第6話 ネクストステージ

 はながなんやかんやで屋上立ち入り権を獲得した日の夜、空人そらとはそれはもう困惑していた。


 まあ、当たり前である。自分の中の揺るぎない事実が間違っていたのだ。それはもうショックだろう。

 考えてみてほしい。ミッ○ーの中には人が入っている。こんなことを言われたら、ショックで2日ほど寝込んでしまうだろう。

 それが、空人に起きていた。



 空人は一度思考をリセットし、作戦を練り直すことにした。


 まず、屋上に普通に立ち入りできるとなった場合、他の生徒に、ラブコメ展開でいちゃいちゃしているとこを見られてしまうかもしれない。

 これだけは、避けるべきだろう。色々と面倒くさくなるだろうと空人は考えるが少し思いとどまる。

 

 考えてみてほしい。アオでハル、ラブでコメな展開において、屋上にもっと人がいる方が自然ではないだろうか。二人きりで広い屋上にポツンと座るとは少々寂しくはないだろうか。

 そうなると、当然人が必要になってくる。しかし、何も知らない人では野次馬になりかねないので使えない。だからと言って、部員で何とかしようとしても、人数が少なすぎるし、なにより友一ゆういちに気付かれてしまう。

 ということでやはり、一般の人に見ない振りをしてもらう他ないだろう。ただし、高校生が素直に言う事を聞いてくれるとは限らない。中には、一緒に歩いている男女を見るだけで「リア充○ね!」などと言うやからもいる。


 さぁ、そこで諸君。考えてみよう。人を思い通りに動かすにはどうしたらいいだろう。


 答えは簡単!


 金である。


 空人は自室で財布とにらめっこした後に、とても深く落胆したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ラブコメ部(非公認)の広報 いと @ito_3830

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ