強烈に心に迫ってくる、すさまじいパワーのある作品でした。
物語はまず「エピローグ」として、ある昔話の結末から語られます。一人の老婆が赤ん坊の頭を食らい、そのまま鬼婆と化して行くというもの。
そこから舞台は現代へと変わり、スミコという老婆が孫の誠一と二人で過ごし、鬼婆の話を物語として語ってあげる場面となります。
一見、穏やかに暮らしている二人だったが……
その後の展開はもう、「どうなってしまうのか」とハラハラするもので、ひたすら怖いもの見たさに導かれて先を読む感じになりました。
じわじわと、そして急速に壊れていく日常。その先で起こる衝撃の事件。そして見えてくる真実。
読む者の心を激しく揺さぶる、鮮烈にして強烈な一作です。