第3話 優等生の詭弁

 「あらら~始まっちゃったね」

 少し遠くに見える校庭には案の定、血溜まりが2つ出来ていた。

 プププ、笑っちゃうね。二人とも悪い子なんだから。

 「そうですねー」

 俺の横で音ゲーに熱中している高校生は、無関心そうに口にした。

 「葛城はさー、俺のボディガード兼召使い何だからさー、もっと…こう、こうさぁー、意欲的に頑張ってよ~」

 我ながら語彙力と表現力が欠落したセリフだと思うが、音ゲーマスターには、そう悪くないように伝わったのか、満点の笑みでこちらを見てきた。きっキモい。

 「そうでしたね!僕は坊ちゃんのボディガード兼召使いですもんね!まいったな~こりゃ、坊ちゃんのお父様に給料上げてもらわなきゃなー」

 「結局金目当てかー。俺はお前のこと好きで雇ってるっていうのにさぁ」

 「何言ってんですか、坊ちゃん。あんたは僕のこと嫌いだろ?」

 …笑えてくるよ。嫌いなわけ無いだろ、お前みたいな愛が足りない空っぽ君は。お前みたいな劣等生は。

 「うん!嫌い!大嫌い!でも…俺のために必死に頑張ってくれたら、きっと好きになるよ!」

 「わかった…わかったよ!僕、坊ちゃんのために頑張るから!」

 君の濁った瞳には、何もかもが本当に見えていただろう。でもね、俺は絶対に君のことを好いたり、愛をあげたりなんてしない。もし、愛情なんて君にあげてしまったら、きっと君は、俺よりも上に成ってしまう。劣等生じゃなくなってしまう。

 そんなのイヤだからね、葛城。

 「それじゃあ、始めようか。楽しい、楽しい、ゲームをね」

 そして、俺は放送開始のスイッチを押した。






 



 

 

 

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劣等生の虚言 八二羽 敦 @raise0830

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