ったりと苦難続きではありましたが、それを打開した後のうれしさ、最後まで書ききった感動などもありました。

 そういう意味でもご参加していただいたシェフの方々には感謝しております。


 ちょっと口上が長くなってきましたね。

 さて最後にこのレストランの名前の由来を。


 皆さんにご提供した料理の数々は見た目も美しく、味わい深いものだったと思います。しかしその一皿を作るキッチンはバタバタと大忙しです。みんな口には出しませんが、時間に追われ、アイデアに悩み、何度も試行錯誤を重ねてと、その苦労は計り知れないものです。しかも容赦なく次のテーマが毎週のように発表されていきます。


 たぶん料理人の皆さんはこのキッチンを常々こう思っていたに違いありません。


 ……このキッチンはまるで地獄のようだ……


 まぁそんな気持ちを代弁して命名したわけです。


 ということで、あらためて料理人の皆さんには最大の感謝の気持ちを。


 大変な日々だったと思います。

 たくさんの苦労があったと思います。

 そんな中、たくさんの美味しい料理を作ってくれてありがとう。

 どの料理も本当に美味しかった。


 たくさんの感動と美味な物語の数々、ごちそうさまでした! 


 【Hell's Kitchen関川】

 支配人 関川二尋

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ハーフ&ハーフ2 ~飯テロ編~ 関川 二尋 @runner_garden

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