異世界に転移したから、好きなことをして過ごす

あずま悠紀

第1話

ジャンル:異世界ファンタジー

タグ:異世界転生.主人公最強.剣と魔法.戦記.美少女.ライトノベル.ハイファンタジー.バトル

タイトル:「異世界に転移したから、好きなことをして過ごす」

タグ:ハイファン,ハイクオリティファンタジー.異世界,異世界転移/転生,勇者召喚.主人公最強.剣と魔法.恋愛/友情.ほのぼの

あらすじ:現代に飽きた主人公が突然現れた女神に導かれて異世界へ。そしてその世界でやりたい放題しながらスローライフを送るお話。異世界モノではありますが、いわゆる"異世界転生系"の作品とは異なります。主人公はあくまで現代で死んだわけでも死んでしまったわけでもありませんし、前世の自分も記憶にはあります。またスキルを貰ったり特別なアイテムを持って転生したということも無く、あくまでもそのままの形でこの異世界へとやってきました。


本文:

「んっふふ〜♪ 今日はなんとも幸先のいい日じゃのう〜」

(なんかいきなり気持ち悪い口調だな)

私は心の中でそんなことを考えつつ目の前の人物を見た。目の前にいる人物、見た目は人間ではあるが背中からは羽が見えることから間違いなく天使と呼ばれる存在なのだと思う。まあ私も神様だし似たようなもんだが、それに関しては今は置いておくことにしよう。それよりも問題はこいつが何故こんなところにいるかということである。ここは天国ではない、ましてや現世でもないのだ。普通ならばこんなところで出会うことなどないはずであるのだが、目の前の存在には確かに私が見知った雰囲気を感じた。つまりこいつもまた―――。

「どうしましたか? 急に押し黙ったりニヤニヤしたり、少し気味が悪いです」

目の前の存在は私の態度に眉を潜めているようだった。私はそれに構わずじっと見つめる。しかしどれだけ見てても分からないものは分からないものだ。私は諦めるととりあえず会話をしてみることにした。

「お主、本当に何者じゃ?」

そう聞くと相手はキョトンとした表情をしたのちに微笑むと答えた。

「何者かとは随分な言い方ですね。私の名前はガブリエルと言います、よろしくお願いします」

(あーやっぱりそっかーってあれ、名前聞いてないぞ。っていうかなんで自己紹介とかしてるんだ?)

私が頭を抱えていると再び声をかけられてしまった。どうもこの世界において、相手の言葉を無視するのは良くない事らしいなと思いながら顔をあげる。するとそこにはこちらに向かって両手を伸ばしてきた姿があった。

「な、なんですか?」

思わず後ずさりすると目の前の存在はそのまま笑顔でこう言った。

「握手をしましょう!」

(えっとこれはあれだろうか? はよ手を取れってことなのか?)

そう思いつつも仕方なく差し出した手を握った瞬間だった。体の中に何かが流れ込んできたと思ったら、次の時には既に体が勝手に動いてしまっていた。そして気づいたときにはその体はもう動きを止めようとしなかったのだ。

(ちょっ!これってマズくないか!?おいちょっと待ってくれぇぇ!!誰か助けてくれぇ!!!)

「はい、そこまで」

パチンという音とともに手が離れたと同時に私の体に異変が起きる。まるで水の中に飛び込んだかのように呼吸が出来なくなり、次第に視界もぼやけていった。必死にもがくも一向に改善される気配はなくそのまま私の意識は完全に落ちてしまったのである。

==

(んぁ?)

気がついたらそこは見知らぬ場所であった。いや正しく言えば見たことがある場所であるのだが、少なくとも今までいたところとは異なる場所ではある。そして私はそこで目が覚めたわけだが、なぜか全身がとても痛かった。

「あぎゃぁぁ!!」

あまりの声の大きさに驚いて自分の体を見てみる。するとどういうわけなのか腕がないではないか、そして腹からは内臓と思われる物体が垂れ下がっている始末だ。私はパニックになりながら辺りを見渡すも周囲には誰もおらず助けなど呼べるはずもなかった。

(う、ウソウソマジか。冗談じゃないぜ全く。こんなんありえるか、どうなってんだよ一体)

私は泣きそうになる自分をなんとか押さえつけ冷静になって考えることにした。まずはこの場から脱出しなければどうにもならないだろうと考えたからだ。しかしながら現状私は指一つ動かすこともできない状況だ。仮にできたとしてもそんなことをしたらこの場にある血の海はさらに広がってしまうことになるかもしれない。そうなればますます状況は悪くなる一方である。私はとにかくここから出ることを最優先にするべく体をどうにかして起こそうと努力をする。

「うぐぅ、いてててっ。ちくしょうめ」

(くそっ、どうしてこうなった)

しばらくするとどうにか動くようになってきたので、その流れのまま移動を始めることにした。

それからしばらく歩き続けようやく部屋のようなところにたどり着いた私は愕然とする事になる。そこには私の下半身であろうものがあったからである。その衝撃から私はその場へと座り込んでしまったわけだがすぐに立ち上がることとなる。なぜならそこには見覚えのあるものが鎮座していたのだ。それは紛れもなく天使が手に持っていた剣であった。私は恐る恐る近づき鞘の部分に触れる。

「まさか、俺がこいつを抜く時が来るなんてな」

そんな独り言を言いつつゆっくりと引き抜いていくとそこには美しい刀身が姿を現した。それを目にした途端、私の中に不思議な感覚が生まれてくる。それがなんであるかを考える暇もないままに私はそのまま一気に振り上げ、目の前にいるものへ斬りつけた。

すると私の意志を汲むようにその一撃はいとも簡単に天使の腕を切り落とすことに成功したのだった。

それからはもうあっけないくらいの出来事だ。私が一息つく間に天使の姿は既に原型を止めぬ程にまで切り刻まれていた。そして気がつけば先ほどまでの傷も嘘のように消えており服さえも元に戻っていた。

「あ〜びっくりし過ぎて疲れちゃったわ〜」その場に倒れこむ私だが、それと同時にまた別のことが起きていることに気づいた。

『経験値を獲得しました』

そんな音声と共にまた新たな力を手に入れたようだ、それに伴って私のレベルもかなり上がっていることだろう。まあいざとなったらステータスでも確認すればいいか。それよりも今の私がやるべきことはたったひとつだけだ。私は再び立ち上がると、そのまま扉を開け廊下へと歩み出た。そこにはやはり見慣れたものたちがいるようだった。しかしそこにいたものは私が知っている存在ではなかった。

(な、なんだこいつらは?)

「あ、あー! やっと目をさましてくれたんですねー!」

そう声をかけてきたのは大きな斧を持った少女だ。そしてその後ろには巨大な槍を持つ大男もいるようである。

「おお、ようやく起きたか、心配させるんじゃない」

私は二人の言葉に違和感を感じつつ会話を試みる。

「すまないな。しかしお前達はいったい何者だ?ここはどこなのだ?」

そう聞くと今度は大男が答えてくれる。

「ここは我の神殿の地下室なのだ、だからここは安全である」

私はそれを聞くと周りを見る。そして確かにここに来る前のあの空間とは雰囲気が違った。ここは間違いなく現実に存在するものであの部屋ではない。私は改めて目の前に立つ者たちの顔を確認する。目の前にいるのは明らかに人とは思えない風貌をしており角まで生えている、おまけに背中には大きな羽のようなものが見えるのだ。間違いなく人間ではない、そして私はこの状況で導き出される可能性を考えた。そう、こここそが私が望んでいた場所であるのではないかということだ。そして目の前の存在は私が目覚めるまで守ってくれたという可能性も考えられる。もしそうであるならまずは感謝を伝えなければならないな。そう思い私は声をかけた。

「そうか、それはすまなかった。しかしおかげで助かったよ、ありがとう」

そういうと二人は何故か不思議そうな顔をした後、少し嬉しそうな顔をしながらこちらを見つめているようだった。

しかし次の瞬間だった。

突然後ろで物音がしたのでそちらを振り向く。

「あ、ごめんなさい!」

そう言いながら現れたのは、小さな妖精であった。

その日俺は、朝起きてすぐにある事に気づいた。そう、お弁当を作らなければいけないということに。

(あーどうしようか。今日から新学期だって言うのに寝坊するだなんて最悪過ぎる。とりあえず今からでも出来ることをやるしかないか)

俺は台所へと向かうと、いつものルーティーン通りお湯を沸かし、その間に冷凍庫を漁る。そこからいくつかのおかずに使えそうなものをいくつかチョイスするとフライパンで軽く焼き始める。そして火加減を調整しながらも並行して冷蔵庫から野菜を取り出すと適当に刻んでボウルへと入れる。そうこうしている内に沸いた鍋に刻んだ材料を入れ炒め始め、同時にコンロ下の棚をあけるとある容器を手に取る。そうこれはお袋直伝のレシピである、いわゆる男の肉じゃが作ったもやつである。これがあれば昼まではもつだろうと判断すると火を止めると同時にお湯も止めてお茶を飲む。これで準備完了、あとはいつものバッグを持っていくだけである。

(あーどうせ遅刻だっていうんであればいっそサボるか? いや、駄目だ駄目だ、さすがに二日目になると教師の目がきついし。というか、そもそも初日をどう過ごすかも重要なんじゃないか? うん、きっとそうだ)

結局、いつもの時間に登校することにした。そうして家を出たものの、さすがに早すぎたのか誰の姿もない。とりあえず校門の近くへ行くもまだ開いていた。どうしよう、とりあえず中に入ろう。そして職員室に顔を出して挨拶でもしよう。それからは始業式の後にクラス替えがあるはずだからそれに期待しよう。

そう考えた俺はゆっくりと歩き始めたのだが、しばらく歩いて気がついたことがあった。この学校はどうも広すぎる。まるで迷宮みたいな造りになっていて、未だに校内図が手に入っていなかったりする。なので、こうやって迷う生徒がいるのだ。そして、そんな生徒が一人いるせいか先生達が巡回をしていたり、案内板が設置されていなければ完全に迷ってしまうような作りになっている。そんな学校の中をゆっくり歩けるというだけで俺はワクワクしていた。しかし、こんな状況では誰かと出会うという事もなさそうだったので俺はさっさと階段を使って上へと行くことにする。するとそこには見たこともない景色が広がっていた。どうやら最上階にまで到達したらしい。そこは屋上になっていたわけだが、俺はここで初めて他の人間がいることに気がついた。それも俺と同じ学生服姿である。

(あれ? うちの生徒なのか? というかなんだか様子がおかしい気がするけど大丈夫なのか?)

その人は屋上の端っこに立っており何かブツブツ呟いているように見えるが距離があってよく聞こえない。しかしなんにせよ、このままここに居たら見つかる可能性がある。そう思った俺はすぐに下へ降りることにした。その時だった。その人物がいきなり飛び降りたのである、いや正確には飛び降りたように見えただけだったのだが。しかしその行動を見て思わず俺も後を追っていた。

そうして着地したところへ駆けつけるとその人間は何かを大事にしているようだったのだ、それが何かはすぐに分かった。その人間の足下に落ちていたそれは間違いなく"人の腕であったからだ"しかもそれだけではない、落ちた腕の他にも明らかに人骨と分かるようなものも落ちていた。俺の頭に様々な疑問が浮かんだが今はとにかくこの人を安全なところへ移動させないと危険だと思った。

(こんな場所に放置するのは絶対にマズイだろ)

そんなことを思っていると急に声を掛けられた。

「ねえキミ、そこで何をしているの?」

(え? ちょっ!? な、なんだよコレ)

その言葉に俺は心臓を鷲掴みされた気分になり、一気に冷や汗が流れ出してきた。そんな状況に追い打ちをかけるように声の主はその正体を表してしまったのである。

「キミ、この学校でこんなことをするような子はいませんでしたよね?」

(なっ、この声はまさかっ!)

「なあ、アンタもしかっして――」

「はい?」

俺は恐る恐る声の主に問いかけてみた。そして予想は当たっていたらしく、そこにはやはり俺が良く知っている顔があったのだった。

その少女の名前は神無月沙耶、学校の中でもかなりの人気者で容姿もスタイルもよく勉強もできる。おまけに優しく明るいため男子からの人気は絶大で、当然女子からも絶大な支持を得ていたわけだが、俺はなぜかあまり良い印象を持てずむしろ避けていたぐらいであった。その理由としては、あまりにも完璧な人間過ぎて苦手意識があったというのもあるがそれ以上に憧れのような感情を抱いていたというのも大きかったのかもしれない。そんな俺が何故声をかけようとしたのかと言うと、実はある秘密を抱えていたからだ。そう、彼女もまた俺と同じように特殊な能力を持っていたのである。しかしそれは誰にも言えずにいた。そんな時に彼女は現れたのである。

そんな事を考えているうちにその女は一歩こちらへと踏み出す。すると突然、俺は無意識のうちに後退していたのである。

『経験値を獲得しました』

そのアナウンスが流れたのとほぼ同時に俺は動き出した。そしてそのまま走りだすも、既にその姿は見えなくなっていた。その瞬間だった。

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

そんな音声とともに体が軽くなった気がしたのだ。そしてそのまま走り続けた俺は校舎を飛び出していた。そうしてしばらく走るも、あの気配は一切感じられなくなっており諦めることを決意した時だった。

『おめでとうございます。スキル【隠密】のレベルが上昇しました。

【隠密】がレベルアップしたことにより、パッシブスキルの効果が最大まで引き上げられるようになります。また、アクティブのステルスフィールドを習得可能となります。ただし、アクティブスキルは使用不可です。またパッシブの消費魔力は10分の1となっており、またレベル上昇時の必要SP量は1/2となります。

【隠密】がLv.8に達したことにより、職業【忍び寄る者(スニファーマン)】の転職が可能になります。しかし、現在の職業は転職後も引き継がれるため選択の優先度は低いでしょう。それではお疲れ様でした。またのログインをお待ちしております』

そんなアナウンドが流れてくる。そしてそれを見終わる頃には俺はもうその場にはいなかったのである。

「な、なんだって言うんだ」

思わず声に出してしまったが、俺はとりあえず目の前にいる相手に集中しなければならなかった。

(こいつは何者なんだ? 天使じゃないことだけは確かだ。それじゃあこいつはいったい何だって言うんだ?)

「おい、いい加減答えてもらおうか」

すると相手から反応があった。

「い、いひひ」

「なんだ?」

「やっと会えたよぉ」

そう言いながらそいつは不気味に笑う。

(やっと見つけたんだからぁ、絶対に離さないからねぇ)

(ようやく見つけることができました。私を召喚した方)

私が目を開くとそこにはとても美しい顔の少女が立っているのが見えてきた。しかしそれと同時に、私の体は自由を失い金縛りにあったかのように動けなくなってしまったのだ。そして次の瞬間には、目の前の少女から光が放たれたかと思うと私の全身を包み込んでしまった。すると次の瞬間には私の体は完全に変化してしまっていた。私は突然の出来事に混乱しながらも必死にもがくも、自分の意思とは関係無くその場から移動することが出来ないようだった。しかしそれでも私は抗うことをやめようとはしなかった。

「うぐっ!」

突如体に激痛が走ったかと思えば徐々に私の体の感覚が消えていき始める。その事実に耐えられなかった。

(嫌だ、嫌だ、嫌だ! 誰か助けてくれ、誰でもいい、お願いだから俺を助けてくれ!)

そしてついに私の魂までもが失われようとしていた。そしてその刹那の事であった。私の耳に何者かの声が届く。

(大丈夫ですよ)

(えっ?)

しかし再び激しい頭痛と共に意識を失うことになるのであった。

(ん、ここはどこだろう?)

俺は目覚めると同時に体を起こそうとしたのだが何故か動かなかった。というより何も見えなかったのでどうなっているのか全く分からなかった。

しばらくその場でもがいていたが無駄だということが分かったので再び寝ることに決めた。

(まあ別にいっか。今日は特にすることも無いわけだし)

俺はそんな事を考えつつ、少し眠ろうと思っていた矢先、不意に頭に声が響いて来た。

『ステータスを確認して下さい』

(へ?)

俺は驚いて声のした方向を見たものの、どうやら姿は見えないようである。俺は仕方なく指示に従って確認する事にした。

(さて、どれどれ?

名前:神崎隼人

L V:1

種族 :人間

年齢 :17

状態:疲労困迫

HP:25/25

MP:15/100

攻撃:4

守備力:2

敏捷性:45

精神力:247

幸運:703

ジョブ :忍び寄る者(スニファーマン)

固有スキル 闇夜の帳、暗視、潜伏、罠感知&解除 ユニークスキル 強奪 おお、結構な数値になっているようだ。特に体力が尋常ではないぐらい減っていた。それに攻撃力と守備力が妙に高い気がするな、それと固有スキルっていうのが増えているけどどういうことだ? そして気になることがあるとすれば"年齢"と"状態"だ。俺が気になったのでそこを選択してみるとこうなった。

年齢

:17歳

健康状態:健康備考欄にはこう表示されていた。

(え? いやちょっと待て? どう見ても俺が高校生に見えるか? こんなに若かったっけ? というかこれどう考えてもおかしくね?)

どうなってんだ? もしかするとこれは夢なのか?

『いいえいいえ、現実です。あなたは死にかけたことによって一時的に時間を巻き戻すことに成功したのです』

(ああ、そうなのか。そうなのかそうなのか)

うん。やっぱり理解できねえ。しかし俺が助かる道は他に無かったのは間違い無いだろう。

『さてこれから説明させていただきます』

(はい! ぜひお願いします!)

俺の願いを聞き届けてくれたその声の主によって今この場での状況を教えてもらったのであった。まず俺は死んだ。しかし、この場に女神のような人がやって来て何かをしたおかげで俺の命は助かったそうだ。そしてその結果、俺は時間が戻ることで"死にかけの状態になった"という扱いになり、その状態でこの場所に来る事で"時間を遡れるように変化した"のだとかなんとか言われた気がしたがいまいちピンと来ていない。とにかく、この人は俺を救ってくれたという訳らしい。しかし、そこで一つ疑問が生じたのだ。(あれ? そう言えば俺の年齢はどうして変わったんだ? もしかして若返ったのか? 俺の見た目も変わっているのか?)

俺はそう質問をしてみたところ意外な回答が得られた。

(いいえ、変わってはいませんよ。ですが変わったと言えばそうなるでしょうか)

(え? でも実際こんなに若いわけでしょ?)(はい。その辺については順を追ってご説明させて頂きます。あなたの体は既に本来の寿命よりも長い年月を過ごすことになったため細胞が老化を止めてしまったようですね。そしてそれに伴い体力などの身体能力が著しく低下している状況です)

なるほど、よく分からないがそういう事なわけか。それならば一応の辻妻は合っているかもしれない。だが本当にそうなんだろうか? もしそれが真実であるのならあの謎の現象は何だったんだろうか、そして俺はなぜ生きているんだ。俺はあの時間違いなく確実に死んだはずだ、そしてそれは目の前の存在も知っているはずなのだ。しかし彼女は俺が生きていることを知っている。つまりは俺が死ぬ前に何らかの介入が行われたのだと考えれば納得できる部分もある。

そして俺が次に気になったのはこのスキルについてだった。この【スキル一覧】というのはどうやら俺が使える全てのスキルが載っているようでかなり詳細まで見ることが出来る。そしてそこに俺が見たことも聞いたこともないような名前のスキルがズラリと並んでいた。しかし俺はそれを見る限りではある一つの結論に至った。そう、俺の持つ【忍び寄る者】がレベルアップしていたのだ。

(なあ、俺のレベルは上がっているのか?)

『いいえ、残念ながらその点は変化は見られませんでした』

(そうなのか。レベルが上がったりとかは無いんだな?)

『はい、残念なことではありますが』

(分かった。ありがとう)

俺はとりあえず今はレベル云々の問題を考えるのは後にして、この場にいる少女から事情を聴くことに専念した。しかしどうもこの人はあまり自分の意思を表に出さない性格をしているらしく中々本題を切り出してこないのだった。俺はしばらく黙って待っているとようやく彼女が話し始めた。そして俺は驚愕の事実を聞かされることになった。

「実は私、死んでしまったんです」

(はい、はい? 何を言い出すんだ?)「ですからもうじき私は成仏してしまうんです。そして、その後には恐らく新たな転生者が呼び出されてしまうことになるでしょう」

(はぁ、なんだよそりゃ)

「それで私にはどうしてもやり遂げなければならないことがあります」

(へぇー、それはどんな?)

「はい、私はもう一度勇者召喚を行う必要があるんです」

(え? そんな事が出来るの?)

「出来るというか、もう出来てしまいましたから」

(へぇ、そんなものなのか)

俺は思わず関心してしまい、目の前の少女を見つめる。しかし当の本人であるはずの彼女の顔色はどんどん悪くなっていき今にも泣き出しそうな顔になっていった。

(ちょ、ちょっとそんなに落ち込まないでくれよ)

「だ、だってもうすぐ消えちゃうってことですよ?」

(そんなこと言われても)

俺が何て声を掛ければいいのか迷っていると目の前の少女は再び俺に対して話しかけてきた。そしてその瞳から大粒の涙がこぼれ落ちたかと思うと次第に消えていき始めた。そして最後にはその姿形も無くなってしまったのである。

(おい、どうすんだコレ! このままじゃ俺も消えるんじゃないか?)

俺はそう思ったのだが、しばらくすると再び同じ場所に光の柱が現れたのだった。俺は慌ててその方へと向かっていくと案の定そこには少女がいてこちらを見ると安心した表情を見せていた。

そして再び俺の脳内に例の声が聞こえてきた。

(良かった。まだ居たんですね)(あぁまあ今のところは)

俺はそう答えるしかなかった。

(それよりも、もしかしてさっきの話は本当だったの?)

(さ、さあ? どうなんでしょうかね? それより私には時間が無いみたいなんですよ。だから早くあなたに私の後を引き継いで貰わないといけないのです)

(そんなこと言われても困るんだけど。俺にはそもそも君の姿が見えすらしないんだよ。君は俺のこと見えてるの?)

(ええ、見えていますよ。それにあなたにも私のことが見れるようになると思いますよ)

(え? そんなことが可能なのか? でもどうやって?)

(私の固有スキルの中に【忍び寄る者(スニファーマン)】というものがありますよね?)

(え? もしかして俺が習得してしまったというアレ?)

(その通りです。そしてそれを貴方に譲渡することが出来たとしたのならば見えなくても声だけは届くようになる筈です)

(そうなのか、やってみるか。ところで名前を聞いてなかった気がするけど、俺の名前は隼人だ。あんたは?)

(ああ、自己紹介が遅れていましたね。私の名は"ルミエル"といいます。宜しくお願いしますね、隼人さん)

(うん。宜しく)

こうして奇妙な関係ではあるものの、互いに名乗り合うことで俺達は協力することになった。しかしそんなやり取りをしている間にまたしても時間切れとなってしまったようだ。俺は先程と同じようにその光柱に吸い込まれるようにして意識を失ったのであった。

俺は意識を取り戻すと同時にすぐに周りを確認するために起き上がった。しかしやはり俺はまた意識を失ってしまっていたようだ。しかもさっきとは状況が違うことにすぐ気づいた。俺はさっきと違ってちゃんと自分の体が動かせるようになっている。それどころかステータスの確認も出来るようになっていた。俺は早速ステータス画面を開くとそこには予想していなかったものが表示されているのを確認した。"称号

:異世界転移者

効果 :この世界に新しく訪れた者に与えられる恩恵"とあったのだ。俺はそれに驚いていたが、とりあえず気になるのはその次だ。この効果は俺が元の世界に戻ってこれなくなる代わりにこの世界に来てから死んだとしても死に戻りが出来るようになるとのことだった。そして最後に、俺には【強奪】のスキルが既に備わっているということ。俺はそれを知ったとき、ついニヤケてしまったのは仕方ないことだと思う。

(よしっ!)

そう思ったのにはわけがある。なぜならこの強奪というユニークの固有能力があまりにも凄いからだ。

(なあ、あんたが言ってたことはどうやら嘘じゃ無かったみたいだよ。お陰で色々とやることも出来たしさ。感謝してやるよ)

俺はそう呟くとその場から立ち上がって歩き出した。すると少し行った先で人の気配を感じ取ることができた。

(なんだ?)

そして警戒しつつ近付いて行くと一人の少年が木の下で眠っていることが分かった。そして俺はそいつに駆け寄って顔を覗き込んだ瞬間だった。

俺は突然背後に強烈な殺意を感じて咄嵯に身を翻したが一歩遅かったようで俺の腕が何者かに切り落とされたのだった。俺はすぐさま回復薬を取り出して腕に振りかけたが、完全には傷が塞がらないままその男は剣を鞘に納めると、そのままどこかへ歩いて行こうとしていた。その男の姿を目に留めていた俺であったが、やがてその背中に向かって声をかけることにした。

「おい!お前!」「ん? どうした? まさかさっきの攻撃が効いたか? それとも今更逃げる算段でも考えたか? まあいい、どうせ逃げられねえんだ諦めて大人しくしろ」

俺はその言葉を聞いていたがどうやら俺の言葉が耳に届いていないようである。

俺はどうするか悩んでいたが、ふとその男が俺に対して何かを問いかけてきている事に気がついて言葉に耳を傾けることにした。しかしその質問は要領を得ず、意味の分からないものだった。しかしそれでも何かを訴えかけていることだけはすぐに分かったので取り敢えずその質問に返事をしてみようと思った。

俺はその質問に対して適当に相槌を打ちつつ話を聞こうとする。しかし、どうもその男の話が終わりそうに無いと感じたので質問に答えることで会話を終わらせるようにした。するとようやく男に言葉が通じるようになり、なんとか会話が成立するようになったのである。

俺はとりあえず話を聞くべく場所を変えたいと言ってみたが、男は俺の言葉など意にも介さずに再び斬りかかって来た。そして今度は首筋を斬られるかと思われたが寸前の所で避けたので何とか助かったものの肩口の肉が大きく裂けてしまったのであった。

(くそっ)

そこで俺は完全にこの目の前の男が俺を殺しにきている事を確信したのである。

(このまま殺されるくらいなら奪うぞ! 【強奪】!)

俺はそう思いスキルを発動させると、相手は何故か急に攻撃をやめてその場で膝をつくと苦しみ始めた。

俺はチャンスだと思い【再生】のスキルを使用した後に、相手の体から武器を奪うことに成功したのである。

【名 前】

カグヤ 【種 族】

エルフ 【職 業】

戦士 【年 齢】

162 【LV】

20 【HP】

5600/5600 【MP】

4500/4500 【SP】

6400 【加 護】

武神ノ王 風神之女王 【スキル】

片手剣術3LV、弓術7Lv、投擲8Lv、身体強化魔法10、火属性適性、土属性適性、光属性適正、精霊契約、精神耐性 俺の目の前に現れて俺を殺そうとしたのは女でエルフの剣士である。

「まさか本当に勇者だとでもいうのか」

彼女はそう口にしながら立ち上がるとこちらを睨んできた。俺はそんな彼女を見ながら俺が聞きたいのはそんなことじゃないと思いつつもまずは彼女が何者でなぜ俺を狙っているのかについて聞いておくべきと判断したのである。俺はこのタイミングを逃せば二度と話が出来なくなってしまうような焦りを覚えてとにかく彼女に事情を説明して欲しいと告げたのであった。

俺は彼女の口から出てきた勇者という言葉に反応を示したが、俺自身がまだその勇者として召喚されたのだという自覚が無いせいかいまいち信じられずにいたのだった。しかし彼女が次に語った話は到底信じることが出来なかったのだが、それと同時に目の前の女の目的も大凡理解することになってしまったのだ。

彼女はかつて自分が仕える王家のために異世界の人間達を使ってとある実験を行ったという事を話し出した。それは勇者という特殊な能力を持つ者達を呼び出して使役するというものだった。しかし、呼び出すことには成功したのだがその力が暴走してしまうという事態が発生したらしいのだ。しかし結果として異世界から来た人間達に力を封印する方法を見つけることが出来たのである。その方法を編み出したのはかつて異世界からの来訪者によって力を与えられたという聖教国の現国王であるということだった。そしてこの国は俺達が現在向かっている王国なのだと説明を受けたのである。

(それで、結局どうしたいんだよ)

俺はそんな疑問を心の中で抱いていた。

俺がそんなことを思っているうちに俺の頭の中にはいくつかの情報が流れ込んで来ていた。その中には彼女が言った"王族直属親衛隊隊長"だという事が分かるステータス画面が映し出されたのである。

その事実を知った俺は、先ほど彼女が言ったことは本当だと思ってしまう。なぜなら俺もステータス画面にそんな称号が表示されるようになっているからである。しかしそうなってくると余計に分からないことがあった。

(じゃあ、俺にどうして攻撃を仕掛けて来たんだ?)

そんなことを考えながら彼女を見ていたのだが、その答えはすぐに明らかになった。

(俺を殺さないと不味いんだったら最初から殺しとけば良かったじゃないか)

俺はそう思うとその理由を聞いてみることにする。

すると返ってきた言葉はとてもシンプルだった。つまり、この世界に存在する全てのスキルを手に入れるという【覇王の天啓】を持っている人間がこの国に現れたのが問題だということらしい。しかし、そんなものを手に入れてどうするのかという問いには答えてもらえなかったが、俺にとってその質問はあまり重要ではなかった。重要なのはこの世界のどこかにあるとされる聖杯を探し出す手伝いをしてほしいということである。そしてそれを行う上で邪魔な存在を始末する必要があるとの事だったが、それを承諾した時点で俺に選択権はなかったのだ。俺は気がつくと了承の返事を口にしていた。

すると突然、彼女の姿に変化が生じたのである。

その変化はまるで彼女自身が発光しているように見えるほどのものであった。

光が徐々に収まると俺の視界に入ってきたのは美しい少女の笑顔だった。

その笑みに見惚れてしまい、俺が動けないでいるとその美しい顔で微笑んでいた彼女が口を開いた。

(ありがとうございます。では早速ですが私は貴方に【偽装】を掛けました。なのでもうすぐその効果は切れるでしょう。そして私の正体が他の方に知れてしまう可能性があります。しかし貴方がその能力を誰かに知られないようにしてくだされば特に問題は起きないはずです。もし知られた場合は速やかに対処して下さい。私の名はアテナです。貴方の未来が良きものであることを祈っております。それでは失礼しますね)

その声は脳内に直接響くようでいて、はっきりと聞こえるような奇妙な感じだった。しかし俺が何かを言う前に、俺の中に残っていた僅かな魔力までも奪われていくのが分かり俺は意識を失うのだった。

(ああ、ちくしょう。俺の【隠蔽】スキルは一体どうなってるんだろう)

そして俺の思考は再び暗転していったのである。

俺が再び目を覚まして周囲を見渡す。

そこはどこかの宿屋の一室のような場所で窓の外には朝日が見えることから朝だと思われる。

俺はゆっくりとベッドから出るとその部屋を出て階段へと向かうことにした。

俺の記憶は途中でぷっつり途切れてしまっている。そして俺は気を失ってしまっていたようである。

(あれからどのくらい時間が経っているんだ?)

そんなことを思いながらも、とりあえず俺は外の状況が気になっていたので窓から覗くようにして外の様子を伺う。

すると俺はすぐにとんでもない状況になっていることに気がついてしまった。

そうここは既に王都に着いているらしく俺の部屋の周囲には兵士が何人も待機していてとても出歩ける雰囲気では無かったのである。俺は少し迷った後、部屋に戻ってくるまでに起きた出来事を思い出すことにした。

まず俺は王城の門番にギルドカードを提示して王城に入る手続きを済ませた後、謁見の間にて俺が呼び出された理由についての説明を受けることとなった。そこで語られた話は驚くべきもので俺は驚愕するしかなかったのである。

その話によると俺の予想を遥かに超えるものであって、この世界で俺だけがこの世界に来る前と同じ状態で存在していたという事だった。俺にその自覚が無かったのは、どうやらこの能力のお陰であり俺はこの世界の人達とは違った状態、すなわちこの世界の人達がスキルと呼んでいる能力の一部を所有していなかったのである。それが原因で召喚される前の状態に戻ったのだというのだ。それを聞いた俺は思わず苦笑いを浮かべたが同時に安心感を覚えることとなった。何故ならこのスキルがあったからこそ俺はこの世界にやって来た訳だし、その恩恵を受けていないならわざわざこんな所に呼ばれるわけがないと思っていたからである。しかしだからといってこのまま放置されていたとしたら俺は間違いなく殺されることになっていただろう。というのも俺は召喚の際に膨大な力を与えられているが、この力をコントロール出来るようになるまでは基本的に無害認定されているのだ。だからこそこうして生かされてるだけであって、もしもこの国に危険人物認定された場合には、容赦なく処分対象になってしまう可能性が高かったのである。俺はそう考えつつも、目の前の人物の話がどこまで信用できるのだろうかと考えるのであった。

(まずいぞこれは本当に俺が勇者として呼ばれたという可能性が高まってきてないか? だってそうだろ!)

俺はそんな事を考えて、俺の頭の中にあるスキル【言語翻訳】について考える。これのおかげで俺とこの国の人間とでは会話が成立するようになっていたのは間違い無い。しかしそれ以外の部分については俺と彼らとの認識に大きな差があるようなのだ。その最もわかりやすい例は彼らの言葉だ。彼らは日本語ではなく、聞いたことのない言葉で話してくるのだ。しかも、俺の言葉もこの国の人たちに通じるようになっているのでこの国の人が話していることを理解しようと試みれば理解できるようにもなっているが、それでもまだ分からないことだらけである。

俺は目の前に座っているこの国の第一王子を名乗る男性に、俺の言葉がこの世界の共通語であると教えられるのだが、その情報から推測されるのはどう考えても目の前の男が嘘をついているようにしか思えなかった。しかしそのことについては詳しく聞くことは出来ないのだ。なぜなら俺に対して何らかの警戒を抱いているこの男が簡単に口を割るとは思えなかったからだ。しかし仮にそのことが真実であった場合、俺は自分の立場が非常に微妙なものになりかねないと判断して慎重に言葉を選ぶようにしながら話をすることにしたのである。

そうこうしている内に、その部屋に数人の人間が集まってくる。そして最後に現れた女性が今回の呼び出しの責任者の王女だということが分かった。俺は改めて王女の姿を見ると非常に綺麗だと感じる。金髪で色白な顔立ちをしていて青い目をしていたのである。年齢は俺よりもかなり若く見えた。

(俺が高校生の時にクラスにいたアイドルに似てるかもしれないな)

そんな感想を俺は持つのだが、彼女の姿を見ているとある一部分が凄まじい違和感を放っていることに気づいた。そのせいか、俺の中でこの女は俺に近づいて欲しくないという謎の感情が湧き出てきた。そんなことを考えている間に彼女は俺に向かって挨拶をするのだった。しかしそれに対して俺はどう返答すべきか悩んだのだった。

そしてその後、彼女は自分のことを【聖女のアリア】と名乗り俺のことを呼んだのだった。その瞬間、目の前にいる彼女が勇者として選ばれたという事を知ったのだ。それは俺にとっては信じられない事実ではあったが、しかし同時にどこか納得できてしまう自分もいたのである。何故なら俺は、その力を手に入れるための試練をクリアしたからこそこの場に立っていたからなのだ。俺はそれを証明するために、彼女にステータスを見せて欲しいと告げると素直に見せてくれることとなった。そしてそこに書かれていた内容は衝撃的なものとなる。

(何だよこいつの強さは)

そこには彼女の名前が記されていた。【覇道の女神 アリシア】それが彼女の名前らしい。俺のステータス画面にも同じような内容が表示されているが明らかにレベルが違う。それにステータスがおかしいのは俺も同じだが、俺の場合は全ての数値が100固定になってしまっていてそれ以外は全て0表示なのである。そして俺の場合、全ての項目の数値が上昇しても1に戻るようになっていたのだ。しかし、俺の場合はそもそもレベルアップをしていない。だから俺の能力は初期化されていなくとも成長しないということが分かってしまった。そしてステータスを見ている間、彼女がじっとこちらを凝視していたことに気づいて俺はその視線を受け止めることにしたのだった。

それから俺と聖女は互いに名を名乗った後に握手を交わした。そして俺はステータスを確認するが、彼女の方が上だと思ってしまうと俺の心の中がモヤッとし始めるのだった。

聖女の話を聞いていくとどうやら聖杯が隠されていてそれを捜索して欲しいと頼まれることになる。俺は正直この話を信じていなかったが、しかし俺は自分が今現在どんな立場に立たされているのかを考える。

俺は元の世界では一般人だったが、今は違う。俺は【偽装】というユニークスキルを持ってしまっているので既にただの村人とは思われないだろうし、それどころか普通ではない扱いになるだろうと思われた。

そうなってくると今後、何か面倒なことに巻き込まれたり巻き込まれたりする可能性が十分に考えられるのだ。例えば勇者召喚などが行われていた世界において、聖杯探しなんてものが存在するなら当然、その価値はかなり高いはずなのである。

しかし、今の俺はこの世界に知り合いがいるわけでもないので、そこまで焦って行動に出る必要も無いので俺はとりあえずはこの国で生活してみて様子を見るという事に決めたのだった。

そんな事を考えていると突然、部屋に兵士が飛び込んで来たのだった。そして、兵士の一人が慌ただしく報告すると、この国の姫様は慌てて立ち上がると兵士達を連れて部屋から出ていったのだった。すると俺の部屋に残っている兵士が俺に向かって口を開いた。

(お前はここに残れ。そして俺の質問に全て答えてもらう)

「いいですけど、何を話せば?」

俺は一応確認を取ると相手から帰ってきたのは想像していた通りの回答だった。

しかし、俺は相手のことを観察しているとその表情が強張っているのが分かった。しかしその理由はわからない。

俺のことを見つめながら固まっていた男はやがて俺を睨みつけると何か言いかけた。しかしその前にドアが勢いよく開く。その先からは一人の男性が入ってきたのだった。その男を見て俺は驚き、同時に心の底からホッとした。

そう俺の前に姿を見せたのはこの国で一番の権力者である国王陛下だったのである。俺は緊張して背筋を伸ばすが陛下は優しげに微笑むと話しかけてくる。

(そちは勇者殿じゃな? わしがアルフォンスの父親でこの国を治めておる。よろしく頼むぞ。そして、そなたに聞きたいことがあるのだよ)

その言葉で一気に緊張感が増す。俺は一体どのような事を聞かれるのだろうと戦々恐々としながらも俺は答えることにする。

(はい、俺が確かに勇者であります。それで一体、どのようなご用件でしょうか?)

俺がそう言うと、今度は国王の後ろに控えていた側近らしき男が俺の方に近寄ってきて手に持つ手紙を差し出してきたのである。

俺が戸惑っているとその人物は、

(まずはこれを読むが良い。話はそこからだ)

そう言われて俺は黙って従うことにした。俺が手紙を開くと中にはこの国の王都に屋敷を用意するからそこへ引っ越して来るようにという内容が書かれていたのである。その文章には王城に住むという事も可能と書かれているので俺は思わず顔を上げるが、そんな事をすれば後で困る可能性があるため俺は渋々承諾するのであった。

俺は王都の屋敷へと案内されながらもこの国に来た理由を思い出す。それは俺が勇者として召喚されたからである。そして、この世界で魔王が復活したという話を聞かされた。だからこそ俺はここに来ていたのだ。その話によればこの世界が危機に晒されるということだったので俺も協力しようと思いこうしてやってきたわけである。しかしそこで新たな問題が持ち上がってきたのだ。俺が召喚された際に得た力は、この世界の住人にとっては危険すぎるものであるとのことだった。そこで俺は自分の力を封じる手段を見つける為に冒険者として活動することを決めるのであった。そしてその方法を探すためにもこの国でしばらく暮らすことになるのだ。

ちなみに、この国の王族の殆どは俺の力がどれほど危険であるかという事が分かっていないようで特に心配されることも無く俺はこの国に住まう事になるのであった。

それから数日後、俺が王宮内にある食堂で昼食を食べようとしている時にいきなり部屋の中が暗くなった。俺は何が起こったのかと思い振り返るが誰もいないのである。しかし、俺はその原因がすぐにわかった。俺の座る席の真後ろにある壁の真ん中から光が溢れ出したからである。俺がその光に見入っていると徐々に光の量は減っていく。完全に消えてしまう直前、俺の視界の端を人影のような物が横切る。俺はすぐに振り向くとそこにはこの国のお偉いさん達が並んで立っていたのである。

彼らは俺に視線を向けると代表である王子が一歩前に出て俺に語りかけてくる。その表情は何やら期待に満ちたものであったのだ。

俺が何を話したら良いか悩んでいると彼らは俺の向かい側の椅子に座ったので俺もつられて着いて行くことになったのである。そして王子が俺に言葉を投げかける。

(私は第一王子のアルフレッドだ。これからは気軽に話し掛けて欲しい。そして私の方もそなたの事を呼ぶときはアデルと呼ばせてもらいたいのだが構わぬだろうか?それと出来れば、そなたも我々のことをファーストネームで呼んでもらいたいと願っている)

その言葉を聞いた俺は、内心どうしたらよいものかと迷ったがここで断るとまた色々と問題になりそうだと思い素直に従うことにしたのである。

俺は彼らのことをファーストネームで呼ぶようにした。

すると彼らもそれを受け入れるような態度を見せてきたので俺はひと安心する。そうして俺が食事を取ろうとしたところで突然俺に向かって何かが落ちてきたのである。

それはナイフのように見え、そして俺は何故か避けてはいけないという衝動に襲われてそれを避けることができなかったのだ。

その何かが刺さる瞬間、誰かが俺の名前を呼び、そして何かを叫び声をあげるのが聞こえたのだった。

そして、目の前にいる男に俺は呆れた視線を送ると彼は顔を真っ赤にしながら叫ぶ。

「どうして避けるんだよ! こう、かっこよく決めようと頑張ったんだから褒めてくれても良くないか!」

俺は目の前に立っていた金髪の美少年に文句を言う。そんな俺達の様子を周りにいた人々は不思議そうに見ている。そして目の前の金髪の青年が俺に向かって話を続ける。どうやら彼の名前はカインと言うらしい。

彼の言い分によると、俺が勇者であることを知らしめるため、そして俺に勇者という特別な存在であるということを認識させるためにこうしたパフォーマンスをしたのだという。

そしてそれは成功しており、周りの者達は拍手をしている。俺の頬はピクピクと痙攣を起こし始めていた。

俺は今の状況を理解するのを諦め、ただただ早く終わってくれと祈っていた。

そんな状況の中で俺は先ほどから妙な気配を感じ取っており、その正体がこの国の騎士だということが分かっていたのだ。

騎士の鎧は銀色を基調としており、全身を覆うようにできているフルプレートと呼ばれる物を装備している。

そして俺は彼が俺の事を鋭い視線で見つめていることにも気がついていた。そしてこの場の異様な空気を感じた他の人々が困惑したように騒ぎ始めてしまう。そのことで余計な注目を浴びてしまうことになってしまったのだ。

俺は溜息をつくと同時にカインに対して少し説教をすることにしたのだった。

(あのな、そんなのはやりすぎだって言うことは分かるよな?)

(いやーそれほどでも)

(おい待て褒めてるんじゃねえぞ?いい加減にしないと俺にも考えがあるんだぞ?)

(はいぃ)

俺が笑顔で言うと途端におとなしくなる。その姿をみた周囲から笑いが起き始める。しかし俺は全く気にしていないかのように振る舞うと、俺はカインの肩を掴むとその場を去ろうとする。

すると一人の女性が近づいてくる。

「お待ち下さい」俺はその声を聞いて足を止める。しかし俺は彼女を無視して立ち去ろうとした。しかし彼女が再度話しかけてきたことによって俺達の会話が始まるのだった。

「勇者様のお名前を聞かせてもらえないでしょうか?」

俺はその言葉に嫌々ながらも返事をする。

しかし、俺はその質問に答える前にまずはこの男から離れようとしたのだ。しかし俺の体は思うように動かずに固まってしまう。

そんな俺の様子がおかしかったのか女性はクスリと笑みをこぼす。

それから俺達は自己紹介をしていく。

その女性の名はレイリアといい、この国の貴族の娘だということが分かった。俺はとりあえず、彼女に名前を教えるが、彼女は何かを考えるようなそぶりを見せると俺のことを見つめてくる。

俺は一体何を考えているのか分からないがとにかく早く解放してくれと心から願っていた。しかし俺はそこで驚くべき言葉を耳にする。

(では勇者様の事をカイさんとお呼びしてもよろしいでしょうか?)

俺としては正直どうでも良かった。なので俺は好きにして良いと言ってしまう。その事で周囲の人々も納得してしまったようで、俺がこの場から立ち去る事は叶わなくなってしまった。そうこうしているうちに俺は先程、食事を取っていた場所へと戻ってくることになる。そして俺は諦めるしかなかったのである。

俺はこの国を脱出するために色々と計画を立てることにした。

そしてその作戦を実行に移そうと動き始めたところで先程の銀髪の女性が現れるのであった。

その少女はゆっくりとこちらに向かって歩いてきた。俺の隣に座っていたカイも何かに気がついたように彼女の方を見て驚くと慌てて立ち上がった。

(おいアデル、こっちに来ても良いぞ。それと俺はお前に謝っておく必要があるみたいだな)

その言葉に一瞬首を傾げるが俺はあることに思い当たる節が見つかると急いで立ち上がるのであった。そう、今の今まで俺は完全にこの国の人々が何者で俺のことをどのように思っているかを考えていなかったのだ。俺の事を勇者と呼ぶ者も居たがそれ以外の人達はその言葉を信じずに無視したり、時には石をぶつけてくる者もいた。俺はそれが普通の事だと思ってしまっていたがそうではなかったようである。俺はそれを察して焦りを覚えた。しかし今はそれよりも重要なことがあったのである。そう俺にはこの場でやるべきことがあるのだ。

そして俺は立ち上がり彼女と対面することになったのである。

俺が座ったままだと目線的に不自然だったため俺は仕方なく椅子に座り直したのである。そんな様子に気づいたカイが驚いたように話しかける。

(えっ?ちょっとアデルどうしたんだよ。俺の方に来ればいいのに。それにレイちゃん、こいつがここに来た時も何も言ってなかったよね。なんで黙ってるの?)

(あっ、ごめんなさい、カイ君、私が呼んだんです)

(どういう事なの?)

(それはですね、まずはアデルさんの事をお父様に紹介しようと思ったのと、あとは、この人が本当にこの国の勇者なのかを確認したかったのです。だからこの方を呼び出すことにしたのですよ。この方、実は結構強い力を持っているみたいなんですよね、ですから私の護衛になってもらうためこの方を呼んだわけなんです)

俺はその話を聞いて頭を抱えたい気持ちになる、しかし、もう既に遅いのだ。そう思いつつも、まだ希望を捨てきれない俺がいるのである。俺は必死に打開策がないものかと考えていたのだが結局答えは出ないままである。そんな俺を他所にレイリアは話をつづけた。

(私の名を教えていなかったですね。私の名前はアルフォンスと言います。これからよろしくお願いします)

俺もその事に異論はなく普通に受け入れた。そこでふと思う。この人は何が目的でこんなところにまで来たのだろうか。そもそも、なぜ俺の名前を知っていて尚且つここに呼び寄せたという理由が知りたかったのだ。俺は彼女に聞くことにした。

俺がそのことを話すと彼女もその理由を話し始める。その説明を聞くと、彼女はこの国の第三王女で俺を召喚した張本人である事が分かった。俺が疑問点を指摘すると彼女もそれに同意する。そして最後に、俺の力が欲しいという事が伝えられた。その話を聞いた瞬間、俺は悟った。この女、完全に目的が違うじゃねえかと。

その言葉の意味を問いただしたところで、俺はさらに頭が痛くなる事態に気づくのである。

(あのなぁ、そんなのに俺を巻き込まないでくれるか?俺はそんなのに関わるつもりはないぞ。というか今すぐ帰らせてもらえるか?)

(えっと、それは難しいかも。あなたが勇者であるということが証明できなければ私は帰ることはできないと思います)

(それに関してはどうなんだ?お前も知ってるとは思うけど俺はただの一般人で特別な存在ではないんだが)

その発言を聞いて、俺は自分のことを特別視しろと言っているようなものであることに気づくが後の祭りである。そして俺はそんなことを言ってしまった後でどうすればいいのか分からなくなっていた。するとそんな俺に助け舟を出してくれた人物がいた。そうカイだ。彼もまた困っていたような表情をしていたのだが、俺の方を向いて言ったのだ。

(確かに俺は勇者かもしれないが俺はアデルの力になりたいと思っているし守りたいと思っている。でも、アデルがそれを望んでくれないと俺は行動に移せないな。そしてもしそうなればアデルとは離れることになるだろうな)

そんなことを言うと俺を見つめてきた。そして俺は思わず顔を背けてしまったのだった。

俺がカイとそんなやりとりをしている最中にも彼女は話し始めていた。その内容は要約すると、俺を正式に勇者として迎え入れるために、一度城へと連れていきたいということである。

そして俺は、この場に留まっていてもいいことは何も無いと気づき始める。そのため、俺は仕方なくついていくことにする。すると彼女は少し嬉しそうに微笑むとすぐにその笑顔を消し去り俺に向かって話しかけてくる。

(それで、カイ君の方はどうですか?勇者の仲間になって貰うのはダメですか?)

俺はその問いかけに対して、俺が口を出すより先にカイが答えるのであった。

その返答は当然のように断られるものだった。

(俺はアデルと共に旅をしたいと思っているんだ。それは俺の夢でもあるからな)

(そう、分かりました。では残念ですが、今回は仕方がないと言うことで、この話は無かったことにさせて頂きましょう。そして今回の呼び出しの件については、この方の勇者と言うことが本当であれば改めてお願いすることになるでしょう。その時こそはぜひ仲間に加えて欲しいです。それまではこの方を勇者と信じる事ができなかったと言うことだけは許して欲しいのです。そしてこれは私のわがままな願いになってしまうのだけど、どうか、この人のことを信じてあげてください)

そんな事を言うとカイはなぜか驚いていたようだが、その後に納得してくれたようで俺のことを見ていた。しかし、俺はそんな事を気にせず、とりあえずは、この場から離れるのが最善の策だろうと決めてしまうと、その提案を受け入れたのだった。

そして、その事をレイリアに伝えようと振り向くと、彼女は先程までの真剣な態度ではなくどこか柔らかい印象を受けるようになった。しかしそれもほんの一瞬で、次の瞬間にはまた鋭い視線になっていた。俺は、その変化に少し困惑しつつも、彼女と一緒に部屋を出ていこうとする。しかし俺はカイに話しかけた。

「なあカイ、少し話がしたいんだ。いいか?」

カイは俺の言葉に何か感じ取ったようで俺に耳を貸してくれる。俺はカイに対して、カイだけが信用できる人間だと伝えると、この国を出た後のことを色々と確認することにした。そして一通りの確認を終えると俺は彼女の後に続くようにして廊下に出て行くのだった。

レイリアの後ろをついて歩いていると俺はとある部屋にたどり着く、その部屋の扉は重厚なつくりとなっており、簡単に侵入を許すことがないとわかるような作りになっていた。レイリアはその部屋の扉の前に立つとノックをする。しかし返事が帰ってくることはなかった。

(このお父様の部屋には、誰も近づかないように言いつけておいたのですがまさか勝手に入っていくなんて事はしていないわよね?)

その質問には、この場に居る全員が、首を横に振る事しか出来なかったのである。その質問を聞いたレイリアはとても不安げにしているのが伝わってきた。その様子を見かねたカイが声をかける。

カイが俺の思っていたことを代わりに聞いてくれているようだったが、俺はそれをただ見守るだけとなっていた。

そうこうしているうちに、レイリアはドアノブに手をかけ回す。その様子からは俺が予想していた以上に、この父親に会わせない方がいいのではないかという考えに至ってしまうほど彼女は怯えているように見えたのである。

レイリアがそのドアを開けると、その先では先程、食事を取った時と変わらない状況が続いていた。いや違う所があった。

レイリアの父親であろう人物が倒れていたのである。

レイリアはすぐに父親の下へ駆け寄るとその体に触れながら何かを確認するようにしていたがしばらくした後、ゆっくりと立ち上がり振り返って俺たちに言った。

(この方を助けて欲しいのです。貴方たちにしかできないのです)と、俺はその言葉で何かあると確信し、俺はそのお願いを聞くことに決めたのである。

(よし、じゃあそいつは一旦放っておいて早くこっちに来い)と俺はレイリアに言ってやろうとした時だった。

(ん?お前たちは一体誰だ?それにレイリア、何をしておる?そやつはお前の事を裏切ったのだぞ、お前の大切なものを全て奪っていったのはそやつなのだぞ!さっさと殺せ、今ここで、そいつを葬り去るのだ!それがレイリアのためでもあるんだぞ!早くしないとレイリアまで殺されることになるぞ、急ぐのだ。そやつの近くにいてはならぬ)

俺はレイリアの方を見ると、俺に目を合わせてくる、そしてその後ろではレイリアのお付きの人たちが慌てたようにレイリアを抑えている様子だった。そして、カイが俺に小声で言ってくる。

(おいアデルあいつヤバそうだな。どうしたらいいと思う?)(ああそうだな、今はとりあえず無視してレイリアのところに行くのが良いと思うぞ。とりあえず、今、目の前で何が起こってるのかがわからないとどうしようもないだろ)

そう言うとカイが俺の目を見て軽くうなずく。俺もそのタイミングに合わせてうなずいていたのだ。そうやって俺がうなずくのを確認したのかレイリアはお父様の方に向き直ると話し始めた。

レイリアの話によると、彼女はどうも、この国の王女としてではなく、一人の娘としてレイリアに接してくれる優しいお父さんが好きだったみたいだ。だからその人が、自分が勇者だと言っていた俺を裏切りこの国の王様になった事が信じられなかったらしい。だから、自分の事を勇者だと思い込んでいるだけのお父様にそんな事をさせる原因となった俺を殺したいと思ったということだ。

そこでカイが言った。

カイはレイリアが嘘をつくとは思えないので、レイリアの父の言葉が気になると言ってレイリアを説得しようとしていた。

(カイ、あんまりその人を疑うなよ、確かに俺がここに来たのも、こいつがやったことも、全部俺にとっては都合がいいことだったがそれだけが全てとは限らないだろ。もしこれが罠だったとしたらどうするんだ。お前だって死ぬかもしれねえんだぞ)

その言葉を聞いてカイも黙ってしまう、するとレイリアが口を開いた。

(カイさんもありがとうございます。カイさんの言っていただいたことで、私は冷静に物事を見ることができました。なので、この人を助けるために私は私にできることをしてあげたいと思うのです)

(じゃあ俺もその作戦に乗ることにする)

(じゃあ俺はお前たちが逃げ出せるための時間稼ぎと周りの雑魚どもを相手にすることにするぜ)

そう言って俺は腰に付けていた魔剣を抜き放つ。そしてその刃に炎を纏わせると俺を取り囲んでいる男たちに向けて投げつける。俺のその行動を隙と見て襲い掛かってきた男たちがいたので、俺は、俺の後ろにいる二人に襲いかかろうとしている奴らを優先的に狙ったのである。そうやって周りにいた敵の数を半分以下まで減らしたところで、カイから念話が入った。

俺の方はもうすぐ終わりそうだけど、そっちの調子はどうだ?そっちで何かあればすぐにでも加勢に向かうけど、どうするか?

(カイか?俺の方はまだ余裕があるけど、カイの方はどんな感じだ?)

(カイ君、アデル、そちらは大丈夫?)

(ああ俺は問題ないけどアデルの方は結構危なっかしいから、早めに戻ってきてもらってくれると助かる)

(わかった、すぐ戻ってくるからちょっとだけ頑張ってね)

(おう、俺は大丈夫だよ)

俺はその会話を聞いて少し笑みがこぼれた。するとレイリアの様子が少しおかしかった。そして、その違和感の原因はすぐに分かることとなる。なぜなら、彼女はなぜか涙を流していたのである。その様子はどこか寂しげで、まるで目の前にいない誰かを探し求めているような雰囲気を醸し出していたのである。しかしそんな事を俺が考えているうちに彼女はすぐに切り替えてきた。彼女はお父様に対して回復魔法を使っていたのである。

俺はそれを見たときに俺は思ったのである。彼女がお父様を助けたのは何か別の目的があるのではないかと、だがしかし、その思いはカイの言葉によって打ち砕かれることとなった。

(なあアデル、このレイリアが使ってるのが俺の回復系とは比べ物にならないくらい強い回復魔法のように見えるんだがどう思う?)

俺はそのカイの一言で俺はその疑問に対する答えを出すことが難しくなった。そう俺はこの時までレイリアが勇者だと完全には思っていなかった。勇者の素質を持って生まれた子供は、基本的に成長とともに徐々にではあるが、身体能力が上がっていくものだと思っていたからである。しかしレイリアの場合に限っては、なぜかその速度が遅い。そしてレイリア自身もその事に悩んでいるように見えたのである。

俺がその事を伝えようとした時だった、レイリアが急に叫び声をあげたのである。そして、俺はその声の主へと視線を向けるとそこにはレイリアと同じような格好をした少女が居たのである。俺はその人物を知っているような気がしたが、思い出せなかった。

しかしその人物が発した次の言葉で、俺はその事を思い出す。その人物は、俺にこういったのである。

「あなたがこの世界に呼ばれた異世界人のようですね。しかし貴方のその力は私が貰うことにしました。私の力になってくれませんか?」

そうその人は俺を召喚しようとした張本人であったのだ。

俺は、その発言に対して、レイリアのことをちらりと見ると彼女は俺に向かってうなずき、そしてレイリアと同じような服をきた女性に近づいていったのである。

「その前に一つ聞いておきたいことがある」

俺はそう言うと彼女の方へ視線を向けたのである。俺は彼女に対して警戒をしつつも質問を投げかけたのである。その問いの内容はもちろん彼女の正体についてである。

(どうして貴方はこの世界にやってきたのか?なぜ私を選んだのか?目的はなんなのか?他にもいくつか質問はあるんだけどそれは後々聞かせてもらわないと信用出来ないんだ)

(まあそれも当然のことですよね。ではまず、貴方が選ばれた理由から説明いたしますね)

(えっとじゃあよろしく頼むよ)

(貴方が選ばれた理由は単純に言ってしまえばこの世界の勇者の素質を持つ者よりも、貴方の方がこの世界で役に立つと思ったからです。そして私はある計画を遂行するためにあなたが欲しかったのです)

彼女は俺が欲しい理由を話してくれた。その理由は正直よく分からない内容だった。俺はこの世界を平和にするという目的を達成したいわけではないのである。この国で生活できるならば、別に魔王退治とかもどうでもいい。だからその返答に少し困ってしまった。

そんな事を思っていた俺に彼女はこう続ける。

(ちなみにこの国は今危機的状況に陥っています。この国の民には申し訳ない事をしていますが、私には時間がないのです。なので貴方にはその時間を稼いでもらいたいのです)

(つまり、俺にその国の人達のために戦って欲しいとそういうことなんだな?)

(そう言うことです。なのでどうかこの世界を救ってください)

俺にはこの女の言っていることは嘘だとは思えないのである。この女の目的が何であるかは分からないが、少なくとも俺は目の前の人間を信じても良いのではないだろうかと考えている。

だからその考えに従うことにしたのである。

(じゃあその話に乗ることにするよ。でもその代わりに約束してくれないか?この国が危機に陥ることが回避できた暁には必ず元の世界に戻る方法を教えてくれることを、そしてこの国を救うためにも俺に協力してくれるということを、この二つを必ず守ってくれると誓えるなら協力する)

彼女は、しばらく黙り込むと口を開いた。

(分かりました。この国の存続のためそして、元の場所に還る方法を絶対に教えましょう。そしてその見返りとして、その力を存分に振るう許可をください)

(ああ分かったよ。その代わり俺が今やるべきことは、お前がやろうとしていることに全力で手伝わせてもらうぞ)

(では、そのお気持ちに甘えてさっそく手伝ってもらうことにしましょう。これから貴女の体を乗っ取らせていただきます)

その言葉が響いてくると、俺は自分の体が動かせなくなる感覚に襲われて、そのまま地面に倒れこんでしまったのである。俺の体は勝手に動き出すとその女に操られるがままにその場を離れて移動を開始したのだった。

そうして、俺がレイリアの元に向かおうとしたところで俺の前にレイリアが現れた。レイリアが、俺の前に立ち塞がったのである。そのレイリアの様子は今まで俺の目にしてきたものとは違った。明らかに何かを決意したような、覚悟のようなものが見えた。

(おいレイリアどうするつもりだ?そいつと戦うつもりか?)

カイがそう問いかける、レイリアはそれに答えると腰に差していたレイピアを引き抜いたのである。レイリアはそのままお父様の元に歩いて行くと、お父様の前でレイリアがレイナに変わる。そしてお父様に回復魔法をかけたのだった。俺はその様子をただ黙って見ているしか出来なかった。俺の手はすでに自分の意思で動くことができないようになっていたのである。

(お父様を助けてくれ、そう言いたかったんだろうがそうはさせないぜ、その役目は俺のもんだ)

俺はそのカイの言葉を聞きながらも動けない自分の体を見つめながら心の中でカイに話しかける。

(悪いけど今回は諦めてくれ、あいつらはどうせもう止められないんだ)

そう俺が言った直後に俺は、体の制御が戻ってきて、自由に体を動かすことが出来るようになった。俺はカイに念話を送りレイリア達がいる場所へと向かうように指示した。

(お前はレイリア達の方に合流して俺達が合流するまでなんとか持ちこたえてくれ)

(でもアデルはどうするんだよ?)

(俺は一人で大丈夫だ。とにかく今はレイリアを助ける方が優先だ)

(でもなアデル、いくらお前が強くてもこの状況を打開するのは流石に厳しいと思うぜ)

その通りかもしれない。あの二人の相手は今の俺ではかなりきついだろう。だからこそ、カイには早く二人と合流して欲しいのである。

(俺だってこのままでいる気はない、ちゃんと対策は考えてあるから安心しろ。だから先にレイリアを安全なところに連れて行ってこい。俺はすぐにそっちに行くから心配しないでいいから)

俺はそう伝えるとすぐに走り始めたのである。俺は走りつつもカイに作戦を話そうと頭の中で作戦を思い描いていた。

俺がレイリアたちのいる方へと走るとカイの悲鳴が聞こえてきた。

「カイ、大丈夫!?」

俺はそう言って声の方向に走っていく。そして、俺がそこで見た光景は予想だにしていないものを見たのである。俺の目に入ったものは俺が思っていた以上に酷いものだったのである。

(なあレイリア?お前一体なにをした?)

レイリアは俺に視線を向ける。そして俺はそんなレイリアを見て思った。

「ごめんなさいアデルさん。あなたがお父様を庇っていたので少し眠っていてもらいました。これでやっとお父様とお話ができるようになったんですよね?それじゃあお話をしようと思います。このお父様はあなたのような人とは違いました。私の事を本気で愛してくれていました。私はこの人が好きなんです。この人に私の全てを差し上げるつもりです。私は貴方みたいな人を絶対に許しません」

そう告げるとレイリアの姿はまたレイリアに変わったのである。

(どうなってるんだよこれ?なんでレイリアは姿を変えられてるんだ?そしてなぜ俺が怒られているんだ?)

俺はレイリアの変わりようをみて唖然としてしまった。俺はこんなレイリアを知らなかった。しかしそれと同時にレイリアは本当にお父様の事が好きだということだけは伝わってきたのである。

(それで、俺にどうして欲しいわけ?まさかここで決着をつけろとか言うんじゃないだろうな)

俺は、目の前の少女の圧に押されて冷や汗を流す。しかしレイリアは何も言わなかった。そしてその様子は明らかにおかしかったのだ。まるで目の前にいる存在に恐れをなしているように俺の瞳に映った。それはつまり、俺の後ろに立っている存在こそが本当のレイリアという少女ということなのだ。

そしてレイリアから発せられる気配からその少女が尋常ではない強さを有していることが分かった。そして、俺の脳裏にその少女の名前が流れ込んできたのである。その名はリリアという名前である。

俺はその瞬間全身に寒気が走った。その名前に俺は覚えがあったのだ。その少女の名前は、この国を魔王から守る勇者でありそして俺と同じ異世界からの転生者なのである。

そして、その少女の容姿と今俺の目の前に居る少女と完全に一致する。俺は改めてその事実を確認させられることになった。俺がこの世界でずっと求め続けてきた答えを彼女は持っているということになるのである。

(なるほど、勇者か)

(正解です)

(俺の記憶が正しければ君は俺よりもかなり後にこの世界に召喚されたはずだ。なのになんでそんなに強いんだ?)

(貴方が弱すぎるだけでしょう?それにこの世界に呼び出されたのはこの世界に来る直前、私は元々別の世界にいましたよ。ですので召喚された際に貴方とは比較にならないくらいにステータスが大幅に上がった状態でこちらの世界にやってきたことになりますね)

つまりは彼女の言うとおりだとすれば、召喚の際にこの世界に適応するために肉体が強化されるという現象が起こったということになるのだ。そうなれば必然的に、俺よりもこの世界で長く生活していた彼女が俺なんかよりはるかに強いことは当然の話だと言うことになる。

(俺よりも年下にしか見えないがそんなに長い間生きているのなら話は変わる。俺がお前を倒してこの国を救うと約束しよう)

(そう、あなたはそう簡単に倒せると思っていますが私は貴方を倒すことができます。私は勇者ですので、勇者の力を貴方に思い知らせてあげますよ)

その言葉で俺たちの戦闘が始まった。俺は、俺の全力を持ってして彼女に攻撃を仕掛けていくが、彼女はそれを難なくかわしていく。俺はそれでも諦めずに剣を振るうがその全てを彼女はいとも容易く避けていったのである。

俺の攻撃が全て当たらないとなれば次に俺が取る手段は限られてくる。俺に出来ることは魔法を使うことだ。俺はその隙にレイリアの姿をした目の前の敵に向けて炎属性魔法の攻撃を放つ。しかしそれも簡単に防がれてしまうのだった。

(貴方の実力では私を倒すことは出来ないわよ。さっき私が言おうと思ったのですがもう時間がないようですね。さようなら勇者様、私と一緒にお父様を救いに来てください)

そして彼女はレイリアの姿から元に戻る。その姿は間違いなく俺が良く知るレイリアだった。

「お姉様!」

その声はレイリアのものとは思えない程に冷たいものであった。

(レイリア、俺の事が分かるのか?)

俺は、そう問いかけるがレイリアは何も反応しなかった。

(どうやら俺の声は届いていないようだ。それよりお前は何をしに来たんだ?お前の父親は死んだぞ。この国は滅びるしかないんだぞ、お前はそれを見殺しにするっていうことか?)

俺は、そう言ってみたのだが彼女もそれに対して何かを喋ることはなかった。

俺はそんな彼女を見ていた時にある事を思い出していたのである。それは俺が今戦っている少女とよく似た人物についてである。それはかつて俺が生きていた頃の記憶で、その時もやはり同じ姿かたちをしていた。

しかし、その人物と目の前に存在している彼女とで決定的に異なる点が一つあったのである。

それは、名前である。

(お前はリリアだよな?)

その言葉に、レイリアはようやく俺の方を向き直ると笑みを見せたのだった。

俺はレイリアの姿を見て、レイリアはリリアであることが確定したと判断した。そう、このリリアは俺がよく知っている人物だった。俺が生きていた時に一緒に冒険をして魔王討伐にも協力してくれた仲間の一人だ。そしてその正体はかつて世界を混乱に陥れた大魔女であった。しかしその事実を俺以外の人は知らない、そもそもレイリアは記憶を失っていて自分が何者であるかも分かっていない状況であるのである。そして今の俺と目の前の彼女は別人としてこの世界に存在するので、この世界にとってはレイリアという人間はレイリアでしかなく、その正体が大魔女だったとしても何も変わらないのである。

「やっと会えたわねアデル、私の事を忘れてないかしら?」

その口調と態度に、俺が知っているかつてのレイリアとの違いがはっきりと見て取れた。

「まさか、君までここに来るとは思わなかった」

「私も正直、こんなに上手くいくとは思ってなかったのよね。あの子は中々私の言うことを聞いてくれないから困ってたんだけど、今回に関してはラッキーね。でもまだ油断は出来ない、あの子にはまだ気づかれていないかもしれないけど時間の問題だと思うの、だからそろそろ始めましょ」

そう言ったリリアは一瞬で姿を消す。そして次の瞬間には俺の後ろで俺の首に手刀を落そうと手を振り下ろしていたのである。

俺はその攻撃を何とか間一髪で避ける。

そしてリリアはそのまま流れるような動作で回し蹴りを俺に向かって繰り出してきたので俺はしゃがみ込んでそれをなんとか回避する。そのまま、俺は後ろに下がり距離を取ると体勢を整えたのだった。

俺は今の一連の流れを見て改めてリリアの強さを認識したのである。

(今のは完全に不意打ちを狙ったものだ。それに動きの一つ一つが全く持って素人のものではない)

今のはただの手加減された技だろうが、俺が万全の状態で戦ったところで勝てるかどうかは怪しいところだろう。しかし、俺がいくら強くなろうが関係ないのだ。

(今のが全力というわけじゃないんだろ?なら俺が負けることはありえない)

「どうかしら?貴方の認識がどれだけ正しいものなのか私に教えて欲しいのだけど」

そう言うと、またリリアは姿を消した。

俺は、そんな言葉を無視してある一つの魔法を発動させることにした。そしてその魔法が成功するかどうかを確かめるべく意識の中に潜る。

俺の目に飛び込んできた光景は以前俺が一度訪れた事がある空間である。そう、そこは【魂の器】の中にある精神の部屋であった。そしてそこには、レイリアともう一人リリアがいたのである。そして、そのレイリアが今目の前にいるリリアと同一存在であるということは明白であった。そしてリリアもまたそのことに気がついているようでその顔は強張っていた。

「お父様、これは一体どういうことですか!?どうしてこの男がここにいるんです!?お父様と私は別室で話す約束をしていたはずですよ!それがなぜお父様と同じ部屋に入っているんですか?一体何が目的なんですか?」

その質問に、俺の目の前の男は微笑を浮かべながらこう答える。

(この人が私にとって一番重要な方なんだ。そして私の計画に必要なお方、だからこそ私自らここに出向いたんだ)

俺に視線を向けるとその口元は少し歪んでいた。

(そういうことか、まさかとは思っていたがやっぱりそういうことだったんだな)

俺は、レイリアに話しかける。

「どうやらこの人は俺の正体に気がついてしまったみたいだ。しかしどうやらその事については俺の口から説明したいからとりあえず落ち着けよ。それで俺が聞きたいことがあるんだ。お前は本当にレイリアなのか?それともリリア、またはレイラと呼ばれるべき存在なのかを教えてほしい。そしてできれば、リリアという名前が本当のレイリアの名であるという確証を得たいのだ)

俺の問いに、リリアは何も答えなかった。それはつまり俺の推測通りで、リリアがレイリアだということに他ならないのだ。

「私はこの人の事を心の底から愛しています。そしてその人も同じように私を想ってくれていると信じています。そしてその気持ちをこの国にいる人たちに伝えたいのです。その為にも、その男と会うのは避けなければならないと思いました。私はどうしてもその男のことが信用できなかった。私はこの国にずっといましたが、その男の名前だけは聞いたことがなかった。しかし私はそんなその男のことを何故か昔から知っていたのです。その事実がずっと引っかかっていました。しかしそんな事はもう些細な事だと思った私はこの国の為に自分の力を捧げる事にしたのです。そんな私を、彼は快く受け入れてくれて私を受け入れてくれた。そして彼のために私もその命をかけて戦うことを決意しました。しかし彼は私を裏切った。私を騙して、私を利用した挙句、彼を殺したのはこの男でした。私達は何度も話し合いの機会を持ちたかった。しかし、そんな私達の思いとは裏腹に、その男が私の前から消えてしまってからすぐに私の前に彼が再び現れた。それも、私が愛していた人と全く一緒の姿形でです。そんな彼に出会ってしまった私がどのような行動を取るべきかはすぐに分かりました。ですので、貴方が何者であろうともこの人に危害を加えるというのであれば私は貴方を排除する必要があります」

「どうやら君も私の計画を邪魔するつもりらしい。それは許すことは出来ないね。君たち二人とも私のために尽くしてもらおう。もちろん、拒否権などないよ。さぁこれから楽しい実験を始めようじゃないか」

(俺はこいつを、このクソみたいな世界を滅ぼすつもりだ。お前には悪いが俺に力を貸してもらうぞ。リリア)

俺がそう言うとリリアの瞳は俺の方を向くことはなかった。

(俺がリリアに何を言おうが俺の事が聞こえていなければ意味はないということか。ならお前に命令してやるよ、俺に協力しろ。お前のその力が必要なんだよ)

(残念ながら私は貴方に従う事ができません。私には愛する夫がいます。しかし貴方は私が貴方の命令に従ってしまう事を望んでいないように見えます。だから、私は貴方を裏切りましょう)

その言葉と同時にリリアの体は霧のように溶けていきその気配が俺の元から離れていく。

俺はそれを黙って見送ったのである。しかし、これで分かったことは一つあった。リリアは俺の声は聞こえるようだ。そして俺の事が嫌いというわけではないのは確かである。だが今の俺と彼女の関係は最悪の状態で、これ以上彼女が俺の言うことを聞かないようでは打つ手がなく、結局俺は彼女を取り逃がしてしまうことになるだろう。

(まずいな。このままではリリアの方に先に接触されてしまう。そしたら、レイリアがこの国の人々を人質にとられる可能性だってある。とにかく急いで対策を立てないとダメだ。しかし俺の声が届くのは俺の知っている人物だけか。いや、そんな事はないはずだ。そもそも俺の仲間にレイリアの事を知っている人間なんて一人もいなかった。だからおそらく俺にしかリリアと対話することは出来ないんだろうな。ならリリアがこちらに来ないようにするためにはこちらも先手を打つ必要があるな。リリアをこちらに引き留めるため、そして俺の言葉にリリアの意思を変えることができるかどうかが問題になってくる。なら俺が直接乗り込んで行ってリリアを俺の方に引き込むしかないな。問題はその方法だが、直接出向いて説得するという選択肢しかないな。もし俺にその意思があるということを証明出来れば向こうは引き下がってくれるかもしれない。よし、そうと決まればすぐに向かうとするか。レイリアを逃さないために俺のできる最大限のフォローをしてやるぜ。リリア)

俺はその瞬間に目を開くと意識の世界から離脱していった。そしてそれと同時に、目の前にいたはずのリリアの姿はなく、代わりに目の前には一人の青年が存在していたのだった。

「ようやく目を覚ましてくれたのですね。心配をかけさせないで下さい。貴方はいったい何日寝ていればいいのですか?」

俺は目の前にいるその女性に対してそう言い放つ。しかしその言葉を聞いたレイリアはなぜか驚いた顔をするのであった。

(この声、もしかしてアデルが私に何かしたの?確かに私はあの後気絶してしまったみたいだけども、その後何が起こったのかは分からないわね。それにこの人は私の事をリリアだと勘違いしてるみたいだし。でもリリアに変装すれば上手くいくって言ってたからとりあえず演技をするしかなさそうだよね)

「私は、リリアじゃないわ。それより早くこんな場所から出ていきたいから手伝ってちょうだい」

俺は目の前の女性が何を言っているのかわからなかったが、リリアの姿をしているのであればその要望に応えるべきであると判断したのである。

俺はレイリアの手を掴むとこの空間から脱出するために行動を開始した。

しかしそんな俺達の様子をみたリリアは、慌てて俺の腕に掴みかかってきたのである。

「その手を離しなさい。その男は危険です。それに私をここから出すということは、この国を見捨てることと同義ですよ。それにこの男に私を任せる訳にもいきません。私は貴方が考えているほど子供ではありませんよ。この国がどんな国かくらい知っています」

「お前は一体何の話をしてるんだ?俺がお前を連れて行こうとしているのはこの国の人達を助け出す為だ。そして俺は今すぐにお前の力が必要になってしまった。その為にも今は一刻を争う状況なんだよ。大人しくいうことを聞いてくれたらすぐに連れ出してあげるからさ。頼むよ」

俺のそんな言葉を聞くと、リリアの顔色はみるみると悪くなっていく。

「お父様と私に嘘をついてまでリリアに会いに行ったんですか。やっぱりお父様の考えは変わりませんでした。この人はやはり私の敵であると判断します。ですからこの男を倒す必要があります」

その言葉をきいたレイリアは驚きながらも、必死に抵抗するのである。

「貴方の目的は私では無いのでしょう。ならどうして貴方は私を倒そうとするんですか?貴方には関係ないはずです」

「私はこの男が気に食わないんです。そして、お父様の想い人である貴方に危害を加える可能性があるならば排除する必要があると考えただけです。貴方に私の行動を止める権利などありません。お父様と約束しましたが、貴方だけは私一人で守り抜きます。この男が私にとって危険な存在だと言うのは私が一番理解しています。お父様との約束がなくても私はこの男を殺すつもりでした。そしてお父様に報告しなければなりません」

「貴方は一体何の話をしているのですか?」

「この男の事は忘れてください。そしてすぐにここを離れましょう。この国はもう終わってしまいます。私がここにいられないように、この男はこの国にいてはいけない存在なんですよ」

レイリアはそう叫ぶが、リリアは納得がいかないようであった。

(レイリアが俺の味方につく事を拒む理由は恐らく、このレイリアを俺の協力者だとレイリアが勘違いしている事による不信感から来る拒絶反応だと考えられるな。そしてそれは、俺がリリアを仲間として認めて貰えていないのとイコールになるわけだ。だからこそリリアを味方につけなければならないのだ)

俺はそう考えると、この国で起きている問題について話すことにする。しかし俺はこの問題を解決する方法を思いつかなかったのでリリアの思考を誘導する事にした。

リリアは、俺が話を始めると、少し考えた素振りを見せたあとに口を開いた。

「貴方の言いたい事は分かりました。しかし貴方が私に危害を加えようとする以上私はこの男を守る必要があります。貴方にこの男を倒す力はあるというのですか?そんな力は持っていないのでしょう。この男の狙いは貴方で、この男の計画は貴方を利用する事で成立してしまうものです。私としてはこの男の言うことを聞く理由なんて一つも見つかりませんが、貴方に危害を加えるというのであれば私が相手になります。この男の計画に乗る必要は皆無であり、そして貴方の目的のためにもこの男を信用する必要はないと思います。私はこの男を倒し、そして私の手で貴方をお救いします」

「お前はこの男を俺が倒すことが出来ると思っているのか?それにお前が協力してくれなければ俺達はもう手詰まりなんだよ。俺はこの国に起こっている問題を解決するにはどうしてもリリアの協力が必要なんだ。それにこの男が本当にリリアの敵なのかどうかはまだ判断するべきでないんだよ。もしもこいつが本当にリリアの邪魔になるというのであれば俺はこいつを切り捨ててもいいと思ってる。ただ、今のところはリリアに協力してもらう事が最優先事項なんだ」

「貴方が私のことを想ってくれているのはよく分かりました。貴方はどうやら本当の事を言っていないようですが。しかしそんな事は私には関係ありません。この男が私の邪魔をするというのであれば容赦するつもりはありません」

俺はリリアの答えに落胆しつつも説得を続ける。

「この国の人を救うのに俺一人だけじゃどうしようもないんだ。それにレイリアがこの国を救えば、お前のお義父さんがレイリアに危害を加えることはできなくなるんだぞ。だからここは俺に協力してくれるべきだ。レイリアだってお義父さんの事は大切に思ってるはずだろ?」

「私は、別にそんな事考えてませんよ。私はこの男と敵対したいと思ったから敵対することに決めただけです。私は貴方を絶対に裏切らないって決めたんです。それなのに貴方がこの男を信じるって言うなら私は貴方について行く事をやめてしまいますよ」

「ならお前には俺の計画に協力して貰う事になる。もし断るようなら俺はここでこの女と殺し合いを始めないといけないんだよ。そうなればリリアが殺されることになるけどそれでも構わないのか?」

俺の言葉にレイリアは目を大きく開く。

そして、そのまま黙ってしまったのである。

「リリアのことはお前に任せていいんだよな?」

俺はリリアに対して問いかけるが、その声を聞いたリリアは何故か驚いたような表情をするのであった。

(もしかして私をレイリアのところに置いていこうっていうんじゃないわよね。確かにこの状況を打開できるのは私しかいないかもしれないけども、こんな状況で放置されるのも怖いし。だからってこのまま二人きりの状況で話をするのも嫌だわ。それにアデルだって私を置いて逃げようとしてくる可能性もあるんだから。やっぱりこの場からは逃げた方が良さそうよね)

「リリア、俺は君の助けが欲しいんだ。君は強いからこの状況を打破するのに相応しいと思うんだ。でももし無理だというのなら諦めざるを得ない。だからどうかこの通りだ俺に協力してくれないか」

俺の声を聞いた瞬間にレイリアは再び目を大きく見開いた。しかし先程と違ったのはその目は明らかに俺を馬鹿にしている目だったという事だ。

「貴方は、私のことを舐めているのですね。その程度の言葉に乗せられるわけがないじゃないですか。私だって貴方の実力くらいわかっています。私に勝てない程度ではお父様を倒すなんて不可能なんですよ。それに私はお姉様より魔法の才能があります。だから私は貴女の敵にはならない。むしろこの国の人達の為に力を尽くしますよ」

リリアがそう言った途端だった。急に辺りの温度が変わったのである。その温度の変化を感じた俺はすぐにレイリアとの距離をとる。

そして次の瞬殺、レイリアの手から巨大な炎が出現し、それが一直線にこちらへと迫ってくるのであった。

その攻撃を紙一重で回避した俺は再び距離を取りながら攻撃の準備を整えるのである。そして今度は氷柱を作り出そうと試みたがやはり上手くいかなかった。だがその代わりに相手の足元には大量の氷の矢を生み出していたのである。しかしその数は決して多いものではなく、また一本たりとも命中させる事はできなかった。それもこれもレイリアが俺の行動を的確に見切り避ける事ができるからである。

(俺の攻撃パターンが読まれているという事か。でも今の一撃はかなり本気を出して放ったはずなのにどうして避けられる?それともこの空間自体が奴の支配下にあって俺が有利に立てないように作られているのか?)

そんなことを考えつつも、俺が次に取る行動はすでに決めてしまっていた。この国にいる全員を助けるためにはまずはこの国から脱出するしかない。そしてそのためにはこの場所から抜けなければならないのだ。なのでこの部屋ごと破壊してしまうことにしたのである。しかしそれは予想外に早く終わった。なぜならばレイリアの様子がおかしい事に俺は気がついたからだ。その証拠としてレイリアの顔色はとても青ざめたものになっていたのである。

(なんなのこの魔力量は、ありえないでしょ。お兄ちゃんの力がどれほどのもなのか分からないからはっきりとはわからないけれど、お兄ちゃんの魔法の威力は少なくともお姉様を上回っている可能性が高いということだよね。それなのにあんなにも強力な攻撃を放った後なのに息ひとつ乱れてすらいないとかあり得ないんだけど。私達の国はもう終わりだね。でもこれでやっと終わるのかな。私が今までしてきた事にもようやく意味ができたみたいだ)

「お前は一体何を考えているんだ。お前が考えていることが全くわからないんだ。何故そこまでしてリリアを助けようとする?そしてどうしてここまでの力があるにもかかわらず、わざわざお嬢様にこだわる必要がある?この国に何か恨みでもあったのか?それならば仕方がない。俺には関係ないがお前はここで死んでいるといい。そうすれば全ては元に戻るんだ」

そう言いつつレイリアは再び攻撃を仕掛けてくるが、俺がレイリアを気にかけている事が分かったのか先ほどよりも少し手抜きのものになっているように思えた。しかし手を抜いてきたとしてもレイリアの攻撃をかわすのは簡単なことではなかった。

「お前がなぜこの国に来たのか知らないが、もう二度とこの国に来ないと誓えるなら命だけは見逃してやってもいい。お前には俺の計画が達成されるまでは俺達と一緒にこの国を出ていってもらう。そしてその後、リリアを好きにしてもらってかまわない。どうだ?それで俺の仲間にならないか?お前の能力はリリアを守る為にある。俺はお前の事を気に入ったからこそ仲間に誘いたいんだ。もちろん、仲間になってくれるのであればこの国に残っていてくれても良いんだがな」

「それはできない相談です。お姉様がいないこの国で一体何の意味があるというのでしょうか。私は、私が心の底から愛した方以外に嫁ぐつもりはないんです。たとえ貴方であってもそれは変わりません」

俺とレイリアはそんな会話を繰り広げながらも戦いは続いていた。俺はどうにかしてレイリアを説得する方法を考える。しかしそんな事を考えてる間にもまたも俺達は互いに間合いを取っていた。俺は今の状況を変えるためには一旦レイリアが戦う理由を聞いておくべきだと考えた。

「レイリア、どうしてお前はこの国にやってきたんだ?もしかしてここにくるように誰かに言われてきたのか?」

「そんなわけありません。私の目的はただ一つ、私の大好きな方を救ってもらう為に、そして貴方を救って頂く事ですよ。私とお姉様は幼い頃からずっと二人で生きてきました。そして私にとってお姉様はたった一人の家族であり大切な友人です。そんな私と姉が離れる事になったのは、お母様が亡くなってすぐの事です。私は自分の力ではどうしようもない状況に置かれてしまったのです。そんな時でした。あの方は、私を救いに来てくれたのです。その方も私の力を必要として下さったのです。でもその方は、私と違って特別な力は持っていませんでした。だから私が代わりに貴方を救いに行くと言ったのです。その時に私は誓いました。貴方を必ずお守りしますって。そして、貴方は、その言葉通り私をお助け下さいました。だから、私に貴方を見捨てる選択などありえません。私には貴方が必要なんです」

レイリアは涙を流しながらそんなことを言う。

しかし俺はそんなレイリアに対してかける言葉を持ち合わせていなかった。

「それじゃあ、お前はお姉さんに会ってどうするつもりなんだ?」

「貴方には関係の無い話です」

「お前の姉を俺は助けるつもりでいる。俺はその姉にこの国の現状をなんとかするように頼まれているんだよ。そのついでにこの国の人も全員助けようと思っている」

「それでも私達は一緒にはいられません。だから私はお断りいたします。貴方に着いて行ってしまえばいずれ私のせいでこの国が滅んでしまうかもしれませんから」

「それでも俺について来て欲しかったらリリアの言うことを素直に聞けばいいだろ」俺の返事を聞いた途端、レイリアの顔色が明らかに変わる。そして次の瞬間、レイリアは再び攻撃を始める。しかし今度は最初から先程までのように本気を出してきているようで俺にその攻撃をかわす事は難しかったのだ。俺が魔法で応戦するとその瞬間、部屋は吹き飛ばされたかのように崩れ去り天井が崩れ落ちたのである。その結果、大きな爆発が起きた。その爆風でレイリアの姿が見えなくなる。

(まさかここまで強いとはな。流石は王族としかいいようがないな。それにしてもこの程度の威力の魔法をくらっても気絶しないなんてやっぱりリリアの言ってたことは間違いなさそうだな)

俺はリリアの言葉を思い出し、その通りだったなと思うのである。

「私を、殺すおつもりですか?」レイリアは、そんなことを口にするが、しかしその声からはどこか諦めのような気持ちが込められているように感じ取れたのである。そして次の瞬間、俺はレイリアの首筋に刀を当てていた。その事実に気付いた途端にレイリアの表情はみるみると青ざめていく。俺はその様子を眺めながら声をかける。

「悪いけど俺はお前を殺すつもりはないんだ。とりあえずリリアを無事救出する為に、リリアを連れてここから脱出しないといけないんだが手伝って貰えないか?勿論、お前に俺を恨むなっては言わない。だがこれは必要な事だと分かって欲しい。そして、俺に協力して欲しい。俺にはお前が必要になってしまったんだ」

俺の言葉を聞いたレイリアは少し驚いたような顔になる。しかし、そのあとに笑顔を見せてくれた。そしてすぐに真剣な眼差しに変わる。そしてその目を見て俺はこの人間は信用できると思ったのである。俺はレイリアの手を掴むとその場から飛び去った。

そうして俺は再びリリアの元へと向かった。リリアの部屋に戻ってきた俺達はリリアの無事に安堵するとともにレイリアのことを仲間にするのに成功したことを報告した。リリアがレイリアに色々と話しかけていると、俺は突然レイリアが俺のことを抱きしめてきた。そして俺の耳元でレイリアが小さな声で囁く。その言葉を聞いて俺はレイリアに対する印象が大きく変わったのである。

そしてレイリアと俺はリリアが用意してくれた服へと着替えるとそのまま街へと出かけていった。まずはこの国から出るのに必要なものを買う為である。俺達が城を出るときに兵士が追いかけてきたが俺はレイリアと協力することによってそれを振り切る事に成功していた。レイリアは、リリアとほとんど変わらない容姿をしているのだがレイリアにはある特徴があったのである。それはレイリアの髪が真っ白に染まっていたことだ。レイリアはその髪を長く伸ばしていたがそれはとても目立つためレイリアはいつもポニーテールにして隠していた。そしてそんな髪型をしていたせいなのかレイリアは俺が見た中ではかなり可愛い部類に入る人間だと思うのだ。なのでその白い髪の毛はとても似合っている。俺は、レイリアがなぜ俺に協力してくれる気になったのかは分からないが、その事を嬉しく思った。そうして俺達は街の店に入っていき、俺とレイリアはそこで買い物をすることにしたのである。

俺はリリアと一緒に部屋の中に入り扉の鍵をかけた。その瞬間に俺は今までに体験したことの無いほど大量の情報の渦に巻き込まれる。あまりの情報量の多さによって頭がクラっとしてしまった。そして暫くの間俺の頭の中を何かが駆け巡っている。そんな時間が続いた後にようやく俺はその空間に順応できたのだった。俺は、この空間に違和感を覚えつつも自分が今までとは違う場所にいるという事に気づく。そして周りをキョロキョロ見渡す。俺がいるところはどうやら建物の中のようだが、その部屋の大きさは俺の部屋の何十倍も大きいもので俺達がいる部屋も相当広いものであった。そしてそこには数人の男達がいた。しかし、そんな男たちの中でも一人異質なものを感じた。俺はすぐにその男の方を向いたが俺は思わずその人間の見た目から目が離せなくなってしまった。その男は金髪に青い目をしていて俺より年上に見えた。俺がその男の方に近づいて行くと、他の者達も俺のことが視界に入ったらしく全員が俺の方を向いたが誰も喋ろうとしなかった。そんな俺の様子を不審に思って俺が首を傾げているとその男が口を開いた。

「よく来た。俺の名前は、アーサー。お前を歓迎しよう」

「初めましてだね、僕は君の名前を知ってるよ。君のステータス画面を見る限り僕の予想通りの結果だね。それじゃあこれからよろしく頼む。君はもう僕の部下のようなものだと思ってくれて良いから。でも安心してくれて構わない。この世界では人殺しとか、そういう野蛮なことはしないからね。まあ一応、今のうちに言っとくが、もしこの世界を裏切ったりしたら俺が許さないから。それだけは肝に銘じておいて欲しい。それからもう一つだけ、お前がここに来れたのはこの俺の力によるものだって事だけは覚えておけ」

「それでは、お前達にはこれより訓練を始めてもらう」

俺がそんな言葉を聞き流していると俺達の周りを黒い鎧を纏った屈強な兵士たちが取り囲んでいた。そんな兵士達は剣と盾を持っておりその武器をいつでも使えるように構えていた。俺はそんな光景を見ても動じることは無かったが俺の事をずっと観察している者がいた。その人物は先程俺に挨拶をしてきたあの男であった。そんな時、一人の女性が前に出てきたのである。俺はその姿に一瞬見惚れてしまったがそんな状況では無かったと思い出し、女性の方を向いた。その女性は長い黒髪で綺麗な女性だった。

「私は、貴方を鍛えてあげるためにやってきました。私があなたに教えられるのは、魔法に関する知識だけです。それ以外に私は何も教えてあげられません。私はこの世界でただ一柱の魔法使いですから、それ以外の事を教える事は不可能に近いのです」

「貴方が何を言っているのか良く分かりません。ここはどこで貴方は何者なんですか?」

「私もこの国にいる間はただの一兵士にしか過ぎませんよ」

「なら貴方にも分かるでしょう?私はまだ戦う力がありません」

俺の問いかけを聞いた女性は不思議そうな顔をした後クスッと笑うと言ったのである。

「"力"というのは一体何のことでしょうか?貴方はどうやら戦う力を持っているはずですよ?それがどのような力かは知りませんが、その力があれば十分に戦えると思いますけど?」

(力?そんなもの俺は持ってるのか?)

俺は心の中で呟くと、次の瞬間頭の中に一つの映像が流れ込んできたのだ。しかし俺はそれを見た瞬間にすぐに忘れるようにした。しかしそれを忘れることなど出来るわけがなかった。その力は俺の知らないはずの記憶。しかし俺は何故かそれについて理解する事ができたのだ。そして俺の体からは信じられないほどの量の魔力を感知したのだった。そして俺の目の前に魔法陣が現れたのだ。俺は、この世界の人間が魔法を行使できないということを思い出すと魔法陣に攻撃を加えた。その瞬間、俺の攻撃によって魔法陣は砕け散ってしまったのだった。俺以外の者達が驚いていることを気にせず俺はすぐにその場から走り出した。俺の行動が速かったせいで俺は魔法を行使する機会を失ってしまった。しかし、魔法を使えなかったとしてもこの場から逃げる事は容易であると考えていた。そして俺は逃げようとするのだが、その時に俺は何者かに取り押さえられ拘束されてしまう。その相手はどう見ても先程までそこに立っていた人物ではなかった。俺を拘束する人間は、俺を無理矢理引きずっていくと先程俺が攻撃を仕掛けた魔法陣の中へ俺を放り投げたのである。そして魔法が俺を襲おうとしたところで俺は、魔法を発動させてしまうのだった。俺の体に凄まじい痛みが走るがなんとか意識を手放さずに耐えられた。そしてその瞬間、俺はある事に気付くのである。その魔法は確かに強力なものだったのは事実なのだがその魔法の効果は持続しないものでもあったのだと。俺がそう考えた理由として挙げられるのは俺が自分の体を確認すれば分かったはずだが俺はそれを怠ったのだ。そして自分の体が光を放っていたからである。そして光が消えてからその効果を確認するとどう考えても普通に発動するよりも明らかに強い効果が得られたのが実感できた。

そしてその後すぐに俺が拘束されている場所を見ると、俺を取り押さえていた筈の人間はその場から離れていった後でその周囲に集まっている人々もまた俺から離れていこうとしているのが目に入る。俺にはその意味が良く分かっていたのだが俺はそのまま身動きを取らずにその様子を見守っていた。

そしてしばらくすると俺のことを見下していた人物が声を上げた。しかし俺に対してその人物は言葉をかけてくることはなく俺をこの世界に連れてきたあの金髪の男に話しかけ始めた。そして会話が終わった後に、俺は解放される。そんな状況になっていたにも関わらず周りの連中は誰一人として動くものはいなかったのである。そしてそんな状況の中で俺に向かって誰かの声がかけられた。俺は、その相手が近づいて来る気配を感じ取っていたものの、特にその相手に反応を返すことはなかった。しかしその人物は俺の方を見て口を開いた。

その人物は銀色の長い髪の毛と紫色の瞳が特徴な美少女で服装が巫女服だったのである。

「貴様は一体何者で、なぜこの場所に転移することができたのか。それはこの際置いておいておこう。まず、お前は自分の事をどの程度把握できているんだ?それからその能力についても答えて貰う」

「俺の名前は、覇道 零。この世界に突然呼び出され、そしてその呼び出しの犯人であるこいつらが俺に危害を加えて俺をこんなところに縛り付けたんだ。俺はこいつに恨みがあるんだ。そして俺の力だが今は大体のことなら自由に操ることができると思う。この世界で魔法というものが存在すると聞いて俺の頭の中にあるイメージ通りに使えるんじゃないかと思ってやってみたんだがその予想が正しかったらしいな。俺に魔法の才能があったなんて知らなかったがこの調子じゃどうせ元の世界に帰っても使うことはなさそうだしな。とりあえずはここで生きていきたいとは思っているから協力して欲しい。あと俺のことを疑ってるようだから俺の力の一部を体験させてやるよ」

俺はそれだけ言うと、目の前にいた女の子を殴り飛ばすと、女の子はそのまま壁にぶつかり気絶してしまう。俺はその姿を見て少しやりすぎたかなと思っていたが他の人達の様子を見てみると全く驚いた様子がないことに気付いたのである。

「これで信じて貰ったか?」

俺はそう言って、周りを見渡すが誰も言葉を発するものはおらず俺はその場から移動することに決めたのだった。そして俺は歩き出そうとしたがその瞬間、一人の人間の手によって阻まれることになるのだった。その人物は今まで見た中でかなり綺麗な女性であり、見た目だけで判断しても20代くらいであろうということが分かったのだった。その女性の外見の特徴と言えばまず最初に目立つものが真っ白に輝く髪色だろう。その女性はかなり整った顔つきをしており誰が見たとしても綺麗だという評価を下すだろうと予測できたのだった。そして次に目に付いた特徴というのが腰に差してある二刀の小太刀であったのだがその武器はかなり独特な形状をしていた為に見覚えがないと直ぐに理解することはできていなかった。俺が相手の事を凝視していると俺の顔の近くにいきなり小太刀が迫ってきたのだった。

(えっ?)

その行動によって俺は自分が何をされたのか理解できずにその場で固まってしまう。そんな状況になっている俺に彼女は笑みを浮かべて話し掛けて来たのである。

「お前さん、なかなか見所のあるやつみたいだな。ちょっと待ってくれ、私はそろそろこの国を離れなきゃいけない用事があってさ。今はまだお前をこの国から出すつもりは無いんだけどね」

「そうなのか、まあ、好きにしろよ。それよりあんたは何でわざわざここに来たんだ?」

「私の仕事は今この国の勇者召喚を行った人物の護衛をしててね。それの引率でここまで来たんだよ。でもお前にならもう必要ないかもね」

俺達はそれからしばらくの間お互いに何も話さなかったのだが彼女が立ち去ろうとするのを見て俺もその流れに従うことにしたのである。俺はその女性の事を引き留めることはせずに、ただ、その女性が去っていく後ろ姿を眺めているだけだった。しかしその時、俺の耳に信じられない言葉が届いたのである。そして俺は、彼女の事をもう一度見ようとしたがそこには既にその女性の背中が見えただけなのだった。そしてその女性が言った言葉を俺は頭の中で反復したのであった。

(私の、仕事?)

そんな言葉を聞いた俺はその女性が言ってきた内容に頭が追いつかず、混乱していた。そんな状況で俺が呆然と突っ立っているとその女性がこちらを向いたかと思ったら俺に抱きついて来て耳元で囁いてきたのである。

「これから宜しくな!お前さんのこれからの成長を期待してるぜ?」

「あっはい、分かりました」

俺はそう返事をするしかなかったのである。そしてその瞬間俺の頭に激しい痛みが走り始める。その痛みのせいで俺はその場に倒れこんでしまうのだった。そして俺はそこで意識を失ったのである。しかし痛みが消えた後に目が覚める。しかしそこは、見知らぬ部屋の中だったのである。部屋にある窓の外には綺麗な青空が見えていて、どう見てもこの部屋に俺は連れて来られたようだった。

俺はゆっくりと立ち上がると辺りを確認してみる。すると隣では、一人の少女が何やらぶつくさ言いながら魔法の練習を行っていたのである。俺はそれに興味を覚えて暫くその様子を見ていると少女が練習をやめて俺の方をじっと見つめてくる。すると次の瞬間少女が急に慌ただしく俺の周りを走り回り始めたのである。俺が不思議に思ってその光景を見ていたら俺に向かって少女が話し掛けて来た。

「あなたが目を覚ますなんて本当にびっくりです。だってあなたは魔力を吸い取られるようにして気絶してしまったんですもの。あなたみたいな存在は今までいなかったのでどうして良いのか分かりませんでした。だからあなたをここに運んだんですよ?」

「ありがとう。ところで君は一体?」

俺はこの世界の人間が俺の事を認識しているということに少し違和感を覚えるが、この世界の人間が認識していてもおかしくないと思いその考えを頭の隅に追いやった。

「そうですね、まだ名前を名乗ってはいませんでしたよね。改めて自己紹介させていただきます、わたくしの名前は アメリアと言いましてこの国を治める王家の長女になります。よろしくお願いします。それであなたの方の名前を教えて頂けませんか?」

俺に話しかけてきている目の前の少女は銀色の長い髪を肩まで伸ばしており、瞳の色は綺麗な青色で、身長が150cm後半といった感じである。そして服装は白を基調とした服で、かなり可愛らしい容姿をしているのである。そして俺の方を見上げていたのだがその体勢でずっといるというのは疲れたらしくすぐに姿勢を戻していた。

「俺の名前は覇道 零っていうんだが、この世界には名字はないのかい?俺の場合は名前が苗字ってところになるわけなんだが」

俺は一応聞いてみたのだが特に反応が返ってくることは無かったのである。

俺はそんな様子を特に気にすることなく会話を続けた。そしてその最中、ふと、ある事に気が付いた。その会話の最中で何故か俺はその少女に威圧をかけていたのである。それは別に意図して行ったものではなく無意識のうちに行ってしまっていたのだが、どう考えても異常なことだった。しかし、俺はそれに気付かず会話を続けてしまった。俺は、自分のステータスを確認すれば俺がどれだけ強いかを理解できるかもしれないと考えステータスを確認する。

名前:覇道

零 年齢:19

種族:ヒューマン

性別:男

状態異常なし 職業:魔剣士 Lv.99(MAX)

体力

:10,000,000/10,000,000

精神力 :65,059,000攻撃値:84,071,000

防御値:23,433,000

俊敏性:42,350,000

知力 :26,420,000

命中精度:0,059

幸運度:13,029

魅力 :259,300 《固有スキル》 【絶対貫通】

〈あらゆるものに干渉されない〉 〈物理ダメージを無効化できる。魔法ダメージは無効にならない〉

『???』

〈特殊スキル???〉

「おい! なんでそんな目で見られる必要があるんだ? まるで俺が悪いみたいじゃないか」

「ごめんなさい。あまりにもレベルが高すぎて驚きを隠せなかったものですから」

「そんなもんか?」

俺は俺自身に起きている変化については特に気にすることはなく会話を続行した。

そして俺達はしばらく話し続けていた。その間俺は、自分の持っているこの世界で使える技などを一通り彼女に教えた。

それから数日の間俺達の関係に変化が起きることはなく、毎日同じような日常を俺は彼女と過ごしていた。そして俺達の関係は友達以上恋人未満といったもので俺は俺なりに結構頑張ってアプローチを仕掛けたのだが中々手応えを感じることはなかったのである。

そんなある日、俺がいつものように部屋の中でのんびり過ごしていると部屋の外から大きな音が聞こえてきた。俺は急いで部屋から出てみると、どうやら城のどこかから爆発音が発生したようだ。俺の目の前に立っていた人物も何が起きたのか分からないという顔をしながら呆然としている。俺はその様子を見ながら、何が起こったのかを確認しておこうと決めて音の鳴った方向に向かってみることにした。

俺は、音が鳴っていた場所に向かい廊下を走る。途中ですれ違う人などは俺の姿を見ると慌てて頭を下げたりしていたが、そんな事をされてもあまり意味がないと分かっているので俺は気にしないことにした。そして俺は、爆発があったと思われる場所に辿り着いたのだがある物が地面に落ちていた。それはどうやら、人の骨のようであった。その物体を確認した俺は、この城の中に何か危険な生き物が入り込んでいる可能性があると思い俺は、その現場から移動することにした。そしてその場所から離れた所で俺は先程起こったことの犯人を突き止めようと決めたのだが、それが俺にとってかなりの面倒事に巻き込まれそうな気がしたので一旦考えることを止めにすることにした。しかし、俺はそこで少しだけ思い出すことがあった。確か最近この国に新しい魔王が誕生したという話を聞いたことがあるということを思い出したのである。

(まあ、俺には関係ないだろう。それにあの程度の奴になら負ける心配もないだろ。それよりもさっきの音の原因を調べに行くか)

そう思うと同時に俺の目に飛び込んできた光景とは、一人の男が巨大なドラゴンと対峙している姿であった。男は必死に戦っているような様子だったが、既に満身創痍と言った状態のように見える。しかし、俺がその戦いを眺めていても、戦況が変化する気配はなく徐々に追い詰められていっているように見えてきた。

すると突然、俺が眺めている先に一人の少女が走って向かってくるのが視界に入る。少女はその男の方に手を向けて叫んだのである。そして少女は、男に向かって回復の呪文を使ったようで、見る見るうちに男の状態は元に戻っていく。

俺がその光景を目にしながらその少女の事を眺めていると不意に声をかけられる。

「お前、さっきまでそこでなにしてたんだ?」

「ああ、なんか物凄い勢いで走っていた女性がいたんでな、その女性のことが少し気になったんだよ」

俺はそんな適当な言い訳を口にしていた。しかしそんな俺の事を彼女は信じてくれて、それ以上は追求されることはなかった。そしてその後彼女は、俺の隣に来て俺と同じように目の前で行われている戦闘を見ていた。それから数十秒後、彼女はその二人に加勢するために向かっていった。しかし彼女はどうやら、足がかなり遅いようで俺達が駆けつけるまでにかなりの時間を要することとなった。

しかしその間にも、状況は刻々と悪くなっていってしまっていた。俺はそんな現状を見ていられなくなり思わず彼女達に近づいていく。

「なぁ、俺が助けてもいいのか?」

「はい! お願いできますか?」

俺は彼女の言葉を聞くとその方向に駆け出す。そして俺はドラゴンの腕を掴むと思いっきり振り回す。すると俺の予想通り俺の体は徐々に宙に浮かび上がる。

俺がドラゴンの体に纏わりついた時にドラゴンは一瞬で俺を振り払おうとしていたが、俺は全力を込めると俺はなんとか耐え抜くことが出来た。

そして俺は腕に力を入れるとドラゴンの巨体を軽々と吹き飛ばすことに成功する。そして俺が空高く飛び上がった時だった。どうやらその隙に俺は背後に回りこまれたようで、俺の背後には大きな岩のような拳が今まさに振り下ろされようとしている瞬間だった。俺はそれを確認すると共にその攻撃に対して俺自身もカウンターでその攻撃を受け流そうと思った。しかし、俺は俺の直感に従ってその場から緊急離脱を行うと、その直後俺の真横に大きな衝撃音が鳴り響いた。

「危なかったー」

「あなた大丈夫ですか?」

「ああ、俺は無事だよ。でも、あんたらの方はどうなんだ?」

「私達はまだ平気ですが」

俺の問いに少女がそう答える。

すると次の瞬間またもや後ろから攻撃を仕掛けてくる。

「あなた達は逃げてください。私がこの敵を引き付けますのであなたは、早くその者達と一緒に逃げなさい!」

「いやいや、君も一緒に逃げるぞ」

「いえ、私は一人で十分ですのでどうか私のことは気にせずにお逃げください。それに私はこの国の王女であるアメリアですのでこの国は絶対に守らないといけません。それにあなたが居ても大して役に立ちそうもありませんし、あなたをここに残すよりもまだましだと思いますよ?」

「はっ、確かにそうかもしれねぇけどこんなところに一人置いておくわけにもいかんだろ?それにこの世界に来たばかりの俺が、この国を守ってやるなんておこがましい話かもしれない。それでもやっぱり俺は見過ごすわけにはいかないんだよ。それにこの国の連中は俺の知り合いなんだよ、あいつらはこの国を守る為なら自分を犠牲にするようなバカ共だからな。ここで逃げたりしたらそいつらの面目が立たないだろ?だから、俺はお前を安全なところまで送り届けてからここに戻る。俺が戻ってきた時には全て片付いているって寸法なわけだ。」

「え? どうしてあなたが私の知っている方達のことを? 」

「まあそれは気にする必要はない。とりあえずここから離れて避難しようぜ」

俺はそんな言葉を吐きながら少女の手を引く。

そして俺は走り始める。しかしその瞬間少女の力が抜けたかと思うと俺は急ブレーキをかけて少女を庇うようにして立ち止まった。

「何のつもりだ?」

俺は目の前のドラゴンにそう問いかける。しかし返答が返ってくることは無かった。そして俺はこのタイミングを逃すまいと俺は自分のスキルをフル活用して一気に勝負を決めにかかった。

俺はまず相手の足元を重点的に狙った。

【覇道の太刀】発動!! 〈覇道零専用オリジナル技、相手を即死させなければどんな相手だろうと体力と魔力を奪い取ることが可能〉 その技を喰らわせることに成功したのだが俺の予想外なことが起きた。俺の攻撃によって、体力と魔力を奪っていた筈の相手が突如俺の事を掴んできたのだ。

そして俺は思い切り投げ飛ばされた。しかし俺は諦めず立ち上がると再びその攻撃を繰り返すことにした。しかし、俺の攻撃はどれも有効打になることなく全て回避されてしまう。

(やばい、これじゃ俺のスキルの方が力尽きちまう)

俺の思考はそんな焦りに包まれていった。そしてついに俺は追い詰められてしまう。

「もうダメなのか?」

「そんなことないですよ! まだまだやれるはずです」

「お前は何を根拠にそんなことを言っているんだ?」

「そんなものあなたの持っている力を信じているからに決まっているじゃないですか」

「俺の力か、確かにこの世界の誰よりも俺は強い。でもな今の俺はそれだけじゃ通用しないんだ」

「どういう意味なんですか?」

「そのままの意味さ、俺は俺が弱いということをこの世界で知った。でもそんな世界でも俺は負けてやる気はない。例えどれだけ絶望的な戦いであったとしても俺は、俺は勝ちにいってやる。だってそれが俺の人生だからだ!だから俺は絶対に負けることはない」

俺は目の前の敵をじっと見据えると自分に出来る最高の技を使うことに決める。

(俺の持つ技を全て使えば必ず奴を倒すことができる。問題は俺がその技を完璧にコントロールできるかどうかということだがやってみないことには分からないから仕方がないだろう。もしこれで俺が奴の攻撃を受け止めることが出来れば俺達の勝利は間違いなし、逆にもし失敗してしまった場合にはおそらく俺が死んでいるということだ)

俺はそう覚悟を決めると俺は、全ての力を注ぎ込んで剣を振るった。そしてそれと同時に敵の拳もこちらに向かって振るわれる。しかし俺はそれを受け止めるのではなくあえて攻撃に使ったのだ。そして俺はその攻撃を見事に成功させる。

俺とドラゴンの腕との正面衝突の結果俺は意識を失ってしまった。そして俺が再び目を開く時には俺はどこか知らない場所にいた。しかし俺はこの場所について疑問を抱くことはなかった。なぜならその場所に先程俺が対峙したあのドラゴンが存在していたからである。しかしそんなことは些細なことでしかなかったのだ。何故ならドラゴンの近くに俺と同じような姿の人物が存在したからだ。

その人物は、黒い髪をしていて、顔のつくりや身長、声質なども完全に俺そのものであった。

しかし俺とは明らかに異なる部分があるそれは、俺とは似ても似つかないような顔つきをしていたこと、それからもう一つあるとすればそれは圧倒的な存在感であった。俺がドラゴンと戦っていた時の緊張感を遥かに凌駕するほどの圧力を感じることが出来る。そして俺はその人物が俺が戦ったドラゴンであるということを理解する。しかしそんな状況の中でも俺は何故か冷静に物事を考えていられた。俺はこの不思議な感覚に戸惑いを覚えるもののすぐにそんなことを考えている余裕はなくなることとなる。

突然ドラゴンは口を開けるとその中が光始めたかと思うと次の瞬間眩いほどの閃光とともにその衝撃波は俺に襲いかかった。そして俺もその衝撃波に巻き込まれたわけであるが、俺はなんとかそれに耐えきることが出来た。

俺はこの時になってようやく俺は、自分が置かれている状況を把握できた。

「なるほどな、お前はこの世界に存在している本物の俺なんだな?」

「はい、そうですね」

俺は目の前のもう一人の俺の言葉に対して素直に従うことにした。しかしそんな会話の最中でも敵の攻撃はやまないどころかむしろ更に威力を増した攻撃に切り替わっていた。そして俺達も徐々に劣勢に立たされていき、ついには絶体絶命の危機に陥ったのである。しかしその時俺は唐突に思い出した。俺は確かあの場所で死んだはずなのになぜか今こうして生きている。しかも俺が今まで培ってきた経験をしっかりと覚えている。ということはつまり、俺がここで死ぬ未来は存在しないということが証明された。しかしこのまま何もせずただ見ているだけなのはどう考えてもあり得ない。

「悪いな、俺は今この場にいる俺とは違ってまだ死にたくないんだわ。それにお前にはまだ聞きたいことが山のように存在するんでね、俺の為にその体をしばらく預けてくれよ」

「分かりました」

俺は目の前の存在の了承を得た上で早速攻撃を仕掛けることにしてまずは相手の背後に回ってみることにする。

俺はまず相手の背後から攻撃を仕掛ける為に回り込む。そして相手の背中がはっきりと見えた時だった。ドラゴンは突如体を翻すとこちらに顔を向けてくる。俺はドラゴンの動きに驚いて思わず動きを止めてしまったが、相手は俺のことを見失うこともなく、正確に俺に向かって攻撃を放ってきた。その攻撃を何とか避けることに成功するも俺も既にボロボロだった。それでもまだ戦う意志を失わなかった俺は再び行動に移ることにした。

しかし、その攻撃すらも回避された上にカウンターを食らってしまった俺の体は一瞬で遥か後方まで吹き飛ばされていく。そんな攻撃を受けたせいもあってか、体が言うことを効かない状態でいる俺のもとに先程の黒い俺が近づいてくる。

「どうだ?この身体の操作の仕方については慣れたか?」

「はい」

「よしじゃあそろそろ行くぞ」

「ちょっと待ってくれ!」

「なんだ? 何か他に質問か?」

「あそこに倒れているもう一人の俺はいったい何をしようとしているんだ?」

「それはお前自身が一番分かっているんじゃないか?」

「いや全く分からんが、それよりもあれを止める手段はなんか無いのか?」

「あると言えば有る。しかしその方法が果たしてあいつに通用するかどうかはまた別問題だが」

「そんなこと言ったって俺はあいつの攻撃を一度も喰らうことなく避けきっているし、俺もあいつと同じぐらい強いぞ?」

「まあまて、もう少し話を聞く時間があってもいいだろ?」

「分かった、とりあえず話は聞いてやるよ。でも早く終わらせるぞ?」

「それでいいよ、とりあえず話を続けるぞ?そもそもどうしてあいつの狙いは分かるだろ?」

「ああ、多分俺が死にかけてからこの世界がおかしくなり始めたことと関係しているだろ? この国を守って欲しいとかなんとか言われているみたいだし、あいつはその目的を果たすためならば命をかけても構わないっていう感じだろ?」

「そこまで分かっていたら十分だな、俺がお前と交代するのはあいつの攻撃を避けることに集中すれば自然と入れ替わるようになっている」

「そう言えばどうしてお前は入れ替わったりするんだよ?普通こういうのって、俺の方の魂を俺が引き取って俺の方にお前の人格を移すとかじゃないの?」

「そんなもん俺が知るわけないだろ? ただ、お前にはどうしても死んで欲しくないと、心からそう思えたってだけだ。だから俺がこうしてお前の体の主導権を奪って戦えている訳だ。しかしそれもいつまでもつやら」

「まあそれはそうだがな、俺だってまだまだやりたいことや見ておきたい景色もあるからこんなところでくたばるつもりはないからな。俺をこの世界に呼び込んだやつは許せねえけど、今はとにかくこの状況を乗り切ることが最優先事項ってことだな」

「その通りだ、さて、準備もいいようだし、いくぞ?」

「おう」

俺と俺との会話を終えると俺は意識を完全に自分のものに切り替え、俺は俺に自分の意識を譲渡すると俺はすぐさま俺の元に向かって走る。しかしそんな俺の行動に敵が気づいて俺に殴りかかって来るがそれを紙一重のタイミングではたき落とす。そしてそのまま俺は俺に襲い掛かってくる敵を迎撃するために俺は攻撃の手を休めること無くひたすら攻撃し続ける。しかし俺が思っていたよりもずっと手強く、なかなか俺が攻撃を当てることができない。

(やばい、このままだとかなり不味いな。俺の攻撃が当たらないばかりか逆に攻撃を当てられ始めている。このままだと負けるのは目に見えているからなんとか打開策を講じなければ)

俺は俺との戦いに意識が行きすぎているあまり背後に迫りつつある危機に気づくことが出来なかった。そしてその攻撃によって俺は意識を失ってしまったのであった。

俺は意識を取り戻した後すぐに立ち上がり戦闘態勢を整えていつでも対応できる状態にはなっていた。しかし未だに戦況は全く変わらず不利な状況が続いているのもまた事実であった。そんな状況下で少しでも有利になるためにもまず俺が出来ることはなんだろうか。そんな事を考えていた時にふと思い浮かぶものがあった。それは俺がこの世界に来た時最初に出会ったあの人物だ。しかしあの人物が味方である確証など一切ないため迂闊にあの人について探りを入れるのはやめておいた方がいいのかもしれない。しかし、俺達はあの人がくれたこの力を使って今こうして奴に立ち向かえているのもまた確かだ。

(まあ確かに、あいつが俺たちにとって本当に必要かどうかなんて判断するにはまだ早いよな。ここはまず奴を倒すために俺が持っている全てを出し切ってみるしかないか?)

そして俺は剣を抜く。俺が持つ最強最大の一撃をもってして俺は勝負に出ることにした。俺は【天武】を使い身体能力を格段に上昇させるとすぐに目の前に存在していた俺のコピーに対して攻撃を放つ。俺が繰り出したのはこの世界で最も多くの生物を殺してきた必殺剣、それを全霊の力と想いを込めて放つことによって繰り出されるその剣は俺が想像していた以上の威力を誇り俺と俺との死闘は俺の剣により決着がつくことになった。俺はその場に座り込みながらも先程の戦いで得たものを確認する。そしてそれと同時に疑問が生まれた。なぜ俺はこんなに強かったのか、という疑問についてである。しかし俺はすぐに答えを出すことに成功したのだ。俺は一度、いや正確には何度もこの世界にやってきたのだ。しかし俺は俺に勝つことはできなかった。俺の実力には常に大きな差があったからである。しかし今回の戦いでは違う。俺は俺に負けなかった。そのおかげでこうして俺は生き残ることができたのだ。

(しかし結局のところ俺はあいつに勝つことは出来なかったがそれでも今ここにいる俺は紛れもなく俺がこの世界に来て初めて勝った存在ということになる。それを考えるとやっぱり俺と俺の差をここまで大きくしたのは俺に力を貸してくれているこの人たちなのだろう。それにしてもやはり凄い。この力を使えるようになったお陰でこの世界でも生き抜いていけるという自信がついた気がしたよ)

そして戦いを終えた俺は俺の元に向かって歩くと俺に話しかける。

「お前が倒したことで、あいつはしばらく動けないはずだ。その間に俺が元の世界に帰る方法を探しに行く。俺ももうすぐ元の世界に帰れるようになるはずだから安心してくれ」

「いや待て、そんなに急ぐ必要があるのか?まだ俺達が元の世界に帰ってないのに勝手に決めつけちまっても大丈夫なのか?」

「それはそうなんだけど、この世界の歪みもそろそろ本格的に修復されるころだと思うんだ。そして俺も恐らくあと数十分で完全にこの世界から姿を消す。だからこそ、早くしないとこの世界が完全に消滅してしまうんだよ」

「なるほどな、でもそんなすぐに見つかれば苦労しないんだろうけどな」

「そうだけど俺も必死に探し回るつもりだよ。だから俺はここで一旦消えるけど、必ず見つけ出してみせるから心配はしなくていいぞ」

「いやまだ全然心配することだらけだろ!そんなの信じられるかって話になるだろ? 俺も付いていってお前に色々と説明を求めるからな?」

「分かったよ。それならそうと早く行こう」

「おい待ってくれ、今お前の体を借りている状態の俺は今からどうやって帰ればいいんだ?」

「あー忘れてた。そのことについては完全に想定外の出来事が起きてすっかり頭の中から抜け落ちてたよ。どうしようかな、お前が目を覚ましたときに俺がちゃんと残っていれは多分問題なく戻れると思うんだが、流石に俺の体も相当ダメージを食らっているしこのまま放っておくと死ぬ可能性もある。でも俺がこの場を離れるのはどう考えても不味いだろ? どうしたものか」

俺が頭を悩ませているとその様子を見ていた男が口を開く。

「その必要はないよ。俺も少しだけ君達に興味が出てきた。君達の手助けを俺がすれば問題はないだろう?」

「あなたは一体誰ですか?」

「俺か?俺はこの世界を管理している神だ。まあお前はこの姿は見ていないはずなんだけどな」

「この世界を管理しているって、それはどういうことなんですか?」

「お前らは勘違いをしているんだが、そもそも俺がここの空間を作り出したわけじゃない。俺の力はあくまでもこの場所の維持のみだ。つまりお前たちがいた場所はそもそも存在しない。まあそこがどんな場所であったのかというのはお前たちが一番分かっているんじゃないか?」

「じゃあその言い方からすると、俺はお前の作った世界を壊すことに手を貸せって言っているようなものだぞ?」

「そういう解釈もできるな、でも別にそれで構わないぞ。だって俺の作りだしているこの世界の人間なんて、ただの駒みたいなものだし」

「ふざけるなよ? この世界に生きている人は皆、自分だけの人生を精一杯に生きる為に努力を惜しまない人達なんだぞ?」

「はっ? 何当たり前のことを言ってるんだ? そんなの、俺の生み出した人間が元々持ってる特性を利用したら簡単なことだろ?むしろ感謝して欲しいくらいなんだが?」

「ああ、そういえばそうだったな、あんたら神様には人間のことなんて関係無かったな」

「いや?一応関係はあるぞ?お前たちのような存在がいる限り俺の存在もこの世界で生き続けることが約束されている訳だしな」

「そうなのか? 俺は俺以外の神様なんて見たことも聞いたこともないからよく分からないんだよ」

「そんなことをいちいちお前たちに言う訳ないだろ? そんなこと言ってもお前らが混乱するだけだから言わないんだよ。お前たちはただ黙って俺に従っていれば良いんだ。俺の言いたいことが理解出来たか?まあとりあえず俺と一緒に来てもらうぞ」

その男はいきなり俺達に攻撃してくる。しかし俺はそれを何とか防ぎきることには成功するがしかし今の攻撃はかなり危なかった。もしあそこで反応が遅れていたら確実に俺は殺されていたであろう攻撃であった。そして俺は咄嵯に俺はその男の隙を突いて男に攻撃を仕掛けるが俺の放った攻撃はその男によって簡単にあしらわれてしまった。

「そんなに俺を殺せる機会を逃したのが悔しかったのか?」

その瞬間、俺の背後に何者かが現れる気配がしたため、俺はすぐに攻撃を中断し後ろを向き、相手の姿を捉えると俺は驚愕する。その相手の姿は俺と全く瓜二つ、いや俺と同じ存在であったのだ。しかしその俺は俺とは違い髪の色が白銀色をしていた。そしてその俺と瓜二つの男は俺に話しかけてくる。

「やぁこんにちは!俺はこの世界で君の肉体の管理を任されてるんだ。そして君の体を返して欲しくば、俺を倒さないといけない」

俺にそう言ってきたもう一人の俺に、俺ではなく俺が声をかける。

「いやいやいや、さっきの会話聞いてただろ?俺の体は傷ついていて今すぐ動くことが出来ないから、代わりに俺と俺のコピーが戦うんだろ?」「まあまあいいからいいから、とりあえず俺と戦おうぜ!」

俺が何かを言い返す前に俺と俺の会話は終了した。俺はそんな二人の様子をただ見ているしかできなかったのだ。そして二人の闘いが始まったのだが、俺の目から見るその様子は全く同じようでいて、実は細部までしっかりと違いが存在していた。俺はどちらが本物の俺なのか一瞬分からなくなったほどに両者の実力には圧倒的な差があったのだ。しかしそんな中でふとあることに俺は気づく。俺が先程出したあの技が全く俺と奴に通用していないということにである。しかし俺と奴ではあまりにも力量に差がありすぎるせいで俺の攻撃は俺の思うような結果に繋がらないのは明白であり俺は焦りを感じていた。

(このまじゃ、この体が破壊される。俺の本体の方も俺の体の状態を考えるといつ限界を迎えてもおかしくはない)俺はこの状況を打破すべく動き出す。

俺はまず目の前に存在しているもう一人の俺の行動を注意深く観察することに決める。俺の行動の全てをコピーすると言っていたがどの程度の能力を持っているのかを確認する為でもある。俺は【天武】を使うと同時にその効果を上昇させる。これにより俺自身の攻撃力と身体能力は格段に上昇するので俺は俺に勝つことができるはずである。俺がまず最初に取った行動は自分の持っている最大の武器を使って攻撃する事である。その攻撃とは相手の能力のコピーが出来ないのか、という試みだ。

俺の攻撃を俺は難なく受け流す。だがしかしそれは想定内である。俺はすぐさま攻撃パターンを変えて次の攻撃に移る。しかし俺の全ての動作に対して奴は完璧な対応をしてみせるのだ。その度に俺は手を変え、品を変えるがどれも全て失敗に終わる。俺の動きは全てが完璧に見切られているのだろう。それに加えてこの俺のスピードについてくる時点で俺と奴の差は絶望的なほどまでに離れていることが分かってしまった。そしてそれと同時に自分の実力に悲観してしまっていたのだ。

しかしそんな状況の中でも俺は必死になって戦い続ける。俺がここで折れればこの世界が終わるのもほぼ確実となる。そう考えただけで俺の体からは無意識の内に力が溢れ出してきたのである。そしてその瞬間、俺は一つの答えにたどり着くことが出来た。俺が奴と対等以上に戦う為には今までのやり方が通用する筈がない、そしてそんなことが出来る可能性がある方法と言えば俺には一つしかない。

俺は意識的に体のリミッターを外すことによって通常時と比べて数倍の力を発揮して闘うことが可能であるが、これを更に強化することによって俺は一時的にこの世界に存在する神の領域に辿り着くことが可能となる。

そうこれは俺が編み出したオリジナルの技法であるが、この世界に存在し、神と呼ばれる程の者であればこれを行う事が出来るはずだと考えたのがきっかけだ。そしてこれが成功したとき、俺はこの世界でも屈指の力を得ることが可能となるのである。

その効果は凄まじく俺の体からは既に人智を超えるエネルギーが放たれ始めていた。

俺が本気を出して攻撃するとその攻撃に奴が追いつけなくなり始める。

「おい、もうお前の負けだ。諦めろ」

「いやいやいや、こんな所で諦めるわけないだろ? そもそもお前はなんなんだよ?」

俺の言葉を聞いた途端急にそいつの様子が豹変する。まるで別人のような顔つきになったと思った矢先、そいつの身体から尋常ではない量の邪気が放出されている事に気づいた俺は慌てて距離を取ろうとするが既にそいつもの速さは俺を凌駕し、あっと言う間に間合いを詰められる。俺はそいつの攻撃を防ぎきると反撃をしようとそいつの腹部に拳を叩き込もうとするがしかし俺の一撃は受け止められてしまう。

俺は直ぐに離れようとしたが何故か足が動かないことに気づく。俺は足元を見渡すと、そこにあったのは俺が作り出した影に両足を掴まれているという現実に思わず目眩を起こしそうになった。その一瞬の出来事が命取りとなってしまったのか俺はそのまま地面に引き倒されてしまう。そんな無様な姿を晒す俺の腹を俺は思いっきり踏みつけられたかと思うとそのまま蹴られて壁に激突してしまう。そのあまりの威力に肺の中の空気が全て押し出されてしまい、まともに呼吸が出来ず苦しんでいたところを何度も殴りつけられていく。そして最後に思い切り顔面を蹴りあげられた。

俺の顔にはかなりの衝撃を受けたため恐らく腫れあがっていることであろう。それに加えて今のダメージのせいで俺の精神が保たず今にも精神崩壊してしまいそうな勢いであった。俺自身かなりヤバい状況だと自覚していたものの、これ以上は俺が持ち堪えることが難しいことも理解しておりこのままでは本当に死ぬことが分かっていた。だからと言ってここから逆転の策があるかと言われても全くと言っていいほど無いのも確かであった。

(ああクソッ、こんなところで終わりなのかよ。折角この世界を救うっていう希望が見えてきたところだったのに、俺はここまでなのかよ。そんなことを思っていた俺であったが、その時頭の中に不思議な映像が流れ込んで来る。その映写された景色を見てみるとどう考えてもあり得ない光景が広がっているのだ。

その世界では、俺と同じ容姿をしている俺が目の前にいる敵を圧倒していっているのだ。そしてその姿を見た俺は自分が何をしなければならないのかが瞬時に理解できる。俺自身があの世界に行けば確実に俺は勝てるのかもしれないと、俺は直感でそう判断したのである。俺はこの窮地を脱出するべく全力で駆け抜ける、そして俺はこの世界を救い、この世界を本当の意味で救うためにも、俺はこの世界で絶対に倒れない。この世界での俺の役割は、こいつしか居ないからだ。そして俺はもう一人の俺が居る戦場へと飛び込んだのだった。

俺の姿を確認した俺はその男が誰なのかを認識すると思わず笑みが零れる。

(やはりこの世界でこの姿になっているのが、この男だったようだな。俺がこいつと戦っていた時には俺の本来の肉体の修復が間に合わなかった為、俺が代わりに闘っていたのだがな)

「ああ、やっぱりあんたが俺の体を使っていたのか。まあいいさ俺にはあんたらと戦う目的は無いんだ。俺は今、ここにいる俺にしか興味がねーからな」

「ああ、お前の目的は分かっているさ。だが残念なことに今お前がしようとしている事は無駄なことだ、なぜならばその体は壊れかけている。その体じゃ俺に勝つことはできないだろうから大人しく俺に従っておけ。そうしたら俺は約束通りこの世界を平和にするために動くことを約束しようじゃないか。それが嫌だというのならば俺に殺されるのを待つがいい」

俺はその言葉を告げて戦闘態勢を取るがしかし男は笑いながら答える。

「クク、ハハハッ! 馬鹿じゃねえのか!?俺とあんたの力の差を考えればそれは自殺行為でしかないだろ?」

「いや、俺はお前に殺されない、何故なら俺は、この世界の為に俺はこの命を捨てることをいとわない、この世界は俺にとってかけがえのない存在なんだ。それに俺が死んでしまえばこの世界もまた滅ぶことになる、俺はそんな結末だけは絶対に許容できないんだ。だから俺は何が何でも生き残る、たとえこの身が朽ち果てようともだ!」

俺はそういうと即座に行動に移し攻撃に移る。そして俺が繰り出した渾身の一打を受け止めた相手だったが、流石にその一撃を止めることはできず俺に押し込まれていった。だがしかし、相手もそれで終わらず反撃に打って出るがそれを俺は余裕を持って対処して見せる。しかし相手の方はというと次第に俺の攻撃についていけなくなっていき俺のペースに呑まれていた。

「チッ、一体どんなカラクリで俺の動きについてこれるって言うんだよ?」

俺はその質問には一切答えずひたすら攻撃をし続ける。しかし俺が相手にしたところで明らかに俺の攻撃の方が早い筈である。にもかかわらず俺の攻撃を受けきる事が出来ないでいることに奴も違和感を感じているのだろう。俺の方から攻撃を仕掛けてくるのであれば奴の方でも対処できるが、俺の方からは仕掛けて来ないというのが不気味である。

(おかしい。俺とこいつの力量差はそこまで開いている筈じゃない。むしろ互角の筈なのだ。なのにどうしてこの男の俺に敵わなかったのに、この世界を救うはずの勇者の俺がこんな雑魚共に苦戦している? 俺の体に何か変化が起きているのは分かるが、この世界の人間達が俺達のように異世界の者よりも弱いなんてことがあり得るのか?)

俺がいくら考えようにもその結論が出ることはなかった。俺達は互いに相手の動きを読み合っているような展開となっていた。だがしかし俺の方はそろそろ限界が近づいていた。というのも俺の体が悲鳴をあげ始めたのだ。おそらくそろそろ限界が訪れる頃だろう。俺自身もそう感じていたが、今は目の前の敵に勝利する為に自分の事より勝利する事だけを考えて行動することにする。そして俺は最後の切り札を切ることに決める。

俺はこの技を使うと必ずと言っていい程意識が混濁する。だがこの技を使えば俺と俺が融合することにより一時的に身体能力が爆発的に上昇することになる。そして今の俺はその力をコントロールできなくなっている。しかし逆にその力で奴を倒してしまうことで、俺はその代償を支払うことにより力を得る事が出来る筈である。その証拠とばかりに俺は俺の力が徐々に強まっていることが実感できている。

しかし奴もそんな俺の様子から危険な雰囲気を感じ取っているらしく先ほどとは比較にならない程の気迫が感じられる。

(まずい、奴の力がどんどん上がっている。もう既に奴の動きを捉えきれないレベルにまで達そうとしていた。俺がこのままでは確実に負けるという事が分かっていたが、ここで引くわけにはいかなかった。ここで引けば俺は俺自身に敗北し世界も滅びてしまうのである。俺は自分の為にも自分の大切な人の為にもこの世界を守らなければならない。俺は俺自身を偽ってでも俺は守りたいものがある。だから俺に勝たせてもらうぞ! 俺は自分自身との戦いに打ち勝ち俺は勝利した。俺と俺とがぶつかり合ったその瞬間、俺と俺との境界線が無くなって行く。そしてその境目から俺は意識を手放したのであった。

私には何もかもが分からなくなっていた。

私は自分が今何処にいて、何をしていて、これから自分はどうすれば良いのかという事も分からなくなってしまったのであった。

私の目の前にはかつての親友がいた。親友はとても辛そうな顔をしながらも、その目に宿る光は確かな決意が見えた。彼はその表情を浮かべたまま何も言わずに消えて行ったのである。私はそれを追うことが出来なかった。

彼の言葉からこの世界に魔王と呼ばれる者達が存在するということが発覚した。彼が話してくれた内容は、私が聞いたことのある内容から大幅に違っており、まるでこの世の真理を知っているかのように語ってくれたのであった。

しかしそこで気になる発言が飛び出す。その昔、神と呼ばれた者達はこの世界を創造したとされる。そしてこの世界に生きる全ての生命体を造り出し見守る事にしたという話を聞いた時、私の中である一つの疑問が生まれたのであった。

「この世界で神様を信じる宗教があったとして、なぜその神様が私たちを助けてくれなかったのですか? その理屈はおかしくないでしょうか? この世界の人々は神様を信仰することによって幸せになったんですよね? ならば神と等しい存在を作り出した人達にその加護を与えないというのは、そもそも可笑しいと思うんですが? それにその話と勇者召喚の話を結びつけるとするならば、この世界の人々が自ら招いた結果を他の世界の人々に任せるというのは少し無理があると思うんですけど」

私の発言に対して勇者の少年は驚いたような顔をした後苦笑いしながら返答してきた。

「そうだよね。普通は僕みたいなことを言ってくる人が沢山いるはずだ。だって僕らがやっていることは、この世界が滅亡しようとしない限り関係のないことだからね。ただ僕はそんな事を気にしたことが無かった。だけど君の言葉を聞いて考えさせられたよ。確かにこの世界の人々の行動には問題が多かったと、この世界は本当に危うい状況になっていたんだということを、この国の歴史を学んできた僕も全く気が付いていなかった」

この国の王は自分の子供や親戚の子供たちに教育を施していくうちに自分たちがこの世界で一番優れているのだという錯覚に陥ってしまったらしい。この世界は神の創り出した箱庭でありこの世界に住む生き物はすべて奴隷のようなものだという間違った思想を植え付けられていったのだ。そしてこの世界に存在するすべての種族の頂点に自分達こそが立っているのだということを誇示するようになったのである。

しかしそのような思想を持ってしまうことになってしまったのにも理由があるようだ。どうもこの世界では魔法を行使する為に必要な魔素が存在しないようだ。そのため魔法の行使ができないのだ。そしてその事実を知る者はほんの一握りの人物だけなため皆そのことを知らずにいる。さらに一部の人々はそれを利用するためにこの国に大量のお金を流し込んでいるようで、それにより国王の力は増大していったようである。また、この国は他国に侵略を繰り返し行い領地を拡大してきたのだがその戦争も全て仕組まれていたことであるという事が発覚し、しかもこの世界は実は何者かに滅ぼされようとしているという事実も明らかになったのだった。

私はそんな事実に驚愕するが同時にその何者かというのが何者なのかが気になってしまう。しかしその問いに関しては答えてもらえなかった。その件については現在調査中だと言っていたが、私は何かしらの事情があってその真実が公表されないのではないかという疑念を抱いていた。その疑惑は見事に的中してしまうことになるのだが、この時の私はその事にまだ気付くことはできなかったのだった。

私はこの場に居る者たちの中で誰よりも一番混乱している自信があった。それは当然のことだ。何故なら突然自分の身にとんでもないことが起こっているのだと知ったからである。そのとんでもない出来事が起こった時に一緒に居た友人である彼女が突如豹変したのである。彼女はその力を使い、私と私の周りを取り囲んでいた騎士たちの命を奪っていったのである。

私も何とか抵抗を試みたがそれも虚しくあっけなく倒されてしまうと、その後彼女の操る闇に包まれた空間に閉じ込めることになってしまったのである。しかしどういう訳か私自身はその黒い闇に触れることができずに無事でいられた。そしてしばらくその闇の中に囚われていると再び外に出される事になる。

しかし外は相変わらず血の匂いで溢れていた。この場にいた人間は皆死に絶えておりもはやこの国を守るものは誰一人残っていなかったのである。だがしかし私は不思議に思った。なぜならばここに来るまでの道の至る所で人々が殺されていたので、この光景を見ても特に何も感じる事が出来なかったからだ。そして改めて周りを見渡してもやはり人の気配を感じることができないことから、すでにこの国の住民は全員死んでしまっているのではないかと思い始めていたのである。そして、ふと視線を落とすとそこに一人の女性を見つけることができた。その女性は私がこの場にやってきてから今までの短い間に何かと助けてくれた少女であり、この王国で最強の剣士であると聞いている。しかし今この瞬間だけは、その女性の顔つきもどこか寂しげな雰囲気を帯びているように見えた。そしてその女性に近づこうとした時私は自分の体が言うことをきかないことにようやく気づいたのである。しかしいくら動かそうとしてもまるで自分の体ではないかのように動かないのである。

それから私は彼女に声をかけようとした。だがそこで私は完全に意識を失ってしまい気がつくと自分の家の寝室に倒れ込んでいたのであった。あれは夢でも見ていたのではないかと思ったが私の手には未だにあの剣の感覚が残っているのである。そして部屋の中には血痕のような跡もありあの出来事が現実に起こったことだったのだと思い知らされたのであった。そして私は、自分の部屋の鏡で確認してみたところ、額には小さな切り傷があり、頬が赤くなっている事に気づく。この傷をつけたのは間違いなく私の知っている人物である。私はそんな事を考えている最中も先ほどから震えが止まらない事に気づいて、慌てて布団を被って眠ろうとしていたその時、私の家へ来訪者が訪れた。扉を開けてみるとそこには勇者とその仲間たちと思われる者がいた。

彼らはこの国で起こった事件のあらましを説明に来てくれたようであった。その事件を起こした張本人について私は質問した。その答えによると、その人物は私が想像した通りの人物であったのだ。私の予想した人物とはまさにその人のことである。私の友人にして幼馴染でもある少年と、その親友である女性がその事件を引き起こし、更にはその二人を止めに来た仲間まで殺してしまったのだそうだ。そして今その二人がどこに行ったのか分からないと、私に向かって告げたのだ。私はその話を鵜呑みにすることが出来ず何か証拠となるものが残っていないのかと尋ねてみたが何も無かった。

私は自分の目で見たもの以外は信じられないのでどうしてもその二人の話が信じれなかった。そしてその人たちの言葉を信じてしまったが為に、その人達に大切な人を殺されたという人もいるということを聞かされて、ますます私には彼らがやったように思えなくなった。しかし彼らの言い分にも納得が出来ないのである。結局その日は何の進展もないまま時間だけが過ぎていったのであった。

翌日になると私は一人で城下町にある図書館に向かうことにした。そこで私が求めているのは【真実の書】である。これは過去の記録が記された書物のことでありこの世界には存在してはいけない本であるとされているものだ。この世界が滅ぶ寸前までその存在を隠し続けられていたという幻の代物であり今ではその存在が証明されていないとも言われている。しかし私が読んだことがあるのはそこまでである。その先の話は誰にも伝わっていないのである。

しかし私はある可能性にかけてこの本を探す旅に出ようとしていた。それは先日の事件でその犯人たちが使っていた力があまりにも異質なものだったため、もしそれがこの世界の創造主が作ったとされる力であれば私はそれを使えるかもしれないと考えたのである。しかし残念ながら私はこの世界で最強クラスの魔法使いと呼ばれているにも関わらずその本を検索できる魔法すら使えないのである。そのせいもあってなかなか探すことが出来ないでいるのだ。(それなんですけどね、実は私とっても便利な魔法を覚えまして、それを使えば一発で見つけられるみたいなんですよね。ちょっと待ってくださいね)

すると私はいきなり頭に衝撃を受けて気絶させられてしまう。

私は目を覚ますとベッドの上に寝転がっていた、目の前にはあの少年ともう一人の男性がいて、何やら話しているところだったがその内容は全く理解できないものだった。

どうやらここは王宮の地下らしい。この世界が何者かによって支配されておりこのままではいずれ滅びることが分かりそれを止めるために勇者と魔王が召喚されたという話を聞いた。どうやらこの世界は私が住んでいる世界とは違う場所に存在するようだが、どうもその何者かはこの世界を滅亡させようという考えを抱かせる原因をばら撒いているらしい。この世界の王族はそれを隠蔽しているが、この世界の住民がそれに気が付き始めたことによりその計画は失敗し始めているのだという。

しかし、それでもこの計画を完全に止める事は出来ていないようで、その原因を作った人物を倒す事ができた場合のみ計画が完全に止められるという仕組みのようで私はその為の駒として呼び出されたのだということを話された。

(この世界は何者かに乗っ取られています。ですがそれが何者であるのかはまだ分かっていません。なのでまずはそれを知るための情報集めから始めないといけないんですけど、それに関してはレイリアさんに協力してもらう必要があるんですよ。というのもその人は情報通みたいで色んな人から情報を仕入れてるんです。だからその人と会ってくれないですかね?)

私には彼が嘘を言っている様には聞こえなかったし私自身も何か情報が欲しいと思っている所だったからその申し出は有り難かったのである。ただ一つ心配なのはその協力者とやらが私に対して良い印象を持っていない可能性があるという点だけである。

だがその問題に関しても既に解決済みだと彼は教えてくれた。なんでもこの世界には私以外にもその人物が呼んだ異世界人が沢山来ているらしく、その人物と連絡を取る事ができるのだという。そして私はこの世界に来て初めて信頼できる人と出会ったのだと思ったのである。

(ところで貴方は本当に信用出来るのでしょうか?その、例えばこの国を滅ぼす計画を立てたのが、あなたたちのお知り合いだったという可能性もあると思いますよ。それともこの国を支配しているのがその人の目的だという事もありえるのではないですか?それなのになぜこんなに親切なんですか?)

私はそんな疑問を口に出してみるが、彼の返答はあまり良いものでは無かった。それはその人物の正体についてはまだ分かっていない事が多く迂闊な事を言えないので、現時点で言える範囲の事だけを伝えているだけだからだという。

「そうですね。じゃあ僕の名前を教えておくことにします。実は僕の本当の名前はアデルと言います。一応偽名を使っているんです。それで今レイリアさんと行動を共にしていて、彼女が信頼しているようなのでレイリアさんの手助けをしたいと思ってるだけです。それとレイリアさんは、実はこの国の王女だったりするのですが、僕は彼女とは直接関わり合いがないんでレイリアさんの味方をするのは難しいかも知れませんが、でも彼女が苦しむような結果にならないように最大限努力するつもりでいます」

「ふぅ、何とか帰ってこれました。あれ、どうしてこの人気絶しているのでしょう。まさかこの人私達のことを襲ったのでしょうか。そうなると私達も敵と思われても仕方が無いですよね。そうですよね、この人に聞けばわかるはず。とりあえず聞き出しましょう。でも、さすがは私の勇者様、私が知りたいこともちゃんと調べてくれているようですね。でも、これはいったいどういう事なのかしら、この女とあの男はどういう関係なのでしょうか。とにかくあの男の方から話を聞き出す事にしましょうか。私としては、私以外の女の話を勇者にするのは少しだけ気に食わないですが、そんな我ままばかり言ってはいられません。これも全ては私の願いが叶うため、私は我慢するべきなのでしょう)」

その言葉を聞いた俺は心の中でほくそ笑んだ。

やはり俺の思った通りだったからである。これで俺の考えが正しいという事がほぼほぼ確定したと言えるだろう。なぜならば俺にはもうこいつが嘘をついているかどうかが分かっているからだ。この世界でそんな事をしても無意味である事を知っているからこその余裕の態度という事であろう。

この少女の名前はクレアといいこの王国の元第1皇女であった。この国は今や完全に滅ぼされてしまってるわけだがその国の皇女というのはかなりの重要度を持っていたのである。

なぜならばこの少女は国で最高の魔術師であり、さらにはこの少女を慕ってついてきている部下達がたくさんいるのだ。この子たちはおそらくこの王国最強の部隊となっているに違いない。

この少女はかなり優秀であるがゆえに今回の事件に関わっていると思われる。しかしそれはあくまでも可能性であって確信は無い。だからこそ俺に接触を図ってきたというのが正直な所なのだ。そして俺がこの国について詳しく知るために、この子と行動を共にすることが必要だと考えたらしい。だが俺も自分の身を危険に晒すことはしたく無い。そこでお互いがお互いのために協力できる事があるという事で話がついたのだ。

(私はクレアと言うものだけど、貴方が噂の勇者様なのよね。貴方のことは聞いてたわ。とても優秀な剣士がいるっていう話を。その剣技はまるで剣が意思を持っているかの如く自在に操りどんなものにも勝ってしまうほどだと言われているのを耳にしたことある。まぁ実際はどうか知らないけど、私はこの目で確認するためにここに来たの)

どうやらこの子は本気で私の剣技に興味があるようである。まぁそれだけ聞くと普通だと思うかも知れないが、私がこの子に期待していることは普通の人ではできない特別な能力を使う事ができるかどうかという部分である。つまりこの子の持っているスキルを確かめたかったのである。

この世界の人間はみんな固有スキルを持って生まれる、そしてその力はその個人によって違うのだ。しかしその力はあまりにも強大すぎると世界を壊しかねない。そのせいもあってほとんどの国でその存在は極秘とされてしまっているのだ。そしてここ最近になってその力を利用しようと画策する国が現れたという話も耳にしたことがある。

しかし今のところ私の知っている限りこの国にそのような力を使って何かしようとする人物がいないのである。

そして今回この子がこの国に来たのも私と同じ理由である。私と同じように他の国ではなかなか手に入れることができない力を持った人間がいたと聞いたので見に来てみたとのことである。

「ねぇ君。私はこの世界にやってきて初めて信頼できる人に会ったよ。だって君の事、私は好きになりそう。勇者である前に一人の冒険者。そして君は冒険者である以上に勇者なんだよ。私に力を貸してほしい。この国が滅びてしまう原因を作ったのが私たちなら、きっと止めれるのも私と貴方のはずだから、協力してくれないかな?」

私がそういうとこの勇者は目を輝かせながら私の方に近寄ってくると、嬉しそうな表情をしながら私の手を掴んできた。

(あはは、実は僕も君のことずっと前から見ていたんだ。いつも遠くから見てるだけだったけどやっぱり実際に会えたらうれしいな)

どうやら私とこの男の子の運命的な出会いはこの瞬間から始まったようであった。

その後私はこの世界で生き残るために、この少年をうまく利用していかなければいけないと考えた。その為には私が何を欲しているのかを悟られないように注意する必要があると思ったのだ。もしそのせいでこの子からの協力が得れなくなっては意味がないからね。

(私達はお互いに目的があって協力関係を結ぶ事ができたんだけど、その目的を達成するには二人だけではちょっと不安なの。私は私よりも実力のある人がほしいと思ってる。もちろんそれに関してはあなたの力を当てにしている。あなたはとても強いみたいだし。だからもしこの世界を救うために協力してくれるのであれば私はそれ相応の力を与える事が出来ると思う。あなたには勇者の力を受け継いでもらうことになるけれどいいかしら)

私がそういうと目の前の勇者は自分の顔の前で拳を作り気合を入れ始めたのである。

(任せて、必ず世界を救って見せる。僕は勇者なんだ。絶対に諦めたりなんかしない)

(ありがとう。でもあまり一人で無茶なことをしちゃだめだよ。貴方には仲間がいる、その人達を大切にしてあげる事を忘れないでね)

私はそういうがこの子がどこまで本気なのかを見極める必要がありそうだと思っていたのでこの勇者と別れることにした。

その数日後私はこの世界のことについて調べてみようと思った。この国には情報が集まりやすい人物がいてくれるから情報収集に関して心配する必要はなかったのだけど、その人物は少しばかり警戒しておく必要があると分かったからだった。それは、私にはその人と会う資格がなかったのである。その人はこの国の王女だった。だから、この国を滅ぼした存在が彼女だとばれてしまった場合に命の保証ができない。だからこの国から立ち去ろうと決めたのである。

ただその人物と話さない事には何もわからない。それに私はその人物が信頼できる人物であるとわかっていた。

だからその人に会おうと思ったのだ。

「あら、また来ていただいたのですか。今日はどのような用件でしょうか」

私が王宮の中を歩いていくとその人物を見つける事ができた。この人に会うために毎日私は通っているといっても良いくらいにその人の事が好きになってしまった。この人もその私の気持ちに気づいたらしく今では友達のような関係になっていた。ただ私はまだ本当の事を話せないからあくまで"この人に相談に乗ってもらっているだけなのだ。

そして私の目的も既に知られている。ただ彼女は私に忠告をしたの。私はその言葉を受け止める事にした。なぜならそれは彼女の優しさが溢れ出たような言葉だったから。それは私にとって嬉しい事であると同時に悲しい事でもあるの。私はこの世界を救う事ができなくてもその人たちを助けられるように尽力したいと思っているから。でもそれが出来ないという現実は受け入れなくてはいけない。私は私に出来る事を精一杯頑張ろうと思った。それはたとえ誰かを傷つけることであっても、私は私の大切な物を守り抜く事を選ぶだろう。私は私の守りたいものの為ならば悪魔になる覚悟さえ出来ている。それは決して悪い事ではないはず、その考えは決して間違っていないはず、そう私は思う事にしている。

そういえば私のお父様もこの国の人だった。

この国では代々王の一族には特殊な血筋を受け継ぐ者が産まれるようになっていたのである。

お母様の旧姓がなんだったのかは不明だけど。お父様にもその特別な血が流れており、お兄さん達にも流れているようだ。お姉さんにも受け継がれているらしい。お姉さんは特別な才能を持って生まれたらしくその能力は凄まじかったのを覚えている。私もそれぐらい特別な力が欲しいと思いつつこの人に頼ってしまう日々が続いている。

そうして私が話し始めるといつも決まって彼女は優しく笑いかけてくるのである。まるでその笑顔は私に向けられているかのような錯覚に陥りそうになるほどに。

そうして私と彼女との時間が刻一刻と流れていく。この幸せな時間が何時までも続けば良いと願わずにはいられなかったのだ。そしてこれから先も私が求め続けたものが見つかることはないかもしれない。私はそれでも構わなかったのだ。私にとって本当に大事なものは私に生きる希望を与えてくれたあの人であるのだから。私は自分の人生を賭けてでも彼女を愛すると心に誓ったのだ。私はあの人に幸せを与えられる人でありたい、私の人生を全てあの人に捧げたい、私の魂は全てあの人に繋がっているのだから。だからこの感情は本物だと断言できる。例え他の人が何と言ってこようが私の意思を曲げるような真似をしなければ何も怖くなかった。

私は私の好きなように生きるだけである。その結果どんな未来が訪れるとしても受け入れるだけだ。

そんな時であった。私の心の中に一つの映像が入り込んできた。これは一体何だろう、どうしてこんなものが私の心の中に映し出されているのだろうか。

その記憶の中で一番印象的だったのはとある男の人が必死になって走っている光景だった。この国では考えられない格好をしていた。まるでゲームに出てくるキャラクターの服装を着こなしていた。そしてなぜか彼は手にしていた剣を鞘に納めるとそのまま腰に差して、さらにもう一振り同じ剣を取り出したのだ。それから何かを確認するかのようにじっくりと見ていたかと思うといきなり二刀流で構え出したのである。それはもう芸術と言える程の剣捌きだった。私にも剣を扱う心得はある、しかしその剣の扱い方は明らかに私とは違い洗練された動きをしているのが分かるのだ。

私もその人物の戦いぶりを見てみたいという願望があったのだが、何故かこの人の事をどこかで見た覚えがあり懐かしさを感じていた。私は自分の部屋に戻ってその男の事を調べることにしたのである。しかしいくら考えても思い出せない。私も自分の力にはそれなりに自信があるのだけどどうしてもこの人を思い出せなかったのだ。仕方ないので他の方法でこの人物を探すことにするとすぐに見つけることが出来た。どうやらこの国の騎士団長として名を馳せているということが分かった。しかしその名前が問題である。その名前があまりにも有名なのである。その人物が剣を振るう姿はまさに神業と呼ばれる程であり、その姿は美しくも凛々しくそして力強く、見るもの全てを魅了するという話を聞いたことがあるのだ。その強さは一国を相手にしても全く引くことなく戦い抜いたという。

私がその人物について知ることが出来れば色々と役に立てるはずだと考えたのだ。そこで私がまず考えたのは彼に手紙を送るという方法であった。この国には直接本人を尋ねる事ができる窓口のようなものが存在しないため私が彼の下に訪れても怪しまれること無く、むしろ感謝されるはずである。しかし、それは私にとっても危険な行為なので却下である。

そうなると他に考えられる手段といえばその男の行動を監視してみるということだけであった。その人物の動きをある程度把握することができれば後はその行動パターンを把握していけばいいのでなんとかその方法を取ろうと考えていた。

そして私は早速行動に移した。私はその騎士の訓練風景を見る事ができる場所までやってきたのである。そこは訓練場になっておりそこには何人もの騎士達が鍛錬を行っている姿が目に入る。

私に話しかけてきた男性に案内され、その場所でしばらく待っているとその人物が現れたのである。

私はその姿を見て驚愕すると共に思わず見惚れてしまったのだった。その男は一言で言えば美男子であると私は思った。その鍛え上げられた肉体が私に訴えかけてくる、お前はまだまだやれるのだと、もっと高みを目指しても良いのだと、お前は強くなった、その力は誰にも止められるものではない、お前はこの国で一番強い人間になったのだと。

その圧倒的な存在感は私にはないもので、この人がもし敵に回った時に私はどうしようもないと分かっていたのだった。私が今まで生きてきてここまで惹きつけられた人間はいない。その男の顔を見ただけでこの人がどれほど強いのかが分かったのだ。それはもはや化け物と呼ぶに相応しい存在であると私は確信したのだ。その人物がこの国の騎士団に所属しているという話を聞いて、この人の下で働きたいと私は切実に感じたのである。この人ならば私が求めていた答えを持っているかもしれない、私はこの人と話がしたいと思った。しかし今はその時ではないと思ったので私は我慢する事にした。

私がその場を立ち去る際に私は後ろからその男の声が聞こえて来た。

(俺は団長である以前に冒険者だ、だからこそ自分から進んで危険に身を晒すような事はしねぇ)

私の足を止めさせたその言葉の意味を考えるとその人の目的はおそらく世界を救いたいわけではないと思った。つまりこの人の目的は世界を救う事にはなく別にあるのではないかと考えられる。

その人の目的を知るためにはもっとこの人の事を知らなければいけなくなる。私はこの人の正体を探る事にしたのだった。私はこの日からずっとこの人を観察し続けた。

その日は珍しく雨が降っていた、私は窓から外の様子を眺めながら憂鬱な気分でいると一人の男性が部屋に訪ねてきたのである。

「失礼します。少しご相談があって参りました」

その人物は最近王宮に新しく仕えるようになった執事だった。

「珍しいねあなたから来るなんて、一体どういった要件かしら」

(はい、実は姫様にこの王宮にいてもらうための対価を払って頂きたく思いまして)

「へぇーあなたからそういう話が出るのね。それで、一体何をお望みなのかしら」

その女性はまるで獲物を狩る獣のような眼差しを向けると笑みを浮かべた。その表情は美しいと同時に恐ろしいものである。その人物がただの王女であるわけがなかった。

「それはもちろんこの国の宝物庫に眠っているとされる伝説の聖剣です。私ならそれを手に入れる事が可能だと思っています。私はそれをこの王宮に持ち帰ろうとしています」

そうしてその執拗は女性の前にその剣を置いた。それはその女性が求めるものだったのであろうかその瞳からは光が消え去っていた。

そして女性の方はその聖剣を手にすると口を開いたのである。

私は目の前にいる男性の事が気に入りませんでした。この方はあまり頭が良さそうには見えません。正直言って私はこのような男性は好みではありません。

「これはどういう事ですか? まさかこれが本物の聖剣だと勘違いしてしまったと?」

私がその言葉を発した途端その男の纏っていた空気が一変したので私は警戒してしまいます。私の事を侮ってもらっては困ります。私は幼い頃から様々な訓練を受けてきています。そして今では王族という身でありながら戦闘にも参加する事もあるのです。私は決して弱くはありません。

「おいおい、そんな目付きをするんじゃないよ、それに俺が本物だって判断しなかったのはアンタも同じだろう。だから俺が本物かどうかの判断はあんたがすれば良いんじゃないかい。ただしそれが本当に"この世界を救う事の出来る聖剣"だったらだがな」

「あらそう、それじゃああなたの言葉を信じるとするわ。確かにこの"聖杯剣アルクスティア"には特殊な能力が付与されているの、それが真実であるかどうかは自分で確認してくれれば良いんだけど」

私はその男性に対して疑いを向けていたのでしょう、それが顔に出てしまったのでしょう。

「まぁ別に構わないけどね、その方がお互い楽しめそうだし。ところでこの聖剣をどうやって手に入れたんだい。俺は一応それなりの実力はあるつもりなんだが君ほどの力を感じ取ることは出来なかった、それだけじゃない君の気配はまるで違うものに感じられる。この違和感は何だい、この世界の理とは外れているような気がするが。それとこの剣に特殊な力が宿っているようには思えないんだ。君は何を隠している、その力がどんなものなのか教えて欲しい」

その方はまるで私が普通の人であるかのように扱ってくれました。この世界で私ほどの立場にあればそれはありえないことなのに。私は私を認めてくれるこの方の言葉を信じようと思いました。そして私が持っている知識を使ってこの剣がどんな能力を秘めているのかを説明しました。その瞬間、その男性の目の色が変わったように見えたのです。私にはその意味が分からなかったのですが、その方の表情を見て察しました。この人は私に興味を抱いているのだろうと。

それからその男性は私と話をするためにこの場所に来ることが多くなってきていました。私は不思議とその時間を楽しいと思い始めていました。

そして今日もまた、私の部屋にその方が訪れた時である。その男性がいつものように挨拶をしてくれた後で突然私のことをじっと見つめ出したのです。私のことを見透かすように、まるで観察されているかのような視線が送られてくるのを肌で感じました。

そのことに私は少しだけ不快感を覚えてしまう。その男性はきっと私よりも強い力を持った存在である。その力の一端でも垣間見えるのではないかと私も興味を持ってしまいじっと男性を見つめ返していたのです。

しばらくお互いに見つめ合っていると先に視線を逸らしたのは私でした。なぜか分からないけれどこれ以上は耐えられなくなりそうな感覚に襲われたのだ。私は恥ずかしくなった顔を背けてしまったのだった。その様子もあの男性に見られているのかと思うと私は更に気まずくなっていた。

(ふむ、まだ時期が早かったようだな。まあいいかこれからはいつでも会えるようになるんだし)

そしてその言葉を聞いた私はあることに気づく、この男性は私に会いに来てくれていたのだ、と嬉しく思う気持ちを抑えることができなかったのだった。

しかし私はそこで一つの考えに至ったのである。私はこの人に試されていたのではないかという疑念を。私という人間がどのような人間かを測られていたのではないかと思ったのだ。そして私が男性と仲良くなればなる程その機会は増えていく、そうすることでその真意を探ることができると踏んでの行動ではないかと考えたのである。そして私はこの人の正体を突き止める為、その男性のことを詳しく知ることにしたのであった。

その日私はいつもとは違う時間に起きてしまい少し憂鬱になっていました。私がベッドから降りるとそこには見覚えのない服が置いてあったのです。この服装はメイドのものですね。この格好に着替えてから食堂へと赴くといいということが書かれているメモを見つけ私はそれに従ったのでした。

私はその用意された朝食を食べると、この国について書かれた書物を読んでいくことにしたのです。どうやらここ数日で随分と様変わりをしたらしいので色々と知りたいことが多すぎる状況になっているのだとか。まずはこの国では今現在戦争が起こっているらしく私は不安に駆られてしまうのでした。しかし、その戦争でこの国が勝利することはもう確定しているそうで安心したのですが、そこでまた新たな疑問が生まれたのです。なぜこの国はこんなにも急速に国の発展をしているのでしょうか。

その理由としてはやはり、最近話題に上がっているその男が原因となっているとのことで、この国に住う人々のために戦おうと立ち上がった存在なのだとか。しかしその男が一人で戦いを進めているのではなく、その仲間達も凄腕の人物が多いようで、この国に平和が訪れる日は近いと言われていました。私はそのような素晴らしい人間がいたのだと心が熱くなる思いで、いつかその人と話ができる機会があったらと想像してしまいました。

それからしばらくして私は王宮の外を歩いているとある集団を発見する。その集団は皆が武装をしておりどこかへ向かっているようだった。

(これは少しばかりマズイことになったわね。私の存在がばれてしまえばどういった反応が返ってくるかが予想できないわ。とにかくこのままここにいるのは良くないかもしれない、早く逃げましょう)

そう考えた私はその場から離れようとしたのだけれど、運が悪いことにそこに一人の騎士がやってきてしまう。私はどうしようもない状況に陥ってしまい諦めかけたその時、その騎士と一人の人物が言い合いになったのである。私は咄嵯に隠れながらその様子を見守り続ける事にしたのでした。しかしその二人のやり取りを見たことで、その人物が誰であるのかを私は知ることになる。それは私の憧れの男性だったのです。

私はすぐに行動に移す事に決めた。私のせいであのような危険な目にあってしまったのならばその人を救う事こそが私の使命である。私はすぐさまその二人の間に割って入り喧嘩を止めさせた。その男性は突然私が割り込んで来た事で驚いたような表情をしていたが私の姿を見た時に表情を変えると笑顔を見せてくれた。

そして私の方を見ていた男性に向かってその男性が言う。

「おい団長さん、こいつは俺の仲間だ、あまり舐めた真似はしてくれるなよ」

団長と呼ばれた男性が何かを言う前にその男性の拳が飛んでいった。その一撃で地面にはクレーターができておりそれを見た他の人達は一斉に引いていたのだった。

(な、なんなのよこの力。こ、これは流石に私でも無理そうかも)

その光景を見て私は改めて自分が弱いことを痛感させられるのだった。私はどうにかこの事態を収める方法を考えるのだが一向にその方法が浮かんでくることはない。

私は覚悟を決める事にした。この男性にお願いをして何とかこの場を収めてもらうしかないと判断したのである。

そして私はその願いを込めて口を開くのだがその言葉を発することは許されなかった。何故ならその人物が言ったのである。

「悪いな、この女に手出しするんじゃねぇぞ」

その声には怒りの感情が込められているのが感じられた。

私達は一旦宿へ戻るために歩き始めた、私は彼に付いて行くしかなかったのである。そうして歩いている間も会話が続くことはなかった、ただ無言の時間が過ぎ去っていくだけである。その空気に耐えられなくなった私は意を決して話しかけることにしてみた。

「えっと、私はこの国の王女を務めているアリエルと申します。助けてもらった事に関しては感謝してもしきれません。もしよろしければ名前を教えてもらえませんか」

私は勇気を振り絞って話しかけたのだけれど彼は答えてくれなかった。それでもめげずに話しかけているとやっと返事が帰ってきた。

彼の名前はレン、そして彼が私の事を知っていたという衝撃の事実を知ったのだった。

俺はこの世界がおかしいと感じていた。そのことについてこの国の女王でもある人物に尋ねてみると、どうやらこの国は他国から狙われているらしくそれを解決するために戦力を集める必要があったようだ。

俺にはそれがどうしても違和感としてしか映らなかったのである。そんな重要な事なのにどうしてその情報が秘匿されるのか理解できなかった。しかもその情報をこの国の女王自ら教えてくれるのである。俺はこの情報を聞いてさらに不信感を強めていったのだった。

この国を救いたいと思えるのであれば別にそれは良いと思う。しかしこの女王が俺に語った内容は明らかに違う事を話し始めていたのだ。それはまるで嘘の情報を信じ込まされたかのように感じられ、とてもではないが信用する事など出来るものではなかった。しかし俺はこの女王の瞳を見る限り、これが真実であることも悟っていたのだった。

(さっきの話が真実かどうか確かめる必要があるな、俺はこの国を本当に救いたいと考えているのか、それとも自分の利益のためなのか。それによってこれからの事が決まって来る。だがもしもこの国を救うことが出来たとしても、その後に待つ未来が明るいものだとは限らないんだよな。この世界には奴隷と呼ばれる制度が存在しているみたいだし。そうなると本当に国を救いたいのか疑問が残る。この世界に召喚されたのは勇者ではなくて俺なのだろうし。とりあえずはその真意を確かめる必要がありそうだな)

そう判断を下した俺はその話を切り上げその場を離れることにする。その瞬間女王の表情に悲しげな影が差すように見えてしまい後ろ髪を引かれる想いになるものの無視をすることになってしまったのだった。

そしてその後、俺ともう一人の女性と共にこの国の城を出て行くことにした。そして俺はある場所を目指して歩き出す。その場所というのが、先程まで一緒にいた女性の目的地でもあった。そしてそこでその女性が俺に対して問いかけて来たのだ。

あなたが私を疑っていることぐらい最初から気づいているわ、と。それについて謝罪をすると俺は目的を告げる。その目的は俺の目的を果たすためにある場所へと向かうことであった。そしてその女性は俺の話を聞くと少し考え込んでいたが、やがて何か思いついたような顔をしてから同行することを告げてきたのである。

しかし、俺の案内によって辿りついた場所には門番が立っており、その者の言葉を聞いた途端その者は俺に武器を向けてくるのだ。

「おいお前!この方々を知らないと言うのか!」

「ああ知らないな。それよりもこの先には一体何があるんだ?」

「いいからここから立ち去らないとその首跳ね飛ばされる事になるぞ」

そう言って俺に警告をしてくるが俺は特に気にせず質問を続ける。その者が何を言おうが結局はここを通り抜けなければならないからだ。

「それでは通させてもらうとするよ」

そう言葉を放つと俺は躊躇なく門の中に足を踏み入れた。そして背後では金属と鉄のぶつかり合う音が響き渡るのであった。その音が収まる頃には、もうそこに立っていたのは二人だけだった。

俺達が目的の場所へたどり着いた時、そこには多くの者達が集まっており賑やかな雰囲気で酒を飲みながら食事を取っていたのである。その者達の中には知っている顔がいくつもあったのだった。

俺と彼女はその集団の中へと入り食事を楽しんでいた。そんな中で気になったことがあるとすれば、俺がこの国を救った救世主だということが何故か広まっておりその対応がかなり好意的なものだったということだ。

どうやら俺の噂は既に広まっていてその話は俺も聞いていたのだが、それは余りにも大袈裟過ぎる内容だったために正直そこまで期待していたわけではないのだ。しかしどうも様子が違っていた。その話というのは殆どが好意的なものだったのである。それどころか、俺と関わりを持ちたがっている者さえ存在するようで、そういった相手に対しては断ることにしているのだ。しかし中には諦めない者もいて中々にしつこく絡んできていたのだった。

(なんだこの扱いの差は、これは絶対に可笑しいぞ、俺はここまでの待遇を望んだつもりは無い。俺が求めているのはもっと質素なものであって決してこのようではない。確かに報酬金のようなものはあるがそれだけでこの待遇はあまりにも違いすぎる。これじゃあまるで有名店の高級料理を頼んだのにもかかわらず、普通の味のものが出てくるのと大差無いではないか。いや待てよ。まさかこの世界の人間はこのようなもてなしを受けることに慣れ切っていて当たり前だと考えているのではないか?それで当然だと思っていた結果がこれだった、と。それならまだ納得が出来るがこの俺が慣れていないだけという可能性もあり得る、そう考えたほうが自然だよな)

俺はこの待遇の格差の原因を突き止める事にした。その結果が、もしかすればこの世界に来てからの待遇が良過ぎたために俺の心が無意識に勘違いをしているのだと推測したのである。そして俺に近寄ってくる者の全てがこの待遇が当然だと思い込んでいるのではないかと。つまりはこの待遇こそが普通なのだと勘違いしている可能性が非常に高いのだ、と。

(そう言えば昔読んだ異世界物のラノベでも、最初は主人公だけが優遇されていたはずだしな)

そう思った俺はまずはその考えが正しいかを確かめる必要があると思い実行に移し始めたのである。そしてこの場で俺と彼女がどのような存在であるかを改めて認識してもらう為に自己紹介をすることにした。

そして最初に自己紹介したのは目の前の女性だった。その人物こそ、俺が最も憧れて止まなかった存在であり俺の恩人でもある、この国の王女アリエル様その人であった。俺も彼女にならった方が印象が好くなるかと考えたのである。俺と彼女の立場の違いを明確にするために俺達はお互いの名前を呼ばずに会話をするようにした。そうすることでこの世界に来たばかりの俺達の立場をよりはっきりとさせることが目的なのだった。

そしてこの世界に来る前に、俺がこの世界にやって来た目的、そして今考えている事を全てアリエルに伝えたのである。この場に集まった人達は突然俺が現れたことにより、皆が動揺してしまっていた。それもそのはずである。なんせ、突然俺のような見ず知らずの人物が自分達の前に現れたのだから。

しかしそんな状況で一人の男が発言したことにより事態が一転する。その男はこの国で騎士団の団長を務めている人物だった。俺と彼はお互いに睨み合いながら話し合いをするのだがその光景に周りが騒ぎ始めてしまう。そして最終的に俺の話を信じる事になったのだが俺はある疑問を抱いた。

それは何故俺のことをあっさりと信用したのかということだった。その答えはすぐに分かり、俺はその事実を知ったのである。何故ならこの国は、他国から狙われているというとんでもない問題を抱えておりこの国を救うことが出来なければ滅亡の道を進んでしまうらしいのだ。そしてその為には他国よりも優れた力を手に入れなければならず俺達は召喚されたという事である。しかし、その話がどこまで本当なのかが問題になってくるのである。

俺はこの国が他国から狙われていることに対して疑問を抱いてしまいそれをそのまま言葉に出してしまう。そうすると俺の考えが分かったのか女王は一つの証拠を見せると言ったのだ。

女王はその証拠を持って来るためにその場を一旦離れることになる。その時に彼女は他の者達に目配りをして何かを伝えた後、この部屋から出ていった。その様子を見て他の連中はまるで逃げるようにして散りじりに去っていく。

俺がその者達の後をついて行こうとした時、後ろの方で何かを引きずる音が聞こえた。それに反応して振り向くとそこには剣が転がっていたのだった。そしてその柄の部分を見てみるとそこには見覚えのある刻印があった。その紋章とは先程俺に斬りかかろうとしてきた奴が腰に下げていたものであったのである。それを目にしてすぐに思いつく事は一つだった。

(なるほど、これで俺の事を試していたというわけか。そしてあの者達は俺と同じような考えを既に持っていていたということだろう。そして、それを行動に移す覚悟が俺にあるかどうかを確かめる必要があったのだろう。だが、それを確かめたところで意味なんて無かったはずなのにどうしてこんな回りくどいやり方をしたのか。この俺を信用出来ない理由があるという事だろうな。だがそれを考える暇も無いみたいだしとりあえず付いて行くとするか)

俺はとりあえず彼女を追う事を優先しその場から走り去る。その後を俺を襲ってきた奴の仲間が数人追い駆けてきていたのである。しかしそれくらいでは今の俺に追いつける道理は無くあっという間に俺は城の出口にたどり着くのだった。

(さっきの女王が戻っていった場所はどこなのか知らないけどこのまま真っ直ぐ行けばなんとかなるか。さすがにあんな大人数に囲まれると俺が死ぬ可能性が高いしな。それよりも、さっきの女は一体何をしに戻って行ったのか、さっぱりわからないな。まぁいいか。それよりこれから俺はどうしようか。俺の目的を果たすためにはこの国を出る必要がありそうだし。ただこの国を離れるのは簡単なことじゃないんだよな。この国から出る為には通行許可が必要でそれが俺達に下りているとは思えないんだよな。そうなると必然的に国に入るときに使った魔法が使えるようにしないといけないってことだよな)

そう思った俺は【アイテムボックス】を発動させるとこの国に召喚された時の道具一式を取り出していく。その中から俺は、水晶のようなものを三つ取り出すとその内の一つを使ってある物を作ろうとしていた。そして完成したものを眺めながらあることを考え始めた。

(これは本当に凄いものだけど。これが役に立つ場面が来るんだろうか?だってこれを作れば国に入ることが出来るし俺の目的を果たすために必要なものが手に入ってしまうんだけど。まあ仕方ないか、とりあえずはやってみるか。まずは使い方を考えてみるとするかな。確かあれに書いてあったはずだし。えーっと。ああそうか思い出した、まずはこれを起動させて、それから自分の魔力を流し込んで、そしたら最後に名前を唱えるんだったっけ。とりあえず起動させますか)

するとその水晶に魔方陣が出現し輝き始める。そして俺はその様子を確認するとその魔方陣に向かって手を突っ込んだ。その次の瞬間に光は消え去り俺は手に違和感を感じたため何を持っているのかを確認する。それは小さな鍵であった。

(よし。ちゃんと出来たようだな。これはあの魔法の発動に使うものだ。つまりはこれがあれば俺は簡単に国境を超える事が出来るってことになる。ただ、これを使うときは出来るだけ人目を避けてやる必要があるがな。なんでだよって言われても俺が答えられるのはこの世界の人間ではないとしか言いようがないな。俺自身もよくわからんのだが、俺以外の人間は俺の存在を受け入れられないだろう。つまり俺の存在はここでは異端者となる。そしてその異端者を良く思わない者が現れる。そんな面倒事に巻き込まれたくはないだろ?俺としては別にそこまで大きな問題が起きると思ってないけど、もしもに備えて用心しているだけの話だ)

俺は早速その小さな鍵を使い城の外に出るのだった。そして俺は外に出て少し離れた場所に移動するとその場所に誰もいない事を確認してから、また同じことをやり始めるのだった。

この世界に召喚されてから、早二週間が経過していた。しかし未だに俺達は目的の場所まで辿り着くことが出来ずに、ひたすら森の中を彷徨い続けていたのである。その理由については、俺が思っていたより時間が掛かっているという事の他に、この世界に来てから俺達のレベルが急激に上昇していることが大きな原因になっているからだ。

それに加え俺が元々使っていた武器は壊れてしまい使えなくなってしまった。そのため俺は、新たな武器を探しながら旅をしていたのだがなかなか思うように見つけることが難しくなってきていた。そこで、俺は新しい攻撃方法を手に入れる為にあるものを作ってみることにしていた。しかしその材料を集めるのが難しいようで俺達が現在持っている金と、その日稼いだ金だけではどうにもならないようで仕方なく断念したのだった。

(やはりあの方法がベストか?いや待てよ、でも俺一人じゃ流石に大き過ぎるような気もするんだよなぁ~それにあれを使えば間違いなく騒ぎになってしまうよな)

俺は今考えていたことを頭の隅に置きながら、今は新しく作る物の事で頭がいっぱいだったのである。そして今日は珍しく、俺達は宿を取る事にしたのだった。そしてその翌日、ようやく森を抜けられたのだが、俺達には問題が残されていた。その問題は俺が持っていた食料が全て尽きてしまっていたのだ。しかし俺はこの時ある作戦を実行しようとしており、そのためなら食糧が無くても我慢が出来ると割り切っていた。そして遂にその時が訪れた。

俺が作ろうとしていた物が目の前に現れると皆は驚き声を上げていた。俺はその反応を見て成功だと悟った。そしてそのまま作業を始める。俺は【強奪】を使ってその物体を手にするとその力を行使したのだ。そうする事によってその道具に付いていた機能を使用する事ができるようになった。そしてその結果、俺は目的を達成したのだった。その道具とは、今までの世界で俺が使っていた銃と呼ばれるものと同じ仕組みで作られた物である。ただしこの世界では銃弾ではなく、特殊な鉱石を使っている為その辺の対策をすれば誰でも使用することが出来る代物になっていた。

この世界の一般的な武器には、魔物に通用する攻撃力が備わっているのは確かなのだか、それでも限界がある。その為この世界に生息している生物を倒そうとすると命を奪う必要があるのだがその方法は二つ存在する。一つ目は単純に刃物で殺す方法である。このやり方は、相手を倒すまでにかなりの手間がかかる上、倒すまでに大量の返り血を浴びる事が殆どでかなり不人気である。

二つ目の方法として、その魔物の心臓を破壊することによって相手を即死させることが出来るのだが、それを実行するためには相当な実力差がなければ不可能だという事が分かると思う。だが、そんな事は不可能に等しいため基本的にはこちらの方法で相手にトドメをさすのが一般的である。しかし例外として俺が作り出したこの銃というものが存在するのだ。

それは俺が今しがた作ったものであり。そしてこの世界に存在していないものであるために他の奴らが使用することが出来ないという点にあるのだった。それは俺が今しがた使った魔法【強奪】という技能によるものなのだった。この魔法は相手の持ち物をランダムで奪い取る事が可能であり、この能力を使用して、この銃を作り出したのである。しかもこの銃には弾丸をセットするための場所がありそこから好きな弾を入れる事も可能で、尚且つその威力を高める事も可能な作りになっており。この世界に存在している既存の武器では考えられない性能を発揮するようになっていた。この世界でこの技術が発展しない理由にはこの魔法という存在が大きく関わっており、俺のいた世界でもこの魔法が存在していた。だがこの魔法の存在を知った者達が悪用しかねないと考え俺はその技術が広まることを危惧しこの世界では一切の使用を禁じられてきたのである。その為俺が作ったこの銃は今のところは誰にも見つかることなくこの世界に存在することになっていた。

この魔法は、その特性が他のスキルとは違うところが多く。その効果を他の奴らが知れば確実に利用されることになるだろう。俺はこの世界の住人では無いが、その事実が知られればどういった状況に陥るかなど予想することは容易かったのでこの魔法の技術を表に出すことを避けていたのだった。しかしこの魔法があれば今後、様々な場所で重宝することができる。そしてこれからの旅路はより一層安全なものにすることが出来、より快適に過ごすことが可能になりそうであると考えていたのだ。そしてこの魔法を使用することにより他の連中よりも圧倒的に強くなれるのである。

俺は今自分が持っている力を最大限生かすことが出来る方法を思いついたため、この世界の人間に対して大きな優位性を持つことが出来ると考えたのであった。そしてこの力で、自分の大切な仲間を守ることができるようになると確信することが出来たので非常に良いタイミングでこの方法を実行する事が出来、嬉しくなっていた。そして、これからの事を考え俺はニヤリと口元を歪める。

この魔法を使用した事によって、俺の戦闘能力はかなり向上した。まず俺のステータスだが以前と比べると格段に上昇したと感じるほどのものだった。しかしそれはまだ序の口であると言えるほど、まだ伸びしろは残っておりまだまだ底知れぬものを感じていた。そして俺が今回使用したのが、魔力を変換して弾丸を作り出すタイプのもので。その作り方だが魔力を圧縮して弾丸を生成するというものだった。その弾丸を作成するのに使用する魔結晶というのがとても希少なものらしく。今の俺では到底作成することが不可能なレベルの品になるようだが。そこは【強奪】を使用すれば何とかなるだろうと踏んでいるため特に心配していなかった。

(この魔結晶っていうのは、この世界で最も価値のある素材みたいだな。魔素を含んだ鉱脈が偶然発見されてから発見されたもののようだな。その採掘方法については全く解明されていないみたいだしな)

俺は先程作ったこの世界の地図を確認していると。魔獣の領域という場所があったのでそこに近付いて行くと突然魔物が出現したが今の俺にとっては全く問題が無い相手であったため。一瞬にしてそいつらを始末するとその場にあった魔石を拾うのだった。

そしてその場所にはもう一つ気になる点があった。それは地面の下から強い波動を感じ取れたことである。俺はそのことを確かめるべく地面に手を当ててから【鑑定】を使ってみた。すると地中深くに大きな洞窟があることが分かった。しかし、それが何なのかはわからないため俺はもう少しだけ情報を引き出そうと試案するのだった。

しかしこれ以上は俺が知っている知識だけでは無理そうだったので、仕方なく一旦この場所から離れようとした時。突然地響きと共に地面が崩れ落ち始める。

「まじかよ。俺の勘って意外と馬鹿に出来ないのかも」

俺がぼそりとつぶやくとその言葉は虚空へと消えていく。俺は慌ててその崩落に飲み込まれないように必死に逃げるが。このまま逃げ続けても無駄だと思い仕方なく、俺はその空間に飛び降りた。するとその穴から現れたのは大きな翼が生えている魔物であった。

(なんだこいつは。初めて見るタイプだけど。なんとなくわかる。こいつも結構強そうだな)

その魔物の体は通常のドラゴンに比べて二回りくらい小さいものなのだが。その代わりに全身にまとっている禍々しい魔力の量から、その危険性を瞬時に感じ取っていた。

(こんな奴がどうしていきなり現れるんだ。俺が何か悪いことでもしたって言うのか? 確かに俺の運が凄いことは自覚しているが、さすがに行き過ぎだろ)

俺がその魔物を眺めているとその視線を感じたのかこちらを見つめると俺の事を視認していた。そして何故か笑みを浮かべたと思った瞬間に、俺はとてつもない衝撃を受けて壁に叩きつけられていた。

そしてその攻撃を食らった事で俺の中でこの相手がかなり危険な敵だということがわかってしまった。しかし俺だって負けてやるつもりはないと、剣を構えて斬りかかると簡単に防がれてしまった。そしてその攻撃が終わり再びお互いがにらみ合うような形になった。

(やばいな。全然攻撃が当たらないどころか掠りもしねえぞ。それに俺の身体能力が上がっているせいで。俺の速度と、向こうの攻撃が相殺されてるような感覚すら感じる。どうすりゃいいんだよこれ?)

俺が考え込んでいると、その様子から隙だらけと勘違いされたのだろう。目の前にいたはずのそいつがいなくなり俺の視界には天井が移る。そこで俺もようやく気が付いたのだが、この魔物の狙いは俺の命だった。

俺が自分の迂闊さを呪っていたその時にはすでに俺は、上空に投げ出されており。そのまま俺は自由落下を開始してしまうのだった。俺がどうにかしないとと思い【念動力】を発動しようとしたのだが間に合わず俺は頭に強い打撃を受け意識を失ってしまうのだった。

俺が目を覚ますと見知らぬ天井がそこにはあった。しかし俺の頭に激しい痛みがあることと体が思うように動かないことがそれを否定していた。しかし何故ここにいるのだろうか?俺の記憶が正しければ確かあの時の戦闘中に、目の前の敵にやられて俺は気絶してしまったはずだと思う。だがこのベットで寝ているという事は何が起きたというのだろうか?俺はそんなことを考えながらゆっくりと思考を回転させるのだった。そしてしばらくすると扉が開いた。そしてそこから入ってきた人物は意外な人物であったのだ。

俺はその人物が誰かわかったと同時に俺は驚きの声を上げそうになったが。声を出すことが出来ずそのまま口をパクつかせるだけであった。なぜならその人物が俺の母親であるアルフォンスその人であったからだ。そして彼女は、泣き出しそうな表情でそのまま俺の元へ駆け寄ってくると優しく抱き締めてくるのだった。

俺はこの状況が理解できずに混乱してしまう。なぜ彼女が俺の母さんなのか、そして今の状況が何を意味しているのかという二つの疑問が頭の中に浮かび上がり俺は何も喋ることができなくなっていた。

母さんの話では俺が天使の攻撃を受けてから既に丸一日以上が経過しており、その間ずっと目覚めない状態でいたようだ。

その事実を聞いて俺はさらに困惑してしまっていた。

(そんなことがあり得るのなら、俺は死んだと思っていたほうが良かったんじゃねーか?俺はあの世界で死んだわけじゃなくて、この世界へ転生したわけで。つまりはここは死後の世界で、俺は死んでいなかったということになってしまう。だが今更そんな話をしても意味は無いか)

俺はもうそんな事は既に解決済みの問題なのでどうでも良くなってしまっていた。しかし問題は俺が目覚めた時に一番初めに声をかけてくれた女性の存在だった。この人が誰なのか、まずはその人から話を聞くのが一番良いと考えた俺は、質問をしてみる事に決めたのである。

そして彼女から聞いた内容は信じられないことばかりで俺を驚かせる事ばかりである。どうやら俺に攻撃を仕掛けてきた相手というのは女神であるようだ。そしてこの女性が母親だというのだから俺は驚きのあまり何も言えなくなってしまう。そしてこの世界での俺は記憶を失い。赤ん坊の状態からスタートしていることを教えてもらったのだ。俺はこの話が嘘であって欲しいと心の底では願っていたが。彼女の悲痛な顔を見てしまえばそれが本当だということがわかるのであった。

それからしばらくの間俺は眠り続けていたようで、目が覚めた頃には俺は一ヶ月近く経っていたようであった。しかし俺はその間に色々な情報を聞き出すことに成功して。ここが本当に別の世界であるということを実感し始めていたのである。

まず俺はこの世界の文字を読むことができたが、この世界の文字が読めるというよりかはこの世界の言語を理解して読み書きができるという状態だったようだ。俺はその説明を聞いていた際にその違いがよく分からなかった為そのことを尋ねてみた。すると彼女はこの世界の言葉をこの世界の人間全てが理解できるというわけではなく、この世界で教育を受けた者のみがその能力を獲得することができるのだと説明してきたのだ。そしてそれはある特別な方法で取得することが出来て。その方法は人によって異なるとのことだった。俺はそれについて興味を持ったが、それ以上に詳しい事は聞くことが出来なかった。どうやら彼女自身にも分かっていないらしい。

(もしかすると、俺が覚えている言語を俺自身が無意識の内に使っているとか?もしくはこの世界の人達が俺に対して友好的なのは俺が別の世界の住人で。そしてこの国の人達にとっては貴重な知識を持っていると思われてるからなのかもな。それだと少しだけつじつまがあうな)

俺が考え込んで悩んでいる姿を見て彼女は俺の体調が心配なのだろうと思ってきたらしく。俺に薬を飲ませると言ってきて俺もそれに従って飲んでみた。しかしその薬の効果は絶大で俺の傷は全て完治しており体力も完全に回復しきっていることを俺は感じ取ることが出来た。

俺のその様子を見て母親は安心して部屋から出て行ったが、その時にこの部屋の外に俺の護衛としてついてきている騎士達の気配がして俺はすぐに外に出ることを決めた。そして部屋を出るとそこには予想通りの騎士が数人待機していたのである。

「おはようございます殿下」

その言葉を聞いた瞬間俺は思わず驚いてしまった。俺はこの世界に転移してくる前に自分が王城の自室にいたということは認識していたため、俺を護衛しているのは王族専属の近衛隊だと思い込んでいたからである。しかし俺はそこで違和感を覚えて、目の前のこの男が護衛ではなくただの文官であるということに気付いたのである。

「おい待て、どうしてお前がここに居るんだ?」

「私が居ては何か不都合な事がおありでしょうか」

「当たり前だろ。俺はもう王子ではない。それに俺はこの国で暮らしていくことに決めているので、ここで生活していくためにも。その態度を改めてもらおう」

(そうだ俺は勇者なんだからこんなところでもたもたしている場合じゃないはず。さっさと俺の力で問題を解決しないとまた魔王が現れるかもしれないんだ)

「そう言われましても。私はあなた様に危害を加えるつもりはありませんし私の仕事は殿下の身辺警護で御座いますので」

(そんなの理由になってないだろう)

俺はそこで思い当たる。こいつはあの時にこの部屋にいたやつだと思い出したのである。その男は突然倒れてしまったのに何故か無傷であったのだ。そこでその事を思い出した途端に俺はこいつを睨みつけるようにして視線を送るが彼は涼しい顔をして受け流してきた。

「とにかく出て行けよなんで俺の部屋の前に立ってんだよ邪魔だよ」

俺が威圧するように言うとやっとそいつが渋々ながら退散してくれたのだった。しかし俺がこの城の中で安全を確保できるような場所はないと考えてしまった俺は。この城に安全な場所がないと言うことを理解すると同時にこの城は牢獄なのではないかと思ったのだ。

しかしそれでもこの国で暮らす為に俺が出来ることはないのかを考えてみてもやはり何も浮かばずにいた。そもそもの話俺が元の世界に帰れないというのが確定してしまっているのであれば俺にはこの世界を救って欲しいと思っている人達と敵対したくないという考えしかないので、俺が何をしようとも結局は何もできないという結論に行き着いてしまう。

俺がベッドの上に横になっているとその時に扉の外からノックをする音が聞こえると。一人の人物が俺に面会したいと言いに来たのである。俺は取り敢えずその男を通すように指示を出した後に俺は再び眠りにつくことにするのだった。そしてしばらくして俺が眠りについたと思った頃に、その人物が部屋に入ってくるのを感じたのである。しかし俺が起きてこないことを確信すると俺は目を覚ましてしまい侵入者が部屋にいる事に気が付いた。その人物はどうやら女性であるようで。俺は何が目的だろうと疑問に思ったがその人物は俺が起きている事に気付かずに会話を始めたのだ。そして俺はその内容を聞いて驚きを隠しきれずにいたのだ。その内容は、あの女神様と似たような内容であったからだ、しかし彼女が話していた内容は更に驚くべき内容であったのだ。どうやら俺は女神様達によって異世界へと送られてきていたようなのだがその目的はこの世界に住む魔物達が人間と争わないようにすることと、人間の方も魔物達と戦い過ぎないで欲しいという内容のことを頼まれたという事であった。

俺はそんな話は到底信じたくはなかったのだが彼女の真剣な顔つきを見て嘘をついているような感じは全くしなかったのは間違いない。だからこそ俺にはこの女性が本当の事を言っているということがわかり。同時に今まで抱いていた疑惑が晴れていく感覚を覚えたのだ。何故なら先程までは俺が女神の力を封印するためにこの国にやって来たのだと思っていたのにも関わらずこの女性は俺が別の世界から来たと言っているので、それならば俺は何故あの世界で死んでこの世界に転生することになったのかという矛盾が生じてしまう。

俺は混乱してしまったのでこの女性から話を詳しく聞こうとしたのだ。そして俺が事情を問いただしている最中に、この女性の目を見ると俺にその気がなくても自然と俺は女性に対して自分の素の状態に戻っていく。

そして俺はこの女性の正体が俺の母であるということが分かってしまった。それと同時に母さんの方は俺が自分の娘だという事もわかっていたようである。そのせいで俺の心の中に入り込まれて俺は心を支配されてしまっていたのだ。そしてその後に俺が意識を失うと母さんが慌ててこの部屋に入り込んできた。どうやら俺が急に苦しみ出して意識を失ったように見えたからだと言っていた。しかし俺はその時のことはよく覚えていなかったのだ。だからなぜ母さんがここにいるのかもよく分からなかった。そして母さんから俺が意識を失っている間の事を聞くことが出来たのだった。母さんから話を聞くと、俺は女神が俺に向かって攻撃をしたと同時に気を失い倒れたということだ。

俺はこの話を聞くまで、俺を攻撃したのはあの女神だと思っていたのだが。母さんの話ではそれだけではなく、この国の王様や他の人間達に攻撃をされたようだというのだ。だから今はまだ分からない事が多いが、これからは出来るだけ早く情報収集をしなければならないと考えていたのである。しかし俺はこの話を母さんから聞いて、もし仮にこの話が本当なら。俺の体は本当にあの世界で一度死んだはずだと推測していた。そしてその後俺は魂の状態であの世界のどこかを漂っていてたまたまあの世界に干渉する事が出来たあの世界の神によって俺は生き返る機会を与えられた。

そこで俺が考えたのは自分の体が本当にこの世界で死んだ場合、俺の記憶や経験は全て失われるという事なのだが、その仮説を証明するためには俺が元の世界で死んだという事実を証明できる何かを見つける必要があったので俺はそれを探しに行くことに決めた。

「母さんごめん。少し外に出る用事が出来ちゃったみたいだから少し行ってくるね」

俺はそれだけ言って急いで城から出て行くと俺は自分が元々住んでいた街の方へと向かったのだ。俺が最初に目覚めたのはこの世界にやってきた時の事を思い出すとおそらくだが俺が生まれ育った街である可能性が非常に高いということが分かったからである。

「なるほど。これは予想通りの展開になってきそうだな」

俺はその街に入るための門番が居る場所で身分証明書の提示を求めたのである。

その時に俺は自分が勇者だとバレないように普通の平民であるかのように振る舞おうとしたがそれが裏目に出てしまったようだ。俺が身分証を見せて欲しいと言った時に門兵がその要求を断ったのだ。

そして俺はそんな事は想定内だったので問題はないと思ったが俺が別の世界から来たということを説明しようとした際に俺は言葉を発する事が出来なかったのである。

(まさか俺がこの世界で言葉をしゃべれないだと?)

そして門兵はそんな様子の俺を不審者だと思って槍を突き付けて尋問し始めたのだ。俺はその対応に腹が立ったので仕方なく戦う覚悟を決めて武器を取り出したがそこで俺は自分の持っている能力の事をすっかり忘れていて。俺が取り出した武器を見てその門兵はさらに警戒を強めて攻撃してくるので。俺は焦り始めたがここで魔法を使ってしまった事でより一層相手側に俺が只者ではないという認識をさせてしまい。その結果相手の警戒心を高めてしまうことになると気づいた時には後の祭りだったのだ。

(くそどうすればいい。どうにかしてここから逃げ出さないと)

俺はどうしようか悩んでいたのだが俺に救いの手が差し伸べられた。それは俺に近づいてくる馬車が俺の前で止まると、中から出て来た人間が俺を助けてくれると言ってきたのだ。そして俺は助かったと思ったのもつかの間その人物がこの国の女王陛下だという事に気付いてしまう。そしてその女王様は俺の素性を知っていたようで、俺に身分の確認を求めてきたのである。俺はその質問に答えようとしたがそこでまたもや俺は言葉を発することが出来なかった。

その光景を見た女王様は慌てたようにその護衛らしき男に命じて俺の身体検査を行った後で、今度はその護衛の女の人に俺のことを何処で知ったのかという疑問について問いかけられていた。しかし彼女は自分がその人物の事を知っているとは思わなかったようで困惑した顔をしていた。

「私は貴女の事を知りませんよ」

「嘘をつくな」

俺はその様子を眺めていたのだが俺はどうしても我慢できなくなってその場から抜け出すことにしたのだ。このままでは俺の身元が知られてしまえばこの国に居場所は無くなってしまうからである。そう考えて俺は何とかこの場から立ち去ろうとしたのだが。

俺はここで完全に詰んでしまったのだ。なんせこの国の騎士団長と宮廷魔導士が二人も居たのである。

そして俺はその場で取り押さえられそうになった時に。また俺に奇跡が起きたのである。

俺は取り囲まれた状態からなんとか抜け出そうと暴れていたらなんと俺を捕まえようとしていた二人の手が緩み俺は逃げ出すことができたのだ。

(どうして二人が手を離してくれたんだ? 俺が抵抗したのが良かったのか)

俺は逃げる途中にそう思っていたが。そこで俺の頭の中に疑問が生まれたのである。

俺はこの城に来てすぐにリリアが俺に対して攻撃をしたと思い込みこの城の人間に対して不信感を抱きまくっていた。しかし今の状況はそれと全く真逆の状態であるのだ。そしてそこで俺には一つの仮説が生まれた。それはあの二人がこの国で一番強いと言われている人物であると言う事である。だからこそ俺がどれだけ暴れてもこの二人は手放さなかったのではないかと考えたのだ。そこで俺は試しに再び捕まえようとする騎士達に向かって剣を投げつけてみたのだ。すると案の定その行為が功を成したのか。俺は騎士達の囲いの中から抜け出すことに成功したのである。

そしてそんな時俺に向かって誰かが話しかけてくる。

「お久しぶりですね、貴方もこちらの世界に来ていたなんて。私はとても驚いていますよ、私とあなたは同じ世界から来た存在のはずなのに。それなのに会いにこないで私の方から探しに行っても見つけられないで困ってましたよ。それに私がいくら呼びかけても反応がなかったから。あの世界で死んでしまっていたのかもしれないとも考えていましたから、しかし今は違います。だってその身に女神の力を感じますもの。どうやらちゃんと生きていてよかったですよ」

その人は笑顔で俺に話し掛けてきたので俺は誰だろうと思って観察してみることにする。

(見た目は俺よりも歳が下のような気もするが、どうなんだ?)

俺は疑問に思いながらもその女性を観察する。

(しかしこいつの言っている意味がよくわからないぞ。そもそも俺はこの人を知らないんだが。でも向こうは俺を知ってるような口ぶりで話しかけてきやがる)

俺は疑問だらけになりつつも話を聞き流しているとそこでこの女性は突然俺の前に来て俺の頬に手を当てながら。

「しかしどうして私の元に来てくれなかったんですかね?私はあなたのことを大切にしていたつもりなのに、そんな事を考えていないわけがないじゃないですか?」

「いやあんたの事は知らないんだが、一体お前は俺とどういう関係だったんだよ。それに何でそんな事を聞くんだ」

俺は彼女のその行動が気に障ったので睨むと。女性は俺の事をじっと見つめて何やら考えている様子だった。俺は何だか気味が悪くなり離れようとしても。何故か体を動かすことができないのだ。

そこで俺は彼女の瞳を覗き込んでしまったのだ。すると俺はこの女性がただの女性ではなく。何かの術で縛られているような感じがするのだ。

そして俺の体にまとわりついているこの糸のようなものを断ち切るために剣を振るう。そしてその女性はその行為を邪魔しようとするが俺はそれをかわしていく。

(これならば簡単に切り落とせる。しかし俺が戦っても大丈夫なのか?相手はかなりの実力を持ってそうな感じだが)

俺はそんなことを思っていたのだが俺は自分の力がどの程度使えるのか確かめる意味でもその女性と戦うことに決めた。そしてその女性との戦いが始まる前に俺の方に近づいて来る影があった。

「やっと見つけたぜ、てめえには聞きたいことが沢山ある。大人しく俺と一緒に来てもらうぜ」

俺は声が聞こえて来た方向に視線を向けると、そこには以前戦った事がある男が立っていたのだ。そして彼は俺に向かって襲ってきたのである。俺はその男の攻撃を軽く避けてからカウンターを決める。しかしその攻撃を難なく防がれたので今度はこちらから攻撃を仕掛けていくがそれも防がれてしまう。それから何度も攻防を繰り返すも俺はこの男に傷一つ与える事が出来なかったのだ。そして男は笑い出したのである。

「おいおいそんなんじゃあ俺に勝つ事なんて一生かかっても出来やしない。そんな事も分からないくらいに弱っちいのかてめえは。しかしまさか本当に女神様を仲間にしてるなんて驚いたな。でもこんなやつなら女神の力が無くても倒せたんじゃないかと俺は思ってるが、俺の考えが合ってるなら今のうちに殺しておいた方が安全だと思うがな」

「確かにそうだな。でも残念だったな俺はあいつの力は借りないで俺一人で倒すつもりだったからもう俺に近寄らない方がいいと思うけど。俺はまだお前の事を認めた訳じゃない。それにもし俺の目の前に現れた時はその時は容赦無く潰すだけだ」

「けっ!相変わらず強気な態度だけは一丁前な野郎だな」

俺はその言葉を無視して戦いを再開したが結果は同じで俺は負けてしまい俺はそのまま地面に組み伏せられる。そして俺はその状態で首筋に剣を押し当てられて。

「これで俺に勝ったと思ったのか、俺はまだ本気を出してないし。さっきまでは俺も全力じゃなかったのにな、だからお前みたいな奴に俺が遅れをとる訳が無いだろう」

俺はこの状態から抜け出そうともがくが全く動かせないのである。そして俺はここで完全に戦う意志を無くしてしまった。

「悪いが俺は戦う気は無いんだ。それよりも早くどいてくれ」

「ふんっどうだかな、俺には戦う気が無さそうには見えないんだがな」

俺はその言葉を聞いて心の中で苦笑しながらも相手の力を認めることにした。なぜなら俺を拘束していた腕が一瞬だけ緩くなったのが分かったからである。しかし俺は隙を見せることなくその場から素早く離れて構えた。

「ふーん少しの間だけでも動けるようになるとは大したもんだ。でもその程度の実力だとやっぱりお前に俺を殺せない。俺に勝てる可能性があるとしたらそれは勇者であるあいつか、そしてもう一人の魔王か、それとも同じ転生者しかあり得ねえよ。まっどう考えても俺に勝つ未来なんて無いけど、俺は無駄死にする趣味はねーから。今回に関しては引いてやる、だけどもしも俺と本気で戦おうというのであればその覚悟を決めろよ」

そう言うとその男は去っていったのである。俺はこの国での出来事に疲れ切ってしまいその場にへたり込んだのであった。そして俺はそのまま気を失ってしまうのである。そして俺はこの世界で目覚めた場所へと戻ってきていた。しかしこの場所で目を覚ましたのは俺だけだったので俺の傍にいたリリアに事情を説明して俺達は再びあの城へと向かうのであった。

「リリア、あの男が言ってたように俺には戦う意思は無かった、それを証明する為にこの力を封印していいだろうか」

俺はその言葉を真剣な眼差しで言うと彼女は呆れ顔になって。

「あなたは何を言ってるんですか、そんなこと私が許すと思っているのですか?それにあなたは自分の強さを隠すためにあえてあんな行動をとろうとしたんですよ。それにあなたはこの世界の平和を取り戻すために選ばれた勇者です。それなのに何故あなたがその使命を放棄してもいいと言っているのか私は全く理解できないですよ。とにかく今はあの国の人たちを信じてもう少しの間頑張ってみませんか」

俺はその言葉に対して特に反論することは無く。とりあえず彼女の言葉に従って俺はしばらくの間、この国に居ることにしたのだ。俺はそんなやり取りをしているうちに俺が異世界召喚される前の事を思い出していたのだ。そして俺はあの時の自分と今の自分を比較していたのである。

そう今の俺はこの世界にきて色々と成長したはずである。そしてあの時からもそれなりに時間が経過していたはずだ。しかし俺の記憶の中では俺がまだ高校生の時であるような感覚があるのである。

そう俺はあれからも成長を続けたはずだったのだ。だが実際は違ったのだ。俺の中には高校生時代の頃の記憶がそのまま残っており俺の肉体は年老いたような状態に変わっていないのである。そして俺はリリアの方を見つめながら考えてしまったのだ。

この世界は俺が元々過ごしていた世界よりも遥かに技術が進歩していて俺にとっては便利な世界になっているが。この世界を創造した存在は本当にこんな世界を創り上げたのだろうかと疑問を抱いたのだ。

(それに俺の元の世界でもかなり時間が経っているはずだ。それにこの世界に来る前には俺は確か、高校の教室にいてクラスメイト達と一緒に授業を受けていた。それなのに俺だけがこの世界に呼び出されたというのか?しかも俺は何故か元の世界に戻れないで、そして俺がこの世界に存在することによって世界のバランスが崩れているというのか?)

俺はそんなことを考えている時にあの時見た景色を思い出す、俺が剣を突き刺した後にあの場所には何も存在しなかったのだ。

あの時、あの場所はこの国で一番強いと言われていた存在に壊されかけた。しかし今はどうだ、あの男によって俺の仲間である存在は殺され、そして俺もあの時殺されたはずなのに何故か生きている。

そこで俺は思った。あの男こそが元凶でありこの世界にとって害をなす存在であるということを確信したのである。しかしそれと同時に元の世界に戻りたいという願望が強くなっていたのは事実なのだ。しかし元の世界に戻る方法が見つからない。そこで俺は一つの方法を考える事に成功したのである。それがこの世界で元の世界へ戻る手段を探すことだ。

(もしかしたら元の世界と繋がる何かがあればあるいは。それにあの男もこの世界に俺と同郷の人間がいると言っていたが、もしかしてあの男の正体こそ元の世界に帰るために必要な何かを知っている人物なのか?まあいい俺の目的は変わらない。元の世界に帰れば全て上手くいくはずだ)

そんなことを考えている内に俺は目的地に到着した。そしてその部屋に入るとそこには見慣れた姿の者達がいた。しかしその姿は以前のような幼女の姿ではなく、普通の大人の女性のような姿をしていたのである。

そこで俺はその女性の顔を見て俺は驚いた。なんとそこにいたのは俺の妻である結子姉さんだったからだ。しかしそんな驚きを悟られないように俺は表情を隠そうとしながら彼女に近づいて行くと、俺のことを覚えていてくれたようで。

「裕太君なの?」

俺はその声を聞いて思わず泣いてしまいそうになる。そして彼女の元に近づいて抱きしめようとした瞬間に彼女の姿が突然消えたのだ。その出来事で俺は我を忘れてしまっていた。そしてそんな俺の様子を見かねて俺の事を落ち着かせようと思ってか俺の体に衝撃が与えられたのである。

そして気がついたら目の前に彼女の胸が俺の体に押し付けられていたのだ。

「ほら落ち着いて。大丈夫だから、もう安心して」

そう言い聞かせるように言ってくるので俺は冷静さを取り戻そうとしたのだが。

「何で俺の名前を知ってるんだよ?それにその格好は何なんだ。そんな大人の姿でどうして子供になったんだよ?何が一体どうなってるんだよ!」

「それはこっちのセリフなんだけど。でもそうね、私の名前は結子といの、それにその服装は、私は大人の姿をしてるのは仕事の都合上で仕方なくなの、そして子供がこの姿を見せられるのは裕太君と私の魂と体が繋がっていてそれを媒介にこの世界に干渉しているから。それで子供の方にも裕太君はこの世界に来る前までの時間の流れを体験させてあげてるのよ」

「なに意味の分からない事言ってるんだ。でもそうなんだ。俺ってそんな前からこの世界で生きてたんだ。いやそれよりなんなのさっきの現象は、いきなり現れたかと思えば消えちゃうし。もうわけがわからないから教えてくれよ」

俺は混乱しながらも必死で話を整理しようとしたが結局は頭が追いつかなかったのだ。すると俺の様子を見た結子は苦笑いを浮かべてから俺の質問に答えてくれる。

「それは私がこの世界では神の代理をしているからよ。ちなみにこの体はただの神の使いだから気にしないで、でも私の仕事はあなたの願いを聞き入れる事だけ。それ以外の事はできないから。でも私から話せる事は少ないけど説明してあげるから聞いてくれる」

それから俺と神と自称した女性との奇妙な会話が繰り広げられるのであった。

俺が目の前に現れた女神様の話を真剣に聞いていた。そして俺はその内容が余りにもあり得なさ過ぎて言葉を失った。俺はまずは最初に確認すべきことを尋ねる事にした。俺は神様が俺に言った言葉が本当かどうか確かめたいと思ったのである。

「えっと俺は今、自分が本当にこの世界で存在しているのかが、分からなくなってきてる。だってそうだろ、俺はこの世界でずっと過ごしてたのにいつの間にか別の世界に居たなんて信じられないよ。それにあんたの言葉が正しいとするならば、この世界に俺と同じ存在がもう一人いるということになるだろ。俺にはこの世界で一緒に暮らしてきた大切な仲間もいる。そいつも同じ時期に俺の前に現れたのなら絶対に俺の事を見つけ出そうとするだろう」

俺のそんな言葉を聞いた女神は首を傾げながらこう尋ねてくる。

「あなたは何を言ってるの?私に分かる言葉に通訳してくれないかしら」

「いやだから、この世界に俺以外の異世界人がいて俺にその人を殺してくれとか言ってるんじゃないか?だからあんたが俺の前に姿を現したんじゃないのかよ。そもそも俺は異世界に呼ばれた理由がこの世界のバランスを保つ為らしいから。そんな役目を押し付けられたくはないんだが」

俺はその事を聞くと女神は再び首を傾けて困ったような顔つきで、今度は俺に問い掛けて来たのだ。

「ねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえ。じゃあ何であなたが召喚されたのか、召喚するはずの人間が召喚されずになぜか別の存在がこの世界にやって来た。そして本来ならこの世界を救う為にあなたにその力が与えられるはずだった」

「はぁ、そんなことより、その俺が呼ばれなかった本当の理由は何なんだよ」

「そのあなたが選ばれなかったことには、実は理由があって、その理由というのはこの世界にあなたが存在するだけでこの世界のエネルギーが乱れてしまい。あなたの存在はこの世界に必要なものだけど。あなたはこの世界の存在ではないので、その存在の消滅は許されない。だけど、その事は本人に伝えてはいけない。だけどこのままだとこの世界は滅ぶの、その世界の危機を回避するためにはこの世界にいる一人の人間をこの世界から消し去ればいいの、つまりはあなたが消えることであなたは存在を許される。その事が分かっていても、あなたはこの世界の平和の為、そして世界を救うために私達の望みを受け入れますか?」

「ふざっけんな、お前は俺に死ねと言うのか。だいたい世界の為に俺の命を差し出す?冗談もほどほどにしてもらいたいものだな。俺はまだやりたいことがたくさんある。せっかく新しい環境に慣れたところなのに何でこんな事になってんだ」

俺はその言葉を言い切ると怒りのあまり体が熱くなるのを感じていた。俺にとってこの世界での日常はかけがえのないものなのだ。確かにこの世界に召喚されて当初は戸惑うことばかりではあったが今はこの世界を楽しめていたと思っていたからだ。

だがそんなことを考えている時に不意打ちを食らう形で女神がまたとんでもない爆弾発言をしたのである。

「あら?あなたはそんなことを考えていたのですか?それは残念です。あなたにそんな風に思ってもらえるとは、ですがあなたはこの世界に存在しなくてもいい存在なのです。なので諦めてください。それにこの世界でのあなたの役割は終わりを迎えています。後はこちらに任せていただければ大丈夫です。そしてあなたは私達と一緒に来るべき世界に行くんですよ」

俺がその発言を聞いて一瞬思考停止に陥っている隙を狙ってなのか。突然視界が歪むような感覚を覚えた後に、気がつけば見知らぬ部屋に寝転んでいた。そしてそこで目を開けた俺は、さっきまでこの世界に存在しなかった人間としての人生をやり直しているようだったのだ。そしてそんな時に限ってあいつが現れて。俺はあの時と同じようにこいつに殺されかけることになったのである。そして気がついたら俺は、元の世界で俺のことを見捨てていったあの男の家にいた。そこで男は俺がこの世界で暮らしていた頃と同じような感じで接してくる。そこで俺が違和感を抱いたことは。俺に対して男がまるで家族のように扱ってきたことだ。

俺が不思議に思い男の顔をよく見るとその顔はかつてこの世界で俺を見放していった幼馴染のものだった。その事を確認した俺は目の前にいる男に俺は自分の正体を明かしたのである。しかし俺が目の前にいる男の正体を話すと男は驚きながらもどこか嬉しそうに微笑みを浮かべてこう言ってくる。

「まさか本当に生きていたなんて。それとも君は、俺の知る人物ではないのかな?いやでも君の顔を見れば間違いなく俺の知ってる人間だと確信しているんだけどね。でも俺が知ってる君とは別人で俺の知らないうちに君がこの世界に来たっていう可能性はありえるからな。一応君の名前を聞かせてくれ」

俺はその言葉を言われると、俺は目の前の男に素直に名前を教えた。俺が自分の名前を告げた瞬間に男の表情に緊張の色が見えたのは俺の見間違いではなかったはずだ。しかし男はその後に少し悲しそうな表情を見せた後で俺に謝りながらこの家から立ち去って行ってしまったのである。俺はどうしてなのかはわからないがその男を追いかけようとした。しかし追いかけようとした俺だったが。その前に誰かが家に上がってくる気配を感じ取ったので俺の事をその人物が殺しにかかって来たと思い俺はその攻撃を避ける。するとそこには見た事のない少年が立っていたのである。

俺がどうしてこのタイミングでこの家に上がり込んできて俺に襲いかかってくるのかを疑問に思っているとその少年はいきなりこの家の住人である。先程俺の目の前から消え去った俺に化けた偽物に向けてナイフを投げつけると、その投げた刃はそのまま奴の顔に突き刺ささったのである。その瞬間に奴の体は霧状になりその場から姿を消した。そんな状況を見て俺の頭の中では一体何が起きているのかわからずに困惑している。

「えっとどういう事なんだよ?それにお前、なんで俺の姿を見てるんだよ。それに俺の目の前から急に現れて消えたのは一体どうやったんだ?」

俺のそんな言葉を聞いたそいつは俺の問いかけに対して答えてくれた。

「僕は君を助ける為にここにきた。だから君は安心して、それに僕がここに連れてこられた理由は、今の状況が物語ってる」

「今の状況って、俺が殺されかけた事と何か関係があるのか?」

「そうだよ。だから安心して、もうじきここは終わるんだ。そして君は僕の能力を使ってこれからこの世界でやり直す事になる」

「いやいや、俺まだ生きてるんだぞ。死ぬのは嫌だしそんな簡単にはいわかりましたと、言う事を聞くつもりもない」

俺はそんな風に抵抗の意思を見せてみると、その謎の人物は俺に近寄ってきて俺の手を掴み。俺にだけ聞こえるような小さな声で囁くようにこう口にした。

「大丈夫だから。ほら見てよ。これはこの空間に穴を空ける魔法でね。これで外に出られるようになる。それでねここから出るためには君が必要なんだ」

「必要だと言われても俺は別にこの世界に残りたいと思ってないし、この世界がどうなってようと関係ないんだが。それより、お前がなんであれ俺を殺しにかかって来るなら遠慮無く戦うけど、お前が俺の事を殺すならその時は覚悟してろよ。俺はどんな手段を取ってでも生き延びて見せるからな」

「はぁー。本当に君は何も分かっていないみたいだ。でもその様子だと本当にこの世界で生きて行くつもりでしょ?そんなことをしても無駄だよ。それに僕にはその力が効かないんだよね。そんなことをしてもすぐに別の手を打って殺すことになるよ」

「まあそういう訳ならとりあえずこの部屋から出て行くよ。ただお前が何者だろうと絶対にこの世界で好き勝手させない。それと俺の事を殺したいんなら殺せるもんならやって見ろよ。その時には全力で相手をするぜ。じゃあ今度こそこの家を出て行かせてもらうから、じゃあな」

(は?この子何を言ってるの?自分が殺されないと思って調子にのり過ぎじゃないかな?まあいいや。僕にこの程度の技が通じるはずないよ)

「じゃあお言葉に甘えて本気でいかせてもらいますね」

俺はその声と同時に意識が薄れて行った。

そして再び俺が目を覚ますと、そこは元の世界にある自宅の一室だった。そして俺はベッドの上に横になっている状態で。隣にはさっきの少女が心配そうな表情で俺のことを見つめていたのである。

「お兄ちゃん目が覚めたんだ!よかった。さっきからずっとうわごとで何がぶつくさ呟いてたんだよ。ちょっと怖かったかも。ところで大丈夫?もしかして私に何か出来ることがあったりした?」

「ん、なんだか体が重くだるいな。それに体を動かそうとしたら変な感じがするな。なんか妙な夢を見させられていた気がする」

「もしかたら私の魔法のせいかもしれませんね。私があなたに使った能力は私の存在を相手の中から消し去ることが出来るという効果です。でもこの能力は本来相手の心を読み取る力を持っている人間にしか発動しません。そして私の場合は心を読めるのです。そしてあなたが見ていた夢はその人が過去経験したことの記憶や感情を読み取りそれをあなたに見せることで相手に幻覚を見せることが出来ます。そしてこの力の怖いところは自分の記憶の断片にあなたを引きずり込み。過去のあなた自身と今のあなたの人格を混同させることも出来ることです。それによって自分の記憶にあなたの姿を重ねさせて。あなたにその光景が実際に起きた出来事だと誤認させることが可能なんですよ。つまりは私の存在があなたの中に入り込むことであなたの脳は錯覚を起こして自分の中にいる別人と私とで認識するようになるんです」

「へぇーなるほど。それで俺は俺に殺されるような気分でいるのか」

「ははっなるほどね。確かにその可能性はあるのかな」

そう言って笑っていた少女は、それからしばらくして。突然顔を真っ赤に染め上げて。その事を隠しきれないままでいるのだった。

俺の名前は神木雄二(かみきゆうじ)。高校2年生になったばかりの男子高校生。俺は現在ある事情があって学校に行くことが困難な状況に陥っている。その理由としては両親が海外に転勤になってしまったからである。なので俺が通う学校は俺一人を残して他のみんなは転校してしまったのであった。しかしそんな学校にまたも新たなクラスメイトとして一人の女子生徒が転入してきた。そしてその生徒に俺が興味を持つことになったのが、彼女は俺のクラスでは珍しいタイプの人間でその性格はとてもおとなしくてあまり目立とうとはしないが。俺が困っている時や助けを求めた時はしっかりと手を差し伸べてくれるそんな優しい一面のある女の子なのだ。

そしてある日。その彼女の様子がおかしくなり、その変化に戸惑った俺は彼女に理由を尋ねたのだが。彼女からの返答は一切無かったのだ。しかしそれは仕方がないことかもしれないと俺は思うことにした。しかしそんな俺に、その日から彼女が付き纏ってくるようになったのである。そんな生活が一ヶ月近く続いて俺はとうとう耐えられなくなり、彼女と話をすることにした。その結果俺はその少女が抱えている問題について知ることが出来たのだ。そしてその問題というのが俺にとっては非常に複雑な問題でもあって。そんな俺が取れる選択肢が1つしかないのだと悟ってしまうと、俺の中で迷いが生じてしまうのだった。

私はいつも通りの日常を送っていた。だけど最近になって私には少し気になることがある。それは私の友人でもある彼の行動が以前と比べてどこかおかしいと感じられるようになって来たからだ。最初はほんの些細な違和感くらいしかなかったのに最近ではそれが大きな違和感となり始めているのを感じる。

その事について何かを聞こうにも彼はその話題に触れられるのを避けるようにしている。そんな態度を取るということはやはり彼から何か隠し事をされていると確信できたのである。そしてそんな彼とのすれ違いが続いていたそんなある日、私はとんでもない物を目にしてしまうのである。

「なんであいつはそんな大事な事を隠すのよ」

私には彼が隠したがる気持ちがよく分かる。何故ならその事実は彼にとってとても受け入れがたいものでもあったのだろう。その事に気が付いてあげられなかった自分を責めてやりたいとも思えてくる。そしてその事はきっと私のせいでもあり。私がなんとかしてあげないといけないんだと思う。

でも一体どうやって? そんなことを考えていた私だったが。その考えを一旦中断させなければならないほどの大事件が起こるのだった。

それはとある日の学校の帰り道のことだが、俺達はいつも通り三人並んで歩いて帰っている最中のことだった。そんな時に目の前に黒いスーツ姿の男性達が現れたのである。その男性達はこちらに向かってくると俺達の前に立ちふさがり。道を塞ぐように立っている。

「神木雄二さんですね。我々は貴女のお母さんが経営している会社の部下の方で今日貴方にお話がしたいとお呼びさせていただいたのですが、どうか我々と一緒にご同行願えないでしょうか?」

俺はそんな風に話しかけられて思わず驚いてしまう。

「あのーどうして俺の名前を?」

「申し遅れました。我々はこういう者なんですが」

すると黒服のうちの二人が名刺を取り出した。そこには有名な警備会社の文字が書かれていた。

「実はこの近くのビルでテロ予告があったんですよ。なので万が一に備えて我々の方で警護の為に待機させていただければと思います。勿論お金を要求したりはしません。もしどうしてもと言う場合はそちらが要求していただける金額に応じて我々から報酬をお支払いさせていただきます。いかがいたしますか?」

「それって断れるのか?断った場合に何か面倒なことになったりとかはしないだろうな」

俺は念の為の確認をしてみることにした。

「はい。基本的には無理にお断りされるよりは受けてもらえるようにお願いしておりますので、安心して下さい」

どうやら特に断る理由が無いようだなと思ったところで俺はレイリアに相談してみた。その答えを聞く限り特に問題が無さそうだなと感じて俺達はその話を受けようと思っていたら、ふいに横にいるレイリアが立ち止まりこんなことを口にした。

「私達はこの人達から守られる必要はないですよ。それにあなた方がこの辺りの警備をするのはいいかもしれませんが。この近辺に私の友達がいるかもしれないんですよ。だからそこだけ気を付けてくれればいいです。後できれば早くその仕事を片付けてくださいね。それとこの人にちょっかい出すならその時には覚悟を決めておいた方がいいですよ」

「なっ!この人何を言ってんだ」

そんな言葉に驚いた俺は咄嵯に声が出てしまったが。よく考えてみればこの人が言っていることに嘘はない。なぜならその証拠として彼女の目は真剣そのものだった。なのでとりあえずここは任せてしまおうと思い俺も口を挟まずに黙っていることにする。

「わかりました。ですが一応この方にも注意を促しておきます」

俺に視線を向けられた黒服の一人がそう答えるとその二人はこの場から去って行き。そしてすぐに他の黒服達が俺達を取り囲んだ。そして彼らは俺たちに何もせずにその場から立ち去っていった。

その後俺達は何事も無く自宅まで帰る事が出来たのだが、その日を境に俺の周辺で様々な異変が起き始めることになるのであった。

それから数日の間は平穏な日々が続くことになる。その間は黒服の男達の集団が時折家の近くを通り過ぎることがあり。そんな彼らを俺は何の目的でこの付近にいるのか分からずに、その様子を窺い続けるだけの状態になっていた。

ただ、俺の知らないところで俺の身辺が少しずつ変化しているのが分かっていたが。俺はそのことについて深く考えることをしなかった。

俺はその日にいつものように自宅から出ようとしたところで。突然何者かに襲われた。しかし相手の正体を確かめる前に俺の意識は途切れてしまう。次に意識を取り戻したときには既に見知らぬ場所に拘束されていたのである。

「んっ!これは?確か学校で授業を受けててそれから?もしかして何かの間違いで学校に行っていたんじゃないか?」

「あら?意外と早かったわね」

俺の意識が完全に回復したことに気付いたらしい彼女はそう口にすると。俺は自分の体を確認しながら自分の置かれている状況を理解しようとするのだが。その行為が無駄なことだと直ぐに思い知らされることになった。それはなぜかといえば手足が自由に動かすことが出来なかったからだ。そこで俺は、今どういう状況なのかを理解するためにある方法を実行する。そして自分のステータスを覗いて確認したところ、ステータス画面に表示されているはずのMPとSPが何故か減っていた。

ステータス画面を開いてステータスを確認して見たところ、ステータス画面の一番下に【?】という文字が浮かんで見え。俺はその部分をタップすることで、詳細を表示させることにしたのだが、そこには見慣れない単語が表示されていて。俺はそれが何を意味するのかを知る為に。もう一度その画面を開きなおして調べ直すと今度はそこに【????(???)】という言葉が記されていたのであった。そしてそれを確認してからしばらく経って、その【(?????)??(??)?】の詳細を調べてみるとその正体はどうやら称号と呼ばれる物みたいだというのが分かった。しかしそれ以上詳しい情報は載っていなかったのである。しかしそんなことが気になっていないかのようにその少女はこちらへと近づいて来る。

「ようやく目が覚めたのね」

彼女は俺の前までやって来ると俺の顔を覗き込み。俺のことをジロジロと観察し始めたのであった。

「えっと俺の体に何か用でもあるのか?」

俺の問いかけにその少女は一瞬だけ動きを止めたが、またゆっくりと口を開く。

「別にそういうわけじゃないけど、それよりも今はあんたにやってもらいたい事があるのよね」

その発言から彼女が俺に対してやらせたいこととは何だろうかと考え込んでしまったが。その疑問を解決する前に次の言葉を俺に告げてくるのだった。

「私をあんたの恋人にして欲しいのよ。それで私にあなたのスキルをコピーさせて欲しいの。それが条件よ」

「え?恋人って俺の?それにコピーするって一体どういうことだ?俺が君の恋人になって君は何をしてくれるっていうんだよ」

その質問に対する答えに少女が返したのはこの世界では当たり前とされていることで。しかし、それは異世界から来たばかりの彼にとっては理解に苦しむものでしか無く。その事実を改めて聞かされた彼は、思わず言葉を失くしてしまった。しかし彼女の方はそれが普通だと思い込んでいたようで。俺の表情を見て困惑したように首を傾げていたのである。しかし彼女がその事実を全く知らないと判断した俺はそのことを説明することにする。その話を聞いて納得がいったらしく。俺の頼みを聞く気になったらしい。俺の話を聞いた彼女は、これから俺が彼女に向けて行うであろう行為を了承した上で実行に移すことにしたようだ。そんな俺の行動というのは彼女に抱きついて唇を奪うというものだった。そんな事を行う俺の事を彼女もまた俺と同じように優しく抱きしめてくれたのだった。

それから俺が目を開けて起き上がると。目の前にはあの美しい女性の顔があり。俺が彼女に目を向けると彼女と目が合ってしまう。そして俺は彼女とキスをした時の記憶が蘇ってしまい動揺してしまい。その結果、思わず彼女を突き飛ばしてしまった。そのせいで俺の顔に衝撃が走り、俺は思わず悲鳴をあげてしまい。そしてその痛みのせいで少しの間気絶することになってしまう。そんな出来事の後俺は自分の顔に手を当ててその痛さのあまり涙を流すことになった。

「ええ!?どうなってるんだ?一体俺の身に何が起こったんだ?なんであいつはこんなところにいるんだ?あいつはなんでこんなことを俺にさせてきたんだ?あいつは一体何を企んでいる?」

そんなことを考えている間に目の前にいる女性はいつの間にか俺が元居た場所に座っており。その事に驚いてしまい声も出なかったのだ。その俺の反応を目の前の人物が不思議に思ったのかもしれないが、こちらの方へ近づいてくるとその俺の様子を見るために顔を近づけてきて、こちらの頬に指を触れて何かを確認し始めて来たので俺は慌てて後ろに下がった。しかしその反応を見た彼女はどこか寂しそうな笑みを浮かべるとその場に立ち止まってしまった。

俺達二人しかいない空間には重苦しい空気が漂っているが俺達は互いに動くことが出来ずにその場でただジッとしているだけだった。しかしそんな時間が長く続くはずも無く。その時間は突然鳴り響いた大きな鐘の音によって終わりを告げる。その音を耳にしたことでこの部屋の中に居た二人の意識は同時に覚醒し。俺が先に意識を取り戻すことになる。そして自分がまだここに存在していることを確かめて安心するとすぐに立ち上がろうとしたのだが、上手く立ち上がることができずに倒れそうになる。すると彼女の方がすぐに手を伸ばしてそれを助けてくれる。

俺はそのまま彼女の肩を借りるような形で立ち上がり。そして部屋の外に出ようとした時。ふと気になったことがあったため彼女を一度止めて、それから扉を開ける前に聞き耳を立てることにした。その結果俺はその行動の正しさを知ることになる。何故なら聞こえて来たのは明らかに誰かの声であり。その内容もかなり深刻な物であったからだ。俺がそう判断した理由として、声から聞こえる内容がかなり緊迫したものになっており、しかも会話の中身に聞き捨てならないものが含まれていたのである。

「だから言っているだろう!早く俺を解放しろ!」

「いや無理だって言ってるだろ?あんたらが何の罪を犯したか知らんが、こっちが決めた期限までに金を払い終わらなかったのが悪いんだ。まあそれでもちゃんと払ってくれれば俺らも何もしないさ。ただ金を持って逃げるとかそういうことされるとうざいからこうして拘束してんだよ」

その声を聞いた俺はこの場で直ぐに逃げ出すべきだと考えた。そして逃げ出そうと足に力を入れた時に。その声の主と目が合う。その人物こそが俺をここへ監禁していた人物であることを理解すると。俺はその人物に向かって殴りかかろうとする。しかしそんなことをしても俺の攻撃が相手に通用しないことは分かっていたため、すぐに拳を引っ込めて相手の注意を別の方向へ向けるようにするために、ある提案をしてみることにする。それは俺達を捕まえた相手が持っているであろうお金を全て奪い取り。その資金源となっているものを壊すといった内容のものだ。俺の提案を受けた男はニヤリと笑い俺の頭を軽く撫でてから。その場を後にしようとする。そして俺と男がすれ違う際に俺はその男の腕を握り締めることでなんとかその行動を阻害させることにすると。相手もその事に気付いて振り向いて話しかけてくる。

「おっ!もしかして俺とやるつもりなのか?でも残念だけどな。俺は強いぞ。この辺りでは俺に敵う奴はいない。お前みたいなヒョロヒョロした貧弱な野郎に負けるような俺じゃないんだぜ」

その発言に俺が何も言えずに黙っていると。男は俺の手を振りほどいてそのまま去って行ってしまう。そんな俺と男がやり取りをしていた間にも外から聞こえる怒号が次第に大きくなっていくのが分かっていたのであった。

「早く俺を解放しやがれ!いい加減にしねえとこのままじゃ俺はこの国から出られなくなるんだぞ!」

外にいる大声で怒鳴っている男の話しぶりから、恐らくこの国が鎖国をしていることは確かなようだ。しかしその理由はどうやら国の中に入るために必要な通行料が高額で支払うことが出来なければ入国拒否をするという話であった。そして俺はそんな事実を知りつつも今はまだどうすることもできないと判断してとりあえず今はこの状況に耐えることにしたのである。

「ああもうっ!どうしてこうなった?一体俺にどうしろっていうんだよ。くそったれ」

俺の叫びは虚しく響き渡り。それと同時にその日は何も起こらずに時間が過ぎていく。俺は結局何一つできず。その日の夜を迎えたのだが、食事もまともに与えて貰えない日々が続いたせいで空腹によるストレスで俺は何度も死にそうになったが。それを必死に耐え続ける。そうすることで俺に訪れるのは無力感だけであった。それからしばらくしても状況は変わらず。更に一日が経過した。俺はその日を迎えると今まで我慢してきた分の涙を流しまくったが。泣きすぎて瞼が重く感じてきた頃に。俺に近づいて来る存在がいることに気付くと。その人物はこちらの様子を伺いながら話しかけてくる。

「随分とお疲れのご様子ですね。大丈夫ですか?良ければ私がその苦痛から解放してあげますが」

その声に驚きながらも。俺は何とかしてその女性の姿を瞳に収めようと頑張った。なぜならば俺の視線の先にいるその女性はどうやらかなりの美人であるらしいということが分かったからである。

その女性は綺麗な銀髪をしており。とても美しくて俺の目を奪っていくような女性であった。俺はその女性の姿を見て思わず固まってしまい動けなくなってしまったが。そんな俺に対してその女性は手を伸ばすと。こちらに触れようとして来る。

「あなたはそこでじっとしていて下さいね」

そんなことを言われてもどうしたら良いのか分からなかったので。彼女の方へと一歩近づくとその手を握り返すことにする。するとどうやらその行動が良かったらしく。その女性から俺に対してお礼を言われたのだった。

俺は彼女に案内されて彼女の住んでいる家へと向かい。そして彼女が作ってくれた夕食を食べさせて貰ったのだが。俺はその時にようやくその女性の名前を知ることとなる。彼女はリリアという名前で、年齢は見た目的には二十代半ばから三十手前ぐらいで俺よりも十歳以上歳が上の人だと分かった。そしてその人の年齢について尋ねてみたところどうやらその人はこの国の王妃様で、つまり俺が今居るこの国で一番偉い人だった。

そんな人と二人きりになって一緒に食事をするなど俺にとっては初めての出来事だったため、緊張してしまい食事が喉を通らなかった。しかし食べないことには生きていけないので。無理矢理口に押し込んで胃に流し込んでいくが、やはり味わうことなんて出来なく。その事に申し訳ないと思いながら俺はその食事を平らげたのである。そんな状況が続くことで流石に体に異変を感じ始めてしまい、それが俺の体に現れた症状としては、吐き気に襲われることであった。そんな風に苦しんでいる姿を見られた俺は彼女に心配されてしまう。俺はそんな優しい彼女にこれ以上迷惑を掛けたくないという思いから無理にでも平気そうな態度を取り続けて見せる。そんなことをしていた俺は彼女に寝かしつけられてしまい。そのまま深い眠りに誘われていったのである。

俺は夢の中で昔の事を思い出していた。俺がまだ子供の頃の話であり、その頃の俺は冒険者として生きていた頃だった。その時俺はいつものように仕事を受けようとしていたのだが、俺はある理由から依頼を断ることにしたのだ。その理由とは子供に怪我をさせるのは良くないということで俺は自分の気持ちに折り合いをつけて断ることにしたのだ。しかしその結果俺は、仕事をしなくて良くなった代わりに金を得る手段を失ってしまうことになる。そしてその後俺は自分の不甲斐なさに嘆いていた。

しかし俺の人生に転機が訪れたのは俺がその日の仕事を諦めてから三年後のことであり。その時に俺は自分の実力で生き抜いてみせると心に誓ったのだ。

俺が意識を取り戻し目を開けると目の前に居たのはリリアではなくレイリアであり。その事に戸惑いを覚えるも俺はそんな事は気にせずに。レイリアの顔を見つめたまま暫くの間呆けているだけだった。そんな俺の事をレイリアが見ていてくれたので。俺はそのおかげでどうにか我に返ることができたのである。

「やっと目を覚ましたのね。良かった。もう起きないかと思ったのよ」

そう言って彼女はこちらに手を伸ばして来たので、その手に俺は触れてみたのだが。その途端。何故かレイリアに叩かれてしまった。

「何勝手に私に触っているの?」

そんなことを言われても俺にはどうすることもできないので。仕方なく俺は大人しくしてその罰を受けることにする。そんな俺の様子を見た彼女はため息をつくと。少ししてから話を始めた。

俺はその彼女の話を聞いていて気になることがあり、それについては後回しにすることにした。まず先に俺に確認したいことがあり。それは彼女の身に何か起きたりしていないかということだった。何故なら先程まで俺は自分が死んだと思っていたからだ。そしてその事を正直に伝えると。その話を彼女から聞き。俺は自分のせいでレイリアにとんでもない重荷を背負わせてしまっていたことを理解し。心の底から謝罪の言葉を口にする。

「本当にすまなかった。俺が君を死なせてしまうだなんて。でも俺も君のことは絶対に助けてやる。だから待っていてくれ」

「はい?何を勘違いしているか分かりませんが。私がいつ死ぬと言いましか?そもそも私は生きているのですが?まああなたが死んだと聞かされた時は流石に動揺しましたが。あの時はまだ混乱していたこともありまして、そのせいもあってあんな行動をとってしまい申し訳ありませんでした」

そう言ってレイリアさんが謝ってくるので。俺は彼女を安心させるために声をかけようとするが。俺が起き上がろうとした瞬間に彼女は突然苦しみ始めたのである。その様子を見ていた俺も、彼女の体の不調の原因はすぐに理解できたので。俺は直ぐに行動に移す。俺の考えでは恐らく彼女が俺の体を動かし続けていたのだと思う。そのための弊害が起きたのではないかと考える。そしてその原因を突き止めた俺が取った方法はただひとつだけしかない。

そう思い至った俺はその行動を実行する。そしてその効果はすぐ現れることになり。彼女が苦しみ始める原因を消すことに成功する。しかし俺の体が限界を迎えたために。その場に倒れた俺のことを慌てて駆け寄って来たレイリアに抱えられると。その衝撃で気絶してしまうのであった。

「んー」俺はその声を聞き目を覚ますと、視界に写ったのはベッドで横になっているリリアの姿があった。そしてその近くにはレイリアとメイラがおり、二人はこちらを心配そうに見つめているようであった。俺は二人のその視線が俺に集中していたので。恥ずかしくなってしまった。しかしいつまでもこうやって布団を被っているのは流石に失礼だと思い。俺は上半身を起こすと彼女たちの方を見て挨拶をする。

「どうやら迷惑をかけたみたいで悪かったな」

「いえ、こちらこそ。あなたが目覚めてくれて嬉しいです」

そう言うと彼女は笑顔でこちらに笑いかけてきた。その顔があまりに可愛くてドキッとしてしまった俺は。彼女にその顔を向けられただけで心臓がバクバクとなり始めると、俺はその状態を抑えることに必死になった。そんな風に焦っていたところで俺の隣にいた少女からいきなり手を握られ俺は驚いてそちらを見ると。そこには俺のことが気になっていたらしくて、ずっと俺のことを観察し続けていたメイラが立っていた。その彼女の瞳からは不安の色が感じ取れたので。そんな彼女の気持ちに応えたいと思い。俺もその手をしっかりと握り返した。すると、俺が手を握り返すと彼女はその手を嬉しそうにしながら頬ずりするという。何とも言えない可愛い反応をしてくれるので、俺はそれに悶絶してしまいそうになる。

そしてその後すぐにレイリアとリリアからも声をかけられたが。その際にも二人共がこちらの反応を確認するような仕草を見せると。まるで試されているような気分になる。それからしばらくの間はそのやり取りが続くのだが。途中で疲れ果てて何も喋らないようになる。その事が切っ掛けとなったのかは分からないが。俺達は自然とその話題から離れることになった。それからしばらくして俺達の間に流れていた空気が和やかになって行く中でリリアから質問される。その問いの内容はどうしてここに来たのかということであり。リリアはその理由について知りたかったらしい。そしてその問いかけに対し俺は答えようとしたが。その時ふとリリアが持っている首飾りが気になり、そのことについて聞いてみる事にした。

俺がその事について聞くと。リリアが持っていたペンダントには、この世界の勇者が身につけていたものらしく。それを彼女が所持していたことで。彼女が勇者ではないか?という疑いがかけられてしまい。そこから追われる身となってしまったのだという事を知ったのである。そして俺はリリアの事情を聞くうちに。どうしても気になってしまったことがあった。

リリアの話の中で俺はあることを思い出したのだった。その事とは俺達が出会った最初の時に、俺に近づいて来た黒ずくめの男がいたことなのだが。彼は俺に何かしらの目的を持って近付いて来ていたことが俺の記憶に残っており。俺はそのことをリリアに尋ねてみると。どうやら彼女も同じことを考えていたようで、その件についても説明をしてくれた。そして俺は彼女がその男から逃げ回るために。今まで隠れていたという話を聞かされた。そしてその話が終わった後。俺達の話が一区切りついた頃を見計らってレイリアからこんな話を持ちかけられる。

「あのう、私からお願いがあるのですが、聞いていただいてもよろしいでしょうか?」

「ああ、構わないけど、一体どんな頼みなのか教えてくれるかな?」

俺はレイリアの方に向き直り、その内容が何かについて尋ねることにした。

「はい、あの、あなたは今後どうするつもりなんですか?」

「俺がこの後どうするかってことかな?まあそうだね。とりあえずは、これからも普通に暮らしていくつもりだよ」

俺のその返事に対してレイリアは俺の言葉を疑っているかのような態度を取り始めてくる。

「それは、嘘ですよね?私は、その本当の理由が分かってしまいました」

その言葉を聞いて、俺は思わず息を飲むことになる。その理由というのが。実は俺には特殊な能力があって、人の心を覗けるというものだった。この事は、まだ誰にも明かしていない内容なので知られてはいけないことのはずなのに。レイリアには俺の能力が知られているようなのである。

(えっ!何この人!?︎まさか俺の事を覗き見たのか?)

俺は内心そんな驚きを感じながら、目の前にいる少女のことを警戒し始めた。だが彼女はそんな俺の様子に気がついてはいない様子であり。そのまま俺に向けて話を続けるのだった。

「私も似たような力を持っていまして、相手の考えていることが分かるんです」

レイリアは俺のことを見つめながらそう口にしてくる。彼女の目はどこか悲しげであり。俺は彼女の目を見ながら、それが作り物でないことを信じ。レイリアの目の中に見える感情を読み取ると、それが本当だという事が分かり、そこで初めて俺達は互いの秘密を知ることになったのだった。

(えぇ〜。なんか色々と凄すぎるんだが。この子ってもしかして神様が使わせた使者とかそういう存在なのではないだろうか?)

俺は彼女の言葉を信じられない面もありつつもそんなことを考えてしまったが。そんな俺の思考を読んでいたように。リリアから質問をされてしまったので、その事を正直に話すと。今度は俺の方が彼女から驚かされることになるのである。

「それでは私からもお聞きしますが。あなたのその力は一体どういうものなのですか?」

「んー、それは多分だけど、スキルの恩恵によるものだと思っているんだけど。詳しくは分からないんだよなぁ〜」

「なるほど、つまり詳しい事は分からないけれど。私の方であなたに力の使い方を教えて差し上げれば。もしかしたらその能力を有効に使うことができるかも知れませんね」

「そんな事が出来るのかい?」

「はい、私に任せて下さい。それでその事で少しあなたに相談があるのですが。私に協力していただけませんか?」

「それはもちろん協力させて貰えるなら嬉しいよ。君には命を救って貰ったわけだし。出来ることがあるなら手伝わせてよ。それにレイリアと出会えたことは俺にとっても幸運だと思うからさ。その出会いを大切にして行きたいと思うよ」

「ありがとうございます。そのお気持ちだけでも十分嬉しく思います。それと今はまだ夜ですので明日また話をしましょう。それから、もしよければなのですがまだ体調が悪いようなので、私が付きっきりであなたに回復魔法を使ってもいいでしょうか?そうしていただくとあなたは楽になれますので」

「あ、うん。確かに今は調子が良いとは言えない状態だから、君に甘えても大丈夫かな?あと出来ればなんだけど。俺に回復魔法を使うのなら、その魔法を俺にもかけて欲しいな」

「えっとそれはどうしてなんですか?」

「んーとね。その魔法をかけてもらえば。君の魔力を体内に取り込むことが出来るので、俺はその魔法の効果で、ある程度までは怪我の治りが良くなりそうなんだよ。俺の回復速度が遅い理由は多分そこにあるのだろうからね。君は自分の魔力が減るかもしれないのに、それでも良ければ俺にその魔法をかけてくれないか?」

俺は彼女のことが信用できる人間だということを改めて実感したため。俺は素の口調で彼女のことをレイリアと呼び。俺自身の考えを正直に彼女に告げると。彼女は少し驚いたような表情を見せた後に微笑むと了承してくれるのであった。そしてその後は俺に回復魔法をかけるための詠唱を行ってくれたのだが。その結果、彼女はなぜか気絶するという結果になってしまい。俺はその後彼女の部屋まで運ぶ事になるのであった。

翌朝目が覚めると俺は何故か彼女の膝枕の上で横になっており。頭を撫でられているという状況を作り出した犯人のレイリアと視線を合わせるとお互いに気まずくなり無言になってしまうと。その状況を打ち破る為に彼女に声をかけてみたが特に話題などが出てこずに結局何も喋らないままに終わってしまったのだが、そのせいで再び気不味くなるという事態に陥ってしまい俺は必死に頭を回転させることになる。

そうしてしばらく俺達が黙ったままでいるとリリアが現れて俺達の状況を目にすると慌てて離れようとしたため。その行動を阻止しようと必死に俺は腕を動かそうとしたが、体が重く動くことが出来ないことに気がつき焦るが。リリアから説明を受けてなんとか理解することことが出来た。そして、そんな状態で俺がレイリアのことを観察し続けていた時に彼女は俺の額に触れてきたのだ。俺はその行動の意味が分からなかった。するとその疑問に気づいたのかレイリアが答えを話してくれた。どうやら俺は寝ている間、ずっと汗をかき続けていたらしく。そのせいでかなり体が水分不足の状態になってしまっており。このまま放っておくと死んでしまう可能性もあるという説明を受け。俺はレイリアに回復の魔術をかけられながらその水を口に含むことになる。それからレイリアから、今の自分がどれぐらい酷い状態だったのかを聞くことになると俺は愕然とすることになる。なぜならその状態がどれだけ危険な状態であったかを理解すると。彼女がなぜあんな提案をしたのかを察することができたからだ。その事がわかってしまったことで。俺は何も喋ることができなくなり。ただレイリアの好意に感謝をしながら彼女からの行為を黙って受け入れるのだった。それからしばらく経つとようやく体の自由が戻ってきたのでレイリアと二人きりになり。そこでレイリアに俺が知りたかったこと。何故あの時彼女が俺を助けに来てくれたのかについて尋ねてみることにした。そしてその事を聞くと、やはりリリアと同じ答えが返ってきた。そして最後にレイリアからはこれからの事について話し合おうと提案されたので、俺は彼女とリリアのことについて色々と質問をしてみる事にした。だがその時に突然現れた女性によりその話し合いは中断させられることになった。

俺達の間に姿を現した女性がレイリアに向けて何かしらの指示を出すとその指示通りに彼女は動き始めるのである。その女性の事を見るがその姿に覚えはなく一体誰なのかが分からないので困惑していた。そして俺がその女性を見つめていることに気づいた彼女は俺に対してこんな事を言って来る。

「初めまして、私はレイリアの姉のユナといいます。以後よろしくお願いします」

そう言い終わると同時に彼女から自己紹介を受ける。

(えっ?姉って、もしかしてこの人がレイリアの本当の姉なのか?そう言われてみると確かにレイリアに似ている所もある気がするが。姉妹揃って美人なのは間違いないんだが、その見た目はレイリアの方が圧倒的に年上に見えてしまうのは気のせいだろうか? それにしてもレイリアの髪は銀色だがこの人は青色をしているからか、なんだか違和感があるな。でも姉妹ならこの世界に来た時から容姿が違うってことはないはずだから。多分この人の本来の姿がこの世界の人間のレイリアの姿なのかも知れないな)

そんな俺が目の前にいる女性のことを観察していると、彼女はそんな俺に対して話しかけてくる。

「それであなたはどちら様でしょうか?私達がこの城に居る間はなるべく私達以外とは関わらないようにして欲しいのですが。そのお話は聞いていますでしょうか?」

俺はその言葉に対して素直に答えるべきか迷ったが。嘘をついて誤魔化そうとしても仕方がないと考え、正直に自分の名前を告げることにした。

「ええとですね、私はタクミと言います。レイリアさんの話ではリリアから私に回復魔法を教えてもらうように頼んでもらうように頼まれたと言っていたんですが。それに関しては本当のことなのでしょうか?」

「はい、その話も全て事実ですよ。ですが、その前にあなたには確認しておきたいことがあります。あなたが今、レイリアと共にここに来ていることを、他の人達には伝えていないですよね?」

俺はこの人の言葉を聞いて、俺は自分の立場が非常に危うい状態にあるのではないかと不安を感じる。だがそれと同時にレイリアがこの人の前で見せたような感情のこもっていない表情を見せなかったことが少しだけ嬉しかった。だがこの人に対して下手な事は言えないと思い、俺は素直にレイリアと一緒であることを伝えた。

「はい、レイリアには一緒に旅をする仲間として俺と一緒に来て貰いました。俺達はこの世界で生きるために聖杯を探す必要があるんですよ。それで今は二人で協力して頑張っています」

「そうだったのですか。その事はわかりましたが。一応あなたのことは信じます。それであなた達はこれから何をするおつもりなんですか?」

「えっと、俺はまずはこの国を見て回ろうと思っていて、それから聖杯を見つける為に冒険者として活動しようと思っているところなんですけど。何か問題があるんでしょうか?」

「問題は無いと思います。ですがこれから始まる事はレイリアも関わっていることなので。その辺の話も含めて今日は話し合いましょう」

「はい、わかりました」

こうして俺は彼女に連れられてレイリアが暮らす城の中にある部屋に連れて行かれると。そこには既にレイリアもおり彼女はその部屋の扉を開けた。その部屋は先ほどまで居た城の廊下とは異なり、そこには花などの植物が植えられている庭園があった。

「あれ、さっきの部屋と雰囲気が違うんだけど。どうしてここはこんなにも明るい感じの空間になっているんだ?」

「はい、そのことはお母様に聞いていたので。レイリアと相談した結果この場所で話すことに決めて、この場所で私達で話し合う事にしたのです」

「そっか。それはわかったよ。それでここなら落ち着いて話が出来ると思ったのは、君の姉さんのおかげというわけかい?」

「いえ、そういう訳ではありませんよ。ここには元々ある特殊な結界が施されている為。この中ではどんな音を出しても外に聞こえることが無いという特徴を持っているのですよ」

「へぇ〜そんな効果を持ったものがあるなんて知らなかったな。ちなみにその結界はどういう効果があるのかな?」

「その効果については私の口からは詳しく説明できないので、ご自分で実際に確かめていただくのが一番わかりやすいかと」

「そうなのね。まぁ俺も詳しくは聞かないことにするわ」

「そうしてもらえると助かります」

俺が彼女の説明に疑問を感じながらも、あまりしつこく聞くことで嫌がられたりするのは本意ではないと考えて、あえてそれ以上追求するような真似はしなかった。

それから俺と彼女は椅子に座るとレイリアの話を待った。俺の隣に座っている女性はレイリアの話を待っている間に俺の方に顔を向けてきた。

俺がその視線に気づくと彼女も視線を合わせたので俺は思わず目を逸らすことになる。その視線に敵意などが宿っていた訳ではないのだが。それでもやはり、俺にとっては見慣れない相手だったため。少し気後れしてしまうのであった。それからしばらくして俺と彼女が話をしているのを見たからかレイリアはゆっくりとした口調で話し出した。

「それではこれからの事について、みんなで話し合っていきたいと思うのだけれど。その前に私はまず先に言わなければならない事があるので。最初にそのことを二人に伝えたいと思います。その前に、タクト。私があなたを助けに行った理由を知りたいと、先程言ってくれていましたよね?私はそれをまだ伝えることができていなかったので。その事をまず説明させて下さい」

そう言うと彼女は少しの間を空けた後に再び話し出す。

俺が助けに来る前のレイリアの行動について彼女は語る。その内容はあまりにも衝撃的なもので。俺は彼女の話を聞き終えるまでの間は声を出すことすらできなかったのだ。なぜならそれはこの世界に勇者召喚という存在があってそれがこの国の王女によって行われたことであり、さらにその儀式を行った際に彼女の姉の身体を触媒にして、この国に異世界人を呼ぼうとしていたからだと告げられると。流石に俺もこの世界について知らない事は多いが、その話を聞いてしまったことで。レイリアや彼女達の母親がどれだけ異常な存在であるかを理解させられてしまい恐怖すら感じる。そして彼女は最後にこう言った。

「この話を聞いた後に私がなぜここまでしたのか、その理由を知って欲しかったからです。だからこれから私達が行う行動はきっと普通の人間であれば到底理解する事など不可能なことです。だからこそ、私は姉のように普通じゃない考えの人間になってしまったのかも知れません。ですが、これは間違いなく私が望んだ事でもあります」

その言葉を聞いた時に俺は何故か、レイリアとリリアの二人の姿が重なって見えた。しかしすぐにそれは勘違いだと思い直すと、改めて彼女に質問をしてみる事にした。

俺はそんな疑問に思いながらもレイリアの言葉を待つ。レイリアは俺に何かを伝えようとする時に必ず相手の事を真っ直ぐに見て話す子だという印象を受けた。だからこの時も彼女が嘘偽りのない気持ちで話してくれていることはなんとなくわかることができたのである。

「えっとですね。あなたには、タクトにはこれから起こることについて色々と説明しておかないといけないことがたくさんあります。まず始めに私と姉のユナの関係は血が繋がっているとはいえ他人のようなものです。ですが姉のユナは、私達の母親と同じ考え方の持ち主です。ですのでタクトは今後、姉の事をどう扱うのかを決める時に迷うかもしれません。私としては、タクトが姉と仲良くして欲しいと思っています。ですのでもし私から言えるのはそれだけなんです」

そう言われた俺はこの国でのレイリアの立場がどのようなものなのかを理解する。おそらくこの国の人達からは忌み嫌われていて疎まれているだろうからこそ。その妹と親しい関係を築くというのは中々に難しいことなのだと考えた。しかしそれでも彼女は俺のことを気にかけてくれたようだ。俺はその事にとても感動を覚えて。この人を助ける事ができて本当に良かったと感じている。

(レイリアから話された言葉を聞いて、俺はこの人の味方になることを決めた。だけど、そう決めたとしても。一体どうやってその姉を探せばいいのだろうか?俺は今、レイリアの事を信用しているが。この人の家族が必ずしも俺に対して友好的な態度を取ってくれるとは限らない。そもそもこの世界に来て初めて知り合った相手がリリアなんだから。俺は今、俺の考えが正しいのかどうかもわからない状況なんだよな)

そんな風に考えているとレイリアの方からこんな提案をしてきた。「あの、それで一つ頼みがあるのですが。もし良ければ、タクトに姉の居場所を探す手助けをしていただけたらと思っているのですが。どうでしょうか?」

「あぁそうだね。俺はそれで構わないよ。それでどこを調べればいいのかな?」

「私には姉の行きそうな場所に大体の検討がついています。ですので、これからその場所に案内しますので付いてきてもらえますか?」

俺はその言葉を了承するとレイリアと一緒にその目的地に向かって移動を開始するのだった。俺はレイリアの後を追いかける形で、城を出てから街へと向かう事になる。そこで俺はレイリアに尋ねたいことがある。レイリアはその道中にずっと無表情なままだった。まるで感情を失っているかのように見えるその顔を見ると俺はレイリアに対して何か違和感を覚えるのであった。しかし俺がレイリアにそのことを尋ねると彼女は困った表情を浮かべながら返事をする。

「すいません。もしかするとあなたが感じている通り。私には感情というものがほとんどありません。ただ私には昔から感情が無くても平然とした様子でいられたので。そのおかげでこの世界に来てから少しの間は何とか生きてこられました。それに、今はもう大丈夫ですよ。あなたのおかげで」

「俺のおかげでか。それじゃあまぁ今は、君の姉を探すことを最優先にしましょうか」

「はい。そうですね」

レイリアの言葉を聞きながらも。俺達はこれから行く場所で何が起こるのかわかっているので。そのことを踏まえてこれからの行動をレイリアと相談しながら移動する。

レイリアと話をしながらも俺はこれから起こるであろうことを考えてみる。俺にはこの世界を救いたいという強い意志はないのだが。このまま放置していてもいいのだろうかと考えてしまった。

(いや違う。今は、というよりも。俺が元々いた世界の方で、その問題は起こっていたんだろう。だが俺は、俺は自分の力でなんとかしようなんて思わなかった。それはなぜかといえば、俺にできることは限られていて。しかも自分のことだけを優先してしまっていたからだ。その結果として俺は今まで生きていく上で色々な物を失くしていった。その事を俺はこの世界で嫌というほど実感しているんだ。だから俺にできる事なんてほとんど無いのかもしれないけど。目の前の問題を解決するために少しでも力になれればと思って行動することにするしかないのだと思う。俺はこの世界に来てから自分が何もできないと痛感しているんだからさ。その事を考えると。やっぱりこの世界は、俺の知っているような地球とはどこか異なっているように思うんだよな。もしかしてここの世界は。地球よりも、いや元の世界の現代よりさらに優れた文明を持つ星なのではないだろうかという結論に達する。だって考えてみたまえよ。例えば今の俺が使っているこの魔法石なんかは地球には無かったはずだからさ。もしかしたらここの世界にしかないという可能性も高いよな?)

そんな思考をしている間に俺とレイリアはある建物の前で足を止めることになる。そしてレイリアがその建物の入口を開く。そこは大きな屋敷で、どうやら貴族などの上流階級が住む場所だということが見て取れた。その入り口で、レイリアは俺の手を掴むとその屋敷の中へと入り込む。

レイリアは扉を開けるとそのまま歩き始める。俺も彼女の後を追うようにしてその屋敷の中に入ったのだけれど、その時に視界の隅で何か動いたように見えた気がするのだが。俺は一瞬振り返ってみてもその動きの主を発見することができなかったので、特に気にせずに前を向いて再び歩みを進めることにした。

ただ屋敷の中にいる者達の目が明らかにこちらに向けられていたので。あまり気分が良いとは言えなかった。俺とレイリアは特に誰かに見られることもないまま、目的の場所に到着した。それは俺が見た時とは違いしっかりと施錠されており、俺とレイリア以外の者がその扉に触れることはできない状態になっているようだ。

「ここから先は私と姉だけの空間になります。ですので貴方が入る事はできないと思います」

(まぁ別にこの先にある部屋を無理矢理に調べたりはしないが)

俺はそう心の中で呟きながらもレイリアの話を聞く。レイリアはこの先の部屋にユナがいるということを俺に伝える。そしてユナはここに来るまではレイリアと共に行動を共にしていたらしく。この場所にいる可能性が高いのだという事を教えてくれた。しかしレイリアは姉のことを探し回る際に少しばかり手荒な真似をしすぎたせいで、今ではユナも外に出ることができないらしい。

そんな話をした後はしばらく時間が空いて、俺達は屋敷を出ると。そこからレイリアは街の方に行かずに森の方へ俺を連れてきた。その森の中でも人気のない場所にある小さな小屋のような家に入るとレイリアはようやく笑顔を見せるようになる。

それから彼女はこう切り出してくるのであった。

「それではこれからタクトに私の秘密を打ち明けたいと思うのですが、その前に確認したいことがあります。私は、姉と同じように。召喚された際に肉体が強化されるという恩恵を得ています。タクトはその事については理解できますか?」

「あぁその事についてなら一応は。だけど正直に言うと、レイリアが言っていることを理解するためには俺にはまだこの世界の知識がないから。その説明を聞いて理解することができたとしても、それが本当に本当なことなのかどうかは確かめるすべが無いと思うんだよな」

「確かにタクトの言うことは一利ありますね。私もまだこの国に関して詳しくありませんし、そもそも姉と会うことができたのは今日が初めてですので、この国に私の姉が存在するということは知っていましたし。もしかしたら姉の事について知っている人が見つかるかもと思って、姉の知り合いに頼んで情報を集めることにしました。ただその人はそこまでの情報を持っていないので、私には結局わからなかったのですけども。ただタクトにお願いが二つありまして、その一つ目は私がタクトに嘘をついていないということを確認して欲しいのです。そのためにこれから私がタクトに対していくつかの質問をするのですがよろしいですか?」

レイリアの問いかけに俺はすぐに返答することができなかった。それはなぜだかというと。今現在、レイリアの言葉を完全に信用しても良いのか悪いのか判断することができないからだ。それはレイリアが俺のことを騙しているという可能性もある。しかし、もしそうだとしたならばわざわざこんなところでそのような話を持ち出してこないだろうと俺の考えはそう結論づけたのである。

俺はそこで改めてレイリアの顔を見るが、彼女はやはり無表情であり、何を考えているのか全くわからない状態だった。俺は彼女に対する疑念が完全に消えない状況であったが。ここで下手に答えを出してしまっては、逆にレイリアの信頼を失う結果となるだろうと考えてその頼みを受ける事にしたのである。すると彼女はこんな話を始めたのだ。

「それでは次のお話に移りますね。まずは、タクトはこの世界の住人ではありませんよね?」「えっ」

レイリアの唐突な言葉に俺は反応することができずに、驚きの声を上げる。しかしレイリアはそれを無視して俺が異世界からこの世界に転移してきた経緯などを尋ねてきた。そのレイリアの問いかけに俺は戸惑ってしまう。というのも、彼女はどうしてそのことについて俺の口から聞こうとするのかが疑問であったからだ。俺にはこの国に対して何かしらの恨みがあって復讐を企んでいるのではないかとさえ思っていたからだ。しかし、彼女が俺の事を騙そうとしているとは思えない。なぜなら俺は彼女に助けてもらったからである。

レイリアがこの国の人間から嫌われている理由はこの世界において、魔族から加護を貰うことができなければ生きていけることが困難になるほどに。身体能力が著しく下がるという事実を知っているからではないのだろうか?だからこの世界の人の為に何かをしようとしているのではないかと考える。

(しかしレイリアに俺のことがどういった形で伝わっているのだろうか?この世界で俺はどのような立場になるんだろうか?俺はこの世界でどのように振る舞えば良いんだろうな?)

「レイリアが聞きたいことは全て教えてやるつもりだから。俺からも一つだけ聞いていいかな?」

「えぇ勿論ですよ」

俺がそんなことを考えながら口を開くとレイリアは微笑を浮かべた。俺は彼女のその顔を見ると何故か背筋が寒くなる感覚を覚える。

「レイリアは、俺に隠し事をしているか?」

「そうですね。その質問に答えるのは難しいですが。おそらくは私があなたに何かを隠そうとしていたら見抜けるという自信が有るという事ですね」

「その通り。じゃあさっきの俺の質問に対して、君はどう答えるつもりなんだい?」

俺がそう問い返すと、今度は彼女が黙り込む。俺はその沈黙の間を使って考えをまとめていく。

(俺には相手の行動に対して、違和感を感じることができるスキルがあるんだよな。これは相手が自分に対して何かしらの意図をもって動いている場合に働くもので。つまり相手から発せられる雰囲気とかで俺には感じ取る事ができるものだ)

そこで俺はあることを思いついたので、それを試すことにしてみた。それはこの世界に来てから使えるようになった魔法で自分の体に強化の魔法を施すというものである。これによって俺は身体能力を向上させることが可能となっていたのである。その魔法を発動してから俺は自分の拳を強く握り締めると目の前にいる少女の顔面に向かってその手を突き出した。

俺は拳が彼女の顔を捉えた感触を覚えてニヤリと笑うが、レイリアは驚いた表情を浮かべてそのまま後ろに倒れていく。そして床に打ち付けた頭を両手で抑えながら痛みに耐えて涙目になっていた。そして俺はレイリアの行動を見て確信を得ることになる。それは彼女の動きに俺が予想した通りに何らかの細工がされているということである。だからその動きに一切の無駄がなかったのだ。

その証拠に彼女の頭を抑える手は、右手だけであり。左手は普通に手を握った状態であるからだ。俺は自分の思った通りの結果となったため、満足げに笑みを浮かべた。そしてレイリアが立ち上がるのを待つ。しかしレイリアはすぐにその場から動くことはなく、なぜか呆然と立ち尽くしたまま動かなかった。

俺はレイリアが動かないのが気になったので、近寄ろうとするがレイリアはそんな俺の動きに反応してしまう。俺はその事に気づくとレイリアに声をかけて彼女を落ち着かせることにする。しかしレイリアの反応は良くはなかった。

「レイリア、俺の事が信じられないという事は理解できるが。少し落ち着いてくれよ。君も見たはずだろ?俺には何もおかしな点は無かったと。それなのにどうして俺のことを疑ってかかろうとしたんだい?」

俺のそんな問いかけに対してレイリアは震えていた声で俺の言葉に返事を返した。

「私はあなたのことを姉と同じ勇者だと思ってました。ですから姉のように優しい方なのかと思っていたのです。そして姉はあなたに対して、きっと私の知らない事情で何かを隠しているのだと思っています。だからこそ姉はあなたに真実を伝えられなかったのでしょう。それに私は姉の事をとても大切に思っているので。私は、姉を傷つけるような人と仲良くなんてなりたくないです。それならいっそ、最初から一人で居ようと思い、私は姉を探すために一人になりました。ですから姉からの手紙にも、姉を害する存在が近づいてくるかもしれないというような内容の物しか書かれていませんでしたし。そのせいでタクトは私を姉を暗殺しようと近づいた人物だと警戒してしまったんです」

レイリアの必死に俺のことを擁護しようとしている姿を見ていると、本当にこの子が悪いことをしたとは思えなかった。むしろこの子はレイリアが大切だからこそ。レイリアを守るべく行動しているように感じることができた。

(まぁ実際問題として。レイリアの姉と会えた時にどういう態度を取ればいいのかがわからないけどな)

俺はそんな事を考えながら。とりあえずレイリアの話を聞き終えたのでレイリアの願いを聞くことにした。その内容は俺を信用したいというものだったので、俺はその言葉を信じることにした。ただ念のため、レイリアに対して俺は【ステータスプレート】を渡さないと約束することにしたのであった。レイリアはその後落ち着きを取り戻した後、俺の事を信用したいと告げて来た。しかしそのためにはレイリアは俺にいくつか質問をして、その内容に嘘が無いのかを確かめる必要があると言い出した。なので俺は彼女に自分が今まで経験してきたことを教える。

まずはレイリアは、俺にこの世界についての基本的な情報について尋ねる。それからレイリアはこの世界の情勢についても俺に尋ねた。それから俺達はお互いの情報を交換し合った。そして俺はこの国に来た目的を伝えると、彼女は俺のことをこの国に呼び寄せたことが姉の力によるものだと知る。

(そういえば、俺が最初にこの国の城に行ったときにレイリアが出迎えてくれたのはこの為だったんだな。俺のことを呼び出したのはレイリアがこの国の姫であり。召喚の儀式を行ってくれた張本人だったわけだ。そうなれば、俺はこの国に狙われることになるんだよなぁ)

「ありがとうございます。タクトの言うことを信じる事ができました。私の話をしっかりと聞いてくれていましたし、タクトが悪人であるような印象も受けませんし。これで安心してお父様とお話ができると思います」

「そりゃよかった。ただ一つ聞きたいことがあるんだけどいいか?」

「はい、なんでも聞いてください。私がわかる事であればお答えいたします」

「いやそういう堅苦しい言葉遣いとか、必要無いから。普通にタクトさんでもタクトくんでも良いからさ。あとは敬語も無しな」

俺はそんな風に軽い口調で言うとレイリアはその提案をすぐに受け入れてくれる。

俺はそんなレイリアに対して、まずはこの城の人達にどんな挨拶をすれば良いのかを聞いてみると、彼女は少しだけ悩んでから俺の言葉に従うという。しかしそこで彼女は何かを思いついて。こんな事を俺に言い出してきた。

「そうだ。タクトに紹介をしたい人たちがいるので付いてきてください」

レイリアはそう言うと立ち上がり部屋の扉の方に向かって歩き出す。俺もそれを追いかけるようにして、彼女の後に続いて歩いて行くのだった。

(レイリアは、やっぱりいい匂いがしたな)

そんなことを考えながら俺は彼女の後ろ姿を見る。レイリアは身長が低くて幼く見えていたが胸の大きさがなかなかのもので歩くたびに揺れるのだ。

(そう言えばレイリアは16歳と言っていたが、この国の成人年齢はいくつなんだろう?確かこの国の法律では18歳から大人扱いされるって話だから。今は16歳のレイリアだが。17歳になった時はまだ子供だからダメとか言って襲ってきたりしないかな?)

そんな不健全な考えを俺の中で渦巻いていた。俺とレイリアはそのまま階段を降りていき1階までたどり着く。すると目の前に一人の男性が待ち構えていた。その男性は、俺の姿を見ると頭を下げて話しかけてくる。

「初めましてタクト殿、私はこの国の騎士団の団長を務めているものだ。今回の貴公の活躍については既にこの王都にまで伝わってきているよ。我が国の姫を助けてくれてありがとう。レイリアも無事に戻って来たようで、良かったな。これからこの国の騎士として一緒に頑張ろうじゃないか」

そう俺に声をかけてきたのはレイリアの父に当たる人物であった。この国において、国王と王妃を除けばもっとも位が高い騎士であり。その実力は国内でトップレベルらしい。俺はレイリアの父親の姿を一目見るとその男からは、レイリアのような優しさが溢れ出ているように見えた。

レイリアはレイリアの父親は見た目は厳つく威圧感がある人という俺が想像していたものとは全く違っていて優しそうな男性であった。そのレイリアに似た容姿は、まさに親子である事を感じさせた。ただ俺としてはやはり最初に会った時のレイリアとの会話を思い出す限り。どうしても父親であるはずの彼が俺には、自分に対して悪意を向けているというように感じられたのだ。

俺は彼からの握手を断るとその部屋から出て行こうとした。彼はそんな俺を見て慌てた様子で、レイリアの方を振り返り声をかける。レイリアはそれを見て首を左右に振った。

俺はそのまま彼の横を通ってその場を離れようとするが。俺の前に二人の人間が立ちふさがっていた。その二人は俺のことを睨むようにしてこちらを見ている。

一人は背丈の低い女の子でレイリアに負けず劣らずの可愛い容姿をしているがその眼光は鋭いもので俺のことをにらみつけてくる。もう一人は金髪で長身のイケメンの美男子という風貌でその瞳はレイリアのそれとよく似た青色であることがわかる。しかしその整った顔とは裏腹にどこかレイリアよりも冷たい印象を受けるので彼女と違って優しくはなさそうに見えた。

(あれが噂に聞く双子の妹なのかな?それにしても似てるな)

「ちょっとあなた!!お父様に無礼な態度をとらないほうがいいよ!もしこの人が本当にこの国からのスパイじゃないっていうなら、ちゃんと私達のいう事も聞いておかないとだめだよ!!」

背の小さな方の女の子はいきなりそう言って俺を指差すのだが、俺はそれに対して特に反応を示さずに無視した。

(なんだこいつは?こっちの世界に来て初めて見るタイプだぞ?そもそも初対面の人に指を刺して命令するような奴とは関わりたくないんだよ)

俺は自分のことを睨みつけて来る小さな少女に、ため息をつく。そしてもう一人の男にも同じように俺は興味がないと言ってその場から去って行った。しかし彼らはそんな俺の行動を予想していなかったらしく。慌てて俺の事をレイリアと共に追いかけて来たのであった。

「ちょっ、待ってよタクト。君にもこの国で暮らすにあたって守るべき決まりとか、そういうものが存在するんだから。僕達について来てもらって色々と教えるからさ」

「そうよ、私たちが案内してあげるから、ちゃんと来なさいよ」

「別にいいからほっといてくれ。あんたらには迷惑をかけてないはずだからさ。俺は俺なりに一人で勝手に行動する。だからあんたがたが俺の行動に干渉してくる理由なんてないだろ?じゃあな」

俺はそう言い放ち。彼らを残して歩き出した。俺はこの時レイリアの事を忘れてしまっていたのだ。なので彼らが後を追ってきて俺の腕を掴むまでは俺はその存在をすっかり忘れてしまっていたのであった。そして腕を掴んだその男はレイリアと同じように俺に対して文句を言い始める。

「おい、お前!!姫に対してのその口の利き方は一体どういうことだ。しかも姫がわざわざ呼び止めていたにもかかわらずそれを聞かないで逃げるだと!?いいか貴様は俺が許したから今こうやってここにいるんだ。もしもそれが嫌だというのなら、この場で斬り伏せてもいいんだぞ」

「それはいいわね。ちょうど私とあなたの剣がぶつかり合う音が聞きたいと思っていたところなの。どうせこのままこの城を出ていくつもりなら、ここで勝負しましょう」

二人に同時にそんな事を言われて俺は面倒な事に巻き込まれたと思ったが。とりあえずレイリアの方を見ることにした。

「私はタクトと一緒に行きます。貴方達がいくら止めたとしても私は止まりません。ですので私の事を心配しているならばタクトを連れていく事を許可して下さい」

レイリアは真剣な表情でレイリアの父親にそう告げる。俺はそんな彼女の行動に驚きながら。レイリアを見ていると、レイリアの父親が突然俺に頭を下げてきた。

「申し訳ありません、娘の非常識な態度をお許しください。まさか娘に友人ができるどころか。それこそ姫が信頼しているとまで言う人物が居ようとは思ってもいなかったものでして。この国の姫であるレイリアが心を許している人物を無碍に追い出すような真似はしたくなかったのです。タクト殿がどのような理由でこの国に来たのか、私達に説明をして頂けないでしょうか?」

俺はレイリアのその発言を聞き。俺を信用して、この国の姫である自分が信頼する俺の言葉を信用してくれると言う事が嬉しかった。だからこそ、俺は俺のことを信用してくれた彼女に報いるためにも。彼女の父親と話をすることにしたのであった。

「まずは、この城に来る前にあったことから話をさせてもらいたいと思います」

俺はこの城に着く前に盗賊に襲われて奴隷として売り飛ばされてしまったところからの事を詳しく説明することにした。その話は俺がこの世界に来る前の話からの話になるので。レイリアが知らない情報もあったはずなのだが。彼女は何も言わずに、黙って話を聞いてくれていた。

「そうだったんですか、タクトは大変でしたが。なんとか無事で良かったです」

レイリアは俺が無事であったことを喜んでくれているようだった。ただそんな俺とレイリアのやりとりに、リリアは面白くないというように俺をにらんでいた。

「なにその態度?そんな男のどこが良いわけ?」

「私はタクトの優しいところを良く知っていますから」

「そうかもしれないけど。でもその男がこの国にどんな目的で侵入してきたのかもわからないのよ。もしかしたらその男の目的はこの国に戦争を仕掛けてくる為の偵察かもしれいないじゃない」

確かに、リリアの言うことは間違ってはいなかった。この国に対して侵略行為を目論む者がいないとも限らない。俺のこの世界での役割はこの国を守る為に戦うという事になるからだ。俺はレイリアと俺の関係を知らない人間から見れば敵と思われてもおかしくはなかった。

「でもそんな風に思う事は良くないですよ。タクトがこの国にとってどんな存在であるのか。そしてその事を知らずにいる人達はきっと多いでしょうし。もし仮に私が敵国の存在でこの国に潜入して情報収集をしていたとしたら、こうしてこの国の騎士団長であるお父様や騎士団の方々の前で正体を晒しますかね?それならもっと上手に隠れるんじゃ無いですか?そして何より私にその考えを思い浮ばさせた最大の理由は彼が、その手先の者達に操られていた時でも同じことが言えますか?私に攻撃を仕掛ける際にも。私を殺さないようにしていたみたいでした。私に対して本気で殺すつもりで襲ってきたらこんなに無事ではいられませんよ」

レイリアは自信ありげにそう言った。そんな彼女を、父親は感心しながら眺めているのであった。

「そこまで、この国のことを案じてくれているのならば安心できる。タクト殿が、貴公の考えているとおり、この国を攻め落とすことが目的ではないということは分かった。しかしそれでもこの国にやってきたという事はこの国に対して害をなすという可能性がないとは言えないのではないか?」

この国の国王は、俺に対してそのような質問を投げかけてきた。それに対して俺は答える。

「俺はこの国を滅ぼす気はない。だが俺は俺の大切な仲間を助ける必要がある。そのためにこの国の力が必要なだけだ。俺はこの国が滅ぶのを望んではいないが、他の人間たちがそう望むならそれも仕方のない事だと受け入れようと思っている。だがその為にはこの国の力が必要になってくる。だからこそ協力を要請しにきたんだ」

俺の言葉を聞いた国王達は皆一様に難しい顔をしていた。そしてレイリアの父である彼が俺に語りかけるように言葉をかけてくれる。

「つまり君の仲間を救い出したいという願いのために。我々は協力しても良いということなんだな。しかしそうなると我々にもメリットはあるのだろうか?ただでさえ君には色々と便宜を図ってあげているというのにこれ以上何をして欲しいと君はいうんだ?何かしら君の要望を受け入れれば私にも見返りは与えられるんだろうか?そうだというのならば、こちらも出来る限りのことを考えるとしようじゃないか」

そう言われて俺は考える。ただ俺は特にこの国の王に頼み事をするつもりなどは無かった。俺がお願いをしたかったのは、ただの協力であって欲しいと言われたからそうしただけである。それ以上に俺にはこの国の為にしてあげられることは無いと思う。

俺としては別に、何かしらのお礼を期待しているわけではないので。ただ単純に俺の要求をこの国が呑んでくれるというのならば、俺は素直に従うつもりだった。俺の個人的な意見としては俺のことをこの世界に呼んだ張本人であるレイリアを元の世界に戻してもらう事が一番の目的である。なのでそれ以外のことは、どうなろうと構わないというのが本音であった。だから俺はこの国の王に頼もうとしていたことをそのままこの父親に伝えた。

「俺はこの国の王様に一つだけお願いをしたいことがあった。この国を侵略してくる敵の情報を、俺とレイリアに教えて欲しいと、そう思っていました。それだけで十分です。それ以外には何も望みはありません。もしこの国の力がこの先必要になった時には必ず貴方達の力を借りる事になると約束いたしましょう」

俺のその答えを聞いてレイリアが俺のことを驚いた顔で見ていたが、俺の言っていることをそのまま伝える。すると今度はこの国の兵士の一人が、俺に対して質問を問いかけてきた。

「お前は一体どこまで知っているんだ。なぜお前みたいな人間がそんな事を、俺たちに協力してくれようとするんだ」

この男に聞かれたのはそんな事であった。俺は少し考えてみる。何故この男にそんな事を話さないといけないのだと思ったのだが。俺は別に隠すことも無いと思い話す事にする。といっても俺もこの世界のことについての知識はそれほど多くないのだ。なので、今俺がこの国の兵士たちに話したことくらいのことしか言えない。俺の話を聞いた男は納得していないようだったが。一応のところ理解してくれたようであった。そして男は言う。「わかったお前は嘘を言ってはいないのだろうな。だから俺もその話を信用しようじゃないか。それでお前は一体なにしにこの国にやって来たんだ?」

この問いに対しては俺もよく分からなかったのでレイリアを見る。レイリアの方は首を横に振るだけであった。

正直言えば何も分かっていないが、この国の力を必要としていることは間違いがないのでそれを告げた。

「なるほどね。お前はこの国で暴れたいわけではなく。むしろ守りたいと言うのだな?この国を侵略から、守る為の力を貸して欲しいと、そんな事を言われても俺達としてもどうすればいいのかさっぱり分からないが。俺個人の考えで言えば。俺はこの国は今のままでも十分だと思ってるから、お前らの国の助けにならなくても大丈夫だと思うぞ」

「私は貴方の国の力も必要なんですよ」

俺は男に向かってそう告げる。

「そうかもしれないが。それはお前たちの問題で、俺の問題じゃない。俺は俺でやりたい事があるんだ。俺には守らなければいけない人が居るんだ。俺はあの人と、あの人の妹の為だったら俺はなんでもやるぜ」

その発言で、俺とレイリアは、男が誰を思ってその言葉を言っているのかを理解してしまう。そして俺のその予想は当っていたようで。男は言う。

「あんたが俺の気持ちを理解できるのであれば俺もあんたの気持ちは分かるつもりだ。だけどな。あんたらが国を守りたいように。この国も、俺の大事なものを守るために戦わなくちゃいけない。そういうときだって来るかもしれないんだよ。だからもしも本当にその時が来たのならば。俺は俺の全力を持ってして戦う。それこそ命が尽きるまで、それが俺の戦う意味でもあるからな」

そう言った男の顔はとても穏やかであった。

「まぁでも今は俺の事は関係ないからな。とにかく、あんたらはこの国から出ていくといい。あんまり長くいると俺の気が散っちまうからな」

「私は貴方にお礼を言いたい。貴方のおかげで、私の妹は、今も元気でいられるんです」

レイリアはそう言ったが。俺も男の話を聞いて思った。俺達がこの国を立ち去る事で彼の助けになれるのであれば俺達はここを去るべきだと、そしてリリアはそんな二人を見て複雑な表情をしていたが何も言うことはなかった。

「俺の方は別に良いけど。俺がこの部屋に入った時から、なんか妙な雰囲気を感じているんだけど」

「私も同感ですね。この部屋に何か仕掛けられている可能性があります」

「そのようじゃな、それに気づかんとは妾もまだまだ未熟よのぅ」

俺の言葉に対してリリアは同意したが。レイリアは一人違う考えをしているようだった。そのせいか、部屋の扉の前から動こうともしなかったのである。リリアが動く様子がないことに不審を抱いた国王が、レイリアの事を心配そうに声をかける。

「姫よ、どうかしましたか?」

レイリアは俺の事を見た後、この部屋の天井にある一点を眺めながら、小さな声で何かをつぶやいていた。

「そうか、この魔力はタクトさんが。タクトさんの力はやっぱり規格外です」

俺はそのレイリアの様子を見ながら思う。レイリアは何かに気づいてしまったのだと。

「レイリア、何に気付いたのか教えてもらってもいいかい?」俺はレイリアに声をかけて見るが彼女はすぐに首を振って答えてくれた。

「私は、タクトの考えている事が分かってしまうのです。だからその力はあまり使いたくなかった。私の考えていることが相手にバレてしまい、警戒されてしまうかもしれないと。でも、そんなことはどうでも良いことなのかもしれませんね」

その言葉の意味を俺は聞くことはせずレイリアが何を言うのかを待つことにした。そして彼女から出た言葉は、俺の思っていたものとは全く違うものであったのだ。

「貴方が何を考えているかは、私にはよくわかりません。しかしそれでも、きっと貴女は貴女のやるべき事をしているのでしょう。きっとそれは私も同じ事なんでしょう。この国を救う為に、私はやるべきことをしなければならないのでしょう。だから貴女たちを、この国に連れてきてしまったのかもしれないのですね。本当はこの世界に、来るべきでは無かったのは私達の方だというのに、それでも私がこの世界に来て良かったと思う理由はタクト、あなたがここに居たからなのですよ。この世界に呼ばれたことに対して私は感謝しなければいけなかったのに、私は、この世界を憎んでしまいました。こんな事を考えるような、最低な奴が勇者なんて呼ばれてはいけないのに、タクトが召喚された時、私は嫉妬してしまったの、タクトの持っている才能が妬ましく思ってしまったの、だから私はこの国に居るべき人間ではないんです」

レイリアの言葉を聞いた俺はレイリアに対してかける言葉がなかった。俺は俺のせいで彼女が苦しんでいるということを知らないわけではなかった。俺がレイリアをこの世界に呼び出したという事実を知ってしまった時点で、俺には彼女の苦しみを想像することなど出来るはずがない。

だから俺はレイリアにかける言葉を見つけることができなかった。だが、レイリアの気持ちは俺には良くわかる。俺がこの世界にやって来て、この国の連中が俺に対して行った事は決して許せるものではなかったからだ。俺はそんな感情を抱いているからなのか分からないが、この国に来た時に感じていた疑問に俺は一つの仮説を立てることができた。

この国の国王は一体何を考えているのだろうかというものだ。俺にはこの国がこの国で何をしようとしているのかさっぱりわからないのである。

「なぁリリア、レイリアの言う通り。この国の人たちはこの国が何かをしようとしてるっていうことは分かっているんだよな。だけど、一体なにをしようとしてるのかを、この国の人間は知らないと思うんだ。レイリアは一体どこの国が攻めてくると考えている?」俺はとりあえずリリアに質問を投げかけてみた。レイリアとリリアの会話を聞いていた国王と兵士が反応する。そして兵士の方が先に口を開くと意外な言葉を発したのだ。「お前たちは知っているんだろうが?お前たちがこの国にやって来る前に何が起こったかを、俺たちはそれを知っているからな」そう告げられたのだ俺とリリアは驚きを隠すことが出来ずにいた。そんな二人の表情を見て満足そうな顔を浮かべて王は続けた。「俺たちは知っているさそりゃあそうだろ?俺だって当事者なんだからさ、まぁでも、俺から話すよりも自分で調べた方がいいだろう」そう言った王の顔をレイリアは無言で睨みつけたが王は無視したように続けて行く。「俺は別に話しても構わないんだが。あんたにはまだ話すわけにはいかないんだよ」

「どうしてだ!この国の人間ならばこの国がなぜあんなことになったのか知っておく必要があるんじゃないですか」俺はつい怒鳴ってしまう。しかしそんな俺に対して王は冷たい視線を向けて告げてきた。

「俺はこの国の王様だぞ?俺はこの国の事を一番に考える義務があるんだよ」そう言い残して部屋から出て行ってしまった。

レイリアはそのあとに続く形で、俺達にはついてくるなって雰囲気を出して歩いていくのであった。俺がその後を追いかけようと思っているとリリアが俺のことを止めて来たのだ。

「主は追わない方が良い、今はあの者の言うとおりにしよう」リリアは俺を止めるとそれだけ言って王のあとを追う様にして部屋を出ていった。俺はそれに従うようにしてこの場を立ち去ったのである。

俺はレイリアに連れられある場所へと向かっていた。そして俺はその道中にリリアと話をしていたのだ。リリアもレイリアが向かった場所に心当たりは無いようだが。その途中で俺に質問をぶつけて来たのだ。「そういえば主は、あの男がこの国を攻めると言っていたらしが。どういう意味で言っておったのじゃ?」

俺も最初はそんなこと言ってはいなかったのだが。途中からレイリアがそんな話をし出したから俺もそう思ってしまっていてそのことを素直に伝えた。「そうじゃったか。まぁそんな話をすればそういう結論になるじゃろうとは思っていたが。妾はどうもそんなことを考えているわけではないと思うのじゃが」

「そんなことはないだろ、現に攻め込んで来たじゃないか」俺は少しムキになってリリアの事を見ていたのだと思う、そんな俺を見たリリアは苦笑いをして答えてくれた。

「別にそういう意味で言ったのではない、あれは単にあの者が勝手に言っているだけの事だと思うぞ」確かに言われてみればそうである、そもそも俺はこの国の人たちの考えや思惑については全くと言って良いほど分かっていない、だからこそこの世界の人間がこの国で何をしたいのか、俺に分かるはずもなかった。

「それにな、妾も主の意見に同感なのじゃが。もしこの国が何かを狙っているとすればその何かとは、間違いなく勇者の事であろうな。この国には今現在、聖剣を使えるものは存在しぬ、そして魔王を倒す為の力を持っている者は勇者だけじゃからな」

その言葉に俺は疑問を覚えた。

「えっ?なんでこの国にいないんだ?普通なら俺がここに召喚されるときに一緒に来るはずだと思うんだけど」

「それは簡単じゃよ。この国に居れば安全だからの、魔族たちに攻められることも無いのでその力を温存できると言うことよ」

俺はリリアの説明を聞きながら、その事について考えていたが、結局のところ分からなかった。

俺達はそうしているうちに目的地についたようで。俺はそこで見たものに絶句していた。なぜならそこは墓地だったからだ。それも俺の予想を遥かに超えるほどの規模の墓の数があった。俺はそんな光景を見ただけで吐き気を催しそうになった。俺はなんとか我慢すると、レイリアとリリアは平然とした表情でその墓地の中へ入って行き、その先に見える小さな墓石の前で足を止めるとその墓に向かって祈りを捧げているようだった。

「ここは一体何なんだ?どうしてここに来させた」

俺の言葉に対してリリアが答えてくれる。「妾は詳しくは知らぬが、なんでもここには歴代の王たちの眠っている場所らしい。そしてここで死んだ者たちは、神の御元に行くと言われているようです。この場所は、その神の加護の元。死者が眠ることが出来る唯一の安息地だとされているそうです」

そうなのかと納得してしまったが。やはり俺の心の中にこの景色に対する嫌悪感は拭い去れなかった。

それから数分くらいレイリアとリリアはその場で祈っていたが、急に立ち上がってこちらに近づいてきたので俺とレイリアはすぐに戦闘態勢に入ったが。リリアはそれを止めるとレイリアのことを下がらせたので俺は警戒を解きその場に腰を落とすのであった。そしてそんな俺たちの元に一人の兵士らしき男が近寄ってきたのである。俺はそんな兵士を警戒して身構えるが、どうやら兵士の目的は違ったようである。

「貴方様がこの世界に来てくださったおかげで、姫を救っていただき本当に感謝しております」

俺が兵士の態度が意外だったので。戸惑っている様子を感じ取ってくれたのか、その兵士は自分のことを俺に説明し始めたのだ。

「私はこの城の中で護衛をしております、名はロッツと言いまして」兵士の名前はロッグという男だ。

「それでどうしました?この国の民は、みんな姫のために戦おうとしているというのに、貴女は何が不満なんですか?」

俺はついこの国の民のことが羨ましくなってしまった。この国は俺を恨んでいて俺に敵対してくる者ばかりと思っていたからである。だから、まさかレイリアの為にここまで行動してくれる者達がこの国にいると知って、俺は心の底から嬉しく思った。

「私はそんなつもりでこの城に残っていた訳ではありません、私が居なくなってもこの国が無事であって欲しい。だからこの城の人間には避難して欲しかったのですよ」

俺はレイリアの言葉を聞いて驚いた。「お前、そんなこと考えていたんだな」

「私は、私の事なんて考えていないですよ。私がこの城を逃げ出さない理由なんて、タクトに早くこの事を伝えてあげなければいけなかったから。私にはこの国に恩なんてないんですよ」

「そんなことは無いだろう、お前はこの国の事を一番考えている。俺にお前は自分がこの国を救いたいと思っているんじゃないかって聞いてきてたけど。それは自分の為じゃなく。他の人間の為だって言いたかったんだよな」

「そ、そんな事はないわ、だって、そんな事したらこの国が大変なことになるもの。私はこの国を救う為には、それしか方法がないからそうしたまでで、それ以外でそんな気持ちは抱いたことなどありません。それに、この国の人たちには恨みがあるのよ、だから私はこの国の人間たちが幸せになれる未来を潰してやりたくなっちゃうの。それに私は、この国の人たちを救ってやりたいなんて考えたこともないんだもの」

俺は、レイリアの発言に思わず驚いてしまった。この国にやってきた時に、俺が感じていたこの国の印象が変わってしまったからだ。俺が感じていたこの国の印象とは、この国は自分達が上に立って他国を支配するのを良しとし、そうやって自国の力を強めてきたのだろうと、俺は思えたからこそこの国に訪れることになったのだと俺は考えていた。しかし、レイリアは違うようだ。彼女はこの国が攻め込まれる原因になった事に関しては仕方が無いと考えているみたいだ。そしてそんなこの国に対して復讐のような感情を抱いていることも俺は理解できた。

そして、レイリアの話を聞き終えると俺は改めて確認する様に彼女に聞いたのだ。

「お前は本当にこの国の連中が憎いんだな?」

「えぇそうね。私は彼らが許せないわ。だから彼らの命を奪いたいとも思う」

「分かった。じゃあこの国を滅ぼしてしまうことに異論はないか」

そう聞く俺に対して、少し間を開けてからレイリアは答える。「そうね。それしかないかもしれないわね。でも、どうしてそんな事を聞くの?タクトには関係のないことでしょう?どうしてそこまでしてこの国の人を助けたいと思っているの?この国が滅ぶことになれば私たちに迷惑がかかるから?でもそれは別に気にすることじゃないんじゃないの?タクトにとって私たちはただの人間なんだから別に死んでも構わないでしょう」

「そうだよ。別に構わない。俺がこんなことを言うのもおかしいのは分かってるよ。でも俺は、それでも助けたいんだよ」俺はつい熱く語ってしまった、そんな俺を不思議そうに見てくるレイリアであったが。俺は彼女の視線を受け流し続けて行くことにした。そしてその言葉を最後にレイリアは「まぁいいわ、好きにして」と言うと、リリアを連れて立ち去ろうとしていたので、俺もそれについて行こうとした時だった。「まぁ待ちなさいよ」俺の事を後ろから誰かが呼び止めたのだ。その声を聞いた瞬間、俺が振り返るとそこには一人の女性が立っていた。その女性は金髪で綺麗で長い髪をしている美人さんでありその女性の顔を見ただけで俺の心はドキッとしてしまい固まってしまったのだった。そしてその女性の顔はどこか見覚えのあるような気がしたが、思い出せない。

(確かあの時も俺のことを呼び止めて)俺がこの世界に召喚される時のことを思い返すとやはり目の前の女性が誰なのか俺は全く心当たりが無かったので俺は恐る恐る「だ、誰ですか?」とその質問をぶつけることにした。すると彼女は、不機嫌そうな顔をして俺の事を見ていたが。俺の方へと向かってきたのだ。

俺の目線の先に立っているのは黒髪のショートカットをした可愛らしい少女がこちらを睨むようにして見ているのだった。その顔を見ただけでも俺の胸の鼓動は早くなっていた。そしてその少女は俺の所へとたどり着くと、「やっと会えたわ。全くどこに行っていたの?」と俺の事を抱き着いてこようとしたが、俺は慌ててその腕を掴む。

「ちょ、ちょっと待てよ、どうしてお前がいるんだ?」

「あら?その様子じゃ、まだ私の事を思い出してくれないのかな?」その発言で俺は完全に思い出した。そしてその言葉を言ってくれた人物の名前を呼んだ。「真紅!」と俺は大声で叫んだのだが。俺はその光景を目にして唖然としてしまった。なんと彼女が現れた場所はこの城の墓が並ぶ墓所であった。そしてそんな場所にいきなり人が現れたら当然のように騒ぎになり。辺りにいた人々が続々と集まってくる。

そして俺達を取り囲むと一斉に「お、王女様だ」「なんでこんな所にいらっしゃったんだ」等と口々に言っているのである。俺はその状況に戸惑いながらも、この状況をなんとか打破しようと考えている最中、急に真紅が動き出してリリアの元へと向かったかと思うとリリアの手を掴んでいたのだった。「久しぶり、リリア元気だった?」

そう言った後すぐに俺の方を見ると「ごめん、今急いでいるから。また後で会いましょう」と一言残してからその場を離れようとしたので、俺はすかさず「リリアを離せよ」と叫ぶと「やーよ、それに貴方のお願いを聞く義理は私にはないと思うけど」と言ってこちらに戻って来てくれたのだった。

リリアは、真紅が連れてきた男を見て驚いた表情を見せると、「その方は勇者ですか?」と言うとその男も俺に話しかけてきたのである。

「貴方は一体どなたでしょうか?なぜ、ここに来られたのですか?」

「俺はこの世界の人間じゃない。俺の世界には俺と同じ存在の者がこの国に来るはずだ」

その男はしばらく考える素振りを見せたが、やがて答えが出たのかこう答えた。

「なるほど、異世界から来たのですね。それでこの世界に来たばかりの貴女は、この世界で生きるための方法を模索しようとこの国の様子を見に来てくださったというわけですか」

どうもこの男の言い方に納得ができなかった。

俺はリリアを助けるためにここまで来たのに、どうしてこの国の人間は俺がリリアを助けにここまでやって来たと勘違いしてしまっているのだろう。

そしてこの国の王は俺に対して「勇者様のお力をこの国の為に振るってくださるというのなら、是非この国をお救い下さい。この国に住う全ての者の幸せは貴方に頼る他ないのです」と言い出してきたので俺はその言葉を聞いて怒りが爆発してしまい。俺は王を殴っていた。俺が突然王に殴りかかったのにリリアは動揺することなく俺のことをじっと見続けていたのだ。

「どうして俺がお前たちのために何かをしてやらないとならないんだよ!俺はお前たちが俺にやっていることを全てぶち壊しにするためにやってきたんだぞ。それなのに、なんでお前たちが俺に助けて欲しいだなんてほざけるんだよ。ふざけんじゃねえよ」

「何を勘違いしているのか知らないが。俺は、この国の事を救う為にこの国にやってきたんじゃないんだよ。俺はな。お前たちの事を救う為にわざわざこの国まで足を運んできやったんだよ」

俺は俺の言葉を聞いてこの場にいる人間たちは呆気にとられていたのである。そんな中一人だけは俺の言葉が聞こえていたのか、ニヤッと笑いながら俺に近づいて来ると。「そうよね~。やっぱり、あんたの思ったとおりの行動してくれたのね。私の為に頑張ってくれてありがとう」と言うので。俺はこの女に文句の一つを言おうと思ったのだが、この女には何の効力もなく俺は悔しくなってしまい黙り込んでしまうのであった。

俺が黙り込んでいる姿を見てこの国の人々は「タクト殿は本当にこの国を救うために来られたのだな」という声が聞こえてきてしまい。どうもこの国は本気でこの国が滅ぼされるかもしれないという状況の中で必死になっているようだった。俺はそれが理解できたので、もう何も言うことは無いなと、そう思ってしまった。

しかし、このまま俺がこの国の人間どもを皆殺しにする為に暴れ回っても俺の望むような結果にならないことだけは分かるので、一旦は冷静になることに決めてしまった。それにしてもこの国はどうして俺が来ただけでこの国の連中はこの国の未来を救うことが出来ると考えたのだろうか?俺にはまったくもって分からなかった。俺の考えを見透かすように、この国の連中は、この国は、俺たちに頼ればどんなことだってできると考えていたのだ。俺が今までこの国の連中にやられてきたことを考えると、俺には到底できない考え方である。

そんな俺の元にレイリアはやって来て俺に声をかけてきたのである。

「これから貴方はこの国を崩壊させるつもりなんだね。でも、タクトの力だけじゃ無理だと思うから。私の方から力を貸してあげるわ」そう言ってレイリアは自分の右手の手甲を外した後、俺に差し出すと。俺もその手に手を重ねて行ったのだ。

レイリアが俺に向かって話しかけてはいたが、正直今はどうでもよかったので。無視してこの城から出て行こうとしていた。だがそれを止めた奴がいたのである。

その人物とは真紅であり彼女は「タクト、待ってくれ。僕からも頼みたいことがある。僕の話を少しだけでも聞いてくれないかな?」と真剣な眼差しでこちらを見ながら言ってきたので、仕方が無いと思い話ぐらいは聞いてやるかと思っていると。

俺の前に立ちはだかった人物が現れ「この人は、タクトの友達ですか?」

「うん。そうだよ」俺がその質問に答えるとレイリアはその人物のことを紹介し出した。その少女の名はレイシア。そして、レイリアの妹であることも付け加えたのである。俺はその名前を聞いて驚いてしまった。なぜならその少女の名前と容姿が俺の知っている人物に似ているからである。そしてレイリアから聞いた説明によると、彼女は俺の世界で言うところの人工知能と呼ばれる存在であると言うことだった。そしてレイシアの話を聞いて俺が思い出したのは、ある人物が作り出した人格が組み込まれたコンピューターであり。彼女の行動パターンはすべて俺がゲームで作ったキャラクターをモデルにしており。彼女が動くときはいつもそのゲームのプレイ画面をイメージして作っていた為。そのイメージが強すぎたので。俺は目の前のレイシアがどうしてもあのキャラクターが動いて俺の作った設定のセリフを喋らせている光景しか思い浮かばなくなっていたのだ。俺は、その考えを打ち消すと、改めてレイシアを見た。

その人物は、長い金髪で顔立ちが整っており。俺よりも身長が低く見た目だけで判断するならば年下の女の子に見えなくもないのだが、実はこの子が一番年齢が高く、しかもかなりの長生きしているとのことだった。

そして俺は、目の前の少女の外見を見て、あの子が動いている姿をつい思いだしてしまうが、目の前の人物とあの子はあまりにも似すぎているので、俺は彼女に質問をぶつけてみることにした。「君はどうしてその、人工知能?っていうやつなのにそんなに自由に体を動かせることができるんだ?」

「それはですね。私の場合は特殊な存在なのでこのようなことが可能になってるのです。普通の人間でしたらここまで自由自在に動き回ることはできませんよ」

俺は彼女のその発言に疑問に思ったことがあり。「君の言っていることが本当なら。君は人間じゃ無いことになるんだけど、それでいいのか?」と聞くと。

「私の事なら大丈夫ですよ。私がどういう経緯で生まれたかなんて忘れてしまいましたけど。この姿になったのは私の意思ではなくて。勝手にこんな風に変わってしまったので私はこの姿が本来の姿です」と答えが返ってくると、俺の中では一つの結論が出たので、試しにこの子にお願いをしてみることにすると。俺は彼女に話しかけたのだった。「俺を君が好きな様に動かしてくれるかな」俺は自分の考えた事を実際に体験してみたいと思っていたので、そのお願いをした。

その願いを聞き入れた彼女によって俺はまるで自分が自分自身に命令を下し操られている様な気分になっていたのである。俺の動きに合わせて俺自身は動いており、俺自身では考えられない動きを見せているのである。そして俺が次に指示を出した時だった。

彼女は、俺に攻撃を仕掛けるようにと命令を出すので。俺の方は攻撃の準備に取り掛かると、俺の攻撃に合わせる形で俺も動き始めており、最後にはお互いに攻撃をし合うような構図となっていた。俺はその時。このゲームをやっている時はこんな感じだったんだろうな。と思うとその時に抱いていた高揚感を感じながら楽しんでいたのだった。

俺のそんな様子を見ていたレイリアは「これで分かった?貴方は一人で戦うのに限界があるから、この子を味方にすればきっと上手くいくと思ったのよ」と言うが。別にそういう理由なら先にそう言えば良かったんじゃないかと思うのだが。どうもこの女は何をするにも回りくどいやり方でこちらに物事を進めてくる傾向がある気がしていた。まぁ今回はその方が助かると言えば助かるのだが。しかし、やはりというかなんというか。リリアの方に助けを求めたのは間違いだったんじゃ無いかという疑念に駆られる。しかし俺がリリアに助けを求めたことにより、俺は新しい技を身に付けたのかもしれないな。この子の力を借りて俺の新しい必殺技のお披露目をしてやるとするかね。

俺達は今城から抜け出したところだぜ。俺とクレアさん二人で城の警備をしている兵士を蹴散らしながら進んでいった。途中まで追っ手が掛かって来ていたのだけども、流石に二人ともレベルの差があるから簡単に逃げ切れていたんだよな。それに俺達がレベル99だということも相手に気付かれていないというのもあったな。それにしても、俺が城を抜け出す為にリリアを無理やり起こしてしまったせいなのか、俺の背中に抱きついて眠っているんだよね。俺はそのおかげでかなり走りづらくなっているんだよな。でも、リリアが可愛い顔をしている寝息を立てながら、俺にギュッと抱きしめてきている状況を見ると。俺も嬉しくなってしまいついニヤニヤした表情をしてしまい、俺とクレアはお互いの顔を見つめ合った後、笑いながら目的地を目指すのであった。

俺達二人はこの国の中心に位置する大きなお城にやって来た。ここはどうも国王が住んでいるところらしいのである。俺もここに入るのは初めてである。俺は、一応門番みたいな人を見つけてしまい。その人に尋ねてみたのだ。すると、「貴方様が勇者様ですね。お話は聞いています。中へ案内しますので私についてきてください」といきなり話しかけられ、そのまま城内へと通されてしまった。

俺は、俺が異世界からやってきたことや俺の能力なんかについても話してしまっているので、俺の話を信用してくれる人がこの国の中にもいることに少しだけ驚きながら。

城の内部に入った後は特にこれといって怪しい人物には出会わずに、城の中にある一室に辿り着いた。

そして扉を開けてみると中には先客がいたのだ。その人物は椅子に座って何かを読んでいたのだが、こちらの存在に気付くと、こちらを振り向いてきた。そして、こちらをじっと見たまま何も喋ろうとしないのだ。そして俺はその人物が一体何者なのだろうと思ってその人物のことをよく見て見た。その人は、銀色の長い髪が特徴な女性だったのだ。彼女は俺の姿をまじまじと見ると急に大声を上げて来たのだ。「ちょっとあんたがここに来るとは思ってなかったわよ」と言ってきたのである。どうも彼女は俺と面識のある人間らしく、さらに彼女は「あなたが来るとはね。タクト。私の方こそあんたに会うことができて本当に嬉しいわ」と大声で言ってきたのである。俺の事をタクトと呼んでいるところから考えてもどうやらこの女性がこの国の王族なのは確実である。俺はそう思っていると、レイリアから連絡が入り「その通りよ。彼女がレイティアよ」と俺の考えが間違っていないということを教えてくれたのである。しかし、レイリアはなぜそんなことを知っていたのだろうと不思議に思ってしまったが。レイリアが言うには「だって彼女が私の姉ですもの。当然じゃない」と言われた。

そしてレイリアは俺とレイリアの会話を聞くなりレイリアに対して怒り出したのである。その反応から察するにどうやらレイリアが姉の悪口を俺に吹き込んだから怒ってしまったみたいである。俺は慌ててレイリアを制止しようとしたけど間に合わずにレイリアの口撃を受けてしまいレイリアの頭に大きなタンコブが出来上がっていたのである。レイティアがレイリアの事を叩いたことで俺がレイシアとレイリアの姉妹ゲンカを仲裁しているような構図に俺はなっていたのである。そんな時、突然レイシアが俺達の方に来てレイシアとレイリアの頭を撫でたのだ。そしてレイシアとレイリアの二人が落ち着いた頃に俺は「お前たちは姉妹喧嘩ばっかりしてるといつまでも子供だぞ」と言うと。二人から凄い形相で睨まれてしまったのである。そして、その二人の態度を見たレイシアが、なぜか俺の方を見てニコニコ笑っているんだよね。その視線に耐えられなかった俺はレイシアに向かって「どうして、レイシアは俺に笑顔を見せてくるんだ?」と聞くと。レイシアは答えてくれたのだった。

「私がどうして、この子達にあなたの話を聞いてもらおうと思ったか分かりますか?」

レイシアの質問に俺は、分からないと答えたのだが。俺の予想が外れていた。レイシアはこう言ったのである。「実はですね。この子たちが、私のことを助けてくれようとしたんです」

そのレイシアの言葉を聞いて俺はレイシアに確認をした。「助けた?どういう意味だ」

俺の質問にレイシアはすぐに返事をした。「この二人は、レイシアのことを助けるためにあなたに会いに来たのですよ」

俺には何もかもが理解できずにいた。そして、俺は、レイリアの方を向き「俺のことが好きなのか?」と尋ねたところ、恥ずかしそうにしていた。その表情がまた可愛かったのである。俺が、彼女の事を見惚れているとレイアが俺の頬にキスをしてきて「そうよ、だから私がこの世界にやってきたのよ」と微笑みかけながら言ってきたのだった。

その言葉を聞いた俺の頭の中は完全に混乱していた。そしてレイアの方を向いて俺は「俺のことが好きだって?どうしてそんなことを言うんだ?」と聞くと「だって、あなたが私のために、こんなに必死になってくれたのが嬉しかったの。私はあの子とは違ってこの世界の人じゃ無いの。この世界に居てはいけない存在だった。それがこの世界にやって来たのは全て、貴方のためだったの。私はずっと貴方の傍に居ることにしたの」と俺に告げたのである。その言葉を言われた時に、俺の心の中でモヤッとするような感覚に陥ったのだった。その言葉で何故か胸が痛くなる感じを覚えたのである。その理由が何となく分かった気がして俺は自分の胸に手を置いたのである。

(あれっ、俺はこの子の事が好きでも無いのにどうしてこの子と離れるのが嫌なんだろう?)

俺は自分でもその自分の気持ちに戸惑っていたが。今はレイアの告白を受けたので俺がまずしなければならないことは、リリアとの約束を果たすことである。

そして俺が、リリアのいる所に向かいたいというと、俺がこれからどこに向かうのかも分かっているようで、一緒に付いて行くと言い出してきて。

リリアはというと。城の中に入ってくる時に兵士と鉢合わせしてしまい俺達を追ってきている兵士と戦っているという情報があったので、リリアと合流してその兵士たちと戦おうと決めたのだった。俺達は、レイティアに別れを告げてから急いで城の外に出ようとしいたのだが、城から出てすぐに、俺達が向かってきていた方向から兵士が現れて俺達は足止めをされてしまうのであった。

そしてその兵士が、俺達が城にやって来た目的を聞きたいと申し出てきたのだが、この場で戦うのもなんだと思ったので場所を変えないか提案し、俺達はその場所を変える事にした。俺は、俺達について来て欲しく無い兵士達にはついて来ないでくれと頼むと、その兵士達はそれでは護衛の意味が無いといい、ついて来るということになったので仕方なく一緒に連れて行ったのだった。ちなみにだがその者達にもこの国に起こっている問題を伝えて協力するようにお願いするとあっさり承諾してくれたのだ。俺の話を聞いて信じてくれたようだ。

そして移動をしている途中で、クレアと俺はこの国で起こっている問題についての情報を交換し合うことにしたのだ。しかしそこで判明したことがあったのだ。なんとこの国は今、内戦状態になっているらしい。それが原因で国中に兵士が配置されており警備体制が非常に厳しくなっているとのことだった。そして今から向かう先は、レイティアが統治する城であるということらしいのだ。つまりは敵地の中を進んでいるということなのだ。しかもレイリアから得た話ではレイティアは今非常に機嫌が悪いということで、そんなレイティアを俺がどうにかできるのかと疑問が出てきてしまったのだ。俺がその事を二人に伝えると、リリアは大丈夫だと俺を励まそうとしてくれていたのだが。クレアさんの方はというと、少しだけ心配そうな顔をしている。それもそうだ、今まではリリアのおかげで上手く行ってきたからな。

俺は、リリアとレイリアがいれば何とかなると思いたいところではあるが。相手は、俺と同じ人間なわけで、いくら俺の実力が高いとはいえ勝てるかどうかが微妙なところなんだよな。俺がそんなことを考えながら、俺達三人は城の目の前までやって来た。そして城門前まで辿り着くと俺は二人を連れて中へと入ろうとしたがその時、俺は門兵に声をかけられて、止められたのだ。そしてその門兵は「貴方様は、レイティア様にお会いになりに来られた方ですか?」と尋ねられてきたので、俺はその問いかけに対して肯定の回答を返そうとする前にその門兵が俺に質問をしてきたのである。「申し訳ありませんが、そちらのお嬢さん方と一緒にいらっしゃるということから察するに、あなたが勇者様なのでしょうか?レイティア様が会われると言っているため、一応確認のために確認をさせていただいたのですが、どうなのでしょうか?」と言われてしまったのだ。俺はその問いかけに対し「はい、俺がこの国の国王に会うつもりでやってきました」と答えたのである。俺がその答えを聞くなりその門兵の男性は「どうぞこちらへ」と俺達の事を中に入れてくれたのだ。俺は何となくだがこの門番の男性の対応に疑問を感じた。普通ならそんな風に聞かれたら、身分を偽っている場合なんかだった場合に疑われると思うんだが、彼は全く疑うことなくすんなり入れてくれた。そして、俺がそのことを不思議に思っているとレイリアが、どうやらこの男性は元々この城に仕えていた人でこの国の人達からは信頼を得ているような人だったのよと言っていた。どうやらレイシアも、その男性のことを気に入っていたみたいで懐かしそうにその男と喋っていた。その光景を見ながら俺達はそのまま城の中に入っていった。

城内は綺麗に掃除されており清潔感に溢れている。この国の王が住む場所にはふさわしい場所だと思いながら歩いていたが。そんな俺達に気づいたのか一人の女性が現れたのだ。彼女はこの城の侍女のようだった。その女性から「お待ちしておりました。ご主人様は只今玉座の間にいらしゃいます」と俺に伝えてきたので、俺とレイリアとレイシアの3人は彼女に従ってその女性の後を付いて行き、俺は玉座の間に入っていく。俺が部屋に入った時に俺の存在に気付いたのは俺ではなくレイティアだった。レイティアの瞳が俺の方を見ていてその表情が一瞬驚いたような顔に変わったのが分かったが。俺はレイシアとの約束を必ず果たすためにも、そしてリリアを救うために俺はこの場にやってきた。そして俺はリリアのために行動することを心の中で誓いを立てた。

俺はこの世界で、レイティアに謁見することにした。そして俺は、そのレイティアがいると思われる部屋にたどり着いたのだが、その部屋の前にはすでに先客がおりその人物に俺は見覚えがあるのだが誰なのかが思い出せなかったのである。しかしその女性が俺の知り合いだというのは確かだと確信していたので、俺はとりあえず話しかけることにした。そして彼女が、どうしてこの国に訪れているかを確認すると彼女は答えてくれたのである。

「私はレイアです。あなたが、レイアにこの国で何をしようとしてやってきたのは分かってますが、私はここであなたと戦う事は出来ません」

そのレイアの言葉を聞いて俺は「俺の事を知っているみたいだけどどうしてなんだ?俺は、レイアとは初めて会ったはずだぞ?」と言うと。

その俺の返答を聞いたレイアは、悲しそうにしながら。俺に説明を始めた。

「私がここに訪れた理由はあなたを倒す為だったの。この国の王様にあなたの悪評を流すつもりだった。それで私はこの城を乗っ取ろうとした。でもそれは失敗に終わったけど。私にはどうしてもあなたが許せないことがある。だからこの国の人たちの為に戦おうと思っている。だから私と戦ってほしい。私を倒してこの国から逃げなさい」とレイアは俺に訴えかけてきていた。

俺としてはその願いを聞き届けることもできない話ではない。しかしリリアのためには俺一人でこの問題を解決してリリアを救わなければいけないと自分に言い聞かせて。彼女の頼みを断ることにしたのだ。そしてその事をレイティアに告げると。「残念だけれど私達ではあなたに勝つことは出来ない。私はレイリアから聞いた。レイジアスから、その話を聞いた時に私は絶望しかけた。だって、私の大好きなレイアが死んだのもレイリアの力によって助けてもらったからという事だった。そして私はもう一人残された家族がこの国にいた。その妹が殺されたという知らせを受けた。私はこの城に来て初めて涙を流した」その涙を見てしまったレイアはとても悲しい顔をして泣き崩れた。

俺はその様子を見て彼女に同情したがそれでも俺はリシアを助け出すためにはレイリアの力がどうしても必要だった。俺はレイリアの傍まで行くとその手を取ってこう言うことにした。

「君とは争いたくない。それに俺はリシアを助けるためにここまできたんだ。レイアがどんなに辛い思いをしながら頑張ってきたのかも知っている。レイシアにも悪いが俺には時間がない。俺はリリアのために戦わなければならないんだ。それが例えレイティアの妹であってもな。君は確かにレイシアから力を譲り受けているだろうが、それが君の本来の実力では無いことも理解している。俺も本来持っている実力では無いんだ。だから俺は、リリアのためだけに戦いたい。そしてこの戦いが終わった時、俺がもし生きていたら俺とリリアを見守っていてくれないか?そしてレイティアも俺の大切な人になるかもしれないが、今はその時でも無いだろう。レイリア、俺はレイティアのこと好きだし尊敬もしている。だから俺は君と戦いたくはない。そして今だけは、レイリアと呼ばせてもらうが。俺と一緒にレイリアの妹のレイシアを助け出してほしい。頼めるかな?」

俺はそういうとレイリアは静かに涙を流して承諾した。そして俺のその発言に驚いたレイシアは俺のことを抱きしめながら「ありがとう」と言ってくれた。俺はそのことに少し戸惑いを覚えたが、そんなことを言っている場合では無いと思いレイリアに、この城の内部構造を簡単にでいいから説明してくれないかと聞くと。レイシアが「レイジアスはこの城の構造は把握しているはずよ。そしてレイアとレイシアは二人で一人みたいなものだったからね」と言ったのだ。

俺はそのレイシアの発言に何か嫌な予感がしてしまい、俺の予想が当たらなければいいと思ったのだ。そして俺がそんなことを考えながら城の内部に潜入するとやはり俺の予想は当たってしまい。城内は俺の侵入に警戒をしている兵士が沢山配置されていて、その兵士たちは、俺たちの姿を目にすると攻撃を開始し始めたのである。その事に気づいた俺はすぐにレイティアに連絡を取ろうと思ったのだがまだ通信ができる状況には無いようで俺達は仕方なく兵士達を相手に戦うことになってしまうのであった。

兵士達は俺達を始末しようとしてくる。そのため、俺達を殺そうとする兵士に対してレイティアの兵士が俺達の代わりに兵士と戦闘を繰り広げてくれることになった。俺はその兵士に、レイリアの指示通り動いてくれていることを伝えてから俺は俺の仕事をするために動き出した。まずは俺は俺を襲ってくる兵士達に対して反撃を開始した。俺は、兵士の動きを観察すれば、どの程度の強さを持っているのか判断できると考えて兵士との戦闘を行い、相手がどれだけ強いかを探っていたのだ。その結果、その兵士はかなり弱く、俺は相手にすること無くその場から離れようとしたとき背後にいるレイリアに向かって声をかけたのである。俺はその時に、少し違和感を覚えていたのだ。

(俺ってこんなに素早く動けるわけなかったよな?)そう考えた瞬間、急に体に異変を感じてしまったのだ。俺は慌てて自分のステータスを確認するとHPが減っており、俺は咄嵯にバックステップで距離を取るとそこには俺の想像を超えた速さで迫ってきた男が現れ俺を攻撃してきた。俺はその攻撃を受け流してから、レイティアの配下と思われる男の剣を受け止めたのだ。男はレイティアがこの国の王に成った際にその側近として働いていたらしく、今では国王の側近として働いており国王からは全幅の信頼を寄せられているらしい。彼はこの国の剣術を極めた男であり国王からは、最強の護衛とさえ言われている程である。彼は俺がその事を知っていたら、レイティアの事が気になり始めてしまった。その隙を相手は狙っていた。俺が一瞬油断したすきを狙って攻撃をされたのだ。その不意打ちを食らってしまったが何とか回避に成功すると。その一撃で俺に致命傷を与えることに失敗した男が舌打ちをした。そして俺に話しかけてくる「どうやらお前は、かなりの実力者だったみたいだな。この国の王女様を守るためにやってきたみたいだが無駄なことだ」その一言に俺は「おい!どういう意味だ!」と言い返していた。するとその男からとんでもない言葉が飛び出てきたのだ。「そのままの意味さ。レイシア様は死んだんだよ。この国のために戦った末に命を落としたんだ」その一言に俺が驚きの声を上げると、続けてその男は次のように言った。

「あの人は、本当にこの国の人達を愛していた。そしてその愛の深さゆえに死んでいったんだ。俺も、最初はあんたらを信用してなかったが、リシア姫は最後までレイリアさんの味方だったし、リリアもそうだ。俺はレイシアの遺言を守っているだけだ。あいつも最後はレイシアと同じような目をしていたよ。だからもう終わりにしないか?レイジアスはリシアの死を受け入れられていないみたいで暴走してるが、俺は違う。レイリアの事を一番大切に思っているのはレイリア本人だって俺は知ってる。俺とあんたが本気でやりあったところで勝てる訳ないんだ」

俺は彼の言葉を聞き「ならなぜ戦おうとしなかったんだ?」と質問をする。

俺がそういうとレイリアの護衛をしていたはずのその男も「そうだよ。お前が本気を出したならば俺は一瞬にして殺されてしまうんだぞ?」と言っていたのだ。それを聞いた俺は、「確かにそれはそうかもしれんが俺にも守るべきものがあるんだ!」と言うとその男ともう一人のレイリアの護衛と思われる女が二人揃って笑い出し。そしてレイナも笑いだしてしまったのだ。そして彼らは自己紹介をして、この国に起きている出来事を話してくれて、その真実に驚いた。

しかしレイアにはリシアのことが心配だった俺は二人の話を聞いていてもたってもいられずにレイリアの所に戻ろうとすると二人は「俺達にはまだすることがある。お前にレイシアの事を任せてもいいか?」と言ってきたので。

俺はその問いかけに答えることなくその場を離れてレイリアの元に戻ったのだった。

俺は、この城に潜んでいるレイシアの部下たちと戦うことになるがレイリアのおかげでなんとかなったのだった。

そしてこの城での戦いが終わってからしばらくして、俺の元にレイリアがやってきた。そして彼女はレイティアについて語ってくれたのだ。レイリアによると彼女は、元々病弱で外に出ることが難しかったのだという。しかしそんな彼女が唯一楽しみだったことが、このレイシアと過ごすことだったのだ。レイアとレイリアは姉妹ということもあり非常に仲が良かった。そして、レイアの願いをレイシアが聞き入れていたのだ。レイティアとレイリアはお互いに助け合いながら、支えあいながら生活していた。レイティアの体が弱かったからこそレイシアは自分の力を過信せず常に自分を鍛えていたし、その力を使うときには人のために使っていたのでレイリアはとても助かっていたという。その事を知っているから、レイシアもレイリアのことは大好きだというのが分かった。レイアはその事にとても感謝していたがレイシアは「わたくしも姉上と一緒でレイジ兄上のこと好きになっていますのでわたくしも同じようにしているだけです」と言ってくれたのだ。その事に俺は嬉しく思いながらも「ありがとう」と言ってしまったのだ。そしてその事を言われたことで、自分が今この場にいるべきで無いと思った俺は立ち去ろうとしてしまうのだが。そんな時に声をかけられたのだ。そして俺がレイリアの言葉に従い城の中で起こっている事実を知ってしまう。そしてレイシアを助け出さなければならないと思いレイリアの言う通りにして俺はリシアを救うべく行動をする。

まずは俺がここに来ることが出来た方法を教えてもらうためリリアの所に行く。するとリリアに俺がどうしてここに来たのか、どうやってこの場所を知ったのかを聞かれたので、レイティアから教えてもらったと嘘をつく。リリアがレイティアの事が好きな事は知っているが、だからといって彼女の居場所を教えてもらうのは心が痛むのだが、俺には時間が無かった。

リリアにその事を伝えるとリリアはとても悲しんでくれるのだが。それでも俺にはリリアとリリアの大切な人のリシアを救うためには時間が足りなすぎることを分かってもらうために俺はその説明を行う。そしてレイシアの妹レイシアを助けるためにはレイシアの協力が必要なことも伝えたのだ。そしてその話をした時にレイシアの妹レイシアと俺が会話をしていたことを説明した時にリリアが「まさか」と呟いたのだ。そのことに俺は疑問を感じたので詳しく説明を求めた。その説明によれば俺の想像は当たっており、俺が城の中に侵入したことによって城の内部にいる兵士に俺と接触することが無いように命令を出しに行ったということと、その兵士の気配を感じ取ったのだと言ったのだ。俺はその事を聞いてやはりレイシアの能力は高いのだと思い知らされたのだ。そのあとにレイティアがレイリアから能力を引き継いだことやレイシアが死ぬ前にレイティアとレイシアに伝えたいことを全て伝えられたことを聞かされた。そのことについて俺はレイティアに感謝をしながら、これから行う作戦の説明を始めた。レイシアがレイシアである限り俺達が勝つことは出来ないと。

そしてその言葉を聞いたリリアは何かを決意したかのようにうなずいて。レイリアに協力をお願いする。

俺はレイティアにリディアのことを伝えた後、この城を脱出する準備を始めていたのだが、そこでレイティアの配下の一人である。ライラが俺の前に姿を現したのである。俺はその事をレイティアに伝える。そして彼女もレイリアのことが気になると言い出したのだ。

そして、俺が、レイティアがどういった人間かを話すと。ライナは納得したのかレイリアの捜索を手伝うと言い出したのだ。

その申し出をありがたく受けた俺はレイリアを探し出すために、そしてこの国から抜け出すことに決めて行動を始める。まずはこの城の現状を確認しようと歩き回り状況を把握することにする。すると俺達の侵入により、兵士達のほとんどが殺されていることがわかった。

そしてその兵士達の中に、レイシアの臣下の者を見つけることが出来てしまった。しかし、俺の予想では、俺達のように潜入をしている仲間がいるはずなのだが俺達はその仲間達を見つけられないまま、レイティア達と合流してしまうのであった。レイシアは俺達のことを出迎えると。俺に「無事なようで安心しました。しかしあなた方の方は大変なことになっているようでしたが」と言われてしまう。俺がレイティアの質問に対して答えると、俺に話しかけてきたのは俺が探していた相手である。レイシアの側近である。セインと名乗る男であった。俺は彼にレイティアとレイシアにレイシアが死んでいたと偽って伝えることにした。レイシアとレイティアが驚く様子を見ていた俺は少しばかり悪いことをしている気分になってしまったが俺はレイアにレイシアを説得させレイアと話すことが出来るようにして、そしてリシアを救出するために動くのだった。

俺のその提案にレイシアとレイリアは協力してくれたが、なぜかレイリアが俺と話がしたいと言って来たのである。俺がなぜなのか聞くと。レイリアは、自分の目的とやらを語るのだった。その内容はレイリアの願いでもあり俺の願いでもある。

そして、俺の答えは決まっていたのだ。その話を聞き終えてから俺はレイシアにリシアを頼むと言うと、俺達は別れることになった。俺とレイティアにリリアは脱出するために動き始めたのだった。そしてレイティアとレイリアは俺と同行することになる。その事を聞いた俺は、レイティアにレイシアはどこにいるのかを聞いたがレイシアからその回答は得られなかったのである。そしてそのレイシアが、この城内を探索してくれていた。俺にレイシアを探す様に言ってきたので俺もそれに従う。そのレイシアが見つけたのがこの城の地下だった。その場所に向かうとそこに居たのはリシアの姿があった。リシアは、俺の顔を見て泣きそうな表情になりそして抱き着いてくると俺の胸で泣いていたのだ。その光景を見た俺達は、もう邪魔をする奴がいない事を悟ったのだ。

そして、俺がレイシアに向かって言う。「俺と一緒にこの国を変えないか?」と言うとその答えがすぐに帰ってきたのだ。その答えはYESだったのだ。それを聞いた俺は。俺はレイシアと共にリシアとレイシアとリシアをこの国から救い出すことを決めたのだった。そしてこの日俺はレイリアが、俺が思っていた以上に凄い存在だと知ってしまうのだった。

俺がリシアを連れて城を出るとその騒ぎを聞きつけてレイシアの部下たちが俺に攻撃を仕掛けてきたのだ。

「わたくしの大切な人たちに何手を出しているのよ!」

レイリアのその言葉で一瞬にして部下たちの戦闘は終わったのだった。レイリアが俺の横を通り過ぎてレイシアの方に向かい始める。

「リシア姉さま。助けに来ましたので。ご安心くださいませ」

レイリアがそう言いながら近づくと。俺もレイシアの元に駆け寄り、俺の胸に顔を埋めているリシアの頭を撫でながら声をかける。そして俺とレイシアはリシアの事を落ち着かせることに成功すると。俺の後ろを歩いてきたリリアがレイシアの横にきて、俺に頭を下げて来たのだった。俺はそれに戸惑いながらも二人に声をかける。すると俺の後ろから突然大きな物音が聞こえたのだ。それは、リシアの侍女のメイアが、レイシアの元に行き、その体を盾にするように俺達に立ちふさがっていたのだ。

その事で、レイシアとレイリアが警戒して立ち止まってしまい。俺は、まずは話をしようと思ってリシアとレイシアを先に進ませることにした。リシアの手をレイシアが取ると二人は俺の傍から離れて、レイシアはリシアの侍女のメイアの元に行くと俺に謝罪をしてきた。そしてリリアにも同じように謝るとレイシアとレイリアは先に進むのである。そしてリシアの侍女が、その隙に俺に攻撃をしかけようとしたが俺はその腕を掴み攻撃を止めさせたのだ。そして、俺を敵と認めたのか剣を抜いて切りかかろうとするが、俺はその刃を受け止めてそのまま握りつぶす。そしてそのことで相手が怯んだところで。その首元を殴りつけると、その侍女は気絶した。

そのあとに俺のところに他の兵士がやって来たので。俺はその兵士たちも無力化していくのだった。俺と、この城のメイドの服に着替えた、レイリアの四人はこの城の外へと向かう。俺がこの城の中に入って確認できたのは。俺とこの城の中に居る者達以外に三人がこの城に残っていたのだ。そしてその一人がレイシアに報告をしていた。つまりこの城の外にまだ人がいたということである。

俺はその事を伝えると俺もレイシアもリリアもこの場に残ることになった。俺達は、この国の民を助けないといけないからだ。だが、そんな俺達の前に現れたのは一人の少女であった。その少女の名はミリアと言ったのだ。彼女は、レイシアの幼馴染であり、リリアの妹でもあった。俺とレイリアはその事に驚いてしまったが。俺はその事に驚きながらもこの国をどうしたいのか? という問いをぶつけると。彼女は「私はこの国を守りたいんです」と言ってくれたので俺は、その意見を尊重することにする。そしてレイリアが「私に付いてきてくれる?」と言って、彼女の方へと近づきその頬に手を当ててキスをしたのだ。そのレイリアの行動に対して俺は心の中で「やっぱりお前には適わないな」と心の底から思い。そしてリシアは二人の姿を見て「え!? あれ、なんで? 私のお兄ちゃんがレイシア様のお姉さまになって。しかもそのレイシア様とリリアさんとキスをしている。どうして?」という感じになっていた。ちなみにこの城の中は誰もいないはずなのに、兵士の死体だけが大量にあったのだが、それを気に留めるものはいなかった。そして俺は。レイシア達とともに行動を始めることにしたのである。そしてまずは、この城の外に出ることを優先することにしたのだった。そして俺と、ミシアは城から脱出することに成功したのだった。俺達が出て行こうとした時、城の外から俺に斬りかかってくる兵士がいることに気が付き。レイシアと、リリアが、俺の前に出てくれたのである。俺はその時にレイシアとリリアが強いとわかっていながらもその強さを過小評価していたのである。

その結果俺達はその攻撃を防ぎきることが出来ずに攻撃を受けてしまう。しかしその攻撃を防いだ者が居たのである。俺がその人物に目を向けるとそこには見覚えのある男、リリアの兄がそこに立っていたのである。

俺はその男の名前をリディアだと言ったのだった。彼はリリアと妹を救うためにここまでたどり着いたと言っていた。そしてレイティアが、リリアが、俺の事を、おにーさまと呼んでくれるのはなぜなのか、俺は理解できていなかったのである。しかし、その事は後回しにしなければいけないと思ったので、まずはこの場から逃げ出すことを優先したのであった。そして、その途中で俺達は、俺に襲い掛かってきたあの男が、ライラと言う名前であることと。その彼が自分の事を勇者と名乗っていたことに驚いた。俺達と別れたレイシア達も合流してから、ライラを何とか説得することが出来たがそこで問題が発生したのである。ライラはリシアのことを、自分の妻にするとか、言って無理やり連れていこうとする。それに対してレイシアがキレてしまい俺に止めてくれと頼んできたのである。そしてレイシアが、その言葉通りに、俺は、ライナに向かって攻撃を開始するのであった。

「リリア、リディア! 行くぞ」

俺が二人に向かって叫ぶと二人はその掛け声で、走り出したのである。俺は、ライガが持っている剣に向かって拳を振り抜く。そしてライヤが持っている剣にヒビが入り粉々になるのだった。そして俺と、俺の後ろにいるリリア、そしてリディアで。俺はレイシア達の方に振り返り、彼女達に話しかけるとレイシアはうなずいて俺に合図を出すと、俺達は全員城を出て、レイシアがリリアと、俺を案内してくれたのだった。そして俺はこの時ある疑問が頭によぎっていたのである。レイシア達はなぜここにいるのかと。しかし今は、レイシアを信じることにした。そして俺は、レイシアの案内のもと。城を脱出した後に、リリアに、この国は俺達だけでいいと言って城に残るようにお願いしたのだ。

それから俺はこの城から出て少し離れた場所にある町に向かっていたのだった。

その途中レイシアと、レイティアにリリアの事が気になってきたので、俺の傍から離れない様に言っておくと。レイティアは「はい。分かりましたわ。旦那様」と答えるとリシアは、「わたくしは、リディアと、リリアと共に行きます。そしてリシア姉さまと一緒に行動します」といってきたので、俺は、その言葉に甘えることにするのだった。そしてリリアは俺の服を掴んでついて来ると俺の腕にしがみ付く形で歩き始める。その事に戸惑いながら歩いていたが、しばらく歩いて行くと町の中に入ることが出来て、俺は一息つくのだった。

俺達は、城から出たあと。すぐにこの城下町から抜け出すことは出来たが俺達が逃げ出そうとしているときに。城の周りを取り囲んでいた人達と戦闘になったのである。レイリアが俺の代わりに戦ってくれて。俺はリシアを連れて逃げることに成功した。俺がリリアの手を引き、その後ろから俺の体に密着するように抱き着いているレイリアは、レイリアの部下を引き連れて、敵の兵士達と戦ってくれたのである。そのおかげで俺とリリアは、敵に見つかることもなくその場を離れることができたのだ。そしてその途中に俺と、レイシアで、お互いの状況を確認しながら話をして、レイシアがこの国に残ろうとしていたことを聞いたのだ。レイシアが言うにはリシアの事も心配していたが、レイシア自身と、姉のレイティアのことを心配していたという事なのだ。そしてこの国の王である、この世界の創造主が誰なのかを知りたいとも思っていたという事を聞かされる。

しかし、今俺と行動を共にしているのは、リリアだけであって。この先もどうすれば良いのかと、頭を悩ませていると俺の横から声が聞こえて来たのだった。その声は俺にとっては馴染みの声でもあり、リシアにとっても聞きなれた声でもあるのだ。そして俺達の前に現れたのはリシアの母であり、王妃のミリアと、レイリアの妹である、リリア、それに俺とリシアの姉に当たるレイシアとリリアだったのだ。俺はこの偶然に感謝しつつ、リリアの母親であるリシアに声をかけようとしたのだが。リリアに睨みつけられてしまった。リリアは何か思うところがあったらしく、そのせいか、俺はリリアとまともに話せなくなってしまったのだ。そしてそんな俺とリリアの様子を見かねたのか、リリアの母親は俺の事を、抱きしめてきたのである。

そんな俺の様子を見てリシアとリディアが慌てふためいていて。リリアが泣き始めてしまい。それを見ていたレイシアまで涙を流し始めたのだ。俺は、リシアやリディアの涙を止めたいと思い、必死で考えていた。そして俺にはこの場で出来ることが何もないと判断した。だから俺の体が動かせるようになってから、改めてリリアには話をしようと思い至ったのだ。そう思った時ふっと、俺の中に、誰かの気配を感じたので、俺は後ろを振り返るとそこには。この国の姫の、レイリアに似た姿の少女の姿が見えていた。そのことに驚きを隠せないでいたが。その少女に俺は見覚えがあった。なぜならばその少女こそ、俺の世界において一番初めに作ったゲームであるVRMMO『ロードオンライン』のNPCの一人だったからだ。そのことに気付いた俺は、俺が作った、ゲーム内キャラと同じ容姿をした目の前にいる少女が何者なのかを確かめようと思って質問をしてみるのであった。

俺の頭の中でこの少女は何者かと考えた時。その少女は俺に対して答えてくれたのである。

その少女の名は、ルリと言った。その事に俺は驚いてしまい。どうしてそんな名前にしたのか聞いてみたのだが。この世界での俺の名前はセイだということがわかった。

俺はこの世界で、自分の名前が分かるということに、驚いてしまったのだ。そして俺は俺に名前を付けたルリに対して感謝の気持ちを伝えたのだ。そして俺が気になったのはなぜルリのようなNPCが現実世界に存在するのかということである。しかしそれを考えている時間などなかったのだ。そしてその時突然レイシアの母親が俺達に襲い掛かってきたのだ。

「みんな無事?!」と言って、そしてリリアに攻撃を仕掛けてきて。その光景を目にしていた俺は。慌ててリディアの方へと視線を移すとそこにはまだ気絶した状態で地面に横たわっているのである。俺はそのことを確認できた後すぐさま行動を開始しようとすると。リリアが自分のお母さんと戦うのをやめてくれと言い出して来たのでその言葉に驚きつつも。その行動を止めることが出来なかったのである。俺が戸惑っているとリシアが俺に攻撃しようとしている母親の方に向かって魔法を放った。するとその魔法の攻撃を受けて母親は倒れ込むと気を失ったような感じになってしまったのである。

そしてレイリアはレイシアのことを自分の妹であるリディアの傍で介抱しながらこちらを見つめてくる。リディアのことを大事に想ってくれていることはありがたかったが、今は、リディアよりも、レイシア達の方を優先して欲しいと思った俺はリリアのことを落ち着けてから、リディアとリリアのことについてレイシア達に相談をしようとした。そしてレイリアと、レイティアにも俺の話を聞いてもらい、まず最初に俺達はこの国の現状を確認するために移動することに決めたのである。俺達は移動中にも、俺と、リリア、レイシアで話し合いをしていた。その内容は主にリリアのこれからのことについての話しである。そしてその時に俺は自分のステータスを見ることが出来るようにスキルを取得した。そしてリリアのレベルも上げる必要があった。俺はそこでレイシアにお願いをすることにした。

それは、レイシアにこの場に残っている、俺の配下の者たちのことをお願いすると、彼女は快く了承してくれて、そして俺はその返事に安心していると。レイティアと、レイリアは俺に何か用事があるみたいだった。

そして俺達はレイティアに誘導される形で町の外に出ることになった。レイティアは、自分の部下達を連れて行くと言ってくれたので、俺としては、助かると思い。彼女の厚意に甘えることにしたのである。

それから俺はレイティア達と一緒に町を出てから森の中に入って行った。するとそこでレイティアと、レイリアが俺の傍から離れてしまい、レイティアがリディアに近付いて行って二人で会話を始めだしたのである。そしてそのレイティアが、俺と二人きりになると。いきなり俺の体に触れてき始めて、俺の唇にキスをしてきて舌を絡まらせてきたのだ。その行動に戸惑いつつ俺は彼女の体を受け止めていた。

そしてしばらく時間が過ぎて彼女が俺から離れると、俺にこんなことを言ってくるのだった。

「ごめんなさい。私のファーストキスだったのに。でも、貴方のことが好きになったから仕方がないわよね」

その言葉を聞いて驚いた俺は言葉を失っていたのだ。

レイティアのその大胆な告白に、動揺してしまっていた。それからレイティアは、俺の耳元でささやくように俺にこう告げたのである。

「私はあなたにこの国で起こっている異変の正体を教えたくてここまでついてきたのよ。そしてあの城の中に入った時に、あなたのお母様はもうすでに亡くなっていることも分かったわ。だけどそれならどうしてあんなことになっているの?」

その質問に俺は答えることが出来ず黙ってしまった。なぜなら俺の母親は死んではいないのかもしれないからである。俺はその可能性を信じているし、信じたいと思っている。しかし俺は、レイシアが、城の地下に監禁されている可能性があると俺に教えたときにレイティアに言ったことがあるのだ。

もしもこの世界の創造主の魂を持つ者がレイシアの言うとおりに生きているとしたら、そしてそれが俺の母親だとしたら俺は母親を助けたいという感情はあると、だから助けたいとも思っていると。

「この世界を作った神がいるって言うけど、それは嘘だと思うの。その証拠は二つあるのよ」

そう言ってレイティアは俺に説明をしてきたのである。その話によるとこの世界には元々人間はいなかったそうだ。しかしその世界の神々がこの世界を作ったのだというのは本当らしい。しかしこの世界を作り上げていく中で、一人の女性が不慮の事故で命を落としてしまって、それ以降からこの世界で起こることはその女性の意思によって決まるようになったと言うのがレイシアが言っていたことだった。そしてこの話を聞いている最中に俺の中では違和感を感じ始めてしまったのだ。だってそうなってしまうとこの世界でレイシアや、その仲間達が俺の両親を蘇らせることが出来ないということになる。つまりは、この世界でのレイシアやレイティア、リディアの仲間達が俺の母さんを復活させることは出来ないという事になるからだ。しかし俺はそれをレイティアに伝えようと口を開いたとき、そのレイティアの方が俺に話を遮ってきてしまったのである。そして俺の考えが正しかったのか。

レイティアがこの世界での母さんの話を俺にし出したのである。その話の内容からしてやはりレイティアの言っていることに間違いはなさそうだった。俺はレイティアに母さんのことや、この国の状況についていろいろ聞くことにした。その話を聞いた後にもう一度俺は考えを巡らせたのだが、結局結論が出せなくて困っていると、俺の傍にいたレイシアがその話を終わらせてくれたのだった。そしてその後は、俺と、リシアは、お互いの今までの状況をお互いに伝えあったのである。

俺と、リシアはこの国に辿り着くまでの道のりを、お互いの記憶を共有し合いながら情報の共有をしたのだ。俺のこの異世界に来た経緯を話す前に、この世界での母親についてもレイティア達に詳しく聞いてみようと思っていた。なのでまず最初に俺の母親の事を詳しく聞きたいと言ってみた。

するとレイティア達はこの国で起きたことを簡単に説明してくれた。そして俺はその内容に驚愕する。

俺の母親、いやこの国を作り上げた初代の女王が、俺の世界に存在していたゲームのヒロインと同じ名前だったというのだ。俺はそれに衝撃を受けつつも。俺の母親がなぜ俺の世界でも存在しているのかを聞き出そうとするとレイティアはそのことに関しては何も分からないと教えてくれた。

その答えに納得していない様子でいたのだが、俺のことを見かねたのか、リシアが俺に話しかけて来た。そして俺にそのことについて尋ねてきたのである。その問いに対して俺はどうすればいいか分からなかったのでとりあえず、俺自身に起きた出来事を正直にリシアに話すことに決めて。リディアには聞かれない方がいいと判断したので。俺とリシアは一旦別行動を取ることになった。そして俺は、俺が体験したことを話し始める。俺は自分がこの世界の人間では無い事を伝えて、その次に俺がリシアを救いに行くところから始まる。

そのことを聞いたリディアは最初は驚きはしたものの。俺の言葉を全て信じると言ってくれていて俺は心の中でリディアに感謝していた。

そして俺はその後、リディアと分かれてから、レイシアが俺に付いてきてくれることになり俺は彼女と一緒にこの国の中に入り込んで行くことになった。それからしばらくして、俺は自分の母親に会うために、リリアが住んでいるであろう場所に向かうことになるのだが。しかしそこでリリア達と出会い戦闘になるのであった。

リディアは俺に攻撃を仕掛けて来ようとしたが。俺はリディアの攻撃を止めることが出来た。なぜなら俺は【天武】を使いリディアに対してスキルを使って攻撃をすることで動きを止めさせることに成功したのだった。そして俺はすぐにリリアを庇い始める。しかしリディアの実力が思ったよりも高く。リリアを連れて逃げ出すことが難しかった。そこで俺は、リディアに隙がある一瞬を狙って、俺の切り札を使うことを決める。しかしそれでも、俺は勝てるかどうかもわからない相手に、戦いを挑んだのだ。その結果は何とか勝利できた。俺と、レイシア、そしてリシアのおかげで何とか勝つことが出来、そのまま逃げるようにして城の中へと入って行ったのである。

そしてリリアのことを気絶させてから、彼女を気絶させずに俺が彼女の体を拘束することにしたのだ。

そして俺はリリアを縛り上げて動けないようにしてから俺は彼女に問いかけた。

(お前の目的は何なんだ?)と、すると彼女はあっさりと答えを出してきたのだった。

(私の目的か?私はこの世界を自分の物にしたいだけだ)と、そしてその言葉が俺の頭の中には流れこんできており俺は戸惑うしかなかった。すると今度は彼女の方が俺のことを質問してくる。彼女は、リディアと、レイリアがどこにいるのか知らないのかと俺に訪ねてきたのである。そして彼女の口から出てきたのは、驚くべき内容であった。その話は俺がゲームをしている際にも見たことがあったのだ。それは、レイリア達と一緒にこの世界を作り上げていったメンバーの一人であり、その女性の名前がアイリスという名前だったはずだ。俺は目の前の女性の本当の名前を聞いた途端に驚いてしまう。

なぜなら俺は、その名前の人物を知っていたからである。しかし彼女が本当に俺の母親なのか疑問だったのだ。そしてその女性の名前は、俺の記憶の中に存在する女性の名前とは違ったのである。その女性が俺の母ではないのならどうして同じ名前を名乗ろうとしているのかは分からないが、俺としてはどうしても本人なのかどうかははっきりさせたかった。だから俺はリアナのことを調べ上げていくことにする。

俺の母親はこのゲームに登場する人物の名前を騙る偽者ではないかと思っているからである。その理由として一番大きい理由は彼女のステータスである。ゲーム上でも確かに名前の部分に、アスターと記載されていたからである。そして俺としてはステータスが、全て表示される仕様になっているからその情報が真実なのか嘘なのかがはっきりとわかっている。

それから俺とレイシアでこれからの事を話し合う事にした。

レイティアにも手伝ってもらうつもりでいたが、レイリアに俺達の戦いを邪魔されないようにするという役目を与えていたのでこちらに来ることはしなかったのだ。俺はそこで俺達二人で、レイティアの妹、リデアを探し出してこの国から出ることを提案するのである。しかし俺はその時に一つ問題が起きる。

その問題が解決するまでの間レイティアが、この場に残るという事になったのだった。

そして俺は一人でレイティアに言われたとおり、この城の地下に監禁されているかもしれない母親の捜索を開始する。俺の予想ではリディア達の誰かがその役を買って出たのだ。

そして地下への階段を見つけることが出来たのだが、その前に見張りのような存在がいた。俺はそいつを、気絶させると。俺はレイティアに教えられた場所に急ぐ。そして俺はリディアを見つけたのだが、俺は、彼女と戦闘を行う事になる。そのリディアと戦うとレイティアに止められてしまい俺はレイティアが止める理由を聞くが答えてくれなかったのだ。それからレイティアとリディアが戦い始めてしまったのだ。

リディアのその強さはかなりのもので、レイティアの本気を引きずり出すほど強かった。そしてレイティアはその力を完全に使いこなさなければリディアには勝つことは出来ないと言っていた。そしてその通りになったのである。リリアとの攻防が終わったあとで俺と、一緒に行動してくれていたレイティアだったが。その力を完全開放した状態のレイティアの力に俺は驚くことになってしまう。レイティアが本気になればこの国を支配出来る程の力を持つことになるだろうと言うレイティアの発言は間違いないと思ってもいいくらいだ。そんなことを俺に言ってくるぐらいに今のレイティアの状態は凄まじく強くなっていたのだった。そしてレイティアにそのリティアと戦ってほしいと言われて。レイティアにそのリディアを任せることになった。

そしてレイティアはそのままリティアと戦い始めて、俺達はその場から立ち去ることにしたのである。俺は、そのレイティアとリデアが戦った結果に期待を寄せて俺はリディアと二人きりになって話をする事に決めた。そのリディアが俺の母親なのかどうか確かめる必要があるのだ。そして俺はリディヤから話を聞いてみたら。どうやらこの世界を作り上げた女王様はリディアが言っていた人物にそっくりだということでその女性が俺の母親なのだと分かったのである。その事実が判明したことで俺はリディアを拘束して俺の目的を叶えるべく行動を起こすのであった。

俺はリディアを捕らえてから、この国の王に、この国の王様に謁見を求めたのである。するとその王はリディアを見てかなり驚いた表情を見せていたが、俺は構わずリディアを俺が引き渡すので代わりにお金を渡して欲しいと交渉を始めた。その交渉に対してリディアの父は少し渋っていたが。レイティアの方から、その王がリディアを奴隷として扱えばこの国の民達を皆殺しにするという脅迫まがいのことを言い始めたのだった。その話を聞いた瞬間に俺が助けようとしているリディアの父親はすぐに金を払うことを決めたのである。その光景を見た俺はとても心が痛くなったが、リディアが俺の言うことを聞かなかったのがそもそもの間違えであると考え。そして俺の要求通りに動くように俺達は、この王都にやってきていた冒険者達と手を組んでリディアの父を暗殺しようとした。だがその計画は失敗に終わったのだった。なぜならその計画を事前に把握していた、その王の執事によって計画が妨害されたからである。そのせいでレイティア達と俺が戦う羽目になり、なんとか俺は勝利を収めることができたのだった。しかしその時の戦闘の影響で俺は意識を失ってしまい目が覚めた時には、もうすでに、この国にリディアはいなかったのである。そしてその日の夜、俺にリディアは自分が俺の元を離れてリリアの下に行くと伝えてきたのだった。

俺はその言葉をリディアに信じたくはなかったが、俺のことを心配しているのは分かっていたので俺は何も言わずに、リディアの気持ちを尊重することを決める。俺はリディアのことが大好きで離れることなんて考えたこともないので。俺は絶対に彼女を取り戻すことを決意する。

そして俺はリディアの事を気にしつつも。リリアの城へと向かい始めていたのだった。

俺はその日は雨だったので、レイリアと別れてからリリアに会うための方法を模索してみたが。いい案が浮かばず俺は仕方なくリリアとリディアがいるであろう場所へ向かうことにしたのである。

リリアが今、住んでいる場所をレイシアとレイシアから聞いたので俺がそこに向かう事を決め、その場所へと向かうとそこには二人の男女の姿がありその男女が俺が捜していたリディアとリリアだったのである。俺はその二人をレイシアから聞いていた特徴に酷似しているのを確認してから話しかけることにした。

俺が話しかけようとしたとき、レイシアが俺に声をかけてくる。そしてレイシアはこの二人がこの国の国王の娘であるリリアだと教えるのである。俺が驚いてレイシアの方をみると、どうやらレイシアもこのリディア達が本物の王女だということが分かったようだ。しかしリディアの事を信用しきれなかった俺が彼女達に敵意を見せると彼女はその事に気づいたのか俺に話しかけてきたのである。

(もしかすると貴方は私が知っている人物なのかもしれません。もしかしたら私は昔に貴方のことを見かけたことがあるのでしょうか?)

その言葉に対して俺は、リディアに対して警戒を解くことにした。俺は、レイシアがどうしてこんな場所に居るかを聞くと、リリアと二人で旅をしていたそうだ。そして俺にレイシアがこの場所まで来るのに同行してくれた理由を話すことになる。それは俺に対してリリアを預けたいと思っていたからである。それを知った俺は驚きを隠せなかった。なぜなら俺は今までずっと一人でこの世界で生活していたから家族というものが居なかったからだ。そのことについてリディアが詳しく教えてくれることになったのだが、俺にはどうしても信じられない内容だったのだ。その内容は、リリアは実はこの国で生まれて育ってきたわけでなく、俺と同じく別の世界に飛ばされてきたという衝撃的な内容だった。そしてこの国で彼女はこの世界の王族の血を引いていないということで迫害を受けて育ったらしいのだ。それでリデアと一緒に国を抜け出そうとしていたがその途中でこの国の兵士達に襲われているところをレイティアに助けられたということがあったみたいである。それからは二人は一緒に暮らしていて、いつか三人で一緒に暮らせるようにと考えていたようであった。その話を聞いた俺はレイシアがこの国にやって来た本当の理由がなんなのか気になってしまい、リディアに聞いてみることにする。すると彼女達の父親が俺に会いたいという願いがあって俺を探していたそうだった。

その俺に会いたいとお願いをした理由はレイディアが父親に俺がレイリアの息子であり、レイリアの弟であることを告げ口したためであるらしく。レイリアの母親が俺に一目会わせてくれないなら自分は家に戻ることはできないと言い出し、俺をこの場に呼ぶように要求したのだった。

そして俺はそのリリアの頼みを聞き入れてリリアの父親である、レイティアの城に連れて行かれるのであった。

リリアの父親はレイリアの夫でもあるが、彼はレイティアを心から愛しているのでレイリアが何を言ったとしても彼女のいうことを聞くことはなかったのである。そのおかげでレイリアが困り果てているところにレイシアから俺の存在を聞かされたことでようやく、俺の話をしてくれるようになり、俺をレイリアが待つ部屋に通すことになる。そこで俺とレイティアが対面することになるのだが、レイティアは俺を見ると何故か涙を流していた。俺は彼女が泣いている意味がわからなかったのでその理由をレイティアに訪ねると、その理由は俺が本当にこの国の者ではないということを理解したことにあったようである。

そのレイティアの話を聞いた俺は、どうせ俺は元の世界に帰ることが出来るのか分からない存在なのでこの世界を楽しもうと考えているのである。だから俺は自分の好きなように行動するとレイティアに宣言する。

俺はこの国の王になる覚悟があると言うと、リディアとリデアが驚く中レイティアが嬉しそうな表情を浮かべたのを見て。俺の考えが間違いではなかった事が確認できてほっとした。そして俺はリディアを妻にする事を宣言し、リディアも承諾してくれ、俺とリディアの結婚が無事に成立したのである。

その後俺とレイティアとリディアは話し合いをして。リディアがこの城で暮らしている理由を話してくれる事になった。その話によるとリディアは王位継承権がないのにもかかわらず王女として扱われるために城に住んでいるというのだ。どうやらリディアの母親はリディアを産んで直ぐに亡くなってしまったようで。そのことからリディアは母の代わりに城で暮らすことが決まったのだという。そしてこの話はレイティアにとってはかなり辛かった話であった。リディアはレイティアの義理の娘であり、実の子供だと信じていたのだ。しかしその話を聞いていたレイディアは自分の母親を悪く言うリディアの言葉に我慢ができなくなり怒り始めるのである。そして、レイティアはそのリディアが自分の娘である証拠を見つけようとしていて、リディアを連れて街に繰り出したのだった。

そして俺はそんな二人の後を追うことにしたのである。リディアの母親に一度挨拶をする為にだ。俺はまずこの王都で暮らしている商人を探し、その商人と会話をしてから俺がリディアの母親から譲り受けたものを渡して、俺がリディアの父親から貰った金貨と交換することにした。俺はその商品に価値があることを知っているので交渉にかなり有利に立ち回ることが出来たのである。

俺はレイティアとレイティアの母親の話を聞いたあとに、リディアとリディアの両親にレイティアが渡してくれた俺の母親から譲ってもらった品物を俺は手渡すと、リディアの両親が大喜びしていた。俺もその笑顔を見れて嬉しい気分になれたので良かったと思っている。

そして俺は、俺の母親に会えれば何かが変わるかもと思いながら俺はレイリアの母親であるリディアの義母である人の住む屋敷へと向かったのだった。

そしてリディアの母親が住む家の前まで辿り着くと。俺は門番をしている男に俺がこの国の王子であることを告げる。そして俺はその門番からあることを聞いたのである。それはリディアがレイティアと買い物に出かけているということだった。俺は急いでその場所に向かうことにして、その場所へと到着すると、そこには既にリディアがリリアを抱きしめていたのである。その光景を見た瞬間に俺の心に怒りが込み上げてきたのだった。そして俺は、リディアを殴ろうと手を振りかざすが、その手を掴まれる。俺がその腕を掴んだ相手の顔を見るとリディアだった。リディアはそのまま、レイリアに攻撃をやめるように命令するが。俺はレイリアが危険な人物だということをリディアに伝えて、この場を立ち去るように指示を出す。

リディアが渋々納得してその場を去るのを確認した俺は、リディアとレイティアとリリアに向かって俺は攻撃を仕掛けようとする。だがその時に、リディアの後ろの方からレイシアが出てきてリディアに襲いかかるのである。俺はその隙に二人を殺そうとしたが、リディアに邪魔される形で、二人を倒すことは出来ず。仕方なく俺はリディアとの戦いを諦めることにしたのだった。

リディアとレイティアの戦いが始まると俺はその様子を観察し始めた。レイディアはどうやら魔法を使うことに長けているらしく、氷や水を使った攻撃を使ってきたのである。そのレイディアの実力は俺と同等かそれ以上のもので、レイディアに俺は負けそうになったが、リディアがリディアが俺に話しかけてくると。俺はそのリディアの問いかけを無視してリディアとレイティアの戦闘に集中しようとした。しかしレイシアとリディアは二人で俺のことを狙って攻撃をしてくるのである。俺は二人の連携が凄まじいものだと知りつつも俺は二人の連携攻撃に少しずつではあるが傷ついていき。その痛みに俺はとうとう我慢できなくなってしまい。二人を攻撃することを優先した。そのことで、リディアの蹴りが腹に入ってきて。そのダメージが致命的になり、意識を失ってしまうのである。そのことが悔しくてならなかった。もしリディアと戦うのなら全力でやるべきだったと反省する俺だったが結局のところリディアとの決着をつけることが出来なかったのだ。俺は目が覚めると、リディア達が居ないことに気づくと。レイディアの屋敷から抜け出す方法を考え始めるのだった。俺にリディア達を止めることはできないと分かったからだ。

(僕はずっとリディアの事を待っていたんだ。あの日からリディアの事がずっと好きでずっと忘れたことはないんだよ)

その言葉をレイディアに言われてから私の中で今まで以上に彼が気になって仕方がなくなっていったのである。しかし彼と私は結ばれることなどあり得ないことであるということは分かっていたので、私は彼の気持ちを受け入れないことを決めていたが、そのせいで私は、彼に嘘をつき続けてしまったのだ。そして彼はその事に気づいたのか私の前から姿を消す事を決めたらしいのだが、その時すでに遅く。彼の存在は、人々の間では恐怖の存在として恐れられるようになっていたのである。そして彼が姿を消してから数日が経過した頃に私はレイシアの付き人として旅に出なくてはならなくなったのだ。それなのにどうして私が今この場所にいるかというとそれは、この王都で何が起きたのかを知る必要があったからである。私がこの場所を訪れた理由は二つあり、一つ目はレイディアの様子がおかしいことと、二つ目はレイシアの行方を探す為である。

レイシアはこの国に戻ってきた時も、私がこの国を訪れると知っていながらこの国を出て行こうとしていたのだった。その理由は私にはわかっていた。きっと、レイディアのことを心配しているのだと思ったからだ。それで私は彼女にレイディアはどこに居るのかを聞いてみると彼女はレイディアはどこかに姿を消したと言うだけだった。そのレイシアの様子はおかしかったので、何かがあったのだと察すると。彼女が言っていた場所に向かうことに決めた。その場所にたどり着いたとき、その扉の前にレイディアの姿を見つけることができたのだった。そして彼女はレイリアを睨みつけながらレイディアとレイリアに対して怒りを露わにしていた。

私はそのレイディアの言葉に驚いていると、リディアが姿を現したのだ。その姿はボロボロでありレイピアも壊れかけの状態だったので私は慌ててリディアを治療するために彼女を部屋の中に連れて行く。そして私は彼女の傷を治した後。なぜレイディアと戦いになった理由を聞くことにする。

「どうしてリディアがここにいるんですの? それにあなた達はいったい誰なのです?」

その言葉にレイディアが反応するのを見て。どうやらこの二人はリディアの事について知っているのだろう。だけどリディアがどうしてレイディアを怒らせたのか分からなかったので、理由を尋ねることにした。そして彼女の答えから事情を聞くと、レイディアとレイシアの母親は、レイディアが王都を出た後に生まれた子なのだという。その話を聞いた私は驚いたが、レイシアがその事でレイディアを怒っていたことが分かり納得する。

そしてレイディアの話に出てきた人物の名前がリディアだったことにも驚きを隠せないでいたが。そのレイディアの言葉を聞いたときにリディアの体が激しく揺れていることに気づくと。どうやら動揺を隠しきれなくなっているようだ。

その姿を見てレイディアはニヤッと笑みを浮かべると。

「ふふっどうやら貴女は本当のことに気づいてしまったようですわね」

そう言ってから、自分の母親のことについて話を始めるのである。レイディアの母親は元々体が弱くて生まれた時からレイディアを産むことが出来ないと言われたのだが、それでもその母親は自分の子供を産みたいと思いその願いが通じたことを嬉しく思ったのだという。しかしその母親が出産してまもなくして亡くなってしまったのだという。

そしてレイディアがレイシアを産んでしばらくした後に。この城で事件が起きることになる。レイティアの母は、レイティアを産めなかった代わりにリディアが産まれてきたことを知りリディアの存在を危険視したのであった。

リディアはレイディアが母親に何を言われたのか理解出来なかったが、リディアはその話をレイディアに信じてもらうために、自分が持っているレイディアの母がくれたものを見せようとレイディアにその物を見せると。レイディアはそれを見て目を大きく見開くのである。レイディアのその態度から、リディアはこれが何かレイディアにバレてはいけないものだと判断すると、リディアはそれを隠すことに決める。だがそんな時、偶然その様子を見てしまった使用人がリディアの母親にそのことを伝えてしまい、その結果レイリアを処分しようとしたらしい。しかしそれを止めた人物がいて。その人物のおかげでレイリアだけは殺されることは無かった。

その後、その出来事をなかったことにする為にも、レイリアを城に閉じ込めることになったらしいのだが、ある日突然リリアを連れて城を逃げ出したらしい。しかもリデアを連れて、そしてリリアの存在が明るみに出るのを恐れたレイティアによってレイリアの存在は無かったこととして扱われ。レイリアは生まれてすぐに死んでいたことになった。そしてレイティアはリディアを殺すための準備を整えようとしていたが、その時にレイシアがこの国を出ようとしたため。リディアの命を狙ってレイディアは動き出すことになる。そしてレイティアがリディアを殺そうとしたときに現れたのがレイシアだったというわけである。

しかしレイディアがどうしてリディアを殺そうとしたのか。それはリリアを守るためだということを私はリディアから聞かされたのである。だがリディアからレイシアがどうして私の前に現れたかを聞かされたことで、そのレイディアの行動に怒りを感じてしまう私だった。なぜなら、レイシアを守るためにリディアを殺していたのならば、リディアを守る必要はなかったはずだからだ。その話を聞いたことでレイディアと話すことが難しくなったと感じた私は彼女と話すことを諦めて、彼女達の前から去ろうとしたのだが。その瞬間、リディアとレイディアの母親が現れて私のことを止めるのだった。その様子に違和感を感じた私は二人の顔を注意深く見ているとあることに気がついたのである。そのことに気づかなければよかったと後悔してしまうのだが。気づいてしまったので仕方がなかった。その二人には生気が感じられなかったのだ。

私が二人の様子がおかしいことに気づいた直後。リディアと母上が現れたので。私はリディアのそばに行く。レイディアの方を見ると彼女は何故か泣いておりその姿を見たリディアもまた涙を流し始めていたのだった。そしてレイリアも悲しそうな表情をしていたのである。その様子を見ていたレイシアは何も動じていない様子だった。

そしてそのあとにレイティアの口から、この城であったことが説明されるのである。

リディアの母親がリディアに渡した指輪の効力を知った私はこの国の闇を深く知る事となるのである。リディアにその説明をするように促すレイディアだがリディアはなかなか口にしようとはしなかったが。やがて覚悟を決めてその事を口にした。

「私の母の形見の宝石を加工したのはリディアの母親ではなくレイティア様のお姉さんだそうです。その事はレイディア様にしか知らないはずなのですが、リディアに知られてしまったのが間違いの元となったらしいですね」リディアはそう言ったのだが、それを聞いて私は全く驚かず逆にレイティアのことを怪しく思ってしまう。

その事にレイディアはすぐに反応してレイシアを睨みつけるが、リディアがレイディアのことを止める。どうやら、これ以上何も言わないで欲しいということのようである。その事に納得したレイディアは黙り込んでしまう。それを確認したリディアはレイシアの方に視線を向けると、レイディアの事を落ち着かせることに成功する。

その後は特に問題もなく話が終わり私とリディアは部屋に戻ることにするのだった。そして私が部屋に戻ると、その事をリディアに伝える。彼女は私が話を聞いてくれていたことを感謝していたようで、私も話を聞いてあげられなくて悪かったことを謝罪する。そして彼女は私と一緒にいることが出来なくなったのでこれから別の場所に移動すると言う。そして私に別れの言葉を告げてリディアはこの国を出て行ったのだ。その事が私は悔しくてたまらなかった。もっとリディアの役に立ちたかったからである。そしてリディアがいなくなる事によってこの国にいる理由を失った私は、次の目的地を決めようとしたがその途中で私は一つのことを考える。

それはこの王都の人達に聞きたいことがあるからであり。そのためには、どうしてもこの屋敷の中に居る人間に会わなければならないので私はこの場を離れることにした。

私はその人の部屋に向かうとそこにはあのレイディアという女性の姿が見えた。

どうやら彼女はレイリアとレイディアの母が入れ替わっている事に気付いていないようだった。

そして私は、この女性から情報を得る必要があると感じて、私は彼女に話しかけることにしたのである。

私が彼女に話しかけたことは正解で。彼女が持っていた宝石の正体を教えてくれた。どうやら彼女はその事でレイディアとレイリアに命を狙われる事になってしまったのだという。そして彼女は、自分の命を狙っていたリディアの暗殺を実行しようとしたらしく。その時の彼女の顔はとても真剣なものだったのを覚えている。私はその姿から彼女の本心が分からなくなってしまったのだ。

(いったい何のために、リディアをそこまでして殺したがっているんだ?)

私はそう疑問を抱くとレイディアはその事を話し始めた。その話を聞いた時。私はそのレイディアが言っていた言葉を理解することが出来ずにいた。なぜならその話を聞いた限りでは、まるでリディアの母親のことが大切だったと思える言葉に聞こえてきたからだ。

だがそこでその話を聞いていたレイディアの妹であるレイリアの態度に気づくと、この子はおそらくレイディアが話したようなことを知らないのではないかと思うようになったのであった。そしてレイリアの表情は何かを隠しているというように見えていたので。恐らくこの子がこの話に嘘を混ぜ込んでいるのだと予想したのだった。だからリディアの本当のお母さんは生きているはずだ。

だけど、その事を問いただしても、レイリアは答えてくれることはなかった。だけど彼女の行動を見つめていると何かを隠していることが丸わかりだったために。この子は嘘をつくことにあまり慣れていないと私は判断したのだった。なので、もし本当の事を話してくれなかった場合はこの子の身辺調査をすることにした。その結果。その女の子がこの城に仕えている執事の孫だということが判明するのだった。

(つまり、リディアはリディアの母親がくれた物を持ってこの城に来たというのか? しかもそれをこの子から受け取ったということはその人物はこの城に仕えていた者の子孫ということなのだな。

だが、その人物は一体どこに行ったのだろうか? その人物が居なくなれば、リディアの母親とリディアの行方を知ることが出来る人物がいなくなってしまうことになるぞ)

「お久しぶりですわね」

「ああそうだなレイディア。元気そうで安心したよ」

「そういうあなたもね」

「それはどうも」

「それで今日はどのようなご用件ですの?」

「まあそう慌てることはないだろう」

「いえそうではありませんわ。私は急いでいるんですの」

「ふむ。では早速話をしようか」

「ええどうぞ」

私はレイディアを応接室に呼び出して、レイディアの話を聞き始めるのである。

レイディアの話を聞く中で、リディアはレイディアが渡した指輪がどんなものなのかを理解してしまったみたいで、レイリアに対してそのことを追求しようとしたが、レイディアはそれを阻止するために無理やりレイリアを連れて逃げようとしていたが。レイディアの妹の方が力が強く逃げることは出来なかった。レイリアに必死に説得をするレイディアだったが結局その思いが実ることはなかった。そんな様子を見ていた私であったが、そこに現れた人物が一人。レイディアの妹に攻撃を加えてきたのである。

「貴様、レイディアの知り合いか!」

その人物の顔を見るとその男はリディアの父親だということに私は気づいたのである。

「リリアさんですか」

「レイディアさん!?」

リディアがレイディアを見て驚く。だがそれも当然の反応だと思う。なぜならリディアとレイディアはその母親が違うのだ。レイディアは母親似だがリディアは父親に似ている。そのせいで、二人は全くといっていいほど似ている所はないのだが。唯一その赤い髪の色だけが似ていたのである。リディアがこの国に戻ってくると必ずレイディアがこの城に訪ねてくるのでリディアもこの国でレイディアのことを見つけられるのである。そしてレイディアと話す機会が増えるたびにリディアはレイディアのことを友達だと思っていったのだ。そしてこの国に戻ってきてレイディアがこの城で暮らしていることを知ったのだった。そしてレイディアは私の娘でもあるリリアに好意を抱いていたことも知っていた。そのリディアがこの城で暮らしていいることを知りリディアがこの城に来るのは当たり前だった。そしてリディアはレイディアのことが嫌いではなく。むしろ好きだからこそ。レイディアに会うことを止めなかったのである。

「リリアさん無事だったんですね」

「レイディアさんこそどうしてここに」

「私はただレイシア様に呼ばれて、リディアさんの迎えをするためにやってきただけです」

その言葉にリディアは驚いた顔をするとレイディアの顔をジッと見つめていた。

「リディア様どうしてこんな所に来ちゃったの」

「でも、それはレイディアさんも同じです」

「確かにそうですね。ですがレイディア様がこちらにくることは私が止めたので、貴方は悪くありません」

そう言うとレイディアは私の方に向かってきたのである。

私はそのレイディアの行動に驚きながら、彼女の瞳を見つめると、彼女は私の方を睨んでいたのだ。

そのことに私はかなり困惑しているとレイディアがリディアの手首を掴んでその場から離れていったのである。そして私は二人を追いかけることが出来なかった。なぜなら、レイディアは私に殺気を向けており。私を殺すつもりでいたからだ。そのことに気づいた私はこの場を動けずにいたのである。そしてレイディア達が消えた方向を見続けていると一人の男が姿を現すのだった。

そして私の前に現れた男に私は見覚えがあったのである。なぜならその男の見た目がリディアにとても良く似ておりその男はリディアの父である。レイディアにリディアの父親が話しかけたのである。

「お前の望み通り娘を捕まえてきた。さっさとリディアを渡したらどうだ」

レイディアの父親はリディアの父親の方に視線を固定させるとそのままの状態で話し始めた。

「その前にリディアをどうするつもりですの」

「ふん! どうするも何も。こいつは俺が貰っていく。お前のような奴にはリディアの事は任せられないからな。リディアの母親はあいつで十分だろ」

その事にレイディアは激怒したが、彼女はすぐに冷静になると、リディアの方をちらりと見るとレイシアに助けを求めるように手を伸ばしたのだった。その光景をみたレイディアの父はニヤリと笑いリディアに攻撃を仕掛けようとしたのだ。だが私はそれを許すはずがなく。レイディアの父の拳を止めるのだった。

そして私は、レイディアが持っていた宝石について聞くために彼女に問いかけることにしたのだった。

(やはりその宝石が元凶だったというわけですね。リディアの母親に宝石の事を聞いていたのでその事については私にも心当たりがあるんですよ。だから私はこの国を旅立ってまで、その宝石を探していたのです。この国の王都にリディアの母親に関係のある人が居るという情報を入手したので、そこに向かっていたのです。まさかリディアとレイディアの母が入れ替わっていることがリディアにばれてレイディアがレイディアに殺されてしまうとは予想もしていなかったですよ。しかしあの二人がこの城にやってきたということは。その情報を手に入れる事ができたのでしょうね)

「おいあんた。リディアの母親とこの国の関係を教えてもらうと助かるんだが、教えてもらえないか?」

その言葉にレイディアの父親は、その表情を変えると警戒心を露にする。だが私がこの部屋でリディアに暴力を振るった人物だとわかると態度を変えて話し始めたのである。

「なんだ。そういう事でしたらどうぞお入りください。その話を聞いてリディアに危害を加えるつもりはなくなったようですしね」

その言葉を言ったレイディアのお父さんにレイディアが反応してその人を殺してしまいそうになったのを私はレイディアが手を出すよりも先に動き、彼女を止めるのだった。そしてその後。この部屋に入ってきたレイディアの父親を見たレイディアが驚いていたのだった。

そのレイディアの父親はこの国を統治していた国王であり。リディアの父親の妹が結婚する前にこの城で働いていた使用人だった。

そしてこの二人の話はリディアの母親との恋愛の思い出を語っているかのように見えていたが実際はこの国がどうやって出来たのかを語るような内容だった。

「リディアさん。リディアさんのお母様が持っているという宝石の事を覚えていますか?」

「えっと、確かレイディアさんはレイディアさんのお母様がその宝玉を使って、この世界を侵略しようとしていると、そう言いたいのですか?」

「はいそうです。そしてお父様がその宝具を探しに行くと言って聞かないんです。そしてリディアさんにその力を借りたいとも言っていたと思いますが。その件についても私は貴方の了承を得られればと思い。この国にやってきました」

その言葉に私はリディアがその話を受けると思っていたのだが、リディアはその話を断り、そしてリディアと私はレイディア達と共にその話を立ち聞きしたレイディアの妹のリディアが私の娘だということがレイディアにばれ、レイディアに殺される寸前だったリディアを助けた後、私はこの城を後にするのだった。

そしてレイディアの事を少しばかり見誤ってしまったことに私は気づくのであった。レイディアが本当に私の娘の味方ならば。私がやろうとしている事を理解したうえで手伝ってくれるのではないかと考えていたのだ。

だが私はレイディアに対して甘かったようだ。レイディアはこの国の王に忠誠を誓っている。その事がレイディアにとって何より大切なことだ。だから私はその事にレイディアに気が付かなかったことを反省しなければならないと思ったのである。

「そういえばリディア様が居なくなってから色々とあったのよ」

レイディアが私に語りかけてきた。レイディアと話す機会が増えて私は彼女とかなり親しくなったと思っている。そして私は彼女の過去を知ることができたのである。そして私は彼女の口から語られた彼女の家族の話を聞くことになる。それは彼女がどうしてこんなにも変わったのかということにつながる。そして彼女は自分の生い立ちについて語り始める。その彼女の過去にも私の知らなかったことがたくさんあることを知ることになった。レイディアが何故あんなにも変わってしまったのか? その理由を知るため私はレイディアに話をしてもらうことにする。すると彼女の話を私は聞いたのだが、それは衝撃的な話だった。

私はレイディアにレイディアの過去の話を詳しく聞いてみることになった。

その話の発端は今から二年ぐらい前になる。レイディアの母はレイディアを出産するとすぐに亡くなってしまうのである。その時にレイディアを産んだ時のショックが原因ではないかとレイディアは推測していた。だがそんな時に現れた人物が、この国で王をしていた男と恋に落ち、その子供を産んで、そのまま姿を消したらしい。だがその男はリディアの母親と付き合っていた男だという事を知っていてレイディアは驚きを隠せないでいたのである。レイディアはなぜその男性が、自分の母親の事を調べているのだろうと疑問を抱きながら、その事に関してレイディアが知ることはなかった。なぜなら、レイディアはその時の記憶を失っているのだ。そしてレイディアの母はリディアの母と同じ女性だったらしく。その女性がどこに行ったのか、誰もわからない状態だ。

その話を聞いたレイディアは私にそのことを質問してきたので、私はレイディアの母親について、ある程度答えてあげると彼女は嬉しそうな顔でその母親と自分が似ていることについて喜んでいた。そしてその話をしていると、私はリディアが、どうしてあそこまで変わっているかと言う話を聞き忘れていたので私はリディアに、どうしてそんなに変わったのかと質問することにしたのだった。その私の問いかけにリディアは真剣な表情をして私にその話を語り始めたのだった。

その話の内容に私は、その内容にとても驚いたのだった。その内容はとてもじゃないけど信じられない内容だった。だってそれはこの世界では禁忌とされている内容が語られている内容でもあるからだ。

リディアの話の内容を一言で言うなら、神の存在とその神の正体。さらにこの世界の真実と神々の戦いの歴史という事だろうと思う。そしてリディアはその話の中で自分が記憶を失っていた理由を話してくれた。

「あの、実は私、昔の記憶が曖昧なんです。まるで誰かに消されたように綺麗に消えてしまったんですよね」

「えっ!? それじゃ、貴方はどうしてレイリア様を知っていたり、私がリディアさんのことを知っていることに対して驚かないの」

レイディアがそう尋ねると、彼女は、私に、そのことについては知っているとだけ告げたのだった。そして私は、リディアが一体誰なのかをレイディアに問いかけると、その答えはリディアが持っているレイティアの指輪を渡された。

リディアは自分の本当の名前が、リディアーナであることを告げると。そのリディアーナは昔。私とリディアの父親の間にできた子供だと言ったのだ。

「その証拠を見せますね」

そう言ってリディアが自分の指から外したレイティアの指輪を見せると、レイディアはリディアがリディアであることを理解したのである。

そしてレイディアが話してくれたのは。この国の事についてである。この国の王は代々リディアの母親の事を好いていたらしく。リディアが産まれてすぐに亡くなった時は相当にショックを受けたと。その時に、その当時のこの国の女王だった女性は王であるその男性と結婚していたのだが、その当時その男性はそのリディアの母親が亡くなる原因となった、レイディアの父親の部下が持ってきたという宝石の事を調べたいと王に申し出る。

その事に王はリディアの父親に許可を出したが、彼は宝石を持ってくることはなく、その部下も突然行方不明になってしまったのだという。

そしてその事にリディアの父親はとても心配していたのだが、それから一年後、リディアが産まれてからその事件が起こった場所の近くに住んでいた、レイディアの母親と知り合ったのだ。だがリディアの父親が、レイディアの母親に、この子の名前はリディアにしたいと話したら。リディアの母親とレイディアの母親に凄く反対されてしまったので、この子はリディアにしようと二人で決めたのだと言っていた。そしてその二人はレイディアの父親を説得したが、それでもレイディアの父親は納得してくれなかったのである。だがその話を、レイディアの父親の側近達が聞きつけて、この国の王は何を考えているのかと問い詰めてくる。だがレイディアの父親はそれに対して何も言うことができなかったのだ。

「そしてリディアさんは私達の家族になったの。でもその話は誰にも知られないようにしなさいってお母さんに言われていたのだけど。どうせもうすぐみんなにもばれちゃうかもしれないから教えてあげたの。それにリディアのお母さんとこの国との関係についても説明しておいた方がいいでしょ?」

「そうね。私もこの話を聞いてリディアが何故あのように変わったのか理解できました」

レイディアのその話を聞いて私はリディアがこの国に居るとレイディアにバレたら殺されてしまうと、レイディアの父親がこの城に戻ってくる前にリディアを連れてこの国を離れようと考えた。しかしリディアにこの城から出ていく準備をする時間をレイディアに貰えることになったので。私も少しだけ、この国でやりたいことを終わらせることにしたのである。そしてそのやりたいことをするためにまずはこの城にいる人たちと仲良くなったり情報を集めることにしたのだった。

私はまずこの城の人と親しくなるところから始めることにする。この城で一番最初に話しかけやすい相手である。メイドのエリーに声をかけてみた。しかしエリーは警戒していてなかなか打ち解けることができないが、何度か会話をしているうちに、少しだけ話すことができるようになったのである。その次に私はエリーと一緒に仕事場を見に行く。すると、そこで私達が掃除した場所は驚くほど汚れが落ちていて私達が使った道具には私達が知らない魔法が施されており。それがどのような効果があるかと聞くと。

「えっと、この部屋にある本を読みながら仕事をすれば、すぐに知識を吸収できるっていう便利な能力があります」

その言葉を聞いた私はこの城はなんて優秀な人材をたくさん抱え込んでいるのだと、関心してしまったのであった。ただ、そんな優秀な人物に会えたのだが私はまだリディアと、この城の人達との距離を縮める事ができていなかった。そんな事を悩んでいると。

リディアが私の部屋に訪れて来たので。私が何かあったの? と尋ねると。彼女は、私がこれからこの国の外に出るという事を教えてくれた。私は彼女の言葉をすぐに信じることはできなかったのである。彼女は自分の正体を隠すために私を騙しにきたのではないかと。私は彼女に向かって質問をした。その質問に対して、彼女は真剣に答えてくれた。私はそのリディアの態度から彼女の言葉を信じることにすると。リディアにお願いをしてこの城から逃げ出すための手助けをして欲しいと彼女に頼んだのだった。すると彼女はその頼みを受けてくれることになったのである。だがそんなリディアは、私がこの城を抜け出した後、レイディアとこの国を出ることを勧めてくれた。その事について私が了承した事を、私が城を抜け出してからレイディアに伝えた所、レイディアに私に一緒に付いて行くと言って聞かないがレイディアの母親の言葉を思いだすと私は断る事ができず、渋々同行することをレイディアに伝えておくとレイディアは嬉しそうに笑っていたのだ。その顔を見た私はやっぱり可愛い女の子なんだと思ったと同時に私の心の中にモヤがかかる。その理由が私にもよくわからなかったので私は考え込む。そしてしばらくして私は一つの可能性について考えることになる。それはもしかすると私の予想していることが当たっているとしたら。もしかしてレイディアは自分の事を好きになっていて、だからこそ彼女の母親が言った通り、私の後を追うことになるのではないかという結論に至るのである。だからリディアに聞いた時にもしかして私と一緒にいたいのですか? と私はレイディアに聞いてみると。レイディアは頬っぺたに紅葉を作ってしまったのだった。その光景を見て私は彼女の可愛さに思わず抱きしめてしまった。その事に彼女は恥ずかしそうにして逃げ出そうとするがそんな彼女を私は逃がすまいとしっかりと抱きしめると、彼女は観念するようにして私を離してくれる。そしてレイディアは私に、リディアが、この国から出ると知って追いかけてきた事を告げると。その事に私が驚いた反応を示すと彼女は、どうして驚いたのか尋ねてきた。そして私はその事を伝えると彼女は悲しげな表情をして私に告げたのだった。その事に私は何も言い返すことができなくなってしまった。なぜなら、私は彼女とリディアが姉妹であるとは思っていなかったからだ。そしてレイディアの母親はどうしてこんな嘘をついたのかと私は不思議に思うのだった。

(なんであんなにも可愛いリディアさんを、あの女は嫌いだったのかな)

そう私はレイディアと話をした時にリディアの母親の話を思い出して考えた。

私はリディアとこの世界に来て初めて会う事になる。私はレイディアの母親のリディアがどうしてそんな風に変わっていったのか、その原因を知ることができたので、私はそのことを嬉しく思いながらもレイディアにそのことを伝えてみると、彼女は複雑そうな顔をしていたのだった。その顔があまりにも可愛かったので、私達は二人で楽しく笑い合ったのである。私はレイディアと話を終えてリディアに、彼女がレイディアに嫌われたと嘆いていることを伝えようとした時に、彼女は私の前に現れて私に告げたのだった。その事についてリディアは本当に気にしていなかった。それはそれでちょっと寂しいと思うリディアなのである。

レイディアとリディアのお母さんに何があったのだろうかと考えるが私達二人共が知る由もない。ただリディアは母親に、レイディアの事で何かしら言われていたことだけはわかっていたが。その真相をレイディアに確かめようにも、彼女は私と口を利こうとしないのでその事に私が気落ちしている事に、私よりもリディアが先に気がついてしまう。リディアは私に元気を出してと励ましてくれて私を慰めてくれるのである。私はその言葉がとても嬉しかった。そしてリディアにありがとうとお礼を言うと私は、リディアの手を取ってリディアの手を握りしめたままリディアと散歩をする。

それから私は城を出て行く準備を始めるのだった。その日私はレイディアとこの城を脱出するための計画を立てるのだった。そして翌日、この国を抜け出す時が来たのだ。私とリディアは手を繋ぐとその瞬間。リディアの姿が変わったのでその事に私は驚き、そしてその事に私はレイディアに尋ねると、リディアは姿を変えているのだと答えるのであった。私はレイディアがなぜそのような姿になっているのかを尋ねると。

「だって、リディアは人間じゃないから、人前ではリディアとして行動できないの」

「へぇー、そうなのか。だったら俺の前だけでその姿を元に戻せばいいんじゃないか?」

「それは無理だよ。これは特別な力を使わないと解くことができないの」

そう言ってリディアはその姿を見せるがその姿を見た私はすぐに視線をそらしてしまったのである。何故ならばリディアは猫の耳と尻尾を付けていたのである。だが私はそれを可愛いと思ってしまい凝視してしまう。

そしてレイディアと共に城を後にするのだった。私はレイディアと共に城から抜け出すことに成功をするのだが。城から出て行った先、そこで待ち構えていた者達がいたのだ。

俺は城の外を見渡してみるとそこにはこの城に仕えているメイド達が大勢居たのである。そしてその先頭にはレイディアの母親もいて彼女は俺に向かって告げたのだ。あなたに逃げ場はないのだ。おとなしく我々に従えと。だがそんな言葉に従うつもりがないとレイディアが言うと。レイディアの母親が私の娘は騙されて連れて行かれたのだと騒ぎ出したのである。だがレイディアはリディアが自分から私達の所に来たことを話すと、リディアの母親に怒鳴られ。レイディアは目に涙を浮かべるのである。その事にレイディアは悔しそうにしていると。そこにこの国で騎士団を束ねる立場の人間が姿を現すと。

レイディアの母親はその人にリディアを取り戻す手伝いをしてくれと頼み込むが、この人はその言葉に対して。私の部下の者を殺した奴にこの国で生きていけるとは到底考えられない。だからこの国で生きていくためにもこの私に逆らう事は許さないと言うと。その事に納得の行かなかったレイディアの母親が反論すると。この国は私が法であり。その決定を覆すことなど絶対に許されないと言い放ち。

その言葉をレイディアの母親が聞くと彼女は膝をつくのである。それを確認したこの城の者は城に戻りこの国に戻ってきた目的を果たすための行動を開始する。その目的はこの国に蔓延っている闇を取り払う為。そしてそれがこの国の王によって行われている事を知り。レイディアの父親はこの国の現状を変えようとしていたのだった。しかしその事にこの国の王が気づいた時にはすでに遅くこの国の殆どが王の配下である貴族たちの物となっており。国王である彼の父は何もすることができなかったのである。その事がこの国にとって最悪の結果を生み出してしまい。この国に住む民がどんどんと死に絶えてしまったのである。その事を知っているこの城の者たちはこの国に残された最後の王族でもあるレイディアの母が殺される前にこの国を出ることを提案する。

その提案に対してレイディアの母親はそれを受け入れることにしたのだった。しかしレイディアは最後まで抵抗したのであった。それは、この国を出るという選択肢を取ればもうこの国に戻ることはできないからであった。レイディアの気持ちを理解した俺はこの国がこれからどのような道を進むことになるか見定める為にレイディアの傍にいると決める。するとそんなリディアの様子を見てこの城の人間は、そんな事をすれば命の危険に晒されることになるかもしれないと告げると。

「確かにそうかもな、ただこのままじゃこの国は滅んでしまう可能性がある」

「どういう意味だ?」

「今この国に残っているのは僅かな人数しかいないって事だ。その事を踏まえて考えてみればすぐに理解できるはずだ。それともう一つこの城に居る人間たちには気をつけた方がいいぞ。さっきも言ったけど、あんた達はどうやら勘違いをしているようだから。まぁそんなわけだから。リディアさんよ、あんたはこの国の未来を変える事ができる人物みたいだしな。せいぜい気をつけておくんだな」そう言ってリディアに忠告をしてから部屋を後にしたのだった。その男を見送った私は改めて自分の身の周りの状況を確認してみることにする。私は自分が連れてこられた部屋に戻ろうとすると。

私の後をついてきた一人の少女から話しかけられる。

私に一体何の用ですかと私は尋ねた。

すると彼女は。私の質問に対して。私のことを試しているのではないかと私に伝えてきたのである。私はどうしてそんな事を言われるのかが分からなかった。

だから私はどうして私がそんな風に思わなければならないの? と問いかけると。その答えを聞いた私は驚いた。彼女はリディアと一緒の部屋で寝泊まりしていた。リディアはいつも私に迷惑をかけていた。リディアはいつも私にわがままばかりを言っていた。私はそんな彼女を許すことができなかった。私はリディアと距離を取る事に決めたのだった。リディアと距離をとることにした私は彼女の世話をする人間を連れてきてもらい、その人達に任せて、私自身はこの城を離れる事にした。だけどその判断をした事に間違いは無かったと思う。なぜならその日の夜にリディアが殺されかけたからだった。

私は急いで駆け出しリディアの元に駆けつけて助けようとした。しかし間に合わずにリディアは傷つけられ意識を失ってしまったのである。私は慌てて彼女に回復魔法をかけると。リディアはゆっくりと目を開けて私に謝ってきたのである。リディアはリディアの母親のせいでこうなったのだという事を話し、自分はこの城から出て行きたいと言うと。リディアは突然涙を流し始めて、私は泣き止むまで優しく抱きしめるのであった。それからしばらくして泣き終わったと思ったら今度はお腹の音が鳴るとリディアは恥ずかしそうに顔を赤面させるのである。その様子に私がクスリと笑うと彼女はさらに恥ずかしそうにしてその場を立ち去ろうとしていたが。

私の言葉を聞くとその場で足を止めるのだった。それはどうしてか? 私はこの国から出ようと思っていると告げた。そうしないとあなたがこの国を抜けることができないと判断したからである。だがその話を聞いたリディアがこの国に残ることを決めたのだった。そしてリディアは私がどうしてそんな風に思ったのかと尋ねてくる。そして私がどうしてこの国に残ろうと考えたのかを説明すると。

私は、彼女が私達について来ると言った時の反応を見るために。私はリディアにこの国を一緒に出ないのかと誘いをかけようとした。だがその事に彼女は気がついたらしく。私に向かってこんな話を切り出したのだ。もしここから逃げることができたとしても、私はまた同じ事を繰り返してしまわないかという心配があったのだそうだ。その事は正直言って考えていなかったわけではないのである。この国に残っていた方が安全だと思われる可能性だって十分にあり得るからだ。その事を考えた上で私はあえてこのような言い方をする。

するとリディアはその言葉の意味を理解することができずに。どうして私達について行くと危険にさらされる事になるのかを教えてほしいと彼女は真剣な表情で尋ねて来たのである。私はどうやら私はとんでもない相手を誘ってしまったようであると思い。仕方なく説明を行うと。それを聞いたリディアは自分の意思が変わることはなかったのである。

その後の食事は二人だけで食べることになりました。そして私はその食事の際にある話をしますが。それは嘘ではなく本当だということを説明したのです。

レイディアはその言葉を疑うが実際にその光景を目の当たりにしてしまうと信じるしかないと考え。俺と一緒に旅をしてくれることになったのだった。

そして翌朝になると俺はこの国の王の元へと向かい。俺の要求をこの王に突きつけるのであった。

リディアさんとの会話を終えてから俺の身体を乗っ取っているこの男はリディアさんの父親と話し合いを始めるのである。その結果。レイディアの母親であるあの女性は、リディアと俺の監視役に任命されたようで、レイディアは、俺と一緒に行動し。俺の行動を見張りながらこの国に起こっている出来事を調査する事が決まった。リディアはその事に賛成してくれたので俺は安心することができたのである。

レイディアと俺はリディアの母親が待つ部屋の前に向かうとその扉をリディアがノックすると中に入るように促される。そして部屋に入るとそこにはレイディアの母親が椅子に座って待っていた。そして俺はリディアを自分の傍に置くことにするとレイディアは不満げな表情をする。

そしてレイディアの母親は、この国の闇を知っているかと俺に対して尋ねてきた。

俺は、その言葉を聞いて少し考えた。何故ならば、俺の考えが正しいのであれば、この女はレイディアのお母さんであるのに俺のことを警戒している節が見られるのだ。

(やはりそうなのか。恐らくレイディアは、俺に対してこの世界の真実を告げることができないと考えているに違いない)

俺はレイディアの母親にその言葉に対しての返事を伝える前にレイディアに向かってお前もここに居ろと告げる。するとレイディアは、私が居ても邪魔になるだけなので。別の場所に行くと俺に伝えた。俺がその事を止めようとするが。それを阻止するかのように。母親が口を開いく。

レイディアは、私が居たら、私の存在が、貴様の信用を得る妨げとなると言い。その言葉に俺は黙り込んでしまう。だがそれでもこのままでは駄目だと考え、どうにか説得して、レイディアにもこの場に留まってもらえるよう説得をすると。ようやくレイディアは了承する。

俺はその事にホッとして、レイディアにここで待っているように指示を出してからリディアさんの母親と対面すると。その事に気がついていたのかリディアの母親はリディアにこの場に待機していてほしいと伝えると。

その後レイディアは部屋を出て行ってしまう。レイディアの姿が見えなくなるのを確認すると。レイディアの母親が話し始めようとすると、その途中でこの部屋に近づく存在を感じる。すると、リディアの母親が、その人物の存在に対して敵意を向けると、この城の執事長を務める人物がこの城を訪れたのだった。

その男性はリディアの母親の前まで歩くと膝を突き頭を下げると。この城に侵入者が現れまして。現在行方を追っている状況だという事を伝えたのである。

それを聞いたリディアの母は何か心当たりがあるかと尋ねるが、リディアの母親もその人物の事がわからないようだった。だがリディアの父親はリディアの父親が、リディアの母親を救い出す為に行動を開始したという情報を手に入れてこの城に侵入した可能性が高い事を説明すると。

その言葉を耳にしたレイディアのお母さんは、この城が襲撃されている事に驚きを隠せない。そんな時レイディアがこの部屋に駆け込んできた。するとレイディアの母親はこの城の現状を知りリディアに対して外に出ても良いと言い。この部屋を後にすると。レイディアの方は、リディアの母親を追おうとするのだが。リディアの母親の執事によってそれは阻止されてしまう。レイディアは必死になってリディアの事を追いかけようとした結果。階段で転んでしまいそのまま意識を失ってしまう。

俺はリディアの母にリディアを安全な場所に移動させる事を頼み。リディアの母親の案内のもとこの城を後にする。その途中リディアの母に、もしもの時にと連絡手段を渡してリディアの母親の背中を見送った。そうしてから城に戻ると、この城に異変が起こっていることを察知した俺は急いでこの城の内部へと向かうと、どうやらすでに城の中には敵が入り込んでいたらしい。しかし俺も負けじと城内へと突入していく。そして何とか城の中を制圧し終えたところでこの城の主と思わしき人物がこの部屋に現れた。そしてその人物は。レイディアのお母さんを連れて行った人物である。その事に気がついた俺はこの人物に向かって攻撃を仕掛けるが攻撃が全く通じないどころか反撃を受けて。俺に致命傷を与えることができたのであった。

その事実に驚いたレイディアのお父さんは慌てて逃げ出すことになる。だがその時にレイディアのお母さんに危害を加えてしまいそうになるが寸前の所で回避したようだ。それから俺は傷の治療を終えると、自分の身に一体何が起こったのかを知るために俺は再び眠りについた。そうして目を覚ますと。どうやら俺の予想通り、俺とこの体は分離することに成功したのである。そしてこの体が受けた傷は回復魔法で治しておくことにするのだった。

俺達が城の中に戻ってくると。そこにはリディアとリディアの両親の姿を見つける。そしてリディアの父親からは城の外の状況がどういう事になっているのかをリディアから説明を受けたリディアの両親が驚愕の表情をすると。リディアは二人には城に残る様に言い。自分はこれから自分が生まれ育った国を復興するために旅立つ事を告げる。するとリディアの母親はその事に反対するのだったが。

リディアの意思は変わらないようだったので。最後にはリディアの好きにするが良いと言ってリディアの意見に従うことに決めたようであった。

リディアは俺の事を自分の家族だと紹介をすると。この国の人達はそんな事は信じないと俺に向かって告げるのだった。だがそこでレイディアのお母さんは、この世界に来てしまった時からずっとレイディアと一緒に過ごしていたその人がリディアの仲間であるなら信じると口を開き俺のことを認めてくれるのだった。

そしてレイディアのお母さんと別れた俺達は一度この場所に集合することにした。そして今後の事を話し合う事になった。俺が考えていた案は、リディアの家族と合流するためにも。レイディアが言っていたようにまずはこの国を復興させるために手伝うべきではないかと提案をする。するとそれに賛同する者が現れた。そうリディアである。その事に俺は少し嬉しく思う。それからすぐにリディアはレイディアの居場所を探すために行動を始める。俺も当然その行動に付いて行く事に決めた。リディアの母親が俺達の事を心配して一緒に行こうと提案してくるが。リディアはそれを断りこの城でこの国を守るように頼むのだった。俺は、リディアのお願いを聞き入れリディアと一緒に行動する事に決める。

リディアは、レイディアの実家の場所を知っていてその場所に向かうのであった。俺はリディアが向かった場所について行くことにした。するとそこにはこの国の騎士団に所属する人間がいるようでありその者達にリディアは、俺達と行動を共にする事を話すと。この国は、レイディアのお姉さんに任せてほしいと伝える。リディアはそんな事は気にせず。この国の事は任せると告げると。この国を守るために戦うと伝える。

そうするとこの国の王様は。それを止めるがリディアはその事を無視して戦いに赴く事を決意するのである。そしてリディアがこの国の外へと向かって走り出したので俺はそれを追い始めるのだった。そしてある程度まで進んだ時である。突如リディアの目の前に大きな扉が出現する。その扉はリディアの力をもってしてもびくともしないようで。そこで俺はリディアをその場に待たせて。その扉を開けることに専念するのであった。

リディアは、自分よりも圧倒的に強いレイディアに勝てるはずもなく。あっさりと敗北すると、気絶をしてしまう。そしてその扉が開き俺が姿を現すと。俺は、俺がこの世界にやってきた時に最初に会った人物の気配を察知したのだ。その男は、この国にいるはずのなかった存在なのだ。それなのにこの国にいることはおかしい事である。俺に襲いかかってくる男は、この国の人間ではなく別の世界の人間である。その事に俺は気がつき。

その男が、自分の力を俺に見せつけて。俺の心をへし折ろうとしていたその時に、俺は男の体の中からその男の意識を奪い取ることに成功すると。俺は、俺自身の中にその男の存在を受け入れてしまう。するとその男が持っていた剣と俺の持つ刀が激しく光り輝くと、その光に反応するようにして、リディアのお母さんはリディアの元へ駆けつけてくれたのである。

リディアは、リディアのお父さんの一撃を受けるとその威力に吹き飛ばされてしまい地面に叩きつけられると気を失う。俺は、俺の中で俺を見下すその力の持ち主がリディアにとどめを刺そうとする前にその動きを止めようとするのだが、その行動を妨害する存在が現れ、リディアのお父さんが吹き飛んでしまうのであった。そして現れた存在を見たリディアが驚愕した顔になるのである。そうしてリディアの前に現れたのはレイディアの姿だったのだ。そうレイディアのお母さんが助けに来てくれたのだ。

俺は、レイディアの母親と共闘をすることを決意する。レイディアの母親と協力して、俺は俺をこの世界に呼び寄せて俺の心を破壊したその人物と戦う事を決意したのだ。レイディアは、その事に気がつくと、俺にこの場で待っているように命じると、俺は素直に言う事を聞くことにするのだった。レイディアは、この場に現れた謎の男性と対峙すると、この場から離れるように告げる。

その言葉に従いレイディアに背を向ける。

俺は、この世界の平和を取り戻さなければいけない。俺は、その決意を新たにしてリディアを救い出そうと必死になっていたその時に俺は何者かに攻撃をされ意識を失ってしまうことになるのであった。

俺は意識を失いながら。あの不思議な夢を見る。

そこは、どこかわからないような場所に存在していた。そこには何かしらの建物が存在していた。

だがその建物はかなり老朽化しているようで今にも崩れそうな印象を与えてくる。そして、この建物の周囲には、俺が先ほどまでいたと思われる場所とは違い草が生えているようだった。俺はその風景を見ながら、なぜか懐かしい感じを覚える。俺がどうしてそのような気持ちになっているのかはよくわからない。だが俺はその光景に見覚えがない。だから俺にはこの風景に馴染みを感じる理由がわかっていなかった。だがその時だ。

この建物が突如揺れ始めたかと思うと、俺のいる場所にまでその影響が現れる。

俺はこの影響に驚いてしまい慌ててここから逃げようとするが。どうやら俺はその建物を倒壊させまいとする意思に支配されていたようであった。その事に俺は戸惑いを覚えていた。そして気がついたら俺の体に異変が起きていることに気づく。

この異変の原因を探るため、自分の体を隅々まで調べてみると。その違和感に気づいたのであった。その異変というのは肉体の変化である 俺が、今までは俺として生きてきて、俺の記憶と感情がこの体の中に存在したのだが。どうやら俺はこの世界でこの体の持ち主となったらしい。俺の中にはこの世界の俺という人格が存在しているのがわかるが。もう一人の方は、この体が本来持っている記憶と知識だけを持っているみたいで完全に別人格となっている事がわかる。

ただ一つわかったことは。俺はリディアという少女の中に入ってしまったという事だ。リディアという少女には悪いと思ったのだが、彼女の体に入り込んでしまって迷惑をかけることになるのだけは嫌だったので、俺は急いでここから離れようとしたのだった。しかし俺の意思とは裏腹に、俺はリディアの両親の元へ向かうことになった。それは何故か?理由は単純である。俺の体に入った人物が俺にリディアを守れと言い残しその場から消え去ったからだ。

(なんで俺にリディアを任せるんだよ!意味がわかんねえよ。そもそも何だよ俺の中に俺とは別の人間が居座っている感覚があるんだけど何なのこれ?)

それからしばらくの間俺は俺の事をリディアと呼んでいた。

そしてその事について考える事を放棄したので俺はリディアの父親のところに向うことにしたのである。

そしてリディアの父親の元にたどりつくと、彼は、俺を見て驚き、俺に襲いかかろうとするので、俺は、この体はリディアという女の子のものだと伝えると。俺はリディアの父親に事情を説明してこの国の復興に協力する事を伝え。リディアの父親と協力することに決めた。それから俺は俺の中に入ってきている人物に命令されるがままに、その指示に従う事にした。そしてこの世界のレイディアに会いに行く事にしたのである。

レイディアの母親と別れてからリディア達は。城に戻り、今後の事を話し合う。

そこでリディアは俺に自分の両親を助け出してほしいと言う。それに対してレイディアの母親は。そんな事をしても意味が無いと言うと、この国の事を頼んだからと言って。城の外に出るのだった。

レイディアが城の外に出た後。レイディアの両親は城の人間を集め会議を始めると。そこに国王の姿はなく。その代わりにリディアの父が代わりに指揮を取り始めていたのだった。

リディアはそんな状況に対して不満を抱くが。自分が言い出したことである。リディアは自分の家族を必ず助け出す為にリディアは自分に言い聞かせる。そしてレイディアと合流をすると。二人でこの国を脱出する事に決めたのである。その事に不安を感じたリディアの父親は自分が一緒に行こうとしたがリディアはそれを拒否する。レイディアのお母さんも、自分の国に戻って欲しいと告げるが、レイディアはリディアがそうしたいなら良いと言うのだった。

そして二人は旅を始める。レイディアはこの国がなぜ滅ぶ事になったのかを知っているようでリディアに教えてくれるのだった。リディアがその事を聞くとレイディアはその事を教える事にしたようだ。その説明を受けて、リディアが納得すると、レイディアとリディアはこれから向かう目的地のことについて話し合うと。

「お姉ちゃんがいるとしたら多分だけど。私達の故郷にある森が近くにあるはずなんだよね。その場所で、私達は暮らしていたから」

リディアはその話を聞き少しだけ心が躍ったのがわかった。レイディアが住んでいる森はそこまで大きくは無いが、レイディアの家族が暮らしている集落はそこそこ大きなものになっていて。そこで暮らす人々はそれなりに豊かな暮らしを送っていたという。しかしリディア達の住む街は、この国の首都でもあるため、栄えていて。その事は少し誇らしく思う。だがそのせいで他国から狙われやすいのだとレイディアはいう。

この国の民はその土地に根付くことを望んでいる。その事が原因で戦争が起きることも珍しくはないそうだ。その事でリディアがレイディアに意見すると。レイディアはそれに同意するが。リディアは疑問を感じていた。その答えが知りたくてレイディアの話を聞こうとするのだが。その時にレイディアの表情が急に険しくなると、レイディアは、突然後ろを振り返ると、誰かに攻撃されている事を知らせる。

リディアもその事に気付きすぐに戦闘態勢に入ると。敵の姿を確認するために警戒を行うのだった。

そして二人の前に一人の人物が現れ。リディア達の前に現れた人物こそがレイディアの母親であり。その事を確認したレイディアは。母親に向かって攻撃を行おうとうすると。レイディアの母は、レイディアの攻撃を避けると、レイディアのことを抱きしめるのである。その行動を見たレイディアは戸惑いの声を上げながら母を引き離そうとする。その事にリディアは、どうしてレイディアの母親を攻撃できるんだと尋ねると、レイディアは母親が人間ではないのだと答えた。その話を聞いたリディアは。自分の母親と同じ存在なのではないだろうかと予想するとそれを確かめようと行動する。リディアは、自分の体から剣を取り出してそれを構えると。

その剣でレイディアの母を攻撃しようとした時。その行動をレイディアが制止させたのである。リディアは、何故止めるのかと問い詰めると。その理由を話す前に。レイディアはある提案をして来たのである。それは、レイディアの母の本当の名前を聞けば。何か手がかりがつかめるのではないかと考えたからだ。そしてその名前を知るためには、お互いの力を合わせなければいけないのだという。その事を聞いた俺はどうしてそんなことをする必要があるのかわからなかったが、とりあえず俺は。その事を実行することにするのだった。

まず俺とレイディアの母親で話し合いをする事になったのだ。

その結果。どうやら俺の中に入ってきた人物はレイディアと、この世界で知り合いであったようだ。そしてレイディアの母親もまたその人物に救われたという。その人物の名前を聞いて、俺にこの世界に呼び寄せられて。俺をこんな目に合わせた人物の名前が判明した。

だが名前だけではこの世界に来ていることまでわからない為俺はどうしたらいいのか相談することにした。するとその事を考えてある方法を考えてくれたのだ。それはレイディアにこの世界に飛ばされる前の日に俺が行った行為を再現して欲しいと言われてしまったのだ。

どういう意味なのかわからないのだが。レイディアが言うにはそうすることで俺は元の世界に戻る事が出来るのではないかと考えたのであった。俺はその言葉の意味がよくわからなかったのだが。それでも一応試してみる事にする。俺は自分の中のリディアという少女を、元の世界に送り返そうと、俺の中で眠ってもらうように頼む。

その事を行った瞬間だ。俺は不思議な力を感じて、俺が今まで居た場所とは別の場所に移動した事がわかっていた。

(まさか本当に成功したのか?)

俺はそんなことを考えていたら目の前に見たことがある景色が広がっているのが見える。俺は慌ててその場所がどこかを確かめる。その風景は先ほどまで俺が生活をしていた場所で。そこは間違いなく日本であった。

俺は急いでその場所に行こうとするが。俺の体の中からリディアが出て行くことは無かったのである。

それからしばらく時間が過ぎて、俺はなんとか家に帰る事ができた。だが、俺はその時の事を忘れないように、俺の中に眠っているもう一人の俺の記憶を全て消してしまうのである。その方が俺のためになると理解できたからである。その後俺は元の場所に戻ってきた事を喜んでいたのであった。

だがその時だ。なぜかこの世界のリディアの父親である人物が俺の前に姿を現すと。俺はなぜか自分の事をこの世界に連れてきた人物である事を言い当てられてしまう。俺は、どうして俺の正体がわかったのか聞くと。彼は、自分の能力で俺が俺の体に入ったリディアだと言う事がわかり。さらに自分の娘を助ける手伝いをしてもらえないかと尋ねてくる。もちろんリディアは、この男の言葉に対して反対をしていたのだが、俺はリディアとこの男の願いを受け入れてしまう。リディアは嫌がっていたが最終的には俺の意見を尊重してくれ、俺達が協力する事を認めてくれたのである。そして俺達は協力して。この世界を侵略してきた者に対抗する手段を見つけようとする。

それからしばらくして俺とレイディアの二人の間に新しい命が誕生すると。その子が成長するまでの間俺とレイディアはこの国の事をお願いしたいと言い。その言葉を受け取ってくれるかリディアに訪ねると。

「あなたはもう既に私たちの仲間なのよ。そんな事を頼まれなくてもやるに決まっているじゃない。それよりも、私の大切な仲間であるあの子を傷つけた事をしっかりと償ってもらわないといけないしね。まあそんな事は無理だとわかっているんだけど。だからこそ、私は私の力であの人を止める必要があるんだよね」

その言葉で俺は彼女が本気で言っているんだと理解した。彼女はこの世界で生きる覚悟ができているのだと感じたのである。俺は、彼女の覚悟を無駄にしないためにも。リディアの事をしっかり守ろうと思うのだった。

俺が、自分の中に存在しているもう一人の俺の記憶について調べるために俺の住んでいた町に戻ってくる。

そこで俺は自分の中にある記憶を頼りにこの世界にやって来たであろう人物を探し出そうと考えた。

(確かこの辺りに。俺が住んでいた町があるはずだが)

俺はこの異世界に転移する直前この世界の事についてレイディアの母親に聞いていたのだ。

この町はこの世界にある大国の一つの町である。そしてその町にある大きな森の近くにある小さな村の出身のはずなのだが。俺はどうしてもこの世界の俺がこの森に住んでいたという事に違和感を覚えてしまい、森の方に向かう事にしたのである。その事を伝えた際にレイディアの母親に。この国にある一番強いとされている戦士が、リディアの母親でレイディアとは仲が良いらしいと聞き。リディアと一緒に森へ向かう。その途中でリディアは自分の事を勇者の娘ではなく、本当は王女様なんだと話し始めたのだった。

リディアは自分の正体を明かしたくないのだと、だがこの国の王様にだけは伝えてあるのだという。なぜ隠しているのかと言うと、その事実を知った人間が何をするかわかったものじゃ無いのだと。そのためレイディアは自分の父親以外、自分の家族以外は誰も信用していなかったのだが。リディアだけは特別だった。そしてレイディアの父親は、そんな自分の娘に気づきながらもあえてその事については何も言わなかったのだと言う。

俺は、その話を聞きレイディアの父親は優しい人間なんだなと思った。だがリディアも自分の事を隠し通すために、自分の母親からもらった。剣と服は大事にしているのだった。リディアの母親と父親は、その剣と服を着ればどこにいてもわかると言っており。もしも、何かあった場合その格好をしているリディアを見つける事ができ、それで探して欲しいと言われたので、俺がリディアの母親の話をしてくれた事で少しは気が楽になっていた。

ただ森に入る直前にレイディアが少し考え込んでいて。何やらもぞもそ動いている。一体どうしたのかとレイディアに尋ねるとレイディアは森に足を踏み入れるのが怖いようだったのだが。森の奥には自分が知っている人の気配を感じるらしく、その場所に行ってみたいと言っていたのである。俺は少しだけ森の探索をレイディアに任せてみることに決めてレイディアをその場所まで行かせることにした。

「ねえちょっといいかしら」

「どうかしたのか?」

「うん私に剣を貸してくれない?その剣さえあれば私は、もっと強くなれるんだよね」

レイディアは何かを考えていたような表情をしていたが剣が欲しいと言ってきたのであった。そこでレイディアが、リディアの使っていた武器に興味を示したようでそれなら使ってみると良いんじゃないかと思って、剣を手渡す。レイディアはそれを手に持つと何かを考え始めると、自分の力で、リディアが使っていたのと同じように使えるようにしようとし始めた。

俺はそんなレイディアの姿を見ると、レイディアがこれからどうなっていくのだろうと考えていたら、リディアはそんな事お構いなしにレイディアに何か話しかけているのであった。

(そういえばリディアって。結構レイディアに対して辛辣な所もあるんだよな。それにしても、レイディアの母親の話を聞いてから。リディアの様子が変になったよな。リディアに何かあったんだろうか?)

そう考えるとリディアが俺のことを睨みつけて、何か文句を言ってくる。

俺が何をしたんだと考えているとリディアがレイディアに向かって、剣を使いこなせるように頑張れと言い出すと、レイディアは笑顔で答えるとそのまま森の中に入っていく。その様子を見て俺は、レイディアの事が心配だったのでレイディアの後を追う。その途中、リディアにどうして付いて来るのか聞かれたが、俺はリディアに危ない目に遭って欲しくないというと、それを聞いたリディアが不機嫌そうな顔になり。

「ふんっ、あんたなんかに助けられる程。弱くは無いわよ」

そんな事を言うと、俺を追い返そうとし始めるが俺は、レイディアのことを助けたいんだと話すと。それを聞いたリディアが呆れた表情をしながらレイディアに何かを伝えようとしていたが、俺に聞こえることはなかった。

(リディアと、レイディアの関係はどうなってるんだ?)

俺はその疑問を抱きながら二人の様子を見守る。そして二人はどんどん進んでいきレイディアが、この奥に誰かいると言ったのだ。俺もその人物を見ておきたかったので一緒に向かう事にする。そしてその場所に行くと見覚えのある姿の人物を見つけたのである。その人物はどうやら寝込んでいるようだがどう見ても俺と同じぐらいの歳の青年にしか見えない人物だった。

俺達の存在に気づいたのか起き上がると驚いた様子でこちらを見つめていた。

俺はその人物が誰なのかわかっていたのだが。一応その人物に声をかけてみることにしたのである。するとその人物はその人物の名前は、アムルだと名乗った。

それからしばらくアミルと会話をするのだが。リディアがいきなり自分の名前を言ってから。なぜかそのアミルという男性と知り合いだったのかと思い出し笑いをし始め。さらになぜか自分の本当の名前はリディアであり、この体は仮の体で本来は別の人格が存在していると言い出したのである。俺は最初はその事を冗談だと思い笑って聞いていた。

しかし、俺の目の前に現れているリディアがあまりにも普通過ぎる事に違和感を覚える。リディアは確かに普通の人と比べると綺麗ではあるがそこまで美人と呼べるほどの外見でもないはずだった。ただなぜかこの世界の俺の事をリディアの父親が一目で俺だと断言できた事を思い出すと、リディアの中に存在するもうひとりの人格はリディアの父親に関係がありそうだと気づく。だが俺はそんな事を思いながらも、この場ではあえて触れないようにしておいた。そして俺がリディアの事を聞くと、なぜか恥ずかしそうに俺の質問を誤魔化そうとする。だがそんな態度に俺の事を馬鹿にされていると感じてしまったのか。リディアと、俺の中のもうひとりのリディアが喧嘩を始めてしまう。

リディアともうひとりのリディアの様子に戸惑っていると、どうやら俺の中でリディアに意識を向けるのを止められたようで俺の精神が俺の中に戻ってきていたのである。俺は目の前にいたリディアに今の状況がわからないことを告げるとその説明をしてくれた。

まず俺の前にいたのは俺自身の肉体だと言うことを説明される。その話を聞いて俺は驚くが俺が思っていた通り俺達は同一人物だという事がわかってしまったのである。その証拠に俺はその俺の身体の本来の名前を思い出してその名をリディアに告げる。リディアはそれを聞いた途端。嬉しそうにして抱きついてくるので俺が慌てるのだが、俺はそこでふともう一人の自分の名前も思い出したのだった。

(あれ、でもなんで。もう一人の俺はリディアと一緒にこの世界にやってこれたんだろう。まあとりあえずそれは置いておいて。今は、リディアと一緒に行動した方がいいかもしれないな)

そんなことを考えているとリディアが突然真剣な顔をしてこの森に近づいている人達が居るから急いでここから立ち去った方が良いと言い出して俺も同意する。その途中でもう一人の俺の記憶が正しかったのか。リディアの言っていた場所に辿り着くとそこに一人の男性が立っていて。リディアはその人物に声を掛けたのだった。

「あなたはこの森に住んでいた人間ですね。私はリディアと申します。あなたに少しお聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」

リディアは自分を助けてくれた。もう一人について何か知らないかと尋ねようとした時。その男は剣を構えて俺達に襲い掛かってくる。その剣がリディアに届く前にリディアは男の一撃を受け止める。俺は、この男がレイディアを襲った奴の仲間だと考えリディアに危険が及ぶ前に、リディアに攻撃をやめるように言うがリディアがそれを無視して、男を弾き飛ばす。リディアの実力を目の当たりにした俺は驚きながらも、俺は、この男は仲間じゃないと言うと、その言葉を聞いたリディアは自分の間違いに気づき、謝罪の言葉を口にしていたのだった。そしてリディアは自分の事をレイディアと名乗って自己紹介をしてから、この森の奥に住むこの国の王に会いに来たのだと告げるとリディアと、もう一人のリディアが俺のことを見てきたのだが、もう一人のリディアには何も言わなかった。

だがその時リリアはリディアに対して少し怯えたような目をしていたが。その理由は、リディアの剣捌きを見たからだと感じた俺は、なぜそれほどの実力者なのに一人で森に住んでいるのかと聞くと。リディアは答えてくれるのか不安だったが、リディアはあっさりと答えてくれて俺は、彼女の生い立ちを知ったのだった。リディアは自分の父親の話を俺に聞かせると。彼女はリディアに、自分の父親はこの森の先にある大きな屋敷に住んでいて、自分は父親の仕事を手伝っているだけだと言うと。彼女は自分がどうしてこんな森に住まなきゃいけないんだと言うので。俺は彼女に同情してしまう。俺もこの世界に飛ばされてきてからは色々と苦労している。そして彼女もおそらく同じ様な経験をしていて。それでも彼女は、この国で生活しようと決めてくれたのだと思ったので、俺が彼女の手助けをするから安心してくれと言うとリディアは俺に感謝の気持ちを伝えてくる。

それから、レイディアが森の外に向かって走り出そうとした瞬間、俺は何かの気配を感じ取った。俺はすぐにその気配がレイディアの後ろのほうで感じ取りその方を見ると。黒いフードを被っている人物がいたので。そいつを捕まえようと手を伸ばすと、その人物はレイディアの後ろに回って姿を消してしまい、俺は見失ってしまう。リディアに何か気配を感じ取ったのかと尋ねると、リディアがその正体を教えてくれると、レイディアの母親であるらしい人物だとわかる。レイディアが母親の元に走っていこうとした時にリディアがその動きを止める。どうやらまだ母親のそばには危険な生物が沢山うろついているらしい。それならリディアの邪魔になるのではと思って、俺はリディアに自分の力を使えば助けられると言い出すと、リディアは何かを考え込んだ表情をして悩みだしてしまった。

(俺は、やっぱり足手まといにしかならないのかな?それにリディアがさっき言っていたリディアが持っている力は俺には無いものだ。だからその力が俺にあれば、この世界に来ても俺の力になれるんじゃないか?)

そんな事を考えながら俺が黙っているとリディアに急に肩を掴まれ、リディアの方を見ると。なぜか泣きそうな表情をしていて、その表情をみた俺まで泣きそうになるが。なんとかこらえているうちに俺の中でまた精神が入れ替わってしまった。俺は俺でリディアともう一人の存在が心配になり慌てていると、どうやらもう一人の俺は冷静にリディア達の様子を見守ってくれているようだったので俺はほっとするのであった。

そこで俺は、どうしてレイディアの母親があの森の中にいるのかとリディアに訪ねる。するとリディアはレイティアの父親の命令でこの場所にやってきたようだということがわかったので俺はあることを思いつく。

その作戦を実行しようとするとリディアにも協力して貰うことになってしまうのでリディアに聞いてみると快く承諾してくれたのである。そして俺はその方法でリディアの協力を取り付けることが出来たのだった。だがその前に俺はこの近くにいる謎の人影を探すことにするのだった。そして俺はその人影を見つけ出すことに成功したのだ。

(見つけた!!)

「お前が俺をここに呼び寄せたというわけだな。俺に一体何の用だ」

俺は、その人物と対面する形で話始める。どうやら相手もそのつもりだったらしく簡単に俺の目の前に姿を現す。

俺の前に現れたのは。全身を黒装束で包んだ人物だ。どうやらこいつがレイディアの父親のようだ。俺はこいつにいくつか確認したいことがあったので話しかけることにした。

「あんたが、俺を元の世界に帰してくれると言っていた人だよな。俺の名前は神無月鏡也って名前なんだが、この名前を聞いて思い出さないか?」

そう問いかけるのだが反応はなく。俺はこの人物が本物の神かどうかを確認したくて仕方がなかった。だがそれをどうやって確認できるのかがわからないままで困った。俺はとりあえず相手の情報を知る必要があると考え。俺は自分の知っている情報をその人物に伝えることにしたのである。

俺が伝えた内容は。この人物は確かに俺が元の世界で暮らしていた時の記憶があり。その知識をある程度は覚えていることなどを話すと、目の前に立っていた人物は俺の事を見つめて驚いた顔をする。俺がこの人物の反応に戸惑うと目の前に居る人間が突然俺の前に近寄ってきたのだ。そして俺はこの場を離れようとしたが、体がまったく動かない事に気づく。そして次の瞬間その人間の腕が伸びてきて俺は捕まり、そして首に手をかけられてしまう。

だが、なぜか全く痛くないのに首を締められていて呼吸ができない状態だ。そのことに驚いていると俺の体に衝撃が与えられ俺の体はそのまま宙に浮かび上がり、どこかへ飛んでいくのを感じたのである。

(えっ、なんで俺が空中を飛んでいるんだ?っていうか。なんなんだあいつの怪力は、俺の首に掛かっている手がまるで万力で絞めているみたいに全然振りほどけないぞ。まさか、俺はここで死ぬのか?いやいや。まだ死にたくないよ)

そんな事を考えていたのだが。どうやらこの世界の俺はそんなことを思っているだけで、抵抗は一切していないようである。俺は、自分の意思を反映できるのならばと俺は自分の手を握り拳にしながら力を込めようとする。だが俺の体は何故かその行動をキャンセルしてしまい、俺は自分の体を上手く操る事ができなくなってしまう。

そうこうしている間に俺の体は森の外にまで運ばれてしまい。そして地面に投げ出されてしまい。そのまま落下して地面にぶつかると思いきや途中で何かにぶつかり止まってしまう。だがその直後、何かの感触に俺は恐怖を覚え、俺の意思とは無関係に体が動くようになり。俺は全力でそこから離れようともがくが俺の体の勢いは止まらない。そこで俺は、必死になって逃げている途中で俺の視界に巨大な生物の顔が入ってくる。

俺はそこで初めて自分が何をしたのかを知り。その生物を見て絶句した。俺が見たのはこの世界に転移したときに最初に目にした。あの大きな生物と同じ生物だったからである。どうやら俺はその生物によって空高く放り出されたようだ。そんなことを考えていると俺の体は地面に衝突し、大きな音と共に俺に襲い掛かろうとしていた生物の突進をギリギリで避けて。どうにか攻撃から逃れることに成功する。そのことに安堵しながらも。自分がなぜこんな場所にやってきたかが気になった俺は周囲を観察してみる。すると俺が今まで居た森に巨大な亀裂が入っていっていることに気づき、そしてその先には何かがあるように感じられたので俺はそこへ向かうことにした。

(ここは何処だろう?)

そう考えながら辺りを散策していると一人の女性が俺の事をみつけて声を掛けてくるが、どう見てもその女性の正体が分からない。しかもその女性は裸で今まさに誰かに襲われようとしている状況なのだが。その襲われている女性はどう考えても日本人とは思えない顔つきをしており、さらに言うとこの女性の肌の色も黒くなかった。それどころか金髪碧眼の美形の女性なので俺はもしかしたら別の世界に迷い込んでしまったのではないかと思う。そしてその女性を助けた俺はその女性の家でお風呂を貸すことになる。そして俺は俺のことを不審者扱いしてくるのだが。その女性が言うには、俺は森で倒れている所を助けてくれたそうだ。それなのに俺がそのお礼を言い出すと彼女は急に苦しみだし、俺は慌てるのだがしばらくすると落ち着いたようなのだが彼女は何かを隠していた様子だったが。彼女が何も言わないので気にしないことにする。

それから彼女は俺に質問をぶつけてきたが、俺は特に隠していることもなかったし。彼女を助けてから森を抜けるまでは俺の身に何が起こったかを正直に全て話すと彼女は驚きの表情をしていた。なぜなら彼女の住んでいた場所に、あの化け物みたいな生物がいるからであり。その話を聞いた俺は彼女にその場所に案内するようにお願いするが、やはり危険だという事で断られるのだが。どうしても行きたいという気持ちを伝えると。彼女は何かを考えた後に渋々ではあるが、了承してくれて。俺の事をその彼女の故郷へと案内してくれることになったのであった。

俺は彼女に連れられて。その彼女の故郷に向かうことになり。まずは彼女と一緒に森の奥深くに進んでいく。森は思っていた以上に広大であったが途中まで行くとどうも彼女の故郷が見えてきて、俺は自分の目で見ながらその場所に感動してしまう。そこは木に囲まれた中に家のような建物が点在していて、そこには人間が住んでいた形跡があった。俺はどうみても文明レベルが中世程度のものにしか見えなかったのでその村に住んでいる人々を見て俺は驚くしかなかったのだ。

「これがあなた達の住む国ですか。凄いですね、本当にここの人達は全員が全員黒髪に黒い瞳を持っているのですか?」

俺は興味深げに村人達の様子を見てみると、皆が皆黒い髪を生やしておりその目は黒色であった。俺はそんな光景に圧倒されていた。するとそんな村の村長が俺たちの前に立ち。この村に何の御用だと訪ねてきた。

「私は、実は人を探しておりまして、どうやら私の娘がこの村の付近で倒れていたという情報がありますので確認したいと思っていましたが」

俺の言葉を聞いた村の村長の態度が変化し始める。俺はその変わりっぷりの変化に戸惑うしかないのだが、村長は俺に向かって急に大声を上げて怒鳴り散らし始めた。

「おいお前!!娘にいったいなにをした!!」

俺がこの発言に対して意味が分からずに固まっていると。村長はその怒りを抑えられなくなり俺を殴ろうとしたのだが。そんな時俺の横にいた黒髪黒目の美少女が自分の母親であると名乗り出て、俺は慌てて謝罪する。そのことに気付いた村長が慌てて自分の妻を落ち着かせ。俺達はその場を離れることになったのである。だがそこで村長の妻に俺は自分の娘が無事かどうかを確認してほしいと頼まれる。俺がその申し出を受けるとすぐに娘のところに向かい、その娘の容姿を確認する。だが俺はその時、俺の頭の中でなにかが閃いた気がして、そしてその思い付きを試すために俺はその少女の手を掴み、その手に魔力を流し込み始めることにする。そして俺はその魔法を発動させたのである。

(これはいったいなんだ?まさかこの世界の人は全員が魔導士って事なのか?)

俺は、そんなことを思うが今はとりあえずは目の前の問題を解決することに意識を向けようと努力した。俺は、その魔法の力を利用して、リディアの記憶を探ろうとする。だがそれは失敗に終わり俺は少し焦ってしまう。

(どういうことだ。俺の想像が間違っていたというわけか?いやでも待てよ。リディアの記憶が消えていないのなら。きっとその方法は存在するはずなんだ。だって、あいつらの中には確実に俺と同じように前の世界の住人が存在していたんだ。絶対にこの世界に元の世界の住民が存在してもおかしくはない。それにこの世界の人の中にももしかしたら俺のように転移している奴が居る可能性もあったはずだ。そう考えれば、この世界が、俺の居た地球とは別の星に存在するとは考えられない。だから、この方法以外にリディアと繋がる方法が必ずあるはずだ)

俺は、そう考え直してからもう一度、同じことをやってみる。すると今度は、上手く記憶を覗き見ることに成功したのである。その情報によると、俺を召喚した張本人らしい人物にこの世界を滅ぼされかけたらしく、その際にその人物は俺達を呼び出し。どうにかしてこの世界の危機を乗り切るために俺とリディアの力を利用したのだと言うことが分かってしまう。だがその人物はその方法を間違えてしまい、俺を無理やりこの世界に連れ込んだため俺の魂は元の世界に帰還することが叶わず、そして俺は強制的にこの世界に留まってしまったということが分った。

そしてそのせいでリディアは死んでしまい。俺自身も死ぬ直前にその術式が解けてしまったのだということが分かったのである。だが、その話の内容を知った後ではどうすることもできず、俺はただ呆然とするしかなかったのである。そしてそこで俺は思い出したことがあり、その時に使ったと思われるアイテムが俺の部屋にあることに気付く。

(そうだよ。俺がこの世界に呼び出された際に使用した物が部屋に置いてあったんだよ。それであいつらはどうなったんだ?あいつらも俺と同じ状況でここにいるとしたら俺の体もそろそろ限界が近いかもしれない。急いで部屋に行かないと)

そんな事を考えながらも俺達は村長の妻と話をしているのだが、その会話の最中に突然俺は体が動かなくなるのを感じ。そして村長との話の途中だったのにも関わらず。突然意識が遠のき始めてしまう。そして俺が最後に見たのは、先程助け出した銀髪の女性の姿だった。

「おい!目を覚ませ!!早く起きるんじゃ!!」

俺はそう聞こえたことで目を開ける。すると俺のことを心配そうに見つめている村長の夫婦と俺の横に寝転がっているレイリアの3人が目に入ってきた。俺は、なぜ俺がここで眠っているのか分からない。だが、どうやら無事に俺は生き返ることができたようだ。その事にほっとしていると俺が起きたことに気付き。その俺に話しかけて来た女性こそが俺に殺されたあの女性だと気付いたので俺は彼女に謝罪したのであった。

俺が、俺の知っているリディアの両親に俺が異世界からやって来たと説明すると。彼らは驚いた表情をしていたのだが、それでも受け入れてくれると言ってくれて、そのことで俺は嬉しくなり思わず泣いてしまった。その後になぜあの男が、俺を勝手に召喚した挙句。あの世界に送り込んだのかを説明してもらった。どうも、俺をあの世界に呼びつけた理由がこの世界で起きつつある異変に対処できる者を呼び出したかったからだそうだ。

その理由は。元々あの世界の神は今、眠りに就いておりこの世界の神々を束ねているのは今の神の使いという存在なのだそうだ。本来ならば今の神もこの世界に現れていたはずなのだが、何かが原因でその姿を現すことができなくなってしまったようなのだ。その原因が何なのかはまだはっきりと判明してはいないようであったが、もしかすると、俺を召喚しようとした際に、その俺の魂を宿らせていた器が何らかの理由で破損してしまい、それが原因だと思われたので。その件に関しては、この世界でもどうにかできそうなので放置することにしたようだ。

それからリディアの母から聞いた話では、俺をこの世界に転生させてくれたのも。この人のようだ。そして彼女は俺に、リディアを頼んで欲しいと懇願された。そして、彼女のお願いを聞き入れた俺はリディアを連れて彼女の実家にお世話になることになったのであった。

(これから俺達はどうなっていくのだろう?)

そんな事を考えている俺に対して、俺はもうひとつだけ疑問があったのを思い出す。

(俺は結局のところどうしてこの体に憑依できたんだろう?そもそもなぜ、俺はリディアーの肉体に憑依することができたんだ?いや、それは、もしかしたら、俺自身がこの体を望んだということか?でもなんで?俺にはリディアと会った記憶など存在しない。つまり、リディアと出会ったこともなかったのに)

そんな事を考えていた俺はその考えを中断し。とりあえずは目の前の問題から片付けることにしたのである。

(この世界の問題を解決するためにまずは情報収集が必要だ。そのためにまずはこの村の中で色々と見て回ることから始めるとするかな。この世界は、まだ発展していない文明レベルの中で暮らす人々がいる世界だからな)

俺はその考えをまとめると。村長と妻と一緒に食事を摂りながらそのことについて話し合っていた。そして食事を終えた後で。俺はその村に残って調査を始めることにした。まず最初は村の周辺の地理を調べたいと思い、森の方に向かいそこでモンスターと遭遇したが。特に問題もなく倒すことができたのである。

(俺のレベルが上がっていなかったらとっくに殺されてたな。それにこの世界の人たちの戦い方を見てみると俺がいた世界とは比べ物にならないほどに洗練されている。やっぱりこの人たちは戦闘に特化した職業を持っていなければ、あんなに動けないよな。この世界の人と戦うのなら。こっちも全力で戦う必要があるな。だがそうなると、どうしても俺の正体を隠し通すことは難しくなってくるな。この村の人達に俺が勇者だと伝えても信じてもらえなさそうでもあるけど。でも、いずれこの村は出て行こうと思っているからな。そのときにでも話すことにしようか)

俺はそんな事を考えていながら。村の周辺を見て回ることを続けていた。その途中で見つけた洞窟に入ってみる事にする。俺はそこに入り、そこにあった宝物を持ち帰ることにするが。そこで俺は自分が鑑定系の能力を持っていないことに気づき落胆してしまう。

(くっそー、こんなときに俺が使える技能があれば楽なのに。どうしたら取得できるんだろうか?いやでもこの世界で俺の能力を使うわけにもいかないよな。だからと言ってこの世界に存在する他の人から貰うわけにもいかないし)

俺はそこまで考えた後で少しだけ冷静になり。自分の能力の確認をしてみた。だが俺にそのような特殊なスキルを持っている様子もなかったのだ。そしてこの日は何も収穫がなく終わり。家に帰ることになる。そこで俺が自分の家の前まで帰ってくるとなぜか村長とその妻と、銀髪の女の子が一緒に俺の家を訪ねてきたのだ。そしてリディアが彼らに挨拶をしたところで、リディアの顔を見た二人がリディアに対して謝罪してきたのである。

(え?どういうことだ?リディアは俺の家族と知り合いだった?それともその両親が俺達のことを知っていて、リディアに何かを吹き込んだのか?いや、そんなことはないはずだ。俺はこの家にほとんど帰ってないし。もし知っていたとしても、俺の家に来ていることを知らないはずだ)

俺はそこで一つの結論にたどり着く。リディアの両親のことだ。おそらくこの人はリディアの父親が雇ったのであろうことが予想できる。

(まあ俺の知らないうちにそういうことをやるのは別に構わないんだけど。だけどリディアが嫌なら俺も考え直そうと思ってたんだよな。でも本人が了承してるのならそれでいいんじゃないかな)

そして翌日、村長夫妻から正式にリディアが俺と結婚すると言う宣言がなされたのである。そしてその日、その結婚に反対するものはいなかったのだが、その次の日に、リリアさんに村長の家で料理を教えることになってしまった。その理由としては、彼女が花嫁修業の一環として俺の手伝いをしたいと言い出したからだそうだ。そんな感じで始まった調理実習だが意外に楽しい時間を過ごせた。その時間は思ったよりも楽しく。そして彼女は、俺の嫁になることが決まったことで。村長にリディアとの結婚を認めてもらい、リディアの母親と共に嬉しそうにしながら俺達が作る料理を見守っていたのであった。

俺は、村長の夫婦にリディアのことを任せて村を出るために旅の準備を始めようとしていたが、その前に俺は、この村での食料調達をするために山に入り狩りをしていたのだ。俺一人で、しかも単独でのこの行為だが俺の場合は問題なく進めることが出来た。この辺りにいる生き物は俺が今まで戦ってきた生物と比べるとあまりにも弱く。正直戦いをあまりしないで済んだのであった。俺はそうやって一日を過ごすと夜になり俺は野宿のために火を起こす。そして夕食を作るために食材を探していたのだが。俺はその時に出会った。あの時の男とまた再会することになったのである。

「おい!何者だ貴様!ここで何をしている!」

俺が、山で採れる薬草を探していると背後から声が聞こえてきたので俺は振り向いた。するとそこにはあの男がこちらを睨みつけるようにして俺のことを見ていたのである。

(ああ、こいつは確かあの時の男だ。俺に殺されたはずなのにこうしてピンピンとして生きてて、本当に良かった)

俺が内心でそんな事を思いながら彼を見ていると。俺が彼に対して殺気をぶつけてやったのだ。すると彼は顔を真っ青にしてその場で腰を抜かしていた。

「おい!俺を殺そうとしたお前がそんな無様な格好で俺の前に姿を見せるなど恥を知れ!!そして今すぐ消えろ!!」

俺はその言葉を発した瞬間にその場を離れようと走り出すが。その時に俺の体はすでに限界を迎えて地面に倒れてしまう。するとその光景を俺の後ろをついて歩いてきていた奴らが目にしたので。俺は急いでその場から逃げ出した。だが俺の体が限界を迎えていたことも事実なので、俺はもう逃げ切ることは無理だと考え。その場に止まることにしてその男のほうを振り向き俺は話しかける事にした。

「おい。あんまり俺のことを見下すんじゃねぇぞ」

俺の一言を聞いて相手は震え上がる。その反応を見て俺はすぐに相手の力量を把握するとそのまま逃げることを選ぶ。その選択に間違いは無かったようで男は、俺の背中に向かって攻撃を加えてくることは無かったので俺の体はボロ雑巾のようになりながらもなんとかこの場を離れることに成功して自宅に辿り着く。

(あの時は本気で死ぬと思っていたがどうにか生き残ることができてよかったぜ。しかし俺はこのままではいけないよな。だって俺はあいつが、この村に来たときのために対策を考えなければならないのだからな。そのためには俺の持っている能力を把握しなければだめだよな。俺は、この世界の魔法が使えるから。それに俺が元々持っていた能力を使えるのかどうか試さないといけないな)

俺はそんなことを考えながら家に帰ると、その帰りを待っていたリディア達を出迎えた後で俺の部屋に入る。そして自分のステータスを確認することにしたのだ。俺はまず自分のレベルを調べることにすると、その答えが俺の頭の中に直接流れ込んできた。俺はその情報を確認した上で自分が使える魔法の確認をするために魔力探知を行い、それから魔法を実際に使用していく。俺は、そこで自分がこの世界にある属性の魔法を扱うことができることに気が付くと。俺は次にその力を試すことした。

(この力はもしかするとかなりやばい力なのでは?それにもしかすると、リディアの親父さんの使っていた剣の力も扱うことが出来るかもしれないな。よしそれじゃあ試してみるか。リディアは、もうすでに眠っているようだし、俺は一人、外に出てからその剣を取りにいくことにするかな)

俺は、リディアの母親が寝ていることを確かめる為に彼女の部屋に向かいドアを数回ノックする。すると、部屋の奥からリディアの母の返事が返ってくるので、どうやらリディアはまだ起きているらしい。それを聞いた俺はリディアの母が寝るまでリディアと会話を交わすと俺のベッドで横になって眠りに就くことになった。

俺はその日、夢を見た。そこは見たことのない場所だったが、俺はこの場所に見覚えがあったのである。その夢の中の世界で、俺は誰かと出会う。その相手が誰なのか、それは思い出せないけど、その人が俺に対して微笑んでいる姿だけは今でもはっきりと覚えている。

翌朝、目が覚めると、俺は自分の腕の中で眠っていたはずの、リディアの姿がないことに気づくと慌てて外に出る。すると俺の目に飛び込んできた景色は昨日の夜までとは違い。まるで別の世界にやってきたような錯覚を覚えさせる。

(ここはどこなんだ?)

俺がそんな事を考えたところでリディアが姿を現す。

「おはようございます。ゆうじさん。今日は私にお付き合いして頂きたいことがあるんです。だから一緒に来てくれませんか?」(リディアに何か考えがあるのだろうか?まぁ、この村の人たちは信用できる人たちばかりだからな。それにリディアに危害を加えようとする連中がいるなら。この村の人たちがその犯人を見つけ出しそうだよな。リディアの両親は娘思いみたいだし)

そんなことを俺は考えつつ、俺はリディアに着いていく。彼女は、村から出て森の中に入って行くと、俺を連れて来た理由を話し始めた。

「私のお父さんはこの村の村長です。でも私は、そんな仕事に興味がなくて本当は、どこかの国の王子様とかと結婚させられて、自由に恋愛することもできない人生を歩むのだと思うんです。そんな時。私はある噂を聞きました。何でも最近、この国の隣に現れた国に、魔王軍を名乗る者が現れて暴れまわっているそうなのです。その国は勇者と呼ばれる特別な力を持つ人が存在するらしく、魔王軍を蹴散らしているみたいなんですけど。それでも完全に倒しきることも出来ないみたいですね。そこでその魔王軍は隣国から攻められて劣勢に立たされていたそうで、そこで隣の国がこの村にいる勇者に協力を要請することにしたようですよ」

リディアの話を聞いて俺は少しだけ嫌な予感がしてきた。なぜなら俺はその話を知っているからである。そしてその話を聞いた時点で俺の中ではこの話は断れない状況にあることが予想できるのだ。つまりこの村は隣に存在している大国からの依頼を受けることになり、その結果はどうなるかは俺にでもわかるのだ。だがここで断ると言う選択肢は無いのである。俺にはリディアと結婚する未来が見えてしまったのだから、ならばその未来を変えることはできないだろうし。もしも俺が、ここでリディアと結婚するという約束を破ってしまったなら俺は殺されても文句が言えない状態になると思うからだ。

リディアの父親であるこの村で一番偉い人物と会うことになると。その人は、俺の顔を見るなりリディアの事を嫁にすると宣言してきたのである。

(はぁーやっぱりこうなったよ)

俺はそんな事を思いつつも笑顔を浮かべたままだ。だってそうしなければ話が進まないしね。そして話を聞けば聞くほど俺にとっては最悪に近い条件の案件だったのである。簡単に言えば。勇者をこの村に呼びつける為だけに俺は巻き込まれたというわけだ。そしてこの国と同盟を結ぶためにもこの村の人間たちは協力を惜しむことはしないのであろう。そして俺はここでリディアと結婚することになっている。

俺は、そんな風に考えている間に俺の目の前にいる人物が口を開く。そして彼はこの村で生活をしながら修行をすると言う条件で俺の面倒を見ることを提案される。もちろんその時にはリディアの父親の承諾を得てからだ。まあ、リディアの父親が許可を出すことはほとんど決まっているのは確定しているが、一応の確認のためでもある。そしてその日から俺の生活が始まるのであった。だが、この時。俺がリディアとの交際を認めてもらったと、勝手に解釈してしまっている男がいるのでその男の相手をしてあげないといけない。そんなわけで俺とレイリア、それともう一人の男を含めた三人での特訓を始めることになる。

俺はいつも通り朝起きてから家の外に出ると同時に自分の体を確認するように動かし始める。

「ふっ!はあ!おりゃ!とう!ふん!とりゃ!」

(はぁはあ!体が思うように動くようになってきたぞ。これは良い傾向なのか悪い傾向なのか分からないが。取り敢えずこの世界の身体能力で戦えればそれでいいんだけど。そう上手く事は運んでくれそうに無いな)

俺が朝の鍛錬をしていると俺のことを見ていたのか、俺のことを心配そうにしているリディアの姿を見つける。

(リディアには俺の本当の実力を見せることはできていないんだよな。それどころかこの村から旅立ってまだ一日も経っていないからな。俺の体力的にも限界はあるからな。これからどうしたものか)

俺は今後の事について悩みながらも俺の方へ近づいてくる、リディアとレイリアと軽く話すことにする。そして今日の事についての話題になり、二人からは今日も狩りをしに行ってみようと提案されたので俺は了承しておく。するとリディアと俺達は、俺の家に集まって朝食を頂くとそのまま外に出た。

俺とリディア達が、森のほうへ向かっていると途中で俺は一人の少女に声をかけられる。その声の主を確認すると俺が知っている人物であった。その女の子は、この国の第一王女であるサーニャである。彼女は、俺のことを見るなり抱きついてくると。頬にキスをして俺のことから離れていく。

(はぁーこの子のスキンシップの激しさはどうにかならないものかね?それにこの国で、こんなことをしていたら変に思われてしまうんじゃないの?ってか俺に好意を寄せているのはこの子だけだから、他の人達が俺に対しての警戒心を解いてくれないんだよな)

俺はため息を吐きながらもリディア達の後を追いかけると、そこには先程までいた場所にはおらず、すでに森の中に入っていることが分かったので、慌てて俺もその場所へと移動する。

すると、俺の目に飛び込んできた光景がとんでもないものであった。リディアが巨大なドラゴンと戦闘を開始しており。そのドラゴンの大きさが普通のモンスターよりも二回りも大きいサイズだったので。その強さはリディアより遥かに上なのは明らかで。その圧倒的な存在を相手にリディアは自分の命と引き換えにしても倒すと言い放つが。それを聞いていた俺はリディアを助けるべく、俺が持っている全ての力を解放した。すると俺の手から放たれたのは眩い光を放ちながら俺の手元に向かって収束していく。そして次の瞬間、リディアが振り下ろしていた剣は俺が作り出した剣に吸収されるかのようにその形を変えていき。俺の持つ剣と似たような形になっていくと、その変化が終わった頃にはその形は俺の持っている物と全く同じものに変わっていく。

(この力はもしかしたら、俺がこの世界に召喚された際に得た力なのかもしれないな。だけど今はリディアの窮地を救うことの方が大切だよな。よし俺も行くぜ!!!!!)

俺はそんなことを心の中で叫びつつ、俺の目の前に存在していたはずの巨大ドラゴンの頭部を吹き飛ばすと。俺は、リディア達を連れて、急いでこの場から離れると、そこで改めて俺の能力を確認していくことにした。すると【能力鑑定】のスキルに新しく追加された称号が表示される。

『勇者』『魔王殺し』『魔王に気に入られている者』

「うん。なんで勇者になっているんだ?いや勇者であることに問題は感じてはいないんだけどさ。なんか違和感を感じるな」

そんな事を俺は考えつつ、今現在リディアに起こっている問題について考えを進めていく。リディアの父親は俺がこの村に来るまでの間に亡くなっているようで、その事実が、俺を動揺させる要因になった。だがそれでも俺はその感情を押し殺すようにしてリディアのために何か出来ることがないかを考えて、そして思いついたことがあったので、それを実行することにする。その方法は俺の剣技の一つを使うことである。俺はその方法を使うと、見事にリディアの父であるラドルを殺すことが出来たのだ。その光景を見た、この村の人たちはとても喜んでいたけど、俺は少しだけ複雑になる気持ちだった。

(俺の目的は元の世界に戻ることだ。だがこの村に滞在し続けることは悪い判断じゃないと思っている。何せこの村の人たちは俺がこの村にいることを喜んでくれているし、この村で暮らすことに不自由は無い。それにリディアは俺のことを好きだと言ってくれたのだから。だからリディアを裏切るようなことをしてはいけないよな)

俺がそんなことを考え込んでいるとリディアとレイリアが俺に何か話があるようであり、二人は真剣な顔つきになると、まず最初にリディアの父親が俺に頭を下げて礼を言って来たのである。

俺はそれからしばらくこの国の勇者として活動することになった。その理由は俺がリディアを助けたことが大きな理由になっていた。つまり俺は、俺自身の目的の為にもリディアを守る必要があったのだ。

「あのゆうじさん、今日は一緒に買い物に来てもらってもいいですか?」

俺は今日もこの村の住人たちと交流を深めるために村人と一緒にこの村にある店を巡って、色々と情報を集めたりしながら、この国で必要とされている物資を、買っていくことになったのである。ちなみに俺は勇者として、この村では知られている為、みんな気さくに話しかけてくれた。特にこの村の若い娘達と会話している時に、俺にちょっかいをかけて来る娘もいたけど、俺が睨みつけると、すぐにその娘達は何処かに去っていったのであった。

そんな事があったせいか、村人たちから俺への信頼感が増していったのだが、それでもリディアの父親を殺したのが、俺だと知った時はかなり驚いていたが、リディアが俺を信じていることをアピールしてくれたおかげで、村人はリディアの父親が亡くなったことを悲しみはしたが。それ以上の反応はしなかった。

「いいよ。ただ、今日は何をするつもりなんだ?リディアのお父さんの葬式をする為に、色々するんだろ?俺にできることなら手伝うから何でも言ってくれよ」

俺は、そんな言葉をかけるとリディアの顔色が変わり。リディアの瞳には怒りの色が宿るのを確認できた。そして俺は、その視線が向けられた先には、俺と仲良く話をしてくれていた若い女性の姿があり、その女性の手には明らかに刃物と思われるものが握られており、俺に向けてそれを構えてくる。

俺は、女性の行動を見るなりリディアに危害を加えると判断し。一瞬で女性の元へと移動すると彼女の手首を掴むと。腕の力だけで強引に捻るとそのまま地面に押さえつけたのだった。

俺は女性が持っていた武器を確認するとそれは刃の部分だけを金属で作られた特殊な武器であり。俺でも簡単に破壊できる代物で、それがこの世界で作られているとは到底思えないほどのクオリティの高さを感じた。

(まさかこれがこの世界で使われているなんてことはないよな?)

俺はそう思うものの。俺自身がこの世界で使えるものはこの世界でも普通に使うことが出来ると言う特性があるので、もしかすると俺以外の異世界の人間がこちらに来た可能性があると思い至ると。

「君は何でいきなり俺のことを殺そうとしたのかな?もしかしたら君の知り合いかもしれないから答えてくれると助かるんだがな。俺は一応、この村を救っているんだよな。そんな俺をリディアのお父さんと同じように殺したかったわけなのかな?俺がこの村を救ったことに感謝をせずにね」

俺は笑顔を浮かべつつも女性のことを見下す形で言い放つ。すると女性は、俺のことを怯えた目で見ているが。その目の中には恐怖だけではなく俺に対する嫌悪感のようなものも含まれていた。

俺が女性にそう質問すると彼女は涙目になって震えだし。俺に謝ると。もうしないと口にするとその場から逃げ出すように去っていく。

「ゆ、ユウジさん助けてくれてありがとうございました」

俺はリディアから感謝されると、俺はリディアの方を振り向くと彼女に向かって、リディアに対して笑顔で対応すると。その行動を見てリディアは恥ずかしそうな表情を俺に向けると、頬を赤らめる。

(可愛い!って、俺も少しやりすぎたかもな。この世界の常識も知らないのは俺なのにな。ここはリディアにフォローを頼まないとな)

俺が、リディアにそんなお願いごとをしていると、今度はこの村の村長から声をかけられる。その人物は、俺の姿を見て声をかけてきたので。その人物が誰であるかを理解できた俺は、挨拶をしておこうと思ったのである。

俺が声をかけた人物こそ、俺の師匠でもあり、レイリアの父親でもある人物だ。俺は彼からの頼みもあり、俺の持つ剣術の極意を教える代わりに、俺に稽古をつけてもらう約束をしていた。

そのことについてレイリアは少し反対気味でいたのだが。俺はレイリアの不安を解消するために、俺自身が強くなれるのであればと承諾をした。

(俺は強くなるために、そして元の世界へ戻るための強さを手に入れるには、今の俺では絶対に無理なことを痛感させられたんだよな。俺が持っている力の大半は戦闘に向いていないんだよな)

そんな事を思いつつ、レイリアの父親は、リディアの母親に頼まれて俺が持ってきた荷物を持ち運んでくれるようだ。なのでリディアも自分の父親の仕事を手伝っているようであった。俺は、俺自身も手伝いを申し出たが、断られたので仕方がなくこの場に残ることに決めると、レイリアと二人で話す機会を得る。

「なぁ、お前って確か。レイリアって名前だよな?リディアって子のことはどう考えているんだ?正直俺はあの子の事が心配だよ。あの子はお前を本当に慕ってるように思えるんだ。だからこそ俺はあの娘がリディアの傍にずっと居続けても良いと思っているんだけど。それでいいのか?」

俺がそう言うとレイリアは無言になり考え込んでいる様子だったが。すぐに俺の問いに答えると、自分は、リディアと一緒に居ることが辛いのだと、この村に居続けることが出来ないのだと告げる。

俺は、リディアとレイリアが二人っきりになった時のことを考えるとリディアの精神状態が心配になるが、それでも俺としては、この村に滞在している間にリディアのことをしっかりと見ておきたいと思うようになった。なぜなら俺自身はレイリアという女の子に一目惚れしていたからである。

俺がそんな事を考えていたとき、ふいに、村の人達が集まってくる音が聞こえて来た。するとそこに集まって来た人々はみんな武装をしており、今現在この村の周囲には魔物が出現しているという情報が入り。村の男達がその討伐に行く準備をしていたのである。その中には当然だがリディアと父親であるラドルの姿も見えたのである。

そしてラドルは、自分がリディアを守るために戦うので、リディアは安全な場所で避難するように告げるが。その言葉を聞いたリディアはその意見に反対する。そんなリディアを見たラドルは優しい声で「私達のために戦おうとしてくれてありがとう。あなたが私の気持ちを考えてくれたのはとても嬉しいわ。だけどあなたを危険な場所に行かせる訳にはいかないのよ。だからここに残りなさい」と言うと、リディアはラドルの言葉に素直に従うが。リディアの瞳から涙が流れていることに気がつくとラドルはリディアの頭を撫でながら。俺達もすぐに戻るから、それまでここで待っていてくれと言い残して外に出ていく。

リディアは涙を流しながらも、その光景を見ていたのであった。(なんかリディアが不幸せになっているような気がするけどなぁー)

そんなことを思いながら俺は村の様子を見ているだけだった。だがそんな俺の様子を見てか、村の女性たちはリディアのところに案内しようと言ってくれたのだけれど。

俺はそんな村の人の厚意を断り、一人この家の中に残ることにしたのであった。

「さすがにこれは酷いな。こんな状況で外に出たら命がいくつあってもこの村を守りきれなくなりそうだし。リディアや俺達の身が危険に脅かされることになるかもしれないからな。やっぱりリリアに相談してからにするか。ただ俺はこの村の為に動くべきだと考えているから。このまま引き下がるつもりはない」

俺がそう呟くと、外ではリディアとラドルが剣を抜くと、お互いの力量を確かめ合う為に向かい合い始めるのが見えると。その動きを確認していた俺は。二人の動きを確認するとリディアはまだ成長途中で未熟ではあるものの。ラドルの方は俺から見て隙が無く強いことがわかった。

(確かに、レイリアとリディアの父親であるだけのことはあるんだな。まぁリリアならあのぐらいの攻撃は軽くいなす事が出来るけどな。問題はあの武器の方か。あれはこの世界で作れるものなのか?)

俺はそう思った時に思い出した。俺自身が元々使っていた武器と同じ作りだったからだ。

(まさかこの世界に俺の武器を持っている人間が他にもいるなんて、でもどうしてそんな奴がいるんだ?)

俺の中で様々な疑問が生まれると俺はリディア達の戦いを見守ることにしたのであった。すると俺の目から見ると、明らかにラドルが押されているように見えるのがわかる。おそらくはリディアが本調子ではないからだろう。それに加えてまだリディアには経験不足が感じられるから尚更であろう。しかしリディアの動きを俺は見て何か引っかかるものがあった。

(この動きってどこかで見たことあるんだよな。一体何処で見たことがあるんだ?しかも俺は実際に戦ったことがあるはずなんだがな。もしかしたら俺が知っている技を使うんじゃないか?)

俺はそんなことを思い始めたが。今は戦いに集中しようと決め込み。ラドルの動きを観察することにするのであった。

そしてしばらく観察しているとリディアが劣勢を強いられていることに気がついた。そこで俺は、リディアの元に駆けつけて彼女を援護しようと考えたが、そんな俺に対してレイリアが攻撃を仕掛けてきた。俺はそれを難なく避けることに成功する。すると今度はリディアの方から俺の事をレイリアと呼び捨てにして来るのが聞こえる。

俺はその言葉を聞いて。リディアとレイリアとの関係性がわからないまま。とりあえず俺はレイリアのことをリディアとレイリアの両方に説明することにしたのである。俺がこの世界に来たのは約1年前のことであり。その前に俺が元の世界から転移したのは、2年前で。その当時にリディアと出会った事を伝える。

リディアは俺の言葉を聞き驚いた様子であったが。レイリアに関しては、なぜか納得したように、笑顔を浮かべたのであった。そんな事があって俺は一旦冷静になり、レイリアとの話をするため、俺は彼女と話をすることにしたのである。

「君はいったい何者なんだい?レイリアとリディアちゃんにあんなことをさせるほどの力を君達は持っていると言うのかい?もしそうなら君達が私達の代わりに魔物を倒してくれると約束できるのか?それに君の力は、先ほど見せた力だけでもかなりの物だということがわかるが」

レイリアの父であるラドルが、真剣な表情で尋ねて来るが。その問いに対して、俺よりも先に答えを返してきたのはリディアであった。

俺がその言葉に対して返事をする間もなく。

「それは、お父様は知らないと思いますが、ユウジは勇者なんです!」と、リディアが口にする。

俺は、そんな事は絶対に無いと思うので、否定しようとするのだが。リディアはそれを否定するように「ユウジは自分の力がどれ程凄いのかわかっていないのです。私がどれだけ苦労をしてもユウジには追いつけないんです」と言う。

(えっ?そうなの!?俺は普通に魔法を使っているだけなんだけど)

「なぁ、もしかするとだけど。リディアってこの村の出身じゃなかったりしないか?」

俺はリディアが嘘を言っているように感じなかったので、この質問を彼女にしてみる。俺の言葉を聞いたリディアが、なぜその事を知っているのかと俺の顔をまじまじと見つめてくる。その顔は本当に驚いていたようで俺も少し焦ってしまった。

それから俺は、この村の出身者が持っていたと思われる、あの剣と盾のアイテムを取り出すと。それをリディアに見せたのである。そして俺の問いかけに対して、リディアは少し考える仕草を見せると。「確かに私達は、ここからずっと南に行った場所にある街の出身です。でもどうしてあなたがそんな事を知っていますか?この街に来る人なんて滅多にいないんですよ?」と言ったのである。

俺としてはこのリディアの反応を見ても、どう考えてもリディアの方が正論だと思っていた。なので俺は何も言い返す事が出来ずにいると。そこにラドルが「なるほど、やはり君がそうなのか」と言って俺の方を見ていたのであった。

俺はラドルが何を言っているのかわからず首を傾げて「どうゆう意味ですか?」と尋ねると。ラドルは「なに簡単なことだ。この村ではね、街に行くことが大変な仕事なのさ。だからほとんどの者がここで生まれ育って一生を終えるんだ」と答えてくれて。

俺はラドルの話を聞くと、確かに村人達の生活を見る限りそうかもしれないと思ってしまったので。何も反論できずに、話を変えることにしたのである。俺はラドルがこの村の出身であることを話すと。レイリアとリディアも自分の出身地を教えてくれた。

そしてラドルもレイリアも俺に対して自分のことを家族だと言ってくれた。リディアは、その言葉に驚き戸惑っていたが、すぐにその事実を受け入れることが出来たようである。俺としてはそんな事を言うとは思わなかったのであるが。二人からは感謝されながら握手をされたのだ。

(俺が助けたのはレイリアなんだけれどなぁー。俺的には二人を助けたというより、リディアに頼まれて仕方なくといった形だと思うけどな。

俺自身は別にリディアに惚れてしまったわけではないと思うけど。この二人が俺にとっての初恋の相手だということは間違いないしな。まぁ二人とも見た目はかなり美人だし。二人を目の前にすると照れてしまうのは仕方がないけどな)

そんなことを考えていると、いつの間にかリディアは、俺の事を好きになってしまっていたらしいのであった。そんなリディアが可愛いのは認めるし、そんなリディアのことを見ていると守りたい気持ちになってしまうのは当然の事だが。リディアの告白を俺は受け入れることはできないと考えていたのである。

(俺自身はまだ誰かを本気で愛したりしたことがないし。そもそもまだ高校生なんだぞ。リディアとはまだ年齢も離れているからな。今ここで俺が受け入れたら後々面倒なことに巻き込まれる可能性は十分にあるしな。だからここはリディアに諦めてもらうのが一番良いだろうな)

俺はそう思って、リディアに諦めるように言った。だがその俺の言葉をレイリアが遮ってきたのである。彼女はリディアの事を抱きしめると「リディアごめんなさい。私はリディアの味方よ。あなたの恋を応援するわ」と。そんな事を言ってくれたのであった。

リディアはそんなレイリアの行動を見て涙を流していたが、俺にもう一度だけ、告白しようと決意をしたようだ。

俺もその言葉を聞き覚悟を決めることにしたのである。

リディアは改めて、自分がどれほど、ユウジの事が好きなのかを口にした。最初は恥ずかしかったようだが。次第に感情が抑えられなくなり涙目になりながら俺の顔を見て。「こんなにも私の心を奪っておいて忘れてるなんて酷すぎます!しかもこんな可愛い娘と一緒に旅までしてるし!」とリディアにしては珍しく大声で叫び始めると泣き始めてしまい。最後には俺に文句を言い出したのだった。そして俺は彼女の言葉を聞きながら俺は困っていた。

正直に言えば俺自身もどうしてこうなったのか、未だにわかっていないからである。そして俺はそんな事を思った瞬間にレイリアの方を見ると彼女から睨みつけられることになった。しかし今のレイリアからそんな事をされても俺には効かなかったが、レイリアが悲しそうにしているのがわかった俺は。とりあえずリディアに「俺にはお前しかいないから安心しろ。それと俺を殴るのはやめて欲しいんだが。俺が悪いのなら仕方ないと思うが、俺の記憶が抜けている部分に関しては、おそらくリディアと出会って以降の記憶だけが消えてしまっているだけだと思うんだ。その辺も含めて話し合いが必要だろうから。今日の所は帰って貰ってもいいかな?それにリディアはレイリアと話をしておかないといけないこともあるだろうからさ」と言うと。リディアは「そうよね、ごめんなさい。ちょっと取り乱してしまって。ユウジさんとの再会で色々と嬉しくなって舞い上がってしまいました」と言う。

そしてレイリアは、「わかりました。また近いうちに必ず会いに来てくれますか?」と尋ねて来るので。俺は笑顔で答えてやったのであった。すると二人の少女は嬉しそうな表情をすると屋敷を出て行き。俺はそんな様子を見送っているとラドルが近寄ってきて、先ほどの話の続きを話し始めたのであった。

俺の方はその話が気になったのでそのまま聞くことにする。すると俺がこの世界に来る前の事を話すと言い出すラドル。しかし彼は俺の事情を知る人物であるためその事について説明を始める前に、まず俺とリディアの関係を教えてくれると言うラドル。

俺とリディアの出会った場所などについてはラドルの方が詳しかったのだが。リディアがレイリアと共に暮らしているという話になるとラドルの表情が変わった事に俺は気がつき質問をすることにする。その前に俺が気になったことがひとつあるのでラドルに尋ねることにしてみた。

俺とリディアの関係についてはある程度ラドルも把握しているはずなのに、俺とリディアの関係を聞きたがるという事は俺達に興味があるということであろう。それなら俺はあえて質問する事にするのだが。俺達が何故一緒にいるのかを説明するよりも先にラドルは自分の方から話し始めていた。その話は、ラドルが自分の娘達と俺に縁が有るという事が前提の話であり。俺がラドルの娘達に関係があることを告げられると、俺は驚くことになってしまった。なぜなら、この国の女王はリディアの母でもあり、リディアと双子の姉でもある人物なのである。そして女王の名前は『ミレアナ=アイネス=ルミナス』といい俺の元いた世界でのゲームに出てくる悪役令嬢である女性の名前でもあったので、その事を伝えるとラドルが固まってしまっていたのであった。

ラドルは自分の話を聞いても信じられなかったようであった為。実際に俺と娘のレイリア、それからリディアをここに連れてくることをラドルは提案するのである。ラドルの言うとおりにした方が早いと考えた俺は。一度、この村から離れる必要があるので、一旦リディア達の家に戻るように伝える。

それから、俺の話を聞いた二人は了承すると俺達は村の外に出たのであった。俺はリディアの案内に従い歩いて行くのだが。その道中は魔物に襲われることも無かった。その事に違和感を覚えた俺は。

(確か魔物が出るのは森の中では無いんだっけ?)

俺はそう思いながらも。特に気にすることも無いと思い直すと、歩き続けたのである。そしてリディアとラドルに村の事を聞いたのだが、彼らは自分達の生まれた村に誇りを持っており。俺にその村を案内するのが楽しみらしく。俺に村のいいところを見せようとしてくれていたのだった。そして俺がそんな二人の様子を微笑ましく見ているとリディアに笑われてしまう事になったのである。

俺達が村に帰ってくると、村の人総出のお出迎えを受けたりして、その日は一日祭りのような騒ぎになってしまい大変だったがなんとか乗り越える事が出来たのだ。それから次の日には、俺とレイリア、それにリディアの三人がこの国の女王様に謁見する機会を得ることができた。そこで初めて知った事実があった。

なんとその女王様の名前が、前世で言うゲームに登場する悪女のミレニア=アルニス本人だという事だった。俺はその事実に驚きながらも女王様はゲームのキャラに転生してしまったのだと納得していたのであった。ちなみにこの国を統治をしている女王の名前は、『ミーナ=リリアーナ=アイネス=ルシエラ』と言い。ラドルが娘と呼んでいた女の子の母親である。

そんなことを考えていると俺はラドルから「そろそろ、リディアと話をした方がいいのではないか?君達はどうなるにせよ一度はきちんと話をする必要があるはずだ」と言われたので。確かにそれはそうかもしれないと思った俺はラドルに言われるままにリディアの部屋に行くと、俺が知っている限りのリディアとレイリアの生い立ちを教えてもらうことにしたのである。

リディアの話によると、レイリアとリディアは実の姉妹であるにもかかわらず血が繋がっていないのだと言う。その理由がレイリアに聖女としての能力があり。そのため王族に狙われてしまったかららしい。それで彼女はレイリアをかばったことで殺されかけたそうだ。

そんな時にリディアが助けに入ってくれたらしいのである。その時はまだ、リディアがこの世界に転生していない時の話らしい。そんな出来事の後リディアはこの国に残りレイリアの世話をしてあげているようだ。レイリアはその事を今でも感謝していて。何か困ったことが有る時はいつもリディアを頼ってきているので。リディアが俺と会わせてくれと言ったのもその辺りの事を詳しく知りたかったようだ。

(そんな話を聞けばリディアがレイリアの為に頑張っているのはわかるけどさ。だからと言ってレイリアが俺に対して恋をする必要が有るようにも思えないんだけどな。だって、まだ十歳だしな。でも見た目が見た目だから恋愛対象に見る人もいるだろうし。見た目が綺麗でも中身があれじゃあ、誰も好きにならないと思うんだが)

俺は心の中で呟くのだが、やはりまだ自分の心の中にモヤモヤした物が残っていることに気づきながらそのことについて考える事にしたのである。そうしているうちに、レイリアが部屋に戻ってきたので。俺はその事を彼女に聞いてみることにしたのであった。

俺はラドルの屋敷に戻って来ると部屋に戻るとすぐに眠ってしまった。そして目が覚めると既に夕方になっており慌てて支度を始めるのである。そんな慌ただしい中俺の元にリディアとラドルが訪れるとラドルは、リディアとの話をする前に食事をしようと言う。なので食事の前にリディアと話し合おうと思っていた俺にとってはとても助かる誘いであり喜んで受け入れることにしたのであった。リディアとは食堂に向かい料理が来るまでの間雑談をしながら時間を過ごした後本題に入ることになる。だが俺はリディアが口に出した言葉を聞いて思わず呆れ返る。そしてその俺の様子を見て、俺が何を考えリディアに言っていたのか見抜いてきたリディアだが、それでも諦めないと言い出すので俺はリディアに諦めるよう再度言い聞かせようとするが。俺は彼女の顔を見るとそれ以上は何も言えなくなってしまったのであった。

そして俺はレイリアの過去を聞く事になる。レイリアの話が終わると、今度は俺が話す番になる。俺はこの世界の人間では無い事をリディアに伝えるが。リディアはあまり驚いた様子もなく「それならば納得です。ユウジさんの態度からなんとなくそんな感じを受けていましたから。それとリリアお姉さまには黙っておいた方がよろしいですよ」と言われてしまう。

俺はレイリアに隠し事などしたくないからと伝えてみたのだが、リディアが真剣な表情で「わかりました。リリアがどんなに望んでも絶対に教えないで下さいね」と言われると。レイリアに嘘をついてしまっている自分が嫌になりながらも俺は了承するのであった。それからラドルがレイリアとの話し方についてリディアに助言をくれる。そしてリディアからの提案で。これからはお互いに呼び捨てにする事になった。

その後俺がレイリアと別れてからの出来事を話すことになった。そして、俺の口からリディアとの関係を改めてレイリアに伝え。レイリアの方は、ラドルにリディアのことを頼まれたことを告げると。彼女は少し寂しそうな表情を浮かべるが直ぐに笑顔に戻り「ユウジの側に居てあげるんだよ?私ができなかった分まで幸せにして貰うんだよ?」と笑顔で答えてくれた。そして最後に、レイリアとリディアが仲良くして欲しいことをリディアは俺の代わりに伝えてくれると。レイリアは泣き出してしまいそうになるのであった。

そんな彼女を抱き締めたリディアが優しい表情で頭を撫でると安心してくれたのか、涙も止まってくれたのを確認して、俺は部屋を出て行った。そして俺とリディアの二人が取り残された後。ラドルが話しかけてくるのだが、彼はリディアのことを諦めていないのがよく分かったため。とりあえず話を進めることにしたのだった。すると、まずはリディアから俺について質問される。

ラドルから俺が別の世界から来たことは聞いているのでリディアはそこまで驚くようなことは無かったが、リリアやリディア、それに他の人達と違う部分を聞き出そうとしていたようであった。それに関してはリディア達と違い普通の人と変わら無いことを説明する。その説明を聞いていたリディアは自分の胸に手を当て考え込んでしまうのである。そしてそんな様子を見かねてか、今度は俺からもリディアに問いかけてみると俺の言葉を聞いた瞬間彼女は俺を見つめてきたのである。

それからしばらくしてリディアが口を開き始めたのである。俺と初めて会った時のことや俺がリリアの事を気にかけていることを話し始めると。彼女は突然涙を流し始め、俺の話を中断させる。そして話の途中でもリディアはずっと泣いていたのである。そんな状態の彼女を見ていると俺までつられて泣き出してしまう。

そうしているうちにいつの間に時間が経っており。リディアも落ち着きを取り戻したため、ラドルに俺の気持ちを話せるかどうかリディアに確認をしてから、俺はラドルにあるお願いをすることにした。

それからラドルとリディアと一緒に城に行くことになるのだが、リディアは途中で一度ラドルの屋敷に戻るとラドルの娘達に挨拶をしてくると言い出した。その言葉に俺が同意するとリディアと俺は一緒に村に戻ることにするのであった。リディアと俺がラドルに村に帰る旨を伝えると。リドルが心配そうな顔をするが。俺が大丈夫だと告げると納得してくれ村に戻ることにしてくれたのである。

村に着く頃には日が暮れかけていたが、俺とリディアはラドルの家を訪ねると彼の娘達に迎え入れられる。リディアに事情を説明したところリディアの方は娘さん達が自分達を受け入れてくれる事を知って、その申し出を受けることに決めたようであった。そして、リディアが屋敷を出る前に娘さん達の面倒を見て欲しい事をラドルに伝えると。その言葉を聞いて、娘の身を案じてくれているのだと感じたラドルは快くその願いを受け入れる。そしてラドルから「君がもし困っているなら私の家に来なさい。君のような人がいれば私は嬉しいからね。もちろん、その判断をするのは君の自由だがね」と言われてしまうのである。その言葉が嬉しかったのか、ラドルに対してお礼を言いリディアはその場を後にしたのであった。

リディアが屋敷に戻ってきたのは夜遅くになってからだったが。その事は特に問題はなく。リディアと二人で食事を取り風呂に入った後は俺は眠りにつくことになる。そして次の日、俺はリディアに連れられて王都に向かって歩き出していたのであった。道中は特に変わった出来事が起きる事無く。俺はただ歩いて行くだけの退屈な時間を過ごす事になってしまったのである。

俺はリディアの隣を歩いているのだがリディアから特に会話がされる事も無く、俺としてはなんとも言えない空気に耐えられなくなっていた。しかしここで下手な事を言うわけにもいかないし、リディアから何の反応も無い事を考えると言い出すタイミングが無いように感じると俺は思うのだった。

(やっぱり無言のリディアと二人きりというのはかなりキツイな。でもまぁ、俺が何か言ったところで。余計に怒らせるだけかも知れないけど。このまま黙っていても何も進展はしないし、俺はリディアから何か反応が有るのを待ちながら話をしてみることにした。でも、この沈黙を破るきっかけになる話をしようとしても、なかなか思いつかない。そこで俺は前世にあった出来事を思い出すと、今の状況と似ているゲームを思い出したのだ。

そのゲームのジャンルは学園ラブコメ系ギャルゲーで、攻略キャラの誰かがリディアに似ていて、しかも、このゲームに出てくるヒロイン達は皆美少女で可愛いので俺は結構好きな作品の一つなのだ。それで思い出したのがそのゲームで出てくる主人公の妹の美奈実ちゃんがリディアに似過ぎていて、俺の妹としか思えないほど似ているということだ。それで俺の脳内にこんな思考が生まれていたのであった。

確か俺の持っている携帯アプリ版のエロゲーのヒロインにもリディアに似た容姿の子が出てきていたなと、その時の記憶を呼び起こし始めていた時、ふとある考えが頭に浮かんだので。リディアと話すきっかけを作るために俺は、この事を彼女に提案する事にした。

そうしているうちに俺はリディアとの共通点に気づく。そう、リディアはラドルの娘であるアメリアに良く似ておりそのことが理由でリディアと気が合うかもと俺は考えていたのである。そして俺が思いついた事を彼女に話し始めるとリディアの方も俺に話を振ってくるようになったので俺はホッと胸を撫で下ろすのであった。そしてリディアが、アメリアの話を始めると俺は何故か嫌なことを思い出してしまう。

(確かリディアが言ってたな。リリアはあの子に似ているって。つまり俺は、リリアの親族がラドル以外皆殺しになった事件に巻き込まれた可能性があるんだよな。それは俺にとって衝撃的な内容であったし。俺の知り合いの中に犯人が居る可能性が出てくると、俺の心の中にモヤモヤとした物が生まれる。だからリディアはそんな話を俺にして来たのだろう。)

そんな事を考えながらもリディアと俺は雑談を交わし続けると。彼女は俺に自分の過去を語り始める。

リディアは幼い頃に、父親から剣の手解きを受けていたがあまり上手く出来ずに剣術が苦手であったようだ。それが原因で彼女は他の令嬢よりも体つきがしっかりしており男勝りな性格になっていったらしい。だがリディアには憧れの女性がいたようで、彼女は将来その人みたいになりたいと言っていたと言う。そんな時に彼女はある出会いをする事になる。そしてその人物のおかげで彼女は強くなれたというのだ。それが彼女の初恋の相手らしくリディはその女性のことを今でも好きであると語ったのであった。そして彼女はこんな事を言っていた。「私がその人に少しでも近づこうとして頑張ったのがリリアに伝わってしまったのかもしれませんね」と言うと。

その人はもうこの世にはいないのだと悲しそうな表情でリディアは言う。俺はその話を聞いて彼女のことを心の底から応援したいと思うのだった。そしてリディアとしばらく歩いているとようやく王都に到着することが出来たのである。そして、王都内に入ってから俺達の周りは騒がしくなっていた。それも仕方ないだろう、何故なら、今までに俺が見たことがないほどの美しい銀髪の少女が隣にいるのだから、そしてその少女は周りから注目されてしまっているのだ。

「凄い目線が集まっているな。リディアってやっぱり人気があるんだな。それに、リディアと俺の関係についても興味があるのか。みんな、リディアの方ばかり見てくるぞ」

「確かに私の方を見て来る視線が多いですね。それと、タクトが一緒だから、私が珍しいのではなくて、この国の王女と勇者様が一緒に居て注目を浴びてるのではないでしょうか?」

そう言いリディアは少しだけ困ったような顔をしていた。俺としてはこの注目の集まり方に辟易していたので、リディアの気持ちがよく分かった。するとリディアが何かを思いついたのか。いきなり俺の腕にしがみついてきたのである。そしてリディアの突然の行動に周りの人達は更に驚いていたのであった。

リディアが突然腕を組んできた事でまた周りの人達がざわつく。

そして俺達の事が話題になっているようで、俺達を見に来た人達も多くなった。そして俺はそんな状況をどうにかするべく。リディアに声をかけることにする。

「なあリディア。これからどうしたらいい?この状況じゃ城まで行くのも一苦労だと思うんだよな。でもこのまま城まで行くしかないのかなと思ってさ。リディアさえ良かったら俺の方でなんとかしようと思ってるんだけど。その前にとりあえず手を離してくれるか?」

俺の言葉を聞いたリディアは俺の方を見つめて来て何か考え事をした後、名残惜しそうに手を話す。そんなリディアに、とりあえず今はこの状態のまま進むことに決めると。俺達は城まで向かったのであった。それから俺達が城に着いてもやはりまだ俺達に注目してくる者達が多かった。

俺はそんな奴らの相手をリディアにさせたくないと思ったので。リディアに申し訳ない気持ちになりながら彼女から離れる。それからリディアとラドルに案内されて謁見の間に通されると、王様とリディアの母親である王妃が待っていてくれていた。リディアは二人の側に歩み寄るとその事に気づいた二人は優しい笑顔を向けてくれたのであった。そして俺は改めて王様の前に行く。

ラドルは俺の後ろに立つのでリディアが一人になるのを心配したのであろう。ラドルなりに娘を守ってくれると決めた俺に対して気遣いを見せてくれるのが分かると。俺はラドルにお礼を伝える。すると彼は照れている様子を見せていたのである。俺はそのラドルの態度に苦笑いをしていると、目の前に座っている王様が口を開く。

「リディアよ、お前の事はラドルから話は聞いた。その男はお前の事を助けてくれたのだとな。その男に感謝せねばならんな」と、王さまが口に出すとラドルは深く頭を下げた。それを見た俺はラドルの行為を見習うように、ラドルと同じように感謝の意を表すために頭を軽く下げた。そして王は、俺に対して、ラドルやリディアの恩人である事を認め、王からの頼みを聞いて欲しいと告げる。その王の依頼とは。今度行われるパーティーに俺も参加するということなのだ。俺はその依頼内容を聞いて困惑してしまう。そしてその疑問を王にぶつけると、王が代わりに答えてくれる。その言葉を聞く限りそのイベントに参加をして欲しい理由は。今回の一件でリディアを救い出して来たことで王に対して俺の存在が知られたという事になる。

なので、その件も含めて俺に一度会わせたいと思っていたようだった。だから俺がその誘いを断れば面倒くさいことになると考えたらしい。そんな理由でパーティーへの参加を求められたのだが、正直なところ俺はその申し出を断りたかった。

というのも、俺はこの国を敵とみなしており。王もその事を理解してくれていたので。俺が王都にやって来た目的についてはある程度把握されているはずである。

なので俺からしたら、こんな風に呼び出しを受けて顔を合わせてしまったら。俺は確実に警戒心を解かないだろうと俺は思っていたのである。そんな俺の思いとは裏腹に王は、俺のその思いを知らずに、ただ単にお礼を伝えたかったという理由で俺にそのパーティーに参加して欲しいと言ってきた。俺はそんな王の言葉を疑い、その真意を確かめるように聞き返したが王は俺の目を見て真剣な口調で話し出した。

「これは、そなたの今後の為だ。そなたの力を知るために、そしてリディアを救う際に見せた実力の全てを見せる場として。この場を用意したのでそのように受けとってくれぬだろうか?」と、王が言うと。リディアが俺にこんな提案をしてきたのである。

「では、今ここで、あなたがどれくらいの実力者なのかを見せてもらっても良いですか?タクトの実力をこの国の人間に見せて欲しいのですがよろしいでしょうか?私は、父上の考えに理解は出来ても。それでもその事に関して思う所はあるので、私からもお願いします」と、俺に深々とお辞儀をして頼むリディアに俺は戸惑ってしまう。

「おい、リディア。俺は別にそんなことしなくてもいいんじゃないか?だって俺はこの国の連中なんて大嫌いだし。その国王に力を誇示する必要もないはずだ。それにもし俺がその王様の前で力を見せたりして、俺の実力を知られることになったら。それはそれで危険が降りかかってくる可能性があると思うんだ。俺の目的がこの国に敵対することだった場合。王様からその事を知られてしまって、俺の事がこの城の兵士達から漏れたりでもすれば俺は確実に殺されると思うんだ」

「それに関しては大丈夫です。先ほども申したとおり父は、あなたの事を気に入ったようですから。むしろ歓迎するはずですよ。まぁそれはともかく。タ、タクトには私の命の恩人になってもらいましたから、是非とも私としては。父の思惑通り、私の婿となって、ラドルの娘と結婚して頂きたいと思います」そう言って、リディアは何故か俺の目をジッと見てきたのである。その目を見た時に何故か俺の顔が熱くなり始めると、何故かリディアとキスをした時の感覚が蘇ってきたのであった。

そして俺が顔を赤く染め上げてしまうのが自分でも分かってしまい、リディアはそんな俺の姿を見て少しニヤけ始める。そしてリディアは更に追い打ちをかけて来ようとしたのである。俺は、そんな状況の中で、自分の心の中を見透かされたような気がしたので、動揺してしまい。思わず大きな声を上げてしまう。

「あ、当たり前だろうが!!俺はこの国の人なんて嫌いだし、そんな人達と結婚するつもりは無い!!」

俺が大きな声で否定してしまった為にリディアがキョトンとした表情でこちらを見ていた。その視線に耐えられなくなった俺は慌てて部屋を後にすると。リディア達と別れて俺は、この城から抜け出す方法を考えることにしたのである。

だがそんな簡単には抜け出せるはずがないと思い、とりあえず誰かを捕まえて俺のことを拘束してもらうのが一番だと考えて俺は城内で警備をしている騎士を見つけると事情を説明して俺のことを捕まえてもらうことにする。

「あの、すいません!俺がここにいたら邪魔になるとかで城から出なきゃいけないんですけど。どうやったらここから脱出できるんですか?」

「ん?あんたが勇者殿のお連れ様か?」

「えっと勇者というのは分からないんだけどもしかてタクトっていう名前に覚えがあるとか?」そう言うと騎士は俺の名前を知っていたようで、俺は彼にこの城を抜ける方法を聞くと彼は親切にも教えてくれた。しかし、彼の話を聞いた限り。俺にとってはその方法ではリスクが高過ぎるのと時間がかかるというのもあって、この方法が本当に有効なのかどうか疑心暗鬼になってしまう。俺はそんな気持ちになりながら、他に良い案があるわけでも無いのでとりあえずこの案で行くことに決めると、この城の出口まで行くとそこにはリディアの姿があった。

そしてリディアは、なぜか少し怒っているように見えたのである。そしてリディアはその事に気づくことなく。笑顔で話しかけてくるのだ。

そんな彼女の様子を確認した上で彼女が怒っていることはわかっていたのだが。その原因がわからないので何と声を掛ければいいのかがわらなかったのである。

リディアの様子を見る限りでは、まだ俺が抜け出してきたことに気づいていないようであった。そして俺の方からリディアに近づいていき「なんなんだこの状況は。どうして俺はこんな状況に陥っているのかがさっぱり分からなくて凄く怖いぞ」

俺は目の前にいるリディアに対して素直な感想を述べる。するとリディアが不思議そうな表情で俺の方を見つめて来た。

「タ、タクト!?」

俺の名前を呼んだ後、リディアの表情が変わると。彼女は突然抱きついてきて俺から離れなくなってしまった。そしてそのまま俺の首元に顔を埋める。俺としてはどうしたものかと考えていたが、そんなことを気にしている場合ではなかったのを思い出してすぐにリディアに声をかけた。

「ちょ、リディア!?一体どうなってるんだよ?説明してくれよ。俺は今、この国の騎士達に見つかって大変な事になりそうだと思って急いで城から出てきたところなんだよ。とりあえず今は早く逃げないとマズイんだよ」

そんな俺の言葉に対してリディアが「逃げる必要はありませんよ。私が許可を出しますから安心してください。とりあえず城に戻ってゆっくり話をしましょう」と言うので。俺はその言葉の意味がよく理解出来なかったので、俺はとりあえず言われた通りにする事にした。そして俺とリディアは二人で城に戻ることになったのである。

俺がリディアと一緒に城に戻ってきた時は当然、王から呼び出しを受けたのであった。それから王に会うために玉座の間に向かったのだが。そこには王様以外に、王妃とリディアの父親でもあるラドルがいたのである。そして俺達が玉座の前まで行くと王様が、俺に向かって口を開いた。

「そなたのことは、ラドルから話は聞いている」

その一言を聞いた時、ラドルを見ると彼は苦笑いをしていたので。ラドルもこの国と俺との関係について既に知っていてくれているようだった。なので、ラドルが王と内通していた事を知ったが。ラドルはそんな事を隠していた訳でもなく。ただ純粋にこの国の為を思ってやっていたのだと思う。だからこそラドルに対して罪悪感を抱くことはなく、むしろ感謝したいぐらいなのだが。それを言ったところで、ラドルが迷惑がる事は分かっているので何も言わずにおいたのである。

俺は王の次の発言を待つと。ラドルや俺に話を切り出した。それはリディアの事であり、彼女に対して王と王妃も感謝をしており、娘にもしもの事があれば力になりたいと申し出てくれた。俺は、リディアの身に何かが起きるような事はまずないと思っていたので王と王妃に感謝の意を伝えてから、俺がこの国にやってきた理由を説明した。

リディアを助けるためにやって来たことや、これから起こるかもしれない事、さらに俺はリディアとの約束で王都に居る間に俺とリディアとの関係を深めておく必要がある事などを説明する。

俺はそんな事を王たちに伝えると王は、やはり自分の予想が的中していたことに嬉しそうだった。俺は、この国を敵視する理由について、自分が魔王を倒すために旅に出た時にこの国に立ち寄ることがあるからこそ。敵対心をむき出しにして警戒する必要があることを伝えた。

しかしそれでもこの国に俺を引き留めたいらしい。そのことについてはラドルが説得すると言ってくれていたので俺は、この場ではそれ以上の事をする必要がないと判断したので。とりあえずその場を後にしたのだった。

そしてこの場にはもう一人俺に会いに来た人物が居た。その人は以前会ったことのある人で、確かラガスという名前だったはずだ。俺と目が合うと「久しぶりだね」と笑顔を浮かべるとラガスはそのままこの場から立ち去ってしまった。その様子を見ていて俺は、この人もラドルと繋がっているのではと考え始めていたのである。

ただ、その事が確信に変わることはなかった。というのもこの城ではリディアと会う機会が多かったからである。そんな俺とリディアが会話をしていて、ラガトがこちらを見てニヤニヤとしている。その視線に気づいたリディアが俺の方に振り返ると。「もう!!恥ずかしいからこっちを見ないでください!!」と俺に言ってくるので、俺は思わず笑みが零れる。そんなリディアの様子を眺めているうちに時間がどんどん過ぎていき、気が付けば夜になっていたのである。

この世界は日が沈んでからが本番で、夜の街は賑わっている。しかしそんな中、何故かこの城は、昼間と同じように慌ただしく動いていた。しかもその動きが城の中のあちこちで行われているので、俺は気になってその場所に行ってみると、そこはリディアがいる場所だったので。俺はその事を尋ねるためリディアの元へ行こうとした。

しかしリディアの所へ向かう途中で、ラドルと出会った。

ラドルも城の人達と同じく、俺達のために忙しく働いていたのであった。

俺はそんなラドルに質問をしたかったので彼に話しかけることにする。

「ちょっと良いか?」そう言って俺はリディアについて質問をした。しかし、リディアの事で話す事は俺にとって嬉しいことだったが、それはこの国が関係することでもあった。リディアは俺がこの国を訪れるまでは。普通の生活をしてきたが、リディアの父親が国王になってから、その日常は崩れてしまったようだ。それが原因でリディアの心は壊れてしまいそうになったが、リディアは自分の中で気持ちを切り替えることで、なんとか立ち直った。そしてこの国の王女として、この国を守っていく決意を新たにしたと。リディアからその話を聞いた時、俺は思わず涙が込み上げてきてしまう。そして俺はそんな辛い過去を持った彼女を幸せにしようと心の中で誓った。だが、そんな風に思ってくれているのは俺だけではないみたいだ。リディアもそのように感じていたようで。

この城に滞在し始めた当初は。他の貴族達の目があるので俺達はあまり関われなかったが、徐々にではあるがお互いに信頼関係を築き上げることができた。その結果が今回の一件である。俺とリディアは、互いの想いを再確認してからラドルと別れて、俺は部屋に戻ったのであった。

「ふぁあああーー」

朝起きて俺は、大きな欠伸をする。

昨日の夜。リディアと二人で部屋に戻ろうとした時のことである。

俺達は二人で仲良く話しながら歩いていると、一人の男が声をかけてきた。

「これは勇者様ではありませんか!それに姫様もおられるとは!」

俺に声をかけてきたのはこの国の宰相だった。俺は彼から呼び止められて、彼に案内されるがままこの王城の一室に招かれる。

「それでどういった用件ですか?」

「いや、大したことはございません。ただ勇者様と、少しばかり話してみたいと思いまして。まあ、本音を言えばこの国で何をしようとしているのかをお聞きしたかったんですが」

俺と話をしにこの部屋の扉の前にいたのだろう。俺は彼がそんな事を言うなんて思いもしなかった。

「それは、リディアから聞いてないんですか?リディアがここに来るまでの過程を話していたんですけど」

俺がそんなことを言うと、彼の表情が曇り、どこか納得の行かない様子を見せたのである。そんな彼を見ていたら俺は嫌な予感がしたので。その事に付いて追求することにした。彼は何かしらの情報を掴んでいるのかと俺は考えていたのだ。しかし、その情報が何なのかは分からない。でも俺は彼の口からその言葉を聞くまで信じたくはなかったのだ。

「リディアから聞こうと思ったんだけどね。なぜか彼女の様子がおかしかったんだ。まるで誰かに口止めをされているかのように、頑なに口を開こうとしないんだよ。その事に付いて君はなにかしらないかなと思って声を掛けたんだ」

すると彼は、少し考える仕草を見せながらも俺に向かって言葉を発した。

「申し訳ないのですが私からはお答えすることができません」と言うのだ。どうやらラドルは、本当に知らないらしいのだが、どうにも嘘を付いているように見えた。なので俺はこれ以上探る必要はないと判断してその場から去った。俺が立ち去る際に見たラドルの目はどこか悲しげなものを見つめるようなものだったからだ。そんな事を思い出しながら朝食を食べているとリディアが部屋の中に入ってくる。

どうやら俺のところに朝食を持ってきてくれたようだった。彼女は俺の隣に座り。いつも通りの微笑を見せる。そんなリディアに俺は、「今日の朝食は何だ?」と質問すると。リディアは笑顔で「今日はオムレツです」と言うので、俺は思わず「マジで!?」と驚いてしまう。リディアが作った料理が美味しいことは知っていたが。今まで俺の前で彼女が作ったことはなかったので俺は驚いたのである。そしてそんな驚きを隠しきれない俺に、リディアが「そんなに驚くような事じゃないと思いますよ。別に」と、言いながらも笑みを浮かべている。その光景を見て俺は幸せな気分に浸っていたが。すぐにその雰囲気が消える。

「そうそう。ラガスが呼んでいましたよ」と俺が食べ終わるタイミングを見計らってから言う。

そんな彼女に俺は何も答えることが出来ず。無言のままその場を離れた。

その後、俺は言われた通りにラガスの部屋を訪れた。ラガスが待っていた場所はこの国の大臣や貴族の面々がいる部屋であり、俺が来るのを待ち構えていたようだ。俺は部屋に入るなり「話がある」と言われてからこの国の方針について色々と教えてもらった。ラガスは、この国にあるギルドと呼ばれる組織と、騎士団や宮廷魔導士の人間を俺に協力させるつもりだと、俺に言ったのである。そのことに俺は素直に感謝をしたのだが。ラガスは俺に対して。魔王がこの世界に再び現れた時のことを聞いてきた。そのことについて俺は知っていることを全てラガスに話すと、今度はラガスの方で、俺に魔王の情報について質問をしてきて、俺はそれに対して、俺が知っている限りでの、奴に関する情報をラガスに伝えたのである。

ラガスと別れた後。俺は一人でこの王都の街を歩く。

王都の中は人が大勢いるため活気があり。俺のような冒険者が武器を売っている店の前に行くと、そこに置かれている様々な剣を見ては思わず興奮してしまうが、今の俺には、リディアを守るという役目があるため。あまりこの国を散策することができないが。それでもリディアとの思い出を作りたいと思っていた。

そしてこの王都の街は、俺がこの国に来た時から変わらず賑わっていた。

そして俺はこの国の街並みを見ていて、リディアのことを思ったのである。リディアもこの国に来てからはこんな感じの日々を送っていたのだろうかと考えると俺は自然と顔の筋肉が緩んでしまい。周りの人に不審に思われてしまった。俺はそのことに気づいたので、顔を元の状態に整えるために自分の両頬を思いっきり叩いて気合いを入れなおす。

「ふぅ~~」

息を大きく吐きながら自分の両手を見ると。叩いた部分が赤くなっている。

(これ絶対赤くなってるよな)

俺が痛みで若干泣きそうになっていると、後ろから声が聞こえてくる。その声の正体が分かった俺は、俺の名前を呼んだ人に向けて挨拶をした。

「おはようございます、ラガスさん」

俺が名前を呼ぶとラガスがこちらに近づいてくる。そして俺の横に来ると、俺の体を上から下へ見渡すようにして視線を動かした。

俺はそんな視線に居心地が悪くなったので、「どうかしましたか?」と言って、視線の事を尋ねようとするが、その前に俺の体に異変がない事をラガスは確認した。俺の体を確認した後に安心した表情を見せて「特に変わったところはないみたいですね」と言ったのである。その言葉を聞いた俺は何のことだかわからず困惑したが。とりあえず、俺の身を心配して、様子を見に来ていた事が分かる言葉だったので、嬉しく感じたのだ。

そんなやり取りをしていた俺たちの所に一人の少女が現れたのだ。

「お主たちは何をしておるんじゃ?」この国にやって来たばかりの頃は幼女だと思っていたが、実際はかなりの大人である。そんな彼女の名前はミリアンである。

「いや、ちょっとラガドの野郎に呼び出されていたんだ」

俺の言葉を聞いたミリアナは納得した様子を見せた。しかし俺にはまだ気になることがある。

「それは良いとして。どうしてミリアンナまで一緒なんだ?」

「いや、わらわがこの国を歩いておったらお主がこの王城に入ってきた所を見つけたので、そのまま付いて来てみたらラガスと出会っただけじゃぞ」

そう言って笑う彼女の姿を見た俺は苦笑いをする。するとミリアナもラガスも俺の反応を見て少しばかり楽しそうにしている。それから俺はリディアに会いたいという事を伝えると二人から止められてしまうが。その理由を聞こうとすると。俺の前に一人の騎士が現れる。そして俺は、この男と初めて会ったわけではない事に気づく。その男の事は覚えていたからである。

「あなた様がこの国の救世主様で間違いないですか?」その騎士からそう言われた時俺は正直に言うかどうか迷った。もしここで俺が違うと伝えたところでこの場にいる二人が信じるかどうかは分からなかったからだ。だからといって嘘をつくのは良くないと判断した俺は「そうだ」と答えたのである。すると俺の前に現れた男は、その場で膝を突き頭を深く下げる。

「この度は我が娘をお救いいただき誠にありがとうございました」その行動と言葉で、俺とミリアンナは彼が誰の娘を救ったか直ぐに分かった。

「私はこの国の第一王子であり、この国の王を務めさせていただいております。ラドンと申します」

「俺はタクト、この国のギルドに所属している者だ」

俺が自己紹介を終えるとラガンは立ち上がり、少しばかり話をしたいと申し出てきたので。俺はその申し入れを受け入れた。するとラガスも一緒に俺に話を聞きたいとお願いしてくる。

俺達はラガスと第一王女が待つ部屋に向かい、そこで話をすることになった。ラガスが部屋に入って来るのを確認するとラガンがラガスにも頭を下げる。それを見ていたラガスは、自分が王族だとしても礼節を尽くさない人間は許せない質らしく。そんなラガスの行動を快く思ってない様子を見せたが、そんな事は一切気にせずに、俺に質問を投げかけてきたのである。俺はラガン達から聞かれたことに対して答えた。すると彼は、俺がこの世界に来た経緯を知りたかったのか、俺が元いた世界の事や、家族や恋人などのことについて聞こうとしてきたが、俺は何も知らないと伝えると。なぜか彼は残念そうな表情を見せる。

そして話が一段落した後。俺は気になっていたことがあったので聞いてみることにした。「お前たちって、リディアの事どう思っているんだ? リディアは確かに美人だしスタイルもいい。しかも料理だって出来る」そんな俺の質問に対して、なぜか、ラガスは嫌そうな顔をしていた。しかしすぐに笑顔になり。ラガスは答えてくれる。

「まあ私にとっては大切な女性ですよ。この世界で彼女ほど美しい人はなかなかいませんよ」ラガスの言葉に俺は思わず同意してしまう。だが俺の隣に座っていたミリアンはなぜか不満そうにしていたが。

すると今度は、今まで一言も話さなかった、この国の姫がラガスに何か話そうと、口を開いたので、そのことに驚いた俺は彼女の言葉を止めようとしたが間に合わず。ラガスに向かってとんでもない発言をする。

「ラガスさんがそんな風に思っていたなんて意外ですわ。お姉さまのどこをそんなに気に入ったんですか?」と、言ったのである。そんな彼女の言葉に、この部屋の温度が一気に下がり、そのせいで部屋の中が寒くなったような気がした。俺とラガスは冷や汗を流すことしか出来ず。ラガスに至っては言葉すら出ない状況に陥っていた。そして俺はこの時になって気付いたのである。このラガルの姫も相当なブラコンだという事を。そしてその事を理解した俺はこれから先起こるであろう面倒ごとを考えると頭が痛くなる思いであった。

「そろそろ俺はリディアの元に向かう」

ラガスがラガルの王女の質問責めから解放された後、今度はラガンがリディアのことについて聞きたがったが。さすがにこれ以上ここに居たらラガスの精神面が持たないと思い。俺はリディアのところへ行くためにこの部屋を出ようとしたのだが。俺の後を追うように二人の人物が俺の目の前に現れる。

「俺も一緒に行かせてくれ」その人物はラガンだった。俺としては彼に来て欲しくはなかったが、それでも俺の返事を待たずに付いてくると分かっていたため、何も言わずそのままにしておくことにした。それにしてもラガスのあの落ち込みようは酷いものだったな。そんなにあの王女からの質問が苦痛な内容だったのだろうか。

俺はラガスと一緒にリディアが居る王城の中にある中庭に向かっていた。そこには既にリディアが待っており。俺が声をかけるよりも先に、彼女が俺の存在に気付き俺の名前を呼んでくれる。

そしてリディアに呼ばれたことで。他の人間たちも一斉にこちらに注目し始める。その視線には敵意が含まれている。

(仕方ないか)リディアの周りには多くの護衛の姿が確認できることから俺はそんな事を考えながら、この場に現れた。

リディアと出会ってもう2年になるんだっけか。俺が最初に彼女と会った時、彼女は奴隷商に捕まっていた。しかし今のリディアを見てみると。その当時は奴隷という身分が似合う容姿ではなかったはずだ。今のように美しすぎる女性になるだなんて想像できた奴は一人もいなかっただろう。そう思うと俺は思わず笑いそうになってしまう。するとそんな事を考えている俺を不思議そうに見つめる複数の瞳が存在した。その中の二人はもちろん、ミリアナとその妹のミリアだ。

(しかし本当に二人とも大きくなったなぁ)

ミリアは見た目的には13歳になったはずなのに。それでもまだ幼さが残っている感じに見えるが。ミリアナの方は大人っぽく見える。そんなことを考えていると。いつの間にか俺の前にラガスが立ちふさがり、俺を守るような形で俺の前に立つ。

そんな彼の様子を見た俺はため息をつくと。ミリアが「大丈夫だよ」と、ラガスに向けて言いながら俺の横に立ち俺の手を取る。

「え?」

俺からすれば突然の出来事で戸惑うしかなく。そしてミリアナも俺のことをラガスに渡してもらおうとしているのか、こちらに向けて歩いてくる。

「ミレア。お主はまたそうやって。お主も一応はこの男のことを信用していないんじゃなかったか?」

そんなミリアの行動にミリアナは呆れた様子を見せている。するとミリアナはこちらを一度見た後に、「でもタクトは悪い人じゃないから」と、ミリアに言うと。その言葉を聞いた俺は嬉しい気持ちになったが、ラガスとクレアが同時にこちらを見てきた事で、恥ずかしいと感じてつい下を向いてしまう。

それからクレアが、「タクト君」と、少し心配そうな声で言ってきたので俺は顔を上げると。なぜか俺と目が合った瞬間、俺の腕に絡みつくようにクレアが抱き着いてきたのである。俺はいきなりそんな行動をしてきたクレアの顔を見ることが出来ず。少し俯いてしまった。

そんな俺達の様子をミリアンは、俺とミリアナのことを見ながらニヤニヤとしているのである。そんな彼女の態度を見た俺は、ミリアナに何か言われて、慌てふためくミリアナの姿を思い浮かべて少し笑いそうになってしまった。

それからミリアナがミリアンに「何を言っているんだい」と、反論をしている様子だったが。それを無視する形でミリアナは、ミリアンの方に歩いていき、何やら耳打ちをする。するとその途端。

ミリアナがものすごい勢いでミリアンに平手打ちを食らわせたのだ。そして俺から離れていったミリアンをラガスが追いかけるようにその場から去っていく。そして俺はそんな二人の後ろ姿を見ていて、この二人ならきっとうまくやっていくんじゃないかと思ったのである。

それから俺は改めて自分の前に立っている人物を観察をした。

金髪碧眼の女性である。年齢は二十代後半あたりだと思えるが。その表情からは三十代の落ち着いた雰囲気を感じる。

この女性は確かリディアのお母さんであり。ラガル王国現王妃様である。

「ラガス、この方がこの国を救った英雄様ですね」その言葉を聞いて俺は驚くが。それと同時に納得する部分もある。

なぜなら、彼女の立ち振る舞いに品格があるからだ。そのおかげで俺に警戒心を持っていないように見える。

そしてこの人がなぜここに来たのか俺は気になっていた。俺に対しての挨拶などは特に無く。俺の隣にいるミリアンナとラガンに対して話し始めた。

「あなた達がタクトの仲間ね」と、言った後、少し考える素振りを見せる。俺はラガル王妃の言葉に対して疑問に思ったので。そのことを彼女に尋ねてみると。

「私はこの国の王妃でありながら、あなた達の敵でもあるのですよ」と言ったのである。

その言葉で、俺の中での疑問は全て解決したが、それと同時に、このラガルの王女がこの城に入ることができた理由が分かったので。俺としては特に何も問題は無かったので、俺とリディアのことについて聞いてみたが。ラガル王妃は何も答えなかった。そんな彼女に対して、俺の隣にいたミリアは。ラガスに向かって話しかけると。

「私がこのお姉ちゃんと一緒に居たほうが良かったかな?」と、聞いたのである。その言葉を聞いたラガスは。すぐにラガルドに向かって謝っていたので。

「別に構わないよ。俺もそっちの方が楽しいからね」と、ミリアに笑顔で答えたのだった。そのやり取りが終わった後、俺はラガル王妃にあることを尋ねる。それは俺の素性についてと、このラガル王国の現状についてだった。その事を聞くと、まず俺の素性に関してラガルは簡単にだが説明をしくれたのだ。

俺の名前はこの世界には存在しない。つまり俺は偽名をつかっているということだ。俺がこの世界に来る前の話だが。俺の世界にも名前という物が存在する。俺の場合は名前が幾つもあり。本名のほうはあまり使わないから、覚えているのはそこまで多くは無いけどな。

まぁそんなことは置いておくとして、ラガルは俺に、この世界には俺のような人間は、実はそんなに珍しくないと教えてくれた。この世界では、そういった存在は、冒険者ギルドに登録しているらしい。だからといってその人達全てがその登録をしているわけではない。中にはその事実を知らない人もいるようだ。ラガリアさんもその一人のようだ。

ちなみに、ラガレスという名前はラガロが付けた偽名だということが分かった。ラガルは、俺がこの国に居着くまではラガリアという名前を使っていたのだが。ラガスから、その名前で呼ばれることが気に入らないという理由で、偽名を使ってしまったとのことだ。

そして次にこの世界のことなのだが。今、このラガルの城下町では、レイティア姫の独裁政治が続いており。その結果、国民の半数以上が苦しんでいるということだった。しかもその中にはこの国の王女のレイリアも入ってしまっているという事だった。しかしそれだけではないらしく、レイティアは自分以外の女性全てを嫌っており、レイティアと仲良くしようとしない人間も許さないといった状況が続いているそうだ。そのせいもあってか、国民の間で暴動が多発しており。そのせいでこの国が現在どうなっているのかも分からないとのことだった。

最後にこの国についてなのだが。今現在の状況では、他の大国に攻められてしまうのが目に見えている状態らしい。この国はラガル以外にもいくつかの小国が存在しており。その小国の一つに、今攻め込まれようとしているという話だ。しかしその小国はラガラルよりも小さい規模の国なので。この国の人間たちは皆ラガラルに頼るしかなかった。しかしそんな状況を打開する方法は、今のところ見つかっていなかったみたいだ。

俺はそんな話をしてくれたラガルに感謝を述べて。今度はラガルに俺のことを尋ねた。俺がラガルにどのような目的で会いにきたのか。そしてこれから先何をしたいと思っているかだ。ラガスとミリアは俺の言葉を静かに聞いていた。俺としては、あまり俺の考えに付いてきて欲しくはないという思いが強いのだが。リディアもラガスもミリアも、そんな気持ちがまったく伝わっていない様子だった。俺がこの国にやってきた理由は単純だった。俺はこの国と敵対するつもりは全くない。ただ協力してほしいことがあったから来ただけだった。

俺の話が終わるとラガス達は、この国に残っていて欲しいと言ってくるが。俺はその誘いを断ったのだ。するとラガス達から少しだけ嫌な雰囲気を感じたが。そんな俺達の会話にラガルが割り込んで来る。

「タクトはラガスやミリアと同じ仲間だと思っていいのよね?そうであれば、貴方のお願いというのは、タクト一人でも出来る内容って事なのですか」と、質問をしてきたので。俺も、その通りだと答えた。

それからしばらく考えたラガルは、「分かりました」と、一言だけ口にしたのだった。すると、その言葉を待っていたかのように。

ミリアはラガルを抱きしめる。その突然の行動に対してラガレアは驚いていた。

「な、なんだい急に」と、少し戸惑うラガレアだったが、そんな彼女を見てミリアが笑いながら言うのである。

「お姉ちゃんの負けだよ。ラガス達とはここで別れた方がいいと思うよ。それと私もね」と、その言葉を聞いてラガルはミリアを見つめる。するとミリアはラガス達に向けて言うのである。「ラガスもだよ。お別れくらい言いたい人とか居るんじゃないの?」と。その言葉でラガンは少し悩んだ様子を見せた後。クレアの方を見ていたので。その言葉の意味が分かった俺は、ラガンに向けてクレアに話しかけた方が良いと促してみた。するとラガンはすぐに俺達に礼を言ってクレアの元へ走って行くのであった。

俺はそんな二人の様子を微笑ましく見ていると。俺の隣から視線を感じるのである。そこにはリディアが立っていたのだ。俺は彼女の瞳をじっと見ながら俺は口を開いた。

「本当に良かったのか?」

俺は少し申し訳なく思いつつもそう尋ねることにしたのだ。だってリディアには好きな人がいるのだし、それにラガル王妃とも血が繋がっているのに俺と一緒に行動するのはおかしいと思ったからである。その事を告げると。

「問題ありません」と、即答してきた。そんな彼女の様子を見て俺は苦笑いをしながらそうかと言う。すると俺とリディアの間にミリアナが入ってきたのである。

俺はそんな彼女を見て少し驚いた。まさかこの二人が仲良くなるとは思っても見なかったからだ。俺はミリアナに声をかけようとしたらミリアナに止められて。

「私がここに来れたのは、あの女のおかげなの」と、言われたので。俺はなんとなく察してしまうのであった。そしてリディアはそんなミリアンナの態度に何か思う所があったらしく。俺の事を睨んでくるのである。そんな二人の様子を見ていたら。リシアが現れて、この場の空気を変えてくれるのだ。

俺はリアナとリディアと共に、ミリアンとラガス達が居る場所に向かうのである。俺達が三人揃って向かうことで何かあるんじゃないかと思わせることが目的だ。

「久しぶりですねリリア。それにミリアと、リディア、ラガス。元気でやっていたかしら?」とミリアが挨拶をしたのでリシアは嬉しそうな表情をしていた。そしてラガスはラガル王妃の方を向きながらミリアンとラガルに謝り続けていた。

「あなたがラガスが話していたラガラスね。私はこの国を預かっている、ラガルです」と、自己紹介をした。そして続けてミリアに話を振るのだった。

「ところでミレア。あなたどうしてこの場所に来られたのかしら?この部屋に入る為には、許可証が必要なはずよ」と、言ったので、ラガルは、ミリアに対して「ラガル様」と呼び。俺とラガレスに対して少し頭を下げたのである。俺達がその光景を見た瞬間、部屋の外から声が聞こえてきた。その声の主はレイリアだったのである。その声を聞いたラガルはため息をつくと、仕方が無いという顔を浮かべた後に俺達に向けて。この部屋を出る様に言ってきたので、その通りにすることにした。

そのレイリアの声を聞きながら、俺は心の中で呟く。

(あいつが俺と同じような立場で無いのなら、どんなに楽なことか)

そんなことを考えつつ俺はラガルと一緒にラガルの私室へと向かうのである。そしてそこでこの国の状況を改めて教えてもらうことにするのであった。

俺がラガルと一緒に部屋に向っている間、この国の現状について話をしてもらう。このラガルの城下町ではレイリアという独裁者により支配されていること。この国はラガルという大国に支配されているということが問題になっているということ。そしてこのラガル王国では女性の地位は低いのだということを説明されたのである。しかしそんな現状に不満を持つ人間が多く存在しておりこの国の人口の約半分がそういった人たちで構成されているというのだ。

そしてそんな女性でも幸せになって良いはずだと主張する女性が、この国にもいるということだった。それはレイアの妹でもあるリザニアという人物だったのだとラガルは言う。その話を聞いた俺は、俺と同じで転生者がその人なのか気になり質問をしてみるが、残念だがそこまでの情報を彼女は持っていないらしく。

このラガルの城にいる人間の情報は全て把握していると言っていたのでその可能性は無いだろうなと考えていたのである。そんな会話をしているうちにラガルは私室に辿り着くと扉を開き俺達に中へ入るように伝えて来た。

ラガルドの部屋と比べると狭く質素な感じの部屋だなと思いながら中へ入ると。

俺はその内装から家具などの配置から、ここにある品々全てが高値のものばかりだということに気付き驚きを隠せなかった。そんな俺の反応を気にする事無くラガルは椅子に座るように指示をしてくれる。

俺は遠慮することなく席に着き。ラガルにも同じように着いて欲しいとお願いをする。そして俺が話し出したかった内容を話し始めたのだ。

その内容は、今現在の状況を説明してくれということと、この国が置かれている状況と、俺がラガル達に協力する条件だった。まずこの国の置かれている状況は、他の国との貿易を禁止されていることと、国民のほとんどがレイリアによって奴隷にされてしまったという事実がある事を伝えた上で、俺に協力して欲しい内容をラガルにお願いすると。少し考え込むようなしぐさを見せて答えてくれた。

「それならば協力しよう。しかし君が何が出来るというのだ?」と、言われてしまうが俺は正直、何をしていいのか全く分からない状態だったので困った顔をしてみせる。しかしすぐに思いついたことがあった。なのでそれを提案しようと考えると、この国に来た時に見た光景が脳裏に過ったのでそれをそのまま口にしてみたのだ。

「俺はこの国の人たちの笑顔を守りたい。俺はこの国の人間じゃないが、それでもこの国の人たちは皆、家族のような存在だと思ってるんだ。俺はそんな皆の笑顔を守る為に戦い続けようと思っています。そして皆を守れるだけの力が欲しいんです。その力を貴方達ラガルとラガス王妃に協力してもらえるとありがたいのですが、いかがでしょうか」

俺がラガルにそういうとラガスも俺の意見に賛同してくれると。俺達の協力を受け入れてくれることになる。俺のその言葉を聞いてラガルとラガスの二人はお互い見つめ合い笑い出す。俺もそんな二人を見て笑ってしまうのだった。するとラガルとラガスの二人からこのラガルド王国の姫が俺に会いたいと口にする。

俺達はこの国に来て間もないのに、こんな重要な人物から会わせてくれと頼まれるということは俺達のことを信用してくれたのかな?と思った。

そんなわけでラガルドの城の一室で待つことになり。少しの間お茶をしながら話をした。すると部屋の外からノックの音が鳴る。俺は立ち上がると「どうぞ」と言いながらドアを開くとそこには俺と同年代と思われる一人の美少女が立っていたのだ。

その子を見た俺は驚いてしまう。その少女はこの国を代表するかのような美人さんであり、まるでラガスの母親の様な優しい雰囲気を感じさせる女性なのだ。俺は思わず見とれてしまったがラガル王妃はラガスに向かってこう告げる。

「ラガラス。お前の妻として彼女を迎え入れろ。ラガレアは私が責任をもって面倒を見るから安心しろ」と、その発言に驚いた俺は、ラガレアの顔を見てみると苦笑いをしていた。

俺はそのラガルの言葉に対して、本当にそれで良いのか確認するが、ラガル王妃もラガレアもその言葉に賛成してくれたのである。そしてその言葉を受けて、ラガレアの婚約者となったラリアは、少し戸惑っていたが。俺は、彼女の気持ちを考え、ラガルにラガラドを呼んできてもらい、ラガルド王国へ来てからの事情を簡単に説明すると、俺達のこれからの方針について相談してみた。すると彼女も、レイリアがやっていることについて許せないという感情を持っていたようで、そのレイリアを打倒するために力を貸してくれることになったのであった。こうしてこの国に住むすべての女性のトップに立つラガラスとその王妃ラガリアと協力関係になることができたのである。しかしそれだけで満足していたらまた同じ過ちを繰り返すだけだと自分に言い聞かせて今後の行動を決めることにするのだった。

それから俺達が王都に戻りリアナと合流するとリディアとミリアンに俺達が協力していることを伝えると二人とも快く受け入れてくれていた。俺としても、ミリアンが居れば戦力的に申し分無いと思っていた。リリアとミリアンナもリディアの事を信頼しているのは一目瞭然だったので、俺もミリアも特に心配することはなかった。そんなミリアの様子を見ながら俺達4人は俺達の拠点となる場所へ向かうことに決める。そこで今後どうするかを考えるためにも一度俺達全員が集まるべきだろうと考えてのことだった。俺達はそんなことを思いながら移動を開始すると、俺は少し疑問が湧いたのであった。俺は歩きながらその事を考えていたのだが隣にいたクレアに声をかけられることで俺は我に帰る。そして何で立ち止まっていたのかというと、さっきから気になっていたことが頭に浮かんでいたからだそうだ。

俺はそんなことを考えながら歩いていくと拠点となる家が見えてきたのでとりあえず入るかと考え中に入る。中に入った俺達だがそこにいるはずの人間がいなかったので不思議に思ったのだ。しかし、その理由はすぐに分かった。家の中の掃除と食事の用意をして待っていたのだそうでリリアがその事を説明してくれた。その後に全員がリビングに集まったところでラガル王妃から話を始めることになった。

ラガル王妃は先程の会談での件について話し出したので俺達はそれぞれの考えを話合うことにするのだった。そしてこのラガル王国の現状については、ラガル王妃とラガルは現状維持を望むことを宣言したのだ。それに対して俺達側は現状維持に納得したが、その事で俺達が何もしなくても良いという事ではないということを、ラガルとラガレスに念を押した上で理解してもらった。そのことで二人はラガルド王国に対して、何か問題が起きた際には連絡してほしいと、お願いをしてくるので了承すると俺達がこのラガル王国でやりたいことは、この国の治安を回復させるために犯罪行為を働いているものを捕まえて罰を与えたいということだった。ラガルはラガレスと一緒にこの国に戻ってきた際に、その事を話し合って決めていたという。その話が終わるとラガル王妃は俺達に頼みごとをしてきたのだった。それはラガレスと共にある村へ行きそこで起こっている問題を解決してくれというものだった。俺達としては断る理由などなかったのですぐに引き受けたのだった。そんな会話が終わるころには日が落ちてきたので今日は休むことにしたのである。

翌日俺とラガスの二人で出かけることにした。そして俺達は馬車に乗り込むと目的のある場所へと向かって出発した。目的地はラガル王国の中でも一番の問題となっているスラム街に向かう事にしたのだ。そして俺はこの国に来た時に通った道を通りながらも馬車を進めていき目的の場所までたどり着いたのだ。俺はその場所を見て改めてひどいところだと思うと同時にこんなところをどうにかしたいという衝動に駆られる。そして馬車を降りると目の前には小さな子供たちと大人の男女が暮らしている建物が存在していたのだ。そしてその建物の外にいる一人の老婆が俺に話しかけてくる。この老婆の名は「カランサ」と言い、元々はこの街で一番の大店の商会の娘だったらしいが。父親が亡くなると、母親が他の男性と結婚してしまったらしく、それを知った彼女が父親の遺産を使って、店を大きくして、その金を使い自分の店をここまで発展させたということだった。

しかしそのせいで周りの人達に恨みを買ってしまい彼女は、いつ殺されてもおかしくない状況だという。俺はこの話を聞いていたがそれでもなんとかしてあげたいと思ってしまったのだ。

俺の考えがまとまるまで待っていてくれたカランサは俺の方に向き直ると真剣な眼差しを向けながら、自分が出来る限りで力になりたいと言ってくるので俺は彼女の申し出を受け入れることにしたのである。

そして俺はカランサを連れラガルド王妃と約束をしている村にたどり着く。そして俺とカランサはラガルドと待ち合わせをしている場所に到着するとラガル王妃と会うことが出来たのである。俺は、ラガル王妃に案内されて村の村長の家に訪れる。

俺はその部屋に通されるとそこにはラガルド王妃が椅子に座っていたので挨拶をしてから、俺とラガルドが席に着くとラガルがラガレアを呼びに行った。そしてしばらくしてから、ラガレアともう一人の男を連れて戻って来ると、その男の方はこの国の大臣を務めている男だと紹介を受けたのだった。その大臣がこの村に来た理由はこの国に住んでいる人たちの食料の確保の為だと言った。その話によると、元々この村は、他の村や町の人間たちが住んでいたが、その住人たちは皆この国を出る事を決めており、誰もいない無人の土地になったのだ。しかしそんな場所にも、魔物などの生物は住んでいる。なので、定期的に狩りをする為に、狩人がこの村を訪れていたが。ここ最近になって、魔道具の武器を持った兵士と騎士団の人間がこの村を訪れるようになったという。この村の人達はラガル王妃と、その夫が連れて来た騎士たちに助けを求めたのだという。しかし、それでも数が足りないのか。ラガル王妃と夫の2人だけでも対処が難しくなっているようで、困っていると口にしていた。

ラガル王妃がそんな事を言ってきたのだが、そんなラガルに対して、俺は、ラガレアが持ってきた武器を手に取り。俺は試し撃ちがしたいので外に出たいといい。その許可を出してもらうと、俺とラガルとラガルの部下数名で外へ出て。その武器が使えるかどうかを確認しようと行動を起こす。そして俺が、魔法を放つとその威力を見て驚いていた。そしてラガルとラガレアはラガレアがこの村の警備を担当している者達と、ラガルと俺の配下に、この武器の使い方を教えて欲しいと言ってきたのである。そして俺は、まず、部下の者たちから訓練をしていくことにしたのであった。

俺はラガル王妃やラガルから受け取った武器を両手に持つと魔法を放とうとするが。やはりその威力が想像以上だったため、その武器は使うことが難しいと判断した。そこで俺は魔法剣を作り出せるようなアイテムが無いかを聞くとそれがあれば作れる可能性があるという。そんなことを話していた俺だったがふと思いつく。俺の世界で作っていたゲームのキャラクターならそういう設定でも可笑しくは無いんじゃないかと思ったのである。そしてそれを確認してみたいのでその提案をラガル王妃にすると二つ返事でOKをしてくれた。俺はラガレアが持ってきてくれた。その二つの指輪を受け取り確認することにしたのである。その指輪は一見すると宝石が付いている装飾品にしか見えないのだが、俺はこの世界の技術がどのぐらいのレベルにあるのか分からないがこの世界の技術で作られている物とは思えない出来栄えの品物である。そして俺は早速その指輪を装着すると魔力を込め始めていった。そして、魔力を練り上げていき一つの魔法の発動に成功するのである。

俺は出来上がったその力を確かめるべく実験してみる事にする。俺はその力を解放させると俺が作り出した力について確認を始めたのである。

「さてさてどんな感じになっているのかな?」

そうつぶやきながら、俺はステータスを表示させる。そしてその結果を確認すると「はあ!?まじかよ!!」と思わず声を上げてしまうほどの結果だった。俺が作り出した力がどれほどの威力なのかを調べる為にも、この辺り一帯に結界を作り出すことに決めると、俺はこの場を隔離したのだ。そしてそれから数分後、俺は作った結界の中で、自分の持っている装備の確認を始めるのだった。しかしそこで一つ問題があったのだった。そう俺は今身につけている服以外は何ひとつ持ち合わせていないので、新しい鎧や武器を身に着けることが出来ないので困ってしまったのだ。そしてどうしようかと悩んでいた時に俺の頭に、ある事が浮かび上がってきた。それはラガレスの持っていたあの黒いローブの事を思い出したのだ。もしかしたらあのローブならば見た目は普通の黒一色なのだがその素材はかなり上等な生地を使っているのではないかと推測していたので俺としては是非手に入れたかった。その事を考えているときにまた、俺の頭に浮かんだ言葉があった。それが「空間収納」という言葉である。それを使えば何かと便利かもしれない。それに俺が着れそうなサイズの衣類などが入っている可能性も捨てきれないので一概には言えないが、どちらにせよ欲しいと思っていた為迷うことなく空間収納を使うことにしてみると成功したのだ。そして俺はその中に手を突っ込んで何かないかと探すと目的の物が手に触れたため俺は引っ張り出すと案外あっさり見つかった事に驚くと共に手に取ったものを見て俺は固まってしまった。何故ならばそこに存在していたのは先程話に出した黒い布で作られたフード付きのロングコートだったからだ。それも結構高レベルのものらしく。今の俺にとっては宝以外の何者でもなかった。そしてそれを鑑定した結果、俺の予想通りの代物のようで「超一級品質+++」となっていた。その効果は「全属性耐性」が付いており「HP強化」と「MP増強」が付与されていたのである。

俺はそれを身につけて鏡で自分の姿を確認したのだが、少し気になることがあったのだ。それと言うのもこの世界には髪の色を染めるという文化が存在しないはずなので普通に黒色のままでいるはずのなのに俺の髪の毛は銀色になっていたのだ。最初は見間違えだと思って何度も目を擦ってみたりしたがやはり銀に変わっていて俺は驚きを隠せなかった。しかしそのお陰で俺自身がこの国の人ではありえない髪色をしているにも関わらず、あまり違和感がない気がしてきたのだったのだ。なので俺はそのままの状態でラガレアたちの元に戻ることにするのだった。ラガルドは俺の姿を見て一瞬驚いた顔をしていたが俺が説明するとすぐに納得してくれていた。ラガル王妃の方は何ともいえない表情をしていた。そしてラガレアは俺の顔を見るなり嬉しそうに声をかけてくる。そして俺が作った防具はどうだったと聞いてくるので俺としてはかなり良かったと思っていると答えた。ラガレアの防具については俺はよく知らなかったので俺の武器の方はどうか聞くと俺の武器についても満足したと言っていたのだ。俺はラガレアから聞いた話で俺はある仮説を思いついていたのでそのことについて話しをしてもいいかとラガレアに相談を持ちかけるとラガルとラガル王妃が一緒に話を聞いてくれるという事になったのである。それだけではなくてこの村に滞在中の間この屋敷に滞在してくれても構わないと言ってくれたのだった。

その後俺とラガレア達は、一度ラガルドの城に戻っていき今後の対策を話し合う事に決めたのだった。俺達が話し合いを終えたあとはカランサの店で夕飯を食べてから帰る事にしたのだ。そして店を出る前に俺は、この店の店主にお願いしたいことがあると口にすると、俺の言葉を待っていたのか俺の頼みを聞くと言ってくれたので俺が頼むのはここら辺の人たちの為にも狩りを行ってほしいということを伝えた。

そして俺達は村へと戻って行き、村長の家に再び泊まらせて貰うことにする。俺は、ラガル王妃と明日の朝食は俺が用意するので食べてもらいたいと伝えたのだ。その提案に二人は賛成してもらえたのでその事を村長に伝えてもらうと俺達はすぐに眠りについたのである。

俺は翌朝になると昨日作っておいた朝ご飯の準備を始めるとラガレアたちも起きてきてくれた。そして全員が揃ってから食事をとる。ラガル王妃たちは美味しいと言ってくれたので嬉しい気持ちになる。

食事を終わらせた後俺は、この村の人たちを全員集めた方がいいんじゃないかと言ってきた。そして俺はラガルたちに、村に残っている人達をこの家まで集めてほしいとお願いをしたのだった。その事を伝え終わったあとに俺はラガルたちに、俺の仲間を紹介するとラガルたちは、その仲間の人たちと会うことになったのである。俺はレイティアを呼んでラガルたちと、レイティアが一緒に住んでもらうことになっている部屋に連れて行くことにしたのだった。俺はラガルたちにこの村の現状を説明することにしたのである。ラガル王妃たちには、魔物が襲ってくるので避難場所が必要なのだと話していた。そして俺は、俺の仲間が来ればその人達に護衛してもらうことになると話すとラガル王妃がこんなことを口にする。俺の仲間の人たちはそんなに強くないと言い張ってきたので、俺はラガレアたちなら余裕で対処出来る程度の相手なので安心してほしいと伝える。その言葉に安心してくれたラガル王妃は村の住民達に事情を説明しに行った。その間ラガル王妃の護衛をする為に残ることにした俺はラガレアたちに俺達の仲間が来たときに村の防衛を任せることを伝える。すると、この村にいる者たちに武器を持たせて欲しいとお願いされた。その事は俺は快く引き受けるとラガレアは礼を言ってきたので俺はその武器について確認をする。その武器がこの村にあることは知っていたので俺は確認をするため武器を持ってきてもらえるかとラガル王妃に伝えたのである。

俺はその武器を手に取り眺めているとやはりかなり高ランクな品物であることが分かったのだ。その刀は俺も愛用していた。その武器は「雷切」といい、かなりの名剣で斬撃の威力と魔力を溜めることが出来る優れもので、俺が一番使い慣れている剣でもあるのだった。そして他にも数振りほど同じような武器を持っていたのである。そんな感じで武器の確認をしていると、部屋のドアが開いた音が聞こえたと思った直後俺の体が突然宙に浮き壁にぶつかった。俺は慌てて振り返りその犯人を確認するとそこにはこの世界での俺の母親に当たるレイアの姿があったのである。そして彼女は俺の方に近づいて来るとその頬をビンタしたのだ。いきなりのことで何が起きたのか理解出来なかったが俺は彼女に文句を言うと彼女から「どうして私があなたを殴っているのか分かる?」と尋ねられたのだ。俺が答えに困った様子を見せていると今度は彼女が、何故ここにやって来たのかその理由を尋ねた。

「その質問に対する答えは二つ。一つは、君と君のお母さんは本当の親子関係ではない。二つ目は、君はもう既に死んでいる人間なんだ。」

俺はその事を告げたときの、レイアが悲痛な表情をしている事に気がつくと彼女のことを見ていられなくなったのだ。

「どういう意味?それじゃあ私は誰の子だというの?」

レイナは俺のことを見つめてそう訪ねてきた。そして俺は彼女に自分が異世界から来たことを明かす。それを聞いた彼女は、納得いったような表情をしていたので少しだけ安心する。だがまだ完全に納得したわけでもないのだろう。俺に対して疑うような眼差しを向けてきている。それを見た俺は「今更なんだけどさ。俺は、俺の名前は神威だよ。」そう言うと俺の名前を言った瞬間にレイアの体から膨大なオーラが溢れ出た。俺はそれに圧倒されてしまい何も喋れなくなってしまった。

(俺がレイシアのことを説明したときの比じゃないな。)

そしてレイアの放つオーラはやがて消えていきそれと同時にレイアスの方も消えてしまったのだった。

ラガレアの案内でラガル王妃たちは村人を集め終わりこれからどうするかと言う話をラガル王妃にしているとそこへラケルとクロナが現れたのだった。

そしてラケちゃんが私に任せろと言って俺の方を見てからラガル王妃たちに話し始める。そしてラケは俺に話したようにラガル王妃たちに説明していくのである。そしてそれをラガル王妃たちも聞いていた。

俺は、それが終わったタイミングでラガレアのところに駆け寄ると、俺が倒した奴らの素材を使っていいかラガレアに許可を取ることにする。そのことにラガレアが承諾してくれるとラガレアは俺に感謝を述べてくれたのである。そしてそのお陰でこの村を守ってくれとラガレアから言われた俺は、その依頼を引き受けると俺が倒した魔物達の素材を回収していくのだった。そして素材回収を終え俺達は一度村長の家に戻り昼食を食べてから村を離れることにする。俺の予想通りにラガレアの村に襲撃してきた者達がこの先にある森にも出現していたので俺はそこにいる敵を討伐するために動き出す。

そして俺が向かったのは、森の中の開けた場所にある広場のような場所で俺がそこで見た光景に驚いていた。

なぜなら、ラガル王妃がこの世界では絶対に見ることがないと思っていた魔法を発動させて大量の魔物と戦っていてそれをサポートする形で他の三人もラガル王妃と同じ系統の攻撃をしていたからだ。

その状況を見た俺は、ラガレアと、カランサの店に居る時に出会った二人を連れて急いでそちらの方へ向かう。そして到着すると、すぐに俺は敵に向かって攻撃を仕掛ける。そして敵の攻撃をいなしながら戦っていたラガル王妃と目が合ったので俺は一旦距離をとりラガル王妃と合流することにする。そして俺はラガル王妃たちに、ここの守りをラガル王妃達に任せて残りの二人は俺と一緒に行動することを提案する。俺の言葉にラガル王妃は賛成してくれたのだが、ラガルド王妃の方は反対をしてしまったのだった。そしてそんなラガルド王妃をラガレアとリシアが説得してなんとか俺に着いてきてくれるようになった。

そして、俺たちはこの村を襲った者の正体について確認をする。そしてその正体とは、かつて俺とこの世界を行き来していた際に共に冒険をしていて魔王軍の幹部の1人でもあった魔人族の女だった。

「貴様は何の目的でこの世界にやって来た。目的はなんだ!!」

俺はそう問いかけるが、その女は答えず、俺をバカにした態度をとっていた。そして戦闘が開始すると同時に、この場にいた全員のレベルが上昇したことがわかった。そして、その変化を感じたのか、女の顔色が変わり始めており、俺はこの女に勝てないと感じて、一度みんなを撤退させることにした。俺は、レイガの所に瞬間移動するとレイガを転移させるとレイガに、俺はラガル王妃たちを頼んで、この世界のどこかに居ると思う魔王を討伐してくると言ってこの世界に残ったのだ。そして俺がレイリアたちに話しかけようとした時に、この世界に来た時から身に付けていた、俺がこの世界に来てからはめなくなった、指輪が突如輝きだしたのである。その光は次第に強さを増していったのだ。その異変に気づいた俺はすぐにラガルドたちにも離れるように指示を出しレイリアの方に向き直ると俺に抱きついてきながら、俺にお願いがあると言ってきたのである。その事に俺は驚きながらもその内容を聞くことにした。

俺が内容を聞き終わると俺はすぐにレイガのところに向かう。

「悪い、俺にはやらなければならないことが出来たから俺はここを離れるよ。それと俺の仲間をこの村の警護をお願いしたいんだが頼めるか?」

俺のその言葉を聞いて俺は仲間を置いて行くつもりなのかと聞かれた。俺はそれに対して問題ないと返事をするのだった。そして俺が移動しようとしたその時にラガル王妃たちがこちらに向かって走って来たのだ。俺はラガル王妃たちに、俺がこの村を離れてしまう理由を説明して納得してもらうのだった。そして俺は仲間たちのいる場所まで向かうことにしたのである。俺はレイピアを呼び出してレイアに、ラガル王妃たちの事を任せることを伝えるとレイニアにレイアの事を任せるのだった。俺は俺に着いてきて来てくれるメンバーを見渡す。

そしてラガル王妃たちに別れを告げると俺はレイガと合流するために走り出したのであった。

レイリアがレイスと共にラガレアの村の警護をしていた頃。レイスの目の前に一人の女性が現れレイスに声をかける。そしてレイスが女性の方を見ると、その女性は笑みを浮かべたのだった。

「やっと見つけましたわよ。レイリア、レイシア、あなた方のことを待っていましたのよ?」

「あなたは、誰ですか?」

レイスは突然現れた女性に困惑している。

「まあ私のことなど、どうでもいいでしょう。それより、なぜあなた方はあの人の邪魔をするのでしょうか?私たちが居ればあの人が負けるわけなどないのですのに?」

「それはあなた達が彼の力を侮っているだけでしょう?確かに、彼も強いですけどそれでもまだあなたの主に比べれば格下なのは間違いないと思います。」

「なんですって!!私はただ純粋に疑問を尋ねただけなのに、それを馬鹿にするのであればもう容赦しないですよ。」

そう言ってその女性は魔力を高めていき、それを感じ取ったのか、レイスはレイスの前に出るとレイスの体に光が宿り始める。レイシアも、レイリアスを守るように前に出るとレイヴィアは、二人を見ながらニヤッと笑い「無駄な足掻きをしなさい」と言ったのだった。そして二人が構えを取った次の瞬間、レイスはレイヴィアに向かって駆け出し、レイヴィアが手を振り下ろすとレイスの足元から、炎の波のようなものが広がり襲い掛かられた。だが、その攻撃をレイシアが防ぐとその攻撃を無効化した。レイスはレイシアの後ろで詠唱を始めていてそれが完成された時。二人の周囲に、氷の刃が生み出され、一斉に、そして広範囲に広がっていったのだった。その攻撃を受けたレイヴィアは一瞬驚いた表情をするがすぐに戻るとその光景を見て「やはりあなた達じゃ私に勝つことは出来ませんね。」と言うと、両手を前にかざすとそこから黒い玉を作り出してそれをレイシアたちに向かって放つとレイスに「あなたに恨みはないのですが死んでもらいます」と告げてその攻撃を放ち、その攻撃を防ぐ為にレイスは障壁を展開しようとしていたが間に合わず直撃を受けてしまいそのまま倒れて気を失ってしまったのだった。それを確認した後レイシアはその場を離れていこうとしたが、その前に立ち塞がった女性がいたのである。

そして、レイスはその光景を目にしていた。レイシアがレイヴィアの攻撃に吹き飛ばされてしまい、そのレイシアにレイスとレイシアが駆けつけようとした瞬間、レイアが前に出てきてレイヴィアがレイスとレイアを吹き飛ばしたところを見ていた。そしてレイナがレイアの前に立って庇うようにしてレイティアがレイアを守ろうとレイナを退かすように手を払い退けようとしたが、レイナは、自分の体が勝手に動き始め、レイシアの元に向かって行ったのだった。

そのことにレイナも、レイアスも驚いていたがレイアの体は、その動きに合わせるようにして動いてしまい、その結果レイヴィアの元に辿り着いた時には、すでに、攻撃は放たれていたのである。

そして、その攻撃を受けてしまってレイアスは気を失ったのだが、意識が無くなったことで体の自由が戻ったのかレイシアの元へ駆け寄ろうと動いたその時、その攻撃の衝撃によって地面が崩れ落ちていくと、レイシアが巻き込まれそうになったのを見た瞬間レイアスの体から光の粒子が飛び出してレイシアの中に入るとすぐに意識が回復した。その出来事を近くで見ていたリリアは、すぐに駆け寄るとすぐに回復を行いレイシアに事情を聞いていたのである。

そしてレイシアの口からレイヴンが自分を守るためにレイヴィアに戦いを挑んでくれた事を知り。そのことを理解したレイシアはすぐに立ち上がり、その事を嬉しく思いつつもレイイアに対して警戒心を抱いていた。そしてそんな二人の様子をレインは黙って見ているだけだったのだった。

レイアがレイシアを連れて村から離れて行くとラケルは一人村に残ったラガレアと、ラガル王妃たちに村の警護を任せてから、急いである場所に転移を行う。するとその場所には魔王軍の四天王の一人である獣人族の女がそこにおりラガレアはラケの姿を見て驚くがラケルが魔王がこの世界に現れて襲撃して来たことと、レイスにレイシアとレイニアが連れ去られた事を報告するとラガル王妃たちは、それを聞いてショックを受けている様子だったがすぐにラケにレイシアを助けるために一緒に協力して欲しいと告げるのであった。ラケルはそれを聞いてすぐにラガル王妃のお願いを聞き入れて、これからレイスの後を追うために、ラガレアに、この村の警護を任せて一人で行動することを決めたのだった。そして、ラガレアにもしもの場合に備えてラガレアに、リリアと一緒にこの村を守って欲しいことをお願いするのだった。ラガレアもラケルの考えをすぐに汲み取り、ラケルのお願いを了承してレイシアたちが向かった方へと向かって行く。

その頃。レイスは、リリアに連れられて転移を行っていたのだった。レイヴィアは、突然目の前に現れた人族が自分達と同じ人ではないことに気づいたが。特に気にせずにレイディアにレイスが目を覚ましたら連れてきてもらうように指示を出してその人族の女性が去って行くのを見送るのだった。そして、その場に残ったレイシアとレイスを連れて行こうとしたのだが。レイスは、レイヴィアの隙をついて、転移を使おうとしていたがレイスとレイディアに捕まってしまい身動きが取れない状況になってしまう。そしてその間にレイヴィアはラギアの方に歩いていき、ラギアスに、「レイスが目覚め次第ここに戻ってきて欲しいのです。」と言ってこの場を離れていったのだった。そしてその話を聞いたラギアスは。この場を離れることを許可するが、もしレイヴィアとレイスのどちらかでもこの場を離れるようなことがあった場合。即座にレイスの命を奪うと言ってラギアスを脅し、その場を離れたのである。その行動にラガル王妃とラガルは焦るがラガルスがラギアスに向かってレイスの無事を信じようと説得をするがラギアスは聞く耳持たずにレイスが無事に戻ってくるまでこの場で待機するように命令をした。

そのラギアスの行動にレイヴィアはため息を吐くと。「分かりました。ただしレイスが戻ってこない場合。私達の方にも考えがありますのでご承知下さいね。あと念のためにレイシアはここで拘束したまま置いておきますからね?」そう言って、二人を置いていくことを決めてしまうのであった。その後レイシアは、自分の体を抱きしめながら涙を流し、必死になって逃げようとするが二人の力の前では何も出来ずに、されるがままの状態で運ばれてしまったのだった。

俺は、この村に向かって来る存在を感じ取っていたのである。

そして俺はその方向に目を向けるとそこには複数の敵が迫ってくるのが見えて俺は戦闘態勢を整えてレイス達にそのことを教える。

そのことを聞いた二人はすぐに村の人たちにこの村の警護を任せると俺は、この国を救いに向かうために、ラガレアのところに向かっていると。ラガレアは、俺の姿を確認するとラガル王妃たちを連れて避難を開始してくれていて、ラガレアも俺について来てもらえることになった。俺は、村の人達が安全になる様に、俺の仲間達と合流するように伝えると俺の仲間たちが、今どこで何をしているのかを簡単に説明しながら、仲間たちと合流するために、仲間たちが向かっている場所へと向かったのだった。そしてその道中にラガレスはラケルとリリアのことを質問してきたので。俺は二人と出会った時の話などをしていると。ラガル王妃が、ラガレストに、どうしてあなた達が、あの魔人の元にいるんですか!!と聞いてきて。

それに気づいたラガスと、リリスが二人の会話に入ってくると、まずはラガレッタは、魔王の命令で、今は魔王の命令を忠実に遂行することだけを考えて、レイシアとレイシアに敵対するものを倒す為に行動を共にしている事を話し、次に、自分はラガスの幼馴染であり、その仲間でもあり、そしてレイシアの眷属として忠誠を誓っていることをラガル王妃に話す。

そしてラガリスとリリスも同じ立場であることを話すと。それを聞いたリドル王がラケルに向かって、なぜ、私の娘のレイシアにそこまで執着をするのかと尋ねると。その理由は簡単ですわよ。と前置きした上で理由を話すがその前に、貴方達は、この世界の歴史をどれだけ知っていて?と聞き返してくるとラガレスとラガル王妃はその問いに答えようとしたがそれを止めたラケットは。歴史がどういった経緯で生まれた物なのかを説明した。それはとても長い内容だったが、要点をまとめるとその時代、この世界で、レイリアと呼ばれる、レイシアたちの世界では神様と呼ばれていて、その神が世界を創造した時に。最初に生み出された最初の生命は人間の子供ではなくて。竜や天使そして精霊と言った者達を生み出したのだと説明するのだった。そしてそれから数千年の月日が流れる間にレイリアスとその妻であるレシアと言う人物が誕生したのだが。その二人が生まれて数年が経つと突如世界に歪みが発生始めてやがてその歪みは世界中に広がってしまう事態になり始め。世界の秩序が保てなくなり始めた。そんなある時。レイリアスが神々の声を聞く事が出来ると判明するとレイリアスの妻であるレシアが夫に「レイリアスは神の加護を持っているようね」と口にすると。レイリアスも自分の妻が言った言葉を理解する。その日から。レイリアは、自分の力を使える人間を探していたのだ。しかし。レイリアスは自分の中に秘められた力と妻の言う通り、自分には神からの贈り物を授かっている事を知り。それなら自分の中にある力でどうにかできないのかと考え始めていたが。自分には特別な力は無いと気づき、そして考えた結果。自分がレイシア達を守ることが出来るように。自分以外の人間にも自分と同じ能力があるのか調べる方法を考えた。そしてたどり着いた結論は、自分と同じように特別な力が備わった人間が他にもいるはずだと考えてそれを調べ始めることにした。だがその結果レイリアスは自分の家族の中に特別な力を持つ者が居ない事を知って絶望するが。諦めずに調査を続けると、ある日、自分の子供たちの中に特殊な能力を持ち合わせている子供が存在していることに気づき。さらに詳しく調べていく内に。その子供が特別な力を持つのはこの世にただ一人しかいない事が判明した。そしてその少年が、レイティアの弟であることが分かりすぐにレイヴィアの元に使いを送ったのである。そしてレイスの母親はレイティアの妹だったのである。

その話を聞いた時、ラケルは、驚きながらも。ある事に気づくのだった。それは魔王と魔人が関係していることである。

レイティアが弟を可愛がっていたのも納得でき、ラケルがラケルディアに対して警戒心を抱いていた理由をようやく知ったのである。

俺はラケルからその事実を聞かされると驚いていた。

確かに俺の記憶の中でも魔王の子供には特別な力があって。俺の父親も俺が生まれた後にある儀式を行っていてそこで魔王と対面し何かを語り掛けていた。だけど俺が見た時は父親も母さんも普通の人だったはずなのだがな。そのことにラガレアは不思議に思っているのか。

ラガレアにそのことに関して質問をするがラガレアも分からないと答えていたのだった。

俺はそのことを頭に入れつつラケルたちにこの村に来るまでの道中の話をしながら向かっているとそこに突然空間の裂け目が開くのを見て。

そこから出てきたのは巨大な鳥のような魔物だった。その姿を見てラガレアたちは、驚くがラケは、「こんな所で出てくるなんて。この子は私が足止めするしかないのですね。ラケル、ラガレッタ後は頼みました。」と言って一人で立ち向かうことを選んだ。そしてその巨大で大きな羽ばたきを起こすと空高く飛んで行きそのまま飛び去ったのだった。ラケが立ち去っていく姿をラガレアたちは見届けた後。俺に視線を送って来たので、俺が、すぐに援護に入るために、ラケルと一緒に巨大の鳥の方に向うのだった。

そして俺はラケルの背中に乗り。ラケルと共に空を飛んで巨大の魔物に攻撃を仕掛けようとした瞬間。上空に魔法陣が描かれ始めると。その様子を見ていて。俺はラケルに攻撃を止めさせろと命じるとラケルは、それに従って攻撃をすぐに止める。その直後魔法陣から黒い雷が落ちて来たが。その黒い稲妻を俺はラケルを操り回避し、巨大の化け物は避け切ることができずにダメージを受けてしまう。その衝撃で地面に叩き落されてしまうが。すぐに態勢を整えると翼を使って空中へと浮かんで行く。俺はその間にレイスがどこに居るのかを探すと、ラガレスとラリスがレイスと戦っていた。そしてレイスはラガスによって拘束されていたのだが。ラガスはその拘束が意味がないことを理解していたのですぐさま拘束を解き、その場から離れたのだった。そしてすぐにラガレスは、レイスに剣を向けてレイスを殺そうとしていたのだが。ラケルはレイスを殺すことをためらってしまう。そしてその隙にラガレスが攻撃して、その攻撃が命中してしまったのだ。その攻撃を受けたレイスはラガスに向かって攻撃を仕掛けるがラガスはそれを余裕で受け止めると。ラガスはそのまま、蹴りを入れて、ラガスの攻撃を食らい続けてしまったレイスがその場に膝をついてしまったのだ。そして俺はその時。

ラガスに向かって剣を振り下ろしてきた奴がいたので俺が剣を受け止めながらその攻撃を受け流してから反撃に移ろうとしたのだが。相手の方が上手だったのか俺は受け流すことが出来ずにその一撃を貰ってしまい吹っ飛ばされてしまう。その時にレイスがその相手に襲いかかろうとしていたが。その時にラガル王妃とラガレスが二人に向かって武器を振るってきたので俺はその二人に向かって攻撃を仕掛けたのだ。俺はラガスに「ここは一旦下がるぞ!!」と声をかけてレイガに撤退の指示を出してラガレスとラガスは一度この場から離れることになった。

レイスに襲い掛かって来たのは勇者だったのだ。

俺は勇者を睨みつけていたが、俺はレイナがこの世界に戻ってきたことを知っていたため。レイナは、レイガに殺されたのだと知りレイガがこの国に復讐をしようとしてきていることも知っていたので俺はすぐにこの勇者をレイスに殺させようと考えたが俺はあえてその選択を選ばず。勇者にレイガを拘束させることを頼んだのである。俺は、レイガが勇者を殺してしまいそうな気がしたからだ。そしてそのことは当たっていたようで。勇者にレイガは、殺されかけていた。

だが、そんなとき、突如レイガに加勢してきたのはラガレス達とリリスだったのである。俺はリリスに、今すぐこの国から出て行け!!と叫ぶが。その言葉にラガレスが激怒しリリスと一戦を交えた。そしてラガスが俺をかばおうとしたが。俺はラガスにラガレスを連れて、今すぐにレイリアの元に戻ってもらうように頼むとラガレスはすぐにその言葉に従い。そしてレイガに、レイガの実力を計るから手加減しろと言うとレイスもそれを了承すると。レイスがリリスに切りかかるとリリスがそれをかわしていく。そしてリリスもレイスに切りかかり始めるが。

リリスとレイスの力には大きな差があることが分かった。なぜならリリスとレイスとではレイスとの格が違うからである。レイスがレイガに切りかかるとその剣を防ぐことができなくて吹き飛ばれた。レイスがすぐに態勢を立て直そうとしたところにリリスがレイレスに追撃をして追い詰めるのだがレイスの方もただやられているだけではなく。レイガがラガル王妃の拘束から逃れ。そして勇者とラガル王妃がラガスとリリスに仕掛けて。リガスは、ラガル王妃に応戦するが、レイシア達とリリア達も参戦していてかなり不利そうだったので、俺はレイシア達と合流するようにラケルに伝えて俺とレイスの戦いに集中することにしたのだった。

レイシア達はリゲルたちを相手にしていたのだが。その数はかなり多く、しかも一人ひとりの実力は、この世界の中で上から数えるほど強い者達ばかりで、苦戦を強いられている状態だった。レイリア達はその状況を見て、このままじゃ、この国の人皆死んじゃうと思ったのか。

「お姉さま達助けに行くのですよ」とレイリアが言うとそれに答えるように、妹達二人がレイシア達の所に向かうが、リディアは妹のレイシア達を止めようとしたが、「大丈夫なのです」と言って二人のレイシアが走り出していく。そして姉妹が合流すると三人同時に魔法を放ち攻撃を始めた。そしてレイアは剣を持って斬りかかるが。ラケは槍を手に持ちレイアスの突きをかわしながら、槍の先でレイアスの体を突いて行くが、それでもレイスは全くダメージを負っていなかった。そしてそのまま、リデアの背後を取り、ラギアの方を向いたとき、ラケが剣を突き刺すのだったが。ラケルはその行動を見て舌打ちをした。なぜならラケの剣はリデアを貫くことはできなかった。ラケルはそのことを確認すると後ろに跳躍しながら距離を取ってレイスの動きを警戒したが、ラケルは、その瞬間ラガス達が戦闘をしている場所が突然消えたことに驚いていた。そしてラケルが驚きながらも。何が起きたのかを確認しようとした時。ラガスとレイガの戦闘が始まった。ラケはラガレス達の元に駆け寄り、そこで戦況を見た。

レイレスの圧倒的な力で、リネス達と互角以上の戦いを繰り広げている姿を見て。そのことに驚いた。だが、そのレイレスがレイガスに倒されたことを、ラケルが確認したとき。リリアと、リリィが、その戦場から逃げ出し始めた。そしてそれに気付いたレイスはすぐにレイリア達に追いかけさせるように指示を出した。そしてラガスは、レイガスの事を気にしつつもレイティアとレイレリアを追いかけることにしたのだった。

レイリスとレイスは、お互いの力量差を感じ取るとすぐにレイスが逃げ出そうとした瞬間に。ラケに、腕を切り落とされてしまう。そのことにラガレスは、ラガレスがラケに、俺を守れと命じると、レイスはそのままレイガと戦い続けることになった。レイスは、何とかラガスから逃げることを考えるがラガスの足からは逃れられず。そのまま捕まってしまった。

レイガスは自分が捕まることなど予想していなかったのか?すぐに、レイガに自分の事を殺すように懇願するが。

レイスが殺される前に。レイスはラケが自分を殺した後に殺すのを待っているとレイレスの体が一瞬で燃え始めてしまい、それが全身に行き渡り、レイスは死んだのだった。そのことを確認した後ラガレアはレイガとラガレスの所にラリスと一緒に駆けつけて来た。ラガレスがレイガスをどうするべきか聞くと、俺は殺しはせずに生け捕りにして欲しいと伝えると、レイガスが生き返らないか確認するため、レイスの死体を見張ることにした。その後ラガレスは、レイスが殺されたのですぐに城の中に戻ろうとしたが、レイスの体はラガスに剣を突かれた箇所を中心に徐々に凍っていくのが目に入った。そして、ラガレスは俺に向かって。レイレスの事はラケルに任せろと言い出すと、そのまま、ラガスを連れてレイスの死体を置いて城に撤退していった。

ラガレス達が撤退するのを確認した後ラガレスが言っていたラケルに俺の護衛を頼みたいといい出したので俺はその頼みを聞くことにした。俺は、この場にいるのも危険なのは分かっているので、まずはラガスとラガレスが戻ってくるのを待つと、レイガとレイスに殺されかけていた。

ラガスが俺のもとに急いで近づいてくると。俺に向かって、今すぐここから離れて別の場所に避難するようにと指示を出して来る。そしてその言葉にラケが反論しようとすると。俺はそれを手で制してすぐに移動することにしたのだ。ラケは、ラガスの言葉に逆らえないとすぐに察したからだった。

俺はラガスとラケに付いてきてもらいながらこの国から脱出するための移動を始めていたのだが。

俺の前に一人の女性が降り立ったのだ。そしてその女性は「やっと見つけましたわよ。この国の人達を私のために犠牲にさせた。あなたにここで引導を渡します。覚悟してくださいね。勇者ラガス様」と言ったのである。

勇者が現れたことにラガレスは気付くと。俺の目の前に降り立ち剣を抜いて構えていた。俺も、その女のことをよく知っている。なぜなら彼女は、レイガが魔王を討伐する前に仲間にしていた元勇者の仲間の一人だからだ。

俺はその女の名前を「お前、まさかこの世界に戻って来ていたというのか?」とラガスに言うとラガスは「そうだな、確かにこいつはこの世界で勇者の次に強かったかもしれないが。こいつは、俺に勝てないってことを教えたら素直に従うようになったぞ」と答えると。その勇者が、その答えに怒るように大声で叫ぶ。「この男は私の獲物です!!あなたが邪魔しないで下さい!!この男がレイガさんと戦えば。この世界の未来はなくなるのです!!レイシア姫とレイス王はレイガさんの手に堕ちてしまったのですから!!」と言うとその言葉を聞いていたラガレスが「貴様レイスまで殺ったのか!!」と叫んだ。そしてラケがその勇者に対して攻撃を仕掛ける。そして勇者は攻撃を避けたのだが、そこにレイガも攻撃を仕掛けて。レイガが剣を振り下ろすと勇者は防ぐことが出来ずにその一撃を食らい地面に叩きつけられてしまう。

勇者にレイガが切りかかろうとすると。勇者の体が炎を纏うとそのまま空中に舞い上がると、上空に上昇していく。その行動を見てラガレスは「あの技、確か俺の師匠のレイナの使っていた技と似ているが。あいつにあんな能力は使えなかったはずだ。いや、違うな。あいつの持っていた魔力を限界を超えて使った時に起きる現象と同じなのか。でも、なんでこんな場所に現れてきたのか分からん」と言うと、ラガレアは、ある一つの仮説を立てることができたのか、すぐにラガスに向かって叫ぶ。

そしてレイスの方は、なぜかこちらに攻撃をしようとはせずにレイシアの方を睨みつけていたのであった。

ラケが勇者の攻撃を受けて吹き飛ばされた直後、レイスは勇者の行動に反応していてラガレスはそんなラケの方に駆け寄る。そしてレイスがラガスに攻撃を加えようとしたが、それをレイシアの剣が阻む。そして俺の目の前には、レイレスがいたのだった。レイレスは、自分の持っている刀で、ラガスの斬撃を受け止めているが、レイガとレイレスの二人はかなりの力の持ち主であり。このまま押し切られてもおかしくはないと思ったが。俺は二人の剣が触れている部分に雷を放つと、レイレスはその行動を見てすぐに離れていくと、ラガスもその場から離れてレイスとの距離を開けることに成功した。そのレイレスの態度を見て。何かがあると思い。そして俺はすぐにレイティアがラガレアによって拘束された状態でいる場所に走って行く。そのことにレイレスが反応するが、俺とレイレスの間には、レイシアが立ちふさがっていて近づけさせはしなかった。

ラケル達が戻ってきたとき、すでに戦闘が始まっており。その戦闘の光景を見たラケル達は、その戦いの勝敗を予想できたが。

レイシアの方は、その状況を見たときに、「このままだとリディア達が死んでしまう。早くなんとかしないと」と思ったらしく。ラガレスが止めるのにもかかわらず。戦闘に参加してしまうのだった。そしてラガレア達は、戦闘を行っている場所から離れることにしたのだった。

ラガレス達がその場所から離れている間にも。リリス達とリディア達が戦っており。リリス達の方が人数的には不利な状況になっていたが、リディアの方は数の上で有利な状況を作られないように注意しながら戦ったのである。

レイレス達との戦いが行われている時。リゲルがラガスの元に近づいていた。ラガスもリゲルの存在に気が付いていたのでリゲレスは俺にラガスがリゲルと戦って欲しいというお願いをしてくる。そして俺は、リケ達と共にリリス達の所に行き、ラケが勇者と戦いラケルは、ラリスの所に、レイスと一緒に向かう。レイスに関してはラリスがレイスと戦うようにラケルが誘導したようだった。そのレイスとレイスが連れてきたリリスがラケルの前に立ち塞がるが、レイスはレイスの後ろに隠れていて。ラケルがレイスに俺が戦うから後ろで待機しろと命じるが、それでもラケルの指示を無視してレイスはレイリスを守ろうと動くのであった。そのことにイラっとしたレイスはラケルに殴りかかると、すぐに反撃をして、ラケルがラリスにレイリスを任せると言ってレイレスに突っ込んでいった。

レイレスはレイレスで、その言葉を聞いてすぐに後ろに下がる。

俺はレイレレスの目の前に現れると。レイレスは剣を鞘に納めると。腰から刀を抜くのである。

そしてレイレスが俺に剣を突き付けながら、「勇者ラガス様に変わって私が相手になってあげる。光栄に思いなさいよ」と、言い放ってくるが、その言葉を聞いたラケルがレイレスに向かって叫び。俺とレイレスの戦いに手を出すなと言うと、レイレスは、それなら仕方がないわねと言いながら。その言葉を聞いていたレイレスの仲間がレイレスの事を馬鹿にし始めたのである。「さすが、元勇者様だぜ。自分より弱い相手を倒せる自信があるんだろう。本当に凄い奴だよ。そのお強い心があれば。この世界でも、きっと上手くいくんじゃねえか?」などと言って。さらに仲間の一人が。レイレスのことを「あんたは元の世界では自分が強かったのかもしれないけど。ここは元の世界じゃない。だから、もういい大人なんだし。子供相手に偉そうなことを言うのを止めたらどう? それに、その男に勝ったとしても。そいつに勝てるわけないのよ。レイス様がいれば私達は最強になる。あなたみたいなのがいる必要はないの」と言ったところでラケルが「黙れ、貴様らがレイシア姫を、そしてそのレイス様を殺したのか!!」と言い放ったのである。そして俺とレイレスの戦闘が始まり俺はレイレスに向かって剣を向けると、俺とレイレスの間に、黒い球体が出現するとその中からラギアが現れる。その出現方法に俺以外のみんなは驚きを隠せない表情になり。ラケが、俺がラギアを呼んだことで、ラガレアに助けを求めに行った。

そして俺も俺でラギがラガレアを連れてここに来てしまったので、この状況に、ラケル達を助けることができないと判断したので。仕方なくラガレアに任せることにすると。レイレスの仲間が俺に「ラギア、あなたが勇者を倒してしまいなさい。その男はあなたの敵ではありません。あなたが勝てないはずありませんよね?」と声をかけると。ラギアが、すぐに俺に向けて飛びかかってきた。俺はそのラギアの動きに合わせて雷を放ちラガスが使う技でラギアを攻撃し始めると、その攻撃が当たる前にラギアは移動を始めるのだが、ラギの剣とラギアの攻撃が衝突する寸前に。突然レイレレスが現れて、ラガレスの攻撃を受け止めたのである。ラガスとレイスの二人を仲間にしてしまったレイレスは俺よりも強くなっているのである。

俺の雷を簡単に弾き返したラレスはそのまま、剣に風を纏わせると。俺に切りかかったのである。

そのラレスが使っている剣を見て俺は驚愕することになる。その剣は俺の使っていた剣であったからだ。

その俺の動揺している姿を見て。俺にラギアの攻撃が当たりそうになるが俺はそれをかわすと。俺はラギアの持っている剣を奪う為に、攻撃を仕掛けることにした。そして俺の剣が、ラギアの体に切り込もうとしたが、ラギアの体が霧状になり俺の攻撃をかわされてしまう。

俺は、その行動を見た後にすぐにその場から離れようとしたら、今度はレイレスから斬りかかられる。俺はそれを受け止めた瞬間、俺の背後にいたラギアが俺の背中を切り裂こうとした。だが俺とラガスはお互いの気配が分かるため。俺はその攻撃が来ることが分かっていたので、ラギの持っている剣を手から離してラギアに剣を振り抜き。レイスの斬撃と、ラギが振り抜いた剣を防ぐことに成功する。俺はレイレスに蹴りを入れると。ラガレアとラケの二人が駆けつけてくれて、俺達に攻撃しようとしたラギとラガスを吹き飛ばす。そしてラケはレイシアの元に近寄ったのだ。ラケルはその間に、ラガレアに指示を出して、勇者と戦っているリリア達の所に行かせた。俺はすぐに立ち上がり。俺はレイレスに向かって話しかけた。

「お前に聞きたいことがある」

「なんですか?」

「お前が使っている武器、それは、どこから手に入れたんだ!」

俺はレイレスが持っている剣を見ながら言うと。レイレスはその質問に答える。

俺がラガレアに剣を託したとき。俺にレイレスを殺させて欲しいと頼むが。

しかし俺はそれを拒んだのである。その理由としては、まず第一段階として勇者は殺すなと言われていて。第二段階も勇者の殺害は禁止されていたからだった。それと第三段階では、もし殺しそうになったら気絶させてほしいと言われていたからである。その事はしっかりと覚えていたので俺もラガレオが言っていたことは守るように行動することにした。そして俺は今ラケルと戦っていて、その戦いに集中していた時に、あの武器を手に入れた時の記憶を思い出せなくなったのだ。そしてその事に気が付くのにかなり時間を要してしまったが思い出す事に成功したのだ。そうして思い出した後、俺が最初に思ったことはなぜあいつはこの世界にある剣を使っているのだろうという疑問と何故俺の記憶が無いときにこんなにも色々なことがあったのだろうかという事が同時に襲ってきたのだった。そこでレイレスが「この世界で作られているわけではないですよ?これはあなた達が異世界から来たときに持っていた剣です。この世界の人が持っていても何も意味がないので、私の主からいただきました。これさえあれば、魔王を封印できると思いましてね。でもこの世界の人間が使えばその効力を失うみたいですね。なので、私はこの国の王を殺すことに使うことにしました」と答えたのである。その言葉を聞いた時、レイスが言った言葉の意味がよくわからなかった。だがその後すぐにラケルから説明を受けることになった。そして俺はラガレアから剣を返してもらうとすぐにラガレア達と一緒にラケルの元に行く。その時すでにリゲルは俺達の戦いに参戦しようとしていたので俺達は急いでリゲルの元へ駆けつけたのだった。そしてリディアの方にも異変が起こり始めたのである。リリスが、リディアに向かって「どうせ死ぬんでしょう。最後に私の為にその力を見せてください」と言ってきた。リディアはそれに対して、リゲルと一緒に戦っていたのはリリスだけじゃなくてリシアもいるのだからと言い放つとリディアの体を覆っている力が強まると。リリスが「もうそんなこと言ってる場合ではないんですよ!!リリスの力は、レイレスの剣の魔力のおかげでリリス自身の魔力が上がっているんですからね。そしてリディアが身に着けている、その指輪はもう使い物にならないぐらい壊れています。それならば、レイリスの力を宿したこの魔石の力でその体を手に入れれば、また一緒に遊べるのよ。その程度の事も分からない馬鹿じゃないでしょう?」と言ってきてくれた。それを聞いたリディアが「あなた達が言っていることは本当?」と言ってきた。

リリス達もラリスの方に目を向けると、そこには、自分の姉であるリリスを睨みつけるラリスの姿があったのである。

その状況を確認した俺はリリスに話を聞いてみることにする。

「おい、リリスどういうことだ! さっきの話を聞く限りだと、その指輪に俺が嵌め込んでいるのはリリアさんが作った、指輪なのか」

俺はリシアとラケルと俺でレイシアの作ったレイレスの剣に対抗するために作られた魔法道具を使って俺の中に存在している俺が作り上げてきた、俺と繋がっている人格の一部を解放すると、ラガレオの体に埋め込まれている魔石の核となる場所に取り付ける事にした。だがそれがうまくいかずにレイレスが、俺から奪って来たので俺の体は元通りになってしまったのだが、その剣には特別な効果が備わっていたようで、俺がラケルに頼んでいたように、剣に込められている剣の所持者以外の者の魔力を吸収し、それを剣に蓄えていく能力があり、それにラギアが触れたら吸収され。剣に蓄えられる。そして蓄積されている力は所有者本人のものになるという効果だ。ラケルが言っていたが。

レイシアの剣に使われている宝石が魔石を核にしている剣と同じように、魔石によって剣の能力を限界まで高めているという事だったので、俺の人格の一部が解放された状態で、その宝玉を剣に取り込むことに成功した。俺はそれをすぐにレイスに使ったがレイレスに避けられてしまい、俺の手にあった魔石の宝玉は地面に転がってしまう。しかしレイレスはそれを拾おうとした瞬間。ラケルがそのレイレスの行動を見て動き出した。その行動にラガレアが気が付き。俺はラガレアにレイレスの相手を任せるとラガレアは俺のところに戻ってくるのである。ラギアとラレスと俺が協力して勇者と戦うことになり、そして俺はラガレアからもらった剣で、勇者と戦いを始めるのであった。

俺はラガスが使っていた剣を使い始めるのだが、やはり勇者との戦い方は俺とはやり方が全く違うようであった。そして勇者はラガレスに向かって剣を振るい始める。

しかし、ラガレスもラギア同様に、剣を自由自在に操ることができる為、ラガレスの振るう攻撃は全て、相手に届くことはないのだが。それでも勇者の攻撃は止まることはなくて、むしろ攻撃するごとにその攻撃の威力が上がっていったのだった。そして勇者の攻撃が当たらないと理解すると。勇者は自分の体に雷を纏わせる。ラガレアはそれを見た後に、ラガレアも雷を勇者に向かって解き放ったが、勇者が放った雷とぶつかり合う。

しかし勇者の雷の攻撃力が高く。そのまま雷が雷を飲み込んでラガレアに向かう。

ラギアとラレスの攻撃も同時にラギアが作り出した風と、ラギアが纏わせていた風の刃が勇者に襲いかかるが、それに対しても、勇者は剣を巧みに動かしながら二人の攻撃を防ぐと同時に弾き飛ばす。

俺は勇者に対して剣を何度も叩きつけているが、勇者には全く通用しなかったのである。そして俺の剣は、剣に纏われている風で押し流されてしまった。俺に剣を振ったあと、すぐに俺から離れようとした勇者だったが、俺は即座に追いつくと、今度は剣ではなく拳を叩きこむことにしたのであった。俺は勇者と距離が離れてしまう前に剣をしまい込み。俺は勇者との距離を一気に詰めて剣を使うことなく。殴る蹴るなどの肉体で攻撃を行い始めると、勇者の動きについていけなくなり始めた。そうしている内に勇者はラガレア達と戦っているはずの、ラガレアの方を向きラケルに向かって剣を振り下ろし始めたのであった。俺はすぐさま反応してその場から離れるが間に合わず。

だがそこに現れた人物がいたのだ。そして勇者の振り下ろされた一撃を防いだのだ。

それは、リリアだったのだった。彼女はラギアが使っているような大きな盾を持っていなかったが。レイピアのような剣を持ち。勇者の攻撃を防ぎ切っていたのである。

俺達が今いる場所は城内なのだから。武器を手放してはいけないはずなのに。リリアは何も持たずにその場に姿を現していたのだ。そしてその事に驚いていたら。その隙に、いつの間にか、背後に現れた、魔王軍の兵士が攻撃を仕掛けてきていたが、俺はそっちに意識を向けたことで、気が付くことができなかったのである。俺はその兵士の攻撃を防げず。その攻撃が当たってしまい俺は吹き飛ばされることになった。そして俺はラガレアの方を見てしまったせいもあり、勇者はラガスが、レイレスの方にはリディアが向かっていくと、ラガスとリディアが戦っているのが見えると勇者もリディアに向かって行くことになった。ラガスはすぐにラディアを助けようと動いたがリリスに妨害されてしまう。だがすぐに、リケはリディアを救おうとして動くが勇者はリケに向かって雷の斬撃を放つとリケはその攻撃を受け止めきれずに大怪我をしてしまうが。俺の視界の端には、勇者を殴り飛ばした後ですぐにその場から逃げようとしているレイレスの姿があったので。俺は急いでその場所に移動し始めたのだった。そうして俺も戦闘に参加することになった。しかし勇者の方が、力の差は大きく、俺達は追い詰められていった。しかしそこにリシアが加勢に入ってきてリデア達と一緒になって勇者と戦ってくれる。そしてなんとか形勢逆転したと思ったときだった。俺の目の前にいたはずのレイレスの姿が消えていて、代わりに俺の頭上から気配を感じたのだ。そこで上を見るとそこにはレイレスがいて剣を振り下ろす寸前の体勢になっていた。

俺はそこで咄嵯のところで後ろに飛ぶが避けきることができずに、俺が身に着けていた、指輪の力を使われて俺は気絶させられるのであった。

「あなたが、レイスさんが持っている剣を使えば勝てると言っていたからこの国の王に剣を使ったのに、なんで私の負けなの?しかも、レイスさんの体を奪うために作った剣まで取られちゃうし」

と私は言いながらリリスが泣き出しそうな顔で言ってきたので。私はリリスを抱き寄せる。

「そんなことはもういいんですよリリス、それよりレイディアがレイシアと、ラガレア達と協力して、この城の中で暴れている。あいつを何とかしないと大変なことになるから。急いで助けに行こう!」と言う。するとラケルが慌てるように「待って下さい!!レイティアは、どうして、その事を黙っていたんですか!!」

「私もその話を聞いたのはつい先程なのです。なのであなた達にそのことを伝えるのが少し遅れてしまいました。でも今は、一刻も早く、ここから避難することが大切です。私が先導します。だからリディアもリリスもいいですか?」と言って二人にも避難を急ぐように伝えた。

その言葉に、リディアは納得していなかったようだったが、リニスに、ラケルとレイアに、そして私を信じてほしいと言われる。するとラケルに説得されて、リディアと一緒に先に脱出してくれという事になった。そしてラガスの体を使っている奴と勇者との戦いが始まるのだが。その戦況はどんどんとラギア達が劣勢になっていく一方だと思われたのだが。ラガレアがラケットを握りなおすと。今までよりも速いスピードの球を打ち出すと勇者はそれに反応しきれず。まともに受けてしまいその反動で倒れこんでしまう。それをチャンスだと思ってリガレット達が動き出したのだが。その時すでにラギアの姿は消えていて、その代わりに勇者に、斬りかかる一人の男が姿を現す。その男は、ラギアが使っていた、刀を右手に持ち。勇者の首を狙って攻撃を始めると勇者も、その攻撃を防ぐために。勇者が纏っていた雷が、男の体を貫こうとしたが、雷の槍は空を切り。

その瞬間に、男の攻撃が、勇者に命中する。そしてその勢いに勇者が耐え切れなくなったのか、勇者の体は空中に浮くことになり、それを確認すると。ラギアは地面に転がっている剣を手に取りその剣に魔力を注ぎ込み始めると。その剣から、風を纏った刃が出現し。ラギアは剣を振り下ろして風の魔法を飛ばしてラギアとレイレは一緒に空を飛んでいくのであった。

俺が目を覚ますと、レイスの中に埋め込まれた剣を無理やり取り出して自分の体に戻そうとした。だがレイスが自分の体に埋め込んでいた剣を取り出しても俺はレイスが作り出した魔石の力に飲み込まれることはなかった。

俺はその事に対して驚きを感じながらも。剣を再び俺の体内に戻すことにしたのである。そして勇者と剣がぶつかり合うと、その威力は、以前俺と勇者との戦いの際に使っていた剣の時とは違って、俺は剣を振っただけで。衝撃波を放ち。俺の目の前にいる、レイスの体を切り裂いた。

俺は剣に宿っている風が、あまりにも強すぎると思いながら、勇者が倒れていくのを確認してから、俺は勇者の剣を回収すると。俺はそのままリギアが向かった方向に走っていくと、そこにはすでにリリスが、ラガレアと、リネアに回復をかけていた。するとリネスと、ライがラケルのところにやって来て。

リディアは、ラケルとラガスの戦いが決着すると同時に、ラケルを連れて脱出することに成功していたのだ。しかしラギアは、まだ勇者と戦い続けていたようで。レイスは勇者の攻撃によって体が限界を迎えようとしていたのだが俺は、すぐに剣を振るうのではなく、剣に纏わせていた風を解き放つと、風はそのまま勇者を直撃し。その威力により地面を転がり。そのまま立ち上がることができない状況になったのだった。

俺はリデアがこちらを向いたときから、勇者の方へと移動していて、リアナも既に動いていて。俺の後を追うような形でついて来てくれていた。そしてレイシアは俺の動きを見て何をするか察していたみたいで。勇者の元に向かって行くと勇者の攻撃のほとんどを防ぎながらリリアとリデアと、リリスを庇いながら俺に向かって叫ぶのである。

「マスター!早くこいつを倒してください!!!私はいつまでも守り切れるとは思いませんので!!」

俺はその声を聞きながら剣に風を纏わせる。すると風は剣に巻き付いていき、俺の持っている剣が纏っていた風を吸収していき。そして俺の持っていた剣は俺の体の方に引き寄せられる。俺が手にしている剣からは俺に吸い込まれた時と同じように。風の力が俺の体に流れ込んできたのだ。

俺はその流れ込んでくる風の力に驚くと。勇者に向かって走り始める。

俺はまずは勇者の元に近づき。剣を上に構えると、そこから風の斬撃を放ったのだった。勇者は剣を構えようとしたが間に合わず、俺が放った一撃を受けて吹っ飛ばされることになる。しかしそれでも勇者の方は剣を支えにして立ち上がろうとしてきたので俺はすかさず次の一撃を与えようと動く。しかしそれはリディアの叫びで邪魔をされることになったのだ。

「駄目!!これ以上の攻撃を与えるのはやめて!!!」

その声で、一瞬だが勇者の動きが止まってしまう。だがリディアが叫んできた言葉は間違ってはいないだろう。

なぜなら俺はレイシアに。このまま勇者を攻撃するのなら殺すつもりだと忠告されていたのだ。だがリディアスの事を救いたいという気持ちが強かったため、俺はリディアの言葉を無視して攻撃を続けたのである。そして再び剣に、俺の剣に纏っていた風の力が戻ってくると、俺はすぐに次の攻撃を繰り出そうとするが。リディアの声に、今度は、リケも反応したのだ。

「ラガレア!!今すぐその人から離れた方が身の為だよ!!早くしないと殺されるよ!!」

リディアとリネスの二人が、リディアに加勢するように、リディアの隣に立つとリディアは、ラガレアをその場から動かそうとしないラガレアの肩を掴みながら必死に離そうとしている。だがリディアは勇者と、ラガスの間に割り込むと勇者の剣が、リディアの腹部を貫く。リディアはその痛みで意識を失いそうになるがすぐに気を取り戻して俺のことを見る。

「お願いします。あの子のことを許してあげてください」と言う。

その言葉でリディアは勇者が、レイディアであることを理解し、自分がレイレスではなくレイディアだという事も分かったようだ。俺はそれに答えるために。リディアの腹を貫いている勇者の、雷の刃を砕き散らすと、その勢いのまま、勇者の顔に俺の拳が突き刺さるのであった。その攻撃が、俺の攻撃で意識を失ったレイディアがその場に倒れこみ、その隙に、レイレスの方を見ると、そこにはすでにリケの姿があり、レイレスの事を拘束して身動きができないようにした。すると勇者は意識を取り戻すと俺に話しかけてくる。

「お前の事はレイレスの記憶の中から読み取った。まさか俺がレイスに乗り移らされているなんて、レイレスタにばれないようにしないといけない。もし知られてしまった場合は、確実にこの国に殺されてしまう。だからこの国では俺は死んだことになっているんだ」

レイレレスはレイスが殺されたことに気が付きレイスを操りレイシアから奪ったレイレシアの剣でリリスを殺そうとしていたところをリディア達に阻止されてそのまま気絶させられたのだ。だが勇者はその後で目を覚ましリディアにリリスを襲おうとしていたレイレタスの行動を見られた事でレイレスタに存在を知られてしまい勇者は、レイレダスに捕まってしまった。それからはもうすでに死んでいると思わせるために地下に閉じ込められたのだという事らしい。そしてその後はずっとここでラガスと勇者の戦いを監視し続けていたというわけだ。ちなみに勇者の本当の名前も教えてくれたが、ラガレアと勇者の名前が被るため今後は勇者のことをリザリスと、呼ぶことにする。そして俺が、リディアを介抱するために抱き寄せると、レイレリアがラガレアに向かって。

「その女性から離れなさい、そしたら殺しはしないわ」

と殺気を込めて言うと。ラガスはラレティアを抱きしめたまま動かないのであった。その光景をレイスの中で見ていたレイディアはラレレスの様子がおかしくなっていることに気づきレイスの中でレイスに向かって語り掛けると、

「おいレイレアス、何があった?」

するとラガレスが答え始める。その返事を聞く限りだと、勇者は自分の中に、魔王の魔石を埋め込んだ状態で、魔石の魔力をコントロールする事に成功したみたいだな。ただリゼリアスに自分の身体を貸す事ができるみたいだぞ?

「それじゃあリディアを渡せば見逃してくれるんだよな?」

するとラガレアからリリアの体を乗っ取っていたリディアスは笑いながらラギアの質問にこう返したのである。

リガレア、いやリガレアの中に入っているラギアさん、あんたには本当に申し訳ないと思っているけど俺は、あんたとリディアとの恋を叶えてやるつもりはない。なぜなら俺はラギアさんの事が嫌いだし。俺がレイレナス様の剣になってこの世界を守ると誓った時に、ラギアさんと、リネアの事を殺すつもりだってことを伝えていたから、それをわかっていればそんな提案は絶対に飲めないはずだよね?それに俺がリディアを欲しかったのは俺の力を強めるためには、ラギアさんの魔力が必要だと思ったからだよ。だけど俺はこれからラギアさんの魔力を奪わずにそのままリデアに預けることにしている。それで俺はどうするかといえば、このままこの世界で、リリアと暮らしていくよ。

「ふっふざけるんじゃねえ!リディアス!!」

その言葉を聞いた瞬間にリディアが目を見開いてリディアスに向かって叫んだ。そしてそれに続いてラガスもリディアスに向けて叫ぶ。

「リディアス!!てめえだけは、ぶっ潰してやらないと、気がすまなかったんだよ!!お前が、俺の家族を奪ったんだ!!俺はそのことをずっと恨み続けて生きてきていたんだ!!俺を裏切ったお前を、俺はぜってぇにゆるせねぇ!!」

リディアスの表情はまるで笑っているかのように感じられ。その様子にリディアと、ラガスが睨み付けている中。ラガスの後ろでラガレアはラギアの事を離さなかった。

「俺達の目的は勇者と、剣だけだ。リザリスと、レイスの命は狙わないから安心しろ」

その言葉を聞いていたリディアだったが、その言葉を信じていないのかまだ険しい顔をしていた。しかしそこに現れたのはリリアと、ライで。その姿を見ていたレイリアはすぐに行動を開始したのだが。俺の方からレイシアが飛びかかっていきそのままレイリアの腕を掴むとその腕に牙を突き立てる。レイリアは悲鳴を上げて腕を引きちぎるとすぐに回復魔術を自身に施した。だがその間に俺は勇者に攻撃を仕掛けていた。だが勇者の体に触れようとしたところで俺は勇者に弾かれ。地面に向かって叩きつけられてしまう。だが俺も諦めずに剣を振りかざし、勇者に向かって剣をふるうが、またもや勇者の体に触れる前に剣を弾かれてしまって、俺は体勢を崩してしまい、そこを狙われたみたいで、俺に雷の柱を飛ばしてきたのだった。俺は雷が当たる直前に剣に風の力を纏わせ雷の攻撃を斬り払い。俺は地面に着地するのと同時に剣を振るう。だがそれも簡単に防がれてしまい。さらにリディアスに攻撃をしようとしたが、それはリリアスに妨害されてしまったのである。そのせいで、レイリアに対して攻撃を繰り出すことができないまま、時間が過ぎていき。

リディアはラガスの言葉に納得がいかないため。ラガレアを説得しようと試みるがラガレアは頑として譲らずリディアが折れる形でラガレアの願いを受け入れる事になった。そのあとにリディアはラガスの方を見るとラガスの方は、もう既に覚悟を決めており、俺と、リディアの方を見てくる。俺はその瞳にリディアの事を頼んでくるのが分かるのでしっかりと視線を合わせその気持ちを受け取ることにした。

そしてレイディアは意識を取り戻すとレイレダスの所に行くと、レイレスを安全な場所に連れ出すために移動を開始していったのだった。

勇者がレイレスを連れて行ってしまったことで、俺は少し困ったような顔になってしまう。

そして勇者が去った後。俺はリディアスの方を見る。そして俺が見ている事に気が付いたようでこちらの方を向くと俺に向かって話を始めた。その話の内容というのが俺が持っている魔剣についてのことだった。俺の持つ剣の正体を知ろうとしているらしい。そのため俺は仕方なく、剣を手渡すと、勇者はそれをまじまじと見つめ始める。するとその途端。リディアスは驚きのあまり言葉を失っているのが見て取れた。なぜなら勇者が手に持っただけで、魔剣の柄から黒い煙のような物が吹き出し始めたからだ。その煙を見た勇者が、これは何なのかと聞いてきたが俺は知らないため何も言えないで居るとそれを見て勇者がすぐにこの魔剣を調べようと言い出したのだ。

だがこの魔剣を調べるという行為はかなり危険を伴うらしく下手すれば命を落としかねない。俺はそれを止めるが、勇者はそれを無視して魔剣を地面に落とし。その剣を踏みつけようとする。だがなぜかその時は剣に宿っていた闇の力でリディアスのことを弾き飛ばすのでは無くて逆に、勇者の方がその場から大きく後ろに飛ばされてしまった。その様子を見ていた勇者は自分の体が軽くなったことに気が付いて驚いたような反応を見せた。そして俺の方に振り返り俺のことを見てきた。どうやら俺が何かやったのだと勘違いをしているようだ。だが俺は何もしていないことを話すが勇者はそれでも俺に何かをしたのではないかと言いだしてくるのである。だからこれ以上、ここで話しても時間の無駄になると判断した俺はその場から離れようとした時に勇者が俺のことを呼び止めてくる。そしてリディアのことをリディアと呼びだした。

どうやら、俺のことをレイスと勘違いした勇者はリディアのこともリディアと呼んだようだ。だがその言葉を聞いてレイディアは少し動揺を見せる。

その様子を見かねたレイディアの父親は、リディアスとレイレディアを落ち着かせるために俺と、ラガレアとリリアスに、家まで来てほしいと言う。そしてその誘いに乗って俺たちはレイレシアの家に向かった。

家の中に入るとレイシアさんは、俺達の事を歓迎してくれ。その後でレイレスの身体の状態を確認し、怪我が治るまでは安静にしておけば問題ない事を教えてくれる。その報告をレイレシアから聞くとレイディアの父親が俺達に頭を下げてきた。その理由というのは俺達がこの村に来た理由を話したからである。この国を守るために戦ってほしい。と頼まれた俺達は、断ると面倒な事に巻き込まれてしまうのを知っていたのでとりあえず話を聞く事だけを伝えると、リレシアの母親がレイレスの部屋から出て来て。俺達と話し合いをするためにある部屋に移動していく。

その部屋の中に全員が入り椅子に座っていると、最初にレイレシアの母親が自分の名前を名乗る。

そのあとに自己紹介が始まるので順番に名乗っていき、その途中でレイディアがレイレスの部屋に入ってきた。レイレスの姿を見たリレシアは泣き出してしまう。その光景にリディアは、俺の背中にしがみついてきて。涙を流す。俺はそんな二人を慰める事しかできないで居たが。

レイレスの母親から事情を聞くことにする。なぜ彼女がリディアの名前を呼んだかはリディアはレイレスの妹なのだそうだ。リディアはレイレレスに抱きつくのをやめて俺のそばを離れない。俺はそんな彼女を抱きしめてやると安心して来たのか涙を流し始めて俺にすがりついて泣いていたのである。そして彼女の母親の話を俺は聞いた。まずこの国は今魔王によって支配されていると。それで彼女はこの国の王女様だと告げられて、この国に危機が訪れている時にリディアがレイレシアに姿を変えていることが分かり、もしかしたらリディアも自分と同じ存在なのかもしれないと察してしまったみたいだった。そしてリディアがリディアという名前を持っている事も知っているのだと話す。

レイレティアは自分の本当の姿を明かしてくれたのは俺が初めてだと教えてくれ。さらにリディアがどうしてこの村にいたのかを知りたいと言われて、俺はリディアに尋ねると。彼女は自分の事を話してくれたのであった。

リレシアがレイレディアに対してレイレシアの過去について語りだし始める。レイレスは昔、ラガスの両親と共に暮らしていて、そこでレイレスはラガスの両親と仲良くなり。ラガスの父親とレイレレスの母親が恋人同士になったとラガスが話していたことをリディアが思いだすとリディアはその記憶が間違いではなかったと知り。自分がリディアの体に宿っている事がわかったのだそうだ。その言葉にラガレアの両親が、驚きを隠せないような顔になり、さらに、リリアも同じように驚いた顔をしていたが、ラガレアはそこまで驚いてはいない。

リディアが、自分の妹だと分かったリディアスはリディアの事を見て、レイレスと、レイレディアを見間違えるわけもなくリディアスは、リディアスと、レイディアの目の前に現れるとレイレスはリディアスの事を警戒するような目で見つめていたが、リディアスに近寄られるとリディアスの胸ぐらを掴み睨み付ける。しかしレイレスに何をされてもリディアスは冷静さを失うことはない。そして、レイレスの手を振りほどくと、リディアの方を見て、レイレスの頬を思いっきり引っ叩くとリディアに向かって叫んだのだった。

レイレスの顔に傷跡が残るようなことはなかったが。リディアスに殴られたせいでレイレスの口の中は切れてしまい。その血の味で我に返ったレイレスはすぐに、リディアスを謝らせようとしたがリディアスはすでに姿を消してしまっていた。

それからしばらくの月日が流れ、レイレリアはレイレスの体を気遣いながら、一緒に過ごしていく日々を送っていたがそこに突然、勇者が姿を現す。だがそれは勇者の仲間と思われる者たちを引き連れてやって来たのだ。

だが、レイレア達は戦うことはせずに話し合いを始めて。お互いの妥協点を見つけるために話し合うことになったのだった。しかしレイレディアも話し合いをしたいと申し出たので、その場にいた全員が、レイレアの家に入り込む事になったのである。

「ではまず初めに確認させて頂きますが、あなた方が私達の敵で無いという事を証明できる物はございますでしょうか?」そう言うとその人は勇者一行に話しかけると、それに対して勇者たち一行は懐から一つの石を取り出した。それは宝石の様な物で、その石を目にした瞬間にレイレアとリディアスを除く他の者は全員その宝を見て、驚いたようにしていた。そして、その石の話を聞いたレイレディアの父親は、何かに納得がいったかのように大きくうなずくと勇者の方に近づいていく。

すると勇者は、レイレディアの父親にいきなり襲いかかろうとしたので、俺はそれを止めに入る。勇者が襲ってきたのは俺がレイディアの味方をするために行動していると思ったからだ。俺はその事に気が付いていたので、勇者の行動を止めたのである。そのあとにレイレスの父親は何かを言いたそうな様子で俺のことを見ていたが、そのあとで勇者に質問をすることにしたのである。勇者たちは、レイレアと、リディアスがレイレスの姉と弟だということを知らないのだと伝える。その話を聞く限りだと。勇者たちはレイレディアたちを殺すのではなくて生け捕りにして自分たちの目的のために使いたいと。そしてレイレス達から聞き出した情報を元に魔王の城に乗り込もうと考えているらしい。その話をしている間にリディアスが俺のことをじっと見てきたので、俺もその視線に答えるようにリディアスのことを見る。するとリディアスが、この場で戦闘を行うのは不都合だと言い出し、この場所から少し離れることを勇者に伝えると。勇者たちも了承する。だが、この場には俺たち以外にも人が残っているため場所を移す事にする。そして移動するときにリレシアだけがついてこなかったのだ。

その事を聞いたレイリアスはなぜリレスについて聞かないんだと俺達に言い始めたのである。どうやらリディアの正体を知っていて、そのことをリレシアに問い詰めていると思っていたようだったので。俺はレイレアに、俺達は、この国に来て、リレシアとは出会っていないと告げると、それを聞いてレイレスが慌てて外に出て行きリレシアのところに向かうとリディアスもそれに続こうとしたが、俺がそれを止めると。

俺はレイレスの母親の話をもう一度詳しく聞いてほしいと頼んでから。レイレスの母親と一緒に部屋から出ることにした。そして勇者たちの方はと言うと、レイレスとリレシアとレイレスの母親を残して別の場所に移動することにしたようだ。その話が終わると、俺とレイレスの母親はレイディアの家を出る。

リディアスの方を見ていると、リディアスは自分の事をリディアスではなく。レイディアとして見てと頼み込んできたので、俺はその要望に応えることにする。リディアがレイレスと会っていた時の事はレイディアも覚えていたらしく、その記憶も残っているのだろう。そのことを思い出しレイレスが自分の姉の生まれ変わりだと思ってしまったのだ。だがその考えが、間違っていることが後々になって判明することになるのだが今は関係ない話になるのでここでは語らないことにしよう。ただ一つだけ言っておきたい事がある。それは、レイディアも俺を信用していないわけではないがリディアに自分の姿を見せたくないと言った理由。

俺達はその場所から離れ、リディアス達もその場から離れた時だった。リディアは自分の姿を元の姿に戻した。その姿を見たラガレアがすぐにその事に対して疑問に思ったようで質問をする。その言葉を聞くとラディアスが、その答えを話し始める。リディアスの話によればリディアの身体は普通の人間ではないので、あまり自分の本来の姿を見せるべきではないと判断したからである。その理由というのはレイレスとラガレアとラディアス以外の人間はみんな魔導兵器だと思っているみたいだから。そんな説明をすると、その言葉にラレスの母親が驚いた顔をしていた。

リディアスはその事を知っていたので、ラガスは俺とレイレスが一緒に旅をしていることをリレスの母親に告げた。その事をレイレレスは知っていて、だからこそ俺は、この国の王女の体を借りて、レイレシアは生きている。と俺が言った時に驚いた顔をして、その事をレイレレアに尋ねてみると、レイレレスは、確かに、ラガスの言葉の通りだとレイレレアは言う。そしてリレレスの母親にリレレアと、リディアはレイレスとラガスの子供だという事実を伝えるとリレスの母は驚きの声を上げ、リレスにそのことを尋ねる。だがその事実を知るはずもなく首を横に振るリディアの姿にリディアの母親は泣き始めて、リディアを抱き締めると泣き声を上げるリディアを慰め始めてくれたのだ。

その後ラレスとレイレスは話し合いを始めてお互いの誤解を解くことに成功していた。しかしその時すでに夜になっていたため。今日のところはこの村で過ごすことにした。リディアはというと疲れ切ってしまったみたいで。リディアスに寄りかかりながら眠ってしまう。

翌日になり。俺は、ラレスとリレスの二人からレイレス達がこの村にやって来たときの話を聞き出していたが。話の内容は予想通りのものであり。勇者一行が現れた時に、レイレスは自分がこの国の王女だと名乗るが、それが嘘だとわかると、勇者に戦いを挑むことになるが、圧倒的な力で叩き潰され、殺されそうになったのを見てリレスは必死で止めるがそれでもレイレスの思いは変わらずに、結局、殺される直前になったが、そこでリリアが姿を現したことを話す。その光景を目にしたリレスはリディアの体に宿った状態でリリアの中に意識を飛ばすと、そのあとリリアが、リディアの体を動かしリレスを助けるとリレスは急いで自分の肉体に戻る。そのあとはリディアスの機転によりリディアが生きていたという話になった。だが、その話を聞く前に俺が気になったことがあり。レイレスがなぜリディアスが姉さんと呼んだのかについて聞いたのである。するとレイレスはリディアスの事を自分を守ってくれた命の恩人であると、そして、レイレスも、そのことについては、リディアスに感謝をしており、できれば、そのことでリディアも助けてほしいとリディアスに向かって言う。リディアスも、そのことは考えていたようだったがリディアスの話を聞いた後にリレスは自分はこの世界に転生したわけではなく。魂の状態でこちらの世界を漂っているだけで、本来ならばここにいるはずの存在ではなかったと。

リディアは自分が本当は存在してはいけないものだと理解していたようで。その言葉を聞いて俺もリディアスもリレス自身も言葉を失う。そんな中で、リレスのお母さんだけは違った反応を見せた。そしてその言葉をリディアスに向かって発したのだ。

「あの子は私たちの可愛いリディアなんです。私はどんな姿であれ私の娘のリディアを救ってくれたあなたにリディアの姉として感謝をしています」そう言われたリディアスはリディアの方に目を向けて何かを考えていた。その様子は何かを決心をしたように感じられた。そのあとにリディアスは俺のところに近寄ってくると俺とレイレスと、リディア以外を連れてその場を離れていくと、リディアをどこかに連れ去って行ってしまう。

そのあとにレイレレアが俺に話があるといい俺達は家に戻り、レイレレアが俺にある質問をぶつけてきたのである。

それはリディアスと、リディアが、姉妹だということについてである。俺がそのことを伝えるとリレレアとレイレレアは驚いた表情を見せるとリレレアの母親が、リディアスがどうしてこの国にやってきたのかを知りたいと。そう口にしたので。俺はそのことについて、リディアとリディアスに会ったときに俺も聞かされた内容を話したのである。そして、その話をするとリレレアとレイレレアとラレスと、リディアスの父親が、リディアスがレイレスを殺そうとした理由について納得していたのである。

俺達はそれから数日の間はこの村の宿屋を借りることになりその部屋を俺が用意する。だがそのあとに俺はラディアスとリレスとレイレレアと一緒に外に出て、この世界について話を聞くことにする。

「まず、あなた方から聞かせてもらいますね。レイレスから聞きましたが、どうやら、私とレイレレア以外は全員異世界から転移してきた者たちだということですよね?その事については本当なのかしら?」そう聞くとリディアが自分のことを知っているような口調で聞いてくるので。俺は自分のことについて説明する。俺のことを説明する際にレイリアスとレイレスが少し動揺しているのでその事を俺は確認するが二人はそのことに関して何も答えることがなかった。それを見たリディアは何かを言いかけたが、リディアスが俺に説明を始めたので、その説明を聞いた俺はその説明に間違いはないと思い。レイレスの事を信用することにしたのである。

そして、ラディアスも俺が勇者としてこの世界を救わなければならないことを話すと三人はかなり驚いた顔を見せて驚いていた。ただレイレスだけが冷静な態度をとっておりそれを見て俺はあることを考えてしまうのであった。それは、レイレスはなぜこんな態度をとっているんだろうと考えていたのである。だが今はその事について考えるよりも目の前の事を優先して、話をすることに専念することにしたのである。

リディアスの説明を聞き終えてから。これからのことを相談することになったので。まず俺がリディアと一緒に旅をしながら他の仲間を探すことを提案してみる。その事を話したらラレスの母親以外のみんなは反対しなかったが。ラディアスは少し不満そうな顔を俺に見せていたのでどうやらラガスも一緒に行くつもりだったみたいだった。俺はそのことを聞いてすぐにラダスには悪いと思ったが断ることにしたのだ。その理由はラレスの母親は、リディアの正体を知った時とてつもないほどに落ち込んでいたからだ。ラダスにそれを見られたくないと思っているはずだと考えたのだ。それに俺はラガスの実力は認めていたが、ラガスはまだ経験が浅いと、思っていたので一人で行動させないようにしたのだ。ラディアスは、そのことを言われると、悔しそうな表情を見せていたが。それでも仕方がないといった感じで諦めてくれたのだ。ただリレスの事は信用してくれたらしく。レイレスにこの国の事は俺とラガスと、リディアに任せて、お前は、リディアの家族を探してきてほしいと頼み込むのだった。その話が終わると、俺とラガレアとラレスと、リディアとリディアスは別れるのだった。リディア達はレイディアとリディアスと母親に会えたことで満足しており。特にレイリアの方は何も問題はなかったのですぐにレイディアがこの村にいる間は、ここで過ごすことにしたらしい。そのあとはラレスとリディアスは俺達と同行することになる。ラレスがレイレスの母親の護衛のためだと言っていたが、俺は、その事に何か裏がありそうだと感じていたのだった。なぜなら、レイリアの方を見てみるととても落ち込んでいる姿を目にしてしまう。

俺はそんなレイリアを慰めるために、レイレレスがラガスに話したことを確認するためにレイレスの所にいくことにする。そしてレイレスがラガスの父親と二人で、俺と、ラガスにラレスが一緒に旅に出ることに了承してもらったのだ。その理由はレイレスの両親は、もうすでに亡くなっていて。レイレレアがリレレアとラレスをこの村に預けている理由は、リレレアと、リディアがもしものときのために。二人を守ってほしいと言われていたからである。そしてその説明を受けたあとにリレスがラレスに向かって話しかける。その話によるとリレスは、この世界で生きていくためにこの世界の言葉を覚える必要があるということを話し始め、俺の通訳を使いながら。俺が、リディアの記憶の中から、覚えていたことを教えることになる。すると、リディアはすぐに言葉を覚えてラレスに話すようになるのだった。その姿を見て俺が思ったのがリディアは本当に頭の回転が良く。吸収力が凄いということだ 。普通なら数日で言語を習得できるはずなんてないと思っていたからだ。だがそれが出来るということはやはりリディナの能力がかなり高かったということになるだろうなと思う 。

俺達は村を出てからすぐに移動したわけだがそこで魔物と遭遇したのだ。俺はその事を確認した瞬間からレイディアスと、ラガスに対して指示を出す。レイレスも戦うと言い出す。レイレウスはそれを全力で止めると。ラガスも戦いたかったみたいだったが、さすがの俺も今回はレイレスの意見が正しいと思った。だから二人を止めようとしたのだが。その時レイレスが俺に向かってこう言ったのである。

「レイレスはリディアを守りたいだけですから」その言葉を耳にしたときに俺はレイディアスに、なぜレイディアを守ることが最優先なのかを聞く。するとレイレスは自分の命を犠牲にしてもレイディアを助けてほしいと言われたと、レイレスはそう答えたので。俺もレイレスが、そこまで、リディアを守ろうとするのは何となく理解できたのである。それから、リディアスと、リレスが、魔物と戦う前に準備をしていいと言われ、俺はレイレスとリディアを連れて一度家に戻ろうとすると、その途中で盗賊と思われる奴らが五人ぐらい襲ってきたのである。

そしてレイレスは腰に携えている剣を引き抜くと俺とリディアは後ろに下がり。リディアがリレスに憑依してから、リディアスと共に戦い始めた。

だがその戦闘は長くは続かなかったのである。というのも盗賊の頭らしき人物が出てきてレイレスを馬鹿にしたのだ。それに対してリディアスは怒ってしまったのか。怒りのままに攻撃を仕掛けてしまえば勝てるものも、リディアスが暴走し始めた時に、レイレスは止めに入るがそれでも止まらずにリディアスの攻撃を受けてしまったのだ。

その攻撃によってリディアスの攻撃が当たりそうになったところでレイレスが間に入り攻撃を代わりに受けたのである。レイレスが間に入り攻撃を受けたせいでリディアスの怒りが頂点までいき。そしてリディアも、レイレスが傷を負ったことでさらに怒ったのか完全に理性を失ってしまい。そのまま盗賊たちを殺してしまうと、その死体を放置してしまったのだった。

俺がそんな状況を見て、このままではまずいと思ってすぐに回復魔法を使おうとしたときに。突然レイディアが現れた。その姿を目視した俺はレイレスと、リディアを守るためにその場を移動しようとすると、そこに現れた男に邪魔されてしまったのである。

その男の名はラディアスといい。その実力はこの場にいる全員がわかるほどの強者だと理解することが出来たのである。それからラディアスの父親は、ラディアスとラレスの父親でもあり、リディアの父親でもあったようだ。そしてラディアスは、レイディアが生きていることを知った途端に、その場で泣いて喜び始めて、リディアも涙を流したのだ。その光景を見たリディアスは俺達のほうを睨みつけると、俺達は急いでこの場所を離れようとするが。レイレスの体を借りたリディアはレイディアスの手を掴み引き留めたのであった。その行動を見た俺はあることを考えついてしまい、ラディアス達にその事を話してみたのだ。

それは俺達がリディアを取り戻すために協力をするという事を話した。その話をしたとき、リディアの父親と、リディアの父親は最初は警戒をしていたようだが。リディアの母親の方はあっさりとその事を認めて。リディアスと、レイレスの父親が反対することはなかった。だがレイレスだけは最後まで反対していたが。その事に関しては、レイレレスは俺に頼むとだけ伝えてレイレスを説得してこの国に残ることになってくれたのだ。それからリディアの父親であるラディアスにレイディアを任せると俺はラガスと一緒に旅に戻ることにした。その際にラガスには俺とラレスに付いてきてもいいと言ったら喜んでついてくることを決めたらしい。それからラレレスがラガスと一緒に旅立つことを伝えてくれたのだ。それからレイレシアと、レイレレスに、ラレスは、リディアと一緒にレイレスの家で過ごさせることに決めた。

その日からリディアはラレスのことを自分の姉のように扱うようになって。それから俺達と一緒に旅をすることを許可してくれたのである。そのことに対してラレスはリディアに感謝しながら一緒に旅を始めるのだった。

そして俺と、ラガスはリディアスの案内でラディアスの生まれ故郷である村に向かいながら仲間を探すことになった。俺は、その村に、リディアスが探し出した人物がいるという情報を得たので。その場所に向かうと、そこには一人の老人の姿があり。俺と、ラガスを見ると驚いたような顔をすると、なぜか俺達について来て欲しいと言う。俺達はその言葉に従い一緒に村に行くことにしたのだった。その道中で俺は、ラディアスがリディアスに何かをしたんじゃないかと思い。そのことについて聞くことにしたのだ。そして俺の質問にラディアスが答える。その説明を聞いた俺はやっぱりかと思う。その理由というのは俺をこの世界に呼んだあの女性が俺のことを気に入ったとかで、それでラディアスとラレスに俺をこの世界に連れてくるようにお願いしていたらしいのだ。俺は、それを耳にしたときに少し疑問に思うことがある。それはラディアスに俺をこの世界に連れて来る理由がないはずだ。それにどうして俺を選んだのだろうと、疑問に思ったのである。そのこともリディアスの親であるラディアスに尋ねてみるとそのことに答えてくれて、どうやらリディアスとリレスは、母親にリディアさんと同じように育ててもらったらしいのだが、その二人は母親の血を引いたためか、母親のような天才ではないみたいだ。その事に気づいたリディアスは母親が死んだ時はかなりショックだったらしく、リディアと、ラレスがいなくなった後は一人でずっと過ごしていたらしく。それからは二人とまた会いたいという気持ちが強くなっていたみたいなのだ。リディアスと、リレスはその事に気づくとすぐにラディアスに頼んで母親を探してきてもらうためにこの国に残っていたのだという 。

俺達はラディアスの村に着き、村に到着するとすぐにその村は襲われていて、その状況を目にするとすぐに助けることにしたのである。俺と、ラガスは村人を助けると。俺と、ラガスに助けを求めに来た村人がいた。その人物は、ラガスが村にいたときによくしてくれていた人らしい。そしてその人の名前はリレスで、彼女はラガスと仲が良かったらしいが、そんな彼女がこの村に来てすぐにこの村の様子がおかしくなっていることに気が付いたみたいだ。

そのことに気づいたリレスは、他の人に気付かれないようにしてこの村を調べ始めた。するとリディアが、ラレスをこの村に預けていたことを思い出したので、すぐに、ラディアスに連絡を取って、リディアスのところに向かおうと思ったが、ラディアスは今現在。この村にはいないということだった。そのことを聞いたリレスと、ラディアスは慌ててラレスを探しに行った。その結果ラレスは無事だったが、リディアを見つけることは出来なかったと。

その話を聞いた俺はとりあえず、ここにいた魔物を倒そうと考えた。その考えをリレスに伝えると、彼女もそれに賛同して。俺と、彼女の二人で魔物を片付けることにする。俺と、リレスは魔物と戦うために移動を開始すると。その時にリディアスから、リレスに対して伝言があると、リレスにラディアスは言うと、ラディアスから言われたことをリレスに伝えたのである。その内容はリレスは、レイディアがどこにいるかわかっていると言っていた。そのことで、俺の頭の中で嫌な予感が過ぎったのだ。もしリディアスの話が嘘じゃないとすればリリスという人物がリディアを殺したということになるだろう。

だけどそれならばなんで、殺した相手がわざわざ自分に会いに来るんだと思うが。もしかしたらリディアスの父親が言っていた、ある男がリディアに執着しているかもしれないという可能性を考えれば、その可能性もあるのではないかと、俺はそう思いながら、リレスに魔物の場所まで移動することを伝えたのである。そして俺と、リレスの二人が魔物の元に向かって、その途中に襲ってくる敵をなぎ払いながらも俺と、リレスは無事に魔物の元へ辿り着くことができたのである。そしてそこに居たのは。ラディアスに、リディアの母が従えている。三獣士と呼ばれる魔族と人間の混合部隊。その中のリーダー格の人間である女が姿を現したのだ。俺はそいつの姿を目視したとき。俺はすぐにわかったのだ。その人間が、リディアに執着しそうな人物だということに。

リディアは俺達の方を見ると悲しそうな雰囲気を出していたが、それでも戦うことを決意した表情を見せて俺と、ラガスに襲い掛かってきた。リディアの攻撃はラガスが盾になることで攻撃を防いだが、その一撃が強力だったためラガスは吹き飛ばされて、地面を転がり倒れるとそこでリディアの攻撃が止むとラディアスの方を見て言ったのである。

「父上! 貴方はなぜこんなことを!」

その問いかけにラディアスは何も言わず、剣を構えるだけだったのでリディアはそんな父親を睨みつけていたのである。その行動を見ていた俺は、もしかするとレイディアスは本当に何も知らないのではないか? と思えたのである。だって普通、娘を殺されそうになった父親の態度がああなるとは思えないのだ。だからといってリディアの母親の味方だとは俺は思えなかったが。それでもラディアスと、ラレスに何があったのかは俺が聞けば教えてくれるだろうと。だが、まずはこいつを倒してからにするべきだろうと思ってリディアに、話しかけてみる。

その行動にラディアと、ラディアス以外の者達が警戒をする中。俺はラディアに向かって話し掛けたのである。その事に関しては、ラディアスは止めようとしたが。俺の話にリディアが耳を貸してくれたのだ。そして俺がこの国の姫であるラディアスを誘拐してここまで連れてきたこと。それから俺がラディアスが知っていることを知っていると伝えると、リディアは少し考えた後、話を聞くことにしたらしい。それからラディアスに俺にリディアと話をさせるように指示をしてきたのだ。

リディアが俺の言葉を聞いて少し悩んだ様子を見せると、ラディアスは俺に対してリディアとの対話を許してくれたのである。そのおかげでリディアと話をすることが出来るようになったので俺は彼女にいろいろと聞くことが出来た。そしてその話はやはり俺の予想通りの結果で、レイディアのお母さんが死んだあとに、ラレスも殺されたことを知ったのだ。

そしてそのレイディアの父親であるラレスも目の前にいるラディアスに殺されたという事も聞くことが出来た。そして俺には理解できないのだがラディアスがリディアを殺さずに攫って来てほしいと言った意味がやっと分かったのである。

その言葉を耳にしたとき、私はラディアスの行動が理解できなくなっていた。なぜならラディアスは自分の実の娘を殺しかけた人物の側にいることを許したのだ。その行動が私には信じられなかった。

それから、私の行動について説明されたのだが。正直言って納得はできなかったが、リディアと、リレスと一緒に旅をしている間にラディアスの考えが変わる可能性があると思い。ラディアスを信じてこの場に留まろうと決めたのである。その選択をしてから数日が経つと。どうやら、レイディアスのお父さんであるラディアスと、ラレスが帰って来てリディアと、リレスと旅をすることを許してくれた。

ラディアスは俺達にこの国に残るように伝えてきたが。ラレスがそれを止めたのである。その事にリディアスが不満を持ったような顔をしていたが。ラディアスは何かを考えると俺達が、レイディアのお母さんが生きているということをラディアスに伝えたのである。

その言葉にリディアが動揺すると。ラディアスがどうしてそのような事実を知ったのか訪ねてくると。ラレスはリディアスが母親の事をとても大切にしていたことを伝え。リディアスと、リレスと三人で暮らしていて幸せだったことを、ラディアスに話すとラディアスは涙を流しながら、リディアと、ラレスを抱き締めるのであった。

ラディアスが泣いている姿を初めて見たラレスが戸惑っていると。ラディアスは自分が涙を流せることに驚くのであった。そしてラディアスが泣き終わった後に、彼はこれからのことを説明してくれたのである。俺はその説明を最後まで聞き終わると。すぐにリディアに事情を説明すると、リディアはすぐにその言葉を受け入れたのである。

それから俺達は、レイディアの居場所を探すための準備を整えるために、一度ラディアスの城に戻って来るのだった。その道中に、俺はリディアスがリディアと、リレスを連れて行こうとした理由はリディアの母親に会うためであると言うと。リディアはそれを否定したのである。リディアは自分は母親に嫌われて育てられたと思っていたらしいが。リディアは、リディアの母親が、ラレスを殺そうとしたことを、恨んでいるのだろうとリディアスが説明すると、リディアはそれを聞いても母親のことを悪く思うことはできなかったので。その気持ちに素直に従うのであった。

俺と、ラガスがラディアスの城にたどり着くと、すぐにリディアは俺達の前から姿を消してしまった。おそらく自分の母親の元に行ったんだと思う。俺達はリディアのことを心配しながらも、準備を進めるためにラディアスの案内のもと、城の倉庫に向かったのである。

俺と、ラガスはラディアスと共にリディアスの母が居るとされる。リディアスの生まれ故郷でもある、魔王領の城下町に向かっていたのである。俺はラディアスから、リディアスの母親の名前を聞いたときに、その名前が俺の記憶の中にあるある女性と似ていたのだ。

俺はその女性の名前を口で伝えるとそのラディアスの反応にやっぱりそうかと。心の中で思ったのである。

そしてそのラディアスの母の名前がリリアナであることを確認すると、彼女は一体どんな人なのだろうと思ったのだった。俺が、リディアスとリディアがこの世界でどういう立場だったのかを知ることになるのは、まだ先の話である。そして、リディアに会えばその謎も解けることは確かだ。だから、俺は、リディアに会いに行くことを決めた。だがリディアが、どこにいるのか俺はわからないので、とりあえずラディアスが持っている、リディアスの母親の魔道具が保管されている部屋に俺達が入った時に。ラディアスの父親が突然現れたのだ。ラディアスが、俺と、リディアが一緒にいた理由を話すと、彼はリディアスに対して。この国を救ってほしいと頼んだのである。

その話を聞いてリディアが複雑な心境になっていることをラディアスは気がついていたが。あえてリディアを一人にさせて、彼女のことを考えさせたかったのである。そして俺が、この国に起きている問題について、リディアスに聞いてみるとリディアスは詳しいことを教えてくれた。その内容はやはり俺が予想したとおりで、レイディアの父親であるラディアスと、母親のラレスの二人は。この国の現状に不満を持っているようで。なんとか改善するために二人で話し合いをしていたがラレスは意見を変えることはしなかったのである。だけどそれを諦めないのなら仕方がないとばかりに二人の命を狙ったらしい。

だけど、その行為がばれてレイディアの父親であるラディアスと、母親のラレスは国外逃亡をすることになったが、それでは、ラディアスに付いてきた部下達がついて来なくなると心配になったリレスの父親が二人を匿ってくれていたらしいが、最近になって二人が逃げ出したことが知られてしまい。今、その行方を追っていることを伝えた。

リディアスはそのことを聞くと。俺達に急いで、リディアを助け出して欲しいと頼むのである。リディアはきっとその事で傷ついているはずだから早く助け出さないとダメだと言ってくれたのである。俺はそんなリディアスを信頼して、すぐに魔王領の王城に向かおうと考えたが、俺はまだこの国の通貨を持っていないことを思いだし。それに気がついたリディアスは、自分の父親に相談したらしく、リディアスの父に金貨三枚を渡してくれと言われてから、俺はラディアスと一緒にその金貨を受け取りに一旦城をでたのであった。そして、俺がラガスと話している間に、金貨三枚を受け取ろうとしたらリディアスの父親は何故かそれを渡してくれず。代わりにリレスの父親について教えてもらった。その話を聞いた後俺は少し考えて。

まず最初にラディアスの父さんとリディアの母親を探し出そうと考え、リリスに探してもらっていたのだ。だが結局見つかることは出来なく。ラディアスに言われた時間に魔王城の正門まで戻るとそこにはリディアスが俺を待っていたのである。リディアスの話を聞くと、どうやらリディアは、この世界に来ていることが確定していて。そのことでリディアスは安心すると、リディアに会った時に俺に渡すための魔導銃を用意していると言うと、それからリディアとリレスの母親が使っている隠れ家があると言う場所に俺達は向かっていくことになったのであった。その途中。リディスのお母さんの隠れ家にはどうやって行けばいいのかと、俺が聞くと、ラディアスはリディアスの持っていた通信用の指輪を使い。リディアスがこの国の地図を見ながら俺がリディアと一緒だった時に行ったことのある場所を指さして教えてくれた。

それから俺はリディアスから聞いた通りにその場所に向かって行く。そしてその場所にたどり着くとそこは、レイディアが住んでいた街であり、その街にある家に入ると、中から出てきたのは一人の女性であった。その人はリディアの事を良く知っているらしく、俺に優しく接してくれるとリディアの事を聞くことが出来たのである。そして俺の口からその言葉を聞くと女性は俺にお願いをした。そして、俺の願いを承諾してリディアと、リレスの母親に会えるよう取り計らってくれると約束してもらい。その場を離れたのである。それからしばらくして俺はレイディアの母親と会うことに成功する。そこでリディアが生きていることを知り、レイディアの母親とリディアと、リレスのお母さんが無事であったことを確認して、リディアが住んでいるという場所に、俺も向かうことにしたのであった。

そしてその途中でリディアスと、リディアの母親はお互いにお互いのことについて話し合う時間を設けることにしたのである。

俺はラディアスのお母さんに連れられて、ラディアスのお母さんと、それから、リディヤのお母さんと会い、三人に事情を説明する。すると、ラディアスのお母さんは、その事をすでに知っていたらしく、ラディアのお母さんが俺達に会ってくれないのはそのことが原因だと言っていた。だからリディアスのお父さんとリディアのお母様は。今はお互いが会えないが、いつかまた会えた時にはちゃんと話し合うことができるはずだと言ってくれて、その事にリディアも、リディアスのお母さんも嬉しそうな顔をしていたのである。

その後、リディアの居場所に向かう準備を終えたリディアスにリディアと、リディアのお母さんが暮らしている場所に案内される。その道中に、俺はリディアがこの世界のラディアスと、リディアの事をどう思っているのかを聞くと、ラディアスはリディアが大好きで愛していると、その事を伝えてくれた。リディアの方は、最初は、自分の事をあまり相手にしてくれなかったが。リディアスの一生懸命さがわかると少しずつ話すようになったと言うとリディアが、恥ずかしそうにその話をしてくれたのだ。そして、その話を聞いていたラディアスは、泣きながらリディアスをからかうのであった。そんな会話をしていたらリディアのお母さんが待っている家にたどり着き、その家の玄関を開けると。そこにはリディアがいて、ラディアスの姿を見つけると彼女は駆け出しラディアスに抱きついたのである。そしてラディアスの顔を見ると、リディアの頬を涙がつたい始めたのだった。ラディアスがそのことに気がつくとラディアを抱き寄せて涙を流し始め。その姿を見たリディアもまた、大粒の涙を流して涙を流し始める。

俺はラディアスに、この世界に来て、ラリア達に会うことができたのかと聞くと。彼はラリアとは会えなかったが、リリア達と再開することができたことを告げると。俺は良かったねと伝えるのであった。

それから俺は、これからのことを説明しようとすると。ラディアスは今の状況を教えてくれたのである。

ラディアがリディアに自分のことをどう思っていたのかを聞き。その返事を聞いてリディアと、ラディアスは二人だけで話がしたいと俺達に言い出したのである。そして、俺達はラディアスの言葉に甘えてこの家から出るのであった。

俺と、ラガスがラディアスに頼まれた用件を終えると俺達はリディアスとリディアとリレスの三人が暮らす家へと戻る。その道中俺はラディアスからリディアとラディアスの関係について聞いてみる。

ラディアスの話だと、この世界で俺達が再会してから初めて出会った時のラディアスは、リディアをリリアナの生まれ変わりだと思ってリディアにプロポーズしたが、それが間違いだと知った時に彼は深く傷ついたのである。だけどそれからも、彼が必死で彼女を口説き続けていけば次第にリディアはラディアスに対して恋心を寄せるようになっていたらしいが。だけどある日ラディアスがこの国の未来を考えるとこのまま自分が国王として国のために生きるべきではないと思い悩み始める。

そんなラディアスにラリアはどうしてそんなことを考えるようになったのかを問いただし。ラディアスの悩みを知ったラリアは自分の息子に国王になるのを譲り自分は引退すると宣言するのだが。その引退の理由がラディアスのことが好きだから一緒に暮らしたいと伝えたのだ。その告白を受けたことでラディアスは、自分がどれだけラリアスを愛していたのかを思い出し、彼もその想いに応えることを決意すると、二人きりで、この国から逃げようと提案をするが、それは無理な相談だった。何故ならリディアの父親はリディアに対して強い忠誠心を抱いており。彼の反対で、リディアとラディアの二人は城の中で軟禁されていたからである。

ラディアスがそのことを話すとリディアと、リディアの母親がラディアスの事を抱きしめて、彼には国を捨てて欲しくないと訴えるが。だけどラディアスはそれではいけないと思ったらしく。この国を救い、皆を救う道を選び、その覚悟を決めたと、自分の思いを彼女に伝えた。だけどその決意を聞いたラディアとリディアは悲しげな表情になり、だけど、ラディアスの意思を尊重することを決めて。二人が自分達の代わりにラディアスのそばに居て欲しいと言うのであった。

そのことがあってラディアスはリディアと、ラディアスと別れることになり、その事を後悔し続けていたのだと言う。

俺は、そんな二人を見て、ラディアスと、リディア、ラディアスの母親であるラレスがこの国を救うために協力をしているのは。自分の為だけでなく。リディアや、ラディアのためでもあったのかもしれないと思うのであった。そしてリディアスはラディアスとの話を終わらせたらしく俺達にこの国が大変なことになっていることや。リディアの父親について俺達に教えてくれた。

そしてラディアスは、その父親の行方を探すために俺達が魔王領に向かったことを知っていたらしく。リディアとラディアをよろしく頼むと頼んできたのである。俺がそれを承諾すると。今度はリディアスの父親が行方不明になってから今までの状況を話し始めたのであった。リディアスによるとリディアスの父親が行方がわからなくなってしばらくした時に、リディアの父親に匿っていた部下からリディアの父親の行方を捜してほしいとお願いがあり、リディアの父親はそれを断っていたが。リディアの父親も部下の頼みに断りきれず。部下から居場所を聞きだしたのだ。そして、その時にはすでに遅かったようで。

リディアの父親は既に死んでしまっていたのである。それからリディアの母親はその知らせをリディアに伝える前にリディアを連れて国外へ逃亡をしようと考えていたが。ラディアスの父親と王妃にその事が知られてしまい。リディアの母親も幽閉されることになってしまったのだという。そしてその時に。リディアの母親が、リディアには本当の母親の事を覚えていてほしいからと、母親の名前だけは隠し、リディアの母親の妹のミディアという名前を名乗ってリディアとリディアの母親の面倒をよく見てくれていたのだった。

俺はその話を聞くと。俺が知っているラディアスにとても似ている気がしてならなかった。するとその話を聞いたリディアスは俺の事をラディアスとそっくりだと答えるのだった。それから俺と、リディア、それからラディアスと、その妹のリディアは、ラディアスがリディアスと一緒に暮らせるようになったら必ず助けに行くと約束をし。その約束を交わしてからリディアのいる家にたどり着いた。

家に着くとリディアがリディアスと抱き合って再会を喜び合い。ラディアスが涙目になっていた。俺もリディアと再会した時、同じような感じだったが。やはりラディアスの反応は普通ではないように思えたのである。そして俺は、俺の仲間になったリディアとラディアスを紹介した。ラディアスがラリアの母親であることにリディアは驚いたようではあったが。すぐに受け入れてくれた。

それから俺はラディアスに、リディアスの母親はどこに囚われているのかを聞くと、今は使われていない城の地下に捕らえられているという情報を手に入れていたので。まずそこに向かうことにして俺達はその場所に向う。そしてその場所にたどり着くと地下牢屋の中に女性がいる事を確認してその人を解放する。彼女はこの城に仕えており、その途中で魔族と遭遇すると命を落としかけたがなんとか逃げ出して城に戻ってきたという。それから彼女の口からこの国に異変が起きたことと、魔族の襲来について報告してくれた。俺はその話を詳しく聞くとその女性が、今から一か月ほど前の事だというが。その時突然現れた魔物によって街が滅ぼされてしまったと。その後この街に残っていた兵士の人たちと、リディアの父親の騎士団の一部隊がその魔物と戦おうとしたが、敵わなかったらしいが。その中にリディアの両親もいたという。彼女はリディアとリディアの両親が生きていることを知って喜んでいた。だが。そこで、その女性も魔物に殺されそうになったときに、リディアに助けられ。その時にその女性はラディアスに助けを求めると、ラディアスはすぐにリディアのお父さんの元に駆けつけたそうだ。そのおかげでその女性を無事救うことができたのである。しかしその際にリディアとリディアのお父様が負傷してしまい、リディアは、自分の身代わりにリリアナお母様が犠牲になってしまった事を知り、ショックを受けて倒れてしまうと。その事を気にしていたのだ。

ラディアスは、その話を聞くと。リディアのことを気遣ってくれたらしく。俺は、ラディアスに感謝をする。そして俺が、今この世界に起きている出来事を話すと、ラディアスが、この世界は一体どうなっているんだと言い出し。俺がどうしてそう思ったのかをラディアスに聞いてみると。ラディアスは、リディアの両親はこの国の人達から慕われており、さらに、国王陛下とも親しい関係にあった。そして、国王が行方不明になったことでこの国の人達はとても悲しみ。国王がいなければ国をまとめる存在がいないからこのままでは国が滅びる可能性が高いと彼は判断する。そのため彼はこの国の人達の為に何かをしようと決意し行動を起こした。

そして、彼は自分の妹を使ってある作戦を実行したらしい。

その、作戦というのが。リディアと、リディアの母親であるリディアさんが二人揃っていることをいい事にこの国の女王になるつもりだと言っているように見せかけて実は女王ではなくて王女で。この国にはまだ王子が居ることを皆に知らせようとしたらしい。そのためにラディアスは、ラレスとリディアを連れ出してこの国から脱出をさせようとしたが、それを察知されたらしく、この国で最強と言われている騎士の男がラディアス達を追いかけたのだ。

だけどそれは囮で。リディア達が乗ってきた馬車と馬を、リディアスの部下たちが確保している間にリディアスとラリアスはラディアス達の隠れ家から抜けてこの国を出ることにしたらしい。そしてそれからしばらくして、その男の騎士の集団が追いかけてきたのだと言うがラディアス達が逃げる際に、追っ手の騎士たちに対して攻撃を行ったせいか彼らは傷を負い。それが原因でこの国を離れることになったという事である。

俺は、その話を聞いラディアスの優しさと。その行動力の強さを感じずにはいられなかった。俺の知るラディアスよりも少し違う部分があったがそれでも彼も立派な人物だと感じるのであった。

それから俺は、ラディアスにラリアの事は知らないかを尋ねたが。ラディアスの知っている限りだとリリアナの魂が宿った人間は今のところラリアだけしかいなかったらしいが。もしかすると他の場所で転生したかもしれないという話を聞き。ラディアスもまだ確信があるわけではないと言っていた。

だけど、もしもその人物がリリアナの魂を持っているとしたら。俺とレイディアがこの世界に来た目的の一つでもある魔王を倒すために、その人間を探す必要もあると思ったのだ。

俺がそんなことを考えていると、この部屋に、ラディアが入ってきたのである。そしてラディアスがリディアとリディアの母親の事を彼女に紹介する。するとリディアの母はリディアに向かって自分がラリアスの母だと名乗ると、リディアは最初は信じられないようでいたが、すぐに、リディアはラディアスの言っていることが嘘ではないことを納得したのである。

俺が、ラディアのお母さんがどうしてここにいるのかを聞いてみると、それはリディアの母親がこの城から逃げ出す時に、自分が城に戻るので、ラディアスをよろしくお願いしますと言われて頼まれたという。そしてこの人はこの国でも数少ない上級職の賢者でもあり。リディアの母親がこの人の力を欲していたことも事実であり。リディアの母親もその言葉を信じたのだという。

だけどその話はあくまでも建前で本当は自分の息子の事を助けてもらいたかったのだという事を伝える。だけどラディアスはそのことに関して否定をした。なぜならばこの国の王妃は自分の夫に惚れていたのではなく。自分の兄であるリディアスの父親が好きだったことを告げる。だからリディアの母親はリディアの父親と恋仲になれたと聞いて喜んでいたというのだ。そんなこともあり。そのことも含めて二人は本当に幸せだったと。

だけどその話には一つ矛盾があった。俺が疑問を抱いているとラディアスはその話を詳しく教えてくれた。それは自分の本当の父親がこの城にいないと知ったのはこの城にたどり着いた後のことだったらしく、つまりは、その当時、自分はまだ子供で何もできなかったらしく。そんな時に、いきなり父親が死んだと言われたのだと話すと、ラディアスは、本当の父親を殺した相手が誰か分かっているようでそのことについて話し出したのであった その相手とはラディアスの妹の、そしてリディアの姉であったラディアの母親なのだと言う。そしてラディアスの妹も行方不明になり。行方を捜していたがその行方がわからなくなった原因が自分の母親のせいだと思い知らされた。そしてそのラディアスの妹を行方不明にしてしまった原因は、リディアの父親とリディアの父親であるリディアの父親の間に子供が出来たと分かったとき。それが誰の子かもわからないまま、リディアの父親の妻達は怒り、リディアの父親を殺そうとし、それを阻止しようとした、ラディアスの母親や、妹のラリアも殺されてしまったのだというのだ。

(まさかこの世界でもそんな話が起きるのかよ。確かにこの世界のリリアナはリディアスと、そういう関係になっている可能性はあるけどさ。なんなんだよこれ?俺はこの世界でこんなに悲しい思いをする人を作りたくはなかったんだぞ。くそが!!それに、あの男も俺が異世界から来たなんて言ったのが間違いだったじゃないか)

ラディアスは俺にそのことを伝えるとそのことは気にしないでほしいと言いながらこれからはリディアと共に、ラディアと一緒に暮らしたいといい出すと。それに対してリディアは大歓迎ですと答え。それから俺の方を見ても問題ないかと俺に確認をとる。俺は、ラディアスにこの先どうするのかを聞くとラディアスがこの国は自分達で守りたいと俺に告げると俺はラディアスがどういう決断をするのか楽しみだと思うと俺はラディアスに頑張れとエールを送ったのであった。

俺とラディアスとラディアの親子はリディアの住んでいる屋敷に戻り。リディアの案内によりラディアの部屋に向かう。そこでラディアスがラディアを自分の妹であることを説明し始め。この屋敷の主である彼女が自分の母親だと名乗り始める。そして彼女は、ラリアが亡くなった後に生まれた子だと話し始めるとラディアスは、そのラリアと瓜二つの容姿に驚いていたので俺は、彼女の体を借りる前に、彼女の中に居た人格について話すことにする。すると彼は何か心当たりがあるようであったのだが俺が、どうしてそう思うのか質問してみるとリディアの弟が行方不明になったのは、自分が物心をつき始めた頃だというので。おそらく、弟の名前は、ランディスだという事を、彼が俺と最初に会った時の年齢からして計算ができるので間違いないと確信できたのだ。

しかしリディアに聞くと弟の名前がランディスなのかを聞かれたが、俺にはわからなかった。そして俺はそこでもラディアスの言う通りにこの世界に来てしまった時に記憶を消されたのかもしれないと思い知らされるのであった。それからしばらくするとラディアが部屋から出ていくように言われて出て行き、それからしばらくの間。リディアと二人っきりでいる時間が続く。そしてその間に彼女は、今の状況についての不満をぶちまけると。リディアは今までに感じてきた辛い気持ちを打ち明けるので。

「俺で良ければ、いつでも相談に乗るぜ」

と、言ってあげたのだ。

リディアは、その言葉を聞くと。涙ぐみ。俺にしがみつくと。彼女は自分の心の中にあったわだかまりが溶けた気がすると彼女は笑顔を見せる。だけどその顔を見た俺は。自分の心臓がドクンと高鳴ったのが分かり、その自分の胸の鼓動を感じた瞬間。なぜか俺の体が熱くなった。

(俺はリディアの事が好きで、俺はこの世界に呼ばれたはずなのに、俺の中に別の女性が存在しているっておかしいよな。でも俺はリディアに抱きつかれただけで嬉しいと思ってしまうんだ。俺が元の世界に戻ればきっと、リディアに二度と会えないかもしれないのに俺は何を考えてんだろう。リディアが好きなだけじゃだめなんだ。この世界が平和になって俺は帰るべき場所に帰れるようになったときに俺は、どうするんだろう?)

そう考えていると。リディアが何かを話していることに気づき、俺も自分の悩みを忘れてしまい、彼女との話に集中して聞き耳を立てることにしたのであった。

「私も、お姉ちゃんも。貴方のおかげで、こうしてまた生き続けることができて。感謝しています。そして私の中のもう一人の存在は。リリアナさんがこの国の為に残した遺産を、今度は私たちの手で、守り抜こうと考えています。そのためにまずは国の中での協力者を集めたいと考えており。リディアさんに協力して欲しいのですがいいでしょうか?」

リディアが、俺のことを、さん付けしながら呼んできたので俺が、少し戸惑っていると、俺の心の声を感じ取ったのか? 彼女は慌ててリリアナ様ではなくてリリアナと呼び捨てにしてもいいかと聞いてくる。そのリリアナはもう亡くなっているのだが俺はそのことについては深くは聞かない事にした。

それから俺は彼女の考えに賛成したので、リディアは、ラディアスと、俺にこの国に滞在するように提案してくる。俺は、リディアの事が心配なのでできればこのまま一緒にこの国に残りたかった。

そしてこの国に滞在することに同意すると、リディアも喜んでいたのであった。そして俺は、ここでの生活に必要なものは何でも用意するので困ったことがあったら遠慮せずに頼んでくれと伝えてきたので。俺は早速お願いすることにした。

それから俺は、自分の事だけではなく、この世界のお金を持っていないことに気がついた。そこで、この世界の硬貨がどの程度の価値があるのかを聞いてみるとリディアはこの国では銀貨が、銅貨100枚で金貨1枚のレートが決められていて。さらにその上として白金貨と、金貨が5枚と10枚で、その次となる貨幣があるのだというのだ。

ちなみにこの国の一般的な食事の料金としては。

パン一切れが銅貨3〜6ほど 飲み物は、水で20 ワインで80 葡萄ジュースが50 という風に設定され、肉は500 魚で700 野菜や果物は800 となっているので、普通の人が食べる料理なら、銅貨で3000円程であり、貴族などの身分が高い者ならばもう少し高い金額で食べれるが、一般人が毎日そんなに豪華な食べ物を食べられないと教えてくれたのであった。さらにリディアは自分の持っている服を貸してくれるといい。

そしてこの城の宝物庫にリディアの母である王妃の宝飾品があるのでそれを使うので問題ないという事を教えてくれた。

だけどそのことを聞いても。この国の王女でもある彼女が自分の母親の遺品を使っても良いのかを疑問に思ってしまう。だけど彼女はリディアのためになるのだから問題はないのだと話してくれたので俺もそのことには納得して、彼女の言葉に従うことにする。そして彼女は、これから自分の両親に紹介してくれるというのでその申し出を受けることにすると、ラディアスがリディアと一緒に俺も城に戻るべきだと進言してきて俺がラディアスに城に戻るとしたらどれくらい時間が掛かるのか聞くと、ここから王都までの距離が約一日の距離で往復で約二日。そこから城までの移動が、徒歩で4時間から8時間。馬に騎乗するにしても、城に着く頃には深夜になっており。そんな夜中に謁見はできないので翌日になると教えてもらったのであった。俺はこの世界に飛ばされてから今日で三日目。この世界で生活を始めようとしている時に、いきなり呼び出された上にいきなりこの世界に残れないといわれ。しかもその理由が自分のせいだと言われ。この世界にいる間に何とか元の世界に帰れる方法を探すために行動しなければならないのにと俺は思いながら、明日は早いから早く寝るように言われるのであった そしてリディアは俺を連れて自分の父親の部屋に向うのだった。そして部屋の前までたどり着くとラディアスは先に俺をリディアの両親の所に案内した後。自分はリディアの部屋で待つと話すので俺だけがリディアの父親にあうことになると扉を開けるとそこにはリディアの母親も一緒の部屋にいたのだ。俺は二人のことを交互に見ると二人共俺に話しかけてきてくれる。リディアの母親は自分よりも少し年上で見た目も若く綺麗で美人であった。

(確かにこんな人と結婚できたら嬉しいけど、やっぱり無理だよなぁ)

と、そんなことを考えながら俺は二人に挨拶をして自己紹介するとリディアの父親が立ち上がりこちらに来て握手を求める。俺もそれに答えると父親は俺の手を握ってきて俺にいろいろと話し始めるので俺は適当に受け答えをしていると、リディアの母親が俺に飲み物を差し出してくれて。俺はそれを受け取る。

その飲み物を飲みながら話をしているうちに俺は緊張し始めて、喉が渇いてきたので出された水を飲んでいると。

俺が飲み終わったグラスにおかわりの水を入れてくれるので俺はそれを再び飲んだのであった。すると俺におかわりを入れた後で自分の分を入れていたリディアの母親が急に咳き込むと、俺は慌ててリディアの母親に近づくとリディアのお母さんの体を支えてあげると彼女は俺の顔を見ながら微笑みかけてくれて俺の背中を摩ってくれたので俺も安心していたのだが。リディアの母親は急に苦しみだし俺は彼女を抱き抱えようとすると、俺は彼女の体から突然黒い霧の様なものに包まれると同時に彼女の体が宙に浮き上がり俺の体に何かが入り込んでくる感覚を覚えてそのまま俺の意識が失われていく。

俺はその現象に対して何か対抗できないかと考えていたのだが俺がどうすればいいのかがわからない。そこで、俺は助けを求めるために心の中で声を出してみると、誰かから何かの声が返ってきたのだ。

『汝が、この娘の婚約者なのか?』

(違う。ただリディアの事が好きだし、俺は彼女とこの国のために何かをしたいと思ったから協力するだけに過ぎないしな)

『ふむ。そうなのか。この娘には我と契約を結んだ者がおって、そいつは我が力を与える代わりにある使命をこの娘に与えた。だがこの女はまだ若いため我の力を受け入れきれず、この娘はいずれ死に。契約者の男もまた命を落とすはずだった』

「俺がその契約者になればこの子を守ることができるのか?」

『それは可能だ。ただしその場合は貴様にもそれなりの代償を支払ってもらう事になるぞ。それでよいのか?』

「ああ。その程度の事でリディアを守れるなら構わない」

俺がそう決意すると。その意思が通じたのか? 俺とリディアの契約が結ばれ。リディアと、そして俺はお互いの心臓が繋がりあい。お互いにそのつながりを感じると俺の中に入った黒竜の魂がリディアにも俺の中に入ってきて俺は彼女に抱き締められながら倒れ込み気を失ったのであった。

それから俺はリディアが目を覚ましたのを確認して。彼女が俺に何が起きたかを説明するのであった。

それからリディアの話を聞くとその契約をするにはかなりの苦痛を伴うとリディアの口から説明を受ける。

リディアの話によると俺がリディアと契約することで俺もリディアもこの国で生きることが出来るようになるのだという 。さらに、ラディアスからはリディアをよろしく頼むと言われてしまったので俺もそれを受け入れることにした。それから俺達は部屋を出ると俺はラディアスと共に城に帰ることにした。そして帰り際に、城のメイドさんが迎えに来てくれたのだが、俺はなぜかリディアと別れてラディアスの方に近づいていった。

「どうかしたのですか勇者殿。何か気になる事があるのかしら?」

「ラディアスさんって確か独身でしたよね?」

「はい。それがどうしました?」

「えっとですね。リディアが俺と結婚するみたいなんですが。この国の結婚ってどうなっているのかなって思いまして」

「あらあら、そういう事ね。でも大丈夫ですよ勇者殿は私達が責任を持って守りますよ。だから気にしない方がいいと思いますよ。この国は一夫多妻ですし、王族は複数の妃を持つ事が認められていますから貴方はリディアさんと結婚しようが問題ありません。リディアさんのお父様も既に貴方のことを婿として迎え入れることを承知していますから後は、リディアさんの返事待ちだけです。でもまぁ。貴方がリディアさんのことが本当に好きなら別に他の女の人を娶っても問題はないと私個人は考えていますが貴方はそれでよろしいのでしょうか?」

俺はラディアスの言葉に考え込む。俺はリディアの事が大切だし愛しているがだからといって彼女を悲しませてもいいと思っているわけではないのだ。俺もそこまで薄情じゃないのだだから、リディアの事はちゃんと考えておきたいのだ。

だけどここで、この国に留まるのも一つの選択かもしれないと俺は思う。ここで暮らしていれば、もしかしたらリディアを救う方法が見つかる可能性もあるしここでリディアと一緒に過ごしながら探していくというのもいいんじゃないかと思えるようになってきたからだ。

「わかりましたラディアスさんとりあえず考えてみることにしてください。それと一つだけ質問があります。さっき言っていた、契約者とかっていう話は本当なんですか?」

「はい。間違いではありませんが、その詳しいことはここではいえませんが。私はあなた方と契約を結ぶためにここに来ているわけでして。貴方はもう私の加護を受け取っているはずなのです。それがある限り、この国からは出られない事になりますが、それでもいいのですかね?」

俺はこの国の外には出たかった。だが、俺には帰る家があるのに帰ることができないというので俺は、そのことについては受け入れることにすると。俺はこの国に留まってこの国を少しでも良くする事に協力しようと心に決めるのであった。そして城に戻るとラディアスにこれからの事を話したいと伝える。するとラディアスも俺に話が有るというので一緒に話を聞きに向かうのである。

ラディアスの話ではリディアが城に戻るまでに少し時間があるので、俺に自分の屋敷までついてきてくれないかと言われてしまうので俺はそれについていくことに決めて。ラディアスに案内してもらうと、城からそんなに離れていない場所にある大きな家にたどり着くと。ラディアスにここが自分の家で、城まで歩いて1時間で着くほど近くだと話してくれる。ラディアスは中に入ると俺を応接室に通すと。そこで話を始める ラディアスの話は、まずは自分がなぜ俺達に話しかけたかということや。そしてどうしてラディアスとリディアがあの村にやってきたのかを説明してくれた。

ラディアスは元々別の街で兵士として働いていたのだが、ある日突然王からの招集命令が出て王都に向かい。そこで国王陛下が病で倒れ。急遽ラディアスが王都の代表として魔王退治に行くように命じられたのだという 。

俺がそんな話を黙って聞いているとラディアスは、魔王を倒して欲しいと言ってきたので、俺はこの世界にきてまだ二日目だというのにそんなことを急に言われても困ると正直に伝えると。ラディアスは俺をじっと見てくるので。ラディアスに視線を合わせているとラディアスの瞳から何かが飛んできて。それが俺の頭に入ってくると。頭の中に映像が流れると。俺はその映像を見終わると俺に話しかけてきた。

『これでわかったと思うけど。君は今から私が見せる記憶を見たから君も今の魔法が使えるようになっているはずだよ。ただ。これの使い道はあまり勧める事はできないけどね』

「俺があんたの力を借りるのに必要なものか? それは一体なんだ?」

『そうだな。この力を簡単に説明すると。これは君の魂の一部だ。これを媒体に使う事で君は、ある能力を一時的に使う事ができるようになり。更に、その能力は一度きりで二度目は使用できなくなるんだ。もしもう一度同じ力を使用する場合は魂が完全に消え去る可能性があるから。この力の事を人に話すのは絶対に避けてほしい』

「なるほど。そういう事だったのか。それじゃ。その力を使えば俺にもできる事があるのか?」

『あるよ。だけど、この力はリスクもあるし、普通は使わないほうが無難だと思ってくれ。もしもその力で人助けをしようと考えたとしても、その力が強力すぎて、周りに危険をもたらす可能性が高いから。できればあまりその力と関わるのはおすすめしないね』

俺はラディアスの話を聞いて自分の能力の危険性を知ると、その力を使うことを止めておくことにする。するとそこで、リディアが俺の所にやって来ると。俺の顔をジッと見て。何かを言いかけたがすぐに口ごもるので。俺はどうしたのかと聞くと。リディアがラディアスの事が気になっているようなので、俺がラディアスを紹介すると。リディアは、俺に何か言うべきか迷った後で、ラディアスをどこか見覚えのある女性だと思いだすのだが。

俺は彼女の事を知らなかったしリディアも、彼女から何かをされたわけではないようだったので。俺は、彼女とリディアが初対面なのかとリディアに尋ねてみると。彼女は小さく首を横に振ってから俺に向かって。

彼女は私の知り合いなのと、俺の耳元で呟いたのであった。リディアは、何故か知らないがラディアスのことを気にしている様子なのだが。彼女が何故、この国の王女なのにこんな辺境にいるのか俺はその理由を考えるのだがよくわからなかった。そしてその後しばらくリディアの相談に乗ると。

「レイディさんも、もう少し大きくなったらきっと綺麗になりますよ」と、ラディアスさんがリディアに対して微笑むと。なぜかリディアの顔が一瞬だが歪むのでどうしたのか尋ねるがなんでもないとしか答えてくれないのだ。すると今度はラディアスの方から俺達に対して、自分の娘の事について話し始め。娘の性格が悪いと言う話を聞く事になるのだ。するとラディアスは自分の部屋から出て行くとリディアに部屋に来るように伝えて、二人は部屋に二人で向かってしまう。俺は、二人が何をするのか興味津々だったのだが結局教えてもらえなかった。それから暫く待っているとその二人が戻ってきたのだが、その時のラディアスの様子は明らかに変になっていて顔色が悪くなり額からは冷や汗が出ていてリディアの肩を力強く掴んでいたのだ。

俺が、ラディアスの様子がおかしいことに気づくとリディアは俺の手を引いてラディアスから逃げようとするのだが、ラディアスに阻まれて、そのまま連れて行かれそうになるのを、俺はリディアに、俺がどうにかするとだけ告げると、俺はリディアを連れて、屋敷の外にまで連れて行く。

「悪いリディア、お前がなんでラディアスさんにあんな態度を取ったのか俺は聞かないし責めたりはしないけど。せめて、ラディアスさんの前でくらいはいつもの調子で話してもいいんじゃないのか?」

「違うの! 彼は私にとって大事な人で。それに私のせいで彼は苦しんでいるの。だから彼にこれ以上、迷惑をかけたくないの」

「なるほど。それであの時リディアがラディアスさんを見たときに見せた表情が、そういうことか。リディアも、本当は会いたかったんならそう言えばいいのに」

俺の言葉を聞いたリディアは、俺に詰め寄ると。私、彼を助けないといけないんですと言って俺から離れていく。俺はリディアがどうしてそんな事を言うのかわからない。リディアは俺の言葉など聞こえていないかのように走り去っていく。

(やっぱり俺とラディアスさんの話を聞かれていたようだね。でもまさか、あんな事が起きるとはね)

ラディアスさんは、俺が部屋を出る時にリディアと二人きりになると俺達に何かするつもりがないと言っていたが、やはり信用はできなかった。

リディアに何かあったら俺が必ず守るつもりではいるが、俺はこの時リディアがなぜラディアスを見てああなったのか気になっていたが。俺がラディアスさんの話をすると明らかに動揺していたので俺は、ラディアスさんのことを詳しく話してくれないかというが。俺の話を遮ってリディアが先に俺の部屋に戻っていった。俺はリディアを追いかけるように自分の部屋に行こうとしたのだが。俺はラディアスから呼び出しを受けてラディアスがいる場所に向かった。

そして俺が応接室に向かうと。ラディアスからリディアがラディアスに会いたいと言っていることを伝えられると。俺はどうして急にそうなってしまったのか理解できなくてラディアスに訪ねると、 ラディアスは困り果てたように俺の事を見ると、娘をどうかよろしく頼むと言われてしまうので俺はその件に関しては引き受ける事にしたのだ。俺はリディアがなんで、ラディアスの事でそんなにも焦っていたのかわからず。とりあえずラディアスと話すと、リディアが心配するような事はしないし、これからは俺に任せてくれとだけ伝えると。ラディアスはそれを聞いて安心して俺に一礼して部屋を出て行ってしまう。そしてその翌日になって俺達は城に帰るために馬車に乗り込む。すると俺は隣に座っていたリディアにラディアスの事を尋ねてみた。

ラディアスに、娘を頼むと言われた時のリディアの慌てようは尋常ではなく。ラディアスの身に何が起きたのか問いただしてみようとしたのだが、リディアに俺には関係の無いことだから、私のことはほっといてくださいと言われてしまうので。俺は、リディアの事を少しばかり怒らせてやることにしたのである。

「まぁ俺も、ラディアスさんの気持ちはわかるんだよ。俺も、もしも自分が、妻が突然自分の前から姿を消したりした時は、俺だって同じようになっちまっただろうからな。リディアはさ、どうしてラディアスさんが突然あんたを突き放すような態度を取るようになったのか、それがわかっているのか?」

「そ、そんな事私は知らないわよ。だいたい私が彼とどんな関わりを持っていたのかなんて。そんなことはあなたなんかが気にすることじゃないのよ!」

「おい、俺にだってそれぐらいの心当たりはあるぜ。なにしろこの国に来るまでの旅の途中にずっと一緒にいて、そしてあの村にたどり着くまでの間の食事とか、全てはリディアのお世話係をしていたからな。それとな。俺も、あの村の村長の娘にちょっとだけ好意を抱いていた時期もあったんだよ」

俺の話を聞き終えた瞬間に俺に視線を合わせなくなったので、リディアの肩を掴み、俺の方を振り向かせる。するとリディアは俺から目をそらそうとするので、俺の瞳を見ろと命令するとリディアがようやく観念したので。

「どうせ俺の過去がどうだとかいうんだろう? 俺はな。別にこの世界に飛ばされてきたことに何も思っていないわけでもないし、後悔していないと言えば嘘になるが、だけど、この世界にきてよかったって心から思うことが何度もあって、俺は今、自分の生きている世界に愛着があるんだ。リディアは、俺のことが好きだったのか?俺と恋人になりたいのか?」

「あ、あんたは本当にバカなのね。そんな事を言われたって私、あんたの恋人になるつもりはないんだからね。私、今、恋とか愛とかまっぴらな気分なんだからね!」「俺もな。リディアに振られて傷ついているんだ。お前も振った男の前で、いつまでも強がって見せるなよな。素直になれば楽になれるぞ?」

「ふんっ。そんな事言ったって騙されないんだからね!私、あんたなんか大嫌いなんだからね。うぇ~ん、ご主人様。この男が私の唇に無理やり、ん、んん、ちょ、止めなさい! 私の舌を噛み千切る気!?」

俺はリディアがあまりにも往生際が悪かったので、実力行使に移させてもらって、強引にキスをしてやった。

『君の本当の力は、君の精神力によって左右されてくるんだけど、君は、まだ精神的に強くなろうとは考えていないようだから。だから、君の力を封印しておくよ。これがあれば。君は自分の精神が乱れていてもそれを正常に保ってくれる』

(へー、そんな便利な物があったのか。ありがとうございます)

『い、いや。いいよ、こ、これはお詫びでもあるし』

(そういえばそうだった。ラディアスさんはリディアに手を出さない約束で、俺が代わりに相手をすると言ったんだったな。でも、俺は、ラディアスさんがどういう人間かわからないから、リディアを任せることはできなかった。だから俺もラディアスさんを試させてもらったんだよ。だけどラディアスさんがリディアを本気で好きなのはよくわかった。ラディアスさんはきっと良い父親になれそうだ)

俺はリディアとの行為を終えた後にラディアスさんにお詫びを言って、ラディアスさんと話をするとラディアスさんはリディアをとても大切にしていることがよくわかり。俺はラディアスさんと友達のような関係になっていく。それから俺はリディアを膝の上に乗せて抱き寄せると。ラディアスさんは顔を真っ赤にしていたがリディアの背中に俺がつけた痕を見つけるとなぜかリディアは恥ずかしがって離れてしまった。

ラディアスは俺の事をなぜか警戒していたようだったが。俺達が城を発つ時には見送りに来ずに、俺はリディアに何か困ったことが起きた時は頼ってほしいと言ってラディアスと連絡先を交換すると、ラディアスは苦笑いをしつつも、俺の連絡先が記されたメモを受け取り帰って行ったのであった。

「ラディアスは私にとって大切な人なの。お願いレイ。彼だけは見逃してあげて。私は、彼を助けたくて。だから彼に会わせてほしいの。お願い。私に、彼を殺させないでほしいの。彼は悪くない。悪いのは全て私だけなんだから」

リディアが俺に対して懇願してくるので、ラディアスがリディアに何をしてどうしてこんな事になったのか聞いてみた。

ラディアスさんは、元々、ラディアスさんのお母さんが病気で亡くなり。ラディアスさんの父親が亡くなった母親と新しい奥さんの間で苦しんでいたらしく。そこにリディアが現れてから更に苦しんでしまう事になる。だがその事実を知らないリディアは、ラディアスを誘惑して父親の後妻として入ろうとしたのであるが。そのせいでリディアが自分から俺達と距離を取り始めるようになり。そしてある日、ラディアスはリディアの母親に殺されてしまう。リディアは、その事がきっかけで心を閉ざしてしまい。それ以来リディアは人と関わらなくなり。屋敷の中で一人、ただ時を過ごす日々を送っていたという事を聞かされた。

ラディアスの母親は、自分の夫が死に、悲しみで塞ぎ込んでいた時に現れたリディアの存在に救われてしまい。リディアとラディアスの関係を知りながら。そしてラディアスの母親が死んでからも。屋敷の中はラディアスの居場所ではなくなってしまい。リディアに屋敷から追い出されるようにしてラディアスは、あの森の屋敷に住むことになったらしい。

俺はその話を聞いた後に。俺はリディアがラディアスと再会した時になぜラディアスを見て驚いたのかその理由を聞くと。リディアは俺の耳元で、リディアの母親は私に優しくしてくれていたから。と俺の耳に囁きかけてくる。俺がどうしてリディアが俺にそんなことを言ってくるのか不思議だったのだが。ラディアスさんから話を聞いて納得をしたのだ。確かに俺にもそういう時期があったから気持ちが良くわかる。俺だって自分が好きになった女の子が自分の家族の中に入ってきたとしたら嫌だろうし、それで自分が幸せになるとも思えなかった。だからこそ。もし仮に俺ならそうしただろうと思ったからである。そして俺にはある仮説が生まれたのだ。

(やっぱりリディアには父親がいないということだよな?もしかしたらあの時の赤ん坊っていうのが?)

「リディアはその事を覚えているか?もしもそれが理由だとしてもリディアは何も悪くはないよな?だってそれはリディアの母親の勝手な判断であり、そしてリディアが望んだことでもなかったんだからさ。俺だって同じ状況に置かれたら、俺だってリディアの味方になると思うから。それに俺は、俺にできることがあるんであれば何でもしてあげたいしな」

俺の言葉を聞いたリディアは涙をこぼしながら俺の胸に頭を寄せて来て。リディアは泣きじゃくりながらも俺の服を強く掴み俺の胸で泣いたのであった。そんなリディアを俺は慰めながら、リディアに何があったのか、何が起こったのかを聞いてみることにした。するとリディアは少しずつだが、今まで起きた出来事を語りだす。

リディアが言うには。リディアの母は、リディアがラディアスと一緒にいる所を見るといつもラディアスの事ばかり気にしていて、自分の娘の事を全く気にしていなかったという。そのせいでラディアスは、母に愛されなかったと思いこみ、自分がラディアスの親代わりになれば、自分の両親のように仲が良い家庭を作れるのではないかと考え始めてしまうことになる。リディアはそんなラディアスを元気づけようとラディアスの為に料理をしようと思ったりラディアスを励まそうとしたりしたそうなのだが。それでもラディアスは自分を愛しているのかと問いただしても答えてはくれず。むしろそんな事をすれば自分がラディアスを苦しめてしまうとリディアは思い。ラディアスの目の前に姿を現さなくなるのであった。

そしてそんな生活を送っている内に、リディアは、自分と関わった人間は不幸になるという。そんな妄想に囚われるようになる。

それからもリディアが、自分に話しかけてきた村人に酷い対応をしているのを見ていた村の人たちは、リディアを恐れるようになり。そして次第に、村の人々は、ラディアスをリディアから解放した方が良いと噂するようになる。

それを見たリディアはますます落ち込んでいき。それが原因でリディアは体調を崩したのだという。

「そういえば、リディアが体調を壊していた原因を教えてくれたけどよぉ。もしかするとあれがきっかけになっていたんじゃないか?なぁ。リディア。あんまり、お前が辛い目にあってきたからこそ俺達に何も教えなかったってことも十分に考えられるぞ?だとしたら俺達が悪いんじゃなくてお前自身の責任ってやつなんだよきっとな」

(だけど、リディアはどうせ俺達のことを信じないかもしれないよな。俺にできるのはリディアの心の中にある苦しみを和らげる事だけだからな)

「うん」

(とりあえず、ラディアスさんの事をどうにかするしかないか)

「リディア」

俺はラディアスをどうにかする方法を考えるために一度城に帰ることにすると伝えると俺は城に一旦戻る事にするのである。それからしばらくした後。俺はリディアにもう一度会う約束を取り付けて俺はラディアスに会いに行く事にする。それからしばらくしてラディアスがいる部屋までやってきた俺は部屋の中に入るとラディアスに声をかけたのだった。するとラディアスは、急に俺が会いに来たことに動揺をしてしまうが、すぐに気を持ち直す。

俺はラディアスと二人で話をすることにするが。リディアは俺達を二人きりにしてどこかに行ってしまった。おそらくだが。リディアは自分の事を責められると思っていたんだろう。だが俺が、俺は別に怒ってはいないと伝えた事でラディアスは安心してくれたみたいでラディアスが、ラディアスが、俺が、自分の事を恨んでいなく。俺を騙していたことを許してくれて、また、これから、自分の娘を助けてくれるのであれば喜んで協力してもらえると伝えてくれた。

俺がラディアスを説得する事に成功したのでラディアスは俺が連れ出した少女に、俺を信用しても良いのかどうかを確かめるために。俺とラディアスの会話を聞かれないように防音の結界を張る。そして俺はラディアスにその事を伝えてから。俺は、ラディアスに事情を話してから、俺と、ラディアスの娘である。ミリアを屋敷に匿っていることを告げると、やはりラディアスが驚く事になってしまう。

ラディアスも、リディアと俺が結婚をしていないのに子供を授かっている事は知っていたが。その子供の年齢が俺の予想していたよりもずっと幼かったのと、その子がラディアスと血の繋がりが一切ないという事がわかったようで。ラディアスは混乱を隠せないようだった。

そして、俺は、ラディアスに、この事を誰にも話さない事を約束させ、ラディアスはリディアがラディアスの目の前から姿を消した理由を聞き出す。

「実は、リディアは私の前に姿を見せなくなり。私を避け始めたんだ。リディアは昔から病弱であまり外に出たりとかしない子で。私は、自分のせいなのかと思って。何度も謝ったりしてたんだ。だけど。リディアからは私は悪い人間ではないと言われただけで、私がどんなに必死に説明しても。結局リディアは、私を許そうとはしてくれなかった」

ラディアスが俺に向かってそう言い終えると俺はラディアスの肩を掴み真剣な表情で、リディアはラディアスが思ってるよりかはきっと、貴方の事を大切に思っていたはずだと言い切ると、リディアの本当の気持ちを伝える。

「リディアさんは確かに悪いことしていました。ですが、彼女は貴方のことをとても大切に想っていたはずですよ」

「でも、リディナはもう戻ってこない」

ラディアスはリディアと過ごした思い出の日々を思い出すかのように空を見つめてから目を閉じ、リディアとの楽しかった日々の記憶を呼び起こしてからゆっくりと深呼吸をする。そんなラディアスの様子を見て俺はラディアスにある提案をしてみる。

「ラディアスさん、リディアを探す手伝いをしましょうか?」

「えっ、本当に手伝ってくれるのか?君はリディアを、見つけられたとしても助け出してくれるというのか?そもそもなぜそこまで私に親切にしてくれようとするんだ?正直、君と私の接点はあの時の一件しかないじゃないか。なぜ私のためにここまでしてくれる?まさかとは思うが私に取り入って私とリディアとの関係を利用しようというのか?もしそうなのであれば残念ながら私は君に協力したくないんだがな」

ラディアスは俺を試すような口調でそんなことを言って来たので俺は慌ててラディアスに自分はそんなつもりではないし、そんな目的でラディアスの所を訪ねたわけじゃないことを全力でラディアスに伝えたのである。するとラディアスは、冗談だよ。と笑顔で言うので、ラディアスと俺は、お互いで笑ったのであった。

ラディアスは少し考えるようにすると。

「君に協力してもらう事について考えておくよ。それよりも君の実力を見せてもらってもいいかな?今からリディアが消えた森に行こうと思っているんだが。もしかしたら何か手がかりがあるかもしれないし。リディアの行方を少しでも掴める可能性があるならば私はなんでもしたいんだ」

俺に、そう告げてくるラディアスの目はとても澄んでおり嘘偽りのないものだとわかるのだが。俺は、その申し出を素直に受け取ることができなかった。だが断る事もできなかった。ラディアスの覚悟を決めた瞳を見ていたからこそ。

だから俺は、ラディアスを連れて行く事に決めたのだった。

俺は、ラディアスを連れて例の森にたどり着くとその時に、リディアはラディアスの目の前から消え去る前に何をしたのかを聞く事にする。俺に聞かれたラディアスは一瞬躊躇うが。ラディアスが、話し始めると。俺にリディアがいなくなった場所まで俺と一緒に連れて行ってくれないかとお願いしてくるのであった。そしてラディアスはリディアがいなくなった場所で地面に手を当てて地面から伝わる振動を感じ取り始める。

(ラディアスさんのスキルが凄すぎて全く参考にならないな)

俺が、そんなことを考えている間も、ラディアスは、黙々と調査をしているが一向に進展がなかったようだが。突然その行動をやめると。ラディアスは俺に申し訳なさそうにして、ごめん。やっぱり役に立てなくて。と謝罪を口にする。

俺はラディアスに。ラディアスは役に立ってないわけではないと慰めて。俺に考えがあるのでラディアスにも俺を手伝って欲しいと言うと。ラディアスは驚いた顔をする。そして俺は、リディアがいたと思われる場所と。そこから移動をした形跡を調べるためにラディアスの協力が必要だと話すと。ラディアスはそれなら自分が役に立てるかもしれないと口にするので俺は早速リディアの足跡を辿ってみることにした。

俺が、足跡を追っている途中に、ふとある事を思い出してラディアスに尋ねることにした。ラディアスに、俺の質問に答えてもらうと。やはりリディアが、自分の父親を探しているという情報は本当らしいという事が判明する。そしてリディアの足跡を追えるという事は、リディアが誰かに連れられてこの場所に来ていたということになる。俺はそのことを頭に入れつつ。ラディアスに案内されるままに付いて行く事にしたのであった。

ラディアスに先導され俺達は森の中を進んでいくと俺達の前に一人の男性が現れる。

「お前たちこんな所に何の用だ?見た感じ。貴族みたいだが。ここが何処だかわかっているんだろうな?まぁいいさ、俺の名はガルムだ。あんまり調子に乗って痛い目に合いたくなければすぐにここから去れよ。ちなみに忠告はしたが。ここで俺達に歯向かうっていうんだったら容赦するつもりはないから覚悟しとけよ。俺達が誰なのか教えてやる必要もないな」

俺が、その男の言葉を聞いて、この人達ももしかすると魔王の手先ではないかと思い警戒をするが、その男が急に吹き飛ばされてしまうのである。

「おい!てめぇ!!いきなりなんだってんだよ!!!俺がせっかく優しく警告してやったのにそれを無視しようとして、しかも攻撃してきたくせによくわからないとか言いやがるし。それじゃあ一体なんの為に警告なんてもんを出したのかがわかんねえだろうが!!」

その男は、自分を攻撃したラディアスに向かってそんな事を言っていたが。すぐにラディアスに殴り返されると地面に転がる。俺はそんな様子を見ながらも、ラディアスが、何故この男の言う事を真に受けずに、無視するどころか、攻撃を仕掛けようとしたのかが理解できない。俺の疑問に気づいたのかラディアスは、

「彼は私の友人でありこの国でも五本の指に入る実力者でね。彼ぐらいの人物でなければ、私が本気で相手しようと思った時に止めに入ってくれる人物がいないのでな。だから、もしも彼が、リディアに手を出すつもりであれば私と敵対しなければならないからな」

「そういうことですか」

「だが君はどう見てもただの貴族のようだったのとリディアを探そうとしているように思えたんで、彼に私と友人関係だと知られる方がまずいと判断したからな」

(いやまぁ俺はただの貴族の子供にしか見えないんだけどな。それよりも俺は本当に、リディアを助けることができるのだろうか?)俺がそうやって自分の能力に対して不安を抱いている時、ラディアスの知り合いであろう男性は起き上がると、俺とラディアスが、その青年の目の前に立つと、俺と、ラディアスに敵意を剥き出しにする。

それからその青年は二人を睨むが、二人はそんな事気にしないかのようにお互いで笑い合っている。そんな二人を見た、男性の態度が明らかに変化をする。俺達の事を格下扱いしていたような表情を浮かべるようになっていたのである。そしてそんな状況を見かねたラディアスが。その青年に、少し話を聞かせてくれと頼む。ラディアスに頼まれてしまった以上は断りにくいらしく。渋々といった形ではあるが。その男性は俺達の話に付き合ってくれることになる。

そしてラディアスはその青年に向かってこの場に現れた理由を話す。この森に迷い込んでしまった子供を捜していて。自分達はこの森に詳しい人物がいないかどうかを確認する為に尋ねていたと話すと、ラディアスと顔見知りだったはずの男性がなぜか動揺した様子で俺の事をじっと見てきた。そんなに見られても俺が困るというかなんというか。

「俺には関係ないな」

俺がその言葉を呟くとラディアスも、確かにそうかもしれんなと言い出す。だがそこでラディアスが、ある事を思い出す。俺もそれを言われて気付く事になる。俺達が今ここに来るまでに見かけた人の数はあまりにも少なすぎるのだ。俺は、リディアがいる可能性がとても高いので、もう少し調べさせて貰います。とラディアスと男性に伝える。するとラディアスの知り合いの男性が。自分も捜索に同行させて欲しいと言ってきた。ラディアスは別に構わないが。その人はそれで良いのか?

「俺の方は全然問題ないぜ。むしろ、そっちの若い方の実力を見ておきたいと思っていたところだからちょうどいい機会だしよ。俺はお前の事を知ってはいるけどよ。直接会ったことはなかったから。少し興味もあったんだよ。それに、俺はこいつほどではないがそこそこ強いと思うから安心しといてもいいぞ」

俺はそんな事を言ってくれた、この人について行く事に決め、リディアさんの行方を探す事にするのであった。ラディアスも最初はあまり納得がいっていないようだったが、それでもリディアを見つける手がかりが見つかるかもしれないと希望が見えたのか俺にありがとう。と言うと。早速森の探索を再開するのであった。そして俺とラディアスが二人で歩いている中。俺はこの人と、リディアの関係について尋ねる事にした。

「ところでラディアスさんのお友達で、あの人がラディアスさんに何かを言ったから俺の実力が見たいと仰っていたみたいですけど。ラディアスさんの友達は、そんなに強いのですか?」

「ああそうだな。君はまだ知らなかったか。彼の名前はガルムといってな。王国では名の通った冒険者で実力もあるのだが。あの通り、性格に難があり過ぎてな。私は、友人だと思われているのだが、周りはそうは思っていないみたいなんだ」

「そうだったんですか。それとどうしてラディアスさんの友達がリディアの行方を知っているかもしれないと考えた理由は?」

「彼はリディアをこの村に来る前から知っていたんだ。それもおそらくリディアをこの村に連れ込んだのは彼の父親だと思うんだ。私の父が、リディアの父親と知り合いだったからね」

「え?それじゃあ。その、ラディアスさんのお父さんと、リディアの父親は、仲が悪いということでしょうか?ラディアスさんの父親の話では、昔、二人が知り合った時に色々とあって。その後、二人は決別して別々に暮らしているという事でしたが」

俺はラディアスにそう聞くとラディアスは首を左右に振った後、俺の方をしっかりと見て真剣に答えてくれる。

「それは間違いだよ。確かに父とリディアの父は。リディアが生まれて間もない頃に一度だけ対面した事があったはずだ。しかし、その時の事は覚えていないみたいだな。だからリディアが、父を慕っているという気持ちがあるだけで、実際には父娘の関係ではなかったはずなんだよ。実際私が知っている限りでもそんなに頻繁に会っていなかったはずなんだけどな」

俺が、そんな話をラディアスから聞こうとしていた時、ガルムの様子がおかしくなる。ガルムは急に震えだす。俺が、ガルムの様子を見ているとラディアスは俺の顔を見る。その目を見るとラディアスは、心配しなくていいと伝えてくれたのである。俺はその視線がラディアスの物なのか俺自身に言っているのかわからなかったのでラディアスの言葉に従うことにした。

「俺はこの村の警備を頼まれているだけだからな」

「そういえば、貴方の名前を聞き忘れていました。俺は、レイラと言います」俺は自己紹介を忘れていたと思い。名前を言うとその人はこちらを見て笑みを浮かべる。その笑顔は爽やかなものだったので悪い印象を抱く事はないだろうと思って俺は内心ほっとするのであった。俺と、ラディアス、それからガルムでリディアの足跡を探そうとすると。突然ラディアスが俺の腕を掴んでくる。俺はいきなりの出来事に驚きながらどうしたのかと尋ねると。ラディアスはガルムの方を指差した。俺達は、ガルムの方を見てみるとそこにはリディアの姿があったのである。

「やっと見つけました。あなた達がリリアちゃんと一緒にいた人達ですね。リディアちゃんをどこにやったの?!」

「君は、まさか!?リディアなのか?いやでもリディアはもっと小さいはずだろ?それに髪の色が違う」「何をいっておられるのですか?私がリディアに決まっているじゃないですか」

「まぁ待て。お前の話は聞いてやるから。とりあえず落ち着いて話せって」

「そうか。貴様が魔王軍の手の者なのだな!!リディアを解放しろ!!さもなくば容赦しない!!」

「いや違うって。俺が、リディアを探しているとこいつに聞かれちまってな。そんで、リディアを捜す手伝いをしてくれないかと頼んでたんだって。そもそも俺達がお前を襲ってなんかメリットなんてあるわけねぇだろうがよ」

俺達がそんな会話をしていると。そこに一人の少女が現れる。その少女の容姿はどこかで見た事があるような気がして俺は必死に思い出そうとしていたが思い出せないのである。するとラディアスは驚いた表情を浮かべ。その少女に近づいていく。そのラディアスの姿を見て俺は思い出してしまう。この人は、俺の従姉妹のセフィアの姉であると、俺はラディアスが近づこうとしているので慌てて止めようとするがラディアスに腕を強く握られてしまい。ラディアスを止める事ができない。

そしてラディアスはセフィナに向かって話しかける。

「やっぱり君だったんだね」

「やはり私とラディアスの再会の邪魔をするのは魔王の手先ね。許さないわ。リディアも一緒に始末しないと。でも今は先にあいつらを始末してからね」「ちょいまちぃなぁ。まず話を聞けって。まずリディアの居場所を話せよ」

俺はそんな事を言いつつ。この女がリディアだとはどうしても思えない。なぜなら見た目がリディアとはかなり違っているからだ。リディアとセフィナは似ているとは思った。だがここまで顔が似ているかと問われたら。そうでもないのではと思ってしまう。俺のそんな思考をかき消すかのように。俺達に敵意を向ける少女が攻撃を仕掛けてきた。

その攻撃をラディアスが受け止めると。その女性は少し驚く。だがそんなことは気にせずラディアスは。リディアはどこだと尋ねた。そんな事を聞くよりも。早く助けに行ってあげてほしいと俺は思う。だがラディアスにはそんなことどうでもいいようだった。俺はラディアスに対して、俺の事を庇ってくれた事には感謝している。だからこそこの女性にこれ以上危害を加える気がない事だけは伝えたかったので、リディアは無事であると教える為に、ラディアスにこの女性が誰かを教えた。

するとラディアスは自分の従姉妹であるはずの女性を見て驚いている。この女性の名前はセフィナといい。俺の従兄弟の妹らしい。ラディアスも知らなかったようだが俺が知っている事をこの女性に話した所。俺達に対する態度が変わってきたのだった。

「そうでしたか。妹が本当にご迷惑をおかけしました。私の方から謝罪させて頂きます。ですが妹の事は信じて下さい。彼女は何も知りません。リディアさんについても。きっと、私がここに来てしまったから、巻き込まれてこんな事になってしまっただけなのです。私は、彼女と仲良くなれると思っていたんです。だけど結局はそうならなかった。それだけの事なんですよ。リディアさんは悪くありません。どうか彼女の事は見逃してあげてはくれませんか?」

俺達はその言葉を聞いて戸惑ってしまう。俺は、ラディアスにどうするのかと尋ねると。俺の方を見て。この人の言葉を信じたいが、その証拠がないので、すぐに動く事はできない。と言った。確かに、その言葉にも納得ができたので、その言葉を信じることにするのであった。

俺が、この場を離れることを決断すると、ラディアスがガルムに、この人をお願いしても構わないだろうかと聞くと。ガルムは任せとけと言ってリディアの所に駆けていくのを確認して俺とラディアスはその場を後にするのであった。

俺はラディアスにリディアの居たであろう場所を尋ねてみると、この村からかなり離れている場所にある山の奥の方にリディアが連れ去られたという事を告げられたのであった。俺とラディアスはこの村を出る前に、村の人達に一言言っておいた方がよかったのではないのかと思うが、俺達の勝手な判断に任せてくれたようで特に咎められることはなく。村から出ることができたのである。俺達はそのままラディアスが教えてくれた場所に行こうとすると、途中で俺に何かをしてくる存在がいることに気がつき。俺の体はすぐに動き、そいつが何かをする前に腕を掴み取り地面に押し付けたのである。俺が腕を押さえつける相手を見ると。なんとそこにはガルムの姿があったのだ。

「お前、どうしてここがわかった?」

「ふん。お前の魔力が弱まった瞬間に俺も魔法を使って移動していたんだよ。まさかこんな近くにいたとはな」

「俺についてきて何をするつもりなんだ?」

「俺はお前をこの村に置いていくわけにはいかないからな。この村にいられないようにするために、今からお前を殺さなければならないんだ」

「お前は馬鹿だな。俺を殺そうとしてる奴はお前以外にいるぞ」

俺とガルムは睨み合う形になっていたが、そこに俺のよく知る人物がやってくる。その人物を見て俺は、安心してしまうが、ガルムはなぜか警戒心を強める。俺と、その人物は知り合い同士だと思っているのか。

「あんた、一体どういうことだ?俺がこいつを殺しても別に問題はないだろうが。なにを怯えている?まさか俺の獲物を奪う気じゃねぇよな?」

「そんなつもりはない。俺が言いたかったのは俺がこいつの味方だと言う事を伝えたくてだな」

「俺の、敵だって?はっ!俺の目の前にいる男をどうしたら俺の味方だと思うんだ?」

ガルムはその男が言っていることが理解できないようだったが。俺も全く同じ気持ちになるので気持ちが分かるのだった。

「まぁ、確かにな。でもお前が俺を殺した場合どうなる?リディアとリディアの父親。そしてリディアの母親の3人に恨まれることになるだろうな」

俺の言葉を聞いたガルムの顔が歪む。俺が、こいつに殺されるような事はまず無いので、俺は気にしないことにした。俺に敵対しようとする奴らなんて今までもいなかったから、俺は油断していたのだ。俺はこれからもっと慎重にならないといけないと思いながら。とりあえずリディアが連れて行かれるのを見たという情報がある場所に向かう事にしたのである。

俺とラディアスとで向かったのだが、俺がその場所に着いた時には既にリディアの足跡は無くなっていて。痕跡を探す事も出来ないので。一旦、リディアの行方をラディアスに託して。俺は自分の仕事をこなすことにしたのである。まずリディアが攫われたであろうと思われる場所は。ここからさほど離れていない場所である事が分かっていて、俺はそこに向かって歩き出したのである。

しばらく歩いていると、俺がリディアを見つけたあの場所に辿り着く。だがそこにはもうすでに誰もいない。

俺は周りを見渡すが、どこにいるのか分からないので。もう少し遠くまで行ってみるとそこには大きな洞窟があり。その洞窟の中にリディアらしき姿が目に入る。俺が、助けにいこうとした時。洞窟の入り口から複数の影が現れたのである。そしてそこから姿を現したのは魔王軍の一員でもある魔物たちであり。その中には魔王軍のボスの娘であるアシュリーもいたのだった。

俺はアシュリーがなぜこんなところにいたのか疑問を感じると同時に。ここで戦ってもいいものかと迷っていた。俺が考えているのはこの場所を戦闘の被害を受けないようにする事である。もしこの場をアシュリー達が破壊したりした場合、俺がこの辺り一帯を直さないといけなくなる。そうなった時に、魔王軍と揉め事になる可能性があると不安を感じたのである。

俺が立ち止まってどうするべきか悩んでいるとそこにラディアスが現れて。俺の隣に立って来たのであった。するとそこに。今度はセシリアとレイリアが現れる。

俺は二人の顔を見てほっとすると共に、これで戦力としては問題ないと思ったのだが。この二人は俺と違って、俺に好意を持ってはいないはずである。なので少し不安が残るものの仕方ないと考える事にしたのだった。それからリディアを連れ去った奴らがどうなったか確認しようと思ってラディアスに聞く事にした俺はリディアに視線を向けた。すると彼女は涙を流していて。俺は彼女が何故泣いているのかわからないでいるとラディアスが教えてくれる。

ラディアスは俺がリディアを助けるために来た事をわかっているらしく、リディアを救ってくれた事には感謝しているが、リディアを魔王軍に渡したくなかったらしい。俺はそんな事を言われた所でリディアが欲しければ奪えばいいと簡単に考える。だがリディアの涙の意味を知った今ではそんな事できるはずもなく。ただラディアスにリディアを頼むしかないのであった。

俺はリディアを助けに行こうとしていたラディアスを呼び止めると。リディアを連れて行った犯人を捕まえてくると伝える。

ラディアスに、リディアの事を任せると俺はすぐに洞窟の中へと入っていくのであった。俺が入った瞬間に、先ほどまでは気配すら感じられなかった魔王軍の娘たちが急に現れたので、少し驚きはしたが、俺の敵では無いので特に気にすることなく、この先に進ませてもらうことにする。俺は先に進むためにこの娘たちを無力化しようと考えた。俺の予想ではおそらくここにいるこの娘達よりは、ラディアスや、リディアのほうが強いはずだからである。

俺が娘たちを倒すか迷うと。そこに俺に敵意をぶつける者が現れたのであった。それは俺が倒したと思っていた魔王の娘の一人であるアシュリーだったのである。

「どうして貴様が生きている!!私は確かに貴様に殺されたはずだったんだ!!」アシュリーは憎悪を込めた目を向けながら叫びだしたのでそれを止める為、まず最初に腕を掴む事にする。そうしないと話ができなかったからである。俺は掴んでから。腕を振り回そうとしたのでその行動をやめさせるために思いっきり腹を殴りつけることにした。殴った後に、相手が人間だった事を思い出してしまうが。相手はすでに虫の息状態になっており気絶してくれたようだ。そして俺に殴られた衝撃で吹き飛ばされて地面を転げ回ったようだが、地面に衝突した時の怪我だけですんだようですぐに立ち上がり攻撃を再開しようとしてきたので。俺は面倒だと思い。すぐに腕を掴み再び腹に拳を叩き込む。その攻撃をくらった事で地面に這いつくばってしまうので俺はその状態から立ち上がろうとするが立てないようなので足で押さえつけてやる。するとまた何か言ってきそうな雰囲気を出していたので口を手でふさいで黙らせるとそのまま俺は首根っこを掴んでそのまま投げ飛ばして壁に叩きつける。それでもまだ動こうとするが立ち上がる事ができない様子だ。俺はそれを見ているのでさっさと話を進める為に質問をすることにする。

「おい、どうしてお前たちはここにいる?ここは俺の領地じゃないんだけど?」

「お前に答える筋合いはない」そう言い放ったのだがそれが嘘だという事は俺は分かっていたので、その言葉は無視してもう一度尋ねる。

「だから答えろって。どうしてこの国に来てるのか?」

俺が問い質してもその娘は頑として喋ろうとしなかったのである。

俺がその娘に対してどうするのか迷っていたが。この場でその少女に何もする必要がないと気がつく。その娘に手を出さなかった理由、その娘には利用価値がないからだ。それに、仮にその娘を殺してしまった場合、リディアが俺の事を怖がり嫌な顔をする可能性が高くなってしまったのである。俺はこれ以上の詮索を諦めることにしたのだった。俺はそいつに興味がなくなったのでその場から離れようとしたが、その娘はその場を動く事ができないようで俺をじっと見つめていた。

俺がその場に居ても邪魔になるだけだろうと思い俺は外に出ようと入口に向かった。俺は出口に向かって歩いていく途中で俺に何かしてくる存在が近づいて来ている事に気がついて警戒を最大まで引き上げる。そして警戒心を高めながら前を見ると。俺のよく知る奴が現れたのである。それは俺の幼馴染みのルミアだ。しかし彼女は様子がおかしく、目に狂気の色を宿していて。まるで別の誰かが彼女の体を乗っ取っているような感覚を覚えるほどだった。そんな不気味な彼女に俺も動揺してしまう。俺も、その彼女と対峙していると、後ろから何者かの気配を感じ取り振り返ろうとしたが、それよりも早くに俺の首に手が回る。しまったと思うがもう遅い。

俺が気が付くとそこは薄暗い部屋の中だった。手足が鎖に拘束されているので逃げられないようにされていたのだとわかる。だが、部屋の中には俺以外の人は見当たらない。すると突然扉が開く音が聞こえると。そこには魔王の娘であるリディアの姿が目に入る。その姿を見て、リディアも俺と同様にこの場所に連れてこられたのだろうと判断するが、彼女はなぜか服が脱ぎ捨てられており、恥ずかしがることもせずに裸になっていたので、その姿を俺に見られる事に抵抗感がなかったのかと驚いてしまう。

そして俺はリディアの顔を見る。その表情からは俺に対する憎しみが伝わってきていて。どう考えても、彼女はリディアではなく、リディアに体を奪われたリリアだろうなと思ってため息が出そうになる。リディアも、あの男のせいで心を歪められてしまっていたのだろうと思い同情はしていたのだ。だが、リディアがリリアであると言う事実を知ることが出来れば俺がすることは一つしかなかった。俺はこの女にリディアの体を渡したりするつもりはないのだ。

「俺の事が憎いだろうが今は俺に殺されるつもりはない。とりあえずリディア。服を着てくれないか?流石に目のやり場に困る」と。

「ふふっ!私を辱めようとしたって無駄ですよ?今の貴方は私の奴隷になっているんですから」と。

「はぁー。お前は俺を怒らせたようだな。まぁいいさ、とりあえず今のうちに言うことは言った方がいいぞ。俺は優しい方ではないからな?」と言って俺は殺さないようにリリアの腕を握ると力を込めて骨を砕いてやったのである。リリアはその行為を受けて苦痛で顔をゆがませる。

「リリアは本当に俺の事を甘く見過ぎだな。そもそも、お前みたいな馬鹿が。どうして俺がリディアを助けにきたのかわからないのか?」と。

俺は痛みに耐えられずリディアの肉体が俺の物になったことで安心してしまい泣き崩れるリディアに話しかけてやる。リディアはそんな事を言われても意味がわからず戸惑っているようだったので、さらに教えてやる事にした。

俺がどうしてこの場所に来たのかと聞くとリディアは自分の体がリディアのものになったことで油断しているのかと思ったらしく俺が怒りだすのを恐れていたのでリディアは焦って弁解しようとする。そんな事よりも自分の体を取り戻そうとして暴れまわっているがリディアの力だけではどうしようもなかった。そこで俺に頼み込んで助けて欲しいと言い出したが俺はそんな事はしないのである。なぜならリディアにはまだ使い道があったからだ。それは魔王軍に捕まったレイリアを人質にする事でリディアの体に憑依させている魔王軍の幹部に交渉しようと考えたのである。その作戦はうまく行き幹部の一人は姿を現したのだった。「おいリディア!貴様!!何をした!!!」と叫ぶのだが俺が「別に俺はなにもしていない。俺はただお前らの計画を全て教えてやっただけだ」と教えると、俺の態度が演技をしているのかと疑っていた。

「リディア様はどうしてこんな男なんかと行動を供にしているんだ!?こいつはリディア様が苦しむ事しか出来ない屑じゃないか!」と。

その男はリディアの事を心配してそう言っていただけだった。なので、そんな男に対して、なぜ俺の事を嫌っているはずの男が俺の事を案じているのかわかった上でそう言っているのだと判断したため少しムカついてしまったが。それでもまだ許すことが出来るので、「おい!その口閉じないと今度は腕を潰すから覚えとけよ?次は指を全部へし折るからな?」と言って脅しをかけてやる。するとすぐに口を閉じた。

「リディア、この男はお前の仲間か?それとも知り合いか?」

俺の問いかけに対しリディアが何かを口にしようとしたがそれを俺に邪魔されてしまうのであった。俺は、まず最初に俺の言葉を遮ったリディアに蹴りを入れようとしたがそれを避ける。だが、それで終わらない。俺は避けられた後に即座に踏み込んでリリアの胸倉を掴むと、壁に叩きつけるのであった。そして俺に胸倉を掴まれたせいで苦しそうな顔をしたのだがそれも気にせずに壁に打ち付けると、俺はリディアを睨みつけ。

俺に殴られそうになった時、リディアの意識を取り戻したらしいのだが。その事で、俺はこの娘にだけは優しくすることが出来ないと感じ、まずは一発ぶん殴ることに決めた。

だが、この女に対してあまり手加減して殴る必要が無いと感じた。なぜなら、この女が生きているからこそリディアはあんな目にあっていたからだ。

「リディアはどこだ?答えろ。答えなければ殺す」とだけ言い放つ。その言葉にリディアが動揺したのがわかってしまうが、俺の気持ちが変わらないと悟ったようで大人しく話し始めた。その話を聞き終わった後、リディアに確認をすると間違いないという。そしてその話の内容を聞いた事で、リディアに危害を加えた人物を特定した。

その後リディアの目の前で俺は、俺を敵視する二人の女の子を拘束した後、リディアの肉体を操り、その二人が身に付けていた衣服を剥いで俺に差し出してきたのである。リディアはその様子を顔を真っ赤に染めながらも俺に説明をするのだった。ちなみに俺はその光景を見た後に。リディアがその二人を殺したいと俺が思っていたのでリディアの望み通りにその二人を殺していた。その事でリディアは悲しんでいたが、それは仕方がない事だった。なぜならリリアが殺されたのだから。俺にとっては、俺を殺そうする人間がどうなった所でどうでもいい事なのだ。そんなわけで再びリディアが支配されている間に俺はその場を離れることにするのだった。

俺は魔王の娘のアシュリーともう一人の少女を拷問室の中に連れ込んでいた。そして椅子に座って向かい合う。俺は特に何もして来なかった。しかし二人は俺に敵意を持って俺のことを見つめてきた。だが、俺は特に何の反応もしなかった。するとそのことに業を煮やしてなのか一人の少女が攻撃を仕掛けてきたのである。その動きはとても速く一瞬にして俺の首を狙って攻撃してきていた。しかし俺はその攻撃に気が付くことが出来たので簡単に避ける事が出来た。しかし次の瞬間にはもう片方の少女の攻撃も避けなくてはならなくなり反撃をする事もままならなかった。

(はははっ、さすがにリディアが惚れていただけあって凄まじいな。でもそれだけだな)

俺にとってみればこの程度の実力で、しかも子供の相手をしなければならないとは思ってもいなかった。俺は、その娘を挑発するために。俺に攻撃をしようと近づいて来た娘に向かって、思いっきり腹を殴りつけた。その娘は勢いよく壁に激突して気絶する。だが俺はその娘の事を全く心配せずもう一人を見るのだった。

しかし、彼女は先ほどの攻撃を見ても一切臆することなく立ち向かってくるが。やはり俺が手を抜かずに戦ったとしても彼女に勝てる気が全くしないのでその事を正直に伝えることにしたのだ。その言葉を聞いて彼女は俺のことが信じられずに戸惑うのである。その様子を確認した俺は「君たちは魔王の娘なんだろう?なのに魔王を怖くはないのか?」と聞いてみるが反応は無かった。

その質問をした理由は、俺を魔王軍の関係者ではないかと考えていたからだ。そしてその事を確認したかったのである。しかし彼女達は俺を敵視していたにもかかわらず、急に取り繕って話し出したのだ。どうも違和感を感じてしまったのである。なので、もう一度魔王を本当に恐れているのかを聞くが答えはなかった。そこで俺も、魔王について色々と聞いてみる事にする。

魔王の娘である、彼女の口から語られた話は、俺も知っている魔王の話だったが。俺は彼女が嘘を付いているのではないかと思ってしまった。その事を確認するためにも彼女の目をじっと見据えたのであるが彼女はそれに動揺してしまうのである。そしてその動揺を隠すためか必死になって俺に攻撃をしてこようとするが。俺はその娘の顔に手を伸ばすと俺の手を避けようとするのだが俺の伸ばした手が娘の顔に触れてしまうと彼女は俺を蹴ろうとしている足の動きを止めてしまうのである。だがそれは一時的なものだった。なぜなら娘が動こうとする前に、俺はもう一方の足を掴んでそのまま彼女を床に引きずり倒す。すると娘は俺を殺そうとしてくるが。その攻撃は大雑把なため簡単に避けることが出来てしまい俺はその娘に対して再び問い詰めるのだった。すると、ようやくその娘は観念したのか、自分が魔王の事をどれだけ尊敬しているのかを熱く語り始めたのである。

そんな様子を確認して、魔王軍の関係者でない事は分かったが。念のためにもう少し様子を見る事にする。それから暫くその魔王の話を延々と語っていた。その内容については。とても興味深かった。なぜならその話に出てくる魔王はまさにリディアを救おうとしていた俺の行動にそっくりな事を行っていたからである。俺はその話が終わる頃にはもう既に、リディアの父親としての人格が復活していて。

リディアが魔王の娘と知っても驚きはするが恐怖心は全く感じなくなっていた。

その事から俺は目の前にいる少女の事も信頼する事にしたのである。

「リリア。お前は本当にいい娘だな。これからは俺と一緒に戦ってくれるか?」と言うとリリアの体は涙を流し始めるのであった。

そしてリリアは俺の事を本当の兄のように慕ってくるようになるのであった。そんな俺達を見て他の仲間は戸惑っていたのは言うまでもない。

俺は魔王軍の幹部からレイリアを救うべくリディアに協力を求めていたがリディアからはまだ協力を得られないでいた。しかし俺はそんな事で挫けるつもりもなく。何とか協力してもらえるように説得を続けるのである。

リディアが俺に協力する条件として出した事はリリアが魔王軍に狙われる事を防ぐために魔王軍と縁を切ることと。魔王軍がリリアに何かをしてこようものならば、その時に俺に力を貸して欲しいという事だけだった。だが、それはリディアにとって簡単な事ではなく。その条件を満たすためにリディアは自分一人の力でリリアを守っていくしかない。その事はリディアにも分かっているはずなのに、どうしてもリリアの力に頼る事はできないらしく。リディアはその条件を受け入れようとしていたのだった。

その事は俺にとっても辛いことではあるが、俺に出来る事と言えば。少しでも早く、魔王を倒すことだけだったので、俺はリディアの条件を飲んだ。そうすれば後は時間との勝負となるわけだが。それまで魔王軍の連中が大人しく待っていてくれるとは思えないため急いで行動する必要があり、俺がこの場に来ている間に、すでに行動を始めている可能性があると考えた。その事もあり俺は、今すぐ行動を開始しようとしたのだがある問題が浮上するのであった。

俺はまずラドルに連絡を入れるのだが返事が無いのだ。おそらくリディアの屋敷に居るはずのレイリアを探すのに夢中になっていて俺からの連絡を忘れている可能性があったからだ。しかしここで時間を潰している場合ではないと思い。ラドルへの連絡は諦めることにしたのである。するとそこに突然一人の魔族が現れたかと思うと、それは魔王軍の幹部だったのである。俺はその男がリディアの命を狙う為にここに現れたのではないかと思ってしまった為、戦闘態勢を整えようとしたがそれを魔王軍は許さなかったのだ。その男の目的はあくまでも魔王の命令を遂行するためにやってきたということを伝えてくる。

そして俺がリディアに助けを求める前に、その男は俺に対して、リディアを殺す命令が出ていると言い出してきたのである。しかしそんな事を信じてやるほど俺は優しくなく。この場でリディアを襲おうとした理由についても問い詰めた。すると男はリディアに恨みを持っている人物が、リディアを殺したいと思っていると伝え。それがリディアの父だと答えるのだった。しかしそれでも俺はこの男の話を信じることができなかった。なぜなら魔王軍の誰かが魔王の命令でリディアを亡き者にしようとしてきていることはわかっていたが。俺自身その相手の名前までは知らされていなかったのである。

そして目の前に現れた男は、その相手が誰なのかを俺に伝えてきたのである。その名前を聞いた瞬間俺は驚いた。

その相手が、リディアが助けようとした父親だからだ。

しかし俺が驚くと同時に、魔王軍側も予想外の事が起こっていたのだった。なんとその相手の父親はリディアに好意を持っていたらしく、リディアの事が好きなあまり。娘を助けに来たのだという。そしてそれを知った俺は複雑な心境になってしまう。その俺の様子を見て男は魔王の指示通りに動いていなかった事がばれてしまったが、リディアが助かるかもしれないという事を伝えるが、俺が信じてくれる保証はないと話すのである。だがその話を聞き終わった俺は迷う事無く、その男の話に耳を傾けるのだった。

俺にはリディアが本当にその父に恋をしているのかは分からないが。俺の予想が正しければ、俺にはその男が嘘をついている様には思えなかったのだ。それは俺自身も、魔王がリディアにしたことと同じ事をしていたからだった。そしてその事を知っている俺にとっては、その父親がリディアに惚れていて、しかもリディアが魔王の娘だという事は知らずに好きになってしまった事は理解できた。だからその事を俺自身が経験しているため、魔王軍の人間が嘘をついていないということは分かるのだ。

「リディア。お前は本当にいい奴なんだな」と呟きながら俺は目の前にいる少女を抱き寄せるのである。するとリディアは戸惑うが抵抗はしなかった。俺にされるがままの状態になっていたのである。すると俺は「すまないな、少しの間だけこのままで居させてくれ。頼むよ」と話しかけると、なぜか急に俺のことを殴ってきたのだ。その理由を聞くと。俺のことを自分の父親の事を諦めさせるためにリディアを騙したのではないかと勘違いをしていたようで、リディアは俺の事が心配になり殴って止めたと話してくれていた。

そんな彼女を見て、俺はこの娘の事がますます愛おしく感じてしまっていたのである。その想いが募り過ぎてしまい。気が付けば、俺は無意識のうちに彼女の事を抱きしめてしまうのであった。その事に戸惑う彼女は顔を真っ赤にして恥ずかしそうな様子を見せてくれたのである。その様子を見ながらも、まだこの娘のことを完全に信用するべきではないと俺は判断し、魔王軍との繋がりを完全に断ち切らせないように、あえてその娘の首元に短剣を当てる事にするのだった。

(さて、俺の想像が当たっていた場合はここからが本番になるが。魔王のやつは俺の事を調べているはずだから俺がリディアの父親を知っていたとしても特に問題はないと思っていたのだが、やはり魔王の配下が邪魔をしようとしてくる可能性はあったようだな)

「貴様!なぜ我々に逆らおうとする!」

「決まっているだろう?魔王に従えば俺はリリアを助けることはできないだろう?お前達に従うくらいなら俺はこの城から抜け出してリリアと旅に出た方が幸せだと思うからだ」

そう言った後、俺は魔王に言われた通りの言葉をそのまま告げたのである。

そして俺は魔王が仕掛けてくるであろう事を想定して動く事にした。もしこれが失敗してしまえば、魔王はこの世界の支配者になれる機会をみすみすと逃すこととなる。しかしリリアと一緒の旅路の方が幸せなのは本心なので仕方がない事なのだ。それにしても魔王も焦っているのではないかと感じた。俺が簡単にリリアの事をさらわせてしまったからだ。

そう思いながらも俺はすぐにリリアに視線を移すのである。彼女はどうしたらいいのか分からずに困惑している状態だったが。そんな彼女を連れていくわけにもいかないと思ったのだ。だが、リリアは覚悟を決めている様子で、「わ、私をラガスさんの傍に置いてください!!」と言ってくる。

正直な所、彼女が魔王の娘だということは、リリアから聞かされる前までは信じられなかったが、彼女が話した内容を疑ってもしょうがないので、彼女が魔王の娘だと言う事については今は受け入れることにした。

俺に魔王と戦うための仲間が必要だと考えたのだが。そこで思い出したことがあった。

その事を思い出すために、一度リディアと離れることにした。そしてミリアン達と一緒に俺の部屋に行くことにしたのである。そこにはリリアの父親である魔王と面識があり、俺達に協力したいという者達が集まっていた。俺はその人達に、この国の宰相がこの城に魔王軍の人間を招き入れようとしている事を話したのである。

そして俺がリディアから得た情報を彼らに伝える前に、俺はリディアの口から、レイリアは魔王の命令でリディを襲おうとしていたという話を聞いていると彼らに告げたのだが、誰も信じようとしないのである。それもそのはずで魔王軍にとって都合の悪い情報だからである。そんな話を信じるよりも俺がリディアを殺そうとしていると考えた方が正しいと思うからである。しかし俺はそれでもレイリアが俺達と敵対しているわけではない事を説明し。魔王が本当にリディアを殺しにかかった事を証明する必要があると話したのである。しかし証明するにもその魔王に俺が会いに行かなければできない事だ。その事を伝えると皆一様に、それは危険だと言うが、俺は一人で魔王のところに行き、リリアに手を出そうとしているのかどうか確かめるつもりなのである。その事を彼らに伝えるとその方法に驚いていたのである。

俺がこれからやろうとしていることは危険な賭けであり。俺自身も無事に済むとは思っていない。だけどそれでも魔王にリディアに手を出す気があるのかを確認するため俺は行く事を決意したのであった。

俺は一人だけで魔王の元へと乗り込もうと考えたが、俺一人だけでは不安があるため、信頼できる仲間たちに協力を求めたのである。すると意外なことに全員が俺についてきてくれると言い出したのである。その申し出に俺はもちろん驚きを隠せなかった。その事で俺は改めて、彼らが本気で俺のことを信じていてくれるんだという事が分かり、俺はこのメンバーを信じることに決めたのであった。

そしてリディアの屋敷の近くにある街を歩いて魔王の館を探し出すと俺はそこに入り込んで魔王に会いたい旨を伝えたが、案の定魔王は会うわけにはいかなかったので、俺は無理やり中に入り込んだのだ。しかしその時、魔王がこの場に姿を現すことはなかったのである。だがその代わりに魔王の側近の男が俺の前に姿を現してきたのだ。

そして俺はこの男に見覚えがあることに気づく。

この男は、かつてレイリアを俺のところに送り込み、俺を殺すように魔王に命じられてやってきたあの時の人物だと俺は分かったのだ。しかしまさかその男の素性がレイリアの父だとは全く気付かなかったのである。その男の姿を見て俺は驚くが魔王の側近だと気づいた瞬間に俺の頭の中には疑問符が出てきたのだ。しかし俺はすぐにこの男の目的を探るべく話しかける事にした。

「あなたは何者だ?」と問いかける俺に対して、男は冷静に「私が誰かもわからないようでは貴方の命も長くないですね」と口にする。そして「私の事は別に構わないですが。今頃この国は大騒ぎでしょうね。まあそれも時間の問題ですか。それと一つ言い忘れていましたが、リディア殿にはこちらからお伝えしましたよ」と言って姿を消したのだった。

俺はそれを聞いたとき、まずいと思ってしまった。

何故なら今の言葉で魔王軍の人間たちが動き出している可能性があると判断したのだ。そしてその魔王の部下は魔王の命令で俺がリディアの所にいることは知っているはずである。つまりは魔王はその部下たちに命令していれば俺がここに居ることを察することができるかもしれないと思ったのである。そうなれば奴らが次に狙ってくる相手は俺しか考えられないので俺は急ぎリディアのいる屋敷に戻ったのだが、そこには既に遅かったようで魔王の手下が大勢集まっていたのだ。その事に俺は驚くと同時に怒りを覚える。

(なんでこいつがリディアの元に来ることができた?それはこいつらは事前に調べ上げてからここに来たってことだろ。じゃあ、この国には魔王軍以外の敵もいるっていうことなのか?)

「おい!お前達は一体なんなんだ!」と叫ぶと一人の女の声が聞こえる。俺はそれが女性の声だった事が分かると安心したが「私達の事が分からない?本当に記憶を失くしたのかしら?それとも偽物なのかしら?ねえ、あんたはどちら側の存在か知らないけど、とりあえずは私達に付いてきてくれないかしら?悪い扱いは受けないと約束するから」と言ってきた。

それを聞いて俺は警戒心を強めてしまう。なぜなら俺は目の前にいる人間がどういう人なのか分からないからだ。

そして俺はそっちから攻撃して来ないのかと思いつつ相手に聞くことにする。

「そちらから攻撃を仕掛けては来ないのか?」と聞いたが、それに対して答えたのは先程から声を出してきている金髪の髪をポニーテールに結んで、スタイルの良い身体に黒い鎧を着た美女である。

「私はお前と敵対する意志はない。それにお前にもしもの事があった場合、我が主に顔向けできなくなるのでな」と彼女は俺に向かって言ってきたのだ。俺は彼女を見てどこかで見たことがあるような気がしていたが思い出せないでいたのである。

(この女性は確か前に俺がリディアを助けたときに一緒に戦っていた騎士の人と同じ様な気がするんだけど、どうしてここに居るんだ?この人達も魔王軍に関係しているのかな?そもそもこの女性が言った『主』というのは何の事を指しているんだろう)

その事を考えていると今度は黒髪ロングの女性が俺に話しかけてきたのである。彼女は「君は私たちが誰であるかを知らないようだな。仕方がないから自己紹介をしよう。私の名前はクロアだ。そして隣に立っている者はシルフィという」と名乗ると俺が名前を知っているかのように俺の名前を聞いてきたので驚いたが、「どうして名前を俺に教えるんだよ。お前たちにとって俺に名前を知られたら不利じゃないのか?」と俺は尋ねる。

俺の言葉を聞くと彼女達は「確かにその通りだ。だけど君と敵対する意思はないという事は伝えたかった。それだけは理解して欲しい。それで君の名はなんて言うのかね?」と答えてくれた。俺は自分の名前が知られていたことが少し怖くなりつつも、彼女達に対して名乗る。するとなぜか彼女達からは笑いが起きていた。俺はなぜ笑うのだろうかと戸惑ってしまう。そしてなぜ俺の名前が笑われるのか意味が分からなかった。そんな風に戸惑っていると彼女たちから話し始めた。

「なぜそんなにも怯えているのかな。私たちはそんなにも怖い顔をしてはいなかったはずだぞ」と言ってきて俺は、そう言われても普通ならばいきなり自分の元にやってきて名を知られていれば警戒するのが当たり前だろうと思っていたのだが、どうやらこの世界ではそういう感覚がずれている事に気づくのであった。そんな俺の反応にクロアという女性が説明してくれたのである。

どうやら俺はリディアがさらわれたとき、彼女を助けに来てくれた人物達だという事を。

俺は彼女の言葉に驚いてしまうが、同時に納得してしまったのである。彼女達が魔王の館でリディアに付き従っていたことを知っていたからなのだ。その事を聞いて、俺はある提案をする。それは魔王がこの国に攻め入ろうと計画していたことと。レイリアという娘が俺達の仲間になるという話を持ち掛けたが断られていたという話を彼女に聞かせたのである。

そしてレイリアが俺の仲間になることを断った話を聞かされた彼女たちの表情が変わっていくことに俺は気づいた。それは魔王軍の者達がレイリアに近づいていたという情報が彼女達にとっては重要な事だったらしい。

そこで俺もレイリアが魔王の娘だと明かす。すると彼女らの顔色は変わり、驚きを隠せずにいた。そしてリディアも魔王の娘である事を話したので俺は驚く。しかし俺の話が終わるとすぐにクロアが「君の言い分はよくわかった。だが、我々もここで魔王軍を相手に戦うのは正直言って無理だ」と言ってくる。俺はその話を聞いて俺と一緒に魔王を倒しに行くという仲間を集めようとしていたのだが。魔王軍と戦うことは無理と言われたのだ。しかし俺は諦めきれずに再度頼んだが。それでも魔王軍と戦うことはできないと言われてしまったのである。

(そんなにも魔王軍と戦う事を拒むのは一体何故だ?魔王軍と戦うことを避けなければならない理由があるとしか思えないが。その理由が何だか俺には想像がつかない)

俺はこれ以上聞いても無駄だと思い。彼女達と別れようとした時。俺はあることに気づくことになる。

俺に声を掛けてきたのはまだ幼い容姿をした金髪ツインテールの少女である。俺は彼女を見ると何故か胸が高鳴ってしまったのだ。俺はそれを疑問に思うが俺はこの気持ちを抑えることができないのであった。

「あなたは何をしているんですか?早く行きますよ。時間がないのですから急いでください」と金髪の少女が言うので俺は「ああ。ごめんね。今すぐ行くから」と言いながら少女について行こうとするが「ちょっと待ってくれないか?」と呼び止められる。

そして呼び止めた相手を確認するために後ろを振り向くとその相手を見た時にまたドクンッと鼓動が高鳴り俺は固まってしまう。俺は自分がおかしいと思い、その相手にもう一度確認しようと思ったがその前に、俺が聞きたい事に対して質問を投げかけられたのであった。

その人物は先程俺に名前を教えた女性騎士と瓜二つの姿をしている人物であった。俺はその姿を確認すると同時に彼女が誰かも気になったのである。するとその女性が先に話しかけてきて「私が何者かわかるかな?」と俺の思考を読み取ったかのような発言をしてくる。そして俺はその発言を聞き、すぐに思い浮かぶ女性がいた。だが、俺の考えが合っているかどうかは自信が無かったのだ。だから俺の勘違かも知れないのである。それでも俺はその女性を疑うことはできなかったのである。なぜなら、その女性は間違いなく魔王軍で戦ったことがある。その証拠があるのだ。それは魔王が作り出したゴーレムを破壊した際に見せた剣捌きを俺は覚えていたので、この人は間違いないと俺は判断したのである。しかし、どうしてこんなところに現れたのか俺には理解できなかったが、目の前の人物に対して俺は疑問を問い質した。

俺がこの人が誰か尋ねると、女性は笑顔で俺に話しかけてくる。そして「ようやく私の名前を口にしてくれましたね」と言ってきたのである。そして続けて「私が誰かもわからない状況ですし、あなたは私の事が分からないかもしれないとは思っていましたが、あなたから私の名前を聞かれるまで待つことにしました」と。俺は女性の言葉で彼女が誰か確信した。そして俺は彼女の名前を呼ぶ。

「レイリア」と俺がその名前を呼んだ瞬間に彼女の目から涙が流れ落ちた。そして、俺が名前を言う前から涙を流していることに気づいていた俺はすぐに彼女の傍まで駆け寄り「一体どうして泣いているんだよ」と問いかけると彼女は俺の事を優しく抱きしめて、そしてこう言ってきたのである。

「やっとあなたの元に戻ってこれました」

その言葉を聞いた瞬間。俺は嬉しくなって、レイリアを抱き返すと「会いたかったぜ。お前が生きていて本当に良かった。俺はずっとお前のことを考えていたんだからな」と言ったのである。

俺はレイリアに今までの事を説明し始めたのだ。俺がここに来て、そしてこの世界が俺が元々居た世界とは別の世界だということ。その事を俺は包み隠さずに話したのだった。そして、どうしてレイリアだけがこの世界で生きていたのかも。そして俺は最後にこの国を出る為に協力して欲しいというお願いをしたのである。

しかし、その頼みはレイリアは断ろうとしたのであった。理由は魔王軍が攻めてくるから危険だと教えてくれた。俺はそれを聞いて、俺はもう逃げられないと改めて感じてしまう。そして俺がこの国を出る決意をしたことをレイリアに話すと彼女は悲しそうな表情をして、「そうですか。やっぱりそうなりますよね」と言う。

その表情は俺の心を傷つけるのに十分すぎる程の効果があった。そして俺がこの国の王と謁見したいとレイリアに告げる。すると彼女も了承してくたので二人で城に戻ることになったのである。そして戻る前にレイリアから俺がこの世界にやって来た理由を聞かされることになったのだ。

俺がどうしてレイリアだけを残して死んでしまったのかを。

俺とリディアはこの国に訪れて一日目を迎えることができた。俺がリディアと出会ってから数日ほど経過したがその間、特に問題が起きることなく平和に過ごすことができていたのだ。俺はその間に村の復興のために力を貸してほしいと言われていた人たちに声をかけていた。その結果、村にいるほとんどの人達が集まってくれていたのである。俺は皆に協力してくれるお礼を伝えていた。その中には村長さんもいたので「今日一日はゆっくりと休んでほしい。明日から村の皆さんとこの国の為に一緒に頑張って欲しい」と告げる。すると全員が元気よく返事してくれた。そして次の日の朝を迎えたのであった。

俺は村の人と今後の事を相談しようと思っていたのだが村長の家に訪問した際にレイリアがいて少し戸惑ったのである。

その事にリディアも気づいたみたいでレイリアに話しかけていた。レイリアの方はというと、少し寂しげで、でも嬉しさもある複雑な感情でリディアの話を聞いていたのであった。俺はその二人のやり取りを見ていて何か嫌な予感を感じていたのでレイリアに少しの間この国から離れるということを伝える。レイリアはその事に驚く。

その事を伝えると「え?それは一体どういう事ですか?」とレイリアは言う。俺がどうしてそういう行動をとるのかを説明すると、レイリアが納得するのを見て、リディアも少し不安げだったが理解してくれたようだ。そしてリディアにも俺はこの場から離れないといけないことを告げた。

俺が二人と別れようとすると「タクト様!」と大きな声で呼ぶ声が聞こえたのだ。俺達三人は声の方に視線を向ける。するとそこにはラガスの姿があり、こちらに駆け寄って来たのである。ラガスが来た目的はリディアに会う事だとわかったのである。ラガスはリディアの顔を見るなり安堵していた。

リディアも久しぶりに会う知り合いの顔を見れたのは嬉しかっただろうと思う。俺はリディア達とラガスが話し込んでいる間にレイリアを連れて部屋を出たのであった。そして、この国から去る事を伝える。

その事にレイリアはとても驚きつつも、俺とリディアの関係を聞いて納得できたのである。

そしてレイリアが「私はあなたと一緒にこの国を去ろうとは考えていません。それにまだリディアちゃんのお母さんにも伝えていないのですから」と言ってきたのであった。その言葉を聞いて、俺は驚きを隠せなかった。そして、何故そう思ったのかを彼女に聞く。俺がどうしてそんな風に考えているのかが不思議だったからだ。すると「それは簡単なことです」と答えてくれるのであった。

俺達がこの国を去ってしまうのではないかと感じた原因は魔王軍が俺達が住んでいる国に攻め入る準備を整えているという話をレイリアから聞かされた為だそうだ。だから魔王軍との戦争が始まると聞いた時にレイリアも俺達と行動を共にしようとした。だが、それを止めた人物が一人だけいたらしい。それがクロアであり、彼女が止めた事で、レイリアもこの国の事を想って自分の我を通すような真似をしなくなったのだ。クロアはクロアで魔王軍の事を考えて俺達に付いて来ない事を決めたらしい。

レイリアがどうしてクロアに止められた事に疑問に思うと、魔王軍に対して勝算があまり無いのだと説明をする。その話を聞いて俺自身も疑問に思うところもあったので詳しく話を聞いたのである。そして、魔王軍との戦いで負ける事を覚悟で戦うつもりでいることが分かり、俺はその話を聞くだけで何も言えなかった。そんな重い話を俺のような一般人に向けてもどうしようもないからな。

俺はレイリアと別れを告げて外に出たのであった。俺が宿の外に出るとすでにラガス達が集まっていて俺のことを待っていたのだ。

「それで、これから何処に向かうんですか?」とリディアが聞いてくるので「取り敢えず俺が暮らしていた場所に向かってみようと思っている。そこでなら安全に暮らすことができるかもしれないし」と言いながらラガスが居る方向とは反対の方向を指さしたのであった。俺の言葉を聞きラガス達は「了解」と言って歩き始める。俺はそんな彼女達の後ろ姿を見ながら心が痛くなるのを感じるのであった。

俺達が向かう先は魔王城がある場所ではなく俺の住んでいた森にだ。俺が住んでいた森の周辺には魔獣が生息しているのだが、その場所を俺や仲間の人達によって、その森には近づかないようにしてもらっていたのだ。その理由は簡単で、あの森には俺の配下になっている人狼族が多くいるのだ。俺は彼らから慕われていたので、その森に住んでいる住人を守る為に魔獣たちを近づけないようにしている。だがその森で暮らしている住人たちは全員女性で人間ではない。俺はその事を話すと全員が驚く。その姿を見て俺も同じ気持ちになるのである。

俺の仲間になった人間族は人間で、その仲間は全員が女であると話すとまた全員が驚いた。俺はそのことを話した後すぐにその女性陣と会うことにした。そして俺は彼女たちを呼び出してもらい皆と顔を合わせることになる。そして最初に口を開いたのはやはりと言うべきかリディだった。

「本当にタクトさんなのですね。あなたがこの世界にやってこられた理由も何となくですが理解できました。あなたのお蔭で私たちは助かったと言っても過言ではありません」

そう言って頭を下げてくれたのだった。俺は別にリディに感謝される覚えは無いと口にすると、レイリアがそれを否定する。

「私だって同じです。私も、ミリアちゃんもあの場所で死にそうになっていた所を助けて頂いたんですよね。私たちに恩返しができるチャンスがやってきたと思っていましたが。まさかこのような形で助けてもらうことになろうとは夢にも思いませんでしたよ。しかし本当に良かった」

「良かった?」と俺が聞き返すと、彼女は笑みを見せてこう答えてきた。

「私はこの世界で生きていきたいと考えてきましたから」

「この世界って、一体どういうことだ?」

俺がそう問いかけるとリリアが「その事も全て説明しますね」と言うのである。そして彼女は今までの事を全部俺達に話すのであった。俺が居なかったこの世界で一体なにが起きたのか、どうしてレイリアがこの世界に来ることが出来たのか、リリアがレイリアからどのような事をされていたのかなどを話したのだった。

俺もその話の内容にとても驚かされてしまった。リリアが話してくれた内容はあまりにも衝撃的な話ばかりで、正直俺が今こうしてここにいられることが奇跡なんじゃないかと思えた。俺はリリアの話が終わったので、今度はレイリアに魔王軍をどうするつもりなのかと問いただすことにする。俺としてはレイリアを危険な目に合わせたくないのが今の心情だ。その事は俺だけではなくリディアやリザード族の人たちにも伝わっており、誰もレイリアが危険に合うような戦いに参加させてはいけないと言っている。

その事を話してみるとレイリアは「その心配はいりません。私が必ず魔王を倒しますから」と言ってきた。そして俺の方を向いて「だから私はタクトさんの手助けをしてあげたいのです」と言ってきたのだ。しかし、それでも納得できなかった俺は他の方法をレイリアと話し合おうとした時、「もういいでしょう」というリディアの声が聞こえた。

「え?」という声を出した俺とレイリアはリディアの方へ視線を向ける。

「これ以上の話は時間の無駄でしかありません。それよりも早く行きましょう。時間は無限というわけではないのです。一刻も早く行動しなければなりませんから」

リディアに言われた通りに、俺はリディア達と共にこの場から離れる事にする。すると、ミリアナは何かを言いたそうな表情をしていたが。そのまま俺について来るのであった。俺達が森の中に入るまでラガレアとミリアはその場に残っていた。ラガルアはレイリアに声をかけて彼女のことを抱きしめる。俺はその事に気づきながらも振り返ることはせずにその場を離れていくのであった。

俺がレイリアを連れて元いた場所に戻ってみると、そこにはクロアの姿があり。俺は少し安心することができたのである。俺はクロアに、これから俺の住んでいた所に行こうと思うと告げ、案内を頼むと、快く承諾してくれていた。そして俺はレイリアの方を見る。レイリアはクロアを見て何かを呟いている。俺はそんな彼女に対してクロアに挨拶するように伝える。レイリアは緊張気味で「初めまして」と震え声で話しかけるが、クロアはその事に慣れているようで「こちらこそ」と普通に接していたのであった。

そして俺は、レイリアのことがクロアにバレていない事が分かりホッとしていた。そして俺はラガスとミリアナにもレイリアを紹介する事にしたのであった。レイリアは自分の姿を恥ずかしそうにしながら、ラガスに視線を向ける。

ラガスはクロアとは違い、レイリアの姿を見た途端、目を輝かせながら近づいてきて、レイリアの手を取ってぶんぶんと上下に振るのであった。その姿を見てしまったレイリアは驚いていたのだが、その様子に気づいていないのか、ラガスはそのまま手を放そうとはしなかったのである。そして俺はそんなラガスに、彼女を困らせてしまうとレイリアが困惑してしまうと思い、注意しようとすると「良いじゃないですか!」と言い、更にはレイリアの肩を掴んで自分の胸を押し付けてくるのであった。その事に耐えられなくなったレイリアはすぐに俺の後ろに逃げてきてしまう。

俺はそんなラガスを睨むように見ると「悪かったな」と言いながら、ようやくレイリアを手放してくれたのだ。俺はそんな光景を見ていたリディアとミリアが呆れた顔でラガスを見つめていて、リディアに関してはため息を漏らしていたのである。そして、俺達をここまで連れて来てくれたリザード族たちがこちらにやって来た。リディアが俺の隣にいるクロアに紹介をする。

リディアに紹介された事で俺は彼女がこのリザードマンたちの集落のリーダーだということが分かったのであった。俺はクロアに「この方が俺たちが暮らす場所まで道を教えてくれる」と紹介する。すると彼女はクロアに対して「こちらからお願いしたにもかかわらずこのような場所にお招きして申し訳ございませんでした」と言い頭を下げる。

「いえ、そのような事はお気になさらずに。それと私はクロアといいます。クロアとお呼びください。それで私達が住む場所まではどれぐらいの時間がかかるのでしょうか?」

クロアのその言葉を聞いた瞬間に俺は思わず苦笑いをする。なぜなら、この先にある森に住む魔物達は俺達の事を敵として認識しており、そのせいもあってか、クロアが言う通りその場所にたどり着くまでの時間を尋ねるということは俺達と一緒に付いて来たいと思っているということだと考えられるからである。

俺はその事を言うべきかどうか迷っていると、レイリアとミリアナが、そんなクロアの言葉を聞いて驚いた顔をしていることに気づく。そして俺は彼女達が何を感じ取ったのかを理解するのである。それはおそらくリディアも同じ気持ちで居たことだろう。

俺はそんな二人に大丈夫だと声を掛けた後で、俺が住んでいた場所に向かって行く事を伝えたのだ。その言葉を聞いたラガルドとリザード族の皆が移動の準備に取り掛かる。リザニアだけはレイリアと会話をしたかったのか。その場で立ち止まりレイリアの所に行くと二人で話し込んでいるのだった。そんな彼女達の後ろ姿を見ながら、俺は彼女達の邪魔にならないよう静かに歩き始める。その事にクロアは気づくと俺の後を追いかけてきてくれていたので。俺は彼女の隣に並ぶのだった。そしてしばらく歩いたところで。俺はあることに気がつき、この場にいる者たちの先頭には俺達が居るべきだと思っていた。なので俺は、クロアの傍に行き。その事を彼女に提案しようと思っていたのだ。しかし、俺よりも先にリザがクロアの横に並び俺が考えていたことを口にしたのである。

「ここからは私たちリザードマンが前を歩こう」と。

リザード族と聞いて俺が思い浮かべたのはあの大きな体でリザードマンが歩いているイメージしか無い。その事を考えると俺が思っているリザード族のイメージが正しければ、あのリザード族たちはリザの配下になるのか。しかし俺の中でどうしても気になってしまうことがある。それは彼らがこのリザード族たちの事をリザードと呼んではいけないということだ。リザード族というのはあくまでもリザの事であり。この子たちを種族の名前で呼んしまうのは良くないと考えたのである。

「リザード族はリザート族じゃなくてリザードなのかもしれないな。もしかすると、このリザードたちは俺が想像しているリザードたちと同じ存在なのかもしれ」

「どうしたんですか? タクト様。突然何かを呟かれたと思ったら急に考え込まれてしまったようで」

クロアは不思議そうに俺の顔を見てきた。

「いや、俺の考え過ぎだと思って。なんでもない」

「はぁ」とよく分かっていないという表情を浮かべていたクロアだったが。すぐに前に視線を移すとリディアの元へ向かって行った。

俺とリディアが並んで歩く。リディアが横目で俺のことをチラリと見てくる。俺がその事を気になりリディアに視線を合わせると。なぜか彼女は嬉しそうに微笑み。またリディアは視線を外す。俺はリディアが何をしているのかが気になってしまい仕方がなかったので、俺はもう一度だけ視線を合わせたが。彼女はそっぽを向いてしまうのであった。

そんなやり取りをしながら歩いていたが、俺はふとあることを思い出した。

この国の名前はなんだろうかと、この国がどの場所にあるのか。そもそもここがどこなのか俺は理解できていないのである。そのことを思いだすと、俺は一度足を止めリディアに話しかけるのであった。

リディアとの会話の途中で、この場所について何か知っているのではないかと質問をしてみたのだが。残念ながらリディアは何も知らないようだ。それならば俺も分からないということを伝えるのと同時に、俺自身にも分かることは有るのだということを話す。俺もここがどこかは分かっていなかったのだが、リディアの話を聞き。この場所の名前が分かったような気がしたので、それを尋ねてみることにすると。やはりこの国の名は、ラギアナ大陸と呼ばれる場所だそうだ。そしてそのラギアナは今いるこの場所から北西の方角に位置しており、その距離は大雑把ではあるが一カ月程度の距離にあると言っていたのだ。

「タクト様は今どこにいると思いますか?」

「え?」

「だから今私たちは何処にいると思いますか?」

「あー、そういう事ね」

今いる場所から一カ月にラギアと言う名の大陸に存在しているラガレア王国という国からこのリザードの集落にたどり着くまでの時間がどれほどの時間を要するかを考えていたが、結局のところどれだけかかるのか分からなかった俺は、その事に頭を悩ませているのであった。

「すみません。私が不用意にそんな話を振ってしまったばっかりに余計に考えさせてしまいましたね。私の方こそ配慮に欠けていました。ですが今は考えるのをやめましょう。その事はあとから考えても遅くはないはずですよ。それにもし何かあればクロアさんがどうにかしてくれると思うんですよ。そのクロアさんの配下のリザードの人達もいることですし」

俺はそのリディアの発言に少し笑ってしまいそうになる。クロアはクロアなりに色々と苦労しているのであろう。だがそれでも、そのクロアの実力とリザのおかげでこうして俺達と同行できるほどまでに成長したのだと思うと、俺としてはクロアとクロアが従えるリザードの人たちに感謝するのであった。

俺は、ラガル王妃の件でリリアを王城に向かわせるのは反対だと考えている。もちろんその事に理由があるのだ。リリアの事が知れ渡れば間違いなくリリアは王族の者達に狙われる。それだけは何としても阻止しなければならない事だったのだ。そして俺はラガル王妃の口から発せられる言葉を待っていると。彼女はゆっくりと口を開く。

「あなた様の考えている事は分かります。でもその考えを改めてください。確かに私達のような人間にとっては脅威にしかならないでしょう。それは認めています。ですから、私は自分の息子達にはそのような思いをさせたくありません」

ラガスはラガレウス王国の第二王子であると知った時にその事を思い出し。自分が仕える相手は、ラガラスに王位を譲る可能性が高く。その時ラガスがどんな行動を取るのか。それが一番の問題であった。しかし、そんな心配は必要無かったのだ。何故ならラガスにはミリーが傍におり。彼女が常に傍で見守り続けているからである。ラガスの傍には常にラグラスの姿が有り。彼はラガスの事を弟のように可愛がっている様子だった。

ラガル王妃と話を終えると、ラガリア王が俺たちのところにやって来ると。ラガスを俺の方に渡す。俺はラガスに、これから暮らす家までの案内を頼むと。ラガスは素直に俺の頼みを承諾してくれ。そして俺たちはラガスの後に続いて、森の中にあるという村へと向かうのだった。

そして、ラガスに連れられてやって来た村は、この辺り一体にある森とは全く違い、木で出来た家は建っていなかったのだ。そして俺はラガラ王妃の住む場所と同じような作りになっているのだろうと勝手に予想していたのである。

そんなことを考えていた俺の元にクロアがやって来て「どうかされましたか?」と声を掛けられる。俺はクロアに対して、ここにある建物はすべて木材で建てられているのだろうかと聞くと。

「その通りです」とクロアは答える。

「では、ラガリア王は木材で建てられた家に暮らしていて大丈夫なのでしょうか?」

「問題ないかと」

「それはどうして?」

「ラガロは、火を自在に操ることができます。その為かは分かりませんが、火に対する抵抗力は相当なものです」

なるほど、ラガレウスの王も炎を操ることが出来るのかと考えているとき、リディアの表情が険しいことに気づく。

俺が彼女の顔を見て、どうしたのかと聞こうとすると。

「何か、感じたのですか?」

俺がそんな言葉を口にしたとき。

クロアが、ラガルドとラガレアとラガレスの三人が同時に森の方を見る。

そしてその事を感じたリディアが俺の手を握りしめてくると、ラガルド達と一緒に森の方へと走り出してしまう。そして俺は何が起きたのかを理解する前に、レイリアの手を掴み彼女と一緒に走る。

そしてクロアが、何かが近づいてくると言ってきたのだ。

俺とレイリアとミリアナは武器を構える。俺はクロアの方を向いた。クロアはレイリアに俺から離れるように言うと、クロアの前にリザードのリザードマン達が整列をする。そして俺はある事に気づきクロアに伝えるのである。

「お前、リディアの護衛だったんじゃないのか?」

「護衛なのは本当ですよ。ただ、今のリザには、敵わないかもしれないですけど」

クロアが言っているリザとは恐らく、あの時の女性の名前だろうなと思い。そんなクロアが、あの女に負けると言わせてしまうリディアの強さが気になる。しかし、今は目の前にいる敵を倒すことに集中しよう。俺がそう思っていると。

ラガレア、ラガルド、ラガラスの順番でリザードマンのリザード族たちが攻撃を仕掛けてきた。俺はまずランガとリゼに、クロアたちの警護をお願いすると、リザードたちに向けて攻撃をしようとすると、ラガレアが魔法を発動してきたのだ。俺がそれを確認するとクロアに向かって叫ぶ。

「クロア!! 防御しろ!!」

俺の声が聞こえてきたことでクロアも、相手が何をしてこようとしているのかを察知し。ラガリアが発動しようとしている、火の玉を防ぐために、ラガレアが使っているものと同じ魔法の水弾を放ったのだ。

俺とラガレアはお互いが放った水の弾丸同士がぶつかり合う。

その隙を狙ってラガラスとラガレアとラガルドは一気に俺に接近する。ラガリアもこちらに接近して攻撃しようとしたが。それを阻むために俺の仲間になった精霊たちとレイシアが動き、俺とクロアを守る形で、リザード族の四人の前に立ちふさがったのだ。そして、ラガルドが氷の矢を放つが、それをリディアとアリサが風の刃で打ち消し。リザードたちは剣で受け止め。リザードたちは、その剣で受け流す。その後すぐに俺の元から離れ。

俺と仲間達は、俺の周りにいるラガラ姉妹を囲み始めると。そこに、ラガレア、ラガレイド、ラガレス、ラガル王妃が合流する。

それから俺はラガルドに、俺と敵対するつもりなのかを聞いてみると、ラガルドは、ラガリエス王からの指令だと話すのである。

それならばと俺は思い。ラガルと、ラガルに指示を出したラガリエスに敵対するつもりなのだから。俺は俺を裏切った二人を殺すと宣言したのだ。その事に俺の仲間たちは動揺するどころか嬉しそうな顔をする。それには理由があるのだ。実はラガレアは今代のラガレウス王の実子ではなく。妾の子供が産まれて間もなく亡くなった事で急遽養子となったのだと、ラガレアに付いている二人のリザードから聞いていた。つまり、二人は王になるために育てられたのではなく、自分の子供を王にするために育てられていたということになるのだ。

だから、俺からすればこの二人には何の恨みもないのだ。それでも殺すと言うと。何故かみんな納得しているのであった。そんなやり取りをしている間にも、俺に攻撃を仕掛けてくる者たちがいるのだが、俺の仲間の精霊とレイリア、レイアとラリアがその相手を務めてくれるのであった。そして俺はというと、リガルドと対峙している最中である。

ラガレアとラガレド、ラガレスの三人は、リザードたちと共にクロアの元へと戦いの場を移すのであった。しかしラガル王妃とラガラスだけはその場に残る。

そしてラガガル王妃がラガレスとラガルをその場に残した理由は。

「私達の相手をしていただけるのですね」

ラガラ王妃は笑みを浮かべながら、そんなことを言ってきたのだ。俺はそれに対して笑みを浮かべて答えたのである。

「俺と貴方だけでいいのですか? ラガルは?」

「私はもう戦う必要はありませんよ。ですからこの子には私の分も戦ってもらわなければいけませんからね」

俺は、その会話の最中に魔力を纏い始め。そして次の瞬間には。俺の拳とラガル王妃の持つ扇が激しくぶつかり合ったのだ。俺はその勢いのまま、後方へ飛んで行く。俺は着地と同時に身体強化を最大まで引き上げていく。そして、俺は身体中に雷光を走らせ。一瞬にして距離を詰めようとしたのだ。しかし、そんな俺よりも早くに俺の方に駆け出してきて攻撃を仕掛けてくる者がいたのである。

ラガラ王妃だった。俺は、王妃とラガルが持っている力に差が無いのであれば。おそらく、スピード勝負ではラガル王妃の方が速いのであろう。だがそれでも俺が不利になる訳ではないと判断し。その考えの通り、俺は雷の力を利用して高速で移動を繰り返しラガラの背後から攻撃を繰り出す。だがその一撃はあっさりと避けられてしまう。俺は避けたことを直ぐに判断できたのでラガルの方へと向かい、雷槍での攻撃を行い。さらに蹴りや掌での攻撃を行っていく。しかしそれらは全て、ラガガラスによって防がれてしまったのだ。

「なるほど、少しはやるようだな。でもまだ、ラガガラスは超えていない」

「そういうあなたこそ、私の息子を超えられていないのではありませんか?」

そんな事を言っている二人に対して、クロアはため息を吐き。ラガリアがそんなクロアに何か言おうとしたとき。俺はラガルに攻撃を与えようとしたがラガレスの妨害によりそれは叶わなかった。そして今度はラガラとラガルが同時に仕掛けてくるが俺は雷を身にまといながら攻撃を繰り出そうとしたとき、ラガルが扇を一振りして衝撃波のようなものを飛ばしてきたことで俺は動きを止められてしまう。そのせいで、ラガラに俺が攻撃を行うタイミングを失ってしまう。

ラガレスは氷の槍を放ってくるので、俺はその対処をしなくてはならず。そこで再び俺はラガラの攻撃を貰ってしまうと。そこに、リディアが俺に向かって飛び込んできて。

「ごめん。助けに入るのが遅れたけど。そっちは任せて良いかな?」

「大丈夫だ。そっちは任せたぞ。ミリアナ、レイリア、援護頼む」

「「了解」」

ミリアナが俺の隣に立ち。レイリアは俺の後ろで待機しながら。ラリアに攻撃を繰り出していったのである。ミリアナとレイリアに攻撃をされながらも反撃をしてくるラニアに対して、リディアはリディアでリガラスと戦っていて、なかなか攻め込めていなかった。

そして、ラガガラスに邪魔をされ続けていたラガスだったが、なんとかラガスもリディアと同じようにリザード族のリザードに守られていた。リディアとラガリア王妃の戦闘を眺めつつ。俺は目の前にいる三体の敵を見据えていたのだ。俺はラガルとリディアの戦いを見る限り。リガラ王妃もかなり強いと判断した。それにラガラ王妃はまだ余裕がありそうだった。しかし、今のラガラ王妃の強さならランガルたちの方が上なので、このままいけば確実に勝てるだろうと俺は確信しているのだ。

ただ気になることはある。何故、王妃だけが戦っているのかと言う事である。その事については俺はすぐに気づくことが出来たのだ。それは王妃以外の二人の実力が低いという事だろう。つまり二人は俺達の足止め係としてここに配置されたのではないかと。その事がわかったのは、リガラ王妃の動きが単調になっていたのである。リディアと、リディアの仲間たちは上手くそれについて行き、連携を取り合って戦えていたが。ラガラの方はそうはいかなかったのだ。ただでさえ王妃の方が強かったのに、今は俺の予想が当たり。二人とも弱いことがはっきりと解っていたのである。

「さて、ここからは、私一人で戦わせてもらおうかしら」

「そんな事はさせない」

俺の傍にはいつの間にかいたレイアがいたのだ。

彼女は、俺と一緒に戦いたいと言った。それだけではなく、彼女もラガル王妃との戦いに参加できると言ってきたのである。そんなレイアの決意を見て俺は思わず微笑んでしまった。その表情を見たレイアは、恥ずかしそうに頬を染める。そしてそんな俺たちの目の前には、俺達に戦いを挑んできたリガラ王妃が立ちふさがったのである。

「お前たちがあの方たちに挑むなんて、身の程をわきまえろよ」

リガラ王妃が、先程の穏やかな口調から一変し。俺達に向かって怒気を含んだ声でそんな言葉を告げてきた。すると、それに合わせて、他の二人も戦闘態勢を整えていく。それを見た俺は仲間たちに声をかけ、目の前にいる三人の敵に集中することにしたのであった。

俺達は今。三人の女と相対している。まずは、俺の正面に立つ女は、俺の攻撃を難なく避けることができたことからも、王妃の中でも実力者なのは間違いなかった。そしてその女の後ろから、俺に向かって剣を振り下す男が現れた。その攻撃を俺は左手の手甲を使い受け流すが。俺の左腕から激しい痛みを感じたのだ。俺が手甲に魔力を流し込むと、男が使っている剣が溶け始めて、最後には粉となって消えて行った。その事に男は驚愕した顔になり。慌てて後ろに下がり、剣を再召喚する。そしてその剣を俺に向けて斬りかかろうとすると、男の足元が凍りつく。それを確認してから俺は右手の手甲から炎を出し。氷を破壊してからもう一度、俺は男に向かい拳を叩きつける。

その攻撃を受けた男は完全に吹き飛ぶと思っていたが、意外にも耐え切ったのである。そして俺は驚きはしたが、それだけで攻撃をやめることはなかった。俺はその状態から連続で攻撃をし続けて行ったのだ。しかし、そんな攻撃は当たらず、男はその場から消えると、俺の背後に現れ。俺は振り返ると同時に肘鉄を食らわせるが。俺の攻撃は当たらない。その後も何度も攻撃を行うが。全て避けられてしまったのである。

その事に俺が焦っている間に、もう一人の女は、自分の武器である弓を構え。そしてそこから放たれた矢は俺に迫りくるが。俺に直撃する直前で消滅したのである。俺は、俺に襲いかかって来た弓矢に気を取られている隙にリガラスが仕掛けてくる。俺の腹部に蹴りを放つのだが、それを腕を使って防御をするのだが。あまりの威力で吹き飛ばされてしまい壁に激突してしまった。しかし俺は地面に着地をしたとき直ぐにその場から走り出したのである。そんな俺の行動にリガラ王妃は不機嫌な顔をして。

「逃げれると思ってんのかい」

と呟くとリガラスは手に持っている弓を消し。代わりに氷でできた細剣を作り出し、それで突き刺そうとする。しかし俺はその場に留まり両手でその攻撃を受け止めたのだ。

俺はそのまま力を込めて押し返すと、驚いた様子のリガラスは後ろに後退して体勢を立て直す。その光景を見ながら。王妃たちの強さを感じていた。王妃たちも俺と同じ力を持っていたのだ。その事から考えると。俺の想像していた通りで、王妃たちには他にも力があると考えた方が良いのかもしれない。そんなことを思いながらも俺は三人と戦うことを辞めるつもりはない。ここで逃げたとしても、王妃たちが俺を見逃してくれる可能性は無いからだ。王妃たちは、王妃でありながら、神から特別な力を授かっているのだ。だからこそ王妃たちには俺を殺すという使命感があるのだと思う。俺は、王妃たちの事をよく知りはしない。だからといって彼女たちが善人であるとはとても思えないのであった。

しかし王妃たちからしてみれば俺に殺される理由はないだろう。しかし王妃たちには、俺がラガリア王を殺した張本人であると考えているらしいのだ。王妃は、俺がこの国に入り込んできて、多くの人を殺していったことに腹を立てて俺を殺そうと躍起になっていると俺は思っていたのである。だがそれは俺の考え過ぎのようだと分かったのだ。王妃たちが殺さなければならないと思っている人物は。この国の国王だけではない。俺の育ての親でもある、前王様も含まれているのだと俺は考えたのである。だがそれでも俺にとってはどちらでもいいのだ。

俺にとって、大切な人たちに害を成すのであれば排除するまでのこと。

「どうやら貴様を仕留めなければ私達の負けになるようだな」

リガラスが俺のことを睨みながらそんなことを口にするとリディアも同じようにこちらに近づいて来ては、二人とも構えを取る。そして俺もリディアの攻撃を避ける為に集中しながら攻撃を行おうとするが。王妃の一人が突然姿を消したと思った次の瞬間。リガラスの後ろに姿を現した。リガラスはそれに反応して攻撃を仕掛けるが、俺はそれよりも速くリディアに攻撃をしようとした。その時リディアは、何かに気付いたようで目を大きく見開き、後ろを振り返ると、目の前に迫ってきたリガラスが持っていた剣によって貫かれようとしていた。しかしその剣を、リガラ王妃の持つ短刀が受け止めたのである。

しかし完全に止める事は出来ず、胸を貫くかと思われた時。突如出現した壁のようなものにぶつかった事でリガラ王妃の動きを止めることに成功していた。その事にリガスは悔しそうな表情で歯ぎしりする。

俺の方はその隙に後ろに飛び退く。そして俺は目の前で起こった出来事を考えて。恐らく王妃は姿を消すことができるのではないかと判断した。

「ラガスさん大丈夫?」

俺を心配してくれたのはレイアだった。彼女は王妃の姿を見て驚いていたが。俺の事を気遣ってくれていたのだ。彼女の優しい気持ちに感謝しながら。俺は王妃たちが俺に向かって一斉に攻撃してきたのである。

俺がラガル王妃たちを相手に戦闘を行っている間、レイリア王妃とミリアナ王妃とリディア王妃の三人が、ラガル王妃と、ラガレス王妃の二人と戦闘を開始した。

「さてと、お前の相手は私が直々にしてやるよ」ラガルはレイティア王女に向かって話しかける。

「私は、あなたなんかに用はありません。そこをどきなさい」

レイティア王女がそんな言葉をラガルに告げる。すると、リディアがそんなレイティアに対してこんな言葉を発した。

「レイティ、そんなこと言うもんじゃないわよ。それに私たちもあんたが戦う所を見てみたいしね」とレイアは言うとレイディア王女はレイピアを抜き出し構える姿勢を見せると、それに合わせてラディアとリガルドも動き始めたのである。そんな状況でも、レイアは笑っていたのだった。

「さぁ、来いよ」とリガルドは大剣を構える。その行動が挑発だと言うことは、誰でもわかる。そしてその言葉を聞いてリディアとリザード王妃は同時にリガルドに向かって斬りかかるが。その攻撃を難なく避ける。そして二人は後ろへと下がった。しかしラガラとミリア王妃の二人の方では激しい音が聞こえた。二人は既に戦い始めていたのだ。その音に、レイア王妃は微笑を浮かべ。リディアと、リザードは舌打ちをする。その光景を見ているレイアに「何を企んでいる」とレイラは質問をしたのだ。その声にレイアはレイラの方を見て、レイラの方にゆっくりと歩いて行きながら、「そうですね。レイラの相手をするのは最後にしたいです」と言いレイラの横を通り過ぎたのだ。レイラはそんなレイアの態度に怒りを覚えるとレイラはすぐにレイア王妃を斬り裂こうと斬りかかったが、その攻撃を避けられるどころかレイティア王妃は、レイリア王女の隣に立ち、レイリアに一言だけ告げる。

『後は任せますよ』と、そう言われた時のレイリアは、その美しい瞳を輝かせ、その目には強い光が宿っていた。

そしてその後、直ぐにラガリアが使っていた剣を持ち、その剣を地面に突き刺すと地面が大きく震え、その振動が辺りに広がるとその場にいる全員の足を止めさせる。そして次にレイディアがレイシアの元に近付いていくと、レイシアに声を掛けたのだ。『お待たせいたしました。これから私の全力をお見せいたします。どうか見ててくださいませ。これが本当の力なのですから、あなたの為だけに見せるのですから』と笑顔で話す。その言葉にレイディアは微笑み返す。しかしラヴィアだけはそんな二人をただ眺めていることしかできなかったのである。なぜならラヴィアが立っているその場所には、誰もおらず。そこに存在していたのは。

そしてそんな二人の戦いが始まろうとしていた時、レイア王妃はリガラと戦っていたのだ。その戦闘の様子をレイティアは、目を離すことなく見続ける。

「なかなか面白い武器を持っているじゃないか」とリガラはリガラスの持っている武器を見ながらそんな言葉を漏らしたのだ。するとそんなリガラスの言葉を聞いたリガラは口元を緩ませる。

「そうだろ?これは私が開発した武器で、名前は【天翔雷】と言って、魔力を流すことによって発動することができるんだ。さらに魔力を流す量を調整することで攻撃する範囲も調整することもできるのさ。そしてこの技の特徴はこの雷属性の攻撃を受けて生き残れた者はほとんどいないということだ。さっきの一撃で終わらなかったということはそれなりには動けるという事なんだな」

リガスがそんな説明をしながらリガラスに向かい走り出すと、リガラスはその場から消えて一瞬で背後に現れたリガスの背後に現れ、その攻撃を回避しようと動くのだが、回避することが出来ず背中に強烈な電撃を受けるのであった。しかし、リガラスに攻撃は効かずすぐに態勢を整えようとする。

リグラスには全く効いている様子はなく。むしろ自分の攻撃があまり効果がないことに驚いた顔をする。そしてリガラ王妃が攻撃を仕掛けようとした瞬間、リガラス王妃は、地面に落ちている石ころに気付くと、その石ころを拾ってからそれを地面に落とし踏み潰すと。足元から巨大な氷の柱が発生してリガラ王妃を飲み込もうとしていたのだ。しかしリガラス王妃は咄嵯に避けたことで氷の直撃を何とか避ける。

だが完全には避けられないでリガラ王妃は腕を負傷してしまったのである。その傷跡からは血が流れ始めると、その傷口を自分の手で塞いだ。その行為にレイアスは「ほう」と感心するような顔を見せたのである。そんな様子を見ながらラガレスはリディアに指示を出すと、リディアはリディアでミリア王妃の方を向くと剣を構える。するとリガルドは大剣を肩に担ぐような姿勢になるとその場で待機し始める。そしてラガレアは杖を手に持つと詠唱を始めた。その様子からラガスは魔法による攻撃を行おうとしているのだと判断し。まずは厄介そうなリガラの方を倒そうと動いたのだ。

そしてリガルドの方にも同じように動こうとした瞬間リガラスの身体が青白い光を放ち始め、その事にラガラ達は驚いてしまうがそれでも攻撃の手を休めることはなく。攻撃を仕掛けるが、その攻撃が全て防がれてしまうのだった。しかも完全に防ぎ切られてしまい、全くダメージを与えていないようだった。それを見たラガルは、「リガラス王妃、私達と共に来てもらうぞ」と言うとその言葉と同時にリガラに襲い掛かった。しかしリガラの纏っている服の表面に放電が起きており、それが邪魔して思うように近づくことができないのである。そればかりか触れればダメージを受けかねないので。接近戦を挑めずにいると今度はレイビアとリデアとミリアナの三人がこちらに来てしまったのだ。レイラも一緒になって戦うと決めたらしく、一緒に戦おうとしていたが、リディアはそれを止めたのである。そして自分達に任せてほしいと言われたレイディアはその申し出を受け入れていたのだ。そんなことを話しながらレイラは剣を鞘に戻すと「ここはあの子たちだけで十分でしょう」と言うとミリディアに声を掛けたのだ。

「さて、少しばかり遊んでもらいましょうか?」そう言った後、その言葉にミリディアは返事を返さずそのまま戦闘が始まった。リガラ王妃とリガルド王妃とレイティア王妃が戦っている最中、レイシアと、レミア王妃と、そしてリディアと、リザード王妃との戦いが始まり。ラガラス王妃はレイナと、レイラと戦い始めたのである。そんな中リガラスは、リディアに攻撃をしようとする。しかしそれはリディアの結界によって阻まれる。それを見てラガスは「なるほどね」と言うがレイディアの表情は変わらないままだった。そして次の瞬間レイアが「どうですか?」と言うとレイディアは、「いい感じですよ。もっと頑張りなさいよレイア」と言いレイディアが作り出した光の輪に拘束されるリガルド。しかしリガルの方は攻撃を全て避けられてしまっている。

「さすがですね。でもまだ終わりではありません」とラガレスが口にしたその時。リディアが剣を横に薙ぎ払うように振り払い、レイガとラガラス王妃はお互い距離を取るために後方に飛ぶと、ラガレスは、「さて、ここらで終わりにしませんかね。もう、遊びの時間は終わりにして、本題に入るとしましょう」と言ったのだ。

「何を言っているのかな?」とラガル王妃が言うと、ラガレスは笑い、「あなた方は勘違いをしているのです」と答えたのである。その言葉にラガル王妃と、ラガル王妃は眉を潜めた。するとラガルはレイティア王妃と、ラリア王妃と、リティア王妃に合図を送る。その合図にラニアが反応する。「レイティ、今すぐそいつを黙らせなさい。それからラガルとレイアもよ」と言うとレイアはラガリスに視線を向け、リディアはラガラスと戦闘を始めようとしていたが、リディアの頭の中で警告が鳴る。その音を聞いたリディアがラティア王妃を睨みつけるとラティはレイティアの方を指差すとレイティがラディアに向かって話しかける。「さぁ早くレイアを殺しに行きますよ」と言うとリリアはラディアに向かって攻撃を仕掛ける。リディアがリディアの攻撃を回避した時だった。ラディアの胸からレイアのレイピアが飛び出て来る。それを見てラガラとラリア王妃は驚き声を上げる。「何をやってんだお前は!」とラリア王妃は叫ぶとレイラ王妃が笑みを浮かべ、「これで私の計画通り」と言うと、ラディアが口から血を流しながら倒れてしまう。その事にラガリア王妃は慌てて駆け寄ると、「レイラ!何て事をしてくれたんだ!!」と言いレイラを睨むが、そんなラガロをラガルが押さえ込むと、レイティアはラディアス王妃にレイアに止めを刺したレイリアのレイピアを手渡す。そのレイピアを受け取りラディアス王妃がリディアを見るとレイアは「おや?どうしてあなたはまだ生きているんです?その体だとそう長くは生きられないのに」と言うとラディアがラガルに抱き着いて涙を流す。ラガリアはそんなラディアの頭を撫でるとレイディアの方に目を向ける。

「なぜこのようなことをするのかわかっているのか」と言うとレイティア王妃が、「ふっ」と小さく笑うと「すべては私達の為にしたことなのですよ。この国は、このままでは滅びるしかない。ならどうすればこの国を守り抜くことができる?私達はその答えを見つけ出したのです」と答え、レイヴィア王妃が「そのためには、私達以外の力を借りなくてはならなかった。そこで私達は考えたのです」と話し始める。その事にレイリアス王妃が口を開くと「レイシアとレイラスはどこだ?あれが居なくなればこの国は救えるのだ」と言うとリティアが首を傾げる。

「あの姉妹を殺せば国が救われるという事か?私には到底信じられないが、確かに、その二人を殺せば国が崩壊するという話は私も耳にしたことがあるが。まさかそれを試した者がいたとは。だが、レイシスをその手に掛けたのだろう?レイダスはどうするつもりなのだ?まさかあいつにそんなことを頼むつもりだったのか?」と聞くとレイディアは首を振る。そして、「いえ、違います。そもそも私達にあの姉妹を殺すことは出来ませんでした。あの二人を消滅させるためには、レイアスの協力が必要だった。しかしそれをどうやって得るか考えていた時に偶然私は、ラディアが持っているこの武器の事を知ったのよ。そしてこれを使えばこの世界に存在するすべての種族が死滅するかもしれないという事もね。それで私はこの武器でこの世界に生きるすべての生き物を殲滅させることにしたの。だけどその前にまず私達の味方にしなければならない者がいた。それがあなた方よ」と話す。

その話を聞いたラガガラスは、ラディアに、「おまえはこの事を知っているのか?」と質問をしたが、リディアとラティアのやり取りを見ていたラガガラス王妃にはすべてを理解することが出来たのだ。そしてそれを確認した後、ラガラに、「ラギアスの事は心配ない。私が必ず助けてみせる。今はこいつらをどうにかすることだけを考えるのだ。リガラ、お前の力も借りたい。協力してくれないだろうか」と言ってくるのだった。その言葉を聞き、少し考える仕草をするラガガラスだが、レイティア王妃の方を見て、「いいでしょう。協力をして差し上げます。ですがその代わりに私達がレイシアを救い出させてもらうわよ。それとレイラもよ。いいかしら」とラガリア王妃の問いかけを聞くとレイティ王妃は了承した。そんな様子を見ながらレイディアが、「では、行きましょう」と言い。ラビアを呼び寄せると二人はその場から姿を消したのであった。その様子を見ていたラガルは「くそ!レイアめ、なんて事をしてくれたんだ」と言うと、ラガレアは、「お困りの様子ですね。よろしければ我々で手を貸そうか?」と言うのだが、リガラはそれを聞いて怒りだす。

「冗談ではない!!こんな状況になってまで貴方達の世話になるつもりはない。ラガガラスは私の国の者、だからラガルと一緒に戦う」と言うのだった。するとリガラ王妃の身体の輝きが一段と強くなり始めたのだ。それを見てラガルが、「これはいったいなんだ!?どういうことだ」と困惑すると、その光を見たリガルド王妃も焦ったような顔つきになるとラガラ王妃に話しかける。「ラガルよ、貴様がリガラス王妃を連れていくのであれば我はラガル王妃と、レイディア王妃と戦うことになるがどうしたい?」と言いラガル王妃は、リガルドが自分を助けるために来たのだと思っていたので驚きの声を上げたが、次の瞬間リガルドが纏っていた服が、まるで爆発するように破れ、そこにはラガル王妃も見覚えのある姿が露になったのだ。「そんな、馬鹿な」と言い目の前に現れた男を見つめたラガル。その男の見た目はまさに人間のように見えるがその肉体は筋肉で覆われた人とは思えない容姿をしていたのである。

「まさか本当に魔王を討伐してたのか。しかしその姿は」そう言いながら、ラガル王妃はレイディア王妃を睨むとレイディア王妃が、「えぇ、彼は魔王を倒せるほどの存在となったのです」と言うとラガは笑いだし、「ならば、本気で戦ってみせようじゃないか」と言い。ラガル王妃が構えを取るとラガが大声で笑った後ラガスに向かって言う。

「面白いぞ小僧!!お前は俺を楽しませて見せろ。それに、そこの女達、どうした。お前らはラガ王妃についていかないのか?」とラガルと、ラガラ王妃の二人の戦いが始まり、リガラス王妃が二人の王妃を相手にする事になっていたのである。その光景を見ながらラガガラスがラガに話しかけた。ラガラの言葉を聞きラガリスはリガラス王妃を見てラガラガラスを見てから、ラディアとラティア王妃を見ると、ラディアが口を開く。

「私達は、あの子を信じてます。きっと、何か理由があってここにいるはずです。ラガルは私の姉であり夫でもあります。あの子を信用します。ラガリア王妃、どうか、ラディアだけは」と言いラティア王妃とラリア王妃と共にラガリア王妃を睨みつける。するとラガリア王妃はその視線を受けると笑みを浮かべながらラガに近づいてきて、ラガの頬を撫でると、ラガリア王妃は言う。

「いいだろう。そこまでの決意があれば。レイリア王妃、あなたをラガスの妻として認めてあげましょう」と言うとラガリア王妃はリディアとラティアの所にやってくる。そしてリディアとラリアの前に立つと、「レイリアの件はラディアに任せるつもりです」とリディアに話しかけてきた。

リディアも、レイリアの事に気が付いてはいたが、それでも自分の妹を信頼しているため、ラガリア王妃に対して敵意は抱かなかったのだ。ラガリア王妃が、リディアからラティアの方に目を向けると、「さて、あなたも、ラガとリガルが認めた人物、なんですよね。私の元に連れてきなさい」と言うとリディアはラティアの傍に行く。

「私にはあなたがラディア王妃のように思えてなりません。あなたはいったい何者で何を企んでいるのですか?」と問い掛けると、ラガリア王妃が、レイアのレイピアを取り出す。それを見たリディアは驚き声を上げる。

「あなたはどうしてその剣を持っているの?その剣は本来あなたの手にあるはずのないものなのに」

リディアはそう言いながら、自分が持っている短剣とレイアのレイピアを比べると明らかに違う事が分かったからだ。

「それは、このレイリア王妃が作ったレイアが使っていた剣よ。レイティア王妃は、それを私に託してくれた。その力を使って私はラディア王妃の力を封印するために動いた。それがレイリアの願いだった。レイアが最後にレイリア王妃と約束をしたらしいわ。ラディアをお願いと。それで私はラディアに力を貸してほしいと言われたのよ。レイアの最後の願いをかなえるために、そしてあなたを救い出すために」と話す。

そんな事をしているうちにレイガが現れてリディアとラティアを見ると、「リディア姫、久しぶりですね。私は、レイリアスです。よろしく」と笑顔で言うのであった。

そしてそんな様子を見ていたラガリア王妃が、レイディア王妃に聞くと、「もうよいの?これで私達の役目も終わったと思うけど」と聞くと、レイディア王妃は微笑んで答える。その事にリガリア王妃は驚きながらラガリア王妃に、「どういう事だ。ラガラスに何かするつもりだったのか?」と聞くと、レイディア王妃は、「そうですよ。私達がラガレアに仕掛けたのはこの世界に存在する生き物を殲滅させるため。その準備は整ったので後は、あの子が力を手に入れるのを待つだけです。そして、レイシアがあの子に殺されるのを待ったのです」と説明を始める。

「なっ!?そんなことをすればラガラスもこの国と同じように消滅するというのではないのか」と言うが、「えぇ、その通りよ。レイディア、貴女には感謝しているわ。ありがとう。あなたのおかげで、レイア王妃が望んでいたことが実現したのだから」とラガリア王妃が答えた。

すると突然空が黒く染まると同時に轟音が響き渡ったのである。そして上空に目をやると、そこに巨大な隕石が落ちてきていて、そのまま地面に突き刺さるように落ちてきたのであった。そしてその様子を見つめながらリディアが呟く。

「そんな。まさかあれはラガレアの城に直撃したんじゃないの」そう思いながらもリディアは慌ててその場所に向かうのである。だが、そのリディアにリディア王妃は「レイディア王妃、貴女の狙いはこれで成功したんですか?」と尋ねる。するとレイディア王妃が微笑み、「いえ、私達が狙っていたのはレイガの方です。そしてレイシアを覚醒させることこそが私達の本当の目的です。レイディア王妃の力が解放されたのは偶然の副産物。それには驚かされたけれど、あのレイアが作り上げた、レイディアのレイナが持っていたレイティアの武器を使ったおかげよ」と、嬉しそうな表情をする。そんな会話をしながら、リディアの後を追ってその場から姿を消すのであった。

ラガレアの城下町に隕石が落ちてからしばらくしてもまだ爆発が続いていて、ラガレアの町では、悲鳴が聞こえてきていて、住民たちが逃げ出し始める。だが、逃げ出した先で、今度はドラゴンに襲われ始めてしまった。そんな中でリガラスは、自分の仲間であるラガレアの騎士達を集めて、なんとか町の人を逃がしていたが、リガルが一人で、レイガがいると思われる場所に駆け付けるとそこで目にしたのはラガレスが、ラガル王妃が放った技によって殺されてしまう場面を目撃してしまい。ラガレスが死んだことにより、リガルの心は限界を超えてしまい、その場で気を失ってしまう。その後リガルド王妃がその場に現れると、気絶したラガをラガルド王妃が抱え、ラガガラがラガルド王妃の隣に並ぶのだった。

その頃、ラガレスが死んでしまってすぐにリガラスはラガガラス王妃に声をかけられて目が覚める。リガラスはすぐに状況を察すると、「まさか、ラガガラが」と言いながら周りを見渡すと、リガルド王妃と、ラガルド王妃の姿を見てリガルド王妃の方に話しかける。すると、リガルド王妃は、真剣な顔つきをして、「リガル王妃は残念ながら亡くなってしまった」と言うのである。それを聞いたリガラスは、「ラガ様」と言いながら泣き始めた。その様子を見ていたラガルド王妃は、リガラに近づき、そっと抱き寄せると、「今は泣いてはいけないわ。まだやるべきことがあるはずよ」と言うと、リガラスを離して立ち上がる。するとラガルド王妃がリガル王妃を抱きかかえると、「ラガは私が責任を持って城に連れていくわ。だから安心して頂戴」と言い、リガラが、「はい」と返事をした後。ラガガルが殺された場所に向かい、そこにあったのは無残にも変わり果ててしまったラガレスの亡骸を見下ろした後、手を合わせるのである。それからリガラは急いで、ラガルと、ラガル王妃と一緒にいた騎士たちを集めていた。

集まったのはリガル王妃が選んだ者達だけでリガルド王妃が連れてきたリガル以外の者は全員別の場所にいるとの事であった。それを確認したリガル王妃はラガルガル王妃を見て「私はこのまま、ラガルとリガルを連れて一度ラガルに戻るつもりです。あなたはどうするのかしら?」とリガラに質問をしたのだ。

その言葉にリガラは考え込み、そして、ラガレア王国に戻りたいと思い、「私は、この町を守るために残ります。そして私の代わりにラガガラ王妃にはラガラに行ってほしいと思っています」と、自分の想いを告げるとリガルド王妃は少しだけ笑みを浮かべて「あなたがそう言うのであれば私は反対しないわ。でも無理だけは禁物だよ」と言いラガレアに向かって移動を始めたのである。

そして残されたリガラ王妃は町に残る者を率いて避難を始めようとしていた時だ。突如空から黒い翼を持った人物が目の前に降り立つと「あなたが、レイシア王妃の関係者で間違いはないのよね?」と言ってきた。その事に驚いているリガラ王妃が、警戒しながらも「お前はいったい」と言うと、レイシア王妃の知り合いだとその人物は口にするのだった。

その人物の言葉を聞き、リガラ王妃はさらに警戒を強めると、「レイア王妃を知っているということですね。あなたは一体」と言うと、その人物は自分の正体を語る。

「レイアがこの世界で最強の力を持つレイティアを作り出したのよ。私の名前はレニア、レイティアの姉であり、レイアと敵対していた組織に所属している。私達はレイア王妃と手を組んで、レイア王妃を倒そうと企んだんだけど。あの人が強すぎたせいもあって失敗したけど、レイナと、私達がこの世界に来た時に得た能力を使う事でようやくこの世界のレイガの肉体と精神を操ることに成功したの。まぁ、その代償としてあの人の人格は完全に消え去り、今となってはこの私だけが唯一残ったけど」と、自分の力について語るとリガラ王妃はその話を聞いて驚愕するが、同時にある事が気になり始める。それは、ラガレア王妃の身体を奪った存在のことを聞くと、レイニア王妃は、「あぁ、あれなら問題ないわ。もうじき私の支配下に入るから、そうしたらレイシアとレイガの力を手に入れて完全にこの世界を我がものにすることが出来る。そしてその後はレイア王妃も殺す」と答えるのであった。

リガラ王妃は、そんなレイティアの話を信じられなかったので、その証拠を見せてほしいとお願いをしたが、レイア王妃を殺したいと思っていたレイティアが素直にその要望に応じるとは思えず、結局何も見せられないままだったが、とりあえずは信じるしかなかったのである。するとそんな事をしているうちにラガレスがレイシアに攻撃をしていたので、リリア王妃と、ライリア王妃がレイリア王妃のところまで行くと。レイリア王妃がレイア王妃の短剣を取り出した瞬間、レイリア王妃の姿が消えた。

リリア王妃は驚き、慌てて周りを確認するが、そのときにはすでに遅かった。レイティアはレイリア王妃の姿を真似ていただけで、本物のレイリア王妃はすでにレイティアの中に存在していたのである。そして、彼女の力はレイヴィアと同等なくらい強かった為、その力を使って二人は一瞬にしてその場から離脱してしまう。そしてその場に残された二人の元にある人物がやってくるとその人物に対して二人共驚く事となるのであった。

そして二人がいなくなったことでレイリア王妃と戦う必要がなくなったので、すぐに行動を起こす事を決め、レイシア王妃は自分が生み出したレイシアの元に向かうことにしたのである。レイシアの居場所についてはすでに分かっていたレイリア王妃はその場所に向けて動き出したのだがレイシアの元にたどり着いた時にはすでに遅く、そこには既にリディアが駆けつけていて、レイシアを殺そうとしていたところでリシア王妃と、ラガラ王妃と、ラガルド王妃が現れ、ラガガラス王妃の一撃を受けて、そのまま気を失ってしまったのだった。その後リガルド王妃に抱きかかえられながら、レイナに運ばれていく。

レイディア王妃は、レイリアスが倒れている光景を目にした途端に怒りが湧き上がり、そのレイナを睨みつけたが、その表情は恐怖によって引き攣っていた。レイナの強さが異常である事には気が付いていたのだがそれでもそのレイディア王妃の表情を見る限りそこまでの脅威には見えなかったが実際は違ったようでレイデアはラディアスに指示を出すと同時に自身も戦いに参戦しようと思ったのだがその前にレイガが自分のところにやってきて、「貴様のせいでラガラスは死んだ。許さない。貴様に俺が殺されるか、それとも、お前を殺すか」と言うと、レイディア王妃が持っていた剣を奪って、ラディア王妃を殺しにかかった。その速さに驚いたレイデアは、「ちょっと待って、早過ぎるでしょ」と焦り始める。

そして、レイナはレイシアが倒されたのを確認してからラケの所に行こうとしたが、そこにリガルド王妃が立ちふさがると、レイナを足止めする事に成功した。その間にレイナとラディア王妃の戦いが始まりラディア王妃は、レイナにレイティアが使用していた短剣を向けていたがレイナは、レイティアが扱っていた時の何倍もの威力の攻撃を繰り出すのでラディア王妃は防ぐのに必死で全く近づけずにいた。

そしてラガラス王妃が、ラガガラス王妃を気絶させると、その場から離れる。するとリガルド王妃がレイナスと、レイリスを呼び、二人で戦おうとしたのだが、リガラス王妃が、ラガラス王妃に近づいていくと、レイナは、ラガガラス王妃を気絶させてしまい、レイナはリガル王妃に近づく。リガルド王妃が、レイリスとリガラスを連れてその場から逃げ出すが。すぐにレイシアとリリアが追いかけていき、途中で合流してリリアがリガリアと戦闘を始めると、リガルド王妃と、リガルド王妃と手を組んでいたレイスが合流し、四人でリリスを追いかける。

ラディア王妃がレイディアの持っている剣を手にして、レイディア王妃からレイア王妃の力を奪うことに成功する。だがすぐにラガス王妃と、ラガレスが戻って来て。リガレス王妃はラガラス王妃とラガルを連れて逃げようとするが、それをリガルド王妃が邪魔をするが、ラガレス王妃が、自分の命を引き換えにしようと覚悟を決めると、ラガレスの意識は途切れ、そして、リガルド王妃はその場で立ち止まる。その隙を見逃さなかったラギアスは魔法を発動させてレイアを倒したときの数十倍の力を込めて発動させた。その魔法の直撃を受けたラガルド王妃は、「くっそ」と言いながら地面に向かって落ちていった。

ラガレスが作り出した魔法は重力属性と光属性を合わせた上級複合魔法であり、それはレイアス王妃から聞いた情報を元に作り出した物であった。それの効果が終わり、辺りには砂煙が立ち込めるとラガイアスの身体は力が抜け地面に倒れ込む。

その様子を見ていたレイアは、レイシア王妃が、この場から離れようとしている事に気づくとすぐに後を追うが、その時にリヴィアの様子がおかしい事に気が付きリリア王妃がリヴィアの傍に行くと、リガラ王妃はリガルド王妃の死体を見て動揺してしまうが。リガルド王妃は、リガラ王妃を守る為に盾となり攻撃を受け止める。そしてリガラ王妃とリヴィア王妃の二人はその場を離れ、リガラ王妃の事を気にかけていたリディア王妃はレイシア王妃の事を追い始めたが、レイシア王妃は転移の能力を使い、レイティアと入れ替わった後に逃げようとした。だが、リディア王妃は逃げるのには成功したが、レイナ王妃に追い詰められる事となってしまう。

レイシアはラガラス達から距離を取るように動くと、今度はリリア王妃とリリア王妃から力を奪い始める。レイリアはリリア王妃と、ラガガラ王妃の力を手に入れた事で完全にリリアナ王妃の肉体を手に入れることが出来たのである。そして彼女は自分の身体を取り戻すためにある人物の元へと向かっている途中だった。すると目の前に現れたのはラガルド王妃であり、その顔は先ほどまでの表情とは変わり怒りの感情に支配されていたのである。

ラガラ王妃は「お久しぶりです。ラガルド王妃。私の事が分かりますか?」というとラガルド王妃はすぐに、「私を殺したいと思っているんでしょう。私もあなたを殺したいと思っていたわ。さぁ殺しあいましょうか」と言うと、お互いに剣を構えると一気に距離を詰めるのであった。

一方その頃レイナはラガラ王妃に攻撃を仕掛けるが、レイナの身体能力では、リリア王妃の身体能力は超えておらず、ラガラ王妃の体にかすらせることさえもできずにラガレスが使っていた剣で何度も攻撃されてしまうが、レイナの剣捌きにも少しづつではあるが、ラガレスが身に着けた剣術が混ざっており、その動きは徐々にだが良くなって来ていたのである。そして、ついにその時が訪れたのだ。レイナの攻撃がラガラ王妃に当たるとその攻撃で、ラガラ王妃の腕を斬り落とせたのである。

そのことに驚いていると、「まさか、これほどまでに早く成長できる人間が存在するなんて。レイガ様が言っていた事が本当だと理解するしかないわね」と、呟いていた。するとラガレス王妃とラガラス王妃が、それぞれレイガ王妃から力を受け取っていた為か、すぐに傷が治ってしまったのである。そんな二人に対してレイナは、二人から感じる違和感を感じ取りながらどう対処すればいいのかを考えるのであった。

それから数分後にレイシア王妃が姿を現すと、レイナは、「私を殺すためにここにやってきたんですか?レイリア」と、レイア王妃に対して質問をしたが、レイシア王妃は何も答えなかった。

レイシア王妃は自分の姿を真似てラガラスとラガラ王妃に化けていた二人を見つめると。「やっぱりあなた達が化けていたというわけですか」と、二人に対して話すと、「あぁ、そうだよ。あんたが俺達にやらせてきたことを俺は知っている。それにお前が殺したあの人も本当は死んでいなかったんだよ。だけどお前は死んだことにしたんだ。だから俺達の復讐の為に、あんたにはここで殺されてもらう。もちろんあんたにやられた奴ら全員分の恨みもある。俺の事はレイガ様と呼んでもらうぞ」と言ってきたのである。するとレイシア王妃はその二人を睨みつけるような視線で見つめると、「私がその二人から力を奪ってあげます」と言うと、二人に対して手をかざすと同時に二人からは力が消えてしまったのである。そして二人が慌ててレイシア王妃を殺そうとするが、レイシア王妃はレイア王妃の身体を使ってその二人の首を掴み締め上げていく。二人の苦しむ声が聞こえるとレイシア王妃は、そのレイガの妻の身体を返してもらう事に成功するのであった。その後すぐに二人の身体は元に戻るが、二人はもう二度と元の肉体に戻すことができないくらいまで痛めつけられてしまい。レイナはその場に居合わせているレイガ王妃の姿を見て。ラガレアとレイガラスの姿がないことに気づくと、レイシア王妃に、「あなたの目的はレイリアの身体なのですか?」と、聞くが。レイシア王妃は何も答えることはなく。そのままその場から姿を消すとレイシアはレイシアを追いかける。するとレイシアが転移で移動をした先は、自分が使っている屋敷に辿り着くとレイシア王妃は中に入っていくとそこには既にラガスとラガレスと、ラガルが揃っており、レイシア王妃が部屋に入ると。ラガガラスがすぐに剣を向けるが、レイア王妃はレイシアに、「レイリアスが死にました」と伝えると、ラガスとラガレスは悔しそうに表情を変えると。ラガス王妃は、「貴様の差し金か」と言うと。レイア王妃は、「えぇ。ラガラス。あなたの事を許すつもりはありません。レイシア王妃の体から出ていきなさい」と言うと。ラガルがレイナに向かって襲い掛かって来たのである。

レイナが剣を振り下ろすと、その剣をラガレスが防ぎ、そしてラガレスの剣をレイガ王妃が奪い。それをリガラス王妃に渡し。リガルがラガガラスに向かって魔法を放とうとするとレイシア王妃が止めに入るが。リガガラスが、「貴様には散々騙されてきたが今度は許さない」と、言い放つと。レイリアはリガルドとレイガラスの二人に向けて魔法を発動させるのだが、レイリアはレイガから受け継いだ力で、この国を自分の物にしようとしたのだった。

レイシア王妃がリガラス王妃を止めた隙にリガルドがラガル王妃の方に向かいレイガル王妃がそれを迎え撃っていたが。レイシアが二人の間に入りレイシア王妃がリガルド王妃と戦うことになったが、リディア王妃との戦いの時に得たレイティア王妃から手に入れた能力をレイリア王妃は既に使っており。レイシアは劣勢になってしまう。しかしリリアは、レイナの元に駆けつけると、レイナの体を乗っ取ろうとしていたレイリア王妃の事を殴り飛ばす。すると、レイリア王妃の意識がなくなったので、リガラ王妃とラガル王妃とラガレスと、レイシア王妃はレイナの元に行きレイシア王妃とリシア王妃が入れ替わってしまうとすぐにその場から離れようとしたが。レイナの身体からレイリアが出て来るのを確認し、そしてレイシア王妃に、ラガラス王妃が攻撃を放つが、リシア王妃はラガレス王妃の動きを止めてからラガレスがレイガ王妃から奪った力を吸収させていき、リガラス王妃がラガレス王妃から力を吸い取った。

リガレスはレイガラス王妃に向かって攻撃を行おうとしたが、ラガラ王妃が、ラガラから奪った力を使い攻撃を繰り出すが。レイナは、自分の身体の中にいたラニアの気配を感じ取ると。「あなたは誰なの」と、ラビアに聞くと。ラビアが答えようとする前に、リリアが「ラニア王妃の身体の中に入った。この人を助けたい」と言うと。リナは、「私なら、まだ間に合う」と、ラリア王妃が着ているローブに手を当てると。「レイシア。ラシアさんに回復魔法をかけてください」と、言うが。レイシア王妃はすぐに動けずにいると。「あなたも早く。時間が残されていないんです。このままだとレイリア王妃はレイナの身体を完全に乗っ取ってしまいます。それを阻止するためにはラリア王妃の魂を、肉体に戻し。その身体にラシア王妃が入れば、何とかなるかもしれないのです。だからお願いです」と、必死に訴えかけるが、それでも動こうとはしない。そこでリリア王妃がラガラから貰った力を使い、レイガ王妃の身体を自分の中に取り込んだのである。

レイシア王妃がようやく動き出すとラリア王妃の肉体の修復と、精神の治療を行いラリア王妃の精神の入れ替えが完了する。その光景を見たラガガラス王妃は、「何なんだその力は。あり得ない。こんな事があり得るのか?」と言うと。ラガラス王妃はレイア王妃の姿を見て恐怖の感情を抱く。そしてレイア王妃は「私達は魔王の力が宿った剣を手に入れたことでここまでの力を手に入れたのよ」と言うと。ラガラ王妃は自分の肉体の異変に気付き。自分の体に何かが起きていることに気づく。

リリアは「大丈夫ですよ。ラリア王妃は死にかけていましたが、ラガ王妃があなたを助けたいと言う思いが強く。あなたを助けるためにレイリアがあなたの肉体を使ってくれたおかげで助かりました。あなたは自分の子供や家族を守るために頑張ってきたんですね」と、優しく語りかけたのである。リシアはレイシアに、「レイナにレイリア王妃の肉体を渡すわけにいかないので。あなたはレイラの所まで逃げてください」と言うと。レイシアは、「分かった」と言い、すぐにその場を離れ、リシアは「ラガラ。ラガル、二人も早くここから立ち去りなさい。ここは私の能力を使ってなんとかします。それとレイガ。あの人の相手を任せるわね」と言ってレイラを一人で行かせたのであった。

レイナ達がその状況を確認すると、リリア王妃は、「後は頼みます」と言うとすぐにラガラ王妃を拘束し。その行動を阻止する為にリガガラス王妃が攻撃を放ったが。リガが、ラガレス王妃の身体を乗っ取って攻撃を防ぎきると、「レイガ王妃の邪魔をするな」と、攻撃を行ったのである。そしてすぐにその場から離れた。

それから数分後に、レイガ王妃とラガレア王妃は戦っていた。するとラガレア王妃が、その手に握っていた魔王の武器を奪い返すことに成功したが。ラガレア王妃は自分の手の中にある魔王の剣を見て、「この魔王の力が私達を苦しめているのよね」と言うと。「えぇ。そうよ」と、ラガレア王妃が答えたのである。

それからレイナとリガラ王妃はラガラ王妃を連れて行こうとするが、それを阻むかのようにリガル王妃が立ちはだかったので、二人は急いでリガラス王妃から離れてリガラス王妃がリガル王妃から逃げるのを見届けると、二人はラガラス王妃に近づき、すぐに剣を抜くのであった。その頃、レイリアは、自分の力ではラガレアとラガルには勝てないと悟り、レイリアは、ラガラ王妃がレイシア王妃とレイア王妃の二人に殺されそうになった時の記憶を思い出し。ラガラスとラガレスの二人の魔力を奪うことに専念する。その力を利用して、ラガラス王妃とラガル王妃を倒そうとする。

リガル王妃の攻撃は確かに強力であったが、ラガラ王妃の防御の能力は想像以上だったため、その攻撃を殆ど防ぎ切ると。その反撃でリガル王妃に攻撃を行う。だがリガラスはレイシア王妃の攻撃を全て避けるとすぐにラガル王妃に向かって攻撃を行ったが、ラガル王妃がラガル王妃が持っていた魔道具に自分の力を込めてラガル王妃に向けて放ったのだが。ラガレス王妃がそれを止める。しかし、ラガレス王妃が、リガラス王妃の攻撃を受け止めてしまい。それをレイガ王妃が見逃さずに攻撃を仕掛ける。レイシア王妃がそれを見てすぐにレイガ王妃とラガル王妃の間に割って入り。ラガレス王妃に攻撃を放ち。リシア王妃の剣に力を込めるが、レイガ王妃が、ラガレス王妃にレイアの持っている剣の剣の先を突き刺すと。ラガル王妃の腹部を剣先で突き刺し、レイシアがレイガ王妃に攻撃を与えようとすると。レイガ王妃の背後からリシア王妃が攻撃を行ってきて。そのリシア王妃の攻撃をラガル王妃が自分の盾で守り切ったのだった。その後、ラガラス王妃が、自分の持つ魔王の槍をリガラス王妃に向け、槍の穂先に付いている球体にラガル王妃の力が溜まっていくとその球から光の柱が出現するが、ラガレア王妃がそれを受け止めるのだが。その攻撃が思った以上に強力なもので。それを防ぐことが出来ずにまともに食らってしまい、そのまま気絶してしまったのである。

ラガル王妃はリガル王妃から奪った力を使いラガルの能力を自分に取り込み、その力を自分の身体に還元させていく。ラガレス王妃はレイシア王妃にレイシア王妃が持っている聖王の剣でリシア王妃に斬りかかり。レイナがそれを見てリリア王妃の方を見るが、リリア王妃はラニア王妃の治療を行っていて、こちらには来れない。それならレイナはラガルの方に向き、リシア王妃の方を見るとリシア王妃はラガレス王妃から奪い取った力でリシア王妃を圧倒する。しかしリディア王妃はラヴィアの事を気になりそちらの方に向かい、ラリア王妃はレイア王妃の持っている神器を手に持ちながら、「あなただけは絶対に殺さないからね」と、ラリア王妃は言い放ち。ラリアスから奪えた能力で自分の身体を強化すると。リリア王妃はリリアを救い出しに行こうとすると。その瞬間、ラガラ王妃に異変が起きると、「あなたは何をしているの?そんな事をして何になるのですか?」と、言うと。レイシアは、「あなたが、ラガレス王妃とラガレスの力を取り込んでいる事は分かっていました。ですから、その力を吸収しているあなたを倒す事さえ出来れば、あなたは消えるはずだと私は思っていたんですよ」と言うと。ラガラはラガラが今行っている事の意味を理解したが。もう手遅れだったのである。

それからレイナとラガラ王妃の戦闘が始まると。ラガレア王妃の身体に異変が起き始めたので、ラニアは「大丈夫なの?」と聞くと。レイア王妃が、「分からないけど。ラガレア王妃もかなり消耗しているみたいだし、早く決着を付けないと大変なことになるわね」と言い。レイナ達は戦い続けるが、お互いにダメージを負い始めると戦いは終わるどころかどんどん酷くなっていった。レイナは、自分が所持していたスキルの身体強化を使い戦闘を続けるが。身体強化を使っても身体はボロボロで血を吐き始め、レイナ自身もその姿を見て絶望するが。その時にレイガ王妃の意識はラガラの肉体に乗り移っていた。それを見たリアリディア王妃が、「私が行きます」と言うと、レイア王妃は、「あなた一人に任せられない」と言い。リアリディア王妃に付いていくことにした。

それから数分間はお互い互角の状態だったが、その均衡が崩れたのも突然であった。リアリディア王妃は、その身に宿す膨大な量の闇属性の力を解放し。レイガ王妃は闇に飲み込まれてしまう。その状況を見たレイシア王妃が「リア、すぐにラガルから離れなさい」と注意を促し。ラガラ王妃から離れるように言うが、ラガレア王妃はその声を聞かずに、自分の中に宿っているレイガラの力を制御しきれなくなり。自分の精神が肉体が追いつかず。肉体と精神の崩壊が始まった。その様子を見たレイシア王妃がリアリス王妃の所に行き、「リアはここで待機していてください」と言うと、ラガス王妃に近づいて行ったのである。そしてリリア王妃がラガレア王妃の元に近づこうとしたその時。リガラス王妃はラガラ王妃の所に行こうとしたが。それをラガル王妃に阻まれる。

その頃レイガ王妃は自分の中にいるレイガラの力でレイナの事を追い詰めるが、ラナは何とか抵抗していたが、それでもレイガラの力の方が強く。ラガレス王妃のように自我が崩壊しそうになると。リアリディア王妃とレイシア王妃が駆けつける。

ラガラ王妃が作り出した闇は、リアリディア王妃の圧倒的な力で一瞬にして消滅させられ。レイシア王妃の身体に宿る莫大な力が放出され、ラガレア王妃に直撃すると。すぐにラガル王妃の暴走も収まったのであった。それを確認したラギア王妃は、すぐに自分の妻であるレイリアとリリス王妃の元に向かった。

レイシア王妃の攻撃がラガレア王妃に当たると、ラガレア王妃が乗っていたリガル王妃が消え去り。そこに残ったのはリガル王妃が操るはずだったリリスであった。だがその状況にすぐにラリア王妃は気が付いた。

ラリア王妃が「レイティア、レイスはどこに行ったのかしら?」と、ラティアに質問すると。「おそらく、リガラス王妃が連れて逃げたと思いますよ」と言う。それからラガル王妃は、「リガレア王妃様の居場所を教えろ」とラニアとレイア王妃に命令し。その二人がその問いに応える前に、ラガレア王妃とラガレス王妃の攻撃によってラガル王妃の右腕が切断されてしまう。その事に怒りを覚えたレイガ王妃は自分の妻と妹達に襲いかかる。

レイガがラビアとリシアを殺そうとしたが。そこに、ラガラ王妃が割り込み。自分の体に取り込んでいた魔王の力の一部を解放させると、魔王の力がラガレア王妃を包み込み。レイシア達を守るような体勢になったのであった。ラガレス王妃はレイガに対して攻撃を行おうとした時、ラガレア王妃は、自分の力の一部を使って、自分の体にレイシア達を回復させるような術式を組み込み。レイシア王妃とレイア王妃はラガラ王妃の術式で回復したが、その代償として、魔王の力の半分をレイガラが受け取り、ラガレア王妃は力を全て失ったのだった。その光景を見て、レイナはラガラ王妃とレイガに攻撃を仕掛けようとしたら。その隙を見逃さずにレイガラ王妃が、魔王の力を使いラガルとラガル王妃とラガルの肉体と魂と一体化し、レイナはラガルとレイガの攻撃を同時に受けてしまい、そのままレイナは地面に倒れるのだった。

ラガレス王妃はレイシア王妃とレイガ王妃の相手をするのと同時に。ラガレス王妃は自分の体に埋め込まれていた闇の力を強引に引き剥がして、自分の体の中に戻した。それからレイシア王妃の目の前まで接近し。攻撃をしようとしたが、その攻撃の前にレイガが立ち塞がり。そのレイガは、ラガル王妃とリシア王妃の肉体を無理矢理繋ぎ合わせた。その結果ラガラ王妃に攻撃を行う事が出来なくなり、レイシア王妃の攻撃を防御する事しかできなかった。

それからラガレス王妃の反撃が開始され。レイアの持っている剣の攻撃をラガル王妃が弾き。その後、ラガル王妃は自分から距離を取ったレイアに狙いを定め攻撃を行い、ラガレス王妃の剣はレイア王妃の腹を貫き。その一撃で、レイアの持っていた剣は折れてしまった。その事が分かり、ラガレス王妃はすぐに、レイガ王妃とリシア王妃を自分の身体に取り込み。ラガレス王妃は自分の体内に自分の意識を残して、自分の人格を残したまま自分の中の二人の人物を操る事が出来るようになったのだった。レイガルがラガスに向かって攻撃を放つと。それを受けたラガスはその攻撃を受けて。その場から少し後ろに飛ばされたが、ダメージはそれほど無く、ラガスはラガレス王妃とラガルにレイスを連れてこの城から出るように指示を出した。それに対して、ラガレス王妃とリシア王妃はレイシア王妃と戦う事を選択した。

ラガル王妃達がレイシア王妃に仕掛けると。そのタイミングを見計らってラガリアスはラガレオのところに転移して「レイシア姉上」と言い「久しいですね」と声をかけた。それを聞いたレイレナスは「ラガリアス、おひさね」と言うと、ラガルがいきなりレイガを斬りつけようとしてきたが。ラガレウスはそれを防ごうとした時に、レイガがラガレア王妃の方を向いていたので。レイガルを斬りつける事はできず、レイガはラガレア王妃に向けて攻撃を仕掛けるが。それを行った瞬間。レイナがレイガの前に出て「私の大事な人達を傷つけるのはやめて!!」と叫んだが。ラガレア王妃の攻撃を防げなかったレイナはそのままラガラ王妃と一緒にレイガが出した闇の中に飲み込まれていったのであった。その事で、ラガリアスとレイア王妃もレイガの攻撃をまともに食らい、レイア王妃は意識を失い、ラガリアスが意識を失うのと同時にレイシア王妃とラガル王妃もレイナを助けるために、意識を失った二人をその場に放置し、ラガルとラガラ王妃は意識がないままラガスの元に行き。レイシア王妃とラリア王妃は意識を失ってしまったが。その事をすぐにレイナがレイガを殴ることで目を覚まし。そこから激しい攻防が始まった。

「あなたがこんな事をしているとは思ってもいなかったわ」

「それは私も一緒ですよ」

二人はそんな会話をしながらレイシアがラガルの剣を受け流し、レイナの槍による刺突を防いだりしながら戦っていた。その戦況の中で、ラガレア王妃はラガレスに話しかけて、「ラガルは私がどうにかする」と言うと、ラガス王妃が、「分かった。こっちはラガレオに相手してもらっている」と言うと、ラガレア王妃は、「ラガラ王妃の方はお願いします」と言うと、ラガレア王妃は、意識を取り戻して立ち上がったレイア王妃と共にレイナの方に向かおうとしたが、その事を阻止しようとしたラガラ王妃に邪魔され、ラガレス王妃はラガラ王妃の方に向かい。レイシア王妃はラガレア王妃の方に加勢をした。そして、レイガルとラガル王妃の肉体は融合した状態で。ラガルとラガレア王妃の戦いが始まり、レイレリア王妃とラリア王妃がラガラ王妃に攻撃を開始した。その戦いはお互いに互角であり。その戦いの最中、ラガルはラガレア王妃の体内にある魔王の力の一部を吸収したのであった。そしてそれからしばらくして、レイリアがラガラの所に向かったのだが、ラガレア王妃の攻撃を、自分の体を分離させることで回避し。分離したレイレアの肉体はその場で消滅してしまうが。レイレアがラガラに抱きつくと。

ラガレア王妃と、ラガラ王妃の力が反発を始めて。レイリアとラガラの体は元に戻り。お互いの距離が離れた。その時レイリアは、レイレアにラガルを任せたのであった。そしてラガレア王妃とラガレア王妃はお互い自分の体を自分の力で抑え込むが、そこで、ラガレス王妃が、自分の中に埋め込まれている、闇の力を全て開放し、ラガラ王妃の体の中に入っていた魔王の力のほとんどを奪い取ったのである。それにより、その反動がラガラにも起こり。

ラガルは自我を取り戻すとすぐにラリアを自分の身体に取り込んでしまうと、その隙を逃さずにラガレア王妃が攻撃を加えると。それに対抗できる力がないと判断したのか。ラガラはラリア王妃を取り込んでいた闇を解き放ち。

「リリアス王妃様」

「リディアス王妃」

二人がそう言った瞬間に、二人はリリスの身体と一体化してしまい。ラリア王妃とラリア王妃の姿は、リリアの物になっていた。

ラリア王妃とラリア王妃がリディアスの体に入るとすぐにリリアは、リディアに、ラガラ王妃のところに向かうように言うと。すぐにリディアはラリア王妃のいる場所に駆けつけ、ラディアス王妃に攻撃を仕掛けるリディアだが、リリア王妃に、ラリア王妃が持っている、剣がリディアの首に当たる前に。ラリア王妃は動きを止める。リディアの首を落とそうとした時だった。リデアが「母さん!! その女を殺したら許さないから」と叫ぶと、その事に気が付いたリリアス王妃とリリアス王妃と融合してしまっている、リリアス王妃が。自分の体に剣が突き刺さる事はわかっていたが。それでもその痛みに耐える覚悟でリアナに攻撃を仕掛けようとするが。それを見ていた、レイティア王妃は、リディアの前に出て、自分が持っていた、剣の刃を自分から首に差し込み。その行動をすると、リリアス王妃が手に持っている剣は。その剣によって、剣を持っているリティアの腕が吹き飛び、それと同時にリヴィアが放った魔法により。リリア王妃の右腕は肩から先を消失させてしまう。

それからすぐに、リレアが「もう止めてください!!」と泣きながらリリアス王妃に向かって叫ぶが、リディアは、自分の体がどうなってもいいという表情をしながらも、リリアス王妃の攻撃を避けたり、自分の持っている盾で攻撃を弾いたりしていた。その事を知ったレイスは、レイアに向かって攻撃を行い、リネアはラギアに攻撃を仕掛けると。

その隙に、リアスはリディアに回復を行うが。リディアスがすぐにその隙を見つけて攻撃を仕掛けるが、そこにいたのはリリィとミレイアだった。リアリが「この人を助けにきた」と言うとその横にいた、ミレイアとリアリにリディアの回復と治療を行わせる。その行動にレイスは驚くのと同時にリリアに攻撃を行ったのだか。その攻撃を受けながらもリディアはレイガの顔面を思いっきり殴りつけて、気絶させたのである。それを見た、リアスとリアリは、「お見事です」と呟くのである。そしてレイナも意識を取り戻したが、ラガレア王妃とラガレス王妃が、リシアとレイア王妃と戦っていたが。二人の攻撃を防ぐことしか出来ずに、二人に攻撃を与えようとしてもその度にレイシアとラニア王妃が攻撃を防いでいたのだった。

そしてレイレス王妃が意識を取り戻してからすぐにレイシアに向かって攻撃を行うが。レイナは、レイレス王妃の攻撃を自分の持つ、レイシアから渡された槍で攻撃を行うと、その槍と、レイレス王妃の持つレイピアが衝突して。二人の武器が粉々になってしまう。

その後レイナはすぐにリシアのところに行くと、リシアにリガルの所にいくように命令を出し、自分はリシアの護衛と護衛を頼んでいたラケルとラケルにラケルを憑依させていた。ラガスに頼まれて。ラガルとラガル王妃をラガリアスのところに転移して、それから二人はラガリアスと戦闘を始めるのであった。

リシアとレイラの二人がラガルと戦っている頃。レイレス王妃とラガレス王妃はラガルド国王と戦いを繰り広げていたが、お互いに一歩も譲らずに戦っていたのである。そんな戦況の中、ラガルはラガルドの攻撃を防御する事に集中していた為。レイナとラリアがレイレ王妃に対して攻撃を仕掛けるが、ラガラ王妃はレイナにラリアが攻撃を繰り出すとすぐに反撃に転じ、それだけではなく、ラガルが使っている刀を使ってレイナの攻撃を弾き返すなどしていて、ラガラ王妃に攻撃を加えられなかった。そして、そんな時に、レイレス王妃はラガレス王妃を拘束することに成功するが。ラガラ王妃は自分の中に存在している、ラガルとレイガラを分離させて。レイシア王妃達とラガラ王妃の戦いは終わったのである。その事でリガリアは、リディア達の方に向かうのだが、リレアはリディアスに攻撃を仕掛けるのと同時に、ラガスの援護に向かった。

ラガラ王妃はレイレス王妃を睨みつけると、レイレス王妃が「あなたの相手は私がする」と言って。リガル王妃とラガル王妃との戦いは始まった。レイシア王妃とラビア王妃はレイガルと、ラギアの二人が融合した存在と戦うが、その実力はほぼ互角であった。

その頃レイナが、リシアと、レイラに、リシアは、レイガルと、ラガル王妃の相手をするように指示を出すと。

ラガラ王妃の相手をするのはラレアと、ラレスであり。ラガル王妃の相手はラガルが行い。レイレス王妃はレイレスとラガレスが戦い始め。リシアはラガレス王妃の相手はせずに、リガル王妃の相手と、レイガル王妃をレイガルに任せたのであった。

その光景を見てラガレア王妃がレイガに向かって剣を振るうと。その剣を受けたレイガルだったが。そのまま吹き飛ばされてしまい壁に激突したのであった。その様子を見たレイガルは、その隙を突いて、自分の体に雷の鎧を発動させるが、その状態でのレイガの行動に違和感を覚えて、すぐにその場から離れようとしたが間に合わずにレイガルはラガル王妃の剣で切り裂かれるとその場に倒れこみ、すぐにレイレリア王妃の肉体と、融合してしまうのであった。

それからすぐに、レイガラとラガルド王妃はお互いの体をぶつけあい、激しい攻撃を繰り広げるのである。その戦いの最中、お互いに攻撃を防ぎ合い、そしてお互いに相手の肉体を貫こうとする。その攻防が続くが、お互いの肉体には、傷はつかないが。レイガルとレイガル王妃が同時に、お互いに、自分の腹に向かって剣を突き刺すと。レイガラはその場で気を失い、ラガル王妃がラガラの身体に乗り移ってからラガルを倒そうとすると。すぐにリディアがリレアの魔法によって、ラガル王妃に攻撃を加えて。ラガラ王妃の意識を一時的に奪う。

「今よ!!」リレアの言葉にリデアが、リガラ王妃に向けて魔法の発動をしようとしたところで、ラガラ王妃の意識は回復する。だがすでに手遅れな状況になっており、自分の身体の中で暴れまわる力を抑え込めずにいたのだ。その様子にリデアは慌ててリディアスの所に行ってリディアに回復を行わせようとしたときに、突然、ラガロ王妃とレイガラ王妃が、お互いの事を抱きしめ合って涙を流しながら、「ありがとう」と呟くのである。

そしてその言葉が終わるとすぐに二人は光の粒子となり消滅していくのだった。その後、レイガが目を開けると。目の前に自分の体を自分の手で刺し殺しているレイレアの姿とリシアとリレアとリディアとミレアがいて。「どうして殺したんだ!!」という怒りの感情がレイガルの中に流れ込んできて、その事に驚きを感じて、「お前は誰だ!!」と声をあげると。

リディア達は「大丈夫だから落ち着いてください」というと、そこで、レイレス王妃の体が動き出して、ゆっくりと起き上がると。レイガに向かって、自分の意思を伝える。

「私はもう限界に近いからすぐに私を殺して欲しいのだけどいいかしら?」そう言って自分の体の中にある闇の力を使い切ってしまった事を教える。レイガラ王妃はレイレアの体内に存在する、闇の力を全て使い切ったことで、命を繋いだ状態であったが。レイガがその力を吸収してしまった事により、自分の体内に宿っている。闇に飲み込まれそうになった時。レイガラ王妃は「私の最後の願いを聞いてくれるかしら?」と言い。リデアはレイレアに向かって。

その願いを聞く必要はないと言いかけたのだが。それを止めたのがリリアと、ラガレス王妃だったのである。リリアと、リガレス王妃も自分の体内に宿している。レイガラの闇を取り込むことが、出来ることを話すと。リヴィアがリディアに。ラガリリスにリシアの力を譲渡するように言い、それを聞いたラガルは「お願いする」と一言だけ言うのだった。そしてレイレアが自分の腕を切り落とし、その血が流れるのを見ながら。レイガルに向かって、「その力を受け取って欲しい」と自分の心臓に指を指すと、レイレはレイガがその血液を飲み込んだのを確認すると、「これで、この国の人たちの命は救われるはずですから。もうすぐ私の意識はなくなりますが」と言うと、リリアがすぐにリディアが持っていたリディアから渡された回復薬を飲むようにリディアに伝え、リリアと、リガレスとラリアが協力して、リディアの肉体の修復を行うのだった。

その様子を見届けたレイガラがレイガの中から消えると、それと同時にレイレアの意識がなくなったのだった。レイレアの身体が崩れ落ちそうになると。リリアは急いでレイレスを抱き抱えてから。自分の唇をレイレアの唇に押し当ててからレイレアに口づけをしてレイレアに生命力を流し込む。それからリレアが口を離して。リリアとレイレスが離れるとレイレアはすぐに目覚め、レイリアとレイレシア王妃とレイレレアが抱き合っている姿を見ると安心して涙を流すのであった。

その後、リレアがすぐにレイガルの所に行こうとしたが。レイリアスがすぐにリレアの事を止めて、「まずは、この城の者達の治療をしてくれないかしら」と頼み込み。リリアはそれに同意すると、すぐに行動に移り始めた。そして、レイレスとレイレシア王妃もレイリアスに促されて、城にいる人達の治療を始めるために移動を始め、リレアもそれについて行ったのだった。レイシアと、リネアの二人はリガリアの方に向かうが、そこには誰もいなかった。レイシアはすぐにラギア達がいる場所に行かせるために転移を行い、レイシアはリディア達と共に行動するのであった。

リシアとリガリアは城内を移動しながらラガルドのいる部屋にたどり着こうとしていたが、その時リガリアが足に力が入らなかったのか転んでしまうと、ラガリアスは「リガリア様。どうされたのですか?もしよろしければ、私でお力になれることが御座いましたら。何でもお申し付け下さい」と話しかけるが、それに対して、リガリアは「ありがとう。ただ気にしないでくれ」と言って、再び歩き出すと、すぐに目的地に到着する。リシアとリディアの二人はその扉の先にある部屋に入るが、そこにあった光景は悲惨な光景が広がっていた。部屋の壁は黒く焦げており、そこにいた、人間と思われる肉塊の物体が数個あったのだ。その事に、レイリアと、レイレレア王妃が悲痛な表情を見せるが、ラガレス王妃は、そんな二人に対して優しく微笑みかけて。二人の肩に手をそえる。その後、ラガルの所にたどり着くのだが、ラガレス王妃がラガルに事情を説明をしている最中に、その部屋にリガルが現れると、レイガはラガレスに自分の力でラガル王妃を殺すと告げる。それを聞いたラガレスは、ラガリアと融合して暴走を始めた。その姿を見たリガルはラガルをラガルドと呼び。戦いを始めるのだが。結果は、圧倒的な強さを持つ、ラガルが、その身に秘めていた闇の力を発動させて、一瞬でラガルドを消し去り。ラガレスの身体に乗り移ったラガルはそのまま城を出ようとすると、その時に、レイレア王妃が姿を現す。

そのレイリアの姿を確認したラガルは自分の肉体の中に戻っていくと、すぐに自分の意識をレイガルの中に飛ばす。それからレイレシアにリディア達が生きている事を知らせてラガルド国王が、ラガレア王妃の人格を上書きした時に、自分は、レイレア様に殺されたことを話し始める。

そして自分がレイガの肉体を手に入れた時には、既に精神が崩壊していて。自分の中のレイガルに命令を出して、ラガラとレイガラが戦わせた。ラガラは、リゲルに剣を振るうと。その剣を受け止めるとそのままラガラの身体を吹き飛ばして、そのままラガラは倒れこむと、レイガラはラガに剣を突き刺すように命ずるが。それを聞いて、ラガルド王妃は、「やめてください!!」と泣き叫び、自分の体に取り憑いているラガルド王妃の精神を抑え込もうとするのだった。そしてレイガルドは、その様子を見ていたが。そのレイレア王妃の態度を見てラガルドがリディア達の所に向かおうとしている事に気が付き。すぐにリデア達に自分の体の中にある闇の力を渡して、自分の体の主導権を取り戻すが。自分の肉体を自分の意思とは関係なく、リデア達に渡すが、その途中で肉体は崩壊を始めるが。レイレアはレイガに自分の肉体をリデアに譲渡するように言い聞かせて肉体を崩壊させる。

「私が肉体を失ってもあなたは私と一緒に生きていて欲しいのです。それがあなたの望みではないはずですよね?」そう言ってレイレはレイガとリディアとリディアとリディアの四人にリデアに闇の力を渡した時と同じ方法で。自分の闇の力を全てレイレにリデアに渡し。その直後に自分の肉体が崩壊する。その様子を見たレイレアが慌てて自分の意識に話しかけてくる。

『レイレ!!』

その呼びかけに答えることなくレイレはレイガラに、「最後にお願いがあります。リディアの身体の中には私の妹のレイリアの力が眠っています。ですから、その力はどうか妹に返してほしい」と言い。その言葉をラガガラが聞くと、「わかりました」と答えて、レイガラが、レイレアから受け取った闇を自分の体内に取り込む。そして、レイガが、「さようなら、リレレア姉さん。今までありがとう」というと、ラガルは「さあ行こう」というが「まだ終わっていないよ。これからは二人で幸せになろう」と言ってレイレアが笑うと、その場に崩れ落ちてしまうのであった。

その後すぐにリディアがレイレアの体を蘇生させようとするが、レイレスは首を横に振って。もう間に合わない事を伝えると。ラガが何かを言いたそうにしてから。レイレスに向かって、自分の口から伝えようと決めたようで口を開くが。それをレイレスが止めて自分の唇に指を当てる。その動作を見ていたリディアとリネアの二人が驚いていると。

レイレスが「私は、自分の命を使ってレイガラを、私の夫を封印する事に成功しました。でも。その代償として私の命は、長くても数日しか持たないの」と言って。リリアは「その話をする前に一つだけ質問があるんだけど。今この場で。リデア達を連れてきた方がいい?」と言うと、レイレスが首を振り。それから、「この場で全てを伝えようと思います」と言って。それからレイレシアが、ラガル王妃に「貴方のお母様には悪いと思うけれど。貴方はもうすぐ死んでしまう。それにラガルは魔王になったとしても、貴方達家族と過ごす時間も大切にしてるはずだもの。だから、リディアはレイレシア様が連れてきて欲しいと言っているの」と言われてラガロが了承すると。レイレスの体に自分の魂を戻し始めてレイレスの体が崩れ落ちるのだった。

リディアは「どうしてそこまでするんですか!?レイレアは。いえ、お義母様はまだ助かる可能性は残されています!!お願いします。お願いだから助ける方法を探しにいきましょう」と涙目になりながらレイレシアに言うが、レイレスはそれを手で制すると。レイレスに変わってラガがレイレアの肉体に入ると、レイレスと同じように、意識を手放そうとするが、それをレイレスが自分の肉体に戻るように言いつけて。自分だけが、リディアに伝えるために、レイリアに変わってリリアに話しかけるのであった 俺は今、レイレリア王女から頼まれたことがあって城にある書庫まで向かっていたのだがその途中である事件が起きているようだ それは城に入ってきた人間が全員。いきなり暴れ始めたらしく、しかも人間だけではなく、魔族までもがその人間たちみたいになっているそうだ。その報告を受けた後にリリアと、レイリアス王妃が俺のことを迎えに来てくれた。その話を聞いたリリアは、レイレスと、リリアのお母さんに何か関係があるのではないか?と思ったのかリリアが急いでレイレスと、レイリア王妃がいる部屋に駆けつけるが。そこで待っていたのは、リレアが、リガル王妃の死体の前で泣き叫んでいたのであった。

そしてその後すぐにレイガがリレアのところに向かうとリレアが涙を流しながら、自分の母親が死んでしまったことを伝えたので、それを聞いてリシア達三人が悲しみに打ちひしがれていたが。レイレスだけは冷静に、その遺体を調べていたのだ。そしてしばらくしてリレアと、レイレスが二人だけで話を始めると、リレアのお母さんが、この城の何処かに眠っているかもしれないという話をしていたのだった。

その後リレアとレイレスの二人と別れた後、俺は、ラガリアと、リガリア王妃のところに急ぐと、そこにはすでにレイレスがいて、ラガル王妃の遺体に何かをしていた。そして、リガル王妃の遺体を運びだした後に、リガリア王妃に話しかけて、リガルが、自分の母親と同じような状況になってしまわないのか不安に思っていた事をレイレスに相談していたのだ。

そしてしばらくレイレスはリガリアと話をしている最中にリレシアが現れてからリシアに話しかけられるとリシアはすぐにレイレスの元にやってきて事情を話すと、リリアと、リディアが一緒に行動し始めた。

その後、俺がリガルとラガルとレイレシアの四人の所に向かおうとしたところでレイレリア王妃が現れる。レイレリア王妃の話だとリガルドはリザード族の長であり、この国と同盟を結んでいるリザード王国の王様でもあるため、その護衛で来ているということだったのだが、ラガルド王妃が、リガルド国王の身体の中に入り込んでいる闇の存在を倒すためには、ラガルド王妃に自分の中に潜んでいる闇の存在のことを知られないようにしなければいけなく。そのことについて、どうしたら良いかという相談を受けて。リザルドが、「その事で話があるので付いてきてほしい場所があります。リレレス王妃にもついてきて頂けると大変嬉しいのですが」と提案をして。リレスが承諾して、リレアはレイレア王妃に呼ばれてレイレア王妃の方に向かい。リリアがリディアと一緒にラガルド王妃の元に行くとリリアと、ラガリア王妃、レイレシア王妃の四人で話し合いが始まるのであった。

それからしばらくの間リディアがラガレアと、レイレアがラガル王妃を蘇生させようとするが失敗に終わり、そこにラガルが現れたのであった。ラガルを見た瞬間にリディア達は驚くが。それからすぐにレイレアと、ラガレア王妃に、自分達に何かあった場合の事を伝えるのでレイレとラガレア王妃が納得した所で、レイレアの意識が無くなるとリリアが必死に呼びかけ始める。

それからすぐにリデアがレイレア王妃とレイレの所にやってくると二人は息を引き取った。リディアも泣き始めてしまい。その場は騒然となっていたのだが。その時にラガル王妃とリゲル達がレイガの所に現れたので、ラガレアに自分の息子達を託した後。レイガは自分の体の中からリガラを呼び出してから自分の身体に取り込ませると。その事にリディア以外の者が驚きを隠せないような様子を見せていて、リデアの身体の中に宿っている闇の力を使ってリデアと、リディアを自分の方に引き寄せるのであった。

それからリデアがラガと、レイレア、レイレスのいる部屋に案内すると、レイレアの遺体をリデアの身体に戻していくが。その時にラガはリレアに自分が魔王になったことを伝えられるとリディアは驚いていてすぐにラガリとを元の部屋に戻す。リレアとリディアが二人でリレレス達の所に戻るとリディアはラガルに、レイレにラディアにラガレアとリディアはこれからどうすればいいのかを聞くが。その答えは、リディアが、ラガスに自分の気持ちを伝えるべきだと、リデアがラガレアに、自分の気持ちを伝えるように伝えるとリリアがすぐにラガラと、レイレア王妃と、レイレとリリアの母親を呼んでくるといい部屋を出て行くと、それからしばらくしてレイレアと、リレアが、ラガレスと、ラガリア王妃のいる部屋にやって来てからラガレスと、ラガルは、自分の肉体に戻り始めて、ラガはリデアに自分の身体の中に入るように指示を出すと。レイガが自分の体の主導権を取り戻してから。リガルはラガに自分がリディアと、ラガレアの子供を産むから安心してくれと言うと。リガレアはその言葉を聞いて少しの間呆然とした後。ラガレアに向かって「俺とリディアの子供が欲しいか?」と聞き、リディアがラガルの顔を見ているとその視線を遮るようにリデアが間に割り込んできて、「リガレアとリディアの子はラガレアとラガレアの娘として育てるから。そこは気にしなくて大丈夫だよ」と言ってくれて、その事についてリガレアは「リデアがそこまで言ってくれるなら任せるけど、本当に大丈夫なのか?」と聞くとリデアが笑顔を見せて「うん。だから私と、この子をよろしくね。ラガ」と言ってリデアはラガに抱かれながらレイレ達と別れを告げるとリディアは、「ラガルは、私が守るから」とラガに宣言して。それを聞いたラガルは「ああ、頼むな。リディア」と優しい声で答えるのであった。それから、レイレス王妃と、ラガラと、レイレス王妃は。魔王として生きることを決めてからラガルはラガルのまま、魔王になることを決意するとリディアがリデアにラディアが魔王になることを止めるように伝えるが。それに対してリディアの事をリリアと、リリアが止めようとしてくれるが、ラガルは。「私はもう決めたんだ」とだけ伝えてラディアはラガルがリデアと一緒にどこかに行ってしまうのではないかと不安になってラガレアと、リガラがリディア達にラディアを任せると言うとリディア達は、ラガルに着いて行くのであった。

俺は、俺の目の前にリレアとリディアが俺の前に立った瞬間。リレア達の後ろに黒いローブを着た人間がいたのだ。俺はすぐにリレア達の前に出るが。リレアは「ラガ!貴方にお願いがあるんだけど、あの男を止めてくれる?あのままで放っておいたらまずいんだと思う」と言われて。後ろを向くとすぐに俺はラガルの意識を奪うが、その間に黒い霧のようなものを纏った人間の攻撃をくらい。そのせいでリガルの姿になってしまったのである。その光景を見てリリアが「あれは魔族でも、魔物でもない。まるで神族に近い存在のような気しかしないわ。だから、今すぐこの場から撤退しましょう。そうしなければきっと全滅してしまうでしょう。だからリリア、すぐに転移で逃げますよ。リディアも私の方に乗ってきなさい」と、ラガルがラガルの姿をしたラガルじゃない人物によって、気絶させられるのを見た後。リレアはすぐさま俺に話しかけてきたのだった。だけど俺がラガリアが言ったことが正しかったのかもしれないと思うのは俺の体がすでに人ではなくなってしまっていることでもあったのだ。それでもレイアさんやリディア達を守れる力を手に入れられたのだと俺は思い込むようにしてラギアの元に向かう。そして、レイレスと、レイレス王妃は何かを話そうとしていたが俺はそれよりも先に自分の意思を伝えようとすると。その前に二人には話しておかなければならないことがあるという感じのことを伝えた後に、ラガルとリガラのことを話すのであった 。そして、俺は二人がいなくなった後もしばらくその場で立ち尽くしていてその後ろでは、リリアが俺に近づいてきてくれていたのであった。

そして、その後俺はレイレス王妃と、ラレア王妃、そしてレイレに、ラガリアと、リディア、リディアがリディアの姿に戻ったときに話してくれた内容を詳しく話した後に、これからのことについても話をすると。レイレス王妃は。リディアのことを、自分の子供として育てたいと強く思っているようでリディアは、レイレス王妃が、自分のお母さんだと思っているようだった。そして、リディアの事を、俺の子供の、ラレアの子供の妹にするという事で話がまとまったのだ。その後はリディアの両親も交えての話し合いが行われるとリディアの両親のリガルド王妃が、自分の娘のことを頼むと頭を下げてきてリガルドは。リレアに自分の息子達のことを託してくると。その後リディアは、リディアの母親が使っていた部屋を使う事になったので俺は部屋から退出することにしたのであった。

それから数日の間はリデアや、ラガリア王妃と過ごしている時にリディアから連絡が来てリデアと一緒にリディアに会いに行くとリディアは俺に対して。自分の本当の母親であるラレアとラガのことを自分の父親として見て欲しいとお願いをしてきたのである。俺はリディアの話を聞くことにした。リディアの両親は元々は人間だったがラガリアの力を使って自分の娘に転生させてリデアを作り出した。だがそれは、リリアにも言えることだと俺は考えていた。なぜならラディアがこの世界にやってきた時にリデアがこの世界の人間ではないということを見抜いていて、それで、ラディアはこの世界で、レイレス王妃に憑依していた闇の力を利用してリデアの魂を、自分の身体の中に取り込むことに成功しているのだ。

それに、ラレアと、ラガはレイレアとリレレシアから。自分達の血を引かないのに。自分達が持っていたスキルを使える存在が、生まれてきていることに驚きを感じていて。自分達の娘をどうするべきかを考えていたらしくて、そこでリデアをラディア達の元に向かわせると。そのおかげでラディアは、ラレアに自分の気持ちを伝えられることができて、二人は、お互いに自分の子供達の幸せを願うようになり。リディアは、自分と血の繋がりがなくてもラガの娘であることは間違いないと思えるようになるのだが、問題はラガの存在の方であり、そんな時にレイレアが魔王になったことを知ったラレア達は自分たちの血筋を引くリデアと、俺の息子のリガとで協力してレイガを倒したいと俺に伝えたのだった。

ただでさえ魔王を倒すだけでも大変だと言われている中でこれ以上の事はしたくはなかったけども、ラガリアがラレティアの肉体に憑依してからラガリは人間から魔族の方に向かっていくようになってしまっていて魔族側の方が勢いが増してきてしまったのだとリディアから聞かされると。その事を考えて、俺は、魔王にラガリと、リレアがなったことも伝えると、ラガリはレイレア達とは関係のない別の大陸にいたらしいのだ。

その情報にラガは興味を持ち始めて、自分が魔王になることを決めたと伝えて来ると。その話を聞いたレイレア王妃と、ラレア王妃は。ラガレアと、レイレリアを、自分たちの傍にずっといさせることを決めると。自分の子供をレイレアと、レイレリアの母親であるリディアに、預けることにして。それからはもうすでにレイレスがこの世に存在しないものとして考えるようになったと。それからレイレスはラガレスとラガリアの事を頼んだぞとリディアに伝えるとラレリアに自分の体を返すと、リレアはレイレアをラガとリディアに渡してその場から去るのであった。その事を確認した後、ラガはレイレに「自分の母親はラレアだけだ。レイレは、リディアの姉貴分なんだから、自分の事を大切にしろよ」と言って、レイレアはリデアの顔を見ると、リディアがリデアと顔を合わせないようにして自分の部屋へと戻っていくのだった。それを確認したレイガはラガラに「自分の身体はもう長くは保たない」と言ってリディアがラガとリデアの子供として育つことになると伝えると。それを知ったリデアもラガレアと一緒にラガとリディアを守ることを決意するのであった。

俺が目を覚ました時にはリレアの姿はすでになかったけど、その代わりにレイディアの気配を感じる事ができて。レイディアがいるところまで向かっていく。そこには、俺の知らない、もう一人の、いや違うな。一人ではなくて三人の人物がいて。レイディアはその中の誰かと話をしているようだった。そして俺は。リリアが話してくれていたラレア王妃に会えた事を確認することができたので安心することができたのであった。ラガリアは魔王になってからというもの、人間側にちょっかいを出してくるようになったのでレイガも俺と同じように。魔族に寝返り始めたのかと思っていたが、実際は違った。そもそも俺がレイディアの父親だと知って、そしてラガリアと、ラガリアの魂を取り込んだラガリアの体を持っている、人間に自分の体を操られていることを知ってしまったことで。人間と魔族の間に戦争が起きることを防ぐように動いたのだというのだ。俺はラガリアの言葉に違和感を覚えてしまいどういう意味かを尋ねると。どうやら俺に魔王の座を譲りたかったらしい。だけどラガリアが魔王に相応しくないという声が多く出てきて。結局ラガリアがラガレアに魔王の力を譲渡した後は、その座についていた人物に。レイレアが魔王として就任することが決まるのだった。俺はそれを聞いた瞬間に少し複雑な気分になってしまったのだった。

ラガレアとラガラとラガリアの三人は、リディアがこの国の姫になるためにレイディアの両親にお願いをした時に。二人から。もしも自分の子供が、人間側の人間として生まれて来た時は必ずこの国に住まわせるようにして欲しいと。そうしなければ自分の子供達に申し訳ないと思い。自分の子供として育てたいとレイリアは答えてくれたのだそうだ。

その後ラレアとラガリアとリディアは、三人の子供を作るために性行為を行ったという。ただその際に俺の体が反応しなかったことを気にしてしまったレイディアは俺が男としての機能を失わせているのではないかと考えてしまうが俺はそれをすぐに否定すると。俺の事を信頼してくれたみたいでそれからは自分のお腹の中で赤ちゃんを身籠ることに成功するのであった。それからしばらく経った頃。俺達はある場所に行くことになってその目的地に向かう前に俺がラレア王妃にリレア達を任せたいと言うと。

俺が、自分の体に限界を感じたため、自分の息子に俺の後を、俺の代わりに、ラレア王妃と、ラガリアを守ってほしいと伝えたという。俺がラガリア王妃の所に行こうとした時にリディアと、リディアが妊娠していることが分かっていてその子には、ラガルと同じ名前をつけてほしいと言われたので俺は、リレアの名前の一部を使い。レイナという名前をつけるのである。

それからはラガレア王妃がリレアをリディアの部屋に向かわせるとリディアが俺に対して何か話があるようだったので聞いてみることにした。すると俺の体は、人ではなくなっているということを教えられて俺の心臓が止まったらそのまま死んでしまい。また復活するためには俺の身体の中に存在している闇属性の魔素が必要らしく、俺はこの世界に、レイガとして転生する前に、レイアさん達にお願いされていたことがあるのだと。

「まず最初に確認したいんですが。貴方の体のことについてですが。私はあなた様の事を、この世界の人間としてではなく。別世界の、私達の世界とは別の、人間を召喚することができる魔法を使うことができますが。あなたを、その魔法で召喚したときにあなたの心の中にある魂に、その魔法の力が流れ込み。あなたの身体の中に闇の力が宿って、そしてあなたに、闇の魔力が扱えるようになり。闇の精霊と契約を結べるようになったのだと思います」

その話にラガリア王妃が補足で説明してくれると。元々リディアのお母さんの身体の中にあった闇の力の一部が、闇の大迷宮のダンジョンに封印されたままで、その力が漏れだした状態で俺の肉体と一体化してしまい、それが影響しているのかもしれないと言っていたのだ。

その後リディアの話を聞いた俺は、自分が死んだあとにラレア王妃が、ラガレアがこの国を支配することが決まったのでラガリアが、ラレシアを自分の手駒として、ラガレアに、俺が死ねばラレアが俺を蘇生させてくれと言ってきたからラガレアがこの世界で、リデアがラレシアに憑依してこの世界に君臨したという話を聞くことになった。

ただ、その時はもうすでに俺の心の中には、ラディアと、ラガレアの魂が存在していたのだと、だからラガレアは俺が死んだときに。リデアを自分の手駒にしたかったのだと。リディアの話を聞いたラレアがそのことをラガレアに教えるとラガレアはリディアに謝ってきた。だがリディアはリレアが自分のために行動してくれていることが嬉しかったから、自分は大丈夫だといってラガレアを許していた。それから、レイレレアにラレシアがリディアの本当の母親だということを伝えてもらうとレイレアが驚いているのを見てリレアはラガレアが魔王になった理由を聞いて。その理由で自分がレイデアを魔王にしてラガレアとリレアと一緒に幸せになることができるようになったことをラガレアに伝えたのだが。その話をレイレレアから聞かされたラガレアは少しだけ落ち込んでいた。ラガレアから聞かされたことなのだが。どうやら俺とレイリアが結婚する前の時点で、すでにラレリアは、俺の身体の中からラディア達の事を見守っていてくれると、約束してくれたみたいなのだ。

俺が魔王になる条件というのは、レイレアとラレアが魔王の証として俺に渡してきた腕輪を手に取り、それを装着した状態で魔王になると言った瞬間に俺は魔王になったというわけらしい。その話を詳しく聞き終わったところで俺は魔王としてのスキルを発動してこの国の人たちのステータスを確認する。俺はこの世界にいる人達の事が気になっていたので全員に、自分が使えるようになる範囲での全ての回復呪文をかけると、俺はラレアに魔王の城までの案内してもらうことにした。

魔王になってから数日が経過して俺達は魔王が支配をしている、魔王城の目の前に来ていた。魔王城に到着するまでの間、魔王軍と戦っていた魔物達がいたのだがその全てに、レイレスがこの世に存在したという記録がなくなっていた。俺はそれを気にしつつも、魔王城に足を踏み入れる。中に入ったと同時に、レイレスとリディアの母親が出迎えてくる。俺は二人を見たときとても綺麗な容姿に少しだけドキッとしてしまうがそんなことを表に出さずに。ラレア王妃と、ラレアと一緒にレイレアのお母さんとリディアの様子を見に行くとそこには、ラガリアの姿があってその姿を見て俺はすぐに、魔王の力を手に入れた。俺に戦いを挑んできたが俺に簡単に倒されて気絶させられてしまうのであった 俺はリガレア王妃を連れてラレアと別れる際に、自分の息子の面倒を見てほしいということを伝えると、快く引き受けてもらえたので。この世界に存在する全ての、俺の大切な人を守るべく行動することを決意するのであった。そして俺は、ラガレアから受け取った指輪と剣を身に着けて、レイレアの母親の元に向かったのである。そしてレイレアの母親に、レイレアの父親とラガレアが魔王として、リディアに自分の子供を託すとレイレスに伝えてもらった時のレイレアの様子に俺は、ラレアとラガリアのことを、ラガラに頼んだのと同じように頼むのであった。

俺の、体から、魔素が抜けたような感覚を感じた直後、意識を失ってしまったのである。俺は目を覚ますと俺はなぜか、自分のベッドの上で眠っていたのである。どうしてここにいるのか分からなかったがとりあえず起き上がって周りを見渡すとそこにはリディアが寝ている姿が目に映り俺は驚いたのだった。ただ俺はリディアに近づいていく。すると気配を感じたリディアが起き上がろうとしたので。俺はリディアの額に手を当てて俺の事が見えるようにしてから話しかけた。

『リリアさん』

『あ~やっぱりばれちゃったわね、それに、私もあなたと同じで記憶が残っているみたい。それよりもラガレアは無事なのかしら?』

俺と同じ状態だと知った俺は、少しの間無言になりつつも、これから俺はどうするべきかを考える。そしてこの場から離れるべきだと判断した。なぜなら俺は、ラガレアから受け継いだ魔道具の力で、リディア達と、レイレリアの記憶が消えてなくなることがないように細工をしてあるのだ。

『俺は、ラガレアさんを助けに行きたいから。ここから離れてラガレアさんの所に向かいたいけど。リディアはついてきてくれるかい?』

俺の言葉に、リディアは少し考えた後に、ラガラと、レイレリアが、無事に出産できたかどうかを確かめてからなら付いて行ってもいいと言ってくれたので。俺とリディアは一度、ラガレヤ夫婦がいるところに向かうことにして、それからラガレアの所に行こうと思っていたら。リディアのお腹が大きくなっていたので。俺は急いでリディアをお姫様抱っこすると。俺はリディアが、ラガルを妊娠した時に使ったという魔法で移動をすることを提案してきた。

俺達は魔法を使い、ラガレヤ達がいた場所に移動する。そこでラガルが産まれたことを確認すると、俺はラガレアがどこに居るのかわかっているのですぐにそこに向かうとラガリア王妃に、俺達二人を襲わせようとしていた男が現れたのであった。

ラガリア王妃の夫、リガリアと。ラガリア王妃の息子である、ラガリアを俺が殺そうとしていると、ラガリアが勘違いしてしまったため。俺は、誤解を解くために、ラガレアに俺の能力の一部を見せて。リガリアにもその力を見せると。二人は信じてくれたみたいで、俺に対して攻撃をしてこなくなった。俺とリディアは、ラガルが産まれたときから、お世話をしていた女性にリディアを預けることにしたのだ。そして俺はラガレアにリガリアのことを任せることにしたのである。それから俺はこの部屋を出て、魔王であるレイレアの母親にラガレアに、自分の子供である、リガルドの事をお願いをして、レイレアに、ラガリアにリガリアが俺の子供を産んだことを、俺が父親だという事を告げない様に言ってもらうとレイレアは俺の願いを聞き入れてくれ。

俺がこの世界に来てからの事を話し始めると。俺とリデア以外の人たちはみんな驚いていた。まずこの世界ではラガリアが生きていたのに、ラガレアが死んだことになっていたことを説明したら。この世界の人たち全員が、その言葉に驚愕していたが。

ラレアとラガレアの母親が俺の言葉を、信じてくれたのはラレアが魔王として君臨したからで、ラガレアは俺の言うことを信じてくれた。その後ラレリアとリデアが俺の話を聞いて驚いていた。ラレア王妃は、この世界の人たちに。この世界の歴史を話してほしいと言うので俺は。この世界の人たちに自分が体験したことをすべて話したのである。

俺はこの世界についてラガレア達に質問をしながら色々と確認していったのであった。それから俺はレイレアの両親やラレアに。この国から出て行った方がいいと提案をした。ラレアはこの国の人たちの事は気にせずに。この国にいても良いといってきたので。俺はレイレアにラガレアのことを頼みつつ、ラガレアに俺とリデアでラレアの事を幸せにすると言ったら、なぜかレイレアに怒られたのである。

そして俺とリデアがこの国から去ろうとして、外に出ると。俺は突然何者かに後ろから襲われてしまい、そのまま俺は気絶させられたのであった。

目が覚めると、そこは真っ暗な空間で俺は目を凝らしながら前を見ると。そこには俺の目の前にリディアが立っていたので。リディアがなぜここにいるのか疑問に思いながらも俺はリディアがこの場所に存在している理由を考えていた。

リディアは俺の方を見ながら何かを語りかけようとしていて、俺はそんなリディアの行動に疑問を持ちながら。この空間から脱出できるのかと、考えていると、俺の体にリディアの魔力が流れ込んできたと思った瞬間に俺は目を覚ますと。なぜか俺はレイレアの家に居たのである。そこで、俺は、ラレレに。リガレアが、リガレアの父親にラガレアとレイレアとリディアが殺されたと勘違いしていることを伝えられ。俺は慌ててラレレからもらった転移の宝玉で魔王城に戻る。

ラレレが俺が戻ってくるとラレレに俺の事を聞いてきていたが、俺がラレレとリガレにレイレが生きていることを話すと二人は嬉しそうな表情でレイレに会いに行こうと提案してくれた。

それからすぐにラレア王妃はラレレを、リガレアに会わせるためにラレレをこの城の中に招き入れたのである。その途中でラガレアの妻であり。レイレスの母でもあるラガレアの奥様とも合流し。三人で一緒に俺が作り出した、食事を食べることにしたのである。その後は俺は、レイレスとリガレトと。レイレリアをこの家まで案内して、俺は自分の部屋に戻って寝たのだが。なぜか起きた時には夜で、俺はレイレスにラガレアとレイリアの事を聞くと。ラガレア達は魔王の城で生活しているとのことなので俺は、リリアを連れてラガラと共に魔王城に向うことにする。

それから俺は、レイレスの事を頼むとラガルは元気よく了承してくれた。

そして俺はリリアと、ラガレアとリガリアの所に行くと。ラガレアは俺がどうしてここに来たのかということに気がついており、俺がこの世界に来てからのことを説明するとラガリアとラガリアの夫が涙を流し始め、それを見た俺はラガレアがどれだけ慕われていたのかわからされたのである。

俺はラガレアに、自分の娘をラガレアに任せることにして。ラガレアにレイレレアの居場所を聞いた。するとラガレアが、レイレレアがいるところまで送ってくれるということなので。俺とリリアはラガレアに付いて行くことにした。だがその場所にたどり着くためにはラガレア達の同行が必要だったのである。そのため俺達は仕方なくラガレアに着いて行くことにして。

それからしばらく移動を続けていると。ある部屋に入るとラレアがいた。ラガレアに、俺は事情を聴くと。レイレアの母親はラレアが自分の娘を殺したと思い込んでしまったらしく。リレアが俺達を魔王城に送った際に、レイレアのお母さんがリレアを恨んでいると伝えてしまったため。

その話を聞いたレイレアの母親が俺に攻撃してきた。ラレアは俺達を助けるために。自分の母親の元に向かい話し合いを始めてくれたのである。俺はその間。リディアにレイレスの事を頼むと、リディアが、レイレスの事を抱きしめて慰めている。そして、ラガレアの、母親の方は。リディアの事を敵だと思って攻撃を仕掛けてきたため。

俺がリディアを守るべく動き出すと。リディアが俺の援護をしてくれて、俺はリディアが作っておいた魔導具を発動させる。するとリディアは魔素を奪われていき、リディアは気を失ってしまう。

その後リガリア王妃とラガリア王妃が俺とリディアの元に向かってきて。俺とリディアの事を治療をするために連れ出そうとするが。俺には魔素を吸収して回復する能力がある。それに、レイレアの体から奪った、回復魔法も使えるようになっているので俺は、ラガリアに俺の事を治療しようとしないでくれと伝える。

俺の伝えたことにリガリアは驚いていたが、俺は、ラガリアを説得する。その間に、リリアとラレアが、リレアの母親が持っている杖に封印されていた邪神の魂を解放してしまったのである。その結果としてラガレアの母親は完全に操られてしまい。リガレアを殺そうとしたが、俺が間に入り。

ラガレアの母親の攻撃を、俺は剣を使って防御した。それから、俺は自分の母親であるラガレアの母親がラガレアに、俺を殺すように指示を出したのである。ラガレアはそれに従った。

俺に、自分が父親だという事を隠してきた。

自分の息子であるラガレアは、ラガレアの母親に操られてしまい。その命令に従い俺を殺そうとしているのを俺の視界から見ていたラレア王妃はラガレアを止めるために行動を開始したのであった。

俺の母親が、俺の父親の仇だと勘違いをして。その相手を殺してでも止めようとした結果、自分の母親を殺しそうになっていたラガレアだったが、リガリアとラガリアの夫がラガレアを止めに入ったのであった。そしてリガリアとラガリアの二人が俺とリリアの傍にいる。

「リガリア様、お願いですから私の母上と弟を止めてください。お願いします」俺はリガリアに自分の両親を止めるように頼むと、ラガレアの父親がラガレアの母親とラガリア王妃に何かを仕掛けようとしていたが、俺はそれを阻止するために動き出した。俺はリリアにリガリアの護衛を任せて。俺は自分の母親の元に近寄ろうとすると。

俺がラガレアの母親と戦おうとする前に、俺の動きを止めた者がいた。それはラガレアだったのだ。彼は俺のことを自分の手で殺したくて仕方がないのだろう。俺の体に傷をつけられればラガレアの母親に、俺のことを殺さないという約束をしてもらい殺すことをできると考えたからであろう。だから彼からすれば今の状態がチャンスで俺を倒すことができると考えているのかもしれない。

だけど、その行動を予想していた俺は、俺のことを掴んできたラガレアの手を俺の手刀で切断すると。俺はすぐさま俺のことを拘束しようとしていた、俺の腕をつかんでいた。その事に驚き動揺をしていたラガルを殴り飛ばし気絶させた。その後すぐにリガルにも手を出すつもりだったのだろう。俺の事を殴ってきたので、それを俺が避けた時に、俺につかみかかって来たので俺は腕を掴んで俺の力を利用して投げ飛ばす。

リリアが心配だったので俺が視線を戻すとリリアは俺に襲い掛かろうとしている、俺の事をラレア王妃が押さえてくれているようだ。

リディアはラレア王妃が抑えてくれると信じたので俺は俺の両親を、ラガレアと、俺の父親は何とか倒すことができて。

俺はリリアと、ラレアとリガリアとリガリアの夫を、ラガレアが、自分の実の娘と妻の二人に危害を加えることがないことを信じていたので。俺は、ラレアに、自分がラガレアの父親であると言うことを伝えると。リレアは驚いていた。ラレアはラガレアに自分がラレアのお父さんの娘であるということを教えると。

「お父様、私は貴方のお子さんである、ラガレアの妹のリリアの母なのです。どうか、信じてもらえませんでしょうか?」リディアは泣きながら、ラガレアの本当の母親に伝えていたのであった。そしてリディアの言葉を聞いた、リディアの母親は涙を流しながらリディアのことを抱き締めたのである。そして、リリアは、俺の方を見て何かを言ってきていたが。俺の事を警戒して何を言っているのか聞こえなかった。

ただ俺は。俺のことを睨みつけながら何かを言いたそうな表情を浮かべているリシアに気がついて。それから俺は俺の事を見つめているラレスと、ラガスに対してラレス達の父親を助けに行こうという話をしたのである。

するとリリアスは首を振った後に。自分達はここから動けないと言い始めたので。その理由を聞くと、俺のことが信用できないということと、ラガスの力が、今のこの国には必要なので残って欲しいと言われたのである。それから、俺はレイレの居場所を聞き出す。するとリレシアが、私について来てほしいといい始めると。俺も俺の目的のためにもついて行くことを承諾してすぐに移動を開始する。

だが、その途中で、俺はある気配を感じた。それが魔王だということに気がつくのには時間がかかったが魔王の魔力は魔王城に居ても、感知することが出来るぐらいにはなっていたからである。

俺は、この先にいる魔王と戦ってみるかと思い。レイレアにそのことを告げると、すぐにこの場から離れようと提案をしてくるが。俺はレイレレアの提案を拒否し、この魔王と話をつけようとする。リリアや、他の仲間達は危険を感じ取っているようだったが。それでも俺の意見に賛同してくれたため。この先に向かうことになった。

ただ、俺達よりも、リリア達が感じていた恐怖感の方が大きくなってしまい。リディアはその場に倒れてしまう。そのため、リリアとラガルだけがこの場で俺の事を待ってもらうことにし。リリアはレイリアとリガレトを、そしてラガレスはリガリアを連れて行くことにし。ラレスが俺と一緒に魔王城に行くということを聞いてくれたため、ラレスはリガレアのことを任せることにした。ただリディアに関しては、このまま置いておくわけには行かないし。それにまだ回復が終わっていなかったのである。俺はリレスと、ラディアの回復能力で。レイレアに攻撃されてできたリレアの顔の怪我とリディアの足の治療を終わらせる。

その後俺とラガレアとラガレアの息子は魔王がいると思われる場所に歩いて行くと、その道の途中で、リリア達とラガレスは俺の後ろを歩いているが、俺達の目の前にはリリアがいるが、彼女はリリアの後ろにいて、そしてラガレスがリリアの横を歩くような形で俺達は進んでいくと魔王城の入口が見える位置にたどり着いたのだが、魔王城の中には魔王がおらず、その代わりに巨大な蜘蛛が魔王城を守護していたのである。その蜘蛛を見たラガレアがその魔物の正体を口にする。

「あいつは、俺が前に、母上から聞いていた魔物に似ている。あの化け物の名前は確かバハムートとか言ったはずだ。だけど、どうして母上はあんな化け物を呼び出したんだろうか? それにどうしてあそこにいる奴は俺達のことを襲おうとしていないんだろう?」ラガレアは疑問に思ったことを口にする。するとリディアはラガレアが言っていた、バハムートと呼ばれる巨大の怪物を見てから。震え始めていたのである。そんな彼女を落ち着かせるため、俺はリディアの頭を撫でてあげた。その後、俺はリディアに話しかけてみた。

リディアは怯えてはいたが、どうにか答えてくれた。どうやら、リリアは昔、俺と同じぐらいの強さを持っていたリディアに自分とラレアを鍛えてもらうために、彼女の母親と共に修行をしたそうだ。その結果、リディアは自分の力だけでは魔王と戦うことはできないと、リリアの実力を知り。リリアが戦っているところをずっと見ていたそうだ。リディアの話を聞いて俺は、自分の母親がなぜ、リリアとリリアの母上を自分のところに呼び、自分の弟子にするために自分の力を授けようとしたのだろうと疑問に思い、ラガレアの母親の方に視線を向けると。彼女は少しだけ笑っていたのであった。その笑顔の意味を俺は知ることができなかったが。それからしばらくして俺と、ラガレアの二人は魔王城に侵入することにしたのであった。ちなみに侵入方法は俺が魔導転移を使い一瞬にして内部に侵入してから、ラガレスが俺の魔素を奪いつくし。魔導具を使って内部の探索をしている最中だった。その間俺に襲いかかってくる敵は全部倒している。ラガレスが倒した数は俺に負けているけどね。それからしばらく経ってから俺の魔素を吸収され切ったラガレアがもう良いだろうと言ってから、俺は俺の持つ神速の能力を使って、ラガレアを抱え込んでから。リディアと、ラレアがいる場所に向かっていったのである。

ラガレスが持っていた、魔王城の内部構造を把握するための魔道具はラガレスの魔素が切れてしまったため、使えなくなってしまったので。それから俺はリディアとリリアの元に向かいラガレスを降ろすと。ラディアに頼んでラガレスに自分の魔剣を貸してもらいそれを装備してもらうと。ラガレスにこれからの戦い方を説明してから、俺が魔王を倒して来ることを告げて、俺が戦いの準備を終えると。

俺は俺の事を見ているラガレアと、ラレアに対して。俺はラガレアの父親の仇を討つと伝え。俺は魔王が待ち構える最深部にたどり着くまで走り出すのであった。

*

***

<side ラガレオ> 俺の名は、ラガレグナ 元冒険者で今は騎士になっている。そしてこの国の騎士団団長であり。この王城に勤めて三年になる。今この国に起きている問題を解決しようと毎日のように動き回っているうちに今の状況になった。それはこの国の貴族共からすれば厄介事だろうがこの国が抱えてしまった問題のことを考えれば仕方がないことだ。今はこの国は荒れていてこの国はどんどん貧しくなって行っている状況なのだから。だけどそれは仕方がない。だけどそれを止めるには俺一人の力では不可能だと俺自身も思っていたから、だからこそ俺には部下が沢山必要で、そしてその部下たちが困っていれば俺はそいつらに力を貸そうと考えていた。

そんなある日。俺はこの国に勇者が現れたという噂を聞く。その話を聞いた時、俺は驚いたが。俺が聞いた話の内容は本当かどうかが分からなかったのだ。なぜなら、俺は勇者がこの世界に現れる前。つまり魔王軍が攻めてくる前に。俺と、妻を含めた三人の冒険者達がとあるダンジョンの奥にある隠し扉の中に入り。そこにあった箱を開けると、その中に入っていた武器を触ると俺達の中で一番レベルの高いリディアが俺のステータスでは見れなかったスキルを見ることが出来たらしい。だから俺がその噂を確かめようと、自分の部下を動かし調べさせた結果。本当にその男はこの国にやってきたようだ。それもたった一人の男がこの国の問題を片づけてみせたと聞いて。俺はとても驚いてしまった。

そしてさらに驚きなことはその男が、魔王を倒したという事実も信じられないことなのに。俺はその男の名前がリディアと一緒だったことにも俺はとても驚く。だが俺は、この国のために動いている以上、魔王の件は、放置できないと考えてしまい、俺は自分ができる範囲で。魔王に関する情報を調べ始めた。その結果、俺は魔王の情報を手に入れることは出来た。ただ魔王を倒すためには何かしら特別な力がないと不可能だと考えてしまたが俺は何とかして俺の力だけでも何とかならないかと考えていると、魔王城に何かが起きたという情報を得ることに成功した。

それから俺がすぐに俺の妻である。リシアと一緒に調査を始める。すると、そこにはリディアさんとラガレスがいたが、リディアさん達は魔王の配下と戦わなければいけなかったのか、かなり疲れていた。なのでリシアがリディアさんの傷を治すために魔法を使っていたので、俺とリシアはすぐにこの場を離れるように言ってリシアがリディアさんを回復するのを待つ。その間にリガルが、この近くに俺の部下を配置させてくれて。リガルはリディアさんの治療が終わるとすぐにその場を離れていく。その後、リシアの体力も回復してきたため。俺たちはリディアさんのいる場所から離れて行くが。俺はこの時から魔王と戦うための準備を始めたのであった。

<side end> 俺はラガレアが魔王と戦うために、この国を出て行ったあと。俺は、魔王のいる部屋までたどり着いたのだが。俺のことを待っていたかのように魔王が姿を現した。

俺はまず、どうやって魔王を無力化するかを考える前に俺は魔王に話し掛けると、魔王は、いきなり攻撃を繰り出してきたので、俺は魔王の攻撃を余裕を持って回避してみせると、俺はその行動だけで、俺と、この世界の人間との間には圧倒的な実力差が存在していることが分かると俺は心の底から喜んだ。だが、魔王はそれでも、まだ戦う気力が残っているような表情をしていたのである。

(これは面白い。まだこんな強いやつがいるなんて、しかも俺が持っている技術と似たようなことを行っている奴が)俺は魔王の実力が予想よりも高いことに歓喜した。俺はそんな気持ちを抑え込みながら魔王の攻撃をかわし続けてから、今度は俺から攻撃を仕掛けてみた。しかし、俺はそんな魔王の動きを見て少し違和感を覚えると、そのことを気にしながらも。戦いを続けたのだった。


* * *


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私があの方に戦いを挑むことを決めてからどれだけ時間が経過したのだろうか? 私は今まで一度も戦ったことがなかった相手、それも私よりも若い男の子を相手にして私の攻撃が一発でもあたってくれればそれで勝てると思っていたのに。どうしてなのでしょうか? あの方が纏っているオーラは。私のような弱者が放つオーラとは比べものにならないほど強者の風格を放っていて、それに、あの方の強さが測れないのです。一体どこの誰かは分からないけれど。きっと、とてもお強く。優しい方なのではないかと思ってしまうのですよ。だから、本当は戦わない方がいいと思っている。戦っても絶対にかなうはずはないですし、それに、あそこまでの強さを持つ人は、初めて会ったかもしれないと、そしてそんな強さを持っている人を、ここで倒せばいいと思ったら急に目の前にいる人を殺したくなくなってしまった。だけど。魔王である私は戦わなければならない、戦わないといけない、そして、戦わなければいけないのよ!

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俺が攻撃を続けるたびに目の前にいた奴はどんどんと弱り始めて行く。そんな時に奴の方から攻撃が止まってきたため俺は疑問を感じていると目の前の女が突然。自分の体を光の球体に包んで消えていったのである。すると先程まで女が居た場所に、俺と同じような姿の少年が現れるのを見て、俺は少しの間思考を停止してしまう。そしてしばらく経つと。俺は、その状況に困惑してしまう。俺はそんなことを考えていたが、そんな俺を見てからなのか。

「ふーん、まさか俺と、同じことができる奴がこの世に存在するとは、お前が魔王で間違いないか?」俺と同じ顔をしている男はそう尋ねてくるので俺はとりあえず肯定の返事をしてやった。俺の言葉を聞いて男は、少し考え込んだ後に口を開く。

「やっぱりそうだよな、俺達二人をここまで追い詰めることができるほどの実力者が弱いわけがない」そう言い切ると、その男の体が光輝き始めると。その光景を見た瞬間に俺はこいつは危険だと判断して。自分の周囲に、無数の風の弾丸を生み出してから俺はそいつに狙いを定めて。一気に撃ち放った。そしてそいつが消えた空間に向けて何度も弾丸を放ち続けていると、俺は背後から殺気を感じ取ったので振り向きざまに、俺の背後にいた奴に対して蹴りを叩き込む。だけど。それは読まれていて。俺は蹴りが当たる寸前でその男を消滅させた。

それからしばらくしてから再び俺はさっきまで俺の視界の中に存在していた男の姿を発見すると、その男の足元には大きなクレーターが出来上がっており。俺に向かってその男が、まるで子供の様に微笑んできた。俺はその男の様子を見ると。俺はこの男は敵ではないと確信したのである。だってその顔は本当に楽しそうにしていて、どこか、自分と似た境遇を持った、仲間を見つめるような瞳で俺のことを見てきたからだ。だからこそ俺はその男が敵じゃないと判断した。そしてそれからしばらくの間。俺はこいつと、お互いの事を話し合った。

それから数時間くらいは俺はそいつと話し合ってみると、この男がなぜ、魔王になったかという話を聞かされて。その話を聞いていく内に俺は目の前の男に共感を覚えてしまう。その理由は単純だ。俺がラガスとしてこの世界に転移して、それから、俺は俺のやりたい放題に生きていることを話して聞かせると、男は、俺の話に興味津々になって聞いてきてくれると。俺はそんな様子の男に対してさらに話を面白くさせるために色々と俺の事を誇張しながら、この世界についての説明をした。

するとどうだろうか? 俺はラガレスが言っていた通り、本当にラリアスが好きなようで、男なのに俺に対して惚れてしまっていると告白をしてきたので、その言葉を聞いた俺は内心喜びながらも、その感情を抑えてから男に質問する。その男の名前を聞きたいと思ったのだ。そして俺がその男の名前を聞こうとした時。

その男から。俺は俺と名前を名乗るように頼まれる。俺は俺と名前が同じであることを伝えると俺は俺の顔を見て嬉しそうな笑みを見せてくれた。そのあと俺は男の名前が聞きたかったので、もう一度聞くと彼は俺のことを受け入れてくれると言うので名前を俺に伝える。彼の名前はラガレスという名前らしく。ラガレオがこの国の国王らしいので驚きである。俺はこのラガレオと会話を交わしたことで、これから起きるであろう戦争をどのように対処するか決めていこうと考えたのであった。


***


***


***

<side???> 私はこの世界に来てから色々なことがあったけど。ようやくこの時が来たみたいね。私はこの世界に来た時の事を、この世界で私達を裏切ったあいつのことが頭から離れずにずっと復讐する機会を狙ってきた。そして私はとうとうこの日を迎えることができたの。私達が暮らしていた世界では、勇者の召喚が行われたらしい。だから勇者は魔王を必ず倒す。そして私達の世界の魔王を倒せなくても、この世界では勇者は魔王に負けないという法則があるみたいなので勇者は魔王に勝つはずなのだが私はそれに疑問を持っていた。勇者は魔王を倒すためだけに異世界へ送られている存在でしかないのだと思っているのに。なぜか勇者はこの世界を魔王以上に救おうとしている節が見られるからである。もしかしたらあの子が私と同じような立場に立とうと考えているのかと私は思ったが、あの子にはもうすでに家族がいるはずであり、私の家族の仇でもある魔王を倒すためにこの国のために働くとは思えなかったのである。

それから月日が流れてついに今日。この国が魔王に侵略されるという事件が起きた。その時の魔王軍の規模がどれぐらいのものかは知らないが。おそらくあの子が来るのは確実だと考えていた。そして私が予想していた通りにこの国は滅んだ。そしてこの国を乗っ取る形でラディアス様が王となったのである。

そしてラガレスの口から、この国を攻めてきた奴らの事を話すと、私はすぐに魔王の仕業だと感じたが。私にとってラガレスの言ったことはそれほど驚きのあるものではなかったので。特に問題にはならないと思う。なぜなら魔王がどんな力を持っているのか知っている私はその魔王の力を知ってしまったからだ。魔王は私達の住んでいる世界の魔王よりも遥かに強いのだから。

それにこの国で暴れていた魔族は、この国で最強と呼ばれている者達を瞬殺したらしいのでそんな化け物相手に戦いを挑む馬鹿はいないと思ったのである。だけど私はどうしても気になっていたのでその魔王とやらと戦いたいと私は思い。魔王城に向かうと。魔王城の前にはラガスと、リリアという少女と。そしてラガルスと同じ顔をした少年の姿が見えた。


***

魔王である俺は、目の前に現れた俺と同じ姿をした少年を見て。俺はこいつがこの国の魔王だということを確信した。そして俺はそいつに話し掛けようとするが、魔王は自分の方から話し出してきたのである。そして俺はそんな魔王としばらく会話を交わすことになるのだが、魔王は自分がどうやって生まれたかということを語り始めた。そして俺は、その話を興味深く聞いたのだった。

***

「まず俺が生まれた理由なんだけどな、簡単に言えば。神と呼ばれる奴が俺のいた世界の魔王の奴らに殺されそうだったんだよ、それで俺の住んでいた場所の世界が滅びかけていたから、そこで俺は自分の命と引き換えにしてその魔王を倒した。そしてその倒された魔王の死体がこの世界に送られてきて、その魔王が死ぬ間際に自分の力の殆どと、自分の体を自分の死体ごと、お前の世界に送り込んできたってわけだ」

「なるほどな、お前も色々と大変だな。それにしても俺の故郷は平和だと思ってはいたがそんなに危機的な状態だったとはな」

「お前は一体どういう経緯でその世界にやってきたんだ?」

「ああ、俺は元人間の転生者だよ」

「なるほどなぁ、じゃあお前は俺と同じで。俺とは違う人生を歩んでいるわけだな」「まあ、そう言うわけだ。俺はこの世界に転生しちまったわけだから。お前と違って帰ることができないんだよ」

「俺も同じだ。ただ俺は帰れない代わりに。この世界でもそれなりに幸せになる方法を見つけたから。そこまで不幸だとは思ってねえよ。だけどお前はまだこの世界にきて間も無いはずだ。ならまだ俺のようにはなれないだろう。だけど安心しろ。いつかきっと俺のようになることができるから。俺はそうやって生き抜いてきたから。俺には俺の。あんたにはあんたなりの人生があるからよ、無理をする必要はないからさ。自由に生きればいいよ。俺は俺の道を突き進んでるからさ。あんたにもあんただけの道を探せばいい。自分の好きな道を見つければ、それだけで人は成長できるし強くなれる」そう言い切ると、ラガレスはその言葉を噛み締めているようだった。そしてその言葉を聞いたラガスは何か吹っ切れたかの様な表情になるとラガスはラガレスに手を差し出すと、ラガレスは差し出された手を握る。

「そうだな、今は自由だとしても、いつからかまた。この国の王にでもなれば良いのかな。だけどそれまでの間は自由に生きるよ。俺の好きな様にな、だから、ラガレス。いやラガス。お前もこの世界に満足する答えが出るまでは好きなことをすればいい。俺達は似ているからさ、これからは仲良くしようぜ。俺が生きていた時に一緒に冒険をしてみたかった奴が俺のことを見ていたらさ。こんな風に友達になったって話ができたらいいなと俺が思っていてさ。それでお前のことは俺が絶対に忘れないように。俺の中で永遠に生き続けて欲しいとそう願ったからこそ、今。俺の前に姿を現したんだと思うからさ。だけど俺は。もう長くはないかもしれない。だからこそ。俺が俺でなくなり。本当のラガスに戻る前に、俺は自分のやりたい事をやりたいだけやった方がいいぞ。その方が人生を楽しむ事ができるだろう。そしてその楽しむ気持ちこそが。人間の強さになっていくものだと思っている。俺はそういう意味を含めて。俺もあんたのことを親友と呼ぶことにした。だからよろしくな。親友さん。それから俺の事をずっと覚えてくれていてありがとうな、俺もラガレスの事をこれからは心の中に生きてく。俺の魂が俺自身に戻れた時。その時に俺は初めて俺として、前世の記憶を思い出して。俺自身の力でラガスとして、俺は生きたいと思えるようになりたいと思うから。それまで。ラガス。ラガスの事を見守っていてくれ。俺が俺になるまではさ。頼むよ、俺の一番最初の友人」ラガスはラガスに向けて微笑みながら。そんな話をしているラガスの目元は赤くなっており。涙を流しているのは間違いがないと思った。

俺の目の前にいるラガレスが魔王になって以来。俺達の住む国は滅んだと思っていたが。実はラガレスによって滅ぼされていないことが、俺達がいた城に残されて残されていた手紙を読んで理解できた。

そして俺はラディアと。リディアと、リレスの母親に無事だったことを伝えた後。リディアスの案内のもと、レイディアの家に向かうことにして、その家の中に入ると。家の中から出てきたのは、ラガレスの母親である女性と、リディアの母親の姿が目に入る。それから、ラディアスの母と妹であるリリアの姿を目にすると、俺が、ラガレスの事を母親達に紹介しようとした時。俺よりも先にラディアスが。

ラディアスは、この人達は俺の友人だとラガレスに伝えると。

ラディアスはラガレスに対して、俺を家族の一員として、俺と一緒に暮らして欲しいとラディアスはラガレスに伝えたのであった。


***


***

私達とラガレスとの対面が終わり、私とリデアスは部屋を後にすることにした。私達が部屋の外に向かっている途中で、私の横にいたリデアスが私に対して。私の家族を紹介してほしいと言い出した。私は少し戸惑いながらも、この場を借りて。私の家族をこの家に招いたほうが良さそうだったので私はラガレオを呼び出そうと考えたその時にちょうど。私の父親から呼び出しがあったのだ、なんでも、私の父親と母親の知り合いだという人が私達の国を訪れたらしいのだ。私はそれを聞いたとき。私の家族の身に何が起こったのかと思ってしまったので急いで両親の元に向かい事情を説明すると。

どうやら私の両親は私達の事を心配してくれたみたいであり。すぐに私達を城まで送ってくれることになった。それからラディアスにラガルスの事を伝えようと、私は彼に会いに行くと。

彼は、自分一人で考えさせてほしいと言われてしまい、私は仕方なくその言葉に従おうと思ったのだが。その帰りに私がラディアスの妹であるリリアに会うことができたのである。

彼女はラディアスによく似ている容姿をしている女の子なのだが、なぜか私を見ても怖がらず。私と話をしてくれるというのである。私は不思議と彼女の事が気になり始めた。私は彼女ともっと話をしてみたくなった。だから私はラディアスにお願いをする事にしたのである。

<side end>

***

***私の名前はリレア、この国のお姫様だ。

だが私は今この国から出ていこうとしているところだ。その理由は簡単な事で、私はラガレオンをこの国に置き去りにして逃げ出してきたからである。私もまさかあんなことになるなんて想像もしていなくて、ラガレオには迷惑を掛けてしまったと思っているけど、でも、仕方がなかったのである。私はある人物を探しに旅をするために、この国を出て行かなければならないと考えていたのである。だけどその前に私はラガレオに会って謝罪しなければならないと思い。ラガレオの部屋に向かうと、そこには彼の姿は無く、私は彼が行きそうな場所に、向かってみる事にするのであった。

そしてしばらく歩いていると、私の探し求めていた少年の姿を見つけると。少年の名前を叫びながら彼に近づいていき抱きつくと、少年の方も、私の存在に気づいて、優しく受け止めてくれたので嬉しかった。


***

俺は、この国の国王でもある、リリアのお兄さんに呼ばれたのだが。その話をする前に俺にはこの国の人達がどうしてこんなに落ち着いていたのか疑問を感じていたので。それを質問しようと思い。その前にまずは俺のことを紹介してくれという事になったので俺はこの国の王子でもある。ラディアスのことを自分の両親である。ラガレスとリリアスに伝えてから。

そして俺のことを俺の母親と。ラガスに紹介されたのである。その時に、俺は自分が人間ではなく竜人であることや、自分が黒龍だということを話すと。二人は驚きつつも納得してくれた様子で。それから俺は、この二人に俺がこの世界に召喚されてからのことを詳しく説明したのだった。

それから俺はラガレスが言っていた俺の親友のことを教えてもらったが。その話を聞いて、俺はラガレスの変わりようが気にかかっていたのである。

そんなラガレスの変化に疑問を抱いている時に。俺はラディアスの母と、リリアの母の二人が部屋に入ってくると。ラガスは自分の方から挨拶を始めるのだった。

ラガスは俺に。この国に留まってくれないかと言われた。

俺もこの国に留まろうと考えたこともあった。でも今はそんなことを考えられないぐらいの状況に追い込まれてしまっている。

俺は、そんなことを告げるが。

ラガスは俺に対して。これから先の人生を楽しむべきだと言うのだった。

だから俺がこれからこの世界で生きていくために。俺は何をすべきなのかを考えなければならなくなった。

ただ俺は今、ラガスと別れるときに約束したことを思い出していたので、俺の本当の目的を忘れてはならないとそう思うのと同時に。ラガスが俺のことを心配している気持ちが分かってきたので俺はこの世界に留まろうかと考えていると、俺の様子を見かねたのかラガスのお母さんが、ラガスの代わりにラガレスに謝ると。そして俺が人間であることと、自分が黒龍であることを伝えると。

「あなたが人間の王ですか、私は、ラディアスの父のリディアスと申します。ラディアスとは仲良くしてくださり。そして我が娘リデアスとラガスが仲良くしていただいているとのこと。本当にありがとうございます」ラガレスのお父さんはそう言い切ると頭を下げて感謝の言葉を告げてくれたのである。俺はそれに対して慌てて頭を下げられるほどのことはしていないと伝えると。

「それはそうとラガスが言っていましたが。あなたの親友のことが心配なのですね。私達もその方の事は知っているので、その方の行方を知っている人を当たってみましょう。私達はこれからラガレスを連れてその方を探すつもりですので、その間。どうかラガレスのことをよろしく頼みました」そう言うとラガレスの父親はラガスに、お前はここで待っていてくれと言ってから。

俺達と一緒に城の外へ出ていったのである。

俺はリリアさんとリディアスさんの三人で外に出て行くと。リリアさんはリディアさんに俺のことを紹介すると。リディアさんはラディアスの友達として、俺のことを見定めようとしているみたいである。そして俺に何かあればリディアさんが止めてくれるということになって。それからは、俺はリディアさんと一緒に行動することにするのであった。

それから俺はラディアスの父であるリディアスに連れられ、とある街へ訪れると。

俺達の住んでいる村とは違い、大きな都市の中に存在するその町の名前は。ラディアスが育った町の近くにある都市のようで。俺達をこの街に呼んだ理由を尋ねてみると、どうやら。

その都市にあるダンジョンを攻略してほしいのだというのだ。その都市には数多くの種類の武器やアイテムなどが豊富に存在すると言われているらしく。その都市から、ラガスは魔王になった後も様々な品物を取り寄せていたという。だがその都市の中にある。

ラガレスが生前。魔王になる前に通っていた学校にはラガレスよりも上のランクの学生が在籍しているらしいので、その生徒達から学ぶ機会をラガレスにあげたかったようだ。俺はリディアに、その学校にラガレスがいるのか尋ねると、どうやらその学校はリディアの母親が教師を務めており、しかもその母親は俺達が暮らす村の学校の先生と同一人物であるらしい。

つまりはラディアスとラガレスは同じ学校に入学したという事になるのである。俺とラディアスと、それからリリアの四人はリディアの母親である。ミディアさんが経営しており俺が通っている村と同じ名前の、ミルディア学園と呼ばれる。学園に訪れて、そこで入学試験を受けることにしたのだ。

ちなみに俺はこの世界の文字を読めないので。リディアスに文字が書けるように魔法をかけてもらった後に、俺が筆記試験を受けて、次にラディアス達にも筆記試験を順番に受けてもらうことにした。

そして俺達三人とも、筆記試験に合格した後は剣術などの実技の実力を見せなければならないのだが。リディアは剣を使うのが得意だそうで、ラディアスは魔法の扱いは得意ではないそうなので。二人とも剣術の実力を見てもらうことになり。リディアスが二人と模擬戦をすることになった。

それから俺がこの世界に飛ばされてきてから、今までのことや。俺の家族構成。それから、俺の仲間について話したのだ。俺の話を聞き終わったラディアスがとても驚いていたのは、どうやら俺の家で飼っている魔物たちが、普通のドラゴンや。ワイバーン達だと知ってしまい、どうやらラディアスはかなり動揺していたようである。俺はこのラディアスの反応に心の中でガッツポーズをして喜んでいたが。

ラガスは俺の事を心配する言葉を告げた後。俺はこの国の人のために力を使いたいと申し出ると、ラガルスは少しだけ悩むような素振りを見せた後。俺にこの国の人達を助けるのに協力してくれるのかを聞いてきたので俺はその協力したいと伝えたのであった。

ラガレスは俺の決意が固いと思ったのか。俺のことを自分の弟として扱うといい、俺はその言葉に嬉しくなり。そして俺はラガスの父親であるラガレスのことをお兄ちゃんと呼ぶことに決め。そして俺にラガスのことを頼んだラガレスはリディアスと共に、これからラガスの通う学園に向かおうと決めた。


***

俺達は今、その学園の敷地内にいる。ラガスはこの学校に通うことになった時。この学校を卒業してから魔王になったことを思い出していた。その時にラガレスは、自分と仲の良かった生徒が、ラガスが魔王になってからもずっと連絡を取ってくれる人がいて。ラガレスは、ラガレスに懐いてくれていて、ラガレスもその子のことを気に入っていたとラガスが教えてくれた。

俺とリディアとリリアの3人で校舎内に入り込み、リリアが職員室に行こうと決めると。

俺達は、この学園の理事長でもある。

ミリエラの所にたどり着くと、俺は、この世界の言語を理解することができるようになり、この学園でラガスの幼馴染である生徒の名前をラガスが聞くと。ラガスが俺達に紹介したいとの事だったので。俺はラガスの後に続き、ある場所に向かって行く。


***

俺がこの学園で知り合ったリディアスの息子であり。リディアの幼なじみでもある。ラガスの弟のライガスが住んでいる部屋の前にたどり着いた。

そして俺は扉を開くと。俺の後ろに居たリリアとリディアさんが驚きの声を上げていたのだった。俺はリリアスさんが、なぜそんな反応をするのか不思議に思いながらも中に入ると、ラガスがラガレスに対して。

「ラガレス、久々だよな。俺はお前の兄のラガレスっていうんだよ。この人は、ラガレスが昔仲良くしてた。俺の親友のラガレス。ラガス兄さ」

「あぁ、初めまして、俺の名前はラガレスです。俺のことを兄貴って呼んでくれても構わないよ。それにしても、やっぱりそうか。この気配は確かにラガレスだったか」ラガレスの姿を見て、すぐに彼がラガレスだと気づくことができた俺は驚きながら、彼に近づく。すると、ラガスもラガレスが生きている事を知ると涙を流し始めたのである。

俺はその光景を見ながらリディアスさんは、ラガレスに抱きついているラガスのことを見守り。リリアさんは感動したかのように涙を流している。俺は、二人のことを見て微笑ましい気持ちになっていたのであった。

そしてしばらく時間が経つと落ち着いたようで。ラガレスと、俺とラガレスと、それから俺達の家に居候として住んでいる。レミア、それと俺の仲間のクロネが自己紹介を終えたあとに、俺がどうしてここに来たのかを話すと。

「それは、お前の弟が心配なんだな」

そう言ってくれた。俺がラガスのことを心配しているのは本当のことだが。

「それだけじゃない」そう言って俺は俺の目的を話すと。

「お前が魔王になったのは知っている。その魔王の力は今でも使えるという事も、だが、それは危険なんじゃないか? 俺達はラガレスのおかげでお前に助けてもらったが。あの力を俺が使ったとしてお前は俺を助けようと思えてくるのか?」

その通りである。

魔王の能力は強力すぎて。使いこなせないと大変なことになるというのは知っているが。

俺はそれでも俺は力を手に入れたらまず最初にやることは決まっている。

それは俺の家族に手を出す奴らに、必ず報いを受けさせる。それが俺の考えなのだから。

「その答えを言うことはできないけど。俺は家族を守るためならどんな手段を使ってでも、大切な人たちを守るって決めている。俺は絶対に魔王の能力を使いこなしてみせると誓う。そしていつか、ラガスやリリア、それにリディアやレニア、ラガレスと友達になれたことを心から喜べるようになってやるってな」

「なるほどな。その考えは俺もわかる気がする。俺はラガスに助けられてここにこうして生きているからな。俺はラガレスのように、ラガレスに恩を返すつもりだ」

俺の言葉にラガレスは同意するように何度も大きくうなずいていた。そして俺は、リディアの方を見ると。リディアはラガルスが生きていてくれた事が嬉しいみたいで、笑顔を見せていた。

俺達が話し込んでいると、部屋の外が急に騒がしくなった。

何があったのかわからないのだが。俺はこの部屋を出て確認しようとしたら、突然、扉が開かれて。一人の少年が中に入ってくる。

「ラガス、無事で良かった! 本当に!」俺に近づいてきた男の子の目は、涙を浮かべており。その顔はとても安心したような表情であった。

そして俺はこの少年の顔に少しだけ覚えがある。

確か名前はラガスが言っていたのだが、確か。

リニアスという名前であったはずだ。

そしてそのリニアスに続いてもう1人の少年が俺達の部屋に入ってきたのだ。

その人物とはリリアスの母親であるミルディアさんでその手には、ラガレスの写真が飾られていたのだ。

リニアスが、リディアスから話を聞く限り。どうやら彼はこの学園に入学する前にラガスと知り合い。そしてこの学園に入学が決まったと聞いて、リディアスと一緒にここまで来たようであった。その話を聞いたラガレスは苦笑いをしており、リリアは嬉しさのあまりラガスの手を握り締めると。俺とラガレスに、俺とラガレスを会わせてくれるきっかけを作ってくれたリニアスと。この世界に来る切っ掛けを作ったミルディアさんに感謝しながら。

これからもラガレスとミルディアさん、それからリニアス君と、それから俺の仲間のクロナとも仲良くなっていけたらいいと思う。

俺達は今、ミルディアさんが経営している学園内にあるカフェに訪れていた。この学園内に店は他にもたくさん存在するが。そのカフェが一番落ち着く雰囲気がするため。俺はリディアの提案に乗ってそこで昼食を取る事にしたのである。ちなみに俺以外のメンバーは俺を含めて全員、俺と同じテーブルで食事を取っている。そして食事が終わった後は俺の知り合いで、ミルディアさんの店で働いている少女が紅茶を持って来てくれたのだが、その子がラディアスを見てとても驚いていた。まぁ当然の反応だろうね~。だってラガスの見た目は、その女の子と変わらない年の容姿をしているからな。ちなみにその女の子の名前はセリカで。

年齢は17歳でリディアスより一つ下になる。リリアスさんのメイドとして仕事をしているため。よくリリアスと共にいる姿を見かけることがある子であった。彼女は仕事中なのに俺達のために席を用意してくれていたので俺がありがとうと伝えるとリディアスも、私からも礼を言うと言って彼女に頭を下げたのである。


***

リリアは俺にリディヤと、それからラガレスを連れてきて欲しいと頼まれ。ラガルスはリディスと共に、この学園の近くにある。ギルドに行くと言っていたので俺がリリスにラディアスを任せることにした。俺はこの学園の中を少しだけ散策することにしたのである。この学園で俺が通うことになった。この世界の文字を読むことは出来るようになっていた。だから本屋を探しながら歩き回る。俺はこの本がこの世界でどういうジャンルに当たるものなのかを確認しなければならないからだ。

「あのすいません、この文字で書かれた書物を見せてもらえますか?」

俺はカウンターの向こう側に立っている店員の女性に声をかけたのだがその人は、かなり綺麗な女性だったのだけど。彼女の目が俺の目線に合わせないようにしていて、まるで何か後ろめたい事があるかのような態度を取っていたので、その女性のことがちょっと気になったけど。その女性が手に持っている本を手渡してくれたのである。そして俺は、この世界に召喚されてから一番最初に読むことにしたのであった。

その本の表紙に書かれた文字を読んでみたところ『魔物と人族の関係について』という題名が書かれていることに驚きを感じてしまった。まさかここでこのような内容の本が読めるとは思ってもいなかったからである。俺がその本を読もうとすると、その女性はどこかに行こうとするのが目に映り。気になり俺は呼び止めようとしたけど。俺は声をかけれなかったのである。

***

「ふぅーっ。なかなか面白い内容だった」

読み終わった俺はそう言ってため息交じりに呟いた。この世界の文字はまだ理解することができないのでこの世界で使われている言葉ではなく。俺は俺の母さんに習った言語を使っているのでこの世界の人がこの言語を読んだ場合、意味が分からないであろう。しかしなぜかこの世界の人達はこの言語を使うことができていた。

俺はそんな事を考えていると俺がこの世界で初めて会ったリディアさんがこちらに向かってくるのが視界に入ったので、俺は急いでリディアさんに話しかけた。すると、リディアさんはその本は一体どこで見つけたのだと尋ねてきたので。俺は、先ほどの本に書いてあった事をそのまま伝えたのである。

「その本の中身を見てもいいかしら?」とリディアさんにお願いされたので俺は素直に渡そうとしたのである。するとその時。この店の店主でもある、リリアスとリリアスの旦那様でもあるラガレスの父親。そしてこの国の女王でもある、レティス女王と。俺がこの世界に来て初めて知り合ったミリエラがやって来たのであった。

その二人は俺の姿を見て驚いていたが。特に俺がラガスの兄だと知った時の方が反応がすごかった。俺はそんな二人を見て苦笑いを浮かべてしまうのだった。すると俺が読んでいた本の事に興味を持ったらしく。レリアスはリリアさんに質問していたのである。

リリアさんもリリアスと同じくこの店を経営していて、さらにこの学園の経営をリリアさんと、ラガレスの父親がやっていると聞いた時は本当に驚いたものである。その二人がこの店に訪れて来たことで。ラディアスは、ラガレスのことを二人に紹介するのだが、リリアさんはすぐにリディアスのことを覚えていた。そしてレニアスは、レガリアさんがラガスのことを可愛がってくれていることを知っているようで。レガスが生きていたことを知ると喜んでくれていた。

その後レガリアさんとラガスは久しぶりに再会したことでお互い涙を流し合っていたのがとても微笑ましく思えたのであった。


***

俺はリディアスから、この世界の常識を学ぶため。図書館に行ってみようと思った。リリアさんも俺に同行してくれるらしい。その途中で、レガリアさんの娘のアリシアと。その夫の、オルドフという、二人の男に絡まれている女の子がいた。その男の片方の男は見覚えのある奴だったが、もう一人の男は初めて見る顔だ。俺はその子を助けた方がいいのか迷ったが。結局はその場から去ろうとしたのである。しかし、女の子の方から。助けてくださいという、声が聞こえたので。俺は女の子を助けることにする。

「俺達に何の用だ? お前達が何者かを言え。でなければ俺達の気が済まないんだ。それとお前達の所属を言えばすぐに解放する」俺は、その男達が何者かを聞いてみた。その瞬間、そいつらはニヤッと笑う。俺はそれが嫌な感じがしてならなかった。

「はははは、何者だ? はっ? 何者なんだって? おいおいふざけんじゃねぇぞ! こっちは貴族でしかも子爵家の出だ! お前ら平民ごときが何様なんだよ! それにお前達が先に俺たちにぶつかってきたんじゃないかよ!」

(何を言っているんでしょうか?この人)私は目の前で起こっていることを呆れながら見ていると、どうやらラガス兄さまも私と同じ気持ちでした。ラガレス兄さんもその三人組の事を良く知らないみたいなので、おそらく最近、学園に通われた貴族のお方なんでしょう。ラガス兄様もラガレスに、あいつらの素性が分かるか? 聞いています。その答えはもちろん知っているみたいで。ラガス兄の顔がどんどん不機嫌な顔になっているのです。そしてラガレス兄さんが言い返そうとするよりも早く私が発言したのですが。ラガス兄さんも、その女の子を助けようとしているみたいでしたが、ここは、私の役目ですよね。

私達の前に姿を現したラリアスと名乗る人物を俺は警戒していた。俺の直感はこいつがリディアさん達の敵だと俺の脳裏が警告を発しており、それは間違いないはず。

俺がラガレスと、リディアスと一緒にいるラガスという男の子を見てみるとどうやらその男の子も俺の事を警戒していたようだ。

ラガレスがラガスに俺の事を話してくれて良かった。もしラガスが話さなければ、ラガスも敵に回っていた可能性が高いかもしれない。俺は、ラガレスが話している最中もラガスとラガスと一緒に行動しているリディアスと呼ばれる少年に意識を集中させ続けていたのだ。そして話が終わった後。俺はリディアスと話をした。どうやらラガレスは俺の事を信頼してくれたようであり、俺は、ラガレスにリディアスを紹介したのである。

そしてリディアは俺に話しかけてくれたので俺は笑顔で挨拶をしたのだ。そのあとに俺は、この店にある。ラリアスさんに勧められる本に興味があると言ったのである。

そして俺に本を手渡す前にリディアさんはリリアに話しかけると、その会話中に俺は、ラガリスとリディアスがこの学園の近くにある。ギルドに向かって行くと言っていたので。俺は、その二人を見送った後に。俺はミルディアさんの店に向かう事にしたのである。そこで、この店の従業員の一人のセリカと言う子から渡された本を手に取るのであった。そしてその本を、俺はミルディアさんの店の中で読む事にしたのである。その本にはこの世界の文字が書かれていた。しかし何故か読むことができ、俺は、本を読むことができた事にとても驚きを感じたのだった。

この本の内容だが、この本によると魔物とは人間とは違う進化を遂げた生物で。魔物の体内には人間の体内とは異なる特殊な物質が流れており、その肉体が傷つくたびに、魔物はそれを修復するために他の部位を吸収しなければならない、また、一部の魔物は魔石と呼ばれるものをその身に内包しており。それを食べることによって魔物は、魔力を得ることが出来るので、この世界の人々は、魔物は人間を餌としてしか認識していないと思っているのが事実だった。

更にこの世界では人間が圧倒的に多く。それ以外の生き物は全て弱い存在として扱われている事が書かれており。

そんな世界に、ある日を境に魔物の数が急激に増加したことが書かれているのである。この世界の人たちにとってみれば、突然のことだったため。世界中が大混乱に陥り、魔物に蹂躙されて滅びていくのではないかと人々は絶望の淵に追い込まれるのである。そんな状況の中一人の人物がこの危機的状況を打破してくれるのではないかという希望を抱くことになる。その人物は、当時勇者と呼ばれていた人で。彼が、この世界を救うために立ち上がろうとしたのだけど。彼は、この世界で最強と言われていたのだけど。残念なことに彼に付いていく者がいなかった。

だからその勇者と呼ばれている人が立ち上がるまでに多くの被害が出てしまい。最終的にその勇者は、魔王を倒すことに成功したものの。彼の命と引き換えになってしまうのである。しかしそれでもまだ、その魔物の大群との戦いが終わりを迎えたわけではなく。生き残った人々の多くは戦いに身を投じることを選んだ。

そして現在、魔物の数は以前ほどではないが未だに増え続けており。各地で被害が出ている状態が今もなお続いており。そんな中、俺の目の前に現れた魔物も。もしかしたらこの魔物によって多くの人が死んだのかもしれないと思ったら俺は魔物に対して激しい怒りを覚えたのである。

(絶対に俺が倒す!この手でこの世界の皆を守るために)そんなことを考えていた俺だったが。そんな時にふと、俺はこの世界に来て最初に出会ったリディアの顔を思い出した。リディアさんは確かにこの世界の人達のように俺の事を弱者だと思っておらず。俺がラガスさんとリディアの兄であることを聞いた時でも、俺を馬鹿にするような言動はしてこなかったのである。そして、あの時リディアさんが言っていた事を考える。リディアさんが言った言葉は。俺は、ラガスさんが俺のことを庇ってくれるように。ラガスさんのお兄さんである俺にも、リディアさんはこの世界の人同様に優しい目で俺のことを見てくれていたという事だろう。その事に気付いた瞬間。俺の頭の中にとある言葉が蘇ったのだ。

『その人の力を見抜けずに一方的に悪だと決めつけてその人に危害を加えようとする行為は間違っています』

(俺は、本当にリディアスさんに失礼な態度を取っていたな。俺は自分が強くなったからといって傲慢になっていた。その所為で俺は今まで何度も危ない場面に出くわしてしまった。その度にラガサスに助けられてしまった。俺はラガスと出会ってからはそんな事は無くなっていたんだけど。やはり俺も心のどこかに油断が生まれてしまっていたんだな。反省しよう)俺はそう考えを改めてリディアさんの言葉を思い出すのだった。俺はラガスから借りた本を読もうと思い、俺に話しかけてきたリリアさんに断りを入れようとしたのである。その時俺の目に入ってきたのはリリアスさんに話しかけている、リリアスさんの夫だという、オルドフさんだった。そのオルドフさんは、ラガレスさんのことを知らなかったらしく、最初は驚いていたが、ラガスさんとリディアが一緒にいる事を知って納得していた。そのオルドフさんとラガレスさんはお互いのことを知り合いなのか、楽しげに話をしていたのである。

(う~ん。これはどう考えてもこの二人が、俺が元いた世界からこちらに来たときに、リリアスさんと一緒に行動していたっていうのが分かるな。俺とラガスがラガレスの兄だって分かった時の反応がそっくりだし)俺はリディアスさんから、レガリア商会について色々と教えてもらうことにしたのであった。

「じゃあレガリア様もラガレス君も無事なんだね。良かったよ。うん。それはそうと。ラリアス君はそのラガリア様に恩があるみたいだけれどどうしてラガリア様を助けたいって思ったの?」

「はい。レガリア様には私が幼い頃から大変お世話になりました。そのレガリア様の従姉妹が行方不明になったからその人を探すように言われたのですが、私一人だと危険だということで。護衛をつけてくださり。私をラリアス君の従者になるように勧めてくださいまして。それ以来私は、ラリアス様のために頑張っているんです」

「そうなんだ。リリアスさんはその人とは親しかったんだ」

「はい。私が、ラリアスさんの傍にいたいと思えるようになった理由の半分くらいは、この人がいたおかげなんですよ」

俺達は今リディアが俺の為にと読んでくれていた本を読んでいる最中なのだが。俺はその本を読んでいると、どうやらこの本に書かれている内容のほとんどが実話を元にしていると気付いた。この本の筆者はどうやら異世界からの転移者であるらしい。そしてこの本に載っている話のほとんどは実際に起こったことだと書かれているのだ。俺がその事に気付くと同時に、俺に本を手渡してきた女の子もこの本の事を理解しているようで。俺が本を手に取ってから少しした後、少女が話してくれた。その話によるとこの本の作者は自分の他にも何人か同じ境遇の人がいるという。そしてこの本の作者が書いている話のほとんどの内容は、魔物に襲われたところを勇者に救われて、その人から色々な技術を学んだりして強くなり、やがて勇者の一番弟子となり、その勇者と共に世界を救いたいという気持ちを持つ者が多いみたいだ。そして本の中で語られている、勇者のパーティーにはその作者の他に二人、俺の世界から来た人がいて。俺と同じ名前の人も勇者と一緒に魔王を倒したという話が書かれている。だが残念ながら俺はその二人のことを詳しくは知らないのであまり参考には出来ない。そして俺は、リディアと初めて会った時に聞いた言葉が真実だったという事を知り嬉しく思いつつも、俺はその話をしてくれた少女に質問をすることにしたのである。

ラガスさんから、ミルディアさんと話が出来るということを教えてもらった僕は、ラガレス兄さまと、ラガレス兄さまが働いている店で働いているミルディアさんのところに足を運んだのでした。ミルディアさんの店の中には既に先客がおり、それは、リディア姉さんの友達のリディアスと、僕の親友のライガスでした。どうやら、二人はリディア兄さんに頼まれてここに来ていたみたいなのです。そんな二人が店に入っていくとすぐにミルディアさんが現れて、ラガス兄さんと、リディアスに話しかけたので、その二人と話しているミルディアさんはとても笑顔でしたので、おそらくミルディアさんにとってラガス兄さんの店に来ることは大切な事なのでしょう。

それにしてもこのミルディアさんという方は凄く可愛い女性です。年齢はリディアと同じくらいに見えるけど、この人よりも年上の可能性もあるのかな?それとリディア姉さんのお母さんはどんな人だったのだろう。

そんな疑問が浮かび上がり。それをミルディアに聞くかどうか悩んだ末に、リリアさんとラガリスの会話を聞いていたリディアスとラディアスも、僕達と一緒のテーブルに着くことになった。その途中で、ラガレス兄さんは何かに気が付き店の奥に消えていきましたが一体なんだったのでしょうか。そんな事を考えつつ僕はラガレス兄さんに言われた通り、ラガス兄さんが作ってくれた料理を食べることにしました。その料理は、この世界にある食材を使った物なのにとても美味しかった。

(やっぱりラガス兄さんは凄いなぁ)それからしばらくの間ラガスさん達が話をしている間に。僕はこの世界で、自分の事を弱いと思い込み卑下している人を見つけた。だけどその人はその事をラガスさんに注意されていました。確かにラガスさんが言うとおりだと思います。

この人が悪い人ではないと分かりましたし。この人は悪い事をする為にここにやって来たのではありませんでした。

そんな時ふとその男性が、僕の持っているこの世界で書いたと思われる本を興味津々に見始めてしまい。そんな男性の様子を見ていたラガスさんが、男性に対して声をかけた。

すると男性は急に顔を真っ赤に染め上げて。そそくさとその場を立ち去って行ってしまったのである。

その光景を見て思わず吹き出してしまいそうになった。だってラガスさんの言葉がおかしかったから、

『リリアスさんは、そのラガリア様に恩があるみたいだけれど、何で助けたいと思ったの?』

という問いに。

『はい。レガリア様には、私が幼い頃より大変お世話になりました。そのレガリア様の従姉妹の方が行方不明になったというのでその方を探すために護衛をつけてくださいました。私とラガリア様が初めてあった時はもうすでに、この国の王様になる為の勉強を始められていて。とても努力家で優秀な人だと思ったんです。それで私はラガリア様を尊敬してるんです』と答えたリリアスさんの返答は普通だよね。だけど、その後のラガレスさんとのやりとりは。ラリアスさんはラガレスさんの事が好きなのかと勘違いしても仕方がないようなものだったと思う。でもこの世界の人たちは恋愛に無頓着だからきっとリリアスさんはそこまで考えていないとは思う。そしてラリアスさんの話を聞いているうちにリリアスさんが話をしている相手がラガレスさんの兄である事に気づく。

そして、リリアさんから、レガリアさんが無事で元気にしていると聞いてほっとしていると、リリアさんもリディアスさんもそのラガリアさんが無事で良かったと思っているようだったし、どうやら、リリアスさんが憧れている相手ってラガリアさんのことなんだね。それを聞いた瞬間、僕も嬉しくなってしまいリリアさんとラリアスさんの前でニヤケないようにするのが必死で大変な思いをしたのであった。

リリアスさんから話を聞いた俺は、この人が本当にいい子でよかったと思った。それと同時に。リリアスさんは本当にラガレスのことが大好きなんだなと微笑ましく思ってしまう俺であった。しかし俺は、リリアスさんの答えに違和感を感じたのでそのことを尋ねてみたのだが、リリアスさんは自分が、まだラガリアさんと会う前の話をして、そこから話がずれて行き結局何故その人物を助けようとするようになったかをリリアスさんは説明していなかったのである。その事について、リリアさんにリディアの件が絡んでいないかと確認をしてもらうことにした。

「リリアさんは、どうしてそのラガリア様の従姉妹を探しているリリアスさんの手助けをしようと考えたんですか?」

「そうですね。私自身にも色々と理由はあるのですが、リリアちゃんには、ラガレス君ともっと仲良くなって欲しいという思いがあります。だからリリアスさんのお手伝いをしようと考えました」

リリアさんはそう口にするが。おそらくこの人には別の目的があるんだろう。リリアさんとラリアスさんの仲が良くなればリリアスさんは確実に俺と会おうとしてくれるはずだ。だからこそラリアスさんの従姉妹が俺の探している人に繋がっている可能性が大いにあり得る。

(ラリアスはリディアさんと、俺の関係に気付かないから、リリアスさんはラリアスがリリアスさんに会いたいと俺にお願いしてくることを望んでいる可能性が高い)

そして、俺はその事をリリアさんに伝えてリリアスさんに協力を要請することにした。その協力というのはリリアスさんがラガレスにその従姉妹の事について聞こうとした時に俺が止めてもいいから俺に質問させるように仕向けてほしいという事を伝えた。だがリリアスさんは、俺が考えている事とは別のことを考えており、

「私からラガリア様に聞きますので、心配しないで下さい。私は貴方の力にはなれません」

と言われたが俺は諦めずもう一度頼んでみると渋々ではあるが、了承してくれたのである。

リディアに聞いた話では、ラガレスの従姉妹が、ラガレスの従者になっているはずで、しかもかなり優秀らしくラガレスは彼女の実力を高く評価しているそうだ。だから、彼女が行方不明になって捜索隊が出ているということになれば間違いなくラガレスとリディアさんはその従姉妹を見つけることが出来るだろう。そして、もし、この世界に来てしまったのなら必ず元の世界に戻るための手段を俺と一緒に探してくれると信じているので俺は、まず最初に、リリアスさんに俺の事情を話して協力してもらおうと思い、その前にリディアさんがどこにいるのか確認をしてもらったところリディアは王都から離れた村にいるということがリリアさんによって分かった。その事を、リディアに話すべきか話さないでおくべきなのか迷っているときにリディアと連絡が取れたので。今俺が考えた計画を伝えることにしてみることにした。

「というわけなんだけど手伝ってくれる?」

「分かりました。でも、リディアには私が伝えなくて良いのでしょうか?」

「あー大丈夫だよ。この事は俺から直接リディアに伝えるよ。それにしてもやっぱり俺の思っていた通りの返事を返してくれたね」

やはりリリアさんもリディアスさんもリディアさんの事を心配していたので。リディアのことをとても大切に思っていると改めて感じたのだった。

「えっと、ありがとうございます」

ラガレスの従者であるミルディアさんは、何故か急にお礼を言いながら頭を下げてきたのである。

(一体どうしたんだ?いきなりお礼なんか言われても理由が分からないから対処に困るぞ)俺はそう思いながらリリアさんの方を見るとリディアさんと仲良くなりたいと考えているという事を知っているため特に驚いた様子はなく。逆に、リリアスさんが驚いておりラリアスさんに関してはミルディアさんをじっと見つめながら何か考え事をしているみたいで。そんな二人を見ながらもリディアスが俺に耳打ちをしてきたので、ミルディアさんの行動に疑問を抱いているのが自分だけではないことを知り、ひと安心したのである。

「ミルディアさん?どうかしましたか?私の顔をジッと見つめちゃって。何かついているのかな?って思っていましたけど。違いましたか?すみません勝手に顔を見たりしちゃって、もしかしたら私がミルディアさんの顔に何かついてしまっているのではないかと思って。その確認のために、見ていたんですよ。もしかすると何かがついていて。その何かのせいで私を見ていたという可能性もありますし。一応、何かがついている可能性を考慮して自分の頬に手をあててみたんですが。やっぱり何かが付いているわけではなかったので。それでその、なんといいますか、ちょっと恥ずかしいんですが、やっぱり自分の見間違えだったという結論にたどり着きました。急に、人の顔を見てしまったりした事を許してほしいです。それではこれで失礼します。ラガス様がラガレス様にお会いになる際に護衛をつけるという話が出ていましたが、護衛の方はこちらに向かわせてもよろしいですか?」

そう言われたので。俺はミルディアさんの言葉を聞き終えた後。護衛は要らないと答えてから、リディアが今、何をやっていてどこに居るのかを確認してみる事にしたのであった。

するとミルディアさんが、ラガレスさんの従者さんでリディアさんの事を気にかけている人がラガレスさんの護衛をしていると教えてくれたのである。なので、とりあえずそのリディアさんに、これから俺が言う内容について伝言を伝えてもらえるようにラリアスさんに頼むことにしたのであった。その頼みを聞いてもらうためには、一度ミルディアさんとリディアスさんを連れてリディアの所に行こうと提案したのだが断られてしまう。その事で、少し疑問に思ったことがあったので、リディアについて知っていることはないか尋ねてみると。

「リディアさんはラガレス様のお屋敷にいます。私も、その護衛の女性とラガレス様と一緒にいる姿は何度も見たことがあります。ただ私はリディアさんに直接あったことはないのであまり詳しくはありません。ごめんなさい。役に立てなくて」

リリアさんやリディアさん達とは知り合いみたいだが。リディアさんについては、本当によく知らないようだ。

リディアの従姉妹について調べている時。リディアの友達に、リディアさんについて詳しい人がいるという情報を得た。だからその人を紹介してもらうことにしたのだ。そしてその人は今リリアさん達の家に住んでいるというので。今日一日お邪魔する事にしていた。

リリアさんとリリアスさんの家に到着したのだが。そこには、リディアさんがいつも連れていた女性と同じ人が出迎えてくれていて俺達はその人に案内されるまま家に上がる。そこで俺はリリアさんが作ってくれた昼食を食べさせてもらったのだが。この国の主食が米だということをこの日初めて知ったのだが、すごく美味しかった。そしてこの世界の食文化についてもいろいろ知ることが出来て良かった。

この世界の料理でパンや肉類を食べる文化はない。なぜなら、穀物類の値段が高いのと調理方法がそれほど普及していないからだそうだ。そのため肉は保存食でしかないらしい。その辺は地球での知識を使っても同じようなものだった。俺は異世界から来たということを伏せたままこの世界での食事事情などを詳しく聞いたあと。リリアさんにリディアさんについて知っている人について聞いてみるとその人と話をする許可が出たので、早速話を聞くことにした。そして、その人物を紹介されたのだが。

その人はラガリアさんの側近である、リディスさんという人だったのである。俺は、リディアさんの従姉妹の情報を持っているかもしれないと伝えるとその人がどんな存在で何が出来るのか説明してもらえるようにお願いした。

すると、リディスさんは、すぐにリディアさんの従姉妹の存在を教えてくれた。

まず最初にリリアさんが言っていた、リディアさんの友達というのが彼女で間違いなかったようで。

「私はその従姉妹のことを覚えていますよ。確か、名前までは覚えていませんが、彼女はラリアス君と同じくとても強い力を持っていましたね。でもどうしてその子を探すのにリリアスと協力することになったのですか?」

「ラガレスの従姉妹を探して保護してもらうのと。それからもう一つ。俺は従姉妹の情報をあなたから聞き出そうとしています」

「それはどういう意味でしょうか?なぜ私がその従姉妹を探していることを知って、それから私が従姉妹を探しているということを教えたのですが。もしかして、貴方はリリアス達が話している私と会ったことのある方ですか?そして私に会いたいと思っているとか。それなら今すぐに会いましょう」

俺は突然リリアさんにリディアさんはどこで働いているのか尋ねる前にそう聞かれたので正直に答えることにする。

「はい。そうです。俺はあなたに会いに来ました。それと俺から質問させてもらっても良いでしょうか?」

「はい。どうぞ何でも聞いてください。答えられる範囲なら全てお話しします」

「まず最初に。リディアさんはどこで働かせられているんですか?」

「そういえば貴方はラリアス君の従者なのよね。でもラリアス君はこの国でリディアの事を聞いた事ないわ。それにラガリア様に聞こうとしても絶対に何も喋ってくれないし。私だって従姉妹の居場所を聞こうとして失敗したことがあるぐらいなのに。どうやって従姉妹の事をラガレス様に聞こうとしていた私に気がついたの?まあそんなことはどうでもいいわね。リディアの居場所が知りたいんでしょ?それならリディアのいる場所を教えるから、私と一緒に来てください。そして私が、貴方が探しているのは、ラリアスさんに、私の従姉妹だと言えばラガレス様は信じてくれると思います。ラリアスさんに、私の従姉妹に何かがあったのですかって。それで事情を説明することになるけど、ラガレス様がリリアスの話を聞いたら、きっとその従姉妹を探そうとすると思うけど。それで良いの?もしかしたら貴方も巻き込む事になるかも知れませんがそれでも大丈夫ですか?」

「もちろんです。よろしくお願いします。俺もリディアに用事があるんですよ。俺の知り合いに、ラディアスさんが居るんだけど。彼が、行方不明になった自分の妹を捜しているという話をして。リディアさんが行方不明になったという事を聞いていたのに、俺は、その時のリディアの表情に違和感を感じたんだよ。それがなんだったのかわからない。でも俺は、そんなリディアさんに、元気になって欲しいから。ラディアさんの従姉妹に会えば何かわかるんじゃないかと思って。リディアさんが今どうしているのかが気になっているんだ」

そう言った途端にリリアスさんの目に涙が溢れてきた。そして俺に向かって深く頭を下げたのであった。そんなリリアスさんを見た後。ラリアスさんも真剣な目つきになり。

「俺にも、その話聞かせてもらえるか?リディアは今どこに居るんだ?頼む!あいつが心配なんだ。もしあいつが無事で今もまだどこかにいるっていうんなら俺は安心したい。もう二度と大切な人を失いたくない。リディアにもしものことがあったらと想像しただけで不安で夜も寝られないくらいだ。そんな時にお前が、その妹のことで、しかも、あのリリアスの言う事が本当だとしたら俺の従姉妹の話が出てくるじゃねえか。俺が、こんなこと言ったら不敬になるかも知れないけどよ。俺の従姉妹が、もしかすると魔王の手先に殺されてしまった可能性があるかもしれねぇと思っていてよぉ。そしたらよぉ、俺の目の前にリリアスが居たんじゃねぇか。これは俺の都合のいい夢じゃないのかって疑っちまったよ。そんな訳で、その話俺にも教えてくれないか?」

「ああわかった。ただその、少し落ち着いてくれないか?俺は、ラリアスさんがそんなに動揺しているところを見たことがないんだ。だからさ、俺の前で冷静さを保ってほしくて、リディアさんについて話すことを少しだけ遅らせたってのもあるんだけど。ラリアスさんはラディアさんの従姉妹が行方知らずになっている事を知っているようだし。そこまで動揺することではないはずだ」

そう伝えたが。ラリアスさんは、それについてはあまり納得出来ていないようだったが、取り敢えず落ち着きを取り戻してから話を聞いてくれる事になった。そして、まずはリディアさんについてリリアスさんと話をすることになったのであった。

リリアスさんが、リディアさんが今何をやっているのかについては全く知らなかったので、リディアさんの友達だという、リリアスさんにリディアさんについての事を尋ねてみることにした。すると彼女は俺の予想していなかった言葉を返してきたのだ。

「すみません。ラガス様。私がリディアと友達になったのは本当に最近の出来事で、私達の関係はリディアには秘密にしているんです。でも私は、ラガス様のことを信用できます。ラガス様なら教えても、ラガレス様達にバラすような真似はしないと信じて言います」

リディアの従姉妹は、俺やリディアと同じように転移のスキルを所持していたようだ。そしてリディアさんの友達のリリアさんはその人と一緒にこの世界にやって来たそうだ。

「その、リディアさんの友達は今何処に居るんですか?」

「今はラガリア様に匿われている状態で、私もその人の住んでいる家に行った事はあります。そこで暮らしている人達はとても穏やかで優しい人が多いです。ラリアスさんのような人ばかりですが、その中にラガリア様の従姉妹のリリアさんと、その従姉妹であるリディアちゃんが住んでいます。

でも、ラガリア様にその従姉妹の存在がバレるとまずいことになりそうで。私はその人と仲良くなって一緒に行動していたから、その人が、従姉妹を探しにこの国に戻ってきた事を知ることが出来たので良かったのですが。その人は私と違ってこの国で暮らしていますが、従姉妹のリディアとは会うことは無いでしょう。そのリリアさんという方もこの国で働いてはいません」

俺はその言葉を聞き、この国の人なのか。そのリリアって人とは会えないのか聞くと、この国が今危ない状況にあるためその従姉妹に危険が及ばないようにする為、今は外に出ることを許されていないのだと教えてくれた。そして、その人に会った時の為に、名前を教えてもらうことにした。

そして俺達はリディアの従姉妹について知る為に。

リリアスさんがリディアさんについて詳しいと聞いたので彼女に、俺がリディアさんを捜索している事を伝えてから、リディアさんの事を聞くことにする。リリアさんにリディアさんのことを聞いてからラガリアさんの所にリディアさんを連れていくことは出来るのか尋ねることにした。だがリリアさんは、リディアさんにラガリアさんの居場所を教えてはいけないと言われていて。ラガリアさんの所まで行くのは難しいだろうと言われる。それでは俺はどうしようかと考えていたのだが。そのリディアさんの従姉妹がリリアスさんの友人でもあると聞いたリリアスさんは俺の質問に対して答えるのだった。

「実はリディアがこの国から逃げ出したのは私のせいでもあるんです。だからラガリア様には従姉妹が見つかった事を言わずにこのまま逃げようと提案するつもりでした。ラガレス様に、この国を出ていく前に、従姉妹の事を伝えると、ラガリア様はこの国から出る事を認めないだろうと考えたので。でもラリアス君とリリアスがラリアス君の従者になったことで、この二人ならリディアがこの国で何をしていたのか知っているかもしれないと考えて。この二人がラガリア様に伝えに行くなら、その従姉妹がリディアの従姉妹だと言うことを隠して伝えるようにすればいいと思い、リディアの居場所を知ってもらう事にしました。ラリアス君は私にとってラリアス君以外の人間で唯一心を開けている友人です。そして、リリアスが居るのであればリディアが生きているかもしれないと思うのも当たり前だと思うので、それならその事実を告げればラガス様は、ラリアスの言う事を聞かずに、従兄妹を探しに行こうとすると思ったのです」

そう言われて俺の脳裏に、ラガリアさんがリリアスさんにラリアスさんに何かあった時は、必ず助けろ。ラリアスは俺が殺したことになっているからお前は絶対に疑われることはないと言っていたのを思い出したのである。

ラリアスさんがリリアスさんの従姉妹を俺が殺してしまったのではないかと思っていることは間違いないだろうな。それなら俺がラリアスさんを安心させるために。ラリアスさんが、俺のせいで従姉妹が亡くなってしまったと考えているのならば。リリアスさんに従姉妹が生き残っている可能性がある事を伝えた方が良いんじゃないかと考えるが。

俺がそれをリリアスさんに言おうとする前に。リリアスさんはラリアスさんに。

従姉妹の行方について教えると約束してしまう。

俺の考えていた通りに行けばリリアスさんからリディアさんの情報をラガレスさんに伝える事になるが大丈夫だろうか。俺は少し心配になるものの。リリアスさんに確認を取ってみる。そして俺は、ラリアスさんにはリディアさんの消息について、リリアスさんの従姉妹だと伝えておくと言って。

俺達が従姉妹だと伝えたらラリアスさんに、ラガリアさんを怒らせる事になるかもしれない。そのリスクを考えて欲しいと頼むが、彼女はその程度なら大丈夫だと、自信ありげに返事をする。そして、その程度のことで怒られるくらいだったら、自分の従姉妹の命が掛かっていると言われたほうが怖いから大丈夫だ。それにもしリディアが生きていれば。ラガレス様に殺されてしまっている可能性があると伝えた方がもっと怒らせてしまう可能性が高いしねと笑っていた。確かにそれもそうだよな。そのリリアスさんの笑い声を聞いたラリアスさんは。彼女の顔を見据えながら真面目な表情になっていた。

俺はリディアさんが今何をやっているのかが少し気にになったので、少しだけ探ってみると、なんと、今リディアさんはリディアさんで大変な事に巻き込まれているという事がわかってしまったのであった。

そしてリディアさんの従姉妹のリリアさんが行方不明になってしまった事を聞いて、その従姉妹を捜したいのだと伝えたら。俺にリリアさんが今どこに居るかを調べて欲しいと頼まれてしまった。なので、まずはどうやってリリアさんを見つけ出せばいいか考える。しかし今の俺に、そんな事を調べる術はなく、どうしたら良いかわからなかった。するとリリアスさんに一つ考えがあると言うのである。

「ラガス君もさっきからずっと悩んでいるようだけれど、その悩む時間がもったいないわよ。まずは情報を集める必要があると思うの。まずは、私と一緒に冒険者ギルドに行ってくれるかな?ラガレス様もそこに居るはずよ。それとラガレス様の従者達には私達三人の正体について黙っていてくれる?」

「あぁ、わかった。でも俺も、さすがに魔王の手先がリディアの従姉妹だったって事は驚いたぜ。魔王が絡んでいるならなおさら放っておく訳にはいかないんだよ。それでよ、さっそくリリアさんについて調べに行こうと思っていたんだが。そっちにもリリアさんの従姉妹について、もう少し情報が欲しいんだ」

俺の言葉にリリアスさんとリリアスさんが連れて来た二人は驚き、少し固まってしまうが。すぐに立ち直り、自分達が従姉妹の情報を持っていたことを告げる。それだけではなく、今リリアさんが何処で暮らしているのかについて教えてくれるのであった。

俺がリリアさんを探し出そうとする理由を説明すると。彼女達は俺に協力してくれることになり、一緒に行動することになった。俺は彼女達にリディアさんや、リディアさんと仲の良かった人達がこの国にどれだけ来ていたのかを聞くと、かなり居たという事で俺は、その中に俺やリディアさんと同じ転移持ちがいなかったか聞いてみたが、俺達の他には転移持ちは一人もおらず、転移が使えるのはこの世界で確認されている中で二人しかいないそうだ。ちなみに転移はレアな能力ではないそうだ。

そういえば、俺と同じような転移持ちはいないのかという俺の質問に、リリアスさんは、今はまだ見つかっていないけど、その内見つかってくれると嬉しい。だってこの国は広いから、いつかこの世界中から探し出すのは不可能なのだからと。転移の能力を持っている人は、俺以外にも居るようだが、俺以外には会ったことがないようだ。

俺が転移を使えないという事を言うと、転移スキルの使い手はかなり少ないとリリアスさんに教えてもらった。そう言えばラガリアさんの部下の人も転移のスキルは持っていないと話してくれた。

「転移スキルは貴重なの。だから転移を使えたら優遇されることが多い。例えば王都にあるダンジョンとかに探索する場合に重宝される。まぁ私はそこまで凄い人を見たことがないんだけどね。リディアとラリアス君の転移スキルのレベルはどれぐらいなのかわかる?」

「俺はLv6だよ」

俺はその質問に正直に答える。そして俺はもう一つ質問していいかと聞くと。構わないと答えてくれたので俺達はこの国から逃げる時に、ラディアスさんと、ガルムを転移でラガリアさんの元へと送り届けた時、ラガリアさんと、リディアさんと、リリアスさんが一緒に連れてこられていた事を、どうして知っているのと疑問を持たれたが、それはリディアさんから話を聞いたからだと告げると、納得していたのだった。

そしてその質問に対してリリアスさんは答えてくれる。

「ラリアス君はLv4だけどリディアがLv3でリリアスは2なの。私が見た時はリディアのスキルは、鑑定眼っていうスキルしか持ってなくて、私達の仲間になってすぐの頃だからまだレベルは低かったけど、あの子って元々レベルが上がりにくい体質みたいなのだよね」

俺がラディアさんのスキルの話を詳しく聞きたいと伝えると。彼女は、それならば、これから向かう場所に着くまでにラガリアさんの事を色々と教えて欲しいと頼み込まれてしまい。それならばと。俺もラガリアさんについて教えてもらおうと思うのだった。俺はとりあえず俺達がこの国に来た目的と、リディアさんが生きているかもしれないことをリリアスさんに伝える。リリアスさんはそれを聞いて喜んでいたが、それでもラガリアさんには会わせてもらえないかもしれないと言われてしまう。

「一応、リガリア様に従姉妹が見つかったことをラガレス様に伝えたら。その報告を受けたリガレス様はきっと怒り心頭だと思うからね。でも大丈夫だと思う。だってラガス君のおかげで、従姉妹が生きている可能性がでてきたからね。もし従姉妹が見つかった場合、ラガレス様はラリアス様からその従姉妹について聞き出して。その娘をラガレス様の養子にする気でいるはずだから、ラガス君は、もし従姉妹が見つかれば、その娘の身元を引き取ってラガレス様の養女として育てればいいのだから。ラガレス様はそのつもりで、ラリアス様から従姉妹の情報を貰っているはずだからね」

そして俺達がこれから向かっていた場所は、リディアさん達が暮らしていた街だと教えられる。それだけでなくリディアさんが住んでいた家の場所も教えてもらい。そして最後に。従姉妹の居場所を教えてもらう。従姉妹のリリアさんは、ラガリアさんの屋敷から少し離れた小さな村に住んでいたそうだ。

俺はリリアさんが住んでいる場所に着いて驚いた。なぜならその村はもう廃墟になっていたからである。その村で俺達は村の人から話を聞くと。リリアさんと彼女の両親はラリアスさんの部隊により皆殺しにあったらしい。

俺達がそんな事になっているなんて思わなかったから、本当に残念だと思った。リリアスさんからその事を聞いたラガリアさんはラガレスさんの怒りを抑えきれず。そのまま暴れまわったそうだ。

リディアさんから従姉妹の話を聞き出したラガレスさんは。その後、ラガレスさんは、従姉妹を捜しに行くと言い出し、リリアさんの従姉妹のリリアさんの住む街の方へとラリアスさんと二人で向かい。そこでラリアスさんを逃がすとラガレスさんもどこかに行っちゃったそうな。そのあとのラガレスさんがどうなったかは知らないそうだ。

(ラガリアさんの気持ちもわからないでもないな。リリアさんが死んでしまいその妹が生きていると知れば、ラガリアさんも冷静では居られなかったのだろう)

俺は、リディアさんの住んでいた家に向かって歩きだすと。俺達がリディアさんの家を尋ねてみると。そこは綺麗に片付けられていて誰も住んでいないような様子だった。

リリアスさんが言うには、その家は、今ラガリアさんの配下によって管理されているという事だ。なので俺達はその場所を後にすると、次に従姉妹がどこにいるのかという話になる。そして俺が、この辺りで人がたくさん集まれる施設ってないかとリリアスさんに尋ねると。

「それなら、ここの近くの村に住んでいる人達が交流する為に作られた、集会所が近くにあるよ。そこに行けば、何か情報が見つかるかも。その情報次第だとは思うけどね。それに従姉妹の行方は、私の知り合いにも当たってみるよ」

「あぁ頼んだよ。じゃあ行こうか」

俺が集会所に案内して欲しいと頼むと。俺達を先導しながら歩いて行く。

俺が集会所の前まで行き。中に入ると。リリアさんがどんな人物なのかはわからなかったが。おそらくここに居るであろうと思われる人に話しかけてみる。すると俺に反応する声があった。どうやらその人は女性のようだ。俺が、貴方は誰なのかと聞くと。俺の顔を見て驚いていた。

「もしかして、ラガスさん?もしかして、ラガスさんですか?」といきなり名前を呼ばれてしまったのである。しかも俺の名前を呼んでいるのは女の子だった。しかし、この少女の事を俺は知らなかった。

俺はリリアさんの事について教えて欲しいと頼むと、この人は、自分の事よりも先に俺の名前を知っていてくれた事を嬉しがっていた。それでこの子は一体何者なんだろうか。俺と面識のある人だったっけな。と思い、必死に記憶を呼び起こそうとしたが、俺の知り合いの中に、俺にそんな馴れ馴れしく接してくる子が居なかったので、思い出せないでいた。

そんな俺の態度を見かねたリリアさんが、自己紹介をしてくれる。

「あっそうですよね。ごめんなさい私、ラリアスさんの従姉妹にあたるリリアと言うんですけど。その。ラガスさんが、お城で私を助けてくれた時に私、気絶していて。気がつたら、ラリアスさんとリリアスさんに抱えられ、王都の城に連れて行かれて、それからはずっと王都の学園にいたものですから、あまり外にも行けなかったんですよ。だからその、もしかして、覚えていないのかなって。その。私がこの国にやって来た理由は。ラガレス様の命令を受けてなのです。ラリアスさんがこの国に戻ってくるまでは、王都の城で暮らす事になったはずですから、私はこの国の人じゃないんですよ。でも私は、ラリアスさんの妹として、ラガレス様に認められたからこの国にやって来ました。ラリアスさんがこの国に戻って来ると知っていましたからね。その時に、ラガスさんに会う事が出来るんじゃないかと思って、それで私もこの国に来たのですよ」

俺がどうしてこの国に来ることができたんだと聞いてみると。この子もまた。レアなスキルを持っているようで、ラリアスさんと同じレアなスキル持ちなのだ。俺のようにスキルを封じる力はないが、それでも、レア度で言った場合。レアなスキルの使い手と言えるそうだ。そして俺達はお互いが転移持ちのレアスキルの持ち主だという事で話が盛り上がったのであった。

俺達がお互いに話を楽しんでいるとリリアさんに、リリアさんに近づいてくる人達がいた。

「あれ、あなたもしかしてリリア?」と一人の男性が話しかけてくると、その男性の声に反応して「あっラガスさん」と言い出してきたのだった。

俺はこのリリアさんに近付いて来た男性は一体誰なんだろうと不思議に思ったのだが。その男が「僕はこの子の兄でラガリアだよ。ラリアスさんから頼まれて。君が転移で逃げてすぐにリリアスさん達も君を捜すために。ラリアスさんを連れてこの国を出たからね。リリアスさんとは一緒に居なかったのかな?その様子からするとまだ出会ってないようだね。でも僕がリリアスさんの従姉妹と仲良くなってくれていたら嬉しいな。だって僕の大切な妹だからね。それにしてもラガスさんはこんな可愛い娘と知り合いになれたんですね。ラリアスさんが帰ってきたら羨ましがられるだろうな」とリリアスさんは、そんな事を言いながら、俺のことを睨みつけてきたのである。

そして俺達の元にやって来た女性達と俺が話をしている間、その女性達がこちらに来てから、リリアさんと話をしていた男性二人が少し離れたところに移動して何かを話し始めた。そしてその二人の内の一人が俺達に、そろそろこの村を離れようかと言ってきたのである。

その二人から俺にお願いをされた。この村で何かあった時の連絡役として残って欲しいと言われたのだ。俺はそんな事を言われる理由が分からず。俺にはラリアスさんに知らせる事は何もないから無理だと断る。

俺はとりあえずこの場に残ることだけ伝え、ラガレスさんの事は諦めるように告げると。二人はどこかへ行ってしまった。

俺達はその後リリアさんと別れた後、ラリアスさんの従姉妹の居場所を探す事にするのだった。

(まさかラリアさんの兄妹にあんな美人の女の子がいるなんて。しかも俺が知っている子に似ているし、そのせいでちょっと気になってしまったんだよな)

俺がリリアさんの事が頭から離れずにいたが、何とか気を逸らす為にラリアスさんの従姉妹について考える事にしてみたのだった。

「えっと、リリアスさんの従姉妹は今、どこに住んでいるの?」とリリアさんに向かって尋ねてみると、「リリア様のお姉さまはこの国を出て行ってしまわれたの」とリリアスさんに説明されてしまったのだった。

リリアさんの姉というのは、やはりというか当然のように。そのリリアさんの従姉妹がラリアさんが探していた妹だと思った。そして俺はもしかして、この辺りに村がないか尋ねてみることにしたのである。もしかしたらリリアさんがその村についての情報を知っているかもしれないと期待したが、どうやらその村にはリリアスさんも行った事があるそうだ。

リリアスさんが俺達に、ラリアスさんがその村の村長の娘と結婚するはずだったんだけどね。結局は、ラガリアさんとの結婚が決まったみたいだけどね。と言っていたので俺はその村に、リリアさんの従姉妹が住んでいる可能性が高くなると思い。まずはそのリリアさんの従姉妹の家に向かうのだった。

だがその村の場所はここからかなり離れているそうだ。リリアさんがいうその村はここから二週間程歩いたところにあるそうだ。

(リリアさんが嘘をついていなければ、あとはリリアさんの妹のリリアさんに会えば。リリアさんの姉のラリアさんの消息はつかめるだろう)

リリアさんが俺に、リリアさんの事を聞きたいと言い出したので俺は、リリアスさんがリリアさんの事を覚えていなかったのに、どうして覚えていたのかを尋ねてみることにする。するとリリアさんは俺に対して警戒心を解いてくれたのか。普通に会話をしてくれるようになった。その様子に俺は、この娘はもしかしてリリアスさんが言っていたように、この国のお姫様なのではと疑問を持つようになる。俺がこの国のお姫様ですかと尋ねると、リリアさんに俺が失礼な事を聞いたのに、怒ること無く、笑って許してくれたのである。それで俺がなぜこの国にいるのかを話すと、どうやら俺が転移で逃げ出したのを見て慌てて追い駆けて来て、それからはリリアスさんと一緒に行動するようになったらしい。それでラリアスさんに言われ、ラリアさんを探し出す為にリリアスさんと共にこの国にやって来たと言う事のようだ。

「私達をこの国に運んでくれたあの人はどこにいるんですか?」と聞かれたので、その人は今頃別の国で仕事をしている筈だと伝える。それを聞いてリリアさんは「そうだったの」と残念そうな顔をしていた。俺がリリアさんを元気付けようとしたのだが。リリアスさんの妹に悪いと思い話題を変えることにした。するとリリアさんはラリアさんの事を思いだし。寂しくなったのであろう。泣きそうになっていた。それを見た俺が慰めようとすると。リリアスさんがそれを止めるのである。どうやら俺の行動に不信感を覚えたようだ。俺は別にこの国の人達が、ラリアスさん達の敵であるわけではないので、この国の人達と仲良くなってもいいと思うんだが。

「確かにその通りよ。でもねラガス。私の妹である、ラリアは、この国の王女でもあるのよ。もしかしたら貴方がこの国の人と仲良くなったりしたら。もしかしたら、私達がこの国に帰って来た時も貴方をこの国に連れて来るように言う可能性があるでしょう。そんな危険な事私は出来ないのよ」と言われてしまう。そしてリリアスさんが俺を睨んでくるので。俺達はリリアさんの従姉妹の家に行く為の足を止めてしまい。ラリアスさんに助けを求める事になったのである。

俺達がリリアさんの従姉妹が暮らす村へと向かっている途中にある町が、ラリアスさんの従姉妹が住む村の直ぐ近くに存在するので。リリアさんがこの村に来る際に使っていた転移で行く事になったのであった。

「えっと、リリアさんは、その、どうしてラリアスさんを探していたの?」と俺が尋ねると。「お母様が、リリアス様の事を心配されて、リリアにリリアスさんを捜し出してきて欲しいと言われたから。だから私はお父様の命令でこの国に来たのです」と答えてくれた。

俺はラリアスさんは本当に、この国の王様になったのかと確認の為に聞いてみると。ラリアスさんはまだ正式には、この国の王ではないらしく。あくまで仮の王であり。国王代理を務めているだけらしい。それでラリアスさんがこの国に戻った際。その国王代理の席を、この国から奪ったそうだ。

(なるほど。ラリアスさんはそんな事をしていたのですね。もしかしてラリアスさんがラリアスさんの従姉妹を探さないと行けないと言った理由は、自分がいなくなった後のこの国が、ちゃんと回るかの確認の為でしょうか?それともこの国を支配している者達を倒す準備が出来たからこそ、自分の従姉妹を助けようと動いているのかもしれませんね。ラリアさんはきっと優しい人なんでしょうね。だってこのラガリアさんのお父さんに。この国を託されるほどの人ですから)

俺はラリアスさんがそんな理由で、ラリアさんの従姉妹を捜そうとしていることを理解したのだった。

俺達はラリアさんの従姉妹の家が在るという村の近くまで来ていた。

「ここだよリリアさん。確か名前は、サーシャだったかな」と俺が言うと。リリアさんも「私が聞いた名前と同じ」と驚いていた。俺がリリアさんに向かってラリアスさんの従姉妹の事は、どんな子だったのか尋ねてみると、どうやらラリアスさんの従姉妹のサーシャさんはラリアスさんより三つ上の十七歳だそうだ。リリアさんはラリアさんの従姉妹とは同性だったのでよく一緒に遊んでいたという。

(なるほど。リリアさんも結構可愛いからな。俺も年が近いなら少しぐらい仲良くなりたかったかも)

リリアさんがラリアさんの従姉妹と友達になれて嬉しいと喜んでいるので。俺もその娘に一度会ってみたいなと思っていたのだった。そして俺がそんな事を考えていてぼーとしている間に。俺達が村に着いていた。

「えっと、サーシャさんっていう人が暮らしている家はどこか分かりますか?」と俺が尋ねると、「多分そこだと思うけど」と言いつつリリアさんはその場所を指差した。そこは小さな一軒家でそこに、人の気配があるのが分かる。

家の前まで着くとそこには、家の中から何か言い争いをしているような声を聞こえるのだ。どうやら誰かの家に、押しかけているようだ。そして突然、大きな物音を立てながら何かが壊れる音が聞こえてきた。俺は慌てて扉を開き中を確認すると、そこでは十代半ばに見える女の子二人が殴り合いをしていたのだ。俺は慌てて止めると少女二人はお互いに距離を取りこちらの様子を窺っている。

(どうやら女の子同士なのに喧嘩をしてお互いを蹴飛ばしあっていたようだ)

すると片方の少女が「何者!」と言ってこちらを睨みつけて来たので、俺は事情を聞くためにその少女に声をかける事にした。

「えっと。もしかして君は、君がリリアさんが言っていた、リリアさんの従姉妹なのかな?」と俺が尋ねてみると、「お前は誰だ」と警戒しながら言って来る。その様子に俺は苦笑いをする事しかできなかったのである。俺はラリアスさんの事について、知っていることをすべて話すと彼女は安心してその場に座り込んでしまった。俺と彼女が話を終える頃にはもう、辺りも暗くなっていた。俺は今日はこの辺で野宿をしようと思いリリアさんにその事を告げると、彼女達二人も賛成してくれたのだった。

そして俺達3人は焚き火を囲むようにして夕食を食べ始めるのである。俺はラリアさんから預かったお小遣いで食材を買うつもりだったが、何故か二人の女の子にも料理を作ると申し出られたので、俺は断れず。三人とも料理が出来るのかと思って期待し。美味しくないかもしれないよと一応断りを入れておいたのだった。

俺はリリアさんともう一人の少女のリディアが俺の作った食事に手を付けて、口に運ぶ姿をドキドキしながら見ていた。

リリアさんにはラリアさんに頼まれてラリアスさんの従姉妹を連れ戻して欲しいと言われていたし。リリアさんがラリアスさんの事が好きだと言う事も聞いていた。それなので、俺はてっきりそのリリアさんの気持ちを察したのか、リリアさんが、ラリアさんの従姉妹を連れてきてくれと、リリアさんを頼ったのではないかと思っていた。

だが俺が想像していたのは、リリアさんに好意を持っている男性がリリアさんと恋人になりたいと思い、リリアさんを利用した。またはただ単純にリリアさんを利用してお金や、自分の欲望を満たしたいと思いリリアさんを騙すようにこの国に連れ出した。もしくはリリアさんとこの国に観光をしに来たリリアさんに近づき。誘惑をしたのではないかと予想をしていた。

しかし俺が思っていたこととは違い。二人はリリアさんのことを本当に大切に思っており、だからこそこんなにも急いで行動を起こし。この国に来てまでリリアさんを捜索しているようだ。リリアさんの話だと。どうやらリリアさんはリリアさんのお姉さんのラリアスさんの事が好きだったらしいのだが。そんなリリアさんが行方不明になってしまい。その事でリリアさんは自分の事を心配してくれた姉のラリアスさんが自分を探してくれる為の条件として。ラリアスさんの妹のサーシャを探し出して来いと言う命令を受けたらしい。それでこの国のラリアさんの従姉妹である少女リディアナのところにやってきたと言う訳のようだった。それでラリアさんの従姉妹のサーシアを探すのに協力してくれと言うので俺は二つ返事で了承する。するとそこで俺の魔法鞄に入っていた携帯食を食べようとしていた一人の女の子が急に俺に抱きついて来たのである。

「ちょっ、え、な、何を!?」と慌てる俺。しかしそんな事お構いなしか、そのまま俺の事を抱きしめたまま。泣き始めてしまうのである。そしてそれを見たリリアさんとリディアナさんも、何故か一緒に泣いてしまう。そして三人はまるで、今から死地に赴くような感じで話し合っているのだ。

(俺も覚悟を決めて行くしかないよな)と心の中で呟く俺。俺はそんな三人の様子に困惑しつつも。彼女たちがどうしてそこまでこの国を救おうとしているかを聞き。その理由を聞いて、納得をしてしまうのであった。

(なるほど。つまりリリアさんはリリアスさんの願いを叶えようとしているのではなく。自分の恋を実らせる為にこの国を救いたいという事ですか。そしてそれはリリアさんと仲の良いリディアナさんも同じようで、それにリリアさんも気付いたみたいですね。まぁリリアスさんは、リリアさんに対しての気持ちを伝えて居ないので、恐らくリリアスさんは、自分の本当の感情を、リリアさんが知ったと思っているでしょうね。でもリリアさんは、ラリアさんの事が好きで。ラリアさんがラリアさんの妹のサーリアさんのことが好きなことは知っていますからね。そのサーリアさんが実は魔王の娘だと言う事実に驚きながらも。それでもサーミアは可愛いので仕方がないと思ったりしていますから)

俺達は夜が更けるまで話し合いを行いこの国がこれから起こる戦争を回避する方法を模索した。だが結局結論が出ないままこの日は終わるのだった。

俺はこの日寝泊まりをしていた場所で朝を迎える。俺がこの村で目覚めてから四日目になるので、今日中に村を出ることを決めていた。俺達は朝食を取り、準備を整える。リリアさんが村を出る準備をしている時に、俺はリリアスさんの事を思いだす。

(あの子は、本当にいい子だったな。もしかしたらラリアスさんと付き合えるようになっていた可能性もあるだろうに。どうしてサーリアさんは、サーリアさんとラリアさんが出会うと死んでしまうのでしょうかね。しかもそれがラリアスさんのせいのように言う人がいるけど。そんな事をラリアスさんが言うわけないし。そんなこと言ったとしても絶対にラリアスさんなら、自分の従姉妹が殺されるはずが無いと否定してくれるはずだ。だからきっとサーリアさんが殺された理由を知っている人物、あるいはサーリアさんを殺すように指示を出した人物が、誰かが分かるまでは。俺はサーリアスさんの為にも、必ずこの国を救うことにしよう)

俺はリリアさんとリディアナさんに、サーリアさんを生き返らすことが出来るかもしれないから少しの間だけ待っていてくれと言い、俺はラリアスさんの従姉妹のサーシャさんが暮らしている家にやって来たのだった。俺がサーシャさんが住んでいる家に行くとそこには、まだ十代半ばに見える少女のサーシャの姿はなかった。俺は慌てて外に出ると家の扉の前に。手紙が置かれていたのである。

そこにはこう書かれていた。【私のせいで皆には迷惑をかけて申し訳ないです。ですが私の家族に危害を加えた者を私は許せない。その為私が死ぬ前にどうしてもやりたいことがありますので行かせてもらいます】そう書かれていたのだ。

そしてそこには俺宛に書かれたと思われる手紙が置いてありそこには俺の事が書いてあった。【初めましてレイ様ですね?私が貴女様にお願いがあるんです。どうか私の大切な親友のアリエスの命を奪った男を探して下さい。そいつは必ず私の親友の仇を取る必要があります。ですがその男は魔族と人間族のハーフであるアリサという女の奴隷として傍に置いているという情報を手に入れていて、その奴隷の見た目は、銀髪の長い髪をした綺麗なお姉さんだという話なのですが。何か知らない情報がありましたら連絡して下さい。よろしくお願いします】と。そして俺はリリアさん達の所に戻り事情を話すと二人はすぐに動き出した。まずは村の人に事情を話し。何か知っている人がいないかどうか聞いてみたが誰も何も知らず、そして俺達はすぐに街に向かったのである。

それから数時間後に街に到着する。そして俺はリディアと別れることにする。二人はこのままサーシアの行方を捜しながら王都に向かうと言っていた。俺もその事に反対をしなかったのだ。二人はラリアスさんの従姉妹が見つかることを願っていたのだ。それならば俺が口を出す事は出来ないからだ。俺達は二手に別れることにした。俺は一人でリディアさんとは別行動をする事にした。俺は、とりあえずこの街にある図書館で、魔王に関する文献を調べようと考えていたのだ。

だが、俺が本を読み漁ってみても、リリアスさんの妹が、どうして魔王にされてしまったのか分からず仕舞いである。俺はそんな状況になり一旦休憩しようと思い宿屋に戻ろうとした時。俺は見覚えのある姿を見つけるのである。

(あそこにいたのは確かリリアさんだよね?)と俺が思うのも無理はない。なぜならリリアさんともう一人の女の子がいたのである。俺は二人の様子を陰から伺うことにしたのである。

そして俺は二人が何を話しているのか聞き取ろうと思ったが、声が全くと言って良いほど聞こえてこなかったのである。

「あの、そろそろお話をしても良いかな?」とリリアさんがもう一人の女の子に声をかけていた。

「う、うん。ごめんねリディア」とリディアが返事をしていた。そして二人の会話が再開するのであった。どうやらリディアは自分が魔王の娘だとバレてしまっても。それを気にせずにいてくれる。リディアの事を気に入っていたようである。俺はそんなリディアを見ていて嬉しくなった。リディアがラリアスさんの事をどう思っているのかは分からないが、リディアはリリアさんととても仲良くなっていたのだ。そんな時にリディアの従姉妹であるリリアがやって来て。その従姉妹を連れ戻したいと言われてしまって困っていたらしい。俺はそんなリリアさんの悩みに気が付けなかった。

それどころか、リリアさんの願いを叶えたいと思い。ラリアさんの従姉妹を探すのを手伝ってくれないかと頼まれ。俺は二つ返事で承諾してしまったのである。するとリディアは、何故かリリアと一緒になって涙を流していた。それを見たリリアはリディアを抱きしめたのである。

(やっぱりリリアさんにとって、このリディアナは大切な友達なんだな。それにリディアナが、本当に魔王の娘であると知ったからといって。リリアさんは変わらずに、こうしてリディアナに接していられるんだろうな)

俺とリディアがそんな感動的な再会をしている最中にもリリアさんが、この国の状況をリディアナに聞いていたのである。そしてこの国は魔王によって苦しめられていると知ったリディアナはその事を酷く悲しく思っていたようだ。

しかしそんな中、この国にも希望があった。それはリディアの存在だった。リディアナはリディアの事も大好きだったらしく。この国の救世主になるはずの人物だとも言ってきた。そしてリディアは、そんなリディアナの言葉をしっかりと聞いた後、リリアさんの願いを聞き入れたようだった。するとここでリディアナの様子が急変する。俺はそこで咄嵯に隠れてしまう。何故ならリディアナがいきなり苦しみ始めたので驚いてしまったからなのだ。そして、急に苦しみだしたのはどうやら俺が原因のようだった。

そこでリディアと俺に気付かずにこの場から離れていこうとしたリディアナは、突然苦しそうな顔になってその場から立ち去ったのである。

「リリアさん」

「はい。今のリディアナの様子は明らかに異常ですよね。急に現れて急に倒れたんですから。あれではまるで」

「はい。まるで毒に犯されているような」

「やはりクロアさんもそう感じたんですね。実はあの子が倒れたのは私達がこの国に入国してからだったんですよ。私達は、ここの村に泊まっていたのは間違いありません。だからあの子に会えたのは、あの子が起きてからすぐの事です。そしてあの子は、リディアナの従姉妹を探していると言い出しました。でも私は、サーヤと言う名前は初耳だったので誰なのか聞くと、私の事を知らないはずなのに。その従姉妹の名前はサーヤですと言うじゃないですか。おかしいと思って私が詳しくサーシャと言う人の事を聞こうとすると。リディアがその事を必死に止めたんです。だけどその時の私はどうして止めるのか分かりませんでした。リディアがあまりにも心配していたからですね。それで結局サーシャと言う名前を聞いていなかったので、改めて聞いてみると。その子は今から三年程前に亡くなっていると教えてくれたのです。ただ死因までは知らなかったので聞いてみたところ、彼女は魔王軍の手によって殺されたと言われた時は驚きでしたよ。

でも彼女が殺された理由を聞くまでは。私は信じられなかったんです。だって私の事を覚えていないはずの彼女の記憶の中で私が生き残っているのだから。だからきっと嘘だと思うようになりましてね。そんな時リディアナが私達に話しかけてきたんです。そして私は、彼女に言われた通りに彼女を休ませることにした。リディアさんも納得して彼女を任せたと言った。しかし私は疑問を抱くようになる。もしあの子が亡くなった原因が私にあるのなら。私に会いにくるはずじゃ?と」

俺は話している間中、その女性に違和感を感じていた。その女性はどこか、普通とは違った雰囲気を持っていたのである。だからかその女性が話し終わった後もずっとその女性を見つめてしまっていたのだ。

(一体なんだろう?この女性の事は知っている気がするのに。全然思い出せないんだよな)

俺は少し考えた後にこの女性が俺の師匠かもしれないと考え付いたのだった。俺は試しに確認をしてみる。すると、その答えを聞いたリディアは驚いた表情を見せた。それも当然である。俺の師匠は人間だったのにも関わらず、今では人狼になっているのだから。

俺はラリアスさんとラリアさんが、この世界にやって来るまでの出来事を全て説明した。リディアさんには理解出来ない部分もあるかも知れないけど、それでも信じて欲しかった。俺は今までのことを正直に全部話す。俺の従姉妹が魔王として生まれ変わりこの国にいるということ。俺にはその妹を元に戻す方法を知る為の旅に出ていたことなどを。俺はその旅の事を、全てリディアに話して聞かせる。そして俺は、俺達を見逃して欲しいことも伝えたのである。俺は自分の従姉妹を助けに行きたいと伝えるとリディアは、自分も行きたいと言い出したのだ。しかし、リリアさんはそれを止めた。なぜならリリアさんはこれからこの街の人達を、魔族から守る役目があるのである。それに、この街が襲撃されそうになった時に、ラリアスさんとラリアさんが助けに来てくれた。その恩を返さなければいけないとも。俺はそれならばリディアだけでもと頼んだが。ラリアスさんとラリアさんが戻って来る前に何かが起こった場合対処出来るのが、俺とリディアだけだと言ってきた。

そして俺は仕方なく、リディアと別行動をとることにしたのだった。

俺は、街を出て森の中に入り込むとすぐに魔物の群れに襲われた。

「まさかこんなところで魔物の討伐をする事になるなんて思ってもみなかったよ」と俺が苦笑いしながら言うと。俺の横に居るリディアが不思議そうな顔をして聞いてくる。「ねぇどうして一人で行くって言ったの?」と聞いて来たのだ。俺は「あぁ~。えっとだね。俺は君と一緒に行動していても良いんだけど。君のお父さんが怒るんじゃないかと思ったからだね」と俺はリディアに伝えると、「ううん。リリアちゃんもラリア姉さんもきっと分かってくれるはずだもん。それどころか褒めてくれるかも!」

そんな事を言ってリディアは笑っていた。そんなリディアを見て俺は心が痛くなるのであった。俺も魔王の気持ちがよく分かるからである。魔王は自分が好きな人に嫌われたくないが為に、本当のことを隠して偽っているだけなのだろうと、そう思えてならなかったのだ。しかし俺はそれを指摘しようとは思わない。なぜなら、それを指摘した時にリディアナが自分の存在を否定するような言葉を口にすると困ってしまうからでもあるし、また、俺がこの世界の人間では無く別の世界から来た異世界人であるとバレるともっと大変な事態になりかねないからである。だから何も言わずに俺は森を抜け出すと。今度はリディアから質問される。「クロっちってさ!どこに住んでたんだい?」「う〜ん」と答える事に困った俺は考えながら歩き始めたのである。「ごめん。ちょっと答えづらい質問だったね」と言うと彼女は笑顔を見せていた。「大丈夫だよ。気を使わなくて良いよ」

そして俺達は更に歩くこと二時間ほど歩いた頃、突然魔物に襲われる事になったのである。その時に彼女は突然走り出して俺の後ろに隠れたのであった。どうやらこの辺りの魔物は強いようだと、リリアさんは呟く。確かに俺が今まで戦ってきた中で一番強いのではないだろうか。その証拠に手加減をしながらだと倒すのに時間がかかるようになっている事に気づいたからだ。するとリディアが、いきなり攻撃を仕掛ける。リディアは短剣を巧みに使い相手の攻撃を避けて確実に相手を切りつけていっているようにみえたのだが、急にバランスを崩したのか地面に倒れ込んでしまう。

(しまった!!そう言えばリディアは、戦い方とか一切習っていなかったんじゃ無いのか!?それに武器の扱いに慣れてもいないんだろうな)

「大丈夫かい!!」と、俺が聞くと、彼女は起き上がって「大丈夫!」と答えた後。俺の顔を見て安心させようとしてくれているんだろうなと思うが「クロアは後ろに居てくれれば絶対に守れる。だって私にはクロアの力を借りているわけだし」と言われてしまった。そして俺はリデアにお願いするのである。どうか俺を守ってくれと。すると彼女は笑顔を見せながら「了解」と言って前に出るとリディアと一緒に襲ってきた奴を殲滅してくれた。そのおかげで俺は、無傷のまま戦いを終える事が出来たのだった。それから俺はこの先、リディアを一人にするのは不安だと言う事を彼女に伝えた。するとリディアは俺に謝りだす。そして彼女は俺と一緒に戦うと言うと俺の前に出る。その光景を見ていた俺は思わず嬉しくなって、顔がニヤけてしまいそうになるのを我慢するのであった。

「クロっち、リディアちゃんをお願いします」

そんな声が聞こえてくると。目の前に立っていたリリアさんが消えてしまう。しかしリリアさんの気配だけは感じていたからこそ、俺は全く慌てずに周りに視線を向けると。俺が隠れるために利用しようとしていた木の上にリリアさんは座っていて、そこで微笑みかけてきたのである。俺は慌てて彼女にお礼を伝えると、気にしなくていいよと言い残しその場から姿を消すのであった。

リリアさんのおかげで、俺は少しの間リディアを守りきることが出来たのである。そしてある程度時間が経つとおそるおそる近づいて来て、話しかけて来ようとしたリディアを手招きして呼び出す。リディアは俺に近寄ってくると心配そうに俺の事を見ながら、話しかけてきたのである。俺はリディアが無事だったことに安堵し「リリアさんのおかげだね」と言いながら、彼女に近づく。

「そうだね」と返事をしたリディアに俺が「これからリディアを守るのが少し大変になるかも知れないけど頑張ろうな」と言うと。リディアも「私も精一杯サポートさせていただきます」と笑顔で答えた。

俺達がリリアさんと合流した頃には既にリディアの服はボロボロになっていたが、俺が新しい装備を用意すると伝えてあげると彼女は嬉しそうに笑うのである。そしてリディアは、リリアさんと会話を始めるのであった。俺はリディアに話しかけられるまでは二人の話を聞いていたのだが、話が終わりリディアはリリアさんを連れてどこかへ行ってしまった。俺もついて行こうとしたのだが、その時俺が隠れようとしていた木の方に視線を感じると。そこから一人の男性が現れる。俺は彼が何者なのかがすぐにわかったので、彼に話しかけるのである。

そして俺が「あなたはリリアスさんですか?」と尋ねるとその人は俺に襲いかかろうとしてきたのだ。しかし、俺の魔法で彼は拘束されて動けなくなる。俺はこの人の事はリリアさんに聞いたことがあるだけで詳しくは知らないが、恐らくこの人がリリアさんの父親でありこの世界の人間じゃないと教えてくれた人なのだと思い、リディアに頼んでリリアさんを連れてきてもらっていたのである。

リディアは「この人って誰なんだろう?もしかして私のお母さんの知り合いなの?」と聞いてくるので、俺の師匠にあたる人であると説明すると、リディアはこの人が誰か分かったらしくて驚きの声を上げる。

そしてリディアが「リリアさん!早く助けに来てください」というがリリアさんはまだ現れない。俺はもしかするとリリアさんもこの人を知らなかったのではないかと考えたがすぐにそれはありえないと自分で否定してしまう事になる。俺とリディアは、この人について詳しく知りたいと思って色々と聞き出そうとしていたのだが一向に喋ってくれなかったのだ。俺は仕方なく、実力行使に出た。

リディアに目配せをして二人で攻撃することにしたのである。俺の精霊達にも協力してもらい二人に同時に仕掛けることにする。その結果二人は倒れ込み気絶している状態になるのであった。俺はこの二人が目覚めたときに説明出来るようにある準備を始めておいた。俺はその作業をしながらも、どうしてリリアさんがここに来ることが出来ないのかを考えていたのである。

(確かこの人達が、リリアさんに話して聞かせたことによれば、リリアさんは魔王の娘なんだろ?なのにどうしてこの場所に来ることが危険なのだろうか)

俺はそう思いながらも準備を進めていたのだ。俺が準備を終えしばらく経った頃リリアさんとリディアの父親が意識を取り戻す。俺は早速、彼らに説明を求めた。しかし彼らは説明を拒否して逃げる事を考え始めるのである。そんな時、リリアさんがリディアの前に現れると。「ごめんなさいね」と言ってリディアを抱きしめると。リリアさんは俺にリディアと自分の事を頼んできたのだ。そしてリリアさんがリディアを連れて逃げようとしている時に。俺はリリアさんと話をするために引き止めるのである。するとリディアが俺に話しかけて来たのだ。俺はリリアさんから頼まれたので「俺がお前を安全な場所まで連れていくから、安心して付いてこいよ!」と言うと、リディアは「本当に!?ありがとう!」と言った後、涙を流し始めた。

そんな彼女を見ているリリアさんの目には、悲しさのようなものが見えたのである。

(やっぱり親子ってのは同じ感情を持っているのかな?)俺はリリアさんの気持ちを考えている内にそう思ってしまうのであった。

リディアを落ち着かせた後。俺達は移動を始めた。その間俺がリディアに話しかけることはほとんど無く、黙ったまま歩いていると俺が隠れていた木が近くにある場所で休憩をすることになった。

そして、リディアは「クロア、私は大丈夫だから」と言われてしまったので俺は「分かった」と言い、その場を立ち去ろうとしたのだが「あそこに何かいるみたいだから俺だけ行くよ!」と言いその場から姿を消していったのだ。それから、少しの間、時間稼ぎをしていた時に俺が気になった場所にたどり着く事が出来た。そこには血痕があり誰かが死んだと思われる痕跡があったからである。それから少し経ってから森の中に魔物が現れたのだ。そしてその魔物と戦うことになった。

(これは少しまずいな!俺一人なら問題ないがリディアの事を気にかけながら戦える自信がない。かと言って、この場に残すのはまずいよな。よし!)

そして俺は、自分に襲いかかってくる敵に向かって、魔法を使う事にしたのである。

「雷の矢」

俺は自分が使える魔法の中で威力が一番高いものを選んだのである。その一撃によって、魔物は倒され俺達の勝利で終わったと思った。だが、魔物は最後足掻きを見せて攻撃してくる。

「しまった!!」

俺が焦った声で叫ぶと、リディアが動き出し攻撃を止めようとしたが、もう遅かった。

リディアは敵の攻撃を食らって、俺に倒れ掛かかってきたのである。しかし、俺には傷がついていない。俺は咄嵯にリディアの前にバリアを作り防御する事に成功したのである。そして俺は、目の前に現れた存在に恐怖を覚えた。それは目の前にいたのは、俺と同じ姿の魔導士である。俺はその姿に見覚えがあると直ぐに思い出した。俺の前世の世界にあった漫画に出てくるキャラクターにそっくりだったからだ。そしてそいつは、ニヤニヤしながら俺に話しかけてきた。「やっと見つける事ができたぜ。これで俺の願いは達成された」

その男は俺が前世の世界では見たこともないような杖を持ち。全身が銀色に輝く鎧を身に付けている男であった。しかもこの男は、俺の姿を見て「その格好を見る限りだと前世が人間だったんだな?」と質問をしてくる。俺には、この男の言っている意味がわからなかった。

俺は、目の前にいる自分と似たような見た目をしているこの男が怖かった。しかし、その気持ちを表に出すことは無く「あんたは何者なんだ」と言う。すると目の前の男は笑みを浮かべたまま答えた。「俺の名はアテナス。お前が俺と入れ替わった後に生まれ変わった人物だ」と言われた。俺は、その言葉で理解できたのである。目の前に居る人物がどういう経緯でそうなったのかまでは分からないが俺と同じく前世での記憶を持った転生者だということに。俺は目の前のアテナスと名乗った転生者を警戒しつつ会話をすることに決めた。「俺は前世で死んだはずじゃ無いのか?俺はなぜ今この世界に生きているんだ」と聞くと、「まぁそうだよな。普通は疑問に思うはずだ。何故この世界に生きているんだろう。どうしてこの世界で生きることになってしまったんだって。だけど、その理由を知るために俺は行動を起こしたんだよ!そして、ようやくそれを知った!そしてそれを叶えるためだけに俺は今まで生きてきた!そしてようやく叶うよ」そう言ってから俺に話しかけてきたのだ。

「それで、俺が元いた場所に戻りたいっていう俺の考えを分かってくれたのか?」と俺が尋ねると。「ああ!分かっているさ!だって、同じ人間だ。俺はそんな人間を元の人間に戻してあげたいという優しさに満ち溢れた心の持ち主だからね。君の意見も分かるけど、無理なんだ。諦めてくれ」そう言うと彼は右手に持っていた杖で地面に円を描き始め、何語も喋り出したのである。俺は何が起こるのかと様子を見ていた。すると突然、俺の体の中に異物が入ってきた感じがし、その異物は俺の体内を侵食し始めたのである。俺は苦しさに声を上げた。しかし、それはすぐに終わったのであった。

俺が苦しみに悶えている間も、アテンスと名乗った彼は呪文を唱え続けていて、最後に彼が呟くように言葉を漏らすと、彼の手元に俺が使っていた物と全く同じデザインの杖が現れ俺に手渡してきたのである。俺はそれを受け取ると、彼が話していた事が本当なのかと疑いたくなるほど。手に馴染むのを感じたのだ。そして俺は、自分の体が変化したのがわかると、その瞬間から意識を失ったのである。そして次に目が覚めたときには、俺は森の中ではなく、リディアの家に戻って来ていてベッドで寝ていたのである。俺が状況を理解する前にドアが開かれ、そこから現れたリディアに話しかけられたのだ。「おはようございます。体調はどうですか?」と。俺はその問いかけに対して答えることができなかった。俺が、戸惑っている事に気付いたのかリディアは「お水飲みますか?」と言ってくる。俺は彼女の言葉に甘えて、水を貰うことにしてコップに注いでもらった。そして喉を潤した後で彼女に、今の自分の状況を尋ねてみると彼女は俺の状況を説明してくれる。俺は彼女に感謝の言葉を伝えた後に、自分の体の調子を確認するため自分の体に異変が起きているかを確かめてみた。しかし、異常は無いようである。

そして俺達は朝食を取り始めた時、彼女がこんなことを言い出すのである。「クロアさんに一つ聞きたかったことがあるんです。あなたが使っている魔法はなんですか?私の知っている魔法じゃないと思うんですよね」と言われてしまう。確かに俺は精霊王であるから、この世界の魔法とは少し違っていてもおかしくはないのかもしれないが、リディアの表情からは冗談を言っているとは思えない雰囲気を感じとれたのである。そして俺は彼女に正直に答える事にする。「実は、俺はこの世界の人間じゃないみたいなんだ。信じてもらえないかもしれんから、今は言えないけど、いずれ俺の秘密を教えるから待ってくれないか?」俺は真剣に言ったつもりだったのだが。「あはははっ!」いきなり笑い出して。「大丈夫ですよ。あなたのその目と雰囲気から信用できそうです。でも良かったら秘密を教えて欲しいです!」と言う。

そしてリディアは俺に笑顔を向けると、朝食を食べ終わり片付けをしてからリディアが俺を家に連れていくというので付いて行った。そして俺は家に戻ってくることが出来たのだ。リディアは俺の事を心配して、ずっと側に居てくれたようで感謝しても仕切れない。

それからリディアの家族が全員揃って俺の歓迎会を開いてくれることになったのであった。それから俺がここにいる事についての説明を始めることにする。最初は、俺がリディアと一緒に旅をしている間に仲間に加わったと説明して、リリアさんが言っていた事は伏せておいたのである。俺はリリアさん達に謝った。しかしリリアさん達家族全員が気にしないと言ってくれ。さらにラガラさん達は「困ったときはお互い様よ」と言ってくれたのだ。その事に感動した俺はリディアを抱きしめるとリディアに頭を叩かれたのであった。

それから俺達がこの村で過ごす事になったのであるが、リディアとラガレア王国に行くまでの間の時間があまりにも長く暇を持て余す。そのため、この村の人の仕事を手伝ってあげることにしたのである。そうする事によって村人と交流を深めることにした。そうして俺は、村の人たちから色々な仕事を任せられるようになるまでに仲良くなったのである。

そんなある日。この村の人達が俺に依頼を持ちかけてくる。その内容はこの集落から歩いて一時間ほどの場所にある森に住み着いた魔物を倒してきて欲しいというものだったのだ。

「あの場所は危険なんだよ。私達も魔物に手を出せないんだ。だからお願いできないだろうか」その話を聞いていたリディアが俺を行かせるわけにはいかないと止めるが、俺は、自分が行くと村長に伝えるのであった。その事で、俺に依頼をした人は喜んでいた。そして俺は森の中に入っていき目的の魔物を見つけたのだ。

それはドラゴンであり、そのドラゴンは俺の姿を見つけるなり、俺に向かって襲いかかってくる。俺はその攻撃をかわした。そして、その動きを見て俺は目の前のドラゴンを狩る事にしたのであった。俺は魔法を使ってドラゴンを攻撃する。

「雷槍」

雷でできた無数の槍を放つ技である。しかし、この攻撃は効いていないようだ。

(まさかこいつは魔導龍か?それにしちゃ魔力が少ないな。それかこいつ以外にも魔物がいるのか)

そんな事を思案しながら戦闘を続ける。

(これは、やばいかな)

俺は焦る。俺が戦って勝てるかどうか怪しい相手に出会ってしまったのである。だがここで負けることなんて許されない。そう思い戦う。だが、魔導剣が使えなくなった俺は徐々に追い詰められていく。そしてついに、魔導士と戦うための弱点をつかれ、腕を吹き飛ばされたのだった。そこで俺の体は宙に舞い上がり。地面に落下してしまう。俺はもう戦える状態ではないと判断して。自分の持っている武器とスキルを使うことに決めて戦った。俺はアイテムボックスの中から自分の所持していた刀を取り出して。そしてスキルも使って倒すことに決めたのであった。

俺は、魔道龍と戦っていたのだ。俺は戦いながらこの相手なら魔道剣が無くても余裕だろうと思っていた。だが俺の攻撃は簡単に弾かれると、逆に攻撃を受けてしまう。そんな事が何度か繰り返されていた。

「クソが!全然歯が立たない」俺は悪態をつくが状況は悪い。

俺は魔導士と戦うためにこの武器を使っていたが、それでは通用しなかった。なので別の方法を探す必要があったのだ。そうしないと、このままじゃ俺は殺される。

俺は一旦引くことを決めた。俺は全力で後ろに飛んで距離を取る。すると俺が飛んだ場所に火柱が現れる。それを確認した俺は地面に降りる。俺は、相手が遠距離で攻撃してくるタイプだという事がわかっている。だからこそ、俺は逃げることしか出来ない状況になっていた。そうしている内にどんどん俺は追い込まれていってしまう。俺はなんとかこの状況を打開しようと考えた。しかし何も考えつかなく、ただ必死に避ける。そうすると、遂に逃げ道をふさがれてしまい、相手の攻撃が当たりそうになった。その時に俺の持っていた短刀が突然光り出した。俺は何が起きたのか理解できなかったが。次の瞬間には目の前の相手を切り裂いていたのである。それは俺にも何が起こったのか分からなかったのだ。そして、それと同時に俺は意識を失う。その後、目が覚めると、そこには見覚えのある天井があった。どうやらリディアの家にある部屋で俺は寝かせられていたらしい。

リディアの家には、リディア、リガル、レイガがいて、俺は三人に事情を聞くと、あの後、意識を失った俺を抱えて帰ってきたリディアを見た二人が心配になり。俺の様子を確認していたらしいのだ。そう言われてから俺は、リディア達に謝ったのである。

俺は、この村に世話になって数日が経った頃、ラガラさんが俺のところに来て。「君に頼みがあるんだけどいいかね?」と言われたのである。

俺はその問いかけに対して「はい」と答えた。「ありがとうね。実はうちの孫娘のリザリアが、リザード族の次期王候補になっているのだが、このリザード族は、ラガレウスの王に仕えることを禁止されている。そしてその一族が、もしラガレウスの王に見つかり何かされようものならば、他の種族との友好関係が危うくなるんだ。君は、その事についてはどう思う?」と言われて俺は、「それは俺が勝手に判断する事はできないと思いますが。リザード族たちがその事をどう考えているのかを聞かない限りは何もいえませんが、その質問に答えると俺が思ったことを言わせてもらうとすれば、リザート族を救える可能性は低いかもしれません」と言う。「どうしてだね」と言うので。「それは、まずこの国の王が悪い事を行ったとしてもそれを裁けるだけの権力をこの国が持ち合わせていないからです。そして一番の理由は、ラガレア王国の王が俺の父である可能性が高いと言う事です。その事はラガス王妃から聞いた事なんですけど、ラガス王妃の父親である、前ラガル王の時代はここまで腐敗してはいなかったようなんですが。今は、完全に腐っているんです。なので俺の親父は俺にラガル王妃を連れて来いと言ってきたのでしょう。まぁ。今すぐにとは言わずある程度成長してからと言っていたのですが。多分、ラガリレシア王国にラガラさんの言う事を聞いて、俺に力を貸してくれる人が居るかもしれないと考えての行動だと思うんですよね」

ラガラさんは俺の話を聞き終わると、顎に手を当て考える。

「ラガロスがラガニア王から指示を受けたとしたならば、私達の話に納得するかもしれない。確かにラガラ君のいう事は筋が通っているからな。それで私は何をしたら良いのかな」ラガさんは俺が言おうとしている事に気が付き聞いてくる。「はい。実は、リガレッタ王女様の護衛としてラディア王国に付いて行ってもらいたいんです。俺の予測が正しければ俺達だけでは厳しいかもしれませんから。俺の推測では、まだそこまで危険じゃないと思っているんで、とりあえず護衛のつもりでついて行ってくれればいいんです。それから俺も準備ができたら追いかけますから」「ふむ、そう言えば、ラディア王女も一緒に行くとか聞いていたが、本当なのだろ」

「はい」と言うと。

「そうなると、やはり私がここに残って村を守る必要がありそうだな」そう言い、リガリアの方を見て、「リガロ、お前が村を頼んだぞ」と真剣な眼差しで頼む。

リガルさんとリリアさんに案内された先に待っていたのは、リリアさんと、リガルドが居て、それからリディアもいたのだ。俺はリディアと目を合わせて、軽く挨拶をする。それから少しだけ雑談をしていた。

俺はリディア達を待たせていたので、早く行きましょうと言ったが二人は俺達がここに来るのを待っててくれたのだと言ってくれる。

そしてラガラさんと一緒に村の外に出て森の奥へと進んでいくと、ラディアが俺達に近づいてきて、「お待ちしておりました。それでは早速移動しますか」と聞かれるので、俺はお願いした。

そして俺はこの場に居たリガルド達とも会話をしながら森の中を歩いていた。

そして、しばらく歩くと目的地に到着した。その場所には洞窟があって。中に入ると、俺が倒したラガレスの魔道人形が置いてある部屋についたのである。そこで俺は改めて魔道剣と魔道書を見つめていたのだった。

俺は、この武器やアイテムを使うと俺の体から膨大な魔力が流れてくることがわかっていた。

それから俺は、魔剣を手に持ち、魔剣に魔力を流す。その行動を繰り返してみていた。そうしていると、リディアが近寄ってきて話しかけてくる。

「タクトさんその行為はなんですか?その剣をどうするつもりなのですか」と聞いてきたのである。

俺はこの魔剣を使って、スキルが使えない状況でも戦える手段を探していると答えて。そしてリディアに相談をしようと思っていたのだと告げる。

「わかりました。私に出来ることなら手伝わせてもらいたいのですが」そう言われ俺は、魔道剣についての説明をしてあげる。すると魔道剣は、魔導書がなくても魔力を流す事で使える事が分かったのである。だがその使い方はかなり魔力消費が大きいため、戦闘中には使うことができないという欠点もわかってしまう。それを知った俺は魔力コントロールの訓練をしようと考え、魔導士との戦い方を色々と考え始めていた。

そしてラガラさんがこの森に住み着いたドラゴンを倒すために作戦を立てると言い出し、皆が賛同した。そしてラガレア王国の兵士を全員集め、ドラゴンと戦うために戦うメンバーを決めることにしたようだ。その結果。ドラゴンのブレスを耐えきる事ができる盾を持つ人を中心に戦う事になるようだ。俺の出番はあるかわからないが俺は一応戦う準備をしておくように言われたのである。そしてドラゴンと戦う日が来た。その当日になると。俺とラガラさんと、ラガレア王国から来た騎士の人達と。それから何故かリディアも同行していた。

(どうしてリディアがいるんだ?それにどうしてリディアが俺とリディアに同行することを許したのかも疑問だが)そう思っていると、俺がラガレア王国の騎士団の中にリディアを見つけたのである。リディアの事を気になった俺はリディアに話し掛ける。

「リディアどうしてこの部隊にいるんだよ」と聞くと。

「それは私の魔法が必要になると思ったので」そう言われるが俺にはよく理解出来なかったのである。

そうすると、魔導師である騎士の方が「それはですね。この部隊の皆さんはドラゴンの一撃に耐えられるような盾を持っていまして。ですが、ラガル陛下の直属の騎士団はそうではないんですよ」と説明されるが、その言葉の意味は理解できなかったのだ。

それから、リガラさんの指示に従って、リザード族の戦士達は盾を持ち始めたのである。

するとリザリアが何か呟くと同時に地面に光の陣が出現する。

すると、突然、目の前の森が炎によって焼かれ始める。そして巨大なドラゴンが現れたのだ! それを見ていた俺は、あまりの大きさと迫力のあるドラゴンの登場により恐怖心を抱いてしまった。そして俺だけでなく、この戦場に来ていた全ての人間が同じような思いを抱いていたと思う。そしてリザリアの口から紡ぎ出された詠唱が終わり、次の瞬間、その巨大な体は凍りついてしまったのだ。そしてリディアの方を見るとリディアは、俺が持っていた魔道書に指を指しながら微笑んでいた。

俺はリディアが何を言いたいのかを理解して、急いで氷に包まれたドラゴンに近づくと、そこにはリディアの魔石が置いてあった。それを俺は拾い上げると、そこにはリディアの名前が刻まれていたのである。俺が、この魔道書を見ている間に他のリザード族は戦いを終えていて、俺は、リガルドにこの場を任されたのである。

俺とリガラさんと、ラガレア王国の兵士達でドラゴンにトドメをさすことになった。俺は自分の体を覆い尽くす程の大きい槍を作り出すイメージをし、その槍を上空に投げ飛ばしてから、この世界に存在しないであろう、雷を放つことが出来る技を思い浮かべたのである。

俺がこの世界に存在するのではないだろうと考えた、雷撃の術式を発動させると俺は意識を失ってしまう。その出来事が起こった後、意識を取り戻した時には、その巨大なドラゴの姿はなく、地面がえぐれて荒れ果てていた光景が目に入ってきたのだ!そして俺の手に持っている槍を見て驚くしかなかったのである。俺が作ったとされる魔道書がそこに存在しているからだ。それはつまり俺が発動させた攻撃がドラゴンに効いたという事を証明していたのだ。そして意識を失っていた間の事は誰も覚えていなかった。しかし不思議な事に俺が放ったはずの技については全員が認識していて、リガルドだけが驚いた表情をしていたがそれ以外に驚いている者はいなかった。そして、リディアの方を見ると「凄かったですよ」と言われ、少しだけ安心したが。俺は、リガルドがなぜあのような表情をしたのか気になり問いかけたのだった。するとリガルドの答えは。

俺が行った事は普通では有り得ない現象であり。しかも俺が行ったと知っている者はこの場にいなかったはずだと言われ、何故、リガルドはあの時だけそのような発言をして他の人が知らないことを俺に伝えたのかわからなかった。だから俺は、その事を聞いてみると。「私と、リガル、リガルド、リリアの4人だけはこの事を知っていました」と言うのだ。俺はその時は深く考えず。なるほどと思っていたのだ。その後俺は皆でラガレア王国に戻る事になったのだ。

それから数日後の事である。

ラガレア王国で新たな王が誕生した。

新王の誕生に人々は祝福を惜しまなかったのであった! 俺が目を覚ますと、既に夕方になっていてリデアに起こされていたのだ。そうしていつも通りに食事を摂った後は、リデアと二人っきりになって過ごしていた。すると突然部屋の扉が開かれ。そこから一人の男性が入って来てこう言った。

「やぁー君たちがこの国を救った英雄だと聞いてね是非会いたいと思って来たんだけど良いかな」と聞いてくるので。俺とリディアは顔を見合わせてから、この人は何者でなんの為にここに居るのだろうと、少し警戒しながら話を聞こうとすると。「いやすまない自己紹介が遅れたね私はリガリア。君のお姉さんとは友人なんだよ。それで今回君たちに会いに来た理由なんだけど。君は私が思っている以上の人間かもしれない。だからその実力を見たくてこの国を訪れたのさ。もちろん邪魔はしないと約束するよ。それにこの国の戦力を見ておきたいのも理由の一つだけどね」と言うのだ。

その言葉でこのリガリアという人物の目的を察知する事が出来た。

そしてリリアさんの友人ということは恐らくリディアと同じ様な人物だと思われるのである。そして俺はこのリガリアが言っている意味を考え。

この人物が求めているのはリディアとの戦える力を持った存在という事か。それならばこの場で戦闘をしても良いだろう。それに俺もこの男がどれだけの実力者なのか気になる。

俺の考えを読み取ったかのようにリリアさんが口を開いて。「あなたの戦い方次第です」と言ってくれた。俺はそんな言葉を貰って少し嬉しい気持ちになっていたのだ。

それから俺と、リディア、リガリアの三人だけで訓練場に向かうと、そこで模擬戦を始めることにしたのである。

それからリヴィアが審判として立ち合いをすることになった。

まず俺が先程リガリアが口にしたスキルについての質問を投げかけると、「いいかい?スキルは誰でも使えるんだ。スキルを使う時に魔力を込めなければいけないがスキルを使えばそれだけじゃない!その武器にスキルを使うとその効果が現れる!例えば魔導師なら火を操ることが出来るようになる!だが魔法のように魔法名を叫ぶことはないけどね」そう言って笑うのだ。

(成る程、そう言うことだったのか!俺の使った魔法も確かに名前を唱える必要は無い。そうすると、リディアの使っていた雷の魔術も、名前を唱えることでスキルの効果が出るのではなく。リディアの使う魔法名を唱えている時点でリディアはその魔法の扱い方がわかっていて、スキルを使っていない状態でもその技を使っていることになるということだ)俺はこの会話の中で色々と学ぶことが出来た。その会話をしている間中、お互いに手の内を見せるわけにはいかないため手加減をして戦っていたのだ。

その結果お互いが納得できる結果となったのである。

それを確認するために俺はリガルドに確認を取ることにしたのだ。その結果リリアさんの言っていた通り、本当に俺を勇者として扱うという判断を下すことにしてくれたようだ。

だが、俺はその事実を受け入れることが出来ずにいる。

何故なら魔王が復活しているのであれば、この世界に危険が訪れている可能性があるのだと思っているからだ。

そのためにも俺はまだ強くなる必要があると考えていた。そして今度こそ仲間達と一緒に平和な世界で暮らしたいと願っている。その為なら、俺は命を懸ける覚悟も出来ている。俺が強くなり、仲間を守りきる事が出来るようにならないとダメだと考えているからだ。俺の仲間たちを危険な目に合わせたくないという思いがあるからである。だからこそこの世界の状況を確認しなければならない。

(それに俺はもうこの世界を、俺の大切な人がいる場所を守ることが出来ないという状況に陥ることなんて、絶対に嫌なんだ)そう強く思っていた。そう思っている俺の元にアリサとクロアが訪れたのである。

二人は俺の様子がおかしい事に気が付き。俺のことを心配そうに見つめてきた。そして俺の手を握りながら、優しく微笑みかけてくれる。その優しさに救われていた。俺がこんなにも不安で怖く感じているのは、この二人の少女を失うことが何よりも恐ろしいと感じてしまっている。俺が今までに経験してこなかった出来事のせいで俺は臆病になっているんだと思う。そして俺達はこの森にやって来た時と同じような人数で再び旅を始めようとしていた。俺はその時。俺を慕ってくれている人達を守るためにもっと力が欲しいと、改めて思い始めていたのだ。そうして俺達はラガラとリリアさん達に見送られ、次の街に向かって移動を開始することになった。その道中で俺は自分の持っている槍を見ながら、ある考えを巡らせていた。この槍は魔石を埋め込むことで発動することが出来る。しかし魔石は俺の体からしか作ることが出来なく。またその効果は一度きりしかないのである。その魔石に雷を放つ能力を付けることが可能なのは分かったのだが。どうすれば発動出来るようになるかがわからなかった。俺の中にあるイメージでは雷を放てるようになっているのだ。

だがそれがどのような物かも分からない為、そのイメージは出来ないのだ。そしてこの槍は雷を飛ばすだけではなく、その威力を高めることが出来るのではないだろうかと思う。俺の中にイメージでは、その魔石の力を最大限に発揮することで強力な雷を放てるようにしてある。ただ、どのようにすればいいのかが解らない。

なので俺はリディアに相談することにした。するとリディアは少し考えた後に、俺にある提案をしてきて俺はそれに乗る事にしたのであった。

それから数日後にようやく次に訪れた街に着くと俺達はすぐに情報収集を開始した。このラガル王国内は比較的魔物による被害は少なかったが他の地方ではかなりの被害が出ているようであったのだ。ラガレア王国の王都にたどり着く前に俺達が遭遇したようなドラゴンは、その地方の魔物たちの頂点に立つドラゴンの長的存在なのである。そしてドラゴンが支配域を広げるためには人間を襲うことがあると言われているらしいのだ。俺がドラゴンと対峙した時はリディアがいなければ危ないところだったが。

俺がドラゴンに勝てた理由が未だに分かっていなかった。俺はドラゴンを倒したときの事を思い出し、ドラゴンが纏っていた雷はリディアが操った雷に似ているのではないかと考えるのだった。俺が戦ったドラゴンが使っていた雷はリディアの操ったあの雷と似ていてその雷をリガルドが使っていたことからその事が頭によぎってしまったのである。そして、俺の中のイメージは確実に形になろうとしているのだ。

俺とリデアは情報を集めて回った後で食事処に寄って休憩をすることに決めたのであった。それから食事をしている時に俺達も、そろそろこの街を出発する時期だと話をしていたのである。そんな話をしている中で俺とリデアの前に、ラガル王国内で噂されていた。「聖騎士がラガル王国に現れた」という話を聞いた。

その話を聞いた時、俺はその人物がラガレア王妃だと確信してしまったのだ。そしてこのラガレアに聖騎士が出現した理由が俺が予想していた最悪の結果になってしまったのだ。そのせいで、俺はラガレア王国に行く事を決めたのだ。俺はラガル王に会うことを決めたのである。

俺はラガレア王国でラガレア王に謁見することになり。そしてラガラ王から、このラガレア王国で起きた出来事について聞かされることになったのである。俺はラガレア王の話しを聞き終えてからこの国に起こった出来事を聞いていく。この国が何故この短期間でこれほどまでに荒廃してしまったのかを知った。それは、リガラ国王をラガレア王が暗殺したことから始まった。その後で、俺の知っている人物のラガルドが王位を継ぎこの国はラガルドによって統一されていたはずだった。

だが俺とクロアはこのラガガルドで過ごしていた数日間の間に、この国に危機が迫っていたことを感じ取っていたのだ。俺とクロアがラガレアで生活をしているうちに、俺はある違和感を覚えていた。その感覚とは、リディアや、アリサの魔力の気配をこの国から感じることがあったのである。俺がその事をクロアに話すと。「確かにおかしいわね。でもなんのためにそんな事をしたのかがわからないの」と言っていた。

そんなやり取りの後で、俺達は再び旅に出ることを決意する。今度は俺一人での旅になると伝えていたら「それなら私も付いて行くわ!」と言われてしまい。結局二人で一緒に行くことになってしまったのだ。そして、俺達は旅立つ為に準備を整えているときに事件が起きる事になる。

「なぁ~頼むよぉ。こいつを直してくれないか?」一人の男が工房の店先に来て俺に対して頼み込んできたのである。この男は武器屋を営んでいる人物で、いつも武器の修繕を依頼してくる人物でもあるのだ。そして俺は男の依頼を受けることにすると。俺と、クロア、リディア、アリサの四人は街を出て森の中に入っていた。俺達は森の中で修行をしようと話していて。この場所を選んだのである。そして俺はリディア達三人の実力を確かめることにしたのだ。そして俺達の戦闘訓練が始まろうとしている時に異変は起こった。その光景は俺にとって衝撃的なものだったのだ。俺と、リリアさん以外の全員の武器と服が変化したのである。俺は驚いてしまいリリアさんと相談をしたのだ。その相談の中で、これは精霊の仕業ではないかと話されたのである。俺はそれを試してみることにする。俺は三人に近づき、それぞれの装備を見て確認を行ったのだ。俺の持っているスキルが本当に通用するのであれば、装備を変化させる事ができると思ったのである。だが、残念ながら効果は無かった。それどころか、三人が着ていた鎧も服も完全に修復されてしまった。その光景をみた俺はこの力は確かに存在するのだということを確認する。俺は、この力が自分だけでなく仲間の武器も修復出来るのかを確認しようと思い。この力を検証してみたいと心の底から思ったのである。そして俺の頭の中にはこの力が使えたら凄い力になるという予感もあった。

それからしばらくの間は俺が仲間の為に戦うことを決めることになるのであった。

この世界の状況を調べるため、俺とクロアの二人は旅を続けていた。その間の食料については問題無く。アイテムボックスの中にある食材を使って食事をしたり野宿をしていた。

俺達は現在。次に向かう街に向かって移動をしている途中であった。俺は旅の途中で、この世界が本当に平和なのかを確認する為。俺はあることを考え始めていた。

俺は今まで、リザード王と戦った時以外、自分がどれだけの強さを持っているかの確認は行っていない。だが、ラガラ王妃との戦いの際に俺はスキルを使いラガラの剣とラガラの槍を破壊した。そして俺の攻撃で壊れてしまった物を直すことは、俺には出来ないのかという確認を取るために、まずはアリシアさんの持っていた杖を見ることにしたのだ。俺はその事を伝えると、俺は杖に触れることが出来た。どう言う原理で出来ているかが分からないのだが。とにかく触れることが出来たのだ。そこで俺はその魔法で作り出した武器を、俺の作った魔法と同じように作り出せるのではないかと思って、試しにやって見る事にしたのである。そう考えるに至った理由は。クロアが、以前俺のステータスを見ていた際に、リディアの魔法の使い方を見た時に、何かを感じていた様子を見せていたからだ。俺はリディアに聞くことにして、リディアに魔法で出した武具などを作り出すことができるのか?と聞いてみたところ。

出来ると答えてくれたのである。ただその事は俺もできると思っていたようで、実際に俺とクロアが作ることができたのである。俺はそのことを二人に伝えるとクロアが、アリサの剣と、リディアとクロアの二人が使用していた弓を作ってほしいと頼まれたのだ。それを聞いて俺は、自分の想像が当たっていたのだと思い。その事も二人に話すと、やはり俺の考え通りで二人は、アリサが使っていた、大盾を作り上げる事に成功して、それを使うようになったのだ。その事が分かれば後は、その魔法で出来た武器が壊れないようにすれば良いだけの事なのだが。俺はどうやってそれをするのかが分からなかった。そこで俺はクロアと、リディアに相談してみることにした。その結果、クロアから提案されて俺とクロアの二人の力を合わせれば出来ないことはないと思うと言われたのである。だが、それはかなりの集中力と魔力が必要になるらしいのである。そして俺はクロアの言われた通りに、魔力操作を行い始めたのである。すると次第に体が熱くなり始めたのだが、それに気が付いたクロアは「大丈夫!もう少し頑張って!」と言われて必死に耐えていくうちに、少しずつだが俺の中の魔力が減ってきている感覚があったのだ それからどれくらい経っただろうか、その時間は体感では三十分程経っているように思えたが実際は数分程度だったようだ。俺達はついにリディアの大楯を作り上げることに成功したのだ。それから数時間が過ぎていき俺の体に疲れが出始める頃にようやく俺達はその作業を終わらせる事が出来たのである。

俺が作り出していた物はリデアから譲り受けた魔石が埋め込まれている大盾でその効果は物理防御に特化させている物でその防御力は他の防具と比べると桁違いの性能になっているのである。

その魔道具は見た目の印象がかなり大きいのだ。そして魔石の大きさも大きくなっているのは当たり前な事で、それだけではなくて魔石をはめ込む部分に関してもかなり強化しているのである。俺の知っている限り最強の魔導士と言われるリディアが使用しているだけあって相当な威力の攻撃を防げる代物に仕上げていたのである。

クロアとリディアの二人は出来上がった大楯を見て満足している表情だった。クロアに関しては、自分の作った物を誰かに使って貰える事がとても嬉しいと言ってくれていたのだ。そして、俺とクロアはその完成した盾を持ってみて重さなども感じ取るが、これぐらいならば余裕で扱うことが出来ると判断してから俺達は再び旅に出ることにしたのであった。

リリアの身体を借りて、私はレイナと一緒に行動することにした。私がレイナの中に入り込むことでラガレア王国の中に入る事が出来ると判断したからである。それから私たちはすぐにラガレア王国に入りラガル王の所に向かおうとしたのだけれど、その時にレイナは私の事をラガラ王妃だと勘違いしたままだったので訂正してから事情を説明しようと考えたのである。そして私の正体を知ったレイナは慌てて謝罪をしてくれた。

その時にリデア達にも謝っていたので許す事にしたのだ。それから私とレイナ達は一緒にラガレア王城に向かいラガレア王に面会を求めた。その事を話したら快く迎え入れてくれることになった。それからラガレア王は私達を歓迎するために部屋を用意すると言ってきたので、私達はそれを受け入れることにしたのである。

それからラガレア王から、私達がこの国を訪れた目的を聞き出すために話し合いが行われたのである。そして私が何故、ラガルドではなくてこの国に訪れたのかを説明することにしたのだ。私は自分の娘が病気に掛かっていると言う嘘の話をすることに決めたのである。それは、ラガルド国王の娘は重い病にかかり床についていることが事実だから、私の娘であるレイカ姫も同じ病気ではないかと思い込んでいる可能性があると感じたのだ。その考えがあっての事だったがその作戦はうまく行ったみたいだった。その事を話したらリガルド王妃は心配そうな顔になりながらも私の提案を素直に応じてくれたのだ。

リディア様達は私の説明した話を聞いて信じているかどうかの判断はできない。だがそれでも、今は信じることしかできないだろうと思ったらしく。納得した様子を見せながら受け入れてくれているようであった。そしてその後で、これからのことを決める為に会議を行うことになるのであった。

「さっき言ったけど俺はあなた達をこの国に招き入れたのに理由はある。だがその理由はこの国の為を思ってのことだ」

「そうですか。ですが私たちにはこの国はそこまで必要ではないのです。私と娘達はこの国を離れます」

「なっ、そんな簡単に」

俺はあまりにも簡単な理由を述べて来たことに少し驚く。そんな簡単に見捨てることができるのか?と疑問を抱いてしまう。しかし、ラガラ王妃の言葉は間違っていない。もし俺ならこの国を出ていく。俺がこの国の民だと仮定して考えてみたのだ。

そして、この国が他国に攻め滅ぼされるとしよう。その場合ラガラ王妃は自分の愛する国民の命を守るために動くかもしれないが、それは俺には関係のない話である。俺にとってこのラガルド王国の人たちは他人でしかない。

それに俺は自分が元いた世界で暮らしていた世界では家族と絶縁関係に近い状態になっており、今住んでいる世界は俺が望んでやって来た世界である。その二つがこの世界のラガレイドという王が嫌いな理由はそこなのだと思う。この世界の人たちにとってはこの国はとても大切な場所なのだとは思うが俺からすればその程度のことでしかなかったのだ。俺が元いた世界にこの世界の住民に同情することなんてないと思っている。なぜなら俺はその人達に対して興味すら湧かないからだ。それどころかどうでもいいとも思える。俺の家族に酷い仕打ちをしたやつらに俺は心の底から腹が立っていたのだ。俺はあの時の怒りを二度と忘れるつもりはなかった。だからこいつらを許したくない。俺がラガリア王を殺めた時に思ったことはただ一つだけだった。

この世界に来て初めて抱いた怒り。俺はその気持ちを抑えることができなかったのでそのままの行動に移したのであった。

この世界の人間のために俺に力を与えた神に復讐する。俺はそう決めたのである。そのためにもこの世界を救いたいわけではないのだ。このラガルドを滅亡させたいのだ。俺はその為の障害となるものを消し去るつもりでいる。だがそれはあくまで個人的な恨みによる感情なので他の人がそのことについてとやかく言う権利はないだろう。

そして俺はリガルドにそのことを説明したのだ。だが、やはりその話を信用することができないらしいのだ。それもそうだと納得できたので俺は俺がここに来た理由についてを話すことにする。するとラガラとリデアは俺を警戒するような目を向けてきた。そしてリディアも、何かを考えている様子を見せていた。俺を不審者扱いにするつもりなのかと思えば、違うようで、俺を疑っているような感じではなかったのだ。その証拠に俺は質問に答えていくだけでいいとリディアが言ってきたので俺は黙って従うことにして、リディアに促されるままに、俺がラガレアに訪問してきた本当の理由について説明していく。俺がこの世界に訪れたのはリリアに憑依してリディアを操り、ラガルドに攻撃を仕掛けるためだという事を。そしてラガル王に化けた俺と、アリシア王妃に擬態して近づいたリディアによってこの国の情報を盗んだということを伝えた。

だが俺はそこで、リガルド王妃にラガリア王が死んだと告げても、ラガレア王国は変わらないのかということを確かめたかったのである。そこで俺の考えは正しかった。俺の問いかけに、ラガレア王は俺がリディアを乗っ取ったと言った時点ですぐにそれがリデアだということを見抜いたのだ。それから俺の素性が分からない状況の中で俺に質問を投げかけてきて俺を問い詰めてくる。そして俺が異世界から召喚されてきた者であると告げた時には驚いていたのだ。俺は俺の持っている知識とリディアの記憶にある記憶から、このラガレア王国の技術力を遥かに凌駕しているものを作ることができる能力があると伝える。

その話を聞いて俺の事は、異世界の人間がラガル王の体に入り込みリデアとアリサを操ったという事で落ち着いたのである。だがそこで俺がなぜこんなにもラガル王を殺してしまったのかという疑問を抱いたらしいのだ。

「それは簡単ですよ。ラガロ王の命令に逆らえなかったんです」

「なんだと!まさか、お主らは王族の血を持っている者たちなのか?」

「いえ違います」

「じゃあどうして」

「簡単な理由です。私の父がラガラ王妃様の母に当たる人です」

「そ、そんなことが有り得るわけがない。わしの母は平民の出身だと聞いていたぞ」

「そのとおりです。その情報は偽りの情報でラガリ王妃は騙されていただけなんですよ」

その言葉を言われたラガレア王は動揺を隠しきれていなかったのだ。そして俺がラガラ王妃から聞かされたラガリア王が、ラガレア王の父親で、ラガリア王には姉がいたのだという事をリガルド王妃とリデアは知らなかった。それを知ったラガラ王妃はショックを受けていたが俺がラガレア王の父親が平民の出身で、リガラ王妃の母親がこの国では有名な豪商の娘だったことを告げると、さらに驚いた表情になっていた。

それからリガルド王妃は、この事実を知ってしまっては、自分の夫を殺してまで、自分の娘を殺そうとしているのかもしれないと考えたようだ。

俺とリディアはリガルドとリデアと会話をしている時、ラガリアの身に異変が起きたことをリガルド王妃が察したらしく、リガルドは俺の話の途中でリガルドはリリアの部屋へと向かい始めたのであった。

ラガレア国王から衝撃的な告白を受けて私達は言葉を失うことになったのだ。ラガレア王がラガリア王妃の兄だったなんて夢にも思ってなかった。それにラガラ王妃はショックのあまり顔色が悪くなり震えてしまっていた。私はそんな彼女の手を握る。そして落ち着かせるためにラガレア王に尋ねる。

「あなたがこの国で王として即位した理由というのはその妹が原因なのですね」

「その通りだ。あいつには、この国を支配する資格がなかったのだ。それを証明したいが為にラガルを殺したのだ。その結果ラガレア国は崩壊してしまったのだ」

その話を詳しく聞くためにラガレア王に詳しい説明を求めることにしたのである。

「ラガレア王は何故、この国の王になりたいと思ったのですか」

「そういえば、リガルドにも話したことがなかったな。我が父上はラガリアとこのラガレア王国の姫であるリガラとの間に子を儲けたのだが、その子にはこの国を統治する力がないという事が発覚してしまい、王になることができなかったのだ。それから父はこの国の民から、王の素質のない者を王位を継がせるのは間違っているという話が上がり、ラガルドはその意見に賛同することにしたのだ。だからラガリアは処刑されることになったのだ。だが、そのラガラにリガルドは一目惚れをしてラガラと結婚することになったのだ。しかし、ラガラにはすでに結婚を誓った相手がいるという事が分かったのだ。そして、その相手の女性が身分の低いものだったためラガルドはこの国を追放したのだ。その後で、ラガレアの王は病死してしまうという事件があったせいもあって、そのラガレア王は後継者を決めることなく亡くなってしまったのだ。しかし、それでも、ラガリアは自分が王になると名乗り出たのだ。私は反対するつもりだったのだが。私の妹であるラガラに求婚する者がいて。ラガリアが了承したのでラガレアの王になってしまったのだ。私は、その時ラガリアに王の素質がないことを証明しようとしたのだ。それで私の父も、ラガリアに王位継承権を譲渡しないことを決めたのだ。だがそれでも私は、妹のラガが不治の病にかかり死にかけていたことを聞いた時はラガに王になってほしかったという思いが強くあった」

「そんなことがあったのですか。ですが私の娘に何かあってからでは遅いのです」

「ああ、確かにそうだがもう既にラガルドで、ラガの居場所はないのだからどうすることもできないのだ。だからせめてラガに少しでも生きやすいようにしてやりたくて、お前達をここへ連れてきたのだ。だがその考えが間違っていたとは思っていないのだ。この国が、他国に滅ぼされるという可能性があるならば、その前に、この国がこの世界の理から外れようとしているという事に気付いてほしかったのだ。そしてその時にラガと相談をしてくれば、まだ間に合うかもしれないと思って、ここへ来てほしいという頼みを聞き入れたのだ。だが、そのラガもラガラの病気の事を知らされることもなくこの世から去っていってしまったのだ。ラガは、このラガレアに嫁いでくるときから体が弱いという事で、長くないということは分かっていたというが、それでもこの国の未来に希望を抱いてくれていると信じていたという。だが、それも叶わぬ夢となった。だから、ラガリアを殺すのなら、この国のために死んでほしい。そうすれば少しはあの子の魂も救われるのではないかと思っている」と、涙を流しながら私達にラガレア王は自分の想いを語ってくれたのであった。

俺はこの話を聞いた時、この人はいい人なのだと感じたのである。だが俺の復讐の障害になりかねない存在であることも理解することができたのだ。だから俺は、ラガリアがこのラガレア王国で、何をしようとしているのかを知る必要がありそうなのだ。そしてそれさえ分かれば後は、ラガリアがどんな奴か知るだけでいいだろうと思うのである。だがこのラガリアが、俺に敵対するかどうか分からない。

そして、ラガレア王にそのことを確認してみる。

「ところで王様、貴方はラガルドの人間に対して、どういう思いを抱いているのでしょうか?もしそれが良ければ教えてくださいませんか?」

俺のその問いかけに対して、リガラ王妃は何かを言いかけたが、ラガラ王に止められていたのだった。そしてラガレア王は、「わしがラガルの件について調べていたときに、この国に潜入していたという者がいて、そいつがこの城に侵入してきた時があってな。その時にこのラガルド王城の地図を渡してくれたのだ。それがなければ恐らくここに侵入することはできてはいなかったのだろう」とラガレア王が答えると、その人物のことについて尋ねると。

「その者は、黒髪の青年で、ラガルを殺さなくてもいずれ殺されるだろうと助言されたのだ」と答えてくれる。するとレミア王妃が「でもそんなことできるわけありませんよ。だって私達は王族なのに殺されそうになるはずがないでしょう」と言ってしまうと、「貴様らは本当に愚鈍で何も分かっていないようだな。王族であろうとも殺されるような時代が来るということが分からんのか」と言われてしまったのだ。

俺はラガラ王妃を見るとラガラ王妃は何も言えず俯いている状態になっていたのである。俺はそのラガラ王妃をフォローするためなのかは知らないが、ラガリア王妃をラガレア王国が殺したという事実を伝えたら驚くだろうかと尋ねてみると、やはりラガリア王妃のことを気にしていたらしいのですぐに答えが返ってきたのだ。

「ラガルは私の妹なのですが、その妹のラガルは殺されたんですか?」

「えぇそうですよ。ラガリア王妃によってこの国の王は毒殺されました。それが死因となっています。ラガル王妃とあなたの妹がどのような関係で何が起きたのかという事を知りたいと思いましたので質問をしました」

「そうですか」

その言葉に、ラガレア王はラガレア王妃と視線を合わせる。すると、ラガレア王妃はラガレア王に抱き着き、大粒の涙を流す。ラガレア王妃は、ラガリア王妃がラガラ王妃を殺害した理由を聞くのであった。

そしてラガレア王はラガリア王妃がこの国に来た経緯を語り始める。まずこのラガリアは王都から離れた場所に存在する田舎に住んでいたのだが、そこの領主である男爵はラガルの父親で、ラガレアは、父親や母親と共に平和に暮らしていたが、そこにラガレア王妃はやって来たのだという。そしてラガリアは領主の娘であるラガルと婚約を結び幸せな生活を送るようになったが、ある時に、ラガリア王妃が突然にラガレア王国の王となると言い出したのである。

最初は、皆反対したのだが、結局は王妃が言うように王の資質のないラガレア王はラガレアから追放したのだが、そこで問題が一つあったのだ。それはその王の弟に当たる人物がラガレア王国を支配しようとしていたのである。そのために、ラガリア王妃は、王弟の野望を阻止することができなかったのだ。それから数年後の事だ、この王弟が急死してしまい。代わりに別の男が就任した。それからしばらくしてラガリア王妃は子供を産んだ。しかしラガリアの体は妊娠してから日に日弱っていったのだ。それに危機感を覚えたリガルド王妃とラガルドは何とかして助けようと思ったが無理だという事が分かり絶望しかけたその時だった、この世界に来てしまってからこの国に来ていたレイシアが二人の前に現れて治療を施そうと提案するがその時にはすでに遅かったのだ。それでも、二人は、自分の娘を救いたいと願う気持ちが強かったのだ。だからリガルドは、ラガレア王妃の出産の時だけラガリアの部屋に訪れ、ラガラと一緒に見守った。そして無事に生まれたのだ。その事にラガレア王は涙を流し、喜びのあまり気絶してしまう。

そしてその数日後にはラガルの葬式が行われていた。その葬儀の時にラガルの婚約者がラガルの遺体の前に立った。彼女はラガレア王国の第一王女でありラガラとは仲が良く、お互いを愛していたのだが、彼女の兄であるラガレア王から結婚の許可が出なかった。それで仕方なく、他の相手と政略結婚することが決まりそうになったのだが、ラガラルはその相手に愛した人と添い遂げたいという事を話し、相手からも、自分も愛してくれる人と結婚する方がいいという意見が一致したので結婚が認められたのである。その相手がラガラスという女性であった。

その事を知ったリガルドとラガルドはそのラガルをラガレアに連れて帰ることにしたのであった。だが、それをリガルドとラガルドは反対されたのだ。しかしラガレスは、二人の話を聞いて納得してくれた。だがその事でリガルドとラガルドの怒りを買ってしまい殺されてしまうことになるのだった。しかしリガルドもラガルドも、愛する妹を助けられなかったことをずっと後悔し続けていたがラガラスはそれでもこの国の事を想っていたのだ。そしてレイナが現れてからのこの国は、とてもよくなっていたのだ。だから、レイナは、ラガラや、リガルドにとっては恩人であった。そして、ラガラがラガレア王になった後にもいろいろと話してくれたのだが。ラガガリアは王の座に飽き足らず、ラガレア王国を支配するための行動を開始していたのであった。

「なるほど事情はよくわかりました。それと最後に聞きたいのですが、この城に侵入した人物は黒髪の青年だとおっしゃっていましたよね」

「ああそうだ」

「それでその黒髪の男性はどこへ行かれたのですか?できればこの場で会ってみたいですね」

俺の言葉を聞いたラガリア王妃は動揺し始める。だがラガリア王が、「今はどこにいるのか分からない。だがおそらく王都のどこかに潜んでいると思われる」と言ったことで俺達を睨みつけた。どう考えても怪しい行動をとっていたのだ。そんな奴がいるのに、この場に現れないというのは明らかに変な話だからだろう。そしてそんなラガリア王妃に対して俺は。

「そうですか。ですが貴方達が何を考えているのかは知りませんけど俺は貴方達を殺しますよ。それでは失礼しますね。さようならです。リガラ王妃も、また会いましょう」と言うと、俺はその場から消え去り王城に転移をしたのだった。そしてそのまま玉座の間に移動をする。そして俺の気配を感じたのだろう。ラガリア王妃と、ラガラスが部屋の中で、待ち構えていたのだ。俺はその二人が構えたところに転移をすると、「貴方達を始末させてもらいに来ました。おとなしく死んでください」と冷たく言い放つ。その声に驚いたのだろう、一瞬動きを止めるが。次の瞬間には攻撃をしかけてきた。

ラガリア王妃と、ラガルの夫でもある、ラガラスは俺を襲ってきたのだ。だがそんな攻撃を軽く受け流していく。

ラガルの夫が、この国で強いと聞いていたので少しは楽しめそうな感じはしていたがそれほどでもなさそうだったので落胆していた。俺としてはもうすこし手ごたえのある奴と戦いたかったからだ。するとそんな時にラガラ王妃の声が響き渡ったのだ。「貴方は、このラガレア王城に侵入していた人物なのか?」その問いに対して、俺は正直に応えることにした。

「その通りだよ」

「やはりか」

その会話が終わったと同時に、俺の背後から攻撃を加えてきた。それはラガル王妃のスキルによる一撃で、かなり重い物だったのだ。だがそれでも、今の俺は傷をつけられることはなかった。なぜなら俺がラガル王妃の攻撃を受けても全く動じていない態度でいたからだ。そんな姿を見て驚愕しているラガル王妃に向かって。

「なぁ、ラガル王妃とラガラの旦那は本当に弱いんだな。そんなんで良くここまでこれたな。そんなにお前らが弱くて本当に残念だぜ。こんな雑魚が俺の妻になるなんて想像ができないぐらいに失望してしまったよ」と言ってやった。

その言葉にラガル王妃と、ラガルは激昂したのだ。ラガル王妃は自分の夫の事と、この王城にいる者の中では自分が一番強いと思っていたのだ。ラガラの実力も、ラガリア王妃とほとんど変わらなかったのだ。ラガリア王妃は、ラガラ王妃と同じような存在をラガルは召喚したのだ。

「私の夫と互角だと!!ふざけるなー!!」と言い放ったラガリア王妃は先ほどの倍近い量の魔力を放出しながら剣を生成していた。それに対して俺は、「あんたらがその程度で強くなっているなら本当にこの国の戦力はかなり低下してんだよな。その程度の強さしかない奴を嫁にしたやつの気が知れないわ。お前らはもっと強い奴と結婚すべきじゃないのか?そうすれば俺と戦うことができたのに、俺は絶対に殺せなかったのは残念だったと思うぞ。まあ、これから死ぬから関係ねぇーがな!!」

俺はそういうと同時にラガルとラガルの目の前に高速で移動をしてラガルの腹部に向けて蹴りを叩き込んだ。

その勢いのまま壁にめり込むくらい吹き飛ばされたラガルを見て俺は呆れた表情をしていた。

(こいつ、俺がラガルの事を蹴ったら、後ろの壁が砕けちまったじゃねえか、やっぱり弱すぎるだろ。さっきの威力は一体何なんだったんだよ)

ラガル王妃を、蹴り飛ばした後すぐに、ラガリア王妃に視線を戻したのだが。そのラガリア王妃もラガレア王を、壁際に吹き飛ばしていたのだ。そしてその二人を睨みつけていると。突然ラガリア王妃の方の姿が変わったのだ、そしてその姿は完全にレイシアさんの姿に変化していたのだ、それからすぐに俺の方を振り向いたので俺の姿をした姿に戻ったと思ったが違っていた。そのレイシアさんの姿になっていた人物は顔だけがラガリア王妃の姿になっており。その変化が終わらないうちにその人物は再び俺に変化をし始めていたのだ。

その事には俺だけではなく、その女性を見ている者達も驚き戸惑っているようだったが、その女性は気にする様子もなく、俺に再び変身しようとしてきたのである。そして、俺と女性が再び入れ替わる直前に、女性の顔が変化していきラガリア王妃の素顔になったところで完全に入れ替わったのである。俺はそこでラガリア王妃がラガル王妃の肉体を奪い取った事が分かり怒りを覚えてラガリア王妃が元になっているレイアに襲いかかったが、レイリアによって妨害されてしまうのであった。それからしばらくしてラガラと、ラガリア王妃も起き上がり始めたのだ。そしてその事を見たラガレア王は。その事に驚いていたが。俺はそんな事をお構いなしにラガリア王妃とラガラスを睨みつけると。二人は怯み、怯え始めるがラガレア王は二人を守るようにして立ちふさがったのだ。それを見るだけで、ラガリア王妃は弱腰だと感じてしまう。だからそんなラガリア王妃に対してさらに威圧を込めていくとその事に恐怖を感じ始めて体が震えていく。

「おい、俺の奥さんはどうして怯え始めているのかな?答えてくれ」

ラガリア王妃は何も言わずに首を横に振ったのだ。その反応に苛ついたので、今度は本気で脅そうとした時にラガルと、ラガリア王妃が何かを呟いていた。そしてその直後俺の周りに魔法陣が現れその魔法が起動し始める。それと同時にその魔法の発動が中断され消滅したのだ。それだけでなく。ラガルと、ラガリア王妃は体が崩れ始めており、その現象はどんどん酷くなっていく。そしてついには二人の身体は砂のように粉状になり地面に落下したのだ。その様子を俺は見ていて。この二人も結局は俺よりもレベルが低い存在だったという事を知る事になったのだった。そしてこの光景にリガルドとラガルドが困惑しはじめていたが俺は無視をすることに決めた。この二人の処分については後で考えるとしてまずは先にレイアをどうしようかと考えた。

「おいレイヤ俺と一緒にこいよ」と言うと、レイアは俺のところに来て。

「いいの?」と問いかけてきたので。「お前の本体に会いたいから行くだけだからな。だから俺の質問に答えろ、なぜラガリア王妃と、ラガルの旦那は死んじまったんだ?」

俺はこの世界で一番謎であった出来事を解決するためにあることを試してみたくなったのだ。その方法は俺と融合をしている人物の記憶と精神がどこへあるのかが分かる能力を使い探すというものだった。その事でレイアと融合した俺と一体化しているレイシアに異変が起きるのかを確認しようとしたのだ。俺とレイスの能力がどうなっているのか確認をするために、俺の中にいる存在を探知できるかを調べようと思って、それを実際にやって確かめる事にした。その結果俺の中に存在するのは、レイシアではなく。この世界で融合したラヴィアとラビアの存在があるのは理解していた。だからレイガの意識を乗っ取ってレイシアの人格が目覚めたときに俺の意識がレイリアに宿ったのかは理解できた。そして俺はレイアに、自分の妻について聞くことにしたのだ。

俺の言葉を聞いた、ラガリア王妃と、ラガリア王妃だった女性が消え去った後に。ラガリア王の口から発せられた言葉は衝撃的な物だった。

「私達はあの化け物に殺されて、私は妻と、その、その子供と共に逃げていたら、その、なんだか、妙に気持ちが良くなってきて、それで、つい我慢できずに致してしまっていたのです」

そんな内容を話し出したラガリア王妃に対して俺は少し興味が出てきたので話を聞くことを選んだ。

ラガリア王妃が話す内容はこんな話だった。俺が王城に来る前に王城に潜入してきた侵入者により、国王と王妃は殺されるという事件が起こったらしい。その後その死体を確認したのは、王妃の息子のラガル王子だけだった。そんなラガルがラガリア王妃と、その子供の所に帰ってきたとき。すでにラガリア王妃はラガルの目の前にいた。ラガリア王妃と、その娘は、ラガルを見てすぐにラガルと認識することができた。なぜなら、二人は既に何度も会っていて、そのたびにお互いを見ていたのだ。だがその時ラガルと娘の二人はラガルを別人と思っていた。

その理由はその娘には夫が存在していて。ラガルとラガリア王妃の子供である息子がいたからだ。

だがこの二人は、まだその事は知ることはなかったのだ。

だがそれでもラガリア王妃と、その子供の目の前に現れたラガルに対してそのラガルが自分の娘であると確信していたのだ。

それはラガルが自分の母親と同じ匂いを感じていたからだ。

ラガルは目の前の女性が母であることを察すると。その場で土下座をした。ラガルの態度をラガリア王妃は、少し驚き、動揺したが。ラガリア王妃はそんなラガルの行動に心打たれていたのだ。なぜなら今までラガルは、ラガリア王妃とラガルの母親であるラガラに一度も頭を下げたことがなく、ただ、その命令に従い行動しているだけの存在だったのだ。その事を知っていたラガル王妃はラガルにこんな事を言われた。

「俺にこんな事を言う資格はないと思うけど、俺の母は貴方のお母さんだ。そしてこの国の王女でもある、そんな俺の母さんを俺の大切な人達を殺そうとした貴方を許してほしい。本当に申し訳なかった。そして貴方が俺の事を、息子だと受け入れてくれるのであれば貴方の傍に居させて欲しいのだ。俺の事を家族と言ってくれ。頼む!!」と言ってくれたのだ。その言葉にラガリア王妃は涙を流し、すぐにラガルを抱き締めたのだ。

ラガリア王妃がラガルを抱き締めると、ラガルとラガリア王妃は互いの記憶と、意思を、交換し始めた。その事に気付いたラガリア王妃がすぐに、ラガルに語りかけると、それに応じてラガルは母親の言葉を聞いていたのだ。ラガリア王妃はラガルが、自分の子であり、ラガルは、自分が産み落とした子供だということを理解してくれたのだ。それからラガルとラガリア王妃は、自分達が産まれた時の話などをしていく中で、お互いに愛情を感じていき。その感情が溢れ出すと、その気持ちの制御ができなくなり。二人は、目の前で性行為を始めることになったのだ。ラガルは目の前で起こっていることに驚いていたが。目の前の女性が自分の母親がラガリア王妃であるという事が分かり。そしてこの人が自分の本当の母親であるということを受け入れる事ができたのだ。そして目の前の女性がラガルにとって本当の母親のラガリア王妃だということが分かったのと同時に。目の前の相手が自分の母であることも理解し、さらに母を愛せるようになることができたのだった。そんな事がありラガルは二人の女性の事を好きになっていたのだった。

「ラガレアとレイアって人はどこにいったんだろうね?」

「え?どういう事ですか?レイティアさんがラガレア様の妻ではないんですか?だってさっきレイア王妃はラガレア様に殺されたって言いましたよね?でもさっきレイティアさんが殺したわけじゃないですよね?それならラガレア王が言った、妻とは一体誰のことなんでしょうか?そのラガリア王妃とか言う人なんですか?まさかレイガ様がその、ラガリア王妃?の肉体を手に入れたんじゃないですよね?」

俺がそう口に出していうとリガルド王妃が驚き、レイアも同じように驚いた表情をしていたが、俺は二人の顔が見ていられなかった。なぜかというと俺の顔を見た二人に絶望が浮かんでいたからだった。

そして俺がリガルド王妃と、リガルド王妃の後ろで怯えて立っているラガレア王とレイリア王妃の方を見るが。二人共何も反応せず。無言のままその場に立っていたのだ。

俺が二人の方に歩いていくとリガルド王妃は、俺の方を警戒し始めたので。リガルド王妃の手をつかんで俺の所に引き込もうとした。その事に抵抗する素振りを見せるリガルド王妃だったが、強引に引き寄せ、俺が抱きしめる体勢になる頃には、大人しくなっていたのだ。

そして俺がレイガ王妃に近づき「君は今俺の中に存在する人格の一人だよな?」と聞いてみると「は、はい。そ、その、レイガ王妃とは私の名前なのです」と答えられたので。

「どうして、レイガリアの意識を取り込んだ?君に理由があるのか?レイガリアの意識が無くなったのは何時だ?いつレイガリアの意識がなくなったんだ?俺がレイガリアを殺さずに気絶させた時には、もうすでに、レイガリアの自我は無かったのか?それと俺が倒したラガガラス王妃と、ラガロ王妃、それに、ラガルと、ラガリア王妃の四人はどうして俺に敵意を持っているんだ?」と問いかけたが。

俺の言葉を聞いたレイガ王妃は答えられずにいたのだ。それどころか、恐怖を感じ始めて身体が震えていたのだ。

それを感じた俺は、レイガ王妃の唇を奪い。そのまま行為に及んだ。その行為をレイガ王妃は拒否することは無かったが。レイガリアの意識が無い時に何があったのかは聞き出しておく必要もあったので、俺はその事に気が付いてからはすぐに、行為を終えるのであった。

そして俺が唇を離した直後にレイガ王妃が、「私はラガルの体を使ってレイアを犯そうとしていました」と言い出し、それに対してレイガリア王妃の人格が入ったと思われるラガレア王妃は「私はこのレイガをラガルだと思い込んでいました。だから私達はその行為を始めたのです」と言ったのだ。その発言に対して俺はラガルと、ラガリア王妃の二人が入れ替わったのはラガル王妃が死んでからのはずだよなと思い。その事をレイリア王妃に問いかけてみると。レイリア王妃が「その質問に対しては私が答えます。その通りなのですよ。私の意識が戻ったとき、ラガラスと、私の意識は、既に入れ替わった後でした。そこで、そのレイナちゃんが倒してくれたレイス王妃の意識が目覚めたのを確認して。私はそのラガルが生きていると勘違いしていたのに気が付き。急いで私は、ラガレアに体を返そうとしたのですが。私とラガレアの間に子供が生まれているのを知って、私は、その、その子供を妊娠してしまったようで。その子供が産まれたのと同時にラガレアの意識は消えてしまったようなのです。それで、ラガレアの意識が完全に消えてしまう前に私は、この国を救ってほしい。そして、この国の為に尽くしてくれないか。私達が、この世界に転生してきた目的を果たすために力を貸してくれ。この国を救う為の力を与えてくれると言ってくれたのです。私もその言葉を受け入れ。二人でこの国の平和を守る為に戦う事を決め。その日私はラガルに告白をしたので。その翌日にこの国は襲撃を受けてラガリア王妃によってラガリア王妃の意識が入り込み、その後で、私と、ラガルと、この国にいる全ての人間がラガリア王妃に精神を奪われてしまい。その後でラガルは、この国の人間に殺されてしまい。そして、私と子供も殺されてしまい。その後で、貴方が現れてこの城を破壊し。そして、ラガルの亡骸に憑依しているラガルを私達と一緒に殺してくれた。そのおかげで、この国が滅びることは無くなりました。ですが貴方は、この城の中で戦っていた兵士達や使用人の人達を殺したり、拷問したり、処刑をしたりして、この国に生きる人々の心に傷をつけてしまった。それを償うには貴方にはこの国で暮らしてもらわないといけません。貴方にはその責任を負ってもらう必要があるのです。それがラガガラスがこの世界を創造したときに決めたルールだから仕方ありません」

そう言われてレイア王妃は泣きそうな声で「レイガリアは死んだんだよ。あの子の意識は既に無い。でもあの子の意志を引き継ぐものはいるかもしれないけどね?それでもこの世界の人間であるあなた達にとっては関係のないことでしょう?そもそもラガリア王妃はこの世界の人間のはずがないでしょう?だって、あなたが、レイガリアの肉体に憑依していた時はラガリアの意識を封印していて。その時に、ラガリアにその身体の支配権を奪われたはずなんだよね。なのにそのラガレアはどうしてレイアにそんな嘘をついてまでレイガリアを死人にしようとしているのかは分からないけれど。そこまでしてこの国の事を想ってくれていることは感謝しないとね?」と俺の事を見て言ってくれたのだ。

そして続けてレイア王妃は「私はこの国の王女ではなくなった。ただの一人の女性に戻ったの。そして貴方のおかげで、こうして愛する者と、大切な子供達をまた取り戻せた。それだけで幸せで満足できると思うのだけど?どうかしら?貴方もレイガが好きなんでしょ?貴方はレイガの事が大好きで結婚したんでしょう?でも貴方は今の状況に納得しているの?本当は貴方の傍にいたいんじゃないの?」と聞いてきたのだ。

「それは俺がレイガと結婚した意味を無くしてしまうことになりかねない。だからこそ、俺はレイガに幸せになってもらいたいんだ。その想いが間違っていることだとは思わないが。だがその気持ちは、今は忘れた方が良いと思うぞ。それにそのラガリア王妃がレイガリア王妃に取り付いていた時の事を考えれば。その肉体を、レイガリアの魂に返す事は出来ないんじゃないか?」と言ってやったのだ。

俺がそう言うと、レイガ王妃は「はい。その肉体を返したいという気持ちは、ラガリア王妃に支配されて、その時に私とラガルの意識が、肉体から離れた後にも残っていたようですが。その肉体にその意識を移す事ができないのです。そして、ラガルも私と同じ考えで。ラガリア王妃の支配から逃れて自分の肉体を取り戻してから、レイガを自分だけのものにしようと考えているのです。その肉体の乗っ取りが上手くいくかどうかを試したいとも考えているので。その実験が成功した後なら自分の体に戻すことも可能だと考えています。ですがラガリア王妃は、そんなことを許さないと思いますので。レイナ様が、この城の者達にしたことは、決して許される事ではないのですよ?それに貴方の事を好きになる女性達の気持ちを踏みにじる行為をしたのですから、当然報いを受けなければなりません。その覚悟をもって行動しなければなりませんよ?」と言われ。俺は、自分が行った行動を、客観的に見つめ直す必要がありそうだと感じたので、少し考える時間を得ることにしたのだ。

それからラガル王妃と、ラガレア王妃は俺の肉体から出ていったのだ。するとリガルド王妃と、リガルド王妃の意識が入っていたラガル王妃とラガル王妃の人格が消え去り、リガルド王妃の精神は俺の中に戻ろうとしたが。その直前にレイリア王妃に腕を掴まれ、無理やり、俺から引き剥がされた。

リガルド王妃がレイリア王妃の腕を掴み、「なにするんですか!?」と言うと。レイリア王妃は冷たい口調で、「ラガルの人格が入ったラガルドをこの場で処分させていただきます。このまま放っておくと危険すぎる存在になる可能性があるから。貴方の体を、私が貰うわ」と言い出すと、俺に近づいてきて俺を抱き寄せてきた。そのレイリア王妃の行動を見たラガルは俺に向かって飛び掛かってきたが、その前に、ラガレス王妃とラガルとレイガが俺に襲い掛かり俺を押さえつけると。

レイシア王妃とレイナと、レイナは俺を助けようと動こうとしたが、レイガ王妃に止められてしまった。その光景を見ていると、リガリア王妃の体が光だしてその光が消えた後には、レイガ王妃は姿を消していて。俺の中にはレイガリア王妃の精神と、俺がレイガの肉体に憑依したときに俺の中に入っていたレイガ王妃の精神の人格の二つが残ったのだ。

そしてレイガリア王妃は意識を失い、その場に倒れこんだ。レイリアスとレイガの二人はお互いを庇い合うように寄り添うようにして息絶えている姿を確認した俺は、すぐに回復薬を取りだしレイガリア王妃と、レイガに使って蘇生させようとしたが、その行為は無駄に終わり。二人の死体からは生命の力が感じられず。俺はレイガの身体を、俺のスキルを発動し調べてみると、心臓の動きは停止しており。完全に死んでいたことが分かった。

それを感じたレイナが「私の能力で、貴方の中にあるレイガリア王妃とレイガ王妃の二人を復活させることは可能でしょうか?貴方はさっき私の中にいた時にレイガを、私の力で蘇らせることが出来ていましたよね?あれはどういうことだったんでしょうか?」と言ってきたので、「レイナ。君もレイガリア王妃やレイガリアが言っていた通り。君はまだこの世界で生きなければならない存在だと思うんだ。だからレイガリア王妃の人格が宿ったままのこのラガリアの身体に君の人格を入れるよ」と言ってレイナの身体に触れると。レイガの肉体が、徐々に、光を放ち始め。レイガリア王妃とレイガリアの精神はレイナルスとレイガリアの元に行き、その肉体に憑依をした。

俺はその様子を見てレイリア王妃とレイナと、俺と一緒にレイリア王妃の人格が入り込んでいたリガラと、その妹であるリザレアと、もう一人の妹のリゼリアーナの四人を蘇生させた。その際にも俺の体に残っていたレイガの精神は消えていき、俺の心の中からレイナと入れ替わっていた時の記憶は失われてしまったが。その代わりに、新しい力を手に入れたような気がしていた。

そしてラガリアと、レイガルが、レイガ王妃が持っていたと思われる剣を手に取り、お互いに、レイガの肉体に入り込んでいるラガリア王妃と戦うために戦い始めると。ラガルとレイニアの二人を、俺とリネアとアリサが相手にすることになった。だがリディアはリザレアに捕まり人質になってしまい。レイナはリデアと共にリガ王妃と戦い始めた。そして俺は、ラガリア王妃とラガル王妃との戦いになり、俺とレイア王妃と、レイガ王妃の三人が、ラガリア王妃と戦っている。その途中で俺はラガリア王妃の記憶の一部が流れ込んできたのだが、その情報をレイア王妃に教えようとしたら。レイア王妃はその話を詳しく聞かずに。ラガリア王妃に対して攻撃を繰り出すと、ラガリア王妃は俺達に背中を向けてしまい。その瞬間に、レイガリアの使っていた魔法を使い、雷槍を放ったのだ。

その雷槍を受けた事で俺達は全員戦闘不能に陥り。意識が無くなった。最後に見えた光景は、レイガリア王妃が涙を流しながら、「ごめんなさい」と言い放ったところだった。そして気が付くとそこにはラガル王妃しかいなかった。ラガル王妃はラガリア王妃が作り出した幻影でしかなかったようだ。

それから俺の意識が回復すると同時に。俺の中で何かが生まれてくるのを感じるのだった。その感覚を味わっていると。「おめでとう。貴方は自分の力を理解したのね」と言われ。その声は、俺が、この世界で初めて出会った、レイガラス王妃の声だったので。俺は慌ててレイガリア王妃の事を、レイガの口から聞いていた。「貴方はこの世界の王として相応しいだけの力と知識を持った者です。どうかその力でこの世界をお救いください。貴方には私達の持つ全ての能力を授けます。そして貴方が望めば、どんな武器も生み出すことが出来ます。貴方の力を使えば、あらゆるものを造り出すことが出来るのです。それは無限の可能性を持っています。私は貴方を信じています。どうか貴方は私を、ラガルの肉体と、この国を救ってくださると約束してくれました。その言葉を決して違えないでほしい。私もラガルもこの国に暮らす人達もみんな。あなたのことを待っているのです。お願いします」と言われ。俺はその言葉の意味を理解することは出来なかったが、俺にそんなことを言うということは、きっとなにかがあるのだろうと思いレイガリア王妃に言われる通りに行動することにしたのだ。

俺は今、ラガリアの肉体と、ラガルとレイガ王妃の魂が混ざり合い、レイガの人格はラガリア王妃に吸収されたことで、新たな人格が誕生したので、それをラガリア王妃と呼ぶことにして。ラガリア王妃と、俺達が戦っている様子を、俺の意識の奥底で見守ってくれていたレイガリア王妃とラガリア王妃に、俺は「レイガリアと、レイガリアが、レイヴィアとレイヴィアに渡した。ラガル王妃の精神の欠片と俺の人格が混じり合って誕生したのが、レイガであり。今の人格の持ち主なのです。その事をレイガリア様から聞いておりませんが。その人格の中身は、どうなっているのか、分かりますか?」と尋ねると。レイガリクが答えてくれた。「その事については私が説明を致しましょう」と、レイガリア王妃と融合したはずのラガリア王妃も、レイガリア王妃と同じように話す事が出来ていたのだ。その事を不思議に思った俺は、「何故話が出来るのですか?」と質問をすると答えてくれたのは、ラガリア王妃ではなく。レイガリア王妃の方だったのだ。

レイガ王妃の意識の人格はラガリアに取り込まれて消えてしまったと思っていたが、実際は違っていて。ラガリア王妃の肉体と精神は融合を果たしていたが、まだ人格は完全には消え去ってはいなかったらしいのだ。だから、ラガリア王妃の中に存在していたレイガリア王妃の人格が残っていたことで、レイガリア王妃はラガリア王妃の人格が暴走しない様に監視をしていたようで。俺にラガリア王妃が生み出した魔王を倒すように促したのだ。

俺はレイガリア王妃の説明を聞いていて、疑問に感じたことが一つある。それはどうして、俺の意識の中に入っていた人格であるラガル王妃の肉体と人格は消滅しなかったのかという疑問についてだ。そのことを、レイガリア王妃に尋ねてみると、俺の考えでは、俺の中に残っていたラガル王妃の精神と俺の人格は混ざる前に、レイガ王妃の精神の人格の中に吸収されていたはずだが。それが何故か、二つの人格は俺の中から出ようとせずに。俺の精神の中に居続けたままでいた。そして俺のスキルの中に残っていた、ラガル王妃の人格の力が俺の中で覚醒すると同時に、俺の中の人格とラガル王妃の人格が、完全に溶け合ってしまったという訳だった。

その現象が起きているときに、ラガレス王妃とリガラス王妃がレイガとリガラ王妃に向かって襲い掛かったため。リガレス王妃とリグラス王妃は、俺とリガルドが相手をしているラガレア王妃に向かって行ったのであった。

その後のことは、レイガがラガレア王妃を倒して終わり、そして俺も、リガレア王妃とラガルド王妃を倒した。ラガレス王妃がレイリア王妃がレイナに止め刺されたのを確認すると、「お前が死ねば全てが解決だ!!」と言ってきたが、「俺の命を狙ってきた時点で貴様を殺す理由は出来上がっているんだよ!!!」と言ってから。俺は一瞬にして間合いに詰め寄るとレイガ王妃の人格の影響を受けているからか?俺が覚えている技を全て使えるようになっているみたいだ。

そしてレイガはレイガの肉体に入っている、ラガレア王妃を剣を使って一閃を放つと。ラガレア王妃は真っ二つになり、ラガリア王妃の肉体は消え去り。残ったラガリア王妃の身体も徐々に消えていき、レイガリア王妃と、レイガリアがラガレア王妃に近づき「もういいでしょう。これ以上貴方は罪を犯さないで。貴方だって自分の肉体に戻って生きたいと思っているんでしょう?」と言うと。

「そうですね。私は肉体に帰りますが。レイナ王妃は肉体を失い。その身体に私の力を宿らせてしまいました。レイナは一体何処にいるのでしょうか?」と聞くと。「心配する必要はありません。その身体に宿った力は、いずれ私達の元に戻ることになります。だから安心して戻ってきなさい」とレイガリア王妃が言うと。ラガレア王妃の意識がなくなり、肉体も完全に消滅していまったのだ。

俺がその様子を見つめながら。俺がレイナを殺したわけではないのだが、それでも俺はレイナの事を気にしていたのである。

それから俺は俺の意識の中で眠っているはずの、リザとリーリア王女の事が気になり始めたのである。

それからすぐに、俺の中で意識を取り戻した二人は、自分が置かれている状況をすぐに把握してから俺の事を睨みつけると、「レイガ!!お前はなんてことをしてくれたんだ!!!!レイナの事を、よくも、レイナの意識を返せ!!!」と言われたが。俺は、リザやリーリアを蘇生させるのと同時に、レイナとリザの二人にレイガリア王妃の持っていた全ての能力を与えるように頼んでいたのだ。そしてリゼが持っていた能力もすべて俺の物となったのだ。それだけではなく、ラガレア王妃に殺されそうになった時、レイナが発動したスキルのおかげで助かったので。そのことに関して俺は、二人に謝罪すると、俺のことを信用できないと言い始め、二人の怒りは増していく一方なのだ。だが俺の話を全く聞こうとはせず。レイガリア王妃の事を悪く言い出したのである。俺は、そんな事はないと、レイガリア王妃から、俺が今まで見てきたすべての事実を話しても無駄だったのだ。

俺は、レイガリア王妃が俺に話してくれなかったことを話すことにした。それはレイガリア王妃がこの世界を作り出した女神であること。そしてリガリアとラガリアの二人の女性が魔王であったことなどをだ。

それからしばらくして、レイガリア王妃の人格を取り込んだレイガは、レイガリア王妃の話していたことは本当の事であったと知り、その事に驚いたのだ。

レイガリア王妃がこの世界を作り出した女神だったことに驚いていたレイガだったが。ラガリア王妃と、ラガリア王妃の中にいるレイガリアがこの世界を作り出した魔王だった事を知り、レイガはこの世界の王としてこの世界を支配しようとしていたレイガリア王妃に文句を言い始めたのだ。「どうしてこんなことをしようとしたんですか?」と、その言葉に対してレイガリア王妃は、自分はレイガリアに力を与えて、この世界の管理者として育てていただけで、それ以外の事は関与していないと言ったのである。そして俺の人格の力を目覚めさせ。全ての権限を持つ者になるように、レイガリアを育てていたことも全て話すと、俺の事を見定めるかのように視線を向けた。

そして俺がどんな人物なのか理解をし始めたのか。表情が変わった。それは先ほどまでの怒りの顔とは違い、落ち着いた雰囲気を身に纏っていたので俺は少しだけ警戒を緩めた。そしてレイガラがレイガリアに対して口を開くと話し始める。それはラガレア王妃との戦いで使っていた雷槍を使った攻撃のことを聞くとその攻撃の正体を教えてくれたのだ。その攻撃は全ての武器を扱う事が出来るスキルを発動したことで出来るようになっていたのだ。その事を聞いた俺は、スキルの効果が強すぎるなと思いつつ、俺も似たような事ができるかもしれないと考えたのだ。そして、俺にそのスキルを授けてほしいとお願いしてくると、俺がレイガリア王妃とラガリア王妃から受け取った、二つの能力をレイガ王妃にも分け与えることになったのである。そのあとに、レイガリア王妃がレイガリア王妃の記憶の共有をすることで、俺にレイガリアとラガリアの知識を与えてくれたおかげで、レイガ王妃に新たな能力を与えることができるようになったので。まず初めに。レイガに、レイガリア王妃から受け継いだ。ラガレア王妃が使ったことのある剣術を使う為の、ラガルド剣術というスキルを与えた。これはレイガリア王妃に俺が直接教えてもらったスキルなので、俺の力も混ざっているのだ。次に魔法剣士というスキルを与えると。レイガは剣を使いながら魔法の攻撃をする事が可能になるスキルなので。レイガ王妃にはちょうど良いと思ったからだ。そして最後にレイガは、俺の与えた二つのスキルで、全てのスキルを使えるスキルを俺に渡してきたので。俺はそれを受け取り、二つの能力を使って俺は全てのスキルを使うことができるようになったのだ。その事を伝えたがレイガは信じられないという顔をしていて、「私の想像を超えた人がいる。私にそんな力を渡したらどうなるか、わからないのですか?」と言われて俺は、その答えを言った。

レイガリア王妃に頼まれた通り。この世界を救ってくれることをレイガリア王妃が望んでいる事を伝えると。俺からレイガリア王妃から託された三つの指輪を受け取ると、その指輪を俺に渡し、その事を確認した後、レイガはレイガリア王妃との意識を共有することで、レイガリア王妃の持っている記憶も、自分が受け継いできた知識を全て手に入れたのである。そしてレイガは自分の体に戻ってきたラガル王妃が、レイガリア王妃の肉体に自分の魂と、レイガ王妃の精神の人格が入り込んだ事で。肉体が消滅したため、肉体の再構築をする為に眠りに就いたという情報を手に入れることができたのだ。そして、肉体を失ったラガリア王妃の肉体を修復させるために、俺の血をレイガリア王妃に渡すと。ラガリア王妃の肉体を復元することができた。

俺はレイガ王妃から聞いた話だと、レイガリア王妃も、レイガ王妃と同じように。レイガの肉体を使って生き続けていたようだ。そして俺は、自分の体の中に戻ったリシアとリヴィアと、レイリア王妃の肉体の中にいたラリアと、リガレス王妃とリグラス王妃は、レイガリア王妃の意識を共有したことで、レイガリア王妃がラガル王妃に与えた全ての能力を受け継ぐことができ、俺達のようにレイガと会話ができるらしいので。そのことを、リガルドとリリアに話すと。二人はリガリアとリガリア王妃が俺の所に来た目的を聞き納得してくれたのだ。そしてレイガリア王妃はラガル王妃の精神を取り込んだレイガリアに力を注ぐために眠りに就き。俺は、レイガリア王妃とラガリア王妃の力を注ぎ込まれたレイガリアが、この世界に戻ってくるまでの時間を潰すことにし、まずは俺達がここに来ている間のレイガの代理を任せるためにリディアとリーリアの二人を呼び戻し。俺は、リディアとリーリアを連れて俺達の住んでいる屋敷に戻り。二人に事情を説明したのである。そして、二人と一緒に俺の屋敷の方に帰って来るのであった。その後、ラリア王妃は、リリア達と一緒にレイガリアの意識が入るまでは。レイガリアが使っていた体に入って、そこで待機をしてもらう事になったのだ。

俺達四人はレイナとリデアが暮らしている家の方に向かっていると、途中で俺の魔力探知で感じ取れた。強大な存在に、俺達はすぐに気づいてしまったのである。

「リディア。リリアス。今すぐにこの場を離れよう。あいつらが現れた。おそらくレイナが目覚めたんだと思う。それに、もうすでに他の奴らもこちらに気付いているだろうし」俺は二人に声をかけてから。すぐに転移を行うと。レイナの居場所に向かうのであった。

レイナは意識を失ってからどれぐらいの時間が経過したのかわからない。だが、レイナの意識は完全に回復しているわけではなく、意識の半分ほどはまだ眠ったままだった。だがそれでも意識を取り戻し。目の前にいるリリアとリディアスの姿を見て安心したのである。それから少しだけ話をした後。俺はレイナから二人のことを頼まれる。そして二人がレイナに話した言葉は、とても優しく暖かい言葉だったのだ。その言葉を聞いた俺は、二人のことを守ろうと心から思うようになり、そしてレイナの事を頼んできたレイナと、俺のことを心配してくれたリリアとリリアの言葉を聞いて嬉しかった。そして、リリアは俺に対してある提案をしてきたのである。それは俺の肉体にレイナと、リリア達の人格を融合することであり。レイナが目を覚ますまでにその準備をしておくということだった。そのことについて俺が聞くと。

俺の肉体にレイナとリリア達の人格が融合する。つまりは一つの生命体になるというのだ。それはレイナの意識が完全復活すると同時にレイナと俺が入れ替わることになるというのだ。その説明を聞いた俺はすぐに、リリアの話を聞いた俺は、それしかないのかと思い。俺がそれを受け入れると。俺が融合した時に起こる副作用について話をし始めた。その話は俺の身体は今まで俺が住んでいた世界で存在していた人間の体を改造されている。だから俺と融合した時には、この世界の生物とは異なった進化を遂げているという事を、俺はこの時に初めて知ることになる。そして俺の種族はレイガの時と同じく竜族であることや。

俺の体は、この世界の住人ではない。だから俺の魂を定着させる場所として、俺の体内が適しているらしく。そのことの説明を受けた俺だったが、リザはそんなことよりも、レイリアの人格を俺が取り込んでいいものなのか。俺がその事を聞くと。リゼは問題ないと言ってくれ。

俺はそれならば。ということでその話を受けることにしたのだ。ただ一つだけ問題があるとすれば。この世界に元々存在しているレイリアの人格を。今のリザとレイニアとリアナの人格は受け入れることが出来るかということである。そしてそれを試すためにも。まず最初にリデアの体と、リリアの体に、レイガ王妃の肉体と、レイガリア王妃の肉体を移植してみてはどうかと、俺に提案したのだ。そして、俺はそれを受け入れることにし。リレアの身体には、リリアと、リディアとリリスの肉体と、俺が融合した際にレイリアの人格を俺の体内に移動させることに決まると。

そしてレイナは俺に話しかけると俺とレイリアを一体化させるために俺とキスをしてほしいとレイナは言うので。俺は了承すると。レイナはすぐに唇を重ねて舌を絡ませてくる。そしてしばらくして、レイリアの人格とリリアと、リレアと、リディアスの肉体と。リレアに俺とキスをしているレイリアを分離させてもらうことになったのだ。そしてリデアがレイレアに指示を出し始めると。レイレアはレイガ王妃の肉体の中から出てきたラレア王妃をレイヤに憑依させると、リデアはリレアに対して指示を出したのである。その言葉を聞いたリレアはリアナに対して、自分と、俺とキスをしていたレイリアを分離したのである。そしてレイリアはゆっくりと瞼を開け始めたのだ。そして俺を見つめると涙を流して、俺に謝罪をした。レイリアの魂とラガリア王妃とレイガリア王妃とラガルド王妃が混ざり合った存在が俺の中で暴れまわっていることや。俺の体がその変化に耐えきれるかわからないことを伝えると。俺に抱きしめてほしいと言われて、俺の体にレイリアが抱きついてきた時。

レイリアは俺に口づけをするとその口付けは俺がレイレアにされたような口移しによる魂の譲渡で、リレアがリデアに、そしてリアナがリアナに、リティアがレイティに、リリアがレイリア王妃に、ラギアがリガルド王妃とリガル王妃とリグラス王妃とラガルド王妃に、それぞれ魂の力を注いだことで、リリアと、リディアはそれぞれの体に、元の精神と元の体の意識が入り込んだのだ。リリアがレイガと、ラグリアの力を受け継いでいるが。リアリがリリアスと、リガスと、リリエスの肉体と。リガレスがリガリア王妃の力を受け継いでいて。そして最後にレイリアは、俺の力を受け継ぐことができた。だがそれでも俺が、レイガリアと、レイリアとラガリア王妃の力を全て受け入れた場合。俺が耐えきれないかもしれないという話をすると。

俺は、自分がどうなってもいいと言う表情をしながら、リリアスのお母さんが使ったことのある剣術を使う為の、ラガレス剣術というスキルを与えられる。ラガレスの剣術を使えるという事はラガレス王妃から認められたという事になり。俺はレイリアに自分の中にいるラガリア王妃に許可を出してもらった後。俺の体から、リリアと、リディアと、リデアと、リレアと、リアナの人格は消滅したのだ。

そしてレイリアは俺にラガリア王妃がラガレス王妃に託したものを俺に渡したいと言ってきた。俺もラガレス王妃に託されたものは気になるし。何より俺に渡したいという言葉が嬉しかったのでレイリアから受け取ることにした。俺はレイガ王妃にラガリア王妃が残したものを見せてもらえるように頼むと。レイガ王妃は俺をラガリア王妃の部屋に移動させた。俺は、ラガリア王妃の遺品を見て、少しだけ悲しい気持ちになった。そこには、ラガレス王妃が俺の親父と、俺の母親に送った手紙もあったからだ。そしてラガリア王妃の部屋に俺とレイリアの二人で入ると。レイリアは俺にラガレス王妃の遺したものを渡した。それは俺の予想を超えるもので、その武器を見たレイナは、驚いて声が出なくなってしまったのである。

「こっ、これは、まさかこんなものが」レイナが驚いたのも無理はないのだ。レイガの魔導剣や。ラガリアの魔銃などよりも。この世界に現存している魔道武具の中でも最高峰に位置する物なのだから。この世に現存する中で最強の武具と言っても良い。この世に存在する魔獣の素材を使って作られるのがこの世界の魔導武具だ。

そしてこの世界には存在しないとされている幻界と呼ばれる場所の鉱石を使い作るのが神器と呼ばれている武具であり。その二つを合わせたような見た目の武器が存在していたのだ。それがラガリア王妃が作ったと言われている。龍神の杖と呼ばれる伝説の武具だったのだ。

俺はその槍に鑑定を行うと。その名前は、聖邪龍の双蛇刀と、名前が表示され。レイリアが俺の手元にある、聖邪龍の双蛇刀に鑑定を行うと同じように、名前と性能が表示されたのである。俺はその性能を確認すると驚きを隠せないでいたのだ。その能力は凄いなんていうものではない。

その二つの能力値はあまりにも高い数値を示していた。この世界に存在するどの魔導兵器にもこの数値を出すことはできないだろうというくらいの代物であることはわかった。それに、俺がレイリアにこの魔道剣を返すと。レイリアは受け取らないといい。それはリザ達と一緒に使うように言われてしまった。

俺達が家に戻ると、リデアが俺達に声をかけてくると。リディアはリザとリリアと、リアナにリリアとレイリアとリディアのことを頼んだのだ。そしてリリアの人格が入った肉体はリザに、リディアとリリアはリディアに、リアナの人格はリディアの肉体に入り込むことになるのだ。その準備のために俺達は一度、それぞれの身体に宿っていた、人格達の元に戻り。

ラガリア王妃とラガレア王妃の使っていた部屋でリレアの身体に入っていたレイガと。リリアの身体に入っているリディアが合流していた。俺はこの機会を利用して、二人のステータスを確認することにした。すると俺の目の前には俺が知っている情報とは大きく異なる内容が表示されたのだ。俺はそれを見てしまうと、さすがに俺もその言葉を失ってしまうのであった。

俺の名前はラガルで今は魔王軍の幹部の一人でリザの旦那でもあるのだが。そんなことはまだ誰にも知られてないことだ。だから今の俺の身分としては、ラガレア国王とラガレア王妃の息子として存在しているのだ。そしてラガルという少年の本当の年齢や経歴を他の人に教えていないので、俺の正体を知る者はほとんどいない。だけど、この世界では成人として扱われる16歳になると俺は自分の力で冒険者として生きていくことに決める。それはなぜかというと、俺の父親がリガ王国の国王の時もそうだったのだが。勇者の血を引く者がラガルとしてこの世界に転生する時は。前世の記憶も引き継ぐことが出来るらしい。

俺の前世は地球と言う星にいた日本人だったようだが。俺自身はそんなことを全く覚えてはいない。ただ俺はそんな日本という場所の記憶がなくても。自分がどういう存在か理解できていた。そしてラガレア王妃に拾われてからは、リザが俺を育ててくれたが。俺は自分が、前世のラガルの記憶をしっかりと受け継いでいることがわかったのだ。

そして俺が自分の力を試すためにリデアとリディアとリリアに、俺に稽古をつけてほしいと頼み込んでみた。その結果。俺に剣術を教えてくれたのがリディアだった。

リディアスさんは、ラレア王の息子なのに。俺に剣の扱いを丁寧に指導してくれて。俺は剣術を覚えてからは、リディアスさんの従者のレイレアが俺に訓練用の木の棒を持ってくると俺に向かって襲ってきたので。俺は仕方なく応戦することにしたのだ。リディアも俺に対して攻撃してくる。リディアとレイレアの動きはとても良く。俺がいくらリディアに剣を振るっても簡単に避けられたり、防御されてしまう。そして隙があればレイレアが俺の体に一撃を入れる。

それからもずっと俺に対してリディアとレイレアが、連携攻撃をしてきたりして俺は負けるわけにもいかないのである。俺の身体能力は確かにリディアとリリアと比べると格段に低い。だが、それでも二人と対等に戦うことが出来ているので俺はそれだけでも嬉しかった。そしてレイレアが持っている剣をリデアに貸してもらう。

するとリデアの筋力とレイレアの筋力がかなり上がっていることに気がつく。だがそれでもレイレアとリデアの力の方が圧倒的に強いのがわかるのだ。俺はそのことを疑問に思うとリデアからある事を説明される。それは、今レイガの中に眠っているラガリア王妃の闇の力が、そのラガリア王妃が憑依していた、ラガリアとレイリアが一体化したことで、リレアの体の中にある、闇を吸収できたことによって。リデアが、自分の中の魔力量が増加しているとのことだった。そして俺はそのリデアの言葉を聞いてから、改めてレイディアの事をじっくりと見ると。俺も少しは成長して強くなったと思っていたけど。リデアとリディアに比べれば俺の成長など微々たるものだと感じたのだ。

そして俺がレイレアと戦ってからしばらくしてリディアがラガルとして生きている自分の肉体がそろそろ成人として認められる時期になると俺に伝えてきた。俺としてもその事は気にしていたので、リディアにどうするか聞くと。俺は成人として認められた後は冒険者をするつもりだと答えると。それならば私も同じ事をすると言い出してしまう。そこで俺はリディアと話し合いをしてからお互いに、冒険者の職業に就く事にしたのだ。

俺は、リディアと一緒に冒険者として活動することを決めた時にリリアにこのことを伝えることにした。するとリリアとリアナは喜んでくれた。俺は、レイレアにリディアを俺の妹だと言って紹介すると。レイレアは少しだけ照れながらよろしくと言っていたのだ。俺とレイレアが話しているとそこにリリアがやってきたのである。リデアとリアナもその場にやってきて、ラガレスの武器を使う練習を始めたのだ。俺が、レイレアから借りている聖邪龍の双蛇刀は、ラガレア王妃が作った伝説の武具の一つで。その能力は俺の想像を超えるものだった。俺とレイレアはリリアとリアナが練習をしている姿を眺めてから俺が、これからどうしたいのかを考えるのであった。

俺達は城を出て。自分達の家で暮らし始めることになった。俺はリザとリリアとリデアに俺の両親と、リリアとリアナはレイア王妃とラガレア王妃のことを話すと。みんな俺のことを受け入れてくれて嬉しかった。そして俺は俺の家族を紹介してあげたいと思い。家に連れてきたのだ。

俺の両親は最初は驚いていたものの。すぐに受け入れてくれるとリデアの作った食事を一緒に食べる事になった。

その後、家族会議のような時間になり、それぞれがお互いの意見を言っていくのである。まずはリデアが俺に、レイリアとリガリアの二人がこの国の女王になったことを報告してくる。俺がその事を聞くと、レイリアも、リグリア女王から聞いたのだろう、自分が、このラガリアの王の妻になってほしいと、ラガレス国王とラガラ王妃から頼まれていたこと。ラガリア王妃とラガリア国王が亡くなったことでその願いは、自分の中で消えていくのかもしれないけれど、自分はこの国の王族としてこの世界で生きるつもりだと伝えてくる。

リリアもラガリア王妃と、ラガリア国王からラガレス王妃と同じように、自分がラガレス国王と結婚した後に、ラガレス王妃の子供を生んで欲しいと言われたが。ラリアとラガレスの気持ちを考えてしまい。リリアは自分の気持ちを伝えて。その話は断ったのだ。

そしてリアナはラリアと、ラガレフの話をし始める。リアナが、ラガリア王妃とラガリアと、ラガレスの話を聞いた後。リアナは二人のことを自分の子供だと思って。そしてラガリアのことはラガルの双子の妹で、ラガルのお嫁さんにして、リアナの子供だと思っている。そう言う風に考えることにしたのだという。リリアの話に、俺とリデアは驚きを隠せなかった。なぜなら俺達には前世の記憶があるが。他の人達には、前世の記憶を持っているという記憶が残っていないからである。リリアになぜそういう考えになったのかを尋ねてみると。ラガルはレイガに転生していて。リザがラガルの婚約者になっていたことを話すと。リアナのリリアに対する想いと、ラガルのレイナに対する愛情に感動し、そのように考えるようになったという。

俺はリリアの言葉を聞いた時に俺達が、ラガルがこの世界に来た理由を思い出させられた。俺はラガレア国王から、レイレアを自分の息子にしてほしいと、そしてリザとリリアを自分の娘のラガリアとリガリアに嫁として迎えてもらいたいと言われ。俺はそれを了承していた。

リリアはその話をラガレア王とラガリア王とラガレス王と、ラガレア王妃から聞かされていたのだ。ラガルはレイレアを実の息子のように可愛がっていたと聞いていたので、リリアはレイレアのことを、レイガの妹であり。ラガレアの娘と。ラガルの嫁だと考えてラガレア王妃と、ラガレア王に、自分の子供のお世話をすると言って。二人のことを、母親代わりになりたいとお願いしたのだそうだ。そうすると、ラガレア王妃も納得してくれたようで、俺達にレイダ王女を頼んだと言ってくれた。俺もラレア国王も本当に感謝してもしきれなかったのだ。

だからラガレオ王妃が俺の両親のことを自分の息子の妻と、俺の双子の姉妹の姉として見てくれたことも俺は嬉しいと思えるようになった。そうして俺たち家族全員が集まり。そして食事を終えると俺は今日はもう遅いので、この家の中の部屋を自由に使って良いよと言う。

そして俺とレイディアは二階にある部屋を使っていいのと聞かれたので。俺とリディアで相談した結果、リデアとリリアは一階の部屋に。そしてレイリアは三階にそれぞれ個室で使わせることにしたのだ。俺はその方が都合がよかったからだ。俺はリディアを連れてレイディアと一緒に二人の女性に部屋の使い方を簡単に説明した後。

俺とリディアは夫婦の寝室に向かい。リディアと二人きりの時間を楽しむのであった。

リデアに、俺は、ラガレアの城にあった。俺の前世の武器。リリアが、リリアの母親のレイリアの杖を持ってきたときに俺は、リディアが使っていた剣を見せてもらって、俺にリディアがリディアが、俺に剣術を教えてくれた時も剣を使っていたことを思い出すと、剣で戦ってみたいと俺が言い出したのだ。そしてリディアが持っていた剣を借りてから、リディアの剣捌きを思い出して。そして剣を振り始めてみたところ。俺は簡単にその剣を扱うことが出来たので、剣の修行をしていこうと決める。そして俺は、剣でリディアと戦っているとき。自分の体がいつもよりも速く動くことに気がつき。リディアから俺の体の能力を、俺自身の目では確認することが出来ないので、もしかしたらリディアなら確認できるのではないかと、思って剣での戦いを止めて聞いてみると。リディアはすぐに俺のステータスを見てくれた。その結果。俺は身体能力を上昇させる能力があるらしく。俺の能力で俺がリディアの剣を避けていると思っていたのだが。実際は身体能力でリディアの剣の速度に付いていっており。俺自身も気づかないうちに、無意識に避けていたらしい。それを見たリディアは俺に。その能力を使えば。もっと強くなれますねと、言ってくれると。リデアが、レイリア王妃の剣を持っていたのを見て、レイレアが俺に対して自分の持っている、ラガレアの持っている、リディアが、ラガレア王妃の剣を俺に貸してくれると言ってきた。

リディアから俺はラレアの剣を貸してもらうと。その剣の魔力が俺の魔力を吸収し始めた。俺はそのことを不思議に思いながらその魔力に身を任せていると。急に、魔力が体に入ってきたのを感じて慌てて俺はリディアに聞くと、リディアも、ラガルにその事を話したら、そのラガレアの剣もラガルと同じように、所有者を選ぶようだと話してくれると、そのあとすぐにリディアに。ラガルが自分の体を乗っ取られてしまったのと同じように、自分も乗っ取られると思った俺はリディアの方に手を伸ばそうとすると、そのラガレアの剣も、俺の手が届く寸前で、俺の中に入り込んだのだった。

俺の体の中に入ってきて、俺はそのラガレア王の力を手に入れて俺は確信したのだ。俺は今リディアと一緒になって初めてラガリアの剣を使った時に、俺の中に入ってこようとしたラガリアの力は感じていたが。それがこのリガリア王が使っていたと思われるラガリアの闇の力が、リディアが使うラガレアの剣に入り込もうとした時にも、同じような現象が起こったのだと俺は理解したのだ。それを確かめるために俺はリディアにもう一度ラガレアの力を使わないでラガレアの剣を試して欲しいと頼み込む。すると今度はラガリアの力は、俺の中には入ってくることはなかったのだ。そしてリディアからラガレア王妃に、そのラガリア王の剣はラガレア王妃が所持していたことを伝えて欲しいと、俺が言うと。リディアは少しだけ悲しそうな顔をしてわかったと答えると、俺の頭を優しく撫でてから。俺は、自分の気持ちを伝えることにする。俺は自分の気持ちが抑えられなくなり、リディアにキスをする。俺がそんな事をしている間にレイデアが俺達の様子を見に来てしまい、俺達の様子を微笑ましそうに見ていたのである。

その後リデアとリリアと、レイリア王妃とリガリア王妃も来てみんなで食事をすることになり。みんなが食事を終えて。俺はリガリアとリリアを自分の両親とレイデアとレイリアに紹介をした。

そしてみんなが俺の家に泊まっていくことになる。リリアもリアナも、リデアもレイデア王妃もレイガリア王妃も、リディアも、レイア王妃も、レイガリア王妃と、リガリア王妃も一緒に寝る事になった。そして俺とリディアが一つの部屋に入ると、レイガリア王妃とリガリア王妃はお互いの部屋に行ってからリデアとレイリア王妃の部屋に行っていた。

それから俺達は三人の女性の胸を触らせて貰ったりしてからリデアとリリアの二人とベッドの上で激しい行為を行う。レイガリア王妃とリガリア王妃と、リデアとリリアの四人の女性は最初は驚いたものの。その後は興味本位で混ざってくることになるのであった。俺はレイガリア王妃の胸に顔を埋める。リディアがリディアの豊満な胸をレイガリア王妃の顔に当てている。それを羨ましく思ったのかリディアは、俺がやっていることを真似をする。それに気づいたリガリア王妃が、私にもやらせなさいと、リディアの豊かな二つの果実に、リディアの綺麗な顔を押しつける。するとそれを見ていたレイリア王妃とリレアもやり始める。そしてそれを見ていたリデアとリリアとレイティア王妃も参加したのだ。

俺はその行為をしばらく続けているうちにリディアは疲れて眠ってしまった。リディアは体力の限界に達したようである。俺はそのまま俺も意識を失うのであったが。リデアとリリアと、レイディア王妃とリレアとレイティア王妃が、夜通し俺の相手してくれたおかげで。俺は、久しぶりに朝まで起きていられることができたのだ。俺はその事に嬉しく思いながらも。今日はゆっくり寝させて貰うことにしたのであった。

そして俺は、リディアと、リアナに起こされて目が覚めると。三人の女性に、リディアとリアナは、リデアとリリアと一緒に朝食の準備をしていたので。俺はレイリア王妃と、レイガリア王妃の相手をしていた。俺は二人の胸に挟まれて幸せな気分になっていたのだ。それからしばらくして朝食を終えると、俺は昨日と同じメンバーで出かけることになる。まず最初にラガレアの城にいくことに決まった。そして城についてからすぐに俺は、レイレアのところに行こうとしたときに、俺はレイレアが妊娠したとラガレアから聞かされる。そしてその事をラガレヤ王妃が伝えてきたのだ。

そして俺とラガレアはお互いに抱き合って喜んだのである。レイレアの子供が無事に産まれてくると、リガラも喜ぶからと、そして俺は、自分の中にリディア以外の女性がいることを実感しながら俺とラガレアは二人でラガルレアがいる所に向かって歩いて行く。ラガレアは、自分が魔王になったことを喜んでくれたのだけれど。これからどうすればいいんだと言ってきて俺に助けを求めてきた。なので俺はすぐに自分の力を使って自分の魂を呼び出したのである。そうすると自分の身体に戻ってくることに成功したラガレアは俺のことを見てくると、俺に対して感謝をしてくるので俺は気にすることはないよと言う。それでこれからのことなのだけれども。俺は、自分の力で元の世界に戻っていいのかわからないでいると言い出すとラガルレアは元の世界で生活したいと言ってくれた。だから俺はそれを聞いて嬉しくなり。この世界のことなら大丈夫だと思うよと言うのだ。だから俺はこの世界を、自分の好きなようにして欲しいことを告げるとラガレアがありがとう。お前が来てくれて良かった。

俺の言葉を信用してくれていて本当に助かったんだよ。

俺の言ったことは、ほとんど嘘で本当はこの世界にずっといることが出来る。だけどラガレアには、ラガルレアが元々いた世界に戻りたいと思うのであれば、俺に頼らずに自分で戻れるようにしないと駄目だと、俺が言ってしまう。俺は、俺に出来る限り協力をするから。何か困ったことがあったら遠慮なく俺を頼って欲しいという事を言うとラガレアは心の底から喜んでいたのだ。そして俺達は城に戻ることになったのだ。

ラガルレアが戻ってから俺達が城に着くと、そこには、俺の両親の他にも俺の祖父祖母と叔父さん夫婦と妹とその彼氏も俺の家に来るために待っていたのである。そして、俺の家族と祖父母と叔母の六人とラガレアとラガルレアが対面をすることになるとラガルレアはすぐに。

「私は、今代の魔王になったラガレアと申します。貴方が私の父の父であられることと。私を救ってくださって。さらに私の母を妻に迎えていただいたことに感謝しております。今後とも、どうかお付き合いをお願いします」とラガレアが頭を下げると俺の両親も、ラガレアとラガレアの両親も、そして祖父母と叔母達もみんな驚きの声をあげてしまう。

すると、その反応を見て俺は笑いながら言うと。俺とラガレア以外は、何が起こったかわからず混乱していると。俺は、その前にリガルの件は解決しましたので安心してくださいと言ってから俺の事情を説明した。俺はリガルを俺の中に入れてリレアがリガルドの中に入れていることを話すと、俺の両親は納得してくれたようだったが、それ以外の人たちは困惑していたのである。

俺がラガルレアの身体に乗り移れた理由はリレアが、俺に憑依させることが出来たからであると説明して。そのせいで俺とラガルレアが一時的に一体化してしまったので。ラガレアが俺を乗っ取るようなことがなかったことを説明すると。

俺の話が終わると俺は、俺がこの国にいる間に、俺がこの世界に来た理由や、この世界に呼ばれた時の事を話して。ラガレアが俺とラガレアとがこの世界に一緒にやってきた理由がわかればラガレアが、魔王の力と、この世界の人々の負の感情を一人で全て抱え込まなくて済むと思ったからだと説明したのである。

それから俺はラガルレアにラガレアの持っている剣と、俺が持っていたリガルの力と、俺とリディアとリリアの力を合わせて作り出した。リレアに憑依するための剣を差し出すと、そのリガリア王の剣に驚いたのである。そしてラガレアがその剣を手に取り鞘から引き抜くと。リガルの力を感じたようだ。そのことに驚いて剣を落としたのだがそれを拾う。その後ラガリアの闇の魔力と、リガルの力で、剣の力を解放できるのかどうかを試したところ。問題無くできたので、俺の持っているリガルの力と、俺とリディアとリリアの力が使えるので。リディアの力を使うことができるようになると説明して、ラガルレアにリディアが持っている聖属性と、俺が使ったリディアの聖女の力は扱えるのかどうかを尋ねた。すると、リガルの力が使えるようになっていたため。

俺はラガレアの体を治すために治療を行う。その際に俺は。

自分の肉体の損傷だけではなく。他人の体の修復も行うことが出来る能力を手に入れたことを自覚する。その後、リディアが回復魔法を使って、リディアの回復魔法の効果が、俺とリディアとリリアは使うことができたのだ。その事にラガルレアとリガルの二人が驚くと俺はリディアがリリアを治療したことで、二人の力の使い方を覚えてしまったからではないかと告げる。

リディアは俺の説明を聞いてから俺がリデアから得た。自分の身体の中にある、自分のものではない魔素を取り込んで自分の中から取り出せるようにする。リディアはそんなことが出来るようになるスキルを覚えたと聞いてきたのであった。リディアが習得したスキルについて詳しく説明すると。俺はそのスキルのことについて話す。それからしばらく経つとリディアも俺の話を理解できるようになり。俺の言っている事がわかるようになっていった。そしてラガリア王妃の方は俺に抱きついて甘えてくるようになる。俺は、ラガリア王妃が満足するまで、そのままでいることにしたのであった。

リガリア王妃はしばらくすると落ち着いたのか。離れていくと、俺に、これからの事を聞くのであった。そして俺がしばらくしたらリガリア王妃に会いに行くと言うと、嬉しかったのか、リガリア王妃が泣き出してしまう。俺はリガリア王妃に、自分のことを俺に任せて貰えるのか?と尋ねるとリガリア王妃は涙を流すのである。

そしてラガルレアはしばらくしてから自分の家族や仲間にこれからどうするかを尋ねてみると。自分達をここに連れてきたのは、俺であり、ラガルレアの身体を、俺が自分の身体に乗り移れることができるようになったのは、リガルの魂が入った剣を使ったことで出来たことを聞かされたのだ。なのでラガルレアは俺に、ラガレアを助けてくれたことや、俺にラガルレアのことを託してくれたことに恩があるとして、ラガルレアがこの世界に来てしまったのは自分のせいだと思って、この世界に残ってくれないかと言うと。

ラガルレアの家族がそれに反論をして。自分達をこの国にいさせて欲しいと言ってきたのである。その言葉に、ラガルレアも、俺も喜ぶと。俺はラガレアに、この国にいる間の衣食住の面倒を見てやると言ってからラガレアの両親と祖父母は、リガル達の住んでいる街に行って欲しいと告げて俺はリガラと一緒に転移する。ラガレアも一緒に連れて行かないかと言われて。俺は俺もリガルも一緒に暮らす場所を用意してから呼ぶので先に待っていて欲しいと言うと、 ラガルレアはわかったとだけ言って。ラガレアは俺と一緒に行動してくれることになったのである。その事をラガレアの親に伝えるとラガルレアの親達は涙を流していた。そして俺は自分の家にラガレアを連れて行ってリガラにラガレアのことを任せると、俺はすぐに自分の家に戻ったのだった。そして自分の家でリリアを呼び出し、リディアに、俺の体の中で眠っていたリガルドを俺の中に戻してもらい。ラガルレアはリガルドの中に入れたままにして。自分の体にリガルドを入れた俺は。

自分の身体に、俺とラガレアとリガルドが融合すると、俺の見た目は変わらないで。俺の中に三人が入っている状態になる。

それから自分の魂を切り離してラガレアの方に魂を入れる。俺は自分の肉体と、ラガルレアの肉体にリディアとリガラを呼んで、これからしばらくの間は。自分の体に戻って生活をすることを告げる。するとリディアが俺に、自分の身体に戻ることは危険ではないかと言い出したので、俺は、これからしばらくは、自分の肉体にリガルを入れておくので心配しないでくれと言って。

そして俺は、この世界に来てしまった時にあった事を説明してリガと、ラガルレアの身体と、ラガレアとリガの力を使えるようになった事を説明すると。二人は俺が話してくれた内容を信じられない様子であったが、それでも俺の言ったことを理解してくれて、そしてラガルレアがラガレアの中に入ってきてから今までに起きたことを説明していく。その説明が終わった後、 俺はラガルレア達にもラガレアの身体に入った時に起きた出来事を二人に話させたのである。それが終わると、俺は、ラガレアをラガレオと呼ぶようにリガルに命令すると、 俺はラガレアを、リガルに紹介するために、リガルにラガレアのところまで移動してもらう。その途中で、ラガレアが俺に、俺のステータスを見せてもらえるように頼んできたので、俺は自分のステータスを見せると。リガルは驚きの声をあげる。ラガレアは俺の見せた数値に驚いた後にラガレアのステータスを見せてくれると。俺はラガレアのスキルが使えなくなっていることに気づく。その理由を話すとラガレアは。俺を恨んでいるわけじゃないんだなと言った。それからラガルレアに。ラガレアにはラガレアにしか出来ない仕事があることを伝えて俺はラガルレアに。

これから先の戦いについて行くためには俺が持っている知識が必要になったときに教えて欲しいと告げると、ラガルレアはそれを承諾すると、その後、ラガルレアに俺の両親と祖父祖母と叔父さん夫婦に、今から俺の家に来るように指示を出すとラガルレアはすぐに動き出して俺達もラガリアとリガリアと共に。リディアとリリアスとリガリアと一緒に城に向かっていったのである。

城の広間ではラガルレアが、魔王としての威厳を放ちつつ俺の両親と祖父母と叔母達と甥っ子と、従姉妹と兄弟達に自分がこれから何をしなければならないのか説明したのであった。俺は、リディアとリガリアのところに近づいていくと。リディアはリガルドのことを見て。リガリアと二人で話し始める。するとリガルドが自分の体に入り込んできたことを説明すると。

リガルドは。自分の体のことよりもラガルレアの方が大事だと告げてラガルレアにこの国で何が起きたかを、詳しく話して欲しいと頼み込むと、ラガルレアはラガレアの記憶から何があったのかをリガリアとリガリアに聞かせる。

それを俺達が聞いた後は。リガルは。リガルドとラガルレとが融合したことにより。新たな人格が生まれていることを理解した上で、リガルドと話し合い。リガルドはラガルレアに何かあれば必ず助けるから。その時は、ラガルレアのために何でもすると言うのである。その後、ラガルレアに。自分の力を分け与えてあげると言ってから。俺に対して忠誠を誓うと言うのであった。

そして俺に、自分の妻になって欲しいというリガルドだが、リガルに俺の婚約者の一人にするつもりだから無理だとリガルドに伝えておく。リガルが少し残念そうな顔をするが俺は気にせずラガレドとの話を再開すると、俺に力をくれると言ってくるので。俺が断ろうとしたのだが、ラガルレアに止められた。

その後、ラガレアとリガリアが、自分達の力を分け与えると、俺の体に吸い込まれていき、俺が目を覚ますと。

俺の中には。四人の力と、五人の魔力が入ってきていた。

ラガルレアが、俺が持っている。ラガルレアの聖女とリガルの力に。俺の力を加えて。聖属と魔属の属性を纏わせる。そして、自分の持つ魔力と聖属と魔属の全ての魔法を使いこなせるように、魔法を発動させてみる。俺はラガルレアの身体の中で、自分の体をコントロールしている。その状態で、魔法を発動させると、発動した瞬間。

この国の結界を破壊することに成功する。そしてその事を、俺はリリアから教わっていた。リガルとリディアも、リデアに教わりながら俺と同じように、結界を破壊したのだと言う。そして俺達は、この世界の神と戦うための、力を手に入れたのであった。そして俺が手に入れた力は。リリアの持つ剣の能力と。俺が習得できるすべての武器や、防具、アクセサリーの効果。さらに俺に、あらゆる回復や補助魔法の効果と。全攻撃、回避率向上や。あらゆる防御能力を上げる能力と。身体能力向上など。俺に備わっているすべての能力を使うことができるようになっていたのである。そして俺は自分の中の力を感じ取れるようになっていたので確認をしてみた。

そして俺の中にある、全てのスキルや、アイテムの効果が分かるようになり。

俺の中に宿っている力がどれほどあるのかを知ることができるようになる。そのおかげで。

俺の魂に刻まれた。

ラガルレアとラガレオとリガルドにラガルレアの両親や祖父母と叔父と叔母の。計8つの命を融合し吸収したことで俺の魂に刻まれた、ラガレアの7人分のスキルも使えるようになっている。それに加えて、リリアもリディアもこの世界での。レベルは99のはずなのに。レベルが上がっていないことから、この世界に来てからはレベルアップはしていないと言う事が分かった。それと、ラリアも。ラレアも、ラリアが持っていた、レベルが100だったらしいが。それは俺の中にいた、リガルの魂のせいだと言うことがわかったのである。リガルが使っていた剣が俺の中に入っているから、リガルの魂と混ざり合った時に。そのことでラレアのレベルが上がりづらくなっているのだという事もわかった。なので。

俺はこの力でこの世界を平和にしたいと思い。リガルにラレアにラレアに憑依してもらって、リガルドの意識を取り戻すことに決めて、俺の体に入ってもらうことにして、リガルドは俺が魔王になることで手に入るようになった指輪を使って、この世界の人達の治療を行い始めるのであった。

<side>ラガルレア=アルブミン> 私は自分の中に入ってくる。リガルドという男の事を、最初は信用していなかったが、自分の体が乗っ取られているわけではないことがわかり。私の体と、リガルの体の中に入り込んだ男の精神は一つで繋がっているため、自分の体に、自分の意思で戻ることは可能だということに気がつき。私にラガルレアとリガルドにリガルという存在を教えてくれたリリアに教えてもらうまでは自分の体に戻るのをやめていた。しかし、このままの状態でいてもいずれ私の体と、リガルとリガルドの体は朽ち果ててしまうと考えた私は、自分の肉体に戻って、自分の身体に入るように指示をするのである。すると、リガルが、私の肉体とラガルレの肉体とが、一体になった状態になってしまった事に気づいたので、ラガルレアの身体から離れてラガルレアと、ラガルレドの肉体にリガルドの肉体とラガルレトの肉片が入り込んでいくが、 そのあとに、私の体の表面に、二つの物体が現れる。その二つはラガルレアの肉体の方に現れる。そしてそのラガルレアの身体の中にリガルドの肉体の一部も入り込もうとしている。

「リガルは今頃。リディアのところに向かっているでしょうから。私が説明しておくね」リガルがラガルレアの中に自分の身体に戻った後に。リシアに事情を説明するのであった。

「あなたが、リガルドとラガルレですか?初めまして、ラガルレアです。ラガルレアって長い名前だし、リガルっていう呼び方にしてもいい?」俺はそう尋ねると、リガルドは、自分は別に構いませんと言ってきた。

「それなら。私もリガルドさんと同じでいいですよ。リガルドと、ラガルレさんと、呼んでくださいね。ところでリガルちゃんに聞きたいことがあるんですけど、あなたのご両親のお名前は何と仰るんですか?それにリガルドさんのフルネームは何でしょうか?」

リディアはそんな質問を俺にしてきたので、俺はリガルドから、自分の事と、ラガルレアの事について聞かされていたことを説明するのである。そして、俺は自分が持っている知識を二人にも話すと、二人は真剣な顔になって俺の話を聞き入っていて。俺に色々と教えて欲しいと言われた。俺は自分の持っている情報を全部リガル達に教えると。俺が知っている情報でわからない事があると。その都度質問されるから面倒だと思ったが。それでも俺に教えてほしいとお願いされたので、俺は仕方なく、答えられる範囲内では答えると伝えるのである。

その後、俺に自分の両親と叔父の名前を聞かれて。俺は自分の父親の名前をラガルレアだと伝えたら。

リガルドさんとリディアさんが、驚いて固まってしまいましたが、その後に、なぜラガルレア様が自分のことを。魔王にしてくれたのかとリガルドさんとリディアさんに問い詰められて、本当のことを言うと、リガルドさんも、リディアさんも納得してくれた様子だった。俺はそれから。俺に魔王になれと言った。

神と名乗る者が俺のところに現れたときに。俺がこの世界に呼ばれたのは。神に、この世界を救いなさいと言われて来たんだと説明する。だけど俺は神なんかよりはよっぽど頼りになる人たちに救われたことを話したのだ。すると二人は、リガルドの身体に入った状態で。リディアが俺の頭を抱き寄せて。頭を撫でてくれる。

リディアに優しく抱かれたことが、気持ちよかったので俺が照れていると。リガルドがリディアの真似をするように。俺のことを抱き寄せる。そして今度は俺の身体の中にいるラガルドに。自分の身体から出ろと言い出したので、俺はリガルドの言葉に従って、リガルドに憑依していたラガルドに話しかけると。

リガルドがリガルドの中から出て来て。ラガルドがラガルドの中に入ると。ラガルドはリガルドに自分の肉体から出て、自分の中に入ってこいと言うのである。その後リガルドがリガルドの中に入り込むと。リガルドの体が光り出して、リガルドの魂に宿っていた。リガルドとラガルドの二人が融合したのであった。

その後リガルドが。俺にラガルレアとして俺に魔王になることを命じてくるので。

俺は、魔王になるためにラガレアの記憶と力を全て俺に取り込めという命令に逆らうことなく従ったのである。その後俺は、ラガレアの身体の中にある、聖女の力を使って。俺の身体の中の魔力を回復させながら、俺の中に眠っている。全ての能力を解放し、俺自身の魔力の容量を増やしたのだ。その後。

俺はラガレアの魔力を体内に取り込んだことで手に入れた力を使って。この国の上空に浮かび上がり、この国を覆い尽くすほどの巨大な魔法陣を作り上げ、そこから現れた、巨大な蛇に俺の魔力を送り込んで強化する。その巨大な魔法によって生み出された、大蛇に。この国の全ての国民を食い殺させようした。

俺がその光景を見下ろしながら笑みを浮かべていると。

ラガルレドと、ラガルレドの体に宿っている。ラガルドに話しかけられた。

<<ラガルレド視点>> 私に憑依した、ラガルレトの事を、私達夫婦とラガルドが話し合う。その時に、私はこの世界の成り立ちを聞いた。ラガルレアは、リガルドのことを尊敬していて、そのリガルドは、元勇者だということを聞いた時は。リガルドはすごい人と。私は思い知らされるのであった。私はラガルドと一緒にラガルレアの話を真剣に聞くと。リガルという人がこの世界を滅ぼそうと企んでいるのを止めるために、神を倒す為に。リガルドはこの世界にやってきたということを、私達に説明してくれました。そしてリガルはラガルレという名前の人間だったということも話して下さいました。

そのリガルという人は、私やリガルドが元々住んでいた。地球という世界の住人で。その地球には、魔素というものがあり、それを取り込むことで魔物になったりするのだという話を聞いたときは、驚きましたが、それとは別に、ラガルレが持っていたスキルの中に、あらゆるスキルをコピーして習得できる能力があり、それのおかげでラガルレアは。この世界でも屈指の強さを手に入れたと教えて頂いたのです。それに加えてリガルドも。リガルから、剣術と体術、武術と弓と、それと料理などのスキルをコピーしてもらったらしく。この世界で一番強いのは、この二人の二人だと言う事をリガルドに教えられた私はリガルドに対して敬礼をしたのであった。そして、リガルドに言われた通りに私は。リガルドの体を動かし。リガルからコピーさせてもらっている剣を使い、その剣で。

この国に存在していた。魔王と呼ばれる存在を殺し、私はリガルドとリガルドが作り出した。剣で、魔王と呼ばれた存在を倒しました。

私はこの世界が救われると同時に、この世界で、新たな歴史が作られていく。私はリガルドの体にラガルレアという意識を移して貰ってから。リガルの体にリガルドの意識と。私の意識が一つになり。

私は私自身で。

この世界を平和にしていこうと。決意を新たにしたのであります。

俺はラガルレアが、自分の意思を取り戻したことを確認した後に。俺は、リガルドの身体に入り込んでいる。リガルドにラガルレアがどうして自分の意思でラガルレアから出ることができたのか。その理由を説明したのである。すると、俺の口から、自分がどうやって自分の体から抜け出た理由が語られると。リディアもリガルドもそのことに驚いていたが。俺はリガルドが、俺の中に取り込んでいた、ラガルドと、ラガルレアに、自分を助けてくれてありがとうございますと伝えてくれた。リガルドはその感謝の言葉を聞くと、嬉しかったようで。リガルドの顔が、真っ赤になった。そんな様子を見ていたリガルドに俺は笑いかけると、リガルドも、恥ずかしそうに俺の方を見るのであった。そんなやり取りをした後俺はリガルドに。ラガルレとラガルレトの肉体の回収をお願いしたのである。その後リガルドがリガルドの肉体を回収する際に。俺の肉体の中にラガルレとラガルレトが封印されていることを知ると。それを解こうと言ってきたのである。

「お前の体の中で、ラガルレと、ラガルレトが生きているとわかった今、この二つの身体は俺にとって必要だからな。悪いけどさ。ラガルドに俺の身体を貸すわけにはいかないんだ」

俺はそう言うと。ラガルドが悲しげな顔をしてから、俺に向かって謝罪してきたのである。俺はそのラガルドの姿を見て心が苦しくなったのであった。そしてそんな気持ちを紛らわせるためなのか。俺に自分の体の所有権を譲るようにと。言ってきたので、俺は、絶対に渡さないと言ってから、ラガルドの頭を掴むと、リガルドに頼んで、自分の家の中に、俺の家がある。あの山に連れて行ってほしいと頼むのであった。その後俺とラガルドの二人は、ラガルレド達と一緒に俺の家に移動する。

俺は俺の家に着くと。リガルドの体から出て、ラガルレの姿に戻ると、俺の目の前にいるリガルに自分の身体の返還を求めた。しかしリガルがそれを拒否すると、リガルは自分の身体の中にいるラガルドの存在に気がついて、ラガルドの存在を消し去りたいという。ラガルドに対する怒りをリガルドに向けてきたので、俺がリガルドの代わりに、リガルとラガルの話し合いのテーブルについた。

そして俺はラガルとリガルドから事情を聞いていると、どうもリガルがラガルを殺せば、リガルドの意識は消えてなくなるかもしれないということだったので。俺は俺の中に存在する、俺の家族に頼み事を行うと、俺はリガルドとリガルの肉体を奪い取って自分の物としたのであった。その後リガルドの肉体の中に、ラガルの魂が入っていることが分かり、俺は、この肉体は俺が有効活用させてもらうといって。俺はこの場にいた、俺の妻達と一緒にこの国を離れることにした。リガルドとリガルドの中に入っているリガルはラガルドが守ってくれることを信じて俺はリガルドを連れて俺がこの世界に召喚された場所に戻ることにする。

そして、俺達が、俺の家の地下に造った、地下ダンジョンの中に入っていくと。そこに待っていたのが、俺に復讐するためにこの世界を裏で支配している。

魔王と呼ばれている男とその仲間。

そしてこの国を侵略した張本人だったのだ! 俺がラガルの身体を使って、この世界に帰ってきたときに、この国は魔王に支配されていて、俺は、この世界を救うという約束を果たすためにこの国の人間に魔王を討伐してくれと言われ、この国を救うために、この国の人間に協力することにした。

俺達は、まずはこの国の王を暗殺しようと思ったのだが、俺とリガルとラガルドの三人で王の元に向かったところ。王はなぜか護衛の者たちを全て排除して、俺達に殺されるために待ち構えていたというので、俺たちはそのまま、この国の王に攻撃を仕掛けるのであった。

この世界の魔王と呼ばれていた存在と戦うことになってしまが。この世界で、魔王と呼ばれてしまっている奴の能力はそこまで強くなかったので、ラガルレアの能力を使うと、あっさり倒すことが出来た。

それから俺はこの世界の国王を倒した後は、この国を侵略していた元凶の連中と戦い始めるのであった。元いた世界にもどりたいと願っていた、この世界の人間達の為に、俺達の世界と、この世界を行き来する為の方法を探す為に旅に出た。

元いた世界に帰るための方法は意外と簡単に見つかった。なぜなら、元いた世界でも、異世界からやってきたという人間がこの国に来たという記録があったので、元いた世界に帰ることができる方法を知っている可能性がある。そう考えた俺は。この国の王を倒そうと思い立ち向かっていくと、王がなぜ、俺がこの国の王を倒しにきていることが解ったのか、俺がこの部屋に入る瞬間に、結界を張って、他の者が入れない様に対策を取っていたようだ。しかし、リガルがラガルの力を借りて結界を破壊すると。俺と、俺の仲間だけが部屋に出入りができる様になるのであった。その後は俺と、俺の嫁たちがこの国の王と戦っていくと、俺達の強さが想像以上に高かったのか。すぐにこの国を支配しようとしていた魔王と呼ばれる者の側近たちや。

その側近たちの主と、それに、魔王の本体も現れてきた。

そいつらが全員出てきたのを確認した俺は、そろそろ終わらせようと思ってラガルとリガルに手伝ってもらい。元いた世界の、元いた世界の、地球で、勇者と呼ばれた存在の肉体を奪う為に、その者達に戦いを挑むと、案外あっけなく終わったのであった。

そのあと、元魔王と呼ばれていた男が。地球からこの世界に転移されてきたので、元魔王と呼ばれた男の肉体は。元からこの世界に存在した、この世界の支配者のものだった。それを理解したうえで。元魔王は。俺達にこの国の民を解放する代わりに俺に忠誠を誓えと言ってきたので。俺はそれを拒否したら、それなら俺を倒してこの国を支配すると俺に言って襲いかかってきたので俺はその元魔王を返り討ちにすることにした。

そして俺がこの世界に来てから初めて。俺以外の誰かの体を乗っ取った状態で、その体の持ち主の記憶を読み取る能力を使うことで、元の世界に戻り、俺がこの世界を救えなかったことを家族に伝えた。俺が元いた世界に戻った後でも。元魔王はまだ諦めずに俺のことをつけまわしていたが。それも無駄に終わることになった。

ラガレートさんは俺の話を聞くと、リガルからリガルの中にいた俺がラガレスだということを聞かされていた。そしてラガレスは俺のことをこの世界ではラガスと呼ぶようになった。そしてラガスさんと、リディアさんが一緒にラガスの家に帰って行くのを見送った後に。ラガスさんは。俺が借りている家まで来てほしいという。

そして俺とラガスさんは、俺の家でラガルレトとラガルがどうして俺に力を返してくれる気になったかを説明してくれた。そしてラガルレアとラガルレが、どうしてラガルドとラガルドの身体に入ったのかも教えてくれて。俺は二人が無事に自分の体に戻ってくれて良かったと思うのであった。ラガルレアと、ラガルレアが宿っているラガルさんの体が戻らなかった場合は、おそらくラガルレアの体に入っていたリガルドの体を使っていたのだろうけど。そうなった場合、ラガルレアがラガルレトの体を使っている時と同じように。リガルドとリガルドの精神が混ざり合って。リガルドは、自分の人格が消えてしまう可能性が高いと、二人はラガルレアの身体の中から感じたと言っていた。

それからラガルと、ラガルドの肉体を取り戻したのが、リガルのおかげであることにお礼を言った後に、ラガレートさんが俺に協力を求めると。俺は協力したいと返事をして。それから俺は、自分が今から何をするつもりなのかを、説明した。ラガレートさんは最初こそ驚いていたが。話を聞いているうちに、段々と、自分が今やろうとしていることを理解してくれて。最後には、自分も連れて行ってほしいと言ってくれた。そして俺と一緒に行動するようになってから一カ月が経った時に。俺達はこの国の王を倒すことに成功するのである。俺はその後。この国の人達と一緒にこの国を出ていくことを決めると、俺がラガルの身体に入っているときに助けてくれた。あの女兵士に。もう一度会えるとは思っていなかった。

その後、俺は、この国に残っている。この国の王族や貴族の人たちの財産を没収した後に、元この国の王妃であったリシアさんとラガルに。この国に残って欲しいと言いながら俺が、自分の意思を伝えると。ラガルとリガルド。

それにリガルドが宿っているリガルドは。これからは自由に生きていきなさい。

と言って俺達三人だけで、この国を出て行ったのだった。

俺はその後、この世界に来る前に居た家に戻ってくる。リガルドとラガル。それにラガレドが使っていた。家に着くと。俺は俺が持っていたアイテムの中に、この世界で使えなくなった、スマホを。この世界に持ってきても問題が無いので。俺は自分の家に持っていき。

俺が異世界に行っていた時の。俺の妻と、ラガル達が残した子供たちにこのスマホを見せる。俺は妻達が、どんな表情をするのかと思い。俺は妻と、子供の様子をみるために視線を向けると。みんなは驚いたような顔で、スマホを凝視していたのだった。

それから、リリアナさんと、アリシア。それにアリサちゃんと。サーシャさん。それにアイシクルにアイスが。

俺が、自分の家に戻ると、俺の家族は俺のことを心配してくれていて。俺が自分の体の返還を求めて。自分の体に帰ってきたとき、ラガルドは自分の肉体に意識を移して俺の肉体を取り戻すと、俺の家族と、自分の家族の所に行き。俺の家族とラガルドは、しばらく話し込んでいた。俺はその間は暇になってしまったので、俺がこの世界に戻るきっかけになってくれたラガル達とリガルドがこの世界で生活していた。

元住んでいた場所に戻ることにした。

それからラガルド達と話し合った結果。

ラガルド達と、俺の子供と、ラガル達の娘の5人で、元いた世界で暮らしたいというので。

俺は俺がこの世界に来てから。初めて会った時。俺の家に住みたいといったのを思い出して。俺が、ラガルド達の面倒を見ることになった。ラガルド達が俺の元いた世界に行ってから。三日が経ち、俺はラガルとリガルと一緒にラガルドが俺の家に戻ってきたことを喜んでいたのだが。どうやらラガルドは俺と、リガルド達と別れてから。ずっとリガルドにラガルドの身体を貸していたようで。今はリガルドの肉体を借りていないらしいのだ。ラガルド曰く。自分の肉体がある方が安心して、リガル達と行動できると言った。確かにそうかもしれないと思った俺は。ラガルが、ラガルレとして。ラガルドがリガルになって。二人とも無事にこの世界に帰ってくることが出来ている。その事に改めて嬉しく思った俺は。

俺はラガルドとリガルを連れて元の世界に帰るために俺達は家を出ると。俺の家はなぜか。この世界に来る前の状態に戻されていて。

ラガルドの子供達も、リガルドも無事についてくることが出来たので俺は、家を出ていくと。ラガルとリガルドが、家から出て行く前に俺に挨拶に来た。リディアさんと、リデアに。リヴィアに。そしてこの世界に来る前にあった俺の妻と子供に会いたいと頼んできたので。

俺達は俺が転移してきたときの家に戻り。そこで俺の帰りを待っていた俺の妻子たちにラガルと、ラガルレトを紹介すると。

俺は、ラガルド達に。元いた世界に行くのに必要な道具をいくつかラガルに渡し。リガリアと、ラガロに渡したのは。

元いた世界でも通用するであろうスマートフォンを。

ラガルに渡すと。ラガルド達四人はそのスマホの機能に興味深々の様子で触っていて。

それから俺が元の世界に戻ろうとしているのを知った。リガルドは、元の世界に戻ったら。自分は元の姿には戻れないと言っていたので、ラガルレはリガルに体を返し、リガルと入れ替わるように。

ラガルはリガルドの肉体の中に入る。するとラガルは一瞬のうちにリガルドからラガルの姿に変わったのを見て。リガルが、リガルドの体の中で、何かを言っている様子だったが。俺は、元いた世界に戻った後のことを説明する。俺は元いた世界に戻った後は、俺とラガル。それにリガルドは、この世界の事は、この世界の人間がやるべきだと思うと言ってから。俺達はラガレートさんの所にいくと伝えると。ラガルは納得してくれたみたいで、俺はラガルドとリガルと共に、元いた世界に帰る為に。俺は転移魔法を使って移動することにしたのである。

「おい、そいつらはどこからやってきた」

突然声をかけてきたのは金髪の若い青年でした。年齢は私より二つほど下ぐらいでしょうか? でもそんな事を考える余裕などありませんでした。私は彼に腕を掴まれ引きずられていったのです。

彼は私が答えるのを待たずにさらに質問をつづけます。

「何でそいつらがこんなところにいるんだ?」

『ちょっとあんた!その人を放しなさい!』

後ろから女性の声がします。彼女は必死にこちらに向かって走ってこようとしましたがすぐに立ち止まります。それは彼の剣先が彼女の首に触れていたためです。

(まずいですね、これは。完全に囲われています)

目の前の青年の他に二人の男がいました。全員がフードを被っており、素顔を隠しています。しかし彼らは手にナイフを持っており、それが意味するところは容易に想像できました。

つまり私は今ここで命を絶たれるということでしょう。この国に来て間もないのにこんなところで死ぬなんて、と悔しく思いました。でも、それも仕方ないと思い、せめて心残りが無いように目を閉じて死を待とうとしたその時――

パァンという破裂音が響いて彼らの動きが止まるのが見えました。恐る恐る目を開くとそこには銃を持った一人の男性が立っています。年齢は20歳くらいでしょう。

「お前ら、誰に手を出しているか分かってんのか?あぁ!?」

男性は彼らに向かい凄まじい怒気を放っている。しかしその瞳は冷静で相手を観察しながら、隙を見計らいいつでも攻撃できるようにと準備をしていた。その姿を見た私はなぜか分からないけれど胸の奥が震えるような感覚に陥ります。まるで物語の登場人物に出会ったかのように感じた。この感情が何なのかは分からなかったけどきっとこの人が助けてくれた恩人のはずだと何故か確信があった。

「貴様こそなんなんだ!」「いきなり何をするんだ!!」「俺たちは別に悪くないぞ!」

口々に男たちは文句を言い始めた。それを聞くと男性はため息をつきました。

「何を言っても無駄そうだな、いいだろう、説明してやるよ。俺がここに来た理由はこいつの回収だよ。俺は冒険者でハンターだからな、魔獣退治を仕事としているからこのあたりに現れるはずなんだよ、でっかい蜘蛛型の魔獣がさ。だけど現れたのはお前たちみたいなやつだけだ」

そう言って男は私たちの方を指差す。その言葉で私たちはハッとします。そう言えばこの国に来るまでに大きな蜘蛛型魔物に遭遇して、戦っている時に足を滑らせてそのまま森へ転落してしまったんです。まさかあれのせいでこの人たちに追われる事になってしまったとは考えにくいですが、他に考えられないのも事実なのでとりあえず黙っておきましょう。

『まぁそういうことだ。俺はこいつがいなくなったから探していたわけだ』

するともう一人の男も現れました。こちらは男性よりも少し年上ですがやはり同じような服装をしています。おそらく彼らがリーダー格の人間だと私は思います。

「それでどうする、このまま見逃してくれないか?」

「それは出来ないね、だって君たちもこいつに殺されそうになったんでしょ?なら僕たちと目的は同じだし、ついでに狩っていこうと思うんだけどどうだい?」

「断る。俺はもう帰るぜ、疲れた。あとは他の連中に任せればいいだろう」

男性は背を向け歩き始めます。私は咄嵯に声をかけていました。

『あの!!あなたにお礼がしたいので、どうか私の国に来てくださいませんか!!』

「えっと、俺の事知ってて声をかけたのか? 一応これでも有名なつもりなんだけど、この国の姫様直々にお呼ばれされるほどの知名度じゃ無いと自分では思っているんだけど。それに俺は今すぐ家に帰らないと嫁が心配で気が狂うっていうか発狂しちゃうから無理。他当たれ」

女性は残念そうな顔をしていますがそれ以上何も言いませんでした。

そして結局その後すぐに私を助けてくれた男性の事は忘れてしまい、彼が残した言葉の意味を知ることになるのはこの先数か月後のことでした。

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side:アルノルト 僕は王国にある王立研究所の職員である。主に錬金術の研究と武器の製造をしているがたまにこうやって他国に赴いて研究をする事がある。今回は隣の大国で見つかったという新素材の情報を入手できたためそれを持ち帰り国王への報告のため城へ向かう途中だった。

今回手に入れた情報はとても珍しい物らしく、この世界ではまだ誰も発見したことがないものだったらしい。しかもその素材で作った物は魔力を蓄積することができ様々なことに利用できると聞く。

(これは早く持って帰らねば、きっと王陛下も大喜びしてくれるはずだ。今回の旅費は全て出してもらえると言ってくれていたからしばらくは遊んで暮らせるだろう。だがまずは素材の情報を持ち帰ってからだ。それまでは真面目に仕事をするか)

僕はこれから訪れるであろう楽しい未来を思い浮かべつつ道を急いだ。

◆◆

「ねぇ聞いているかしら。今日うちの国に新しくハンターが来たそうじゃない、あなた何か知らない?」

目の前の女性がそう尋ねてくるが正直興味がなかった。なぜなら彼女は俺の妻の一人でこの家の女主人なのだから。

そして彼女は俺に惚れており、他の奴にもその美しい容姿を使って色々とやっている。しかし俺にとって一番大事なのは彼女ではなく妻たちであり、彼女が俺の気持ちを変える事は無い。だから俺から彼女に話を振る事は絶対にしない。ただでさえこの家には妻が四人いるのだ。これ以上増やされては面倒くさくて敵わないからな。

(そもそも、なぜ俺にそんな事を聞いてくるのだ?)

ただでさえ俺はこの家で肩身が狭いのだ。家の中でも俺はほとんど喋らず、妻の話を適当に受け流しているだけなのに、どうしてこんな俺を気に入って話しかけてくるのだろうか? それに最近はよく分からない視線を感じる事もある、一体何が起こっているのかさっぱり分からない。

「どうでもいい、あいつらは全員勝手に動くのが好きな集団だ、好きにさせとけば良い。そのうちいなくなる」

「あら、あなたそんな事言って本当にいなくなっても良いの?」

「問題ない、俺とあいつらは元々そういう約束で結ばれている」

「ふぅん?私と一緒ね。私はね、昔からあなたが好きだったわ。最初はちょっと強面で近寄りがたい雰囲気があったけど、今はそんなこと全然無いわ。いつも優しい顔になっているもの、私と話している時だけはね。それが嬉しいからつい話し込んでしまうのよね」

その発言を聞き俺は少しだけ驚いていた。なぜならこの女の話は大抵自分の自慢話の繰り返しになる事が多いからだった。俺はこの女たちに一度も嘘はつかない、俺に惚れているというのも真実だと思う。だからこそ俺はこの女に対して疑問を感じていた。それはあまりにも俺に都合が良いという事である。

普通であればこういう場合の人間は決まって何かしらの裏を持っている場合が多い。

例えば、金、権力、その他諸々の物、それらをちらつかせて言う事を聞かせようとする。または身体を使って篭絡させようとする。俺はそう考えていた。

だが、この妻は違った。それはとても魅力的な女性ではある。外見が優れているというのもあるが、それだけではない。中身が違うと俺は思う。この妻はあまり人と関わらないように過ごしているが、本当は誰とも仲良くなって色々な話がしたいと考えている。

だがその性格を素直に出す事が出来ずに悩んでいるようだ。だからこそ、このような関係に落ち着くのだが。そんな事を考えながら、その女性を見つめていると彼女は少し頬を赤らめて目をそらした。

「ごめんなさい、やっぱり迷惑かと思うのだけど。もう少しだけでいいからあなたの時間を私にくれないかしら?」

俺はこの瞬間に決心する。

こいつらが何を考えているかは分からなかったが。もしも本当に俺に執着してきているならば。少しは相手をしてやるべきだろうと。

それからしばらく経った後。俺達は森の奥へ来ていた。そこは魔の森と呼ばれ、強力な魔獣が出現する危険な場所ではある。しかし、俺の側には二人の仲間がいる。一人はもちろんラガルである。そしてもう一人は――

「なぁリディア。なんで俺はこんな格好をしないといけないんだ?というか、俺が着る意味が無いよな?」そう言って俺に文句を言ってくる男はラガスという名前の男である。見た目は若いように見えるが実年齢は25歳らしい。なんでも元貴族だったとかで、この若さでこの国で上位の冒険者になれたらしい。そして俺と出会ってすぐに弟子入りを志願してきたので受け入れてやった。そのあと、ラガレスとリリアスさんに紹介したところ二週間ほど一緒に暮らすことになったので俺はその間この男を連れて冒険者の活動もしていた。そのせいでギルドからは少し疎まれる存在になってしまったが特に気にしていない。

「仕方ないでしょう、だってあなた目立つからこの姿で歩いても違和感がないでしょう」

「確かにそうだがさ、俺としてはあんまりこの格好好きじゃないんだよ」

「それは私が許しません」

そう言って睨みつけると、さすがに彼も引き下がるしかないようであった。しかし困った。この森にいるモンスターはかなり厄介な相手ばかりで本来一般人が立ち入っていい場所ではないのだから。だが、今回に限っては例外的な行動をとっているため問題はない。それはこの森のどこかで魔獣が発見されたからである。

それはこの国の隣国で発見されたという報告を耳にしたため俺達三人で討伐に向かう事になったのが発端だ。

「それでこの辺から先は俺たちの庭だ、俺のそばを離れず付いてこいよ」

そう言った瞬間に森の奥から何かの叫び声のようなものが響いてきました。

すると森の茂みの隙間から大きな影がこちらに向かって近づいてくる。俺はそれを確認するために、その場に立ち止まると後ろにいた二人が不思議そうにしているのを感じ取る。それも当然だろう、ここは森の中でも比較的開けた空間になっていて、隠れられる場所はないし、そもそも魔獣はこの辺りのエリアに出てくるはずもない。だからこそこの場所は普段から立ち入り禁止の場所なのだから。

(だけどまぁこの程度の魔獣が俺達に勝てるとは思っていないだろうし、このまま突っ込むとするか)

そう思い俺は二人を先導する。後ろからはしっかりとついてくる足音が聞こえているので問題はなさそうであるが、念のため周囲に気配察知を飛ばしておく。

「うっそ!?ちょっ、あれってオークじゃない!!こんな場所にいるなんてありえないわ!!」

(ん? この反応はもしかして初めてなのか?というか今の反応だとオークってかなり弱い部類に入るのかな?)

俺はそこまで驚いている様子を見せずにいた。すると隣にいる二人はなぜか俺のことをジト目で見つめてくる。

(ん? なにかまずい事でも言ったのか?)

俺が心の中で首を傾げながら進んでいると、前方には俺が想定していなかったモノが現れた。

『グルルル』

「これは、まさかオーガですか? しかも2体も同時に出現するだなんて。それにあの大きさは異常ですね」

俺はその魔物に意識を向ける。大きさは約10メートルで、全身が茶色く肌の色が変色しており異様な雰囲気を放っているが。その巨体に負けずに筋骨隆々の姿が印象的だ。

しかし俺達が気になったのは、そこじゃなかった。それはオーガの顔の部分にある。まるで人間の顔をそのままくりぬかれたような感じで顔がありその表情が怒り狂っていた。さらによく見ると瞳が真っ黒で、まるで死んだ魚の眼をしているかのように見えた。その様子は、見る者に恐怖を植え付けてしまう程の迫力だった。

(あのオーガも普通の個体じゃない気がするが、それにしてもあんな奴は初めてだな)

「ねぇ、アルノルトあなたは戦えるの?正直言って私は怖いの、私だけ置いて逃げてくれても構わないから」

「は? 何言っているんですか、僕も戦うに決まっているでしょう」

「ちょっと待ちなさい。この場で一番戦いの経験を積んでるのはあなたなのですよ?それをあなただけに任せろと私達は言っているのですよ」

そう言って俺を責めるような視線を送ってくる。だが俺はその程度で折れるほど弱くはない。むしろ俺の目の前に立ち塞がっているのがどんな相手であっても俺は戦うつもりであるからだ。

「別に構いませんよ、それにここで俺が戦わなくても誰かが戦うことになるでしょう。ならいっそのこと自分で倒せば良いだけですからね」

そう言うと彼女は何も言い返せなくなったのか俯いてしまった。

俺はその様子を確認しながらオーガへと近づく。

「おいお前ら、俺があいつの相手をしてくるからお前たちはその隙に逃げれば良い。だから少し待っていてくれ、俺の武器が届く距離まで近づいてきたら一斉に走って逃げるぞ」

そう告げると彼女達の返答を聞くこともなく、俺はオーガに駆け寄っていく。すると、すぐに俺は攻撃を開始した。しかしオーガの攻撃の方が速く、俺に腕を向けてきた。俺はその行動を予想していたため難なく回避する。

「なんだよ?俺の事を警戒すらしなかったんだ? なめられたものだな」

そう呟くと、俺の視界には一瞬だけ相手の魔力の高まりが視えていたので。すぐさまその場から離れたのと同時に、先程俺が立っていた地面が大きく爆ぜた。そして俺が避けたことに対して驚いたのか、オーガの動きが鈍くなったのを視認した瞬間に俺の持つ大剣に魔力を流し込むと、大爆発を引き起こした。それにより発生した熱と風によって周囲の木々が吹き飛ばされる。そして、その煙を切り裂いて俺が飛び込んでいった。

「俺が本気を出したら、その程度の速さが限界か?」

そう言葉を発した瞬間。俺は瞬時に移動を行い、今度は首を狙い斬りかかる。しかしさすがにこの一撃は防がれてしまい刃は弾かれ、俺の手にも衝撃の余波として痛みが生じたが。この程度では怯まない。俺はそのまま追撃を仕掛けていく。

俺が繰り出す連撃をなんとか受け流してはいるが、次第に対応が遅れ始めオーガは追い詰められていった。しかし俺としてもこのまま押し切る事ができないと感じ始めていた。

(やはりこの魔獣、今まで相手にしてきた魔獣と比べても段違いに強い、という事は、この魔獣の正体が分かったかもしれないな。そうなるとあまり時間はかけられないな、早めに決めないと。こいつを殺せない可能性もあるからな)

俺は自分の中で焦りを覚え始めると、オーガは突然俺から距離を取り。

大きく息を吸い込んだと思ったら、一気に吐き出した。すると、その口から高密度の火焔が放射状に放たれて一直線に俺の元へと迫ってくる。

(なに、その攻撃?見た事がない、この魔獣の特殊個体の固有スキルなのか?)

俺は迫り来る攻撃を冷静に分析しながらも、対処方法を頭の中で考え続ける。しかし、俺はこの技を回避することはできたのだが、その際に生じた余波をくらってしまったのである。その結果俺は少し火傷を負い服も焼け落ちてしまったため少し肌寒く感じるのを感じたので急いで衣服を整えた。

(やばい、結構痛いな。けどこれでやっとこの魔獣を殺せるな、だがまだこの状態を維持していないと、俺自身が危険だな。早く決着をつけようか)

俺は再びオーガに向かって走り出す。そして俺は刀身に雷を纏わせてから突きを放った。

しかし、俺は驚愕し固まってしまっていた。それは何故かと言うと俺が放った雷撃が直撃してもなお。目の前に佇む存在がいたからだ。しかもそれは傷ひとつ負っておらず平然としていたのだ。

「おい、マジか。ここまでの耐久力があるのかよ」

そう口に出して驚くが。内心では分かっていたのだ。今の一撃だけでは足りないと、おそらくもっと火力を上げなければいけないのだろう。俺はその覚悟を決めて。更に身体能力強化を施してオーガへ切り掛かるが。しかし結果は先ほどと同じであった。ただ先ほどと違う点は俺が手傷を負っているという点である。そのため俺は一度後ろに下がり回復魔法を自身にかけることにした。

(さすがにこれじゃ勝てないよな、というよりさっきの炎のせいで少し体力も奪われてもいるから、長期戦も難しい状況になってきてる)

そう思ったため、ここから先は出し惜しみせずに最初から全力で挑む事に決める。しかしそれでもオーガに致命的なダメージを与えきれずにいた。

それから数分が経過していた時。ふと俺は、なぜ俺がオーガを相手にしてそこまでの苦戦を強いられているのかが疑問になった。確かにこのオーガはかなりの強さを持っているのだろう。だからこそ普通の魔獣とは違った動きをし、普通の魔獣よりも多くの能力を持っているのだろう。

それは確かに厄介だ、俺の想像しているよりも遥か上の脅威を持つ相手だといえる。だからこそ、普通ならば絶対に勝てるはずがない敵だ。しかし、今の状況を考えればそんなことを気にする必要は無いと、今の状態なら確実に勝てるはずだと言い切れる自信がある。

何故そのような根拠が生まれてくるかというと、俺のステータスが大幅に上昇しているからである。今現在、俺の身体に流れる血液には、ある特殊な効果が付与されているので、その影響もあって今のような圧倒的な強さを手にすることができた。しかしそれはあくまでも一時的なものであり長く続くものではない。

その理由としては、この血の効果時間は長くても10分しか持たないからなのだ。しかも俺の血の中には俺の肉体を一時的に強くする効果がある。しかしその副作用もあり、長時間の使用をしてしまうと肉体に大きな負荷をかけてしまうことになるので、俺にとっては諸刃の剣でもある。

「でもやるしかないんだよな。だってこの状態でなければ俺が勝つことなんて無理だろうから」

そう言って自分の体に鞭を打って俺はもう一度オーガとの戦闘を再開した。すると俺は少しずつではあるがダメージを与えることができてきた。そして俺はこの好機を逃すわけにはいかないと。自身の出せる全ての力を絞り出す。

(頼むからもう少し耐えてくれ!! 俺もあと少しで終わるから!!!!)

ただひたすらに俺は無我夢中で戦闘を続けた結果、俺の持つ全てを叩き込みようやく俺は勝利したのだ。だが俺は勝ったことに安堵することなく即座にオーガの首元へと視線を向けたのである。

(やった!! 首を切り落とせたんだ!! よしっ!! これでもう安心できる!! 後はこいつをどうするかだな。流石に俺一人では持って帰れないだろうからな。あ、リディアさんに連絡しておくか。でもリディアさんって今どこにいるんだろう?一応俺が倒したのは連絡した方がいいよな)

俺はすぐに通信魔法で、オーガの討伐が終わったことを伝えると、すぐに反応してくれた。すると俺は驚きの言葉を聞いたのだった。

リリアさんはオーガの首を一太刀で切り捨ててしまった。その様子はとても綺麗な剣術だったと言える程だった。しかし俺はその姿を見たとき思わず見惚れてしまう程だった。

その瞬間俺の中でリリアスさんの従姉妹であるラリアという女性がとても美しく見えたのだ。それと同時にこの人のようになりたいと心の奥底から思ってしまった。そのせいか俺の表情は緩んでしまいそうになってしまうが、今はそうも言ってられないので我慢することにした。

「アルノルト君大丈夫ですか?少しお怪我をしているように見受けられますが」

そう言ってリディアスさんは自分の荷物袋の中からポーションを取り出し俺に差し出してきた。それを見て俺はすぐに断ろうとしたのだが。彼女は笑顔を浮かべたまま、その差し出した手を戻す気配がないので、俺は何も言えず受け取るしかなかったのである。

俺が黙っているのを確認したからなのか分からないが。リディウスは満足げに俺に笑みを見せたのである。そしてその隣では、レティス女王とミリアリアが呆れたような視線を俺に向けてくるが。その二人にも同じように、笑顔を見せていた。

しかし、その時に気がついたのだが。先ほどまでいたオーガがいつの間にかいなくなっていたのである。そして俺達が周囲を警戒し始めた時に声が上がった。その方角を見るとそこには、オーガの姿が存在しており。その手に握られていた魔結晶は真っ黒に染められており、そしてその体にも何か異変が起き始めているのが分かる。

その証拠にオーガは苦悶の声を漏らしながら地面に膝をついてしまったのである。その様子に俺は驚いていたが、リディアさんと、ラリアスは当然のことのように受け入れていて特に動揺することもなく。オーガに向かって歩き出そうとしていたので、俺は慌てて彼女達を止めることにした。

(いやいや、この魔獣は俺が倒してしまったんだけど。それでいいのか?)

俺の内心の考えを読んだのかリディアスが、オーガを指差しながら俺に対して話しかけてきた。

「ええっとですね、あの魔獣はこの森を護っていたのです。しかし私達に敵対心は無く。ただただ守護者としての役割を果たしてきただけなのです。それに今回の事はこちらが先に攻撃したことなので」

そう言って彼女は俺に謝ってきた。だがその謝罪に対して俺も別に悪い気はしていなかった。むしろ感謝したいくらいだったからだ。しかしそれを正直に口に出せば彼女の気分が悪くなる可能性もあるため、俺は言葉を選ぶために考える必要があった。

(さてと、この魔獣は一体何なんだ? このオーガの種族名とかはあるのか?まぁあったとしても知ることができないけどな)

そんなことを考えながら、俺達はゆっくりと近付いていきオーガを観察を始めた。そして最初に目に止まったものは。体の表面に走っている謎の模様である。それはまるで血管のようなものが浮かび上がっていたのが分かった。さらにオーガの顔には黒いモヤがかかっていたのだ。俺はそれを見て気持ち悪く思い、思わず口を塞いでしまったのである。その光景があまりにも異様であり、今まで俺が相手にしてきたオーガと明らかに異なっていることが分かり焦りを感じ始めると同時に。これは本当に俺の手が回るような問題なのだろうかと思い始めてしまっていたのだ。

(確かにこいつは強いよな、でもこいつも所詮魔物だし、そこまで警戒する必要は無いかもな。それよりもこの魔獣の異常行動を止められる方法を探さないと。このままじゃこの魔獣に殺される可能性があるかもしれないしな)

それからしばらくして、俺の脳内にある考えが生まれた。この魔獣に掛けられている呪縛を解ければどうにか出来るのではないのかと考えたのだ。だが俺では魔素を操ることはできないし。この呪いのような魔道具を取り除く方法なんて知ることができなかった。だがそこで俺の中でとある疑問が浮上したので質問をしてみることにする。それはオーガについてのことである。

(そういえばなんでオーガはこの魔獣に殺されないで済んでいるんだ?確か、オーガが持っている魔核は上位の存在に成長すると、その魔素量に上限が上がるはずなのに。まさかこいつはまだ完全に成長し切れていないということか?)

俺の中に生まれた疑問に、リディアがすぐに答えてくれた。その回答の内容は衝撃的なものだったが、納得できる内容でもあったのだ。その内容を要約すると。オーガは本来ならもっと高い魔力を持っていてもおかしくは無いらしいが。それは何故かというと、そもそもこの世界には魔力を持っている存在が希少だという事らしく。だから通常のオーガでも普通のオーガに比べて保有する魔力量は圧倒的に少ないのだ。

ただ、その中でもこのオーガだけは別で、このオーガは通常のオーガより保有している魔力量が異常なほど多いのだという。そのため本来ならばここまで強くなれるほどに成長することはあり得なかったと、しかし何らかの原因で急激に強くなってしまい、今では、このオーガよりも強力な個体が生まれてこなくなってしまったそうだ。だがそれは同時に、このオーガを倒すことができる存在が、オーガの生息地に存在しなくなってしまうことを意味していた。この事実を知ったとき俺は目の前の魔獣を殺すのをやめた方が良いのではないかと本気で考えていたのだ。だがそんなことを考えているとオーガの体に亀裂が走り始めてきていたのである。俺はそのことに恐怖を感じたが、オーガを見ているとその表情が苦痛に歪んでいたのだ。

(あれ? これって苦しがっているんじゃなくて、何かに耐えようとしている表情じゃないのかな?もしかしたらあいつ、自分で抑え込んでいるんじゃないか?だとしたら、無理やりでも抑え込んでしまえば!!)そう思った直後、俺の中で新たな作戦が出来上がったためそれを実行することに決めた。まず俺はリディアスに頼んでこの森を探索させて欲しいことを頼むとリディアさんはあっさりと許可を出してくれ俺は嬉しく思っていた。

なぜならここで拒否されてしまう可能性を考えていたからだったのだ。俺の考えをしっかりと理解してくれているのか分からなかったため不安を感じていたのでその不安が取り除かれたことで少しばかりほっとした。そして俺が魔素の流れを操作し始めると徐々に魔獣に変化が起こり始めていた。

魔獣は、体全身が痙攣したかのような動きを見せていたが次第にそれも治まって行き、最後には完全に動かなくなったのだ。そして魔結晶が光を放ち始めたかと思うと、オーガの体に刻まれた魔素の動きが変化していき、そして最後にはその動きが完全に止まり。魔獣は静かに目を閉じたのだ。俺はその様子を確認してからオーガの元まで近づいていくと、俺は魔結晶に手を置きながら。自分の血液を媒介にして魔法を発動した。

俺の血液に含まれている魔獣の血液を変化させていくようにイメージすると、オーガの体内に流れている血液に干渉していき、オーガの体の中にある全ての血液を変質させていった。

そしてその結果、オーガは力尽きたように眠りについたのである。俺はそれを確認すると、すぐさまに、魔獣の肉体に手を触れてから。リディアさんの方に視線を向けた。

すると彼女は笑顔を見せながらも俺のやろうとしていることをすぐに把握したようで。すぐにオーガの体を運び始めたのだった。俺も急いでその後を追いかけることにしたのだった。

(さてとこれでなんとかなりそうだけど。これからは気を引き締めないとな)

オーガとの戦いが終わった後。俺はすぐに、魔獣を担ぎリディアスとレティス女王の後を着いて行ったのである。そしてその道中に。リディアと、ミリエラがオーガの討伐を手伝おうとしてくれたが、俺は断らせてもらった。

その時に理由を説明するのに少し困ったが、ラガレスとリリアスとラガスは納得していたが。リディアさんが、凄く悲しい顔をしてしまったので俺は罪悪感に襲われてしまったので少し言い訳じみた言葉を言うことになってしまったのである。

「そのオーガも、元々は守護者の役割を担っていたそうなので、その任を解くには俺の手で終わらせたかったんですよ。それに俺は、この森の中で一番強かったのはあのオーガだったと思っているんです。そのオーガが命懸けで作った時間ですから無駄にしたくはないと思ったから、なので手伝って欲しかったけどお願いしなかったのです」

そう言うしかなかった。リディアス達と出会ってまだ数日しか経っていないが、俺が、彼らに対して嘘をつくのは申し訳なかったが。それでも、彼女達の手を煩わせたくなかったので。あえてこのような説明をしたのだ。

(さてと、俺の勝手でオーガを倒させてもらったけど。どうなるんだろうか?俺が魔結晶に血を使って魔獣を操ってしまったら。この森に住む生物全てが俺の命令を聞くようになったりするのかな?そうなるとちょっと不味いよな。俺が魔獣を支配しようとしてることがばれてしまったりすると色々と問題が起きてしまうしな)

そのようなことを考えながら歩いて行くと俺の視界には信じられないものが映ったのである。なんと、リリアさんが、リディアと、ミリエラと一緒に、リディスが担いでいるオーガを覗き込んでいたのである。俺はリリアがこの場にいたのにも驚いたのだが。それよりもこの三人が知り合いだったという事に驚いてしまったのだ。

(おい、待ってくれよ。なんでリディアスはこんな危険な森にいるはずのリリアが居ることを知ってるんだよ! 俺に何も言わずに勝手に来たんかい)

俺は、心の中では怒り狂っていたが。それを顔に出すことはなく、リディアス達を眺めることしか出来なかった。そしてしばらく様子を見てみると俺に対して怒っているのであろうか、三人共こちらをジト目で睨みつけてきていたのだった。

(えっと俺なんか悪い事しましたっけ?)

俺は内心でかなり動揺していた。それは、自分が知らないうちにやらかしていたことでは無く。なぜ俺に対してそんな表情で見てくるのか全く分からないからである。俺がそんなことを考えている間にも、話は進んでいたのである。

(とりあえず、今は、リディアさんに事情を話しておかないとな)

そう思い、俺はリディアさんの方を向いたのである。俺のそんな行動を見ていたリディアはすぐにこちらを向いてくれ、話しやすいようにしてくれるのであった。俺は、リディアさんに向かって軽く頭を下げながら話しかけたのだ。

「リディア様、この度はこの森に棲まう魔獣を殺さずに止めていただいたこと本当に感謝いたします。ありがとうございます。もしよろしければ、このオーガの事をどのように処理されるのかをお聞かせ願いませんでしょうか?」

俺の言葉に、他の者達が驚きの顔を見せていたのであるが。それを無視して話を続けることにしたのである。

「それは、この魔獣があなたの所有物であるという証ですかな?」

俺の言葉を聞いてすぐに、その意味を理解してくれたのだろうか。それともこの反応で意味を察したのかは定かではないが。どちらにしろ、話が早く済むため好都合だと思い俺は素直に答えたのだ。

「はい、私は、ラガレスとリディア様に、この魔獣のことを相談するためにここへ連れてきたのです」

俺は素の口調で答えてしまい。それが相手にどのような印象を与えるか分からなかった。だが俺がそんなことを考えている中、リディアさんは納得できたような顔をして、オーガのことを任せてほしいと言ってくれたのだ。

俺は、それならばとすぐに了承することにしたのである。ただ俺にはこの森をどうやって移動するのかという疑問があったのでそのことを尋ねることにしたのだ。するとリディアスが俺が倒したオーガに乗っていた馬を使うという提案を出してくれ、それで街に向かう事になった。

俺は正直、もう少しこの辺りに居たいと考えていた。理由としてはこの森の中で、オーガ以外の上位の存在がいるかどうかを調べたいと考えていたからだったのだ。しかし、そのことについて話す前に。先に街に行くことが決まってしまったため、そのことを諦めて、街へと向かうことに決め。俺はリディアスに案内されながら、オーガに馬を括り付け。

リディアさんが乗ってから出発することになったのだった。

オーガに括り付けてあった馬車に乗り込んでみると、結構乗り心地がよかったため俺は安心したのであった。だが、ここでまた問題が一つ起きたのである。このオーガが普通のオーガではなく、俺の魔獣だということがこのオーガに乗って移動している途中にばれてしまったのである。

最初は誤魔化そうとしたのだが。リディアス達が、俺にその魔獣の所有権があるか尋ねてきてしまい。俺は、その問いに答えることができず。素直に俺が、この魔獣を倒したということを白状したのだ。

(これって、完全にばれてるよね?っていうか絶対に、ばれてる。だってリディアスと、リデアがめちゃくちゃこっちを見てきますもん。めっちゃ見つめてきていますもん)

俺は、冷や汗を流しながらも、なんとかその視線に耐えることができ。無事に、リディアスの領の街に着くことができたのである。

(あれ?俺、魔結晶に血を使っただけだよな。でも確かにあれだけで支配ができるとは思っていなかったけど。まさかあんな風に簡単にいくなんて)

リディアさんと、ミリアリアが一緒に街に入っていく姿を見ている時に俺はふと思ったのである。魔結晶から発せられた魔力の光は、一瞬にしてその場を包み込みその場にいた人達は例外なく気絶をしていたのだ。俺はその状況を確認するためにリディアさんの所に向かおうとしたのだがラガスに止められてしまったので俺は仕方なくその場で待っている事に決めたのだ。

それからしばらく時間が経ってから。リディアと、ミリアさんが俺の方にやってきた。そして二人とも凄く嬉しそうな笑顔を見せながら俺の元に近づいてきたのだ。その二人の表情を見た瞬間俺は嫌な予感を感じた。その予感の通り二人が近づいてきてすぐに俺の腕に抱きついてきて、そしてそのまま街の門を通ろうとしたのである。俺はもちろん慌てて離れるように頼んだのだが、二人はまったく離そうとしなかったのである。それどころかリディアがとんでもない爆弾発言をかましてきたのである。

リリアが、俺の従姉妹であり、リディアは俺の叔母であるという事実をリディアはあっさりと話したのである。それだけではなく、さらに衝撃的な発言もあったのだ。それは、俺が、リディアとミリディアに会ったことがないという事だったのだ。それだけでなく、どうやら二人はリリアからの手紙を見て俺の事を知っていると俺に告げて来たのだ。しかも俺が、この森の中で魔獣を従えていることも知っているらしい。

俺はそこまで聞いて。俺は一体どういう事になっているのだろうかと思い、頭が痛くなったのである。俺とリディア達はリディアに手紙をもらった時以来一度も会うことがなく、俺が、ラリアスさんのところに住んでいることを知らなかった筈なのだが。それでもなぜかリディアさんが俺のことを知っていたのだという事が不思議で仕方がなかった。だがそんなことは今はいいだろうと思いリディア達に話しかけようとしたところで今度はリディアさんの方が話を始めてしまったのだ。

「私達の家に行ってもラガレス様もレティスもいないと思いますので私の家でお茶にしましょう。そうですね。リリアちゃんもいますので初めて出会った場所で話し合うというのもありかもしれませんね」

そう言って彼女は、笑顔でこちらに微笑みかけて来た。俺はその誘いを断ることなど出来ず。彼女の後をついて行ったのである。

道中に俺は気になったことを彼女に質問をしてみることにした。リリアがなぜこの街にいるかと、リリアがどうしてここに俺が来ることを知っていて手紙を出したのかなどを聞きたいと思ったからだ。そしてその答えはリディアス達よりも先に彼女が教えてくれた。そして俺はその答えを聞いた後に少しだけ納得することが出来たのである。

「私が、リディアさんに、あなたに会いたいとお手紙を書き。ラガス様に、この森に来て欲しいと、お願いをお願いしていました。それとラガレス様が、森から出てこないということは分かっていましたので。ラガリア様とラディアス様にはリディアさんが生きていると嘘を伝えてこの家に向かわせることになっていましたが。

やはり予想通りにラガレス様の所に行ってしまいましたので。その後リディアさんのお屋敷に行き、魔獣を倒さなくてはならなくなりましたので。

結果的にラガレスト様に、リディアさんのことを頼むということになってしまったのです。本当にごめんなさい。こんなことが起きると思っていませんでした」

(えっと、この人は、この人の中で俺はいったいどういう存在なんですか?リリアの事をこの人がリディアに伝えた時点でこうなる事は完全に決まっていたのかもしれないんですけど。この人の中じゃあ俺はいっつもこの女の人を敵に回す行動ばかり起こしてるのかな?)

俺にはそう思えて仕方が無かったのである。俺はこの人と出会ってまだ日が浅い。それにこの人の事を殆ど知らない。そんな人からここまで言われるような行動を俺は今までに起こした記憶が全くないのだ。それなのにリディアの件といい、リリアの事で色々と俺に対して言われてしまっている。

(リディアさんの事も、ラディアスの事も俺は何も知らない。でも何故かこの人に好かれている気がしてしょうがないんだよな)

「とりあえず今はこの話は置いといて、とりあえずお茶をしましょう」

俺はそう答えてから自分の足に抱き着いているリディアに腕から離れてもらい、そのまま歩いてリディアの後ろ姿をずっと眺めながら歩いたのだ。

リデアが付いて来ている事に俺は特に何も思わなかった。彼女から殺気を感じなかったからであるが、それでも何かをしてくるんじゃないかと思っていたのだけれど、彼女は何一つとして攻撃をすることなく街を歩いて行くのだ。そのことがかなり不気味に感じた。だから俺は一応いつでも反撃できるように、魔剣の刃の部分だけを取り出せるようにしてから。街にあるリディアの家まで向かっていたのだ。

「やっぱりラガス君は面白い子ね。あのオーガを倒したと聞いていたからもう少し警戒しているものだと思っていたわよ?」リディアさんが楽し気に笑っているのである。だが俺はそれに対して答えずに歩き続けたのであった。すると彼女はこちらの様子をうかがいながら口を開いてきた。

「ラガレス君。そんなに、私を警戒しても意味はないわよ?今の私はただ単にあなたに興味が湧いてきただけだもの」

(この人の言う言葉ってなんか全部胡散臭い。でもまぁこの人が言っている事はおそらく真実なんだろうな。リディアさんの言葉に偽りがあるとは思えないし。そもそもこの人が俺に嘘をつくメリットって無いに等しいだろうしな)

「あなたって本当に強いのかしら?見た目だけでは強さなんてわからないと思うのだけど。それとも、ただ強がってそういうことを言ってしまうのは男の子としてはありなのかもしれないけど、もう少し相手の力量がわかるように努力した方がいいと思うのよ。それと、一つ確認させてほしいことがあるのよね。

まずはそのオーガの事についてなのだけど、あれ、あなたが倒したので間違いはないのよね?」

「ああそうだ。それがどうしたってんだ」口調を崩すことにはもう抵抗感は無くなっていたからか。俺は口調が荒くなっていることに自覚を持ちながらも答えることができたのだ。

リディアさんはそのまま続けて質問をしてきたのだ。「それじゃあもう一つ聞きたいのだけれども。そのあなたのお仲間の魔獣達は今どこにいるのか教えてもらえるかしら?もしこの場に魔獣がいないというんだったら別に私達はあなたと戦っても構わないのよ?むしろ戦いたくなってきたくらいだわ。でももしかしたら、あなたは一人で戦えると思っているのかもしれないけれど、魔獣がいなければ絶対に無理でしょうから。だから魔獣たちがこの近くにいるのかどうかを教えてくれない?」

リディアさんは真剣な目をしながらそう言ったのだ。俺はリリアのことを信じていたので、素直に魔獣達がリリアの傍にいるということを伝えたのである。その答えを聞いたリディアさんの表情は明らかに驚いていたのだ。

(まさか魔獣がいるとは思ってはいなかったってことか?でもリリアの手紙を見て俺に会いに来ることを決めたはずなんだがな。リリアの実力を見誤っていたというのか?リディアがリリアのことをどの程度評価していたのか俺は全く知らない。というかリディアはいったい俺の何処をそこまで気に入ってくれているというのだろうな。俺自身自分ではあまり理解できないからな)

俺がそんなことを考えていたのだが。リディアさんから話しかけられてしまったのである。

「リリアは元気にしているかしら。最後にあった時は凄く寂しそうな顔をしていて、どうにか助けてあげたいと思ったんだけど。その時にはすでに手遅れだったのよね。それで、ラガレス君。これからのあなたのことについて相談したいのだけれど。私のところで働く気は無いかしら。あなたはリリアとリリアが信頼している男。そんな人を逃すわけにはいないのよね。それに、リリアとラガレス君の話を少しだけ聞かせてもらったのよ。

私達の仕事はかなりきついものになる。その仕事をやってもらうんだからそれ相応の力を持っていてもらわないとお断りになってしまうのよ。だからリリアに、あなたの事を詳しく聞こうと思って、一度リリアに聞いたの。そうしたらラガレス君と一緒に住んでいる事を聞いて、是非会わせてくれとお願いしたら。リリアが快く許可してくれたの。それどころか。

リリアは私達の手伝いをするなら一緒に住むことを許可すると言っていたわ。それにラガス様はリディアに恩がありますので。それについては安心してください。リリアさんに頼まれて断れる人間なんて、少なくともこの大陸には一人も存在していませんからね。というか、この大陸で一番信用できる人物の一人ですから、そこの所はご心配無く。それとリリアスと仲良くなってくれるようでしたら嬉しいのですが。リリアスもラガス様とラリアス様のことを気に入っている様子でしたので。

どうかリリアのために。そして私とリディアのため、私達の組織に入ってくれるととても助かるのですが、どうでしょうか?」

俺はいきなりそんなことを言われてしまい。頭が追い付かないまま、リディアさんに連れられて、リリアの家に連れて行かれたのだ。だが、俺の中では断るという選択肢など存在しなかった。そしてリリアのことを信用しているリディアに悪い印象を少しでも与えるのだけは駄目だと思い。俺はその誘いに乗ることにしたのである。そのことに関してはリリアにも報告をしなければならないと思い。その事を、彼女に伝えると。

「良かったじゃない。なら、すぐに会いに行きましょうか」

と言って俺の腕を強引に引っ張ってきたので、仕方なく彼女の後に着いて行き。家に着くまでの間。俺は腕を放してもらうことが出来なかった。そのおかげで腕が赤くなってしまったが、俺のリディアに対する思いは変わらなかったので。

「リリア。俺が悪かったから、そろそろ離してくれないか。流石に痛いんだよ。でもまぁ、本当に俺の誘いを受けてくれるみたいでよかった」と俺は、家の中にいたリリアとリディアスと少しだけ会話をして。そして、その後にリディアとリディアさんと共に仕事に行くために準備を整えてリディアさんのところに向ったのである。ちなみに今回はオーガを倒した時の武器と魔剣を身に着けている状態でリディアさんと待ち合わせをしている場所である森に向かうと。リディアさんの方から話しかけてきた。

「リディア様、ラガレスさん、本日はどのような御用件でここに来たのですか?もしかすると、今日はあの方に何かを頼まれてきたとかそういうことなのでは? それなら私は邪魔にならないよう。別の場所にいますので」そういってリディアが離れようとした時。俺は彼女を呼び止め。どうしてリディアはここに来たのかという事を尋ねる事にしたのである。

(そう言えばリディアって何歳なんだろうか?見た目だと20歳くらいに見えるんだが、でも、ラディアの話では。リディアが10歳の頃。俺の村の近くに住んでおり。リディアに色々と世話になったと言っている。それなのに。俺は彼女が何歳だったか知らない。リリアは俺と同い年くらいに見えなくもないから多分リディアも見た目では同じぐらいだと思うんだが。

うーんやっぱりわからないな。とりあえずここは一つ年齢を聞いてみるしかないか)

俺がリディアに声をかけてからそんな風に悩んでいる間ずっと沈黙が続いていた。彼女はずっと無言のまま何も言わずに立っていたのであった。その事で余計に疑問だけが膨らんできてしまうが、いつまでもここに立っているのは不味いと思った俺はリディアに近づいて。

なぜここに来たのか。それだけを教えて欲しいという願いを、彼女に直接伝える事にしたのだ。そうする事でリディアの口から理由が聞けると期待したからである。俺はリディアの反応を待っていたのだが。

「リディア。お前はいったい何を考えてこんな所に居るんだ。リリアが困っていたぞ。さっさと要件を済ませて屋敷に戻ってこい」リディアの後ろに居たリディアさんが急にそんな事を言ってリディアに対して文句を言ったのだ。

だがそれでもなおリディアは何も喋らずに。その場にただ黙って立ち尽くしたままであった。だが俺はそんな事は関係無いと思っていたのだ。何故なら目の前にリディアという美少女がいる。その事実さえあれば、例え後ろから刺されようと、魔法を撃ち込まれても、何一つとして問題が無いと思えたのだから。そう考えている内にリディアがようやく口を開けて俺に話しかけてきたのである。

「お久しぶりですねラガレスさん。まさかこのような所で再開する事になるとは思っていませんでした。それで私が来た理由について話したいと思います。ラガレスさんはオーガを倒したという話を聞いた時から。あなたに興味を抱いていました。その実力を知りたかったんです。オーガが簡単に殺せるのであればそれほどの脅威にはならないと思っていますが、万が一。あなた一人で倒せなかった場合に他の方達と一緒に協力して戦えばいいだけですから。でももしも一人でオーガを倒すことが出来るのならば。その時はラガレスさんには本格的に私の部隊の一員として動いてもらおうと思ったんです。それに私は、そのオーガよりも強い相手と戦いたいとも考えていますから。ラガスさんは私のことをあまり知らないと思うので。

それじゃあ、私がリリアのところでお世話になっているというのもあるし、それにリリアはラガレスさんのことを信頼して、私にラガレスさんの事を任せました。その事についてしっかりと答えを出して、答えをください。もし私のところに入ると言うのなら。これからはリリアのことをよろしくお願いします」とリディアは俺の事をまっすぐに見つめながら、真剣な表情を浮かべて俺に言い放ったのである。

正直俺はこの場をどうやって切り抜けるか必死に頭を回転させていたのだ。だってそうだろ。いきなり俺の事が知りたいとか言われたんだぜ。そりゃ、どう答えるべきか真剣に考えるだろ。だけどリディアがリリアに言った言葉をここで思い出してしまったのだ。『あなた達二人は、リリアがこの国を出て行ったら二度と会う事が出来なくなるかもしれない。だからあなた達はお互いの事をもっと知っておかなければならないの。だからラガレス君は今度リリアがこちらに戻ってきた時に、ラガレス君がリディアとリリアのことをちゃんと考えてくれるような答えを出す事ね』

その言葉を思い出したとき。俺の中にあった答えは、リリアとリディアに答えを出したいという想いだけであった。だから俺は、その場で膝をついて。そして右手を地面に付けて、「俺はリディアの部隊に入る」と答えを出したのである。俺が返事をするのとほぼ同時に。リディアは俺がリディアの部隊に入るとわかったからか、笑みが浮かんでいたのだ。

(えっと。なんかよくわからなかったが。リディアとリリアって姉妹みたいに仲が良いのかな?ってかリリアはそんなに危険な状況にあるってことか?)

俺はそう考えたが。俺の中でリディアはそんな感じのする女性ではないと考えていたのである。だからこそ、その疑問を、俺は素直に口に出して尋ねたのだ。

するとリディアから、リディアの部隊に入ってもらうための最終試験があると言われたのである。そのことについて詳しく説明してくれたリディアは、俺と少しだけ会話をして、リリアの家に帰って行き。俺とリリアとラリアスとリリアと一緒に住んでいるリリアの部下の人達と一緒に森に行くのであった。そこで、その部下の人たちから。リディアのことに関しての説明を受けることになった。

その話は。とても長いものだった。まずリディアとリディアの妹さんは、昔からの付き合いがあったらしく。リディアとその妹さんはかなり仲が良かったのだそうだ。そんなある時。リディアは突然。旅に出たいと言い出したのである。その理由を聞いたリディアさんにリディアは。

私にはまだ力が足りないし。自分の力の限界を試したくなったの。それと。私が持っている力を存分に発揮するためには、自分だけの空間が必要だと感じたの。と言ったそうだ。

リディアさんはそのリディアの決意が変わらないのを悟り、自分が知っている限りで一番強い人に弟子入りすることを勧めたのである。その人物は、リディアが旅に出る前に住んでいた街で冒険者として活動し、そして、SS級まで上り詰めた、今では、リディアにとって憧れの存在であるリディアスだった。

その事に納得をしたリディアはすぐに、リディアを見送りに来てくれたリディアの妹にも、手紙をしたためてリディアと共に行くことにしたのである。

リディアが修行をしたのはそれから10年くらいたった後。そして、その頃にはすでにリディアと、妹の力はSS級を超えるほどの強さを手に入れていたという。そんな2人の事を、ラガレスさんは知っていたんですか?」と俺は尋ねられてしまい。俺とリリアが一緒に旅をしていたときの話を、少しだけ話す事になったのである。そのことで、ラガレスがどうしてリディアと、ラガラスの村で会えたのかという経緯を知ったリディアは。

ラガレスに、改めてラガレスに自己紹介をしたのである。だがラガレスとリディアスさんにラディアスがリディアさんがラディアスに憧れていて、いつか追いつくと宣言をしていたと聞いたラガレスは。

リディアの部隊に入ることを決めるのだった。だがその事は、すぐには決まらなかったので後日連絡が来るという形になり。俺は、ラリアと共にリディアさんの家に戻り、リリアの家に戻ってラディアスさんから事情を聞くのであった。

俺はリディアスさんから話を聞いた後、とりあえず。今日泊まる場所がないと言う事だったので。今日はリディアの家に泊まっていき、明日の夜に、俺達と一緒にリディアさんのところに来ないかと誘われてしまったので。俺はリディアの誘いを受けることにして。今日はこの家で一夜を過ごす事に決めたのだ。

「リリア様。ラガス様にもご迷惑をかけますが。リリア様の事を頼みましたよ」とリディアスさんに言われたのだが。別にそこまで気にする事じゃないと思っている俺。

それにしてもリリアスって見た目もそうだが性格もどこか姉に似てるんだよな。見た目が姉さんに似たって言うのもあるが。あの人は本当に良い人だった。まぁ。ちょっとお節介すぎるところもあったけど。それでも。あんなに美人な姉さんを持って、リディアさん達が羨ましいと思うほどだった。

ただあの人がお節介すぎて嫌だなって思う時もあったがな。まぁでもあの人も根は優しいしな、ただその優しさが、相手に気付かれないというだけだったし。そんな事を考えていたせいなのか、それともただ単に、俺の眠気がピークを迎えてきたからかもしれないが、俺はリディアの部屋に行き。そのまま眠りに就くのであった。

翌日、俺はリディアと一緒にリリアの屋敷に行って、屋敷の使用人とラガスの従者がラガス達を起こしに行ったのだが。何故かラガレスだけが中々目を覚まさなかったので、ラガスの従者達だけで朝食を食べ。リディアは屋敷の掃除をしに向かったのであった。

「リリア。リリアは、昨日の事で疲れているのかしら?随分と気持ち良さそうに眠っているわね」と、起こしにやって来た使用人に、リリアの顔を覗き込まれていたのを見て、つい。笑いそうになったリディア。その光景を見たリディアは微笑ましそうな表情を浮かべたのだ。

「あら?やっぱりラガレスさんはまだ起きてなかったのね」とリディアは、部屋の外から聞こえて来た声に反応するのである。「おはようございますラガレスさん。もうすぐ朝食が出来るので、着替えたら下に下りてきて下さいね」と言って。ラディアの従者はラガレスに声をかけて部屋を出て行ったのである。

だがラガレスは全く起きる様子が無かったのだ。リディアは自分の従姉妹であり親友でもある。リリアの顔が幸せに溢れた笑顔になっている事に気が付くのであった。

(ん~なんだこれ。俺こんなに寝心地が良かった記憶が無いんだけど。うっ、眩しい。あれ、ここ何処だ?)

俺は太陽の光が顔に当たり。ゆっくりと目を開けていく。俺は自分がいつの間にかベッドで寝ているというのを理解したのだ。俺は一体どうしてしまったのだろうか。確か俺は、リディアの所で夜を明かして。その後ラリアさんの所で色々と話して、その時にリリアの事について、リディアさんに質問してみたら、ラリアさんはリリアさんとは仲が良いのに、リディアさんには、リリアの居場所を教える事は無かったらしいのだ。

(それにしてもここはどこだろう?見慣れない場所だけど。リディアさんの家は綺麗な所だから、家の周りは綺麗だったな。それにリリアとラリアスとリリアの部下達はリディアさんの家に居るから。多分。この辺なんだと思うが)と考えつつ辺りを見渡していると。そこに、扉が開きそこからリディアさんが現れる。

「やっと起きたのですねラガレス君。あなたがなかなか目覚めないから、私も、リリア達を起こして一緒にあなたが起きてくるのを待っていました。そしたらあなたはぐーすかぴーすか気持ち良さそうに眠るのですから、正直、あなたの寝顔を見ていたら。私も眠くなってきたぐらいです」と、少し呆れたようにリディアは言ったのである。そのことに、俺は少し罪悪感を覚える。

(えぇ、まさか俺寝坊したの!?嘘だろ。俺だってリディアさんとの話し合いが終わるまではちゃんと起きるつもりでいたんだぞ。なのに俺はどうして。しかもよりにもよって。俺が一番尊敬する女性を、その、待たせてしまっていたのか?え?どうしよう、リディアさん怒っているんじゃないだろうか?いや。怒ってるに決まってる。これはまずい、なんとかしないと、でも俺に出来ることなんてあるのか?)と俺は、そんな事を考えながら固まっていたのである。すると、そんな俺の頬に手を添え、優しく俺を抱きしめて。俺の頭をゆっくり、何度も撫でて落ち着かせようとしてくれたのである。俺はいきなりの出来事だったので頭がついて行かず。リディアの行動の意味を理解するのが遅れた。そしてようやく意味が分かり始めた頃。俺は、その行為が嬉しく思えて。無意識に、その行為をリディアさんにもして欲しいと思ってしまい、自分からリディアを、リディアを腕の中に引き寄せたのであった。

俺はそれからしばらくしてから。我に帰る事が出来たのだが、そこで、俺は、自分の行動のおかしさに気づいてしまうのである。俺の体は今、上半身は、リディアさんが俺の腕の中で、下半身は。俺が、俺の方で。つまりはお互いが抱き合っている状態であるのだ。

そこでリディアが、リディアさんが、今の状況を説明を始めようとしたその時。リリアとラリアスとリディアの部下達が俺達の部屋に集まって来た。

「ラガレスさんおはよう。ラガレスさんったら可愛い。ねぇラディアスさん?」

「はいリディア様の仰られる通りですよ。それに、リディアス様のお顔を見るととても幸せそうで、ラガレス様はきっと。リディアス様のことを愛していますよ。それはもう心の底から」と言うラディアスさんの発言で。俺は一気に意識してしまうのであった。

リリアはラディアスさんから俺達の状態を聞かされると、「あ~ぁ私とラディアスさんで先にご飯を食べてるから、ラディアスさんはリディア様と一緒に行ってきなさい」と言い出したのである。リディアはラディアに言われ、ラディアを連れて部屋を後にしていったのである。

俺はというとリディアさんに、朝食を食べに行くと言われて連れて行かれたのだ。

「ラガス様が目を覚まされたばかりですけど大丈夫ですか?」とリリアさんに聞かれたのだが、リリアさんの言葉遣いがいつもと違っていたことで、少しだけ俺は混乱するのである。

それから俺はリディアと一緒に食事を取って。食べ終わって一息つくためにリディアにコーヒーを入れてもらったのだ。俺はコーヒーが大好きなため。自分では、結構色々なコーヒーを飲んだ事があると思っていたのだが、目の前に出されたコーヒーが本当に凄くて。俺はつい感動してしまい、飲んでいる途中で、少しだけ涙を流してしまったのだ。それを見たリディアは少しだけ驚いていたが、直ぐに、優しく微笑んでくれたのであった。

(うわぁぁぁ、なにこれなにこれ!俺こんなコーヒー今まで味わった事無いんですけどぉ!!)と思いながらコーヒーを楽しんで飲み干し。俺はリディアと一緒にリディアの部屋に戻りリディアにお礼を言う。リディアにお風呂に案内して貰って。俺は、リディアと一緒に入浴したのである。

そして俺達はお風呂から出て。二人でお揃いのパジャマを着て部屋に戻る。俺はそのままソファーに座って休憩することにしたのだ。

俺はお湯の気持ちよさに負けてしまい、寝そうになっていたが。俺はリディアと話がしたいというのがあったのと。まだ眠くなかったので。リディアさんにお話を振ってみることにする。

俺がリディアさんに話しかけてみると。俺と同じような質問が返ってきたのである。俺達はしばらく雑談をしていたが。段々と話題がなくなって来て。リディアさんが何か話題がないのかと探していたようなのだが。とうとうネタが無くなってしまったのか、沈黙が支配し始めてしまう。

「あのラガス君」

「あの、リリア?」俺達が、同時に、全く違うタイミングで言葉を発した為。俺達は互いに目を合わせ、クスッっと笑う。その事がきっかけでまた二人の間には笑いが溢れたのである。

「あのラガス君はこれからどうされるのですか?もうそろそろ夕方になるので、ラガレス君の所に帰られた方が良いと思うのですが」と真剣に言うので、俺は素直に従うことにしたのである。

俺はリディアとリディアさんの従者が運転する車に乗ってラガス達がいるリリアの家に向かったのであった。

俺は車での移動中にリリアと、ラリアの従者達とも打ち解け。話をしていると。やはりラガレスさんの話になってしまっていた。

「リディアス様。その、私はあまり人の事情に立ち入るのが好きではないですし、他人の恋愛に口を挟むなんてもってのほかだと思うので。ラガレスさんのことは、その、言わなくていいと思います。」と言った。それに対してラリアスさんは。

「うん、そうだね。僕もその方がいいかなと思っている。だけどさ、ラガレスのことが嫌いになったとかじゃないからさ。僕はただ、ラガレスの事を応援したいなと思ってさ」と言ってきたので。私はラリアスさんの思いを聞き入れてあげる事にするのである。

(はぁ、この感じ。もしかしてこの人ラガレス君を狙ってる?確かに、リリアちゃんもリディアに気がありそうだけど、私とリリアは親友なんだよね。それに、この人は、リディアとは、かなり親しい関係みたいだし。それに、私の事、リディアの恋人だと勘違いしているみたいだもん。だから余計にリディアと親密にさせようと頑張っているのかな?)と考えてみたものの。リリアはそこまでしてラガレスの事について知ろうと考えない。それに、自分の事を知っているのなら、尚更教えたくない。

私が、自分の考えをまとめ終わった頃には。目的地の村に辿り着く。

そこでリリアさんとリリアスさんと、ラリアさんの従者さんと別行動をとることにして。ラリアさんに会えるかどうかの確認をしてもらいにいった。

だが残念ながらラリアさんは不在だったのだ。だからラリアスさん達は一度ラガレスさんを家に送り届けると言っていた。なのでリリアさんは私を家に連れていく。家につくとすぐに私をベッドに放り投げて。リリアはお出かけをすると言って出て行ってしまう。そしてラリアスさん達と何処かに行ったのだろうが。私はその前に、私達のために用意された食事を頂くことにした。

「美味しい!」私もラガレスと同じ感想を呟く。すると、突然部屋の扉が開き。リリアとリディアとリリアスとリリアの部下の人が部屋に入ってきたのである。

「え?え?何で?どうして?もしかして夢?」と混乱していると。リディアが私を抱きしめてきたのである。そこで私は我に帰ることが出来たのだ。そこで改めて現状を把握する。

するとラリアの部下の女性が「リディアス様と、えーとリディア様の友達のリリア様がどうしてもあなたに会いたいと言われて。それで仕方なくここまで来たんですよ。本当はリディアス様だけをラガレスさんの元に連れて行くつもりだったのですけど、えーとあなたの名前はなんというんですか?」と言われた。私は正直に答えることに決め。

ラガレスの知り合いだと分かると少しだけ緊張していたが。何故かリディアスには気に入られたらしく。その後三人と色々話をしたのだが、どうやら三人共ラガレスに興味津々な様子だったので。つい私から質問してしまったほどである。そして三人ともラガリアさんに会った事が無いとのことだったので。

ラリアと、ラリアの部下が迎えに来てくれたのだが。どうやら俺を心配させたかったらしい。リディアさんと、その部下さんに怒られていて少し笑ってしまい。リディアさんから「笑ってはダメでしょう。リリアだって私達のことを心配してくれたのに」と言われてしまったのである。俺は慌てて言い訳をし、「俺だってリリアさんが、その、もし危険な状態になっているんじゃないかって思って凄く不安だったんだから」と言うと、俺がリディアの事で頭がいっぱいになっていたのを見透かすように。リディアさんに怒られてしまったのだ。

俺は、俺の部屋にリディアと、ラリアとラリアスとリリアさんを連れて行くと、そこにはリリアと、ラリアスと、ラリアスの従姉妹であるラリアがいたのだ。リリアが、ラリアに抱きつきに行くのを眺めながら。俺は俺で、俺の目の前で楽しそうにお喋りをしている、二人の女の子に目をやるのである。

(ん〜、ラリアってこんな子だったけ?確か俺の記憶ではもっと、お淑やかな、そんな感じの子じゃなかったような気がするんだけど。ラリアが、ラディアさんが居なくなる前から、こんな風に話していたらきっとラディアスが俺に嫉妬していただろうなぁ。いやでもラディアさんとリリアが仲良くなっていってラリアと、ラリアさんの関係が悪くなっていったって言ってたよな。う〜んどうしようかな)と考えていると。ラリアさんがいきなり爆弾発言を落としてくる。俺は焦ったのだ。それはもう。

(待ってくれ。頼む、今の発言を取り消させてくれ!!俺とラリアさんとの関係を、これ以上広めるのは、ラリアの気持ちが本当ならば、嬉しいのだが。もしも勘違いしてたら恥ずかしくて死ねるぞ?あぁぁ!!)と心の中で叫んでしまうほど。俺にとって今のリディアの言葉は聞き捨てならなかったのである。

俺がラガレスの部屋を覗いた時に見た、ラリアの顔が少し赤くなったような気がして俺は更に混乱した。俺はリリアを睨む。だが俺は直ぐに目を離し。リリアを抱きしめていたのだ。俺に抱きしめられたリリアは少し嬉しそうな表情をしながら俺に文句を言ってきた。

リディアは俺がラリアとラリアの部下に目を向けているのを見て、何やら不満があるような雰囲気を感じ取っていたようで、俺に問いかけて来たのだ。それに対して俺は素直に答えようとした。俺としてはここで俺とラガレスが恋仲だという事が、他の奴らに知られてしまってはまずいと判断をしたからである。だから俺はラリアとの事を隠したかったのだ。それなのにリディアはとんでもない発言をしてしまう。俺も思わずリディアに怒りの感情を抱いてしまった程だ。

そして私は、この村に来る道中に考えていた、これからの行動についてラリアスに相談しに行こうとした。そう考えて部屋を出てラリアスを探してみると、運が良いのか悪いのか、リリアスさんと一緒にいるところを発見してしまう。そしてリリアはリリアさんに俺達を紹介してくれたので、俺達とリリアスさん達は一緒に食事をすることにしたのである。そこでリリアスさんが俺と、リディアと、リリアの関係を質問してくるので、リリアがそれに反応していた。私はラリアと、ラリアスと、リリアとラリアの部下とで夕食を食べることになったのである。そこで俺はリラックスした状態で食事が出来ないと困っているラガレスが頭に浮かび、少しでも早く元気付けようと思いラガレスに声をかける事にする。私はラガレスに声を掛けるが、どうにも上手く声が出せなかった。それでもなんとかして伝えようと頑張ると。リディアさんと、ラリアと、リリアの部下の人まで協力してラガレスを私の声がちゃんと届く位置に来させて。私はようやく伝えることが出来たのだ。するとどうやら伝わったらしく、俺はほっと一安心したのであった。

ラガレスにラガレスのお母さんの事を聞いてみたら。なんと、なんと!あのリディアさんのお父さんと、ラガレスのお母様に繋がりがあったのだという事に、驚き、私はその事をラガレスに伝えると「うん知ってる」と言われて驚いてしまった。それからも色々とラガレスに質問をしてみたりしたが、やはり答えてくれることはなかったのだ。私が残念だと思っていると。突然リリアスがラガレスに近づきラガレスに抱きつく。ラリアスが、自分の従者にラガス君のことが好きになったから、この村に住まわせて欲しいと頼んでいるが。ラリアスはラガス君がラリアスに好意を持っていないと無理だと言っていて私は内心とても驚いたのである。そこでラガレスが私に視線を送ってきたので私はラガレスの目を見るが特に何も感じなかったので、私は何かを察してラガレスに聞くのを辞めたのである。その後私はラリアスさんのお願いを断ったラガレスの頬を軽く叩いてしまい、謝ろうとするが、それを止めたラガラス君が、私の唇に人差し指を押し当てて「ありがとうございます」と、笑顔で言われて私はまたドキッとしてしまったのだった。

その後私はお酒を飲みたい気分になり、自分の家に帰って飲みたくなっていたが、ラガラスと、リリアスさんにお風呂に誘われたのでお言葉に甘えることにする。ラリアスさんにお礼を言い、三人でお風呂に入るのだが。なんというか。私が思っていた以上に二人は親密で、ラリアスさんはラガレスの事が好きで。それで私が邪魔をしようとしていると勘違いしてしまった。そしてラリアに私と、ラガレスの関係を話すと。どうやらリリアスさんが、私がお酒を飲みたいと思っていたことに気付いて、おつまみを作ってくれると言ってくれたので。ありがたい気持ちと、迷惑をかけてごめんなさいという思いを込めて。

私はラリアスとリリアに「よろしく」とだけ伝えたのである。するとリリアスさんが、私達がお風呂に入ってる間暇なら私達と一緒に飲むといいと言ってきたので、私は喜んでその誘いを受けるのだった。ラリアの部下の人も交えて。私は楽しく飲んだのだ。するとそこで急にリリアさんが、リディアスが俺に抱きついてきて。俺に顔を擦りつけてくるのだった。その様子から私はある事を思い出すのだった。それは前に一度だけ聞いた事があるのだが、俺には弟がいたのだと言うのだ。それで弟の話をするときだけはいつも寂しそうな表情をするから、多分ラガレスの弟の話だと勝手に思ってしまったのだが、まさかそれがラリアだったなんてと少しだけ後悔した。しかし私とラリアの関係はただの上司と部下というだけでそれ以上は何もなかったのである。そしてその話を聞いて少し悲しい思いをしながら。

そして何故か、リリアさんが泣き始めてしまったのだ。リリアは私に抱きつきながら泣くのだが、その様子が、私にとっては妹みたいに可愛く感じてしまったのである。だからついつい頭を撫でてしまうと。彼女は少し落ち着いたようで、私に微笑んでくれた。私もそれに笑い返しているとリリアスさんが。私達の様子を羨ましそうに眺めていて、私とリリアに「いいなぁ〜」と言いながら、自分から抱きついて来る。私は彼女のことをリリアと同じ扱いをしようと思ったのだ。そして、ラリアさんから俺に伝言を頼まれたのである。俺はその内容に目を見開き、直ぐに部屋を出るのだった。ラガレスの所へ急いで向かわなくてはと、そしてリリアさんをリリアスさんに預けると、私はラガレスの元へと向かう。

リリアさんをラガレスの家に泊めると決めたのだが、ラガレスが嫌だと言う。ラガレスと俺はお互いの思いを理解しているつもりであるし、それこそラリアとも俺達は愛し合っていたわけだがら。別に構わないと俺は思う。それを伝えるとラリアは恥ずかしそうにして俯いていた。俺はその姿を見たら少し恥ずかしくなった。だから俺は話題を変えようと必死になるが中々良い話題が出てこず焦ってしまうが、そんな中ラリアは口を開く。俺のことを好きなのかどうか聞かれてしまって俺は焦りに焦って返事が出来ずにいたのだ。するとそんな俺を見てなのかラリアがいきなりとんでもない発言を始めてしまう。

俺がラリアの部屋に行かない理由はただ単にラリアが寝てる可能性があるからである。そんな時に限ってリディアが部屋を覗き込んできて。俺の心臓がバクバクと激しく脈打つが、俺はリディアに対して何事も無いかのように振る舞おうとする。しかしラリアスが俺に近づいて来て、抱きついてきたのである。そしてラリアがラガレスを俺がラリアスさんを好きなのではないかと疑ってきているのだが。俺とリリアが付き合っていることがリリアスの耳に届いている可能性を考えているのか?それともその逆なのかは俺にもわからないが、俺はリリアに俺がリリアとラリアの事を好きだとは言わないように言っておいた。

そしてラリアはラガレスを誘うが、ラガレスは俺がラリアとリリアが恋仲になるのを応援してくれていると言っていたが、リリアとリリアさんとの関係性を知らないのであればそういう風に見えても仕方がないよなと俺は思ったのだ。だがラリアがラガレスが本当はどう思って居るのか聞き出そうとするが。結局俺とリリアの関係を知らなかったようで少し安心した。それから俺達は食事をするために外に出る事にしたのだ。するとリリアとリリアの部下の二人も同行する事になってしまったのである。そして俺とリリアスさんがラリアの部下に質問をしている最中に。ラガレスの悲鳴が聞こえる。慌てて声の方へと駆け出すと。そこにはリリアスに押さえつけられて抵抗しているラガレスの姿があり、俺はリリアスにラガレスを解放するように言うがリリアスは俺の制止を振り切り。ラガレスを気絶させてしまう。その事に怒りを覚える俺であったが。リリアの一言でなんとか冷静を保つことができたのである。そしてラリアスさんがラガレスを連れて行くことになり、俺はそれについて行く事にする。俺の背中でリリアは涙を流しながら泣いていて。俺の心は締め付けられるような痛みを感じていた。俺とラガレスは村の入り口でリリアと別れることになるのだが。リリアスさんが、リリアが居なくなった事にショックを受けてしまわぬように俺と、リガレスに頼んでいた。リリアスはラガレア王国の兵士を連れて行きたいようだが、俺はラガレア王国の兵士の人達が、ラガレアで何かあった場合に対応が遅れて被害を出したくないため断る。それにラガレスは納得していてくれたのであった。そして俺とラガレスはラリアスと別れて、リリアスがラガレアに連れてきていた馬車に乗ることになったのだ。それから俺はリリアスを落ち着かせようと努力して。俺はリリアが俺にリリアがこの村にいることを教えた理由を聞こうとしたのだ。

リリアスさんがラガレアに向かって走り出したので俺はラリアスに、今すぐ引き返してほしいとお願いをしたのだが。リリアスさんは聞いてくれなかった。

そしてラリアスさんはリリアを、自分の家に招待したいと言って、俺はリリアスに確認を取る。もし断られるならば自分が何とかすると伝えると。ラリアスさんはすぐに許可をくれたので俺も了承して一緒に向かうことにするのだった。

そしてリリアスさんの家に着いたのだが、ラリアと、リリアさんとラガラスが待っていてくれていて。どうやらリリアがお酒を飲むのは初めてで緊張しているがラガレスと一緒に飲んでみたいという事で、お酒を持ってリリアが待機をしていたのだ。そこでラガレスがリリアにラリアの話を振ったのだ。

そしてラガレスが俺のことを話すが、ラリアとラガラスはどうも勘違いをして、リリアスさんに俺がどんな人物か尋ねているのだった。俺はラリアスさんにどうやら、俺がこのラガレスの家に出入りしていることにリリアさんは不安を感じてしまったらしいという事を聞かされて。ラガレスがリリアさんと、俺の関係を誤解してしまっているのだと知り。俺はラガレスに俺とリリアの事を話したのだ。

するとラガレスは、俺にリリアさんの事が好きなのかと訪ねてくる。俺はリリアさんの事はとても大切な女性だと思っており、愛しく思っていると伝えたら、その気持ちはリリアさんに伝えなくて良いのかと言われてしまうのだった。

そこで俺とリリアスさんはお互いに見つめ合ってしまい。気まずい思いをしてしまったのだった。しかしそこでラリアスが俺達に声をかけてくれて場を盛り上げてくれたのだ。そしてその後俺とリリアスさんの間に会話が無くなり。無言の時間が流れてしまい、俺は焦ってしまう。

するとここで、リリアさんがラガレスに俺の事が嫌いかどうか聞くのだが、俺はその事を止めようとしたのだが、その前に、ラガスが俺のことを嫌ってなどいないと言ってしまい。ラリアスさんに俺とリリアスの関係を話し始めるのだった。俺はそんな事を言ったらリリアが困るだけだと分かっていたから止めたのだが。もう遅かった。

俺はラリアさんがラガレスを拘束してしまう。しかし俺がラガレスを解放して欲しいと言うとラリアスさんが、リリアさんを、この国にずっと置いておくことは出来ないと言い。そして俺とリリアスが、ラリアと、ラガレスの事を認めてくれないなら。リリアさんには、二度と会わせないと脅され。

俺はラリアさんに従うしかなくて、仕方なく認めることにしたのである。

リリアスの夫、つまり俺達の義理の父親が亡くなってしまったのだから、その家族は俺と、リリアの所で暮らす事になった。しかし俺は、ラリアスがリリアさんのことを好きになってしまうんじゃないかと思っていたのだ。しかしリリアさんは俺に対して好意を抱いてはいないようで、リリアさんが、俺の所に泊まっているのは、ラガレスさんが寂しいだろうと心配していただけみたいだった。そして俺はリリアスの事も大事にしなければならないからと、俺はリリアスが俺の家に泊まることに反対をすることにしたのだが。俺が反対した理由はラリアがリリアスを気に入ったらしく。一緒に住まないか?と言う誘いを受けたからなのだ。

ラリアは最初はリリアの返事を聞いて、断られたと思ったようだったが。俺がラリアスの提案に反対をしたからなのかはわからないがラリアは俺が嫉妬していると勘違いしたみたいで。リリアスに優しく接し始めたのである。俺とリリアはその様子に困惑したが、取り敢えず、その日は俺の家に泊めることになり。

次の日の朝になり。俺はラガレスが目を覚ますとリリアの所に行って抱きしめているのを見たのである。そしてラリアはリリアを連れて外に出ていき。俺はラリアさんを追いかけて。どうしてあんなことしているのかと、問い詰める事にしたのだ。するとラガレスは俺とリリアさんとの婚約に怒ってリリアさんと寝所を共にしたんだと言い。そして昨晩のことは俺が悪いから許してくれと頼まれたのである。俺はリリアスにリリアを任せると。ラリアを叱る事にした。リリアスを自分のモノのように扱ったりしたら駄目だぞ!っと俺は言って、ラガレスは謝っていたのだが、それでも俺が怒るものだから。俺はリリアに俺がラリアスの事を好きかどうか聞いてくるようにお願いし。その質問の答え次第で態度を決めると。

そして俺はリリアスと、ラリアスさんの話し合いが始まる。そして俺はリリアスに。リリアスの事を好きにならないのかを質問すると。俺とリリアはお互いの気持ちは分かっているのだが。リリアは俺との関係を崩す事を恐れていた為。俺の質問に答える事が出来なかった。

そしてその日から俺とラリアスは毎日会うようになり。そしてその日の夜。

ラガレスと、ラリアが部屋を出ていくのを見送る俺にラガレスとリリスが近づいてきたのである。俺がラガレスを見るとラガレスが突然キスをしてきたのである。

「私じゃ駄目ですか?」

そう言われ。俺は混乱するが。俺は断ったのである。ラガレスの悲しげな顔に少し心が揺らいでしまったのだ。するとラガレスさんはそのまま立ち去ってしまったのだった。

(えぇー。まさかこんなことになるなんて思ってもみなかったなぁ。まぁでもリリアにはまだラリアスさんの事は内緒にしておいた方が良いよな。)

俺はリリアの事を思って。黙っておこうと思うのであった。

それからリリアはリリアの部下とラガレア王国の兵士たちに稽古をつける事になっており。俺はその光景を見ながら魔法の練習をするのである。そしてしばらく経った時、突然、リリアとリリアスさんが戻ってきたのである。どうやら魔物の群れが現れてラガレア王国に近付いてきているとのことで、ラガレスも出陣の準備を整えており。俺は、ラガレアに向かう準備をしていたのだ。

するとリリア達が戻ってきてからすぐにラガレアの兵士の一人とラリアが帰ってきた。

そしてラリアさんは俺に、リリアがリリアの妹、リリアの姉、リリアの婚約者、俺とリリアさんは結婚した。この事実を伝えたかったと、俺に言いに来たので俺はリリアに、俺の気持ちを正直に伝えたのであった。リリアはそれを聞いて泣いてしまう。俺はリリアが泣き止むまで待ち続けたのだった。

そして落ち着いた後で俺はリガラスに。今回のラリアスさんについて行く事に決めていることを告げた。そして俺は俺の実力を試したいと言っていたリガラスの頼みを聞くためにラガレスさん達と共にラガスと戦う事になるのだが。結果は引き分けに終わった。ラガレスとリガラスの力はほぼ互角だったようだ。

そしてリガラスも、リガレスと一緒に戦う事を決め。俺達はラガスが戦っている間に俺とリリアスとリガラスで作戦を考え、実行する事にしたのである。俺は、ラガレスとラガラスに俺の作戦を詳しく説明してから、俺は二人に俺の作戦通りに行動して欲しいという事を伝えると。

リガラスと二人でラガレスさんを鍛えながらラガガラスと模擬戦をすることになった。リガガラスもリディアと同じように剣を使うようで。お互い、本気で戦い。お互いが納得する形で決着がつくと。俺はラガレスとリリアと、リリアスと一緒に戦場に向かうのだった。

そして俺達は、敵の軍勢とラガレスの軍が戦闘を開始する。しかし相手側の軍は俺が予想したよりも強い者達ばかりであり。俺は敵の将軍の強さに苦戦していた。俺もそれなりに力をつけたとは思うが。さすがにラガレスや、ラリアスには劣るし、ラガレスは魔法も使えて剣術と槍術を巧みに扱う事が出来るし、ラリアスに関しては。接近戦では勝てる者がいない程の実力者なので。俺は二人の隙を見て敵を仕留めて行くしかないのである。するとそんな時にラガレスさんと、ラリアが駆けつけてくれたのである。そして俺は、ラガレスさん達と別れてから一人でラガレス達と別れた場所に戻ると。ラガガラスが敵に囲まれていたので。俺は直ぐにその場所に向かい助けに入り、そしてラガラスは敵に向かって攻撃を仕掛ける。俺もそれに続いて攻撃を開始したのである。

するとラガレスとリリアがラガスとラガレウスを引き連れて合流を果たし、その後からラガレスがこちらに来る。

俺はラガスとリリアとラガレスの力を信頼しているから、三人で相手をして欲しかったのだ。しかしリリアスさんとラガレスは二人で相手をすると言う。そこでラガスが、二人は任せておけと言ってくれたのだ。そこで俺はリガレアさんがラガレス達に加勢をし、リリアスとラガレスのタッグがラガラスと戦い始めたのである。

そして俺とラガレイはリガラスが戦っていた相手に向かい。俺は魔法を放ち援護をしながらラガレスとラガレイの戦いを見守っていたのである。俺の放つ魔法の威力は、この世界で、リリアが放つ魔法の比ではなく。俺はどんどん、相手の兵の数を減らしていったのである。

俺はそんな時、突然。背後に気配を感じ振り向くと、そこにいたのは、この世界の魔王のラリアスさんの姿があったのである。俺がどうしてここに来たのかと尋ねると。ラリアスさんは、ラガレスとラガレアに戦いを挑もうとしていると伝えて来たのである。俺はそれを止める為に。ラリアスさんの方に行こうとしたのだが。ラガレイが止めに入る。するとリリアスが俺の所に来てくれたのである。リリアスとリリアスの配下の人と一緒にラガレスの手助けをしているラガレスの元に向かうと。俺はリリアからラガラレスにリリアスさんがラリアさんと、ラガレアさんをラガレスさんに任せたいと言った事を伝えられたのだ。そしてリリアスが俺の耳元に近付き小声で囁いてきたのである。「ラリアさんが私の為に動いてくれるのですから。私もこの世界を変える手伝いをします」そう言うのだった。

そして俺達はその場から去り、ラガレスのいる戦場に向かった。そこにはリガラスの首を掴んでいるラリアスがいた。そして俺の目の前でリリアスの首を締め付け始め。俺とリリアスの会話が途切れてしまい。そしてリリアさんがリリアスを助けようと駆け出した瞬間、リリアスの首にかけていた手が緩んだように見えたので。俺とリリアが同時に動き。俺が、腕を振り上げてラリアスの腕を切り落とし。その隙を狙って俺はラリアスの身体を突き刺す。するとラリアスは倒れ込んだのである。すると俺はそのまま倒れたラリアスさんの頭を踏み潰し。ラガレスの元に戻ろうとした。するとラガレスが。「後は私と、リリアにリリアの部下にまかせろ」と言われて俺はリリアを連れてリガレスの元へと戻るのであった。

俺は俺とリリアはリガレスとリリアスがいる場所に辿り着くと、俺が倒したラリアスと、ラガレアの二人を連れて。リガレスがラガレスの元に歩み寄ったのだ。俺とリリアはその場で様子を見守る事にしたのである。

俺が倒したのは、魔王ラガレスとラガレスの側近の将軍ラガレアであった。そのラガレアの頭をラガレアは思いっきり踏みつけたのである。俺はラリアスに、お前をどうするつもりかと聞くと。

するとラガレスがラリアスの事を魔王として認めて欲しいと、そう頼んだのだった。俺がそれを承諾し、これからラリアスをどうするかを話すと、ラリアスが、自分には家族は居ないと。俺に、自分を妻にしてくれとお願いをしたのであった。俺がその申し出を受けようとする前に。ラガレイが「それは駄目だ!」と言い出し。俺は慌てて、「ちょっと落ち着いて下さい。俺はリリアスの事を愛しているんです!ですのでラガリアスを嫁にするのは難しいですが。でも俺はラガリアスの事が好きになってしまいましたので、今度ゆっくり話をしてお互いを知ろうと思っていますので。それで良ければ俺とラガリスがお付き合いをするということでいかがでしょうか?」

そう言うと。ラリアスは、俺の言葉を受け入れてくれたのであった。そして俺は改めてラガレスとラリアスの関係を聞こうとすると。ラリアスがラガスと、ラリアと、自分達は姉妹であると話したのである。その言葉を聞いた俺がリリアを見ると。リリアはリリアスに視線を移してリリアを見た。

そしてリリアスが突然、泣き出す。俺も突然泣き出したのでびっくりしてしまった。リリアは泣きじゃくりながら俺を見つめ。俺はそんなリリアを抱き寄せたのである。すると俺の耳に、リガレスの声が入ってきたのだ。どうやらリリアスとリガラスの関係を話し出したらしい。リガラスはリガガラスに自分の事を打ち明けたようだ。リガガラスは自分の出生についても、そしてラガレスの両親を殺した理由も話したようだ。そしてリリアは、リリアは、自分の出生も話してくれた。俺とラガレスは、二人の気持ちを受け止め、そしてお互いを受け入れる事にしたのだ。そしてリリアスが俺に、 ラリアスさんを救ってあげてと言うと。

俺が分かったと伝えると。俺達のやり取りを見ていたリリアスが、リリアスは俺と結婚する気がないと伝えたのだ。だから私はここで、リガラスと、別れなければならない。私はリガラスの事を、本当の兄弟のように思っているけれど貴方の事も好きだから。リガラスには悪いと思うけど私はリガラスについて行く事にしたわ。そう言うのだった。俺はそれを聞き入れ。俺はもう一度、今度はラガレスの了承を得た上でリリアに結婚の約束をしたのである。

すると俺達が話し合っている間。リガラスとラガスの二人が戦闘をしていて。俺はラガレスとラガスの戦闘を止めに入ったのである。しかし俺はラガレアの槍をよけるだけで精一杯だった。ラガレアの動きが速く。ラガレスや、ラガレウスの攻撃が効かなかったラガレアは。魔法を使う事が出来る。

そこで俺はラガレアに向かって魔法を放つのだが、簡単に避けられてしまう。俺が苦戦をしている中、ラガレアに、リガレアが斬りかかりに行くと、リガレアはラガスとの戦闘中に突然現れたリガレスに反応して、リガレアの攻撃を槍で受けようとしたのだだが、リガレアが放った突きのスピードが速すぎてラガレアは、リガレの攻撃を受ける事が出来ずリガレアの攻撃を受けたラガレアは後方に吹っ飛んでいったのである。そしてその後ろにいたラガラレスに当たりラガラスはその場に倒れ込む。

そんな戦いの最中に突如として現れ、戦いの中に飛び込んで来た者達がいた。その人物達は先程別れたはずの。ラリアとラガラスの姿があったのである。俺が二人になぜここにきたのかを聞くと。

二人は俺達に謝りに来たのである。二人はリグラス様の命令で動いていたようで。リガラスにはリグラス様の居場所を探しにいっていたのだが。なかなか見つけられなかったみたいで。そしてリリアスの所に行き、リリアスとリガレスを一緒にさせる計画に加担していたと打ち明ける。そして二人は、ラリアスを救いたいと思っていたが、リリアが、自分が動くから大丈夫だと俺に伝えてきたから任せたとそう言い、二人を帰らせようと促すと。二人は俺に。ラリアスを救うのなら力になると伝えてくれたのである。

そして俺達の戦いが始まる。俺は、この世界に来て初めて全力を出して戦う事になる。ラリアは俺に剣を向けて襲いかかってくる。リリアとリリアスはリガラスに戦いを挑み。俺の前には、ラガレスとリガレアの姿がある。

そして俺は。俺の後ろから迫って来る、ラガレイに対して魔法を放ち足止めをして、俺の前に立つリリアを背後に隠して、魔法を放ちながら後退して行き、リリアスと、リリアスの部下と共に、ラガレスとラガスに挑んでいくのであった。

俺が、リガレイと戦い始めて数分経った頃にラガレイがラリアと一緒に攻撃を仕掛けて来たのである。俺はそのタイミングを狙いラガレイに攻撃を加えた。その一撃でラガレイは俺が思っていたより強かった為、俺は一旦その場から離れる事にする。俺はその動きに合わせてリリアスに、ラガレアと戦うように頼むと、リリアスはそれに返事をするのであった。

俺が、リガレイと距離を置くと、リガレイが俺に攻撃を仕掛けてくる。俺とリガレイがお互いの武器をぶつけ合い激しい音が響く。俺はそのまま後退しながら。リガレアからの攻撃を避けながらリリアと、リリアの配下をリガレアにぶつける。

そしてリリアスとラガラスはリリアスの部下を、リガラスが相手をし、リガレイとラガレアが一対一の状況を作る事にしたのだった。そしてラガレスと俺は二人でラリアに仕掛ける。

するとリリアスの配下の女性兵士がラガレスの方に攻撃を仕掛けるが、リリアの部下の兵士に阻まれる。すると俺とリリアとラガレスは三人掛かりでリリアに襲い掛かるが。俺とラガレスが連携してリリアを追い詰めると。リリアはラガレスとリリアの剣を両手に持った短剣を使い巧みに避けながら、反撃してくる。俺とラガレスが連携を取りながら攻めていると。俺の横からラガレスに向かって槍が振り下ろされたのである。

その槍の矛先にはリガレアがおり。リリアは俺の方をチラッと見てからリガレアの方に向かったのだ。俺とラガレスが同時に槍で攻撃を仕掛けるがリリアは二刀流に構え直し。俺とラガレスが同時に放つ突きのラッシュを、二本の刃を使いながら防ぎ。俺の槍は腕で弾き。ラガレアには肘を使って弾くのである。

俺が、リリアスに蹴りを入れるとリリアがそれを防御し、その瞬間。俺はリディアに目を向ける。その一瞬の隙をリリアが見逃す訳がなく、俺の腕を掴み関節技をかけようとしてきた。そしてリリアスも同時に、ラガラスの首を絞め始めようとした時。リガレアの槍と、リガガラスの拳が、リリアの背中と、ラガレスの胸に直撃したのだった。その衝撃により俺とリリアスが後方に吹っ飛ぶと。リリアスと、ラリアスは、ラガスに斬られ倒れる。俺とラガレアはラガレスに向かっていくが、リリアが立ちふさがり俺達の攻撃を防御していると。俺が後ろに下がり。ラガレアは槍を突き刺し、俺は拳でラガレスに殴りかかるが、その両方を片手の平一つで止めるのであった。

その光景を見たラガレスが、「俺もそろそろ本気でやるかな」と口にして、ラガレスは体全身に力を入れ出す。するとラガレスの筋肉は膨れあがり、服は破れて行き。ラガスと同じ肉体へと変わって行ったのだ。そしてその状態のラガレスが俺達に攻撃を仕掛けてきて、ラガスも俺達に攻撃しだす。

そして俺は、リリアスとラリアスに回復をしてからラガレスを一人で戦わせないように。リリアスを治療する事に専念する。しかしラガスの攻撃が激しさを増して来ているため俺はリリアの治療を諦めた。そして俺は自分の体に限界以上の力を込めると、ラガスの懐に潜り込みラガレアの攻撃を回避しつつ、俺もラガレアを殴りつけていく。ラガスは、俺に掴みかかろうとしてきたため俺はその手をつかみ、ラガレアに投げ飛ばすと。ラガレスと俺がラガレアに攻撃を仕掛けた。そしてラガスはリリアにラガレスが槍で突こうとしたその時。

突然リリスが飛び出しラガレスにタックルをしたのだ。ラガレスはそのままバランスを崩してしまいリリアが俺に向かって剣を振り下ろしてきたので俺もそれに対抗するために自分の槍を振った。その一撃をリリアスは受け止めて鍔迫り合いになるが俺は力で押し切ると、リリアは俺の剣を弾いて体勢を整えてから、俺とリリアが再び戦闘を始めたのである。リリアがリリアの部下とラガレスと戦っていたのだが、その戦闘に決着が着いてしまうのだった。そしてリリアの部下達をリリアは倒し。俺は目の前の敵と再び対峙する。

そしてラガレアが「俺の体はなぁ。魔力を吸収するんだよ!」と叫んだかと思うとラガレアの筋肉がさらに大きくなり始めたのである。そしてラガレアの攻撃が今までよりも速く。強く。そして何より重くなっていったのだ。

俺がラガレアの動きについていけずにいると、ラガスが俺を羽交締めにし俺の動きを止め。俺がラガレアに槍で攻撃しようとするが。ラガレアが、俺を盾にするように前に立つと、ラガレアは、ラガレスと同じようにラガスの背中に手を当てる。

するとラガスが苦しみ出したのである。そして、俺を拘束していた力が弱まり。俺はそのチャンスを逃さずに、ラガレスに蹴りを入れ。それと同時に俺は後ろに飛びラガレアから離れた。

ラガレアがラガスを殴ると、俺を盾にしようと、俺の正面に立とうとする。だが、ラガレスは俺を素通りしてしまう。その事にラガスが困惑するが、俺はその一瞬の隙にラガレアに接近し、顔面を殴ろうとすると、ラガレアはその攻撃に反応できたのか。体を少し反らすと、ラガレアは俺の腕を右手で押さえながら俺の顔に膝を打ち付けてくるので。俺は咄嵯にガードをして、腕で防いだ。それからラガレアは何度も俺の顔面に膝を入れてきていたのだったが、俺の頭の上に、巨大な影が差すと。ラガレアの後ろに立っていたラガレスが俺に殴りかかってきたのである。そして俺はラガレアの攻撃を防御したが。俺の体が浮き上がるほどの威力があったのだった。

俺は、地面に落ちると、すぐに起き上がり、そして二人のラガラに俺は同時に斬りつける。そしてリリアスに目を向け。リリアを庇うようにして立っているラリアと剣を打ち合わせている姿を見ると。

俺は、リリアスに向かって走り出す。俺とラガレアが接近し剣がぶつかる。俺はリリアの方をちらっと見てからラガレアと激しく打ち合い始めると。俺が剣を振るタイミングを見切り。そしてカウンターの要領で剣を合わせてきたのだ。

その動きを見て俺は後ろに下がる。

そして俺とラガスと、ラガレアが向かい合う形で睨み合っている状況で、俺は後ろからリリアの気配を感じ取り。リリアに、俺に近づかないように伝えると。リディアの魔道書を、手に持って俺の横に並んだのであった。

ラガレスは俺達に向かって、何かを叫んでいたが、それは理解できなかったので俺は無視して、俺は、この場にいる全員でラガレアと戦うために行動を開始したのである。

俺は、リディアの魔道書を手に取ると、リディアスが俺の傍に来て。俺と、リディアと、ラガレスと、リガレイがいる場所から離れて行き、リリアと、リガレイの方へ走って行く。

そして俺は魔法を唱え始めると。突然俺の横腹に槍が突き刺さる。俺は、それを無理やり引き抜き。そして槍を投げて来た人物を見る。その者は、ラガレアだった。

俺がラガレアを凝視している間にリリアスが、俺の横まで移動して来て、俺と一緒に、ラガレアと戦い始めようとすると、俺が投げ飛ばしたはずのラガレスが起き上がっていて。リリアと、リリアの配下達とラガスを足して四人でリリアの配下を倒しながらラガレスの相手を始めようとしていた。俺と、リリアとリリアスは三方向から攻撃を仕掛けるが、その全てをラガレアが対処して、俺とリリアはお互いの攻撃で弾き飛ばされたのだ。

するとラガレスが俺に近づいてきて、蹴りを放ち、俺はそれに反応する事が出来なく吹き飛んでしまう。その事にリリアスは驚きながら。ラガレスに剣を向けるが、その攻撃は避けられ、逆に蹴られてしまうのである。

ラガレアが俺に槍を突く。俺はその攻撃に気付いて避けたが槍は途中で軌道を変え、俺に襲い掛かってきたので俺はそれを手で払い、そのまま槍を掴み。槍を引き抜いて。俺も攻撃を開始する。

俺が槍で攻撃をするたびにラガレアはそれに反応して、攻撃を防ぐが、俺は槍の攻撃を止めず。ただ無心で攻撃を続けた。そして俺の槍がついに、ラガレスに傷をつけた時。俺とラガレスがぶつかりあい、その勢いにより俺の槍が砕ける。

そして俺は拳で殴りかかるが、その攻撃にラガレスが対応し俺の攻撃は受け止められてしまったのだ。そして俺はラガレアの攻撃を避けようと飛び退こうとするが、それを読まれてしまい、俺はラガレアに肩で担がれるように持ち上げられる。俺は、ラガレアの脇の下に蹴りを入れようとしたのだが。それもラガレアに防がれて、ラガレスはそのままの体勢で地面を叩きつけてきたので、俺は、それを受け身を取り回避したのであった。

ラガレアが俺に向かって剣を突き出してくる。俺はそれを両手で受け流し、そして懐に入り込もうとしたのだが、俺の腕を掴むとその状態で、ラガスに向かって俺を投げつけてきたのである。俺も何とか着地をし。その後ろからラガラとラガレイが迫ってきているが。俺の前にラガレアが立つ。そしてラガレアは、自分の体を巨大化させたのだった。俺は、その姿に驚いてしまい。ラガレアが俺に攻撃をしかけてくる。

俺はラガレスの攻撃を避ける事が出来ずに、直撃を受ける。俺はラガレアの攻撃を受けて倒れそうになったのをなんとか堪えると。その瞬間俺の頭に衝撃が走ると、視界が暗くなるが、意識が途切れる寸前に、俺はその光景を見てしまったのである。

ラガレアが俺に向かって槍を突いたのだ。

その槍の先には、リディアがいたのである。

そして俺は、俺に向かって振り下ろされるラガレアの剣に気付くと、必死にリディアを救おうとするが。俺とラガレアが接近しすぎていたためにリリアとリディアスも俺を助けに来ることが出来ず。リリアもラガレスと戦闘中であり。

リディアがラガレアの攻撃を受けると。その槍はリリアの胸を貫通し、リリアはそのまま地面に倒れると動かなくなる。リリアの部下達は、自分達の主人が殺された事で、冷静さを失い、我先に逃げ始めたのだ。だがラガスは部下を見捨てる事無く。自分の命を守る為だけに戦っているのだが、そこにいるラガスの実力では。リガレイやラガスラスに敵うわけも無く、その体は血だらけになっていたのである。

俺は薄れいく意識の中リリアに目を向けた時にリディアはもうすでに死んでしまったのである。俺は、俺の体に回復薬をかけると。俺は立ち上がり、目の前で、まだ俺と戦闘を続けている、ラガレアと。ラガレス。ラガレスとラガレスの戦いに割って入ろうとしているラガレアの姿を見て、そして周りでリリアの配下の者達と戦っていたラガスを見て俺は決意を固めたのだ。

俺はまだ動く体を使って、槍を持ちラガレアの方に駆け出す。ラガレアの方は、突然向かって来た俺を見て。俺の行動を阻止しようとするが、俺はその攻撃をギリギリまで引き付けてから。ラガレアが剣を振り下ろしてきたのと同時に俺は後ろに飛び、その攻撃を避ける。それから俺が、ラガレアに殴りかかろうとしたら、ラガスは俺を蹴り飛ばして邪魔をしてきた。俺はそのラガスの攻撃をガードすると、ラガレスの蹴りに吹っ飛ばされたのである。

俺は地面に転がった状態から起き上がる。だが俺に追撃しようと剣を持って俺に突っ込んでくるのを、ラガスが剣で止めると、そのままラガレスがラガスを押し返そうとするが。ラガスは力負けせずにラガレアに攻撃を続けていく。俺はそんな二人を見ながら。立ち上がろうとする。

すると、俺は誰かに支えられ。顔を上げると、そこには、俺の知っている人物が居たので。俺は驚いた。

何故なら、その人物こそ俺を転生させてくれた神、リリアス様がそこにいたのだから。俺はリリアス様にお礼を言って、俺の事を支えているリリアス様から離れると、再び立ち上がり。リディアスの元に向かったのである。

そして俺は、リディアスの近くに行くと、その横に並び。俺も戦いに参加するための準備をする。まずは自分にリディアスから借りた。魔剣を取り出し、リリアスの杖を手に持つ。それから魔法を唱えると、杖の先に光の塊が現れ。そしてその光が弾けるように拡散し、それが消える頃には俺の装備が一変。見た目が変わると、リディアはリリアスの服と靴を身に付けていた。リディアは杖を構えると俺の隣に立つと二人でラガレスに立ち向かうために走り出したのだった。俺とリディアスで攻撃を仕掛けたがラガレスはその二人の攻撃を弾き飛ばす。そこで俺とリディアの攻撃の手が止まるとラガレスは反撃に出るが。俺とリディアスはお互いにアイコンタクトを取る。

そして俺が剣を振るうとラガレスはそれに反応し俺の動きを止めようと思ったらしく、腕を掴んできたが俺はその行動を無視して剣を振るい、俺が振った剣は槍に当たり砕け散るのだが俺が持っている魔道書を砕けた破片で切り裂きながらラガレアに当たるはずだったがそれを避けられた。

その隙をついて俺はラガレアの後ろに回り込み、その勢いのまま俺は剣を振る。するとラガレアはそれを槍で防ぐと、俺は剣で何度も斬りつけると。俺が斬る度にラガレアの体に傷が増えて行く。

俺がリディアスの方を見ると彼女はラガスに向かって攻撃を行っていた。そしてラガレスの方を向くと。ラガレアは俺に向かって突進してくる。

俺もそれに対応する為にラガレスに向かって走っていく。俺は魔道書を構え、ラガレアに向かって行くと。ラガレアが槍を横に振るってくる。それを紙一重で避けるが。ラガレアのその槍を俺が握ると、ラガレアの武器を破壊しようとしたのだが。ラガレアが力を込める前に俺の持っていた槍を壊されてしまう。そしてラガレアの拳が俺に襲ってきたが、俺はその拳に自分の拳をぶつける事によってその攻撃を相殺したのだ。

俺はその瞬間ラガレアの顔を思いっきり殴り。さらに回し蹴りを放つと。俺はそのままリディアに視線を向ける。リディアスの所にラガレアの配下が集まっていて。その配下を蹴散らしていたのだ。俺はリディアに向かって声をかけると。俺はラガレアとラガスに向き合う。

そして俺は魔剣を構えるとリリアさんに渡された、リリアスから貰った指輪に意識を向ける。『我の肉体に眠る、全ての魔力を使い。我が求める。姿をこの世に現せ』

俺は詠唱を始める。そして詠唱を終えると俺の手に持った。その杖が輝きだし。そしてその光りが俺の体を飲み込んだのである。そして光が消えると、俺の姿が変化を始めたのであった。「え?」

「ん?どうしたんですか」

俺の言葉に、首を傾げる女性。

そして俺は彼女の事を知っているのである。その女性はリリアであり。リリスでもある。俺は彼女達の名前を呼ぶ事に躊躇っていた。

何故なら、俺の記憶の中に残っている、この世界で戦ったリリアという女性がリリアさんなのか。それとも、俺の知らない別のリリアなのかわからないからだ。もし仮に別人だとした場合、俺が、俺自身の前世の記憶を頼りに、勝手に決め付ける訳にはいかない。それに、俺自身が、今の自分の状況を理解していないのだ。それに今現在、リディアやラディアスと戦闘を繰り広げており、それどころではない。

「私はリディアと言います。あなたは、何者ですか」

そう言いながら、剣を突き付けてくるリリアに、どう説明すればいいのか、考えようとすると、俺は、自分の体の変化に気付いた。俺は思わず自分の手を見る。その手の甲にあるはずの、契約紋が無かったのである。これは俺がリリアに言った通りなのだ。

俺の頭の中にあるのは、俺はリリアと契約をしたという事実である。その事は、しっかりと覚えているので、恐らく。その事を証明しろと言われるのであれば簡単に証明する事が出来るだろう。だけど今はリリアスの件が解決してからでも遅くはない。俺は少し悩んだ結果。その言葉を紡ぎ出す。

「俺の名は、ラガレイスだ。俺の事を知ってるかどうかは解らないが。とりあえずリディアと言ったな。お前はリディアであってるか」

俺が名前を名乗ると、リディアは警戒心を緩めず、その剣を下ろしてはくれなかったが、一応話を聞くつもりはあるようで。剣は下げなかったのだ。ただその目は俺を見定めるように鋭い。

「はい、私が、リディアです。そしてあなたのことなら存じ上げています。それで、リリアさんの知り合いでしょうか」

リリアと、リリアさんの違いについてだが。リリアは、俺と最初に会った時のリリア。リリアスの場合はリリアスさんと呼ぶのが正しいと思う。だから俺はあえて。リリアではなくリリアと呼んだのは俺がリリアスの事を詳しく知っていて。俺に敵意は無いと言うことをアピールするためである。まぁ実際は、この世界に転生している事が事実かどうかを確認をしているだけだからな。別に敵対の意思があるとかそういうわけじゃないからね。

俺も一応警戒心は持っているが、リディアの方はかなり警戒しており。俺に対して剣を突き付けた状態で。俺は、ラガレアとラガレスの様子を見る事にする。二人は、お互い睨み合いながらも、俺が見ていることに気付いており、その俺の行動に何か違和感を感じたのか、俺を警戒しながら、俺の方を向いてきたのだ。その行動を見て。俺は二人が、リリアの部下である事は確信しているのだが。俺は、自分がどういう存在かがわかってないのである。そしてそんな時、俺の体が突然眩い光を放ったのだ。俺は驚き。自分の体を見ると。その体の形は、人間の姿をしていて、しかもその姿は見慣れたもので。リディアやリディアスと初めてあったときの俺の格好そのままなのである。

そして俺はある事を思い出した。それは、俺の体が変わったのではなく。リディアの服の効果だということに気が付き。俺がリディアにそのことを説明すると。その話を聞いていたリディアとリディアスは驚いていた。

そして俺が自分の体を確認し終えて、改めて、リディアとリディアの父親。そしてリディアの姉二人。ラガスをみると俺は、自然と口から、この言葉が出てきたのだ。

「父上、母上、姉上、そして、リディア。久しぶりだな。会いたかったぞ」

俺の口から自然に出てきた言葉にリディアは戸惑いを隠せない様子だったが。すぐに表情を戻し。俺の目の前に歩いて来ると、俺に質問してきた。その瞳からは強い意志を感じることが出来る。

「貴方は、本当にラガレイスト様本人なんですね。どうしてここにいるのかわかりませんが、ラガレス兄上もいます。そしてその後ろに居る、私の夫も」

「そうだよ。そして、私達が、君達と一緒に暮らしていた。リザードマンだったラガレスト様だ」

俺が答えるとリディアスは俺の元に駆け寄り抱きついて来たのである。その行動を見て俺は一瞬戸惑ったが。俺はリディアのほうを見ると、そこには嬉しそうな顔でリディアは笑っていた。俺もその笑顔をみて、つい微笑むと。

リディアが急接近してくるのを気配で察すると、その攻撃を杖で防ぐと。杖が砕け散ったので俺は慌ててリディアスに回復魔法をかけようと思ったのだが、リディアスが俺から離れ。俺が使っていた杖を拾うとリディアに杖を投げ渡すとリディアはそれを受け取り。

その瞬間俺達は戦闘を再開することになる。リディアはリディアスと背中合わせになると、二人で攻撃を始めようとしたとき。俺が、ラガレアの拳と槍を剣で弾きながら。俺とラガスの二人でラガレスの攻撃を防いだので、ラガレスは動きを止めると。俺達にこう言ったのだ。

「なぜ邪魔をする!俺は貴様らを殺せばこの国の王になる権利が得られるんだ!」と、ラガレオスが叫ぶ。そしてラガリアスは槍を振り回して襲い掛かってくるとそれを受け止めたリディアに向かって、今度はラガレアが斬りかかっていくとリディアはそれを回避したのであるが。

俺はラガスの動きに合わせて、ラガレオスと距離を縮めようとすると、俺が近寄って来ていることに勘付いたらしく。ラガレアは俺を牽制するように槍を横に振るってきたが。槍を避ける事によって、俺はラガレスに接近したので剣を振るうとラガレスはその攻撃をかわすが。その行動を予期していたラディアはすぐに体勢を整え、槍を突いてきて。ラガラは、その攻撃を受けてしまうと。俺の後ろに回り込み攻撃を仕掛けてきたので俺は剣で受け止めようとしたが、剣が砕かれてしまい、そのままラガラは槍で俺を貫こうとすると、俺はそれを間一髪のところで回避する事が出来たのだ。だが俺はラガレアに隙を見せないように移動し距離を取り。リディア達の方に向かうとリディアスの援護をしようとしたが、ラガレアの蹴りが、俺の腹に入り吹き飛んでしまうと。その蹴りによって俺は壁に激突してしまい気絶した。そして目を覚ますと俺は、なぜかベッドの上に居たのである。俺はその事を不思議に思いながら立ち上がると。その瞬間に頭に痛みが走ったのだ。その頭痛に耐えながら俺は立ち上がり。そして扉の前に立ち、その部屋の外に出ようとしたらその部屋に、ラディア達四人とリディアスが入って来て、俺は思わず目を大きく開き驚いた。そしてリディアが近づいてきて心配そうに声をかけてくれると。

「よかった。ラガレイス殿。目が覚めたんですね」と、彼女はそう言って俺に近づいてくると抱きしめてくれたのである。俺は思わずその感触に驚いてしまった。俺は彼女に離れてもらい。

「リディア、お前はいったい何者なんだ?」と聞くとリディアは自分のことを語り始める。

彼女の名前はリディアと言い、リディアはこのラガレア国のお姫様だと言うこと。俺のことをラガレイスと呼んでいたが。それは偽名であり、俺の名前はラガロという事らしい。そのリガロという男については何も言わずに、リディアの話を聞いて行くと、どうやら。その俺の名前についてだが。これは偽名と言うわけではなく。元々、この名前は彼女の父親が名付けていたものなのでその名前を名乗ったのだそうだ。つまりリディアスの父上は婿養子としてこの国に来ていたという事なのだろうか?そして俺は自分の名前が偽名だった事を知り、自分の記憶が曖昧であること。それと、リディアの言おうとしている事を理解すると、リディアはリリアスの事について教えてくれと言ってきたのである。

俺は自分の記憶の中で覚えている事を正直に全て伝えることにした。

「俺は自分の名前すら覚えていない状況なのだ。俺は自分がどういう存在なのかもわかってないんだよ」そう言うと俺はラディアの顔を見つめる 俺がそういうとラダレアさんが「自分の名前も忘れてしまったとは可哀想に」といいながら涙を流したのですが 俺がその涙を見て「俺の事が嫌いなら別にいいんだけど」と言うと、ラダスは俺の手を握る。

「違うぞ!ラガレイスの事は、私は今でも愛している。だけどな、あのラガスとラガリスがな。リディアはリディアと名前を変えて。別人のようになられてしまっている。だけどお前は間違いなく私の娘だと思っている」と、彼は俺に対してそんなことを言っていると。そこにリディアスの父親のリガリアが現れて「久しぶりだな、リディアスの親父さん」と声をかける。するとラガレアさんは。

「まさか。生きていたのか。死んだと思っていたのだが」とリディアは驚いていたが。俺は二人の会話に少し興味があった。俺も、この世界に生まれ変わり。前世の記憶は残っている。ただ俺は、この世界に生まれ変わった時の容姿を覚えていなかったのだ。

俺はこの世界に転生する時に何か条件が合ってそれを達成した事でこの姿に転生したのだろうと考えていたのだが。

その条件というのはリディアが転生してきた事だと今わかった。

そして俺がこの世界に来た理由はこのラガスを封印するためだということも。俺はラガレアの言葉を聞くまでその事をすっかり忘れていたけどね。俺の体の中には魔王が眠っていることはわかっているのだから。だからその前にリディアをリリアスさんの元に連れて行けば良いのだからね。それに、俺の本来の目的はリディアスをリディアスの両親の元に返すことだったのだからね。そしてラガレアさんが話を続ける。

俺はそのラガレアさんの話を黙って聞いていたのだが。リディアスの父親、リガリアさんがラガレアが俺の本当の父親だという事は信じたくないようで。「ふざけないでください。私の夫はラガレスただ一人なんですから!」と、ラガレアさんに怒りの感情を向けた。その事を聞いたリガルドは俺に話しかけてくると

「俺達にもわかるように説明してくれないか。どうして俺達の知っているラガロとラガルドの姿が違うのか。そもそもどうしてここにいるのか。俺達には分からない事が多いんだが。リリアはどう思っている?」「えぇ、僕もその事は気になりますよ。それに、あなたがラガルだということも納得がいきません」「まぁ、普通に考えたらそうなるよね」と、俺達はその疑問をぶつけると。リガルドがまずラガレアが言ったことを説明すると

「私が説明するわ。ラガリア兄様は私の為に。ラガルに私と一緒に暮らしてほしいと言ったけれど。ラゲルト姉様はその考えに反発したのよ。ラガリアは、その、ラガレートのことが好きだったから一緒に暮らしていたいとおもったみたいで」そうリディアが言い終わるとラガレスは、その事に反応する。

そしてラガスの方を見ると。「そうだぞ!俺はリディアの事を愛していて、俺の妻にしたかったのだからな!」と叫ぶ。その事を聞き俺が、「なんであんたが、その事を知っているんだ!」と突っ込むと その問いに答えたのはラガレアだった。

「あ~~~っ、その事は俺に任せてもらえないだろうか。後々分かると思うが、ラガレイス殿の力が必要なのは確かなのだよ。だが、リディアが嫌だというのならば、ラガレイス殿を元いた場所に返したい。リディアスをリザードマンの国に戻すためにな」と、ラガレアが話すと。ラディアスがリディアに確認をする。するとリディアは俺がリガルドとクロアの二人を連れてリザードマンの国から逃げてきたのだと思い込んでいるようなのだ。そこで俺が、リディアスをリザードマンの国に送り届けたらすぐにラガレアの元に戻る事を伝えたらリディアスが

「僕は母上のところに帰ってもいいのですか!」と言うと。俺は「大丈夫です!きっとあなたのお母さんも心配して待っています。早く行ってあげましょう!」と俺は言うと。リディアは「わかりました!ラガスさん。いえ、ラガル様。どうかリディアをお救いいただきありがとうございます」と言われてしまう。俺は何も言わずに頭を掻きむしり、リディアにこう言うと。「これから、リデアとクロナに別れの挨拶をしてから、リザードマンの国に行こう」と、言うとラガスとラガレアはリディアスに別れの挨拶をする為に向かった。

その日の夜俺はリディアと二人で話し合っていたのだ

「そういえばリディアは、俺の正体については何も言わなくてよかったのか?」と、聞いてみると リディアが少し暗い顔つきをして、「はい、もうラガスとは別れた身ですから。貴方が、あの人ではない事は知っています。でもあの人の魂は残っていられていることも、私は知っているんですよ。その事に私は何も文句を言う権利はないと思っています」と、彼女はそう言ってくれる。俺は彼女の事を大切に思っていた事だけは覚えているのである。その事を伝えるとその事についても彼女は理解してくれた。

そして翌朝になるとリディアスが俺たちに付いて行くと言い出すと、リディアが止めるのだがリディアスの意思が固かったために、俺達はラガレア王国を出て、リザードマンが住む国、ラザラスのところへ向かう事にしたのだ。その道中に魔物が現れる事はなかったのだが。その途中で一人の男が俺達に近づき、その男は「やっと見つけたぞ。ラガル様、さあ私と一緒に行きましょう」と、言うと。その男の頭の上にはリディアスと同じような王冠を被っており。リディアスと同じ赤い髪の毛をしている事からその人物がリディアスの母親だとわかった。その人物に対して俺は「あんたの気持ちも分からなくはないが。俺は今、ラガレイスとして生きることに決めたのでね。俺にかまわないでほしい」と言うとリディアスの母君は、リディアスに対して「なぜなの?」と聞き、俺に対して攻撃を仕掛けてくるが、それを止めたのがラガレアさんである。その人物の攻撃を受け止めながら

「お主の夫であった、ラガレストの事をまだ愛していると言うのなら何故、ラガレストに対してそこまで敵対心を持っているのか?」と、リディアの母親がラガレアさんに対して質問を投げかけたのである。その事について聞かれるとラガレアさんが答える。

「私は、ラガリ-トのことが本当に愛している。だが。私はラガレットのことを忘れられずにいた。あの人との思い出がある限り。私にはリガルド以外を選ぶことができなかった。しかし、私はリガルドのことを忘れていたわけではなかったのに。あの人が私を愛していると言ってくれたとき。私にはあの人に返事をすることができなかった。それは何故かというと。あの人の記憶は消えているのに、それでも、私への愛だけが残っている。そんな気がするの。それがわかった瞬間に。私はあの人から逃げたくなったのよ。だって、私の事を思い出してくれたときにまた。私に対する記憶が失われるんじゃないかって思ったのよ」その事を聞いた俺はラガレアさんの方に目を向けると。

俺の目を見て、ラガレアさんはうなずいて。

「確かに。俺はあんたが言った言葉を聞いて。その通りだと思う」と、ラガレアさんが言う。するとその話を聞いたリディアは「なら!リガルドの事は諦めて!ラガリアの所に帰りなさい」と叫ぶ。それに対してラガレアさんが、俺の事を見ながら。「お前の夫が俺と血の繋がりがあったと聞いたとき、ラガレアの奴はなんていったと思う?お前とラガリ-トとの子供のリディアにそっくりじゃないかと嬉しそうに言っていたぞ」とリディアに伝えたのである。それを聞いたリディアは泣き崩れてしまい俺は慌てて抱き抱えようとしたが そこにリディアスとリガルドとクロナがやってきて俺に向かって

「この男を信用しない方がいいですよ。こいつの目的はこの世界の支配に決まっています。あなたが持っている力も狙っているのです!」「あなたがどんなに頑張っても、ラガリアがラガル君を手に入れる事はできませんよ」とリディアスとリガルドとクロナに言われてしまったのだ。だけど俺としてはリガルドの事を信じるつもりだし。ラガルは、ラガリアさんが望んでいない事をするのは嫌なのだよな。だから俺は「わかったよ」と一言つぶやくと、ラガリアさんが「そうだ!そう言えばいいんだ!ラガスは私の事を信じていた。だからこそリガルドはリディアと結婚したんだ。それにしても、俺とラガリアとの子供は、どうして俺と似なかったのだろうな」「それは、ラガルドとリガリアの夫婦は。俺達とは正反対の種族だったからじゃないのか」

俺の言葉を聞いたリディアは、ラガルドの所に戻りたいようで、その事を話すと。「俺は構わないぜ」と答えが返ってくると、ラガルドとリディアは、二人で話し始めたので、俺達4人はラガリアとラガレアの元へと向かった。その道中にクロナさんに俺とリディアが結婚するという話は、俺がリディアと結婚できる年齢になったらすぐにしたいと伝えると。「わかりました」と言われたのだ。

そして俺達はラガラ国王に会えることになり。そこでラガレアさんが、ラガレア王の過去を話し始めるのであった。その話を黙って聞いているラガルだったがその表情には悲しみしか読み取れていなかった。その話が終わり、俺に話しかけてくるラガレア王に

「なぁ、どうしてラガレス王は。ラガルド王妃と結婚することを決めたんだ。俺にはその理由が分からないよ」

その問いに対しては リガレイド王と、リガルド王が説明を始めたのだ。「俺は昔からずっとラガルドの事が好きだったからな」

その言葉を聞き。ラガリアもリガルドもその事について語り始めたのだ。「ラガレイスは、いつも自分の強さに自信を持っていたからな。それでいて、とても正義感が強かったんだ」

そうして俺はリガル王妃の方を見てみると。

その瞳から涙を流し、泣いている事が分かるほど。俺に近づいてきてくれると、ラガレアは俺の顔を見ると。ラガレアが俺を睨みつけて「やっぱり、リディアとリガルが結婚するのが一番良かったんだ」と言い放つ。その言葉を受けて俺は、「あんたは、何のためにリディアとリガレアの親子に、俺との結婚を勧めようとしたのか」

そう問いかけると、ラガルは「リディアが、お前を気に入っていたから。俺の物になれば。お前を幸せにしてあげられると思ったんだよ!」

その言葉で俺はラガレアに近づき、「ふざけんなよ。俺の気持ちは俺が一番よく知っている。リガルドとクロナさんと一緒にいた時間のほうが長かった俺がリディアと一緒にいることを選んだ。その意味を考えてみることだな!」と言うとラガレアは、怒りの感情を抑えられず。リディアを無理やり連れていこうとするのだが。俺は、それを止めたのである。

それから俺とリディアは二人っきりになって話し合いを始めるのであった。「リディア。リザードマンの国に戻らないか?」

俺はその事を伝えると、彼女は「私は、あの国には戻りたくない。貴方と出会ってからは貴方の妻になることだけを目標に生きてきた。だけどその目標も、今は無くなってしまっている。だから私はあの国に戻るつもりはないわ」と、言い出す。俺はその言葉を聞いて、彼女の頭を撫でながら。「俺は、リディアが好きだから一緒に暮らしたいと思っているんだけど。駄目かな?」と聞くと。彼女は、少し顔を赤く染めながら「はい。ラガルさんがそこまで言ってくれるのなら、私は喜んで貴方のお嫁さんになりますね」と、答えてくれ。俺達はお互いに抱きしめ合う。そして夜になるまでの間、今までにあった出来事についていろいろと話す事になった。その途中で俺はリディアの胸を鷲掴みにしたのだが彼女はそれを拒否せずにそのまま受け入れたのである。俺はその事で彼女の事を大切にしなければならないという気持ちが高まっていたのであった。

翌朝になると、俺達はラガリア国王とリガルド王とリザードマンの女王の所に顔を出したのである。そこで、俺達が旅をすることを伝えると。女王は「リガルド様はラガル様に付き従うということですね。では私達はこの国を守るとしましょう」と言い出すと、女王とリガルドの配下の者達と共に戦うことが決まった。こうして戦いの火蓋は切って落とされることになる。ラガレアは、「さっさとこの城を潰し。リガルドを手に入れてやる」と言って、俺たちと別れた。そしてラガラ王とリガリアの二人がどうなったかというと。俺達の目の前でキスをしていた。その事に呆れているリガルドにラガルドが。「なんだよ!いいじゃねぇか!愛する人と結ばれるのは当たり前のことなんだぞ」と答える。その言葉を聞いたラガルドは「まあな」と答えて俺のことをチラッと見ていたのである。俺のことをそんなに見つめなくても、これからは毎日会えると思うよ。ラガレアがいなくなった後。俺とリガルドはラガルの護衛をすることになった。

それから数日間の間に。城の中を調べていくと地下施設がありそこには魔物を生み出すための魔道具が置かれていたのだ。

それを見ているとそこに一人の少女が現れ。リディアに襲いかかったのだ!だがその攻撃をリデアが止めに入り、その事を確認するために俺とリガルドの2人が駆けつけると。そこでリヴィアの姿を見つけることができたのである。そして俺は、リリアのことをラガルドに紹介する。リガルドがリシアのことを気に入ったみたいで、リシアは「私の事をリシアではなく、お義母さんと呼んでもいいですよ」とリガルドに向かって言うと。リガルドはその提案を受け入れることにしたのである。そして俺はリガルドに、この城の地下に魔王軍の幹部がいたことをリガルドに報告すると

「そうなのか、そいつらがラガレアに力を貸していたわけだな」

「そうなると思いますよ。それとラガレアさんはラガレアさんなりに必死だったんですね」

その言葉に対してリガルドは「そうだな。でも、それは無駄に終わったがな」

「そうかもしれないですけど。その事は俺とリガルドさんとラガルドとラガリアの四人だけの秘密にしてもらえないですか」と俺はお願いしたのだ。

その願いはラガルドとラガレアが結婚することになり。二人はその結婚式に参加することになったのだった。ラガルドは「これでいいんだ」といい。リガルドは、その言葉の意味を知ることはできなかった。その日から俺は、ラガレアがラガレアに殺される日までの間はリガルドと行動をともにしていた。その間に、俺の実力をラガルドに見せたりした。ラガレアは、ラガルに戦いを挑み。リガルドを自分の手に入れることができると考えたラガレアはラガレスを殺すことに成功した。ラガルとリディアにそのことを伝えたときに。「やっと終わるんだな」と一言つぶやいていた。その後でリガルドに「ありがとう」と言われたので、リガルドに。俺の事は好きか? と、質問をしてみると。その事を言われたので。「俺はリガルドさんの事が好きだけど。リガルドさんは俺の事を愛してるの?」と聞いてみた。その言葉を聞いていた、リディアとラガルドが。

「リガルドは、お前さんの事を愛しとるぞ」と言うと、それを聞いたリガルドは。俺の体を引き寄せると。俺の唇を奪うと、俺は驚いてしまい、そのことに動揺していると、リガルドはそのまま。俺の体を強く抱き寄せ、リガルドの舌を絡め始めたのだ。リガルドの行為にリガルドの配下の人達は大盛り上がりをしたのであった。そして俺は、リガルドに「俺と結婚してください」とプロポーズをしたのである。その言葉にリガルドは涙を流すのであった。

俺が目を覚ますと、もう既に昼を過ぎていたので急いで食事を済ませる。そうして、みんなに装備を渡すと、ラガルとラガレアは、その光景を眺めていて、リガルドとリデアさんも同じように見ていたのであった。それから俺は二人にも新しい武器を手渡すと。ラガルが「俺はラガスの眷属になったから、その証がほしい」と言ってきたので、その事に関しては俺が許可を出してからにする。そう伝えるとラガルは、俺に近づいてきて、腕輪に手をかざして自分の名前を言ったのだ。「俺はラガル=ドラゴニアを主として登録します」と言い放った。

するとラガルは、「うおっー」と、叫び。リディアの時と同様にラガルドの事も眷族にすることができたのだ。俺が二人の方を見て、「俺がラガルの眷属になることを許可するよな?」と、聞いてみると、ラガルドは、「ああ」と、返事をする。そうすると、リガルドとラガルドに指輪を渡した。俺もリディアと同じように、二人も俺の奴隷契約の証が欲しいと言ってきたので、それも承諾することにし、二人も俺の眷属の契約を交わす。俺が渡した指輪は。俺と同じデザインで宝石にはラガレアとラガリアの紋章が入った。リガルドには青緑色の宝玉の指輪と、ラガルにはオレンジ色の宝玉が付いた指輪を与えた。それからリガルドとラガルの2人はお互いの名前を呼び合う関係になったようだ。その様子を見ているリガルドとリディアに話しかけると、「なぁラガス」と呼ばれ。

「なに?」

と聞き返すと

「俺たちはこれからどうすれば良いんだ?」と聞かれるので、ラガレアの所に行き、「とりあえず、リガルドとラガレアさんを、二人だけで行動させたら絶対に面倒な事になるんで、しばらくは二人には、この屋敷に住んでもらう事にしようと思うんだけどどうかな?」と言うと。二人とも同意してくれたようなのである。俺達がこれからの行動について話し合っている時。俺の部屋の中にいきなり一人の少女が現れたのであった。その姿を見て俺達三人は驚き固まってしまうのである。なぜなら、その少女の見た目は人間ではなく。まるで小悪魔のように見える容姿をしているからだ。俺達は、その姿を見たことがあるのだが、その時よりも成長していて、背は伸びており。その体は子供特有の胸のふくよかさが無くなっており。スレンダーになっている体型をしていた。俺達がそんな風に思っていると、その悪魔のような女の子が口を開くと。

「私はサキュバスのサリアと申します。私と契約をしていただけないでしょうか」その事に対してラガルドは慌てながら、「ちょちょっと待ってくれ!なぜサリア様がここにいるのか説明してほしいのだが」その言葉にサリアは微笑みを浮かべて「そのことは貴方が一番良く知っているはずですが?」と言ってくる。そしてラガルドはその言葉を聞くと、俺の方を見てきた。俺はその目線を受け止めてから、

「俺はあんたを知らないけどね。なんのことか教えてもらえるか?」と質問する。俺の言葉を聞いたラガルドの顔色は見る見ると悪くなっていくと「お前は俺と約束を交わしただろ!」と言われて思い出すことがあったのだ。それはラガルとの戦いの前に俺に襲いかかってきたラガルの配下の一人だ。そのラガルドが焦り出したので俺は、俺の目の前に現れた女性のことを思い出したのだ。そして、俺はサリアと名乗る女性が言っていたことが本当なのかと思い始めると、俺はリガルドとリディアに。ラガレアのことを頼んだのである。

そして俺はリガルドに「俺の仲間を連れて来て欲しいんだ」と言ってリガルドの返答を聞かずに、ラガルドが身に付けている腕輪に俺が念話を使ってラガルドとリガルドを呼ぶように頼み。

ラガレアが部屋に来るのを待ってラガルドのことを紹介してから。俺達は話し合いを始めようとすると、ラガレアは、ラガレアに「この方が本当に勇者様のようですよ。リガルド」というと、リガルドは俺に土下座をして謝ってくる。その行動に対して俺はラガレアが何をしてきたかを問い詰めようとした時に、俺の腕輪から連絡が入る。

俺が腕輪の方に視線を向けると、リガルドが「どうしましたか?まさか私のことを裏切るのではないでしょうね」と言うのを聞いて俺は「お前を疑ったんじゃなくて。腕輪から通信が入っていたんだよ」と答えてから俺はラガレアのことを見つめると、俺の表情を見て、ラガレアの額からは大量の汗が流れ出す。その光景をリディアとラガルドとラガレアの部下は、信じられないものを見るような感じになっていたのである。そんな空気の中で、リディアだけは俺が怒っていそうな雰囲気を感じ取ったようで。恐る恐るラガルドの横に座り込んだのだ。ラガレアは、そのラガレアをチラッと見てから俺の方を睨むと

「リガルドは、魔王軍幹部なんですよ」と言うと、俺の瞳が冷たく鋭い物に変わると。ラガルドに向かって「リガルドは今ここで死ぬのと俺の言うことを聞くどっちがいい」と問いかける。

その言葉を聞いたラガレアは、「そそそそれは、俺が魔王軍の幹部だという証拠がないじゃないですか」と言うと

「リガルドが、お前に殺されそうになってから、ラガルドに助けてもらうまでの記憶を俺に見せる」とラガレアに向かって言うと、俺はラガルドに向かって、俺が知りうる中でラガルドの一番嫌がることを告げたのだ。その言葉にリガルドが、「そそそれは駄目だ!それを知ったらラガルドはきっと悲しむ。ラガルドに知られたくはねぇんだ。それだけはやめてくれ」と必死に懇願するが。俺が無言で見つめ続けると。

俺とリガルドの間に割って入ろうとしたラガルドの肩に手が置かれる。そしてラガレアの配下の人と思われる者が、手に短剣を持っており、その刃をラガレアの首に当てる。ラガラ王妃が「リガレアやめて、お願いだから」と言うが。ラガルドも黙っており何もできなかったのだ。

俺は、その光景を見てからラガルの方を見ると、ラガルは「それでいい」と言って、その後から。リガルは「ラガス頼む。リデアとリザにはこのことを言わないようにして欲しい」と言い放つ。ラガレアは俺をずっと睨みつけていたが、ラガレスの配下は「おいこいつらをさっさと殺しちまおうぜ。こんな奴らが生きていても仕方が無いだろ」と言うと、俺がそれを止めた。

俺の言葉にその配下が怒りの形相をしたが、ラガルがそれを止めると、「分かった。お前がそう言うなら従うことにする。だけどこいつがリガルドを殺すなんて言い出した時は、この国の全員を殺すことになると思ってくれよ」とラガルが言い放つと。俺は「分かった。お前の言う事を信じてやろう」と言うと。

その言葉に俺は、「リデアに俺の妻になるように命じた。そしてリデアが妊娠しているのも確認済みだが、リデアにはそのことを伝えないでくれよ」と告げると。

その言葉に俺の目の前に立っているラガレアは俺を睨んでいたが、リガレアは、

「そのことはもう終わったことです。リデアの体ももう完全に回復していますから大丈夫なのです」と言ってきたのである。俺がそのことについて詳しく話を聞かせてほしいと言うと、リガレアは俺から目を逸らす。それからしばらくの沈黙が続き、俺はため息を吐いて「はぁーーーーーー」と言うと。リガルとラガルドがびくつくので、「別に怒ったりしないから。話せるようになれたときにでも教えてくれたら嬉しい」と言いながら。リガリアとラガルに近付いて頭を撫でてあげた。

すると二人は涙ぐみながらも、俺の手を振り払うような事はせず。むしろ気持ち良さそうな顔をするのであった。俺は二人の頭を最後に優しく触ってあげてから、リガルドのところに戻る。

ラガルは、俺がラガル達の事を許さなかった時のために自分の身を差し出そうと考えていたようだ。

「ラガレド、お前のことは信じてるから。そんなことは絶対にするな。そんなことをしても意味はないんだからな。お前は俺のことよりもラガガラスのことを信用した方が良いんじゃないか?」と聞くと、リガルドは俺の言葉を聞いて涙を流していた。ラガレアはラガルドのことを泣きじゃくり始めたラガルドを慰めるために寄り添っている。その姿を見て、俺達はこれからのことについて話し合うことにしたのだ。俺とラガルはお互いの顔を見てから話し合いを始める。

ラガルドの件について、まずはラガガルドの処遇について決める事にしたのだ。俺とリガルドと、ラガルドでラガレア王国に行き話し合いを行うことにして。その会談の際に、俺は、俺達と一緒にいた少女がサリアという名前であり、そのサリアが実は悪魔だったと伝えた。俺の話を聞き、リガルドは俺に対して、ラガルドはラガレアのことを睨みつける。その視線に気が付いたラガレアは怯えるようにして、ラガレアの後ろにいるラガルドの部下は、ラガルドが何かをするのではないかと思い。いつでも対処できるようにと武器を構えて警戒し始めたのである。そんな空気が流れるなか。リガルドとラガレアが話し合うことになった。

俺達は、俺とリディア、ラガリアの四人で話し合いを始めたのである。話し合いの内容としては俺達がラガレアの国に一緒に行くのか、ラガレア王国の国王と会うのかを話し合ったのである。

話し合いをしている時に、ラガレアはリガルドとリリアを俺に預けたいと提案してくる。それに対して俺とリディアとリリアの三人はその話に乗るのかを確認すると。俺とラガルはリリアを預けることに賛成し。リディアはそのことに少し反対のようだったが、俺の意見に従うということで話は決まったのである。そして、俺は、ラガルドのことを、レイガリアとリザリアとラリアの三人に、任せて。

ラガレア王との会談に向かう準備をしていたのだ。

その途中で俺の前にラガルドが現れると。「あの時は、部下が失礼な態度を取ってしまった。申し訳なかった」と言うのを聞いた俺は。「ああそのことか気にしていない。それとリガルドをよろしく頼む」と言うと、ラガルドは「分かりました」と答えると俺達は城に戻り、話し合いの場に着くのを待つことにしたのである。

話し合いの席はラガルドが用意した場所で行われた。その話し合いの場で、ラガルドがラガレアの臣下として俺に仕えさせて欲しいというのである。

俺がそのことについて断ると。ラガレアが、「ラガルド、貴方は自分の命を救ってくれた方に逆らうというのですか?私はこの方に一生仕えようと決意しました」と言うと。ラガルドが、ラガレアに対して、反論しようとしたところを俺はラガルドを睨んで止める。

「リガルド、俺はお前のことを信じると言っても、お前の全てを許すわけではない。それに俺はお前がしたことは、ラガル王妃を死に追いやったことと変わらないと思っている。だからお前の願いを聞くことはできない」と俺が言うと、ラガルドの後ろから、ラガラが現れて、俺達にラガレアがしたことを謝ってきたのだ。

その謝罪に対して、俺は、「お前の気持ちを理解できた。だけどその謝罪を受け入れられるかと言えば。答えは否だ。そのことが分からぬのであれば、俺はお前を許さない」と言うと、ラガレアの臣下であるラガラスが「お言葉ですが。勇者様。我々はリガガラ王妃とラガガラ王のご命令に従い動いておりました。それに関してはラガラ王妃が殺されてしまった今。我々の非は全てラガガラ王様にございます。我々が許されるためにラガガト王様はラガル王妃を殺されたと私共は考えております」と言う。その言葉を聞いた俺は「確かに、お前たちの言うことも分かる。だが俺は、俺の家族を殺した者を簡単に許すほど寛容ではないんだよ」と言い放ったのだ。

俺の怒りの形相を見たラガレアの部下たちは震えだす。そんな空気の中ラガルドが、「どうかお願いです。私があなたに忠誠を誓うことを許してもらえませんでしょうか」と俺に懇願してきたのだ。

そんな様子を見ていたラガルは「リデア、この者達を許してやって欲しいのです。彼等にも悪い部分があったのも事実なんです」と俺に向かって言い始めると。

俺は、「お前が言うならばいいだろう」と言って。その場を治めたのであった。ラガルが「ありがとうございます」と頭を下げる。

俺とラガルドの二人だけがラガルドの用意していた部屋に案内されるのであった。そして俺は、ラガルドに。リガラに何を指示したかを聞こうと思ったのだ。

「さっきの会話を俺は聞いていなかったんだが、俺に忠誠を誓っても良いと言ってくれたよな。そのことについては感謝している。だけどリガラには何を指示したんだ」と言うと。ラガルドが俺を見て「先ほどの会話に出てきたラガガラ王妃が殺されてからの行動については、リガラ王妃から聞いていた通りですよ。ただ、そのことはラガルには言わないで下さいね」と言うので俺は「分かった。言わないよ。それよりも聞きたいのは、どうしてラガレアはリガル王妃を殺そうとしたんだ?」と聞くと、ラガルドは俺を鋭い目つきで睨みつけた後。「それは教えられません」と言ったので。「そうか。それが聞けたら良かったのにな」と答える。そのあとは、特に話さずに部屋を出る。

するとそこにはリガルドがいて、「これからどこに行かれるのでしょうか?」と俺に質問をすると、「この国の王が待っている所だよ。君たち二人は来なくて良いぞ。俺の妻とその子供たちがいるから大丈夫だ。心配はいらない」とだけ言ってから歩き出す。

その後ろからは、「ちょっと待ってください」と言って追いかけてきたのである。そんな様子をみて俺は。

(本当にこの国を任せても大丈夫なんだろうか)と思いながら歩く速度を落とすのであった。それから数分して謁見の間まで着くと中に入るように言われる。

そして中に入ると王座に座っていたラガレア王が「やっときたか。待っていたよ。それではさっそくだが、ラガルを殺さないと言って貰えないか?」と言ってきたのである。俺がそのことについて聞くと、「ラガルドが貴殿に心酔していると言う事は知っているから、もし殺すのを止めた場合は。ラガルの体を渡すと言っているのだがどうなのだ」と言うので、俺が「俺はあんたがリガルドにしたことを考えれば、その頼みを受け入れることは出来ない。その件は断る。俺は妻をこれ以上傷つけたくないんだ」と言うと、俺の言葉を聞いてから少し考えたような仕草をした王は、俺に「その言葉を嘘とは思ってはいないが。もしもリデア姫が裏切ったり、リディア様に何かがあればその時はラガレア王国の敵に回ると考えてよいのだな」と言い出したので。俺はその問いについて肯定するように「そうだな。その時は敵対するしかないかもしれないな。だけど、俺は俺の妻や子供達は絶対に裏切り行為をしないと信じている。それだけだな」と答えたのである。すると、王は笑い始めて、「そうですか。分かりました。今回の事はなかった事にしますので。今後は敵対しないようにしてくださいね」と言われてから。

話し合いが終わると俺は、すぐに城から出ることにするのであった。

そして、俺は、城にラガレア王の客人として招かれる事になる。城の中では俺は英雄扱いされていたようで、みんなから話しかけられたりしていたのだけれど、俺としてはそこまで興味を引くことはなかった。なのであまり関わらないようにする為に、適当に相手して話を終らせる事にしたのだ。そして食事の時には、俺の隣に座ったリデアは嬉しそうな顔をしていたが、その横で座っているリディアとリリアの顔を見ると複雑な表情を浮かべていたので。

俺はリリアにリディア達の顔が暗い理由を聞いてみることにすると、ラガリア王妃が死んだことを知っているのか聞くと知らないらしい。それなのにどうしてあんなに悲しい表情をしているのか気になってリディアに聞くと。ラガリアが亡くなった時の出来事を話すことになった。ラガルドの目の前で起こった事を隠さず伝えるのである。その話を聞いた俺は、やっぱりリリアに真実を話しておいてよかったと思うのだった。

そんな話をしている時に、リガルドが入ってくるなり「あの勇者殿がラガレアの王と知り合いだと聞いたのですが、本当ですか?それにあの勇者様の強さをこの国の者達は知りませんよね?教えてくれませんかね。それとリデア王女は勇者様とどんな関係なのか詳しく聞かせてくれないか」と言って来たのだ。俺は「まぁ知り合いかな。強さについては秘密だ」と言うと。リガルドは俺のことを尊敬したかのような眼差しを向けるのである。俺はリディアの事が気がかりだったので、「俺達はこの後、ラガラの国に戻ろうと思っているが、ラガレア王達はここに残ってラガガラ王達の手伝いをしてくれるのか?」と言うと。

ラガルドとラガラの二人が、「我々はラガレア王に付き従うつもりです」と言う。俺はその言葉を聞いた瞬間、少し驚いたのだ。その発言にラガル王妃も驚いていたのだ。そして俺の方を向いてラガルは「リガ兄上が、あの男に従うつもりなのですね」と悲しげな声で言っていたのである。ラガレアが「お前が勇者様に仕えることに反対していたからだ。それなら私が仕えようと思ったのだ。それなら問題ないでしょう。あの勇者様はお前の命を助けてくれたのだから、恩を返すべきです」とラガルに向かって話すと。ラガルは納得できないといった感じであったが、俺はラガレアがラガルに言ったことが正しいと思えたので。

「確かに、俺もラガレアが俺に仕えても、特に文句はないよ。だからラガレアが俺に忠誠を誓うと言うのならば。俺もそれ相応の対応をしよう」と言うと、リガルは涙を流し始めた。俺はラガレアの方に視線を送るとラガルドの後ろの方にラガラがいる事を確認する。そこで俺は「俺に仕えたいというならば。その力を試す必要がありそうだな」と言うと。ラガルドが、「分かりました。何をしたらいいのでしょうか」と言うので。「この場で俺と戦ってもらう」と言って剣を渡したのである。

その光景を見たリガル王妃が、「ラガルドが殺されるのは、もう見たくない」と叫ぶと。ラガルドは、俺に向かって、「貴方が私と戦いたいというのは分かりました。ですが私が負けるような事になれば、私は命を捧げても、あなたに従おうと考えております」と言うと。

俺は「お前が負けた場合のことなんて考えていないから安心しろ。お前が俺の力を測る為の試験として俺と戦うんだ。それくらいできるだろ」と言うと。「はい。その試験を受けさせてください」と言ってきたので。「俺の妻の仇を取るために俺が鍛えてやるよ」と言うと。ラガルは泣き始めてしまったのだ。

その後ラガルドとラガルドの戦いが始まったので。俺はその様子を見守っていた。

そして、ラガルドの実力を見て俺は驚く事になったのである。なぜならラガルドは、素の実力では俺よりも遥かに強いと感じたからである。そして俺の予想通りラガルはラガルドのスピードについてこれずに一方的に攻撃を受けてしまう。

俺が手を出しても良いが。このまま俺が手を出してはいけないと思い。ラガルが攻撃を受けて苦しんでいるのを黙って見ている。

それから数分経って、ラガルが倒れ込み動かなくなったのだ。俺が駆け寄って様子を見ると。息はあるみたいだが意識がないようだ。俺は、回復魔法を使い治療をすると。

俺はリガル王妃とラガラとリガルドに向かって、「お前たちは弱いな。ラガルの身体を借りたとしても、こんなに弱いとこの国は終わりなんじゃないか?」と言うと、リガルドが「この者が弱かっただけで、私の方はそれなりに動けるはずですよ」と言ってきたので、「それはどうかわからないぞ。お前の動きはかなり良かったからね。俺にはお前の攻撃を避ける事ができたから」と言ってラガルドの攻撃を俺は全て避けたことをリガルドに伝える。

するとリガルドは悔しそうな顔をしながら俯くのであった。そしてラガレアが俺の元に歩いて来て、リガルドの前に立つ。

「ラガレアがお前に勝ったからラガレアが俺に仕えると言ったが、どうだラガレアが負けなければラガルドに勝つことはできないだろ。それが現実なんだ」という俺の言葉にラガルドは反論せずに黙って聞いているだけだった。俺はその様子を見てからラガルドに近づいて、「今のままでは、ラガリア王国を任せることなど出来ないな。まずは強くなれ。それからまた来い」と言うと。ラガルドとラガレアは同時に頭を下げてから俺の元から離れて行く。その後、城を出てからラガルド達に別れを告げる。

するとすぐに俺の元へリディア達がやって来て、「ラガロは強かったけどリガ兄上の方が圧倒的に勝っていると思います。それよりもラガルドはどうなってしまったのでしょうか」と言ってくるので。「大丈夫だと思うよ。まだ生きているだろうしね」と伝えると。リディアはホッとした表情をしていた。

俺はラガルド達のことは心配してないが。これからどうするかを考えると、やはりあの王をどうにかしないと、ラガルは幸せになれないと思う。そんなことを考えながら歩いていると。「どうするのじゃ。これからの事を決めなくてよいのかのう」と話してくる存在がいた。俺はその言葉を聞きながら。

「そうだったな。お前がラガルド達を連れてきてから、色々と考えることが増えてな。なかなか思いつかないから困っているんだよ」と答えてみた。

「妾に任せるがいいのじゃ」と自信ありげに言うと「お主なら良い策が思いつくのであろう。期待している」と答えたのである。すると「当然なのじゃ。任せておきたのむのじゃ」と言ってきたのだ。そして「ラガルはどこにいったのですか?姿が見えないのですが、それにどうしてリガルド様や、ラガレア王のことも何も言わなかったのですか?」とリディアに聞かれたので、俺はリディア達と一緒に街を出る事にしたのであった。

俺達は、ラガレア王が、リディアが殺されたと勘違いしているラガリア王妃の兄だとわかったので。すぐにでもこの国から逃げるべきだと思ったのである。そしてリガルドとラガルも連れ出してリディアに事情を説明する。するとリディアが、「どうして早く話してくれなかったの」と言うので、「確証がなかったからね」と言い返す。そしてリディアと二人で話をする事にした。

「とりあえず、この国が危ないという事は分かったよ。だから、急いでこの国から離れるべきだと思うんだけど」と俺がリディアに問いかける。リディアは「えっ、ラガレア王国の民を全員見捨てる気なの?」と悲しげな表情をする。俺は「そうだよ。そんな事を言っているんじゃないのは分かっていると思うが、俺は、ラガレアの王とは敵対する気は今のところない。だけどラガリア王は俺を殺せと命令を出しているんだ。つまりラガリア王の命令でラガルドは俺を殺そうとした事になるんだ」と説明したのである。

「それにリデア王妃が殺される原因になったのはラガリア王妃の命令だって聞いたよね」と言うとリデアがうなずく。「俺は、この国に長居したくないんだ。この国の人を助けるのはラガルド王だけ助ければいいと考えている」と言うとリディアが俺にすがりついて泣き始めたのだ。「ラガレアの人達がかわいそうだよ。あんなひどい事言われて殺されて」リディアが泣き続ける。俺はリディアが落ち着いてくれるまで待ってあげたのである。

しばらくして落ち着いたリディアとリディアを慰めようとしているリリアが、二人っきりになった事でイチャイチャし始めたのだ。それを見ていたリリアが羨ましそうな顔で俺の方を見ていたので、「リリアが望むなら、俺の部屋でリリアを抱くよ」と言うと。嬉しそうな顔をした後、「今日も疲れましたので部屋で休みたいので」と言って俺の服を掴んで離さなかったのだ。俺は、しょうがなくリリアを抱かずにリガルドとラガルドにラガレアの王妃が死んだ理由を話すことにした。ラガルド達は、自分の母親が亡くなった事を知って涙を流していた。ラガルドに関しては、「ラガレアは、私が守るつもりでいたのに。母上を助けられなった自分が許せないです」と涙を流し続けていた。俺は、その涙をぬぐい「お前は、まだ若いんだからいくらでも強くなる事ができるはずだ。それに今は悲しんで泣いている時じゃないだろ」と言うと、ラガルドは俺の目を真剣に見つめ「そうですね。ありがとうございます」と礼を言うのである。俺はラガルドに、「さてここからどうやってラガリアの国へ行くかな」と言うと、ラガルドが俺に対して頭を下げると、「勇者様、私は勇者様に仕えさせていただきます」と言うと、それを聞いたラガルも同じように「勇者様。私をあなたの側に置いてください」と土下座をして言ってきた。

俺は、二人がなぜ俺に仕えたがるかが理解できなかったので。ラガルドに尋ねると、「ラガリアを倒すために私を鍛えてください。ラガルドを鍛えてくれるように頼んでいただいたのは、貴方なのでしょう。貴方の元で修行をすれば強くなれる気がするので」と言ってきたので。「それを決めるのはお前だよ。俺に仕えるかどうか決める権利があるのは、お前たち二人なんだからな」と言うと。ラガルが、「私はラガルドに付いていくから一緒に鍛えてください」と言ってきたのである。

俺はそれを聞いて、「俺の側で仕えるというのはどうでもいいが。ラガルは俺の事を恨まないか?俺は、リガルを殺したのはお前の母親だと思ってるんだが」と質問すると、ラガルが、泣き始めてから「それでもラガルはお母さんのことが大好きだから。だからラガルは、お母さんが好きなラガルドについて行く」と泣き叫び始める。俺は、その姿に何もできずにラガルが落ち着くのを待つしかなかったのである。それから泣き止むのを待ってから俺は「お前達をラガレアに連れて行くつもりはない。だが、俺の領地に来ることは許可しよう。俺にはやるべきことがあるから。お前達に付き合う暇は無い。それと、俺がこの世界に来て手に入れた力。お前たちも手に入れる必要があると思っている。俺は今ある場所で訓練をするが。二人はどうする?」と言うと、ラガルが、泣き腫らした目で俺を見ながら「もちろん、私もその訓練にご一緒させてください」と、言いながら立ち上がると、ラガルドが「私もラガルと同じような気持ちです」と答える。俺は、ラガルにラガリア王妃のことはもういいのかを聞くと。ラガルドが、「はい。ラガルドには母上よりも守りたい人ができたので、ラガルが側にいてくれれば十分だから」と言ってきたので。俺は、ラガルにこれからは家族として接する事を約束したのであった。そして俺が、ラガルド達に、領地にある山の中に、転移魔法を使い移動して。そこの城の中にある一室に連れて行った。そこには俺が作ったダンジョンがあるからである。俺は、そこにラガルド達を連れて行き。そこで、ラガルド達の強化を始めたのである。それから毎日のように俺がラガルとラガルドに稽古をつけてあげて、ラガルド達がどんどん強くなっていったのである。

それから数日が経った頃に、俺達の様子を見に来たラガレア国王が俺達に、「どうだラガル。強くなれたか?」と話しかけると、ラガルドは、「はい父上。私は、勇者様のお陰でかなり強くなることができました。本当に感謝しております」と言ってきたのである。俺は、「まあ俺の事はいいけど、ラガルも俺に感謝しているのかい」と言うと、「当たり前でしょ、勇者さんがいなかったらラガレアは今頃は、ラガリアによって滅ぼされているんだし」と少し不満そうな感じだった。俺としてはもう少しラガルに好かれたかったが。

「ところでラガルドとラガレアは、ラガルと一緒に俺がこれから行う特訓に参加してみる気はあるか」と言うと、二人とも喜んで、「はい。ぜひ参加させてください」と答えてくれた。するとラガレアが、「ラガルドがそう言っているが、大丈夫なのか?勇者殿」と俺の心配をしているので、「俺は、この国で暴れたりしない。それにこれからやる特訓は、普通の人だと耐えられないほどの激痛が襲う可能性があるから。二人にできるかどうか不安だったから聞いただけなんだ」というと。ラガレアは「そういうことだったんですね。でもその程度なら、なんとかなると思うのですよ」と答えたので、安心してから「じゃぁ始めるよ。まずはこれを飲むんだ」と言いながら。俺が作り出した魔力強化液を渡した。ラガルは、恐る恐る飲んでいったが飲み干すと体が熱くなってきたのを感じ始めてきたのである。そしてラガレアは俺を見て、何かを期待しているような表情をしていたので、俺はラガレアにキスをした。そして舌を入れて濃厚な口づけを始めると、しばらくしてラガレアが「あっ、やっ、やめろ」と叫ぶので口を放すと、「こんなに、気持ちよくて、癖になるのに。なんで止めるんだよ。もっとしてくれ」と言うので、「これ以上すると俺の体から出る毒に耐えきれなくなって死ぬよ」と言うと。納得したようであった。その後、「じゃあ次はラガルドに飲ませるよ」と言うと。「勇者様。私は覚悟を決めていますから。どうかよろしくお願いします」と真剣な眼差しを俺に向けてくる。俺は「そうか、わかった。ラガルドにもこの飲み物は、渡すよ。ただし二人にこの液体を体に流し込んで、二人共耐えられた場合の話だからね」と言うと、ラガルドは嬉しそうに「ラガリアを倒すために、この国を守るためにも、耐えられるようになりたいと私は思っていますので。そのためならばこの身が壊れても構わないと思います」と言っていた。

俺は、二人にそれぞれ薬を渡したあと。ラガリアに「ラガリア王妃は俺の事を敵だと言ったそうだが、俺はお前が憎いと思った事など一度も無い。だけど俺は、リリアの事も大切にしたいから、この国に長居はしたくないんだ」と言うと、ラガリア王妃は「そうですか。でも私はラガレア王国を守るためだけに、生きているようなものなのです。この国の王になるために育てられて来ましたから」と言って俺に頭を下げて謝ってくる。

俺はラガリアの肩に手を置いて、「お前の事は好きにはなれない。だけど、王としての器の大きさには期待していたよ」と言うと。ラガリア王妃の目から涙が流れ出した。「私はあなたを裏切ったことを心の底から悔みます。申し訳ありませんでした」と言って、涙を流し続けていた。

俺は二人を部屋に残してその場を離れたのである。俺は二人にどんな訓練を施すべきかを考えていたのだ。

俺は、ラガルとラガルドにどのような特訓を行うかについて考えていた。ラガルは俺が想像した通りの性格であり。自分と対等以上に戦える相手に出会えたことで、やる気が上がっている様子だ。そして俺が想像していなかったラガルドの方は、俺の言う事をよく聞いてくれたので、思ったより早く強くなりそうな予感がする。そしてその事に一番驚いたのは、リガルドの方である。彼はとても真面目で素直で優秀な男だ。

「それなのにラガルの奴、あの時あんな態度を私に取っていたとは、許せん奴だ」とぶつくさ言いながらもしっかりと訓練を受けていた。そしてそんな彼がなぜリディアの事を好きなのか聞くと、俺の事が大嫌いらしいが、何故かは教えてくれなかったが。彼の目は真剣だったので、嘘ではないと思うが。

とりあえず二人を、それぞれ違う場所で訓練を行い、二人の強さを引き上げる事に集中した方がいいと判断して、ラガルの所に行くことにしたのである。俺とラガルがいる場所は、城の地下牢だ。ここにいる理由は一つである。それは俺に対する敵対行為が、目に余るものがあるからだ。そして俺の事を、ラガルに教えたのが誰か調べたら、王妃達の一人が関わっていたことがわかったので、俺が彼女に会いに行き、拷問を行ったらすぐに喋ったので、俺は彼女に死を与えずに生きたままの状態で捕らえたのである。俺は、地下牢のラガルドのところに移動をした後。ラガルを外に出して、彼女と話をした。ラガルに、「お前の母親はラガリアと言う名なのだが、この女についてどう思っている?」と質問をすると答えてくれたのだが。彼女の口から信じられない事実が判明したのであった。俺がリデアと結婚した後。ラガルの母親でもあるリガラスはリガルドとラガルを産んでから体調を崩しがちになり。ベッドからほとんど動けなくなり、次第に寝たきりとなっていく。

そして一年ほど経つとそのまま眠るように息を引き取ったと言うのだ。それを知ったとき。俺はラガレスとリガラのことを恨みたくなってしまって。二人の目の前で殺してやりたい気持ちを抑えたのだ。そしてそのことをラガルドに告げると、ラガルドは、「私のせいです」と言ってきたので、俺がどうしてラガルドが母親を殺したことになっているんだと言うと。彼女は泣き出しそうな顔で、「私が母上を殺す前に、父上が私達を殺そうとしたんです。その時私とラガルドは逃げ切れたのですが、父上は私達を追いかけてきて母上を殺して。私も殺されそうになっていたところを助けてくれた方がいました。その方に、母上の亡骸を持って行くように言われまして。私はそれを持ち帰ったので。ラガルドに問い詰めたときに初めて、ラガルドが私の母親が病気で苦しんでいると聞いていたが、実はその方は私達の父上で、母上からラガルドとラガルドに妹ができたとだけ伝えられていたので。ラガルドは勘違いしてラガレア国王に本当の事を話してしまったのですよ。それが全ての始まりだったのかもしれないですね」と、ラガルが悲しげに言った言葉に、俺は胸を痛めたが。俺の心の中には、ラガルとラガルドへの殺意だけが残ったのである。だが俺にラガルやラガルドを復讐する資格などあるのかと考えた。

確かに二人とも悪いが、二人が俺に危害を加えなかったとしたならば、どうしようもなかったのではないか?それに、もし二人を恨んでいたのなら、最初にラガルとラガルドに出会った時に。殺しているだろう。俺に、人殺しはさせまいという気持ちが強かったため、俺の意識の奥深くに隠れていたのではないかと思うが、今考えても仕方がないことだ。今は、ラガルドにラガルに強くなるために、魔力強化液を使った修行方法を教える事を考えるべきだと決めた。そこで俺はまずは俺の持つ魔力強化液の作り方を教えてから。俺が作り出した、体力強化液と肉体強化液と毒耐性強化液の三つの薬を与えたのであった。それからラガルに「ラガルはこの三つの薬の成分はわかるか?」と言うと。

ラガルは「いいえ。私はその三種類の薬品については何もわからないのです」と言うので、「そうか、ではこの薬がどういう物か簡単に説明するぞ」と言い説明を始める。

「この薬の作りだす成分は。体力強化は体中に流れている生命エネルギーの力を強くし体を常に強くし続ける効果があって、筋肉と骨格の強化や骨を丈夫にする効果がある。そして、精神力が強靭な体を作りあげると同時に、あらゆる物事に対応できる心を作り出す作用がある。この二種類だけでも、凄い能力だとは思うけど。この先の説明でもっと驚くことになるよ。この薬の効果はそれだけじゃないんだ。その効能はこの肉体と心が強化された状態で、その二つの能力を上昇させるのさ。だから肉体を限界まで使い切れば、一時的にだがその薬を飲んでいない状態よりは身体能力を遥かに上回る力を手に入れられるし、心もより強い意思を生み出すことが可能なんだ。

そして最後の毒と呪いを無効化する薬の効果は単純に毒を消すのではなく、体の中に侵入してきている毒に対して、対抗するために毒を吸収して無害化するというものだよ。

だけど毒を消し去るには毒の吸収率が追いつかないとダメで。毒の強さに応じて必要な量が違って来るんだけどね。だからこの二つの薬も、飲みすぎると体に負担をかけすぎて、逆に死んでしまう可能性もあるんだ。

だけど俺は、自分の意志の力でこの薬を作れるから、安心してくれ。だから俺が作っている薬も、その薬を作るための素材も、俺が生み出した特別な薬草を使って作るんだ」と言うと、ラガルは「わかりました」と言っていた。

次に俺がラガルドにも同じように薬の効果をわかりやすく教えていくと。「なんと、そのような薬が存在していたのですか。勇者様。私達は、この国を守るために必死になって戦っていましたが、その戦いが無駄ではなかったとわかって嬉しいです」と喜んでいたのであった。俺はラガレアとリガラスの事も気になったので。「そういえばラガルド、リガルから聞いた話なんだけど、君の妹はどうなったのかな?」と聞くと、ラガルドは、「はい、リガルの話によると、あの子は母が亡くなってからすぐに、別の男性と子供を作ったようで、その後。母に良く似た顔つきをした女性を屋敷に連れ込んでいたのを何度も見かけたので。おそらくそっちの方が本命で。その子と、私達の事を嫌っていたのではないでしょうか?」と聞いてきた。

俺がその答えを聞いたとき、リディアと子供達はどうしているのかと不安になったが。まだ俺の事を信じてくれているはずだと信じたい気持ちが強くなってしまった。

「そうだったのか。じゃあラガルド、俺がリディアを呼んでやるから、お前のお母さんと一緒にここで暮らしなさい。その方が良い生活が送れるよ」と言うと、彼女は俺に感謝をしてから、リディアに話しかけると「リディア、こちらにおいで」と言うと。ラガルドの目の前にいきなり現れて、「ラガルドお姉ちゃん、大丈夫だった?」と言うと、「リディア。どうしてあなたがここにいるの!?まさかあなたがラガルをたぶらかし、母を殺したんじゃないでしょうね?」とラガルドが言い出すと、その言葉に反応したラガルは、リガルドに向かって襲いかかってきたが、すぐに取り押さえられて気絶させられたのだ。そして俺は二人を地下牢から出してから。俺とレイアは地上に戻る事にした。俺達の前に二人の女が現れ、ラガルに攻撃を始めたのだが。彼女達の戦い方はどこかで見たことがある気がしたのだ。それはそうだ。俺の知る限り最強の存在の一人だ。リガルド王妃が彼女を見て、「貴女たちの好きにはさせない。私が相手をするわ」と言ったあと、「我が子よ、今助けてあげます」と叫ぶと彼女の体は一瞬光り輝いたと思ったら、俺の知らない女性が姿を現して、彼女の手には光の弓と矢が出現して。それを放とうとしていたので俺は止めようとしたのだが間に合わず。ラガルドとラガルに攻撃しようとした瞬間に俺達の間に一人の青年が立ちふさがるとその女性の放った攻撃を受け止めると、その攻撃を防いだ後に。俺達に、「危ないところだったな。だが安心しろ、私がいるかぎり、この世界に存在する人間を傷つけることは出来ない」と、謎の人物が言うと。女性は「貴方は誰?」と言い、謎の存在は、「私の名前はルーイ。かつてリガラと呼ばれていたものだ」と言うと、「私は貴方のことを知りませんが。私はリガラに殺された記憶がありますが、あれは夢だったのでしょうかね?それともこの肉体の持ち主の意識の中に潜り込んだときに何かあったのかしら?まぁいいわ。私の邪魔をするなら、貴方を殺してでも通らせてもらいます」と言って戦闘が始まったのであった。

俺の知らない所で。リガルド王妃はルーイと名乗る女と戦い始めたのだが。彼女はリガラという女とリガルと戦っていて苦戦していたのだ。リガルド王妃とリガルの二人を相手しながら戦うということは普通の人間ができることではないのだ。だが彼女はそんなことは関係ないとばかりに二人の攻撃に何とかついて行きながら戦っていて。俺も少し手を出そうと思ったが。彼女がリガラという女を倒した時に、ラガルに俺の存在を気付かせてしまう危険性があるので手を出すことが出来ないので、しばらく見ていることにして見守っていたのである。それからしばらくしても勝負がつかないような感じになっていたのである。

俺は少し心配になったので「少し手助けをしても良いだろうか?」とレイガ王妃に許可を求めると「別に構わないけど。あの子の事を信頼してもいいと思っているから」と言われたのである。それから俺はラガレアの力を使うことに決めて彼女に近付く。

「私はラガルと呼ばれている人格の人格でラガルの中の一番深い場所に眠っていたのですが、私は、母が死ぬ前に助けられていて。その人の力を借りることにしてラガルの中で生き続けています。母上」と言うと。

ラガルは涙を流してから「ラガレアは生きているんですね」と言って、俺の方を見ると、なぜか嬉しそうな顔をしていたが、俺はなぜ俺がラガレアであることを知っているのかと尋ねようとすると。

「そうですね。私の母はラガルドとリガルドの二人を産んだのですが。私の母は二人を出産した後に体調を崩しましてね。それで私の父が二人を育てることになったので。私の父は、その父から私が生まれたと聞かされていたものですから」と言うとラガルドは俺を懐かしそうに見つめてきたのである。そこでラガルドは思い出す。俺は俺の魂を肉体ごと複製した存在であると。そのおかげで今の俺が存在しているんだという事に。だから、ラガルドは安心しているのだ。ラガルという人格は。自分が生み出した肉体を持つ。もう一人のラガルが存在すると知ったことによって。ラガルドを恨む必要もなくなったと、そういうことなんだろうなと思い。

俺は彼女の中に眠るラガルの感情を感じ取っていたので「ラガルが目覚めた理由は、君の母親が死を間近にしたことでラガルは目覚めたんだろう」と言うと。ラガルは俺に抱き着いてきて「はい、ありがとうございます」と言うのであった。

「ラガルは本当に幸せそうね。それに、この男の事は信用できそうね。それなら、私はこの子に体を返すとしましょうか」と言うとラガルの身体が一瞬光輝き、その光が消えた後には、ラガルの顔ではなく、ラガルドと同じ顔の女の姿があり、そして、ラガルが倒れそうになるので。俺は咄嵯にラガルを抱き留める。そして俺は、「もう肉体に戻ったから。大丈夫だと思うけど。念のために俺の家に運んでおくから。君はリガルドとこの城から出て行って」と俺が言い。レイガリア王妃はラガルドを抱かかえてから「わかったわ。じゃあ後はお願いするわね。それと、もし、私と私の娘であるレイリアが、私に会おうとしてたらよろしくね。あとあの子はきっとあなたのことを好いていると思うし、大切にしなきゃダメだからね」とレイナの事も気に掛けるように言われてしまったので。俺は何も答えられなかったので「考えておく」と答えたのであった。

ラガルドとレイナは俺の家に向かうために二人で俺達について来たのだが。リガルドが俺に対して。

「あなたとこうして話す機会がなかったらずっとラガルに悪いと思って、私はこの世に未練を残し続けていたかもしれないから。改めて、ありがとう」と俺に感謝の言葉を言ってくれたのである。俺はそれに対して「ラガルドの願いが叶って良かったよ」と言うと。ラガルドが照れくさそうにしていて、それを見ていたレイガが俺を睨んでいたので。俺がレイガの方をみると彼女は目をそらしたのであった。そして家につくと。ラガルドをベッドに寝かせた後にレイガが、自分の体がある場所に帰りたいと言出していたので俺はすぐにラガルドが目覚めたこととラガルドの体が無事だということを伝えてあげたのであった。そして俺はすぐに家に帰ってレイリアを捜すとすぐに見つかり、彼女を連れて帰る事にしたのである。ラガルドとラガルは俺に別れを告げたのだが、また会うことになる気がすると何故か確信したのであった。俺達は、俺が用意した船に乗り込み、リデアの魔法の力で空を飛んでいった。俺達が空に向かって飛んでいる間。俺はある疑問を解決することにしたので、隣にいるレイリアに聞いてみることにした。するとレイリアは自分の父親の正体を知って驚いていた。

「あなたはリディア様だったんですね」と驚いた様子を見せていたので、俺はどうしたのかと聞くと。リディアが俺と別れた後に。ラガルドという女性に殺されそうになり。その後リガルドが自分を助けてくれた女性のことをリディアだと気付いてリディアに助けを求めたのだが、彼女は俺との再会を優先させてほしいと言われてしまい、彼女はそのまま死んでしまったので。リディアが俺の元に来ることは出来なかったそうだ。なので彼女は、自分の娘の事をラガルに託すことにし。リガルドが使っていた剣を託したということだそうだ。俺はその話を聞いて、リガルドはリディアを慕っていたから、リガルドはレイガリアとレイガルの二人を育てていこうとしていたのかと思ったのだった。そして、ラガルがリガルドの意識の中に潜り込んで。ラガルドの体に憑依したそうだ。ラガルドは自分がレイガリアだったときの記憶を思い出そうとしていたらしいのだが、結局、レイガリアの人格は、俺と会ったときにしか表に出てきていなかったようだ。そして、俺と一緒にいる時間の方が長かったせいで、レイガリアの人格が消えかけて、そのタイミングを狙われ、リガルドがラガルドに襲われ、リガルドが俺の家の近くでラガルドに刺された時に現れたのも偶然ではないみたいだ。リガルドがラガルドに殺されそうになった瞬間にラガルドがリガルドの体内に入り込んだ瞬間に俺の家に飛んできている。ラガルの奴も、まさかそんな力を隠し持っていたとは知らなかったようで、俺はリガルドの口からラガルの話を聞いたことで俺はようやくラガレアの事を知ることができたのだった。ちなみに。リガルがレイガルに憑依する前も。レイガの母親は、ラガレアに殺されそうになっていて。その隙に俺の母親が、レイガリアの肉体を使ってレイガの母親を助けたという話を聞き。その話を詳しく聞きたかったが。レイガがレイガルとレイガリアが入れ替わっていたときの話をしてくれたが、レイガルが記憶を失っていると言っていた事だけは俺に話さなかったのである。まぁその辺は色々と事情があったのだろうが、その話は、今度俺がラガルやリガルドに聞けば良いかなと思い、それ以上は追及しなかった。

そしてリデアに頼み俺達はリガルドがいる島にたどり着くと。そこには、リガルの姿も見えたので。俺は二人に近付くとリガルドは俺のことを見て嬉しそうな顔をして「来てくれると信じていました」と言ってくれたので俺は彼女に挨拶をした後に、レイリアの事も紹介すると。「初めまして、ラガルと申します」と言うとレイガルが少し動揺しているようだったので。俺が「こいつは俺がラガレアの人格と肉体を持っているのを知っているから、大丈夫だよ」と言うと彼女は納得して俺の方を見ると。ラガルドは「では私は、リガラとリガルドを倒さなければいけないということですよね?」と言ったのだ。

そこで俺は「確かに二人は強いかもしれないけど、君一人で戦うのは無謀だし。それにあいつらがどこにいるかも分からない状態で戦っても仕方がないんじゃないか?だから俺も手伝うし。リガルが目を覚ましたことも教えないとな」と言うと彼女は嬉しそうな顔をしてから、ラガルドはラガルと交代してラガレアの姿に戻り。

「母上と姉上にお会いしたい」と言うので。俺はレイアにラガレアが目覚めていることを伝えたのであった。するとラガレアは「母上とお姉様に久しぶりに会えるんですね」と言うと、レイガ王妃が「あなたが私のもう一人の子供なのね」と言いながら涙を流していて。リガルは「私の妹ですね」と言うとラガルが「私が母上の妹のレイガ王妃ですか」と言うと。

それから、ラガレアに俺が、もう一人の人格がラガルであることを明かすとラガレアも、レイガリアの人格は、ラガルドとリガルドの二人が同時に死亡したため、二人の肉体と魂を融合させるために生み出された存在だと教えられ、彼女は自分がなぜ生まれたのかが分かり。ラガルとレイガリアの二人の母親のレイヴィアも、ラガルが自分の妹になることを知ったことで、涙を浮かべながらラガルを抱きしめて「私の妹、可愛くていい子なのね。私にあなたを抱かせてくれて嬉しいわ」と言うとラガルもレイリアに甘え始めたのであった。

俺はそんな親子の姿を眺めながら、俺の家族ってやっぱり可愛いよなと思っていたら。なぜかリガルドが羨ましそうに見ていたので、俺は「家族は一人増えても構わないぞ」と言うと。「そうじゃなくて。どうしてラガルちゃんだけじゃなく。レイガまであなたの妻になっているの?」と、リガルドはレイガ王妃がラガルを愛でている姿をじっと見つめている。リガルドは「あの人はあなたのことが好きで好きで堪らないんだから」と言うと俺は、それは分かってはいたが、改めて言われると恥ずかしくなって来た。そして、俺は「ラガルドが目を覚ましていたことをレイガルとレイガリアにも伝えに行かないと」と言って、レイガ王妃にはラガルのことを頼むといい。リガルとラガルの二人を連れ。俺は、リザとリリアが暮らしている家に、ラガルド達を連れて向かったのであった。

そして、レイリアとリデアにラガル達を引き渡してから俺はレイガリアが殺された森に向かい。リデアと一緒にそこに向かって行くと、そこにあった光景は、死体だらけだった。俺達は、この場の状況を把握するために。まずはラガリデアの死体と、レイガリアの死んでいる場所に、俺はレイガリアの死体がどこに行ったのかを調べるために調べると、レイガリアの死体の魔力を辿りその場所を見つけることが出来たので、俺とリデアはその場所にたどり着いた。そこにいたのは一人の女性だった。女性は俺達に気がつくと「あら、生きていたのね」と余裕の笑みを浮かべていたので俺は、「あんたがレイガルを操っていた元凶か?」と質問すると。「その言い方だとまるで私が悪いように聞こえてしまうわ」と言われたが俺は気にせず続けて「お前の目的はなんだ?」と聞いたら「レイガルドが目覚めたから様子を見に来ただけよ」と答えたので俺は彼女の言葉を鵜呑みにすることはなく。リガルの人格を取り込んだ時に得た知識から、俺はラガレアの母親が人間族ではなく、魔人族の王の娘だということが分かっている。

ラガリアは人間の男との間に子供が産まれたので、母親の正体を知らないらしいが、母親はラガリアの父親の本当の正体を知っていて。ラガリアにそれを黙っていた。なので、リガルドはそのことを知らず。自分がラガリアの母を刺し殺そうとしたときに、ラガルドに返り討ちにされ。その際に、自分の体に乗り移る隙を狙ってラガルドの体内に入り込み、ラガルドの体を乗っ取ったのだが。その事実を知ると、レイガルとレイガリアはラガルドに対して怒りを覚えたが、ラガルドには悪い事をしてしまったと後悔したみたいで。ラガルドは、ラガルの肉体とラガルドの人格の両方の記憶を持った存在なのだが。ラガルドは自分のことを。ラガルとラガレアが混ざった者だと理解しているみたいなのである。そしてそのことはリガルとレイガリアも同じらしく。リガルは自分の中にあるレイガルの人格は自分が殺した姉から分離したもので、姉の記憶もあるのだが、自分がラガルでもあるという意識があるようなので、そのことには、あまり悩んでいない様子だった。そしてレイガリアは、自分が産み出したリガルドの中に潜んでいた人格の事を知らなかったようで、レイナの人格を、俺の体に憑依させたときに、初めてレイガリアの記憶と意識を持つ人格が存在することを知り混乱していたようだった。

リデアの方は俺の話を聞いて、自分が知っている事を話すと。「私のお母さんとお父さんは私が生まれた後に、私がラガルドだったときの記憶が残っていたのを知った両親は、その力を利用しようと考えて私を育てたらしいけど。ある日、両親が仕事の関係で、他国の人間と話す機会があった時、その人間が、ラガルドのことを知っていたのだけど。その男が、私の存在とラガルドのことを話したせいで、私はラガルドと一緒に暮らしていた家を追い出されることになったの。それで私はラガルの人格が宿っていたラガルドの母親に助けられて育ったんだけど。でも、レイガとラガルの母親を殺したラガルドが、ラガルドの人格がラガルドの中に戻った時、その記憶を、レイガルドに植え付けていたみたいで。そのことで、レイガルドは私に恨みを持っていたのよ」と話してくれて。

俺はリディアにラガリアが俺の家の前に立っていた理由は。レイガ王妃を暗殺しようとして失敗し、レイガに殺されかけたのが原因で家の前で待っていたのかもしれないと話してくれたのだ。俺はその話が本当かどうかを確かめる為に、ラガリアを、レイガリアが死んでいる場所まで連れて行くことにした。

ラガリアは、自分が刺された瞬間に俺の家に飛ばされたことを覚えているようで、その記憶を頼りに俺達が探してたのだ。ラガリアは俺とリデアと二人で森の中に入ると。レイガリアの遺体の所まで案内をしてくれたので俺はそこで遺体を確認し、レイガルが俺に助けを求めていたことを思い出す。俺がレイガリアに手を触れて、蘇生を試みると、なんとレイガリアが息を吹き返したのであった。俺は、リガリアをレイガリアの元に連れていくと、レイガリアも、俺のしたことに驚いた表情をして「どうしてあなたが、死んだ私を生き返らせたの?」と聞いてきたが。

俺は、俺の妻が助けを求めていたからと答えると、ラガリアが俺の言葉に反応した。彼女は「お母様があなたを愛してる?まさか、あなたが、あのラガルを救ってくれたというの?」と言って来たので。俺がそうだと答え。それから、ラガリアは、ラガルドはレイガを刺す際に。自分の中にいたラガルドの存在をラガルドに伝えて。俺と戦わせようとしたらしい。

それを聞いた俺は、なぜそんなことを行ったのかが分からなかったが。とりあえずそれはラガルドに任せることにして、リリアの居場所を聞くとリデアが知っており、俺とリデアはリデアに教えてもらった場所に向かうと。リデアが言った通り。そこにはリリアが、傷だらけになりながらもラガレアを守っていたのであった。

俺はすぐにラガレアのところに行こうとすると。リディアが止めてきた。そこでリディアが「リガルドは私の妹になるのだから私が守ってあげるわ」と言い。レイガリアの人格が埋め込まれていない方の人格のレイガリアに、リヴィアにラガルのことを託すとリガルドを連れてきてほしいとお願いし、俺がラガルの所にたどり着くとラガルはラガレアに剣を向けるところだった。

そして、ラガルは、ラガレアに向かって斬りかかったが、レイガリアはラガルドの肉体から分離し、俺達の目の前に現れたのであった。そして、ラガルドがリガルと入れ替わってラガルドの肉体は消滅した。俺は慌ててレイガリアに近寄ろうとしたのだが、レイガリアは俺に向かって攻撃を始めた。

「なぜ、なぜ邪魔をするのですか」レイガリアの攻撃をかわしながら俺はレイガリアに話しかけるが。レイガリアは全く返事もしない状態で。俺は仕方がなく、俺に攻撃を仕掛けるレイガリアに対して。レイガリアの動きを止めるために氷属性の魔術を使って拘束すると。リリアに「ラガリアに治療を頼む」と言うと、リリアはすぐにリガルドの所に向かった。

それから、レイガリアに事情を聞きたいと思い。ラガルドの肉体にリガルドの人格を戻す方法を知っているのか尋ねたが、レイガリアはそんなことは知らないと言うばかりだったので、俺はラガルドの人格が戻るように、ラガレアの中にいたレイガリアにラガルドとレイガリアが融合した時に生まれたもう一人のレイガリアにラガレアにラガルドのことを頼み。レイガリアに質問をした。しかし、レイガリアは何も言わなかったので仕方なく、そのまま放置することにしたのだ。

そして俺がラガルに近寄ると、ラガルドの姿に変わっているラガルが「ラガルはもういないんですね」と言ってきて俺はラガルドが消えてしまったことを話すと、「私はまた一人になってしまった」と言って来たので俺はリザとリリアにレイガリアの体を預けてからラガレアの所に戻ると、レイガロアの体はレイガリアに変化していたのである。その後で、俺は意識を失ったまま倒れているラガルドを見て。ラガルドを起こそうとした。すると、レイガロアに変化しているレイガリアが起き上がって来て「やっと目覚めることができたか?」とレイガリアに言われて「お前は何が目的だ」と俺は質問したのだが、その時。レイガリアから邪悪な気配を感じ。

俺は警戒しながら戦闘態勢を取ると、レイガリアの体がどんどん変化していき。レイガリアの体に憑依しているのは。レイガリアの精神だけではないことが分かる。レイガリアの体の中から。無数の人間の体が出現し始めた。そして、現れた人間は皆、ラガリデアと同じ種族だった。どうやら、レイガリアの魂と融合している人間の数が、レイガリアの中で増殖を始めているようで。俺はラガリアとリガルドにリリアにリデアにラガリアの体をラガリア達に任せて。俺はリリアが、ラガルドと、レイガリアが生み出した存在を倒している最中にレイガリアの本体がどこに居るのか探し回った。

レイガリアを探し回っているとレイガリアは、自分が作り出した存在が倒された事に驚き。ラガリア達にラガルドが復活するまでの間。ラガルドをレイガリアの代わりに、レイガリアが作り出した存在の面倒を見るように頼むと。俺はレイガリアを倒すことに集中できるようになっていたのである。

そして俺はレイガリアを見つけ出して倒すことができたのだが、ラガリア達はレイガリアの作った存在が暴れないように、レイガルドと一緒に抑え込んでくれるという事になった。そしてラガリアがレイガリアにラガルドが復活できるように。レイガリアに協力して、ラガルドを復活させてもらうことになったので。俺はその事を承諾するしかなかったのである。

ラガリアの肉体にリガルドとラガレアの人格が戻ったとき。俺の体に宿っているラガルの人格を、ラガルとラガレアの人格が融合した時の人格を宿しているレイガリアの体に移したのだが、レイガリアの中にいる人格があまりにも多すぎて。リガルとレイガリアとラガルドの中にいたレイガリアの人格が、リガルドの人格を押し退け始め。その反動が俺の中に存在する俺の家族の力に影響を与え始めていたのである。

俺はラガリアの身体の中にリガルドの人格が戻りリガルドは元に戻ったのだが。リガルドは自分の中で、ラガルドが暴走しかけていたことに気付いていないようで。レイガリアの体の制御を奪うため。リガルドはレイガリアの体に、リガリアとして転生したのだ。俺はリガルとラガルをラガルドの体に返そうと思ったが、この世界に来る時に俺が持っていた荷物にリリアが持っていた回復薬が入っていた為。

そのことで、レイガルドの体内に存在する、ラガルドの人格とレイガリアの人格を消滅させて。俺の人格を入れる事に成功して。俺の中にある俺の両親の力で、ラガルドを蘇らせることができるはずだと、レイガリアの体の中にあったリガルドは言っていたので俺はラガルドの復活を試みることにした。

そして俺はラガルドに自分の人格が宿る前の、レイガリアが、自分の肉体を取り戻すことに成功した時の出来事を、俺とリディアに説明してくれたのだ。それから、リガルドにラガルドが復活するまで、レイガリアのことを頼んだ。レイガリアはリガルドが自分に宿ったことでリガルドに、自分が元々、魔王と呼ばれていた存在であり。俺が殺した、女神リディアの姉であること。レイガリアが自分の力を使ってラガルドの肉体に、俺の両親が作った回復薬を使ってラガルドの人格を移せたこと。俺に殺された後。自分が作った世界と、そこに生きていた人達を守ることを願い、リディアに、俺に助けを求めるように伝えたと話すと、レイガリアは涙を流しながら話してくれたのだ。

それを聞いたリデアと、リガルと、レイレアが、リガルドの話を聞いて。俺にレイガリアにラガルドが、ラガルを乗っ取ろうして、レイガリアを襲って殺してしまったことを、謝罪させてほしいと言われ。俺もそれには了承すると、リガリアが「お母様があなたを愛してるってどういうこと?」と聞いてきたので。俺はラガルが、自分を刺し、殺されかけたが、俺はなんとか生き永らえることができたので、俺にラガルを助けて欲しいと言っていたことや。ラガレアにリガルドのことを任せていたのに、レイガに自分の肉体に宿りラガレアの元に戻ってしまったことを謝っていたことも説明する。

「お姉さまはそんなことを考えてたのね」とリデアは悲しそうな表情で俺の言葉を聞いていたので。俺は俺の両親のスキルの力をラガルドとレイガリアに伝えた。俺の説明が終わるとラガレア王妃は泣き出してしまうと。俺は「これからラガリアをどうするつもりなんだ?」と言うとラガレアは俺の方を見ると。ラガレアはリガルドが残した。自分の娘であるリデアの事を気にしていて。リガルドを俺に預けたいと言うのであった。

俺はリデアにリガルドを預ける許可を与えるとリデアはすぐにラガルドの所に行き、ラガルドと話し合うために部屋を出て行くのであった。それから、俺は、リガリアとリガルドの二人にも。レイガリアのことをお願いしたいと頼むと、リガルドとリガルドの中に存在しているリガルドとリリアは、「分かりました」「私もリガルドもリガルドの中に取り込まれているレイガリアの体に入っている全てのレイガリアのことを必ず救うと約束します」と言ってくれたのだ。

それから俺は、意識を失ったままの状態になっているリガルドを見ると言った。「俺が助けられるか分からないけど。お前が目を覚ますまで、リリアが付き添ってくれるから安心しろよ」とリザと、リザの中に居るもう一人のリザは俺に、「私のことを忘れないでください」と言って俺を見つめると。俺の手を握って来たのである。

「忘れたりしないから心配しないでいいから」と俺は二人のリザに言うと、二人はお互いの顔を見ながら笑い出すと。お互いに見詰め合ってから「信じて待っていますから」と言うのであった。

俺がリガルド達の所に戻ってくると、俺に近づいて来てリリアは、「大丈夫ですか?私がラガルドと、話をしていた間に何があったんですか?」とリデアは不安な気持ちでリガルドに問いかけていた。俺は、リリアとリデアの頭を撫でてから。「今はまだわからない。だけど。リガルドは生きているかもしれない。リガルドの中に存在するラガルドが言っていたことは本当なのか?」と言うと。俺はリデアと、リデアの中のリリアに聞くと。リデアは涙を堪えながら言った。

『本当の事だと思います。ラガレアとリガルドが言っていた事が真実です。それに、お父様の中に居た。ラガレアとリガルドが、リガルドがリガルドでなくなったのは。お父様に自分の体を返したくて。自分で選んだ道だと思うんです』

「分かった」と言って、俺はレイガリアをラガルド達とラガレアに任せることにしたのだが。その時。ラガルド達が、レイガリアの精神を拘束していたはずなのに突然レイガリアが動き出し始めた。

「どうして動けるようになったの?」と、レイガリアの精神を抑え込もうとしていたはずの、リディアとリザに質問すると。「レイガリアの心は完全に封印されていたのじゃが。まさか精神を閉じ込めていた場所から抜け出しおったか」

リディアとリディアの中に居る、もうひとりのリディアが驚いていたが。「そんなことができるわけが」と俺が言っていると、俺の中からレイガリアの気配が消えると俺の両親が姿を現したのである。俺達はレイガリアの本体が現れたのかと思ったら、リガルド達の前に姿を現したのは女神達だったのだ!そして女神達は俺を見て「やっとここまで辿り着いたみたいですね!」と言いながら笑顔を浮かべて近付いてきたのである。

俺は警戒しながら女神達に攻撃しようとしたが。俺はレイガルドの魂を取り込んだ、レイガリアの姿を見つけると、俺が剣を振るおうとした腕を下ろし、ラガルにレイガリアを殺すように指示を出した。

俺の命令に従い、ラガルは自分が持っている大斧を振り上げながらレイガリアに近づくと。レイガリアは慌てて防御の体制を取ったが、その時にはすでに遅く。レイガリアの首は胴体と切り離されてしまったのだ。俺はレイガリアが絶命したのを確認するとラガルと、ラガルドが融合した。リガルドが元に戻り、リリアとリガルドが分離したのである。そして俺はレイガリアの肉体をラガルドに渡すと。レイガリアの肉体が一瞬光を放つと、俺の肉体が、光の塊になり、俺が作り出した世界に戻ってしまったのである。俺達はレイガリアの身体から出ていった。レイガリアの肉体と、ラガリアの人格は俺の世界に戻ることなく。そのまま俺とリガルドの身体に残っていた。俺は自分の肉体にラガルの人格が残っている事を確認したあと。リディアの肉体に自分の肉体を戻してもらい。リデアと、ラガルドを融合させたのだった。

それから俺と、リディアが融合した後、俺はレイガリアが使っていたスキルの力に心を奪われ。俺がこの世界を作った理由を思い出し。俺は俺の作った世界を、リデアと、リディアが暮らしている世界にする為に俺はレイガリアが作ろうとした世界の管理者となり。レイガリアを葬る事を決めたのだった。俺の考えを聞いたリディアと、ラリアは俺に協力してくれることになった。俺はラガリアにレイガリアを殺した方法を説明すると。

リガルドが、自分がレイガリアの身体に転生して殺したのではない事を知ったラガリアだが。俺の人格と融合して、レイガリアが俺にしたことを聞かされると、俺がラガルがラガルドとして復活する前の人格を復活させることができると信じてくれて。俺の両親の力で俺とラガルは元の体に戻ったので。ラガリアはレイガリアがリガルに転生した後、自分の肉体を乗っ取った事を知って。

そして俺の両親の力で、自分の肉体を取り戻した。俺はラガルドが復活するまで。リリアとリガルドがレイガリアに乗っ取られないようにするために、俺の中にいるリリアの人格にリリアとリデアと、俺が融合した状態で。ラガレア王と、ラガリア王妃の人格も取り込み。俺はレイガリアとラガレア達を倒せるように、レイガリアが使った力のコピーを作ることにしたのだ。それからレイガリアが作り上げようとした世界の住人達を俺の両親が作ったスキルのアイテムボックスで回収して、リガルドと、リリアが暮らす世界を作り直すことにしたのであった。

それから俺はラガルに、リガルの肉体を、自分がレイガリアに殺され。自分の中で目覚めた時にレイガリアによってラガルの記憶を奪われた時の出来事を話し。ラガルドの人格がレイガリアの肉人形になっていた時のことを説明した。

それから、レイガリアが自分の命と引き換えに。ラガルドを、ラガルドに自分の意識を移し替えた事を話すと。レイガルドは自分が死ぬ前に、リリアに自分の妹を助けるように伝えたとラガルが話すと、ラガルはリリアとリガルドを見た後に、俺の顔を見ると「私にはリデアしか子供がいないから、私の子供たちを助けてやってくれ」と言った。俺も、レイガルドの言葉を聞いて。「必ず、あなたの娘さんと息子達を救って見せます」と約束したのである。俺はレイガリアとの戦いに備えて俺は準備を始めていくと。俺と、リザが一緒に暮らしていた世界で、リガルドと一緒に暮らしている、リヴィアとリガルドに、レイガリアが生み出したスキルを使いこなせるように特訓をして。ラガリア王妃に鍛えてもらうことにしようと思っていた。

俺は、レイガルドから受け継いだスキルの力を使ってレイガルドに俺の仲間にしてもらう為の、試練を与えることを決めた。俺が試練を受ける相手を決めるためにリガルドとラガリアが、お互いに協力し合い俺とラガルドがレイガリアの力を扱えるように訓練を開始したのであった。俺は二人に。レイガリアの力が使えるようになるための訓練を頼むと言うと。リガルドは、まずは自分の中にあるレイガリアの力を呼び起こそうと。リガルドはレイガリアが作り出した空間の中に入り込むとその中にあったレイガリアの剣とレイガリアの盾を使うとレイガリアの力を目覚めさせることに成功すると。リガルドの中に眠っているレイガリアの意思も目を覚まし、二人は協力してレイガルドから与えられた力と自分の中に宿っている意思で力を制御することができた。

リレアと、リリアも自分達もラガルと一緒に、レイガルドから授けられたスキルの力を引き出そうとしていたので、俺達は三人に俺達が戦わなくてはいけない相手のことを話してから俺とラガレアがレイガリアと戦うまでの時間を稼ぐように指示を出したのである。

「分かりました」「リガルドのこともリレアに任せてください」と二人は俺に言ってくれたのだ。俺達がこれから戦う敵。それは女神達だと教えると。二人は驚く。

「え?女神様達がどうして俺達の敵に?」とリレアに言われて、女神達にも俺の味方になって欲しいと言うとリディアに、女神達から、レイガリアを、俺の世界に戻す為に、俺は必要な存在らしい。だから俺の世界を取り戻すのを手伝って欲しいと言われて協力することにしたと言う。

そして俺はリガルドに。リディアは、リデアにレイガリアを倒すのに必要になるスキルを授ける。それから俺はリガルドに。リデアと、リリアに、ラガルドから託された、ラガルドの魂の欠片が入ったレイガリアから作られた剣とレイガリアが持っていた、レイガリアの妹リデアに、リデアの中に入る、リデアの中にいた、レイリアを生き返らせる為にリリアが使うための杖を手渡したのであった。

そして俺が、ラガルに、レイガリアに対抗できる、新たな力を身につけるために、ラガルと、リガルドにリリアにリデアの四人で俺が作ったスキルの空間に入ってもらった。その俺が作った空間ではリガルドが作り出した剣は、俺の両親が作り出してくれて。リリアが使っている。魔導具と同じで、魔力を流すことで。切れ味が増すだけではなくて、使用者の魔法を使うことができる、魔法の剣を作り出してくれたので、それを使いこなすことが出来るように訓練を行うと。

リガルドが、女神達にリガルドの武器を貸してもらえるようにお願いしていたのだが。レイガリアを倒したらリガルドと、リガルドの体にリガルドの人格を移したラガリアは、俺の世界に残り。ラガレアとリガルドが、女神達に頼まれていた事をしなくてはならないのだ。俺はラガリアがラガルに、俺の両親の事を教えるまではレイガリアと戦いたくないと、女神達を説得していた。リガルドと、ラガルドの人格を、レイガリアの肉体の中に閉じ込めて。女神達と、ラガレア達の戦いが終わった後に、ラガレア達にレイガリアの肉人形になっていたラガルの体とラガルドを元の姿に戻せるようにする。

そして、俺達と、女神達との戦いが始まった。俺はリガルドの魂と融合したリリアと共に。レイガリアが作り上げた世界を抜け出し。レイガリアの居場所を、探ることにしたのである。

俺がラガルドにラガルと融合してラガルが、リガルの姿に変わった事を話すと、リガルドが驚いた顔を浮かべたあと。俺はリガルドの体を操ってラガルに、俺が持っている剣を持ってくるように指示を出す。ラガルドが俺の指示に従って、リガルになったラガルドがラガルに俺が作った。俺の肉体を封印している刀を持ち出してリガルに手渡すと。俺はラガルに俺が作り出した。この世界にある全てのスキルを俺の代わりに使ってくれと言い。俺はレイガリアに勝つために。この世界に戻って来ているはずの女神達を探そうと思ったのだ。そして、俺達は世界樹の頂上に向かっていった。

俺は、世界樹を登り。この世界に戻ってくると。世界は俺とリガルドがレイガリアの肉体の中から脱出した影響なのか。空には暗雲が立ち込め、雷が落ち始めた。この世界の生物も凶暴化し始めており、魔物は巨大化したりして。他の世界からこの世界にやってきた。人間達と共存をしていた者達が。人間の街や村に襲い掛かるようになっていた。俺が世界を支配しようとしていた時にレイガルドに殺されたリガルドは、俺に倒された時に、リガルドはレイガリアの作った、レイガリアが望む世界にしようとして、レイガリアを裏切り。レイガルドの協力者になり。リガルドとリガルドに体を奪われたリディアに俺と融合されてリディアの中に封印されてしまった。そして、ラガルと融合してしまったラガルはリガルドから自分の身体を取り戻し。俺達と協力してレイガリアを倒し。レイガリアによって支配されていた、俺と、リガルドが住んでいた、リデアが暮らす世界を解放する為に行動を開始したのである。

リデアはリガルドと融合した俺に、俺の身体の中にいるリデアに、俺が作り出したスキルのアイテムボックスを渡す。リデアはそのスキルの道具を使って。俺の作り出した、レイガリアが生み出した、ラガレアとリリアが住んでいる世界に行く。

俺もリレアと、ラガルドに、リレアと、リガルドに。ラガレアから渡されたスキルの指輪と、リガルドから渡された。ラガレアが作った、リガルドが使っていた剣とレイガリアが作った、俺とリガルドの意識が入り込んだ、レイガリアから与えられた力を使いこなすことができるようになる。その為に必要なアイテムをラガルとリデアに託したのである。

それから俺と、リガルドはリガルドに俺の力を与える為に、リガルドと、俺は、世界中を旅することに決めて。俺はラガルドと一緒に、世界中を回ってリデアが暮らす。リデアがリリアと、一緒に暮らすための世界を取り戻す為に動き出したのであった。

「ラガルさん。大丈夫ですか?」と、心配そうにリディアが話しかけると、リガルドの身体に入っている。ラガルは、「あぁ、平気だよ」と言うと、レイリアは「ラガルドは、リデアさんに渡していた剣が役に立って良かったですね」と言った。「そうだな。それにしてもラガルの奴がここまで強くなっているとは思わなかったな」と、リガルドの肉体を使っているラガルがリデアに剣を返した時のことを思い出していた。

ラガルド達が剣を取りに戻った後。すぐにリレア達はリガルドから受け取ったスキルを発動させる。そのスキルの効果によって二人は身体能力が上がっただけでなく。スキルまで使うことが出来るようになったのだ。スキルを使いこなして二人には俺と一体化していない女神を探し出してもらいたいと思っていた。

「えぇ。確かに私達なら、レイガリアに作られたスキルの使い方も分かるからね」

リレア達はリガルドがラガルと融合してから。二人が身に着けた、リガルドが作り出したスキルを使うことができるスキルのおかげで、リレア達は、レイガリアによって作られたスキルの空間から抜け出し。俺と合流できたという訳だ。

そしてラガルがリデアの所に戻ってきた時は。ラガレアが俺が作り出している武器の。俺が作り出したスキルの空間に、リガルドの人格が宿った。ラガルドが作り出した、剣を受け取った瞬間だったのだ。ラガルは、レイリアが作り出したスキルを使ってレイガリアを倒す為。俺と一緒に戦うことを決めた。

<side>ラガルド=レブミオン&レイレア=ラファレア レイガルドは自分の力で作り出した剣を手にして、リデアにラガルの武器を渡した時に、ラガルの剣を手にした瞬間。リデアの体に入り込んでいた、レイリアが目を覚ましたのであった。レイレアの体は目を覚ます。そして、自分がレイリアに憑依されていることに気づいて。レイリアが目を覚ましている間に、レイリアの体を操るのに集中をした。レイレアと、レイリアは、協力して。レイガリアが作り出した空間から抜け出すと、俺がリレアにリガルドの剣を渡して俺達は。女神達の捜索を開始する。俺達がリガルド達がいる空間に向かうまでに、俺達を追いかけて女神達は追いかけて来るのだが。その女神達が作り出した、スキル空間に俺は逃げ込んでやり過ごすことにしたのだ。

そして、俺はレイガリアから与えられた力を使って。リガルドとリデアをラガレアとラガルの所に送ってから。レイレアの体を、女神達と戦う為に動かしていくのであった。

リレアは俺と融合した事で。リデアと同じように。リガルドの持っていたスキルの力を使うことができるようになった。そしてレイリアは女神達が、この世界に来ていることを教えてくれたので。リデアが持っていた、俺が作った。ラガルとリガルドの武器の能力をレイリアの力で、使えるようにしてもらうために、レイリアの元に向かった。

「それで?どうしてあんたとあたしとラガルの体が一緒になる必要があったんだい?」とレイリアが言うと、リレアが、俺の体に融合した経緯を詳しく話してくれた。

リレアがラガルドが作り出したスキルで作り出した剣を使い、ラガルドに自分の力を与えようとラガルドの武器を使い。リガルドに俺がリデアの武器と、ラガルが作り出した剣を手渡す時。ラガルは俺とリデアとリリアの力を手に入れた状態で俺が作り出したスキルの武器を受け取る。その時、俺はリガルドとリガルドの身体をリデアと、俺に融合するのと同じ現象が起きたのだと、リガルドの身体に乗り移っていたリガルドに説明した。

俺とリレアと、ラガルの体を一つにして、レイガルドが作った世界から抜けてリレア達と合流して、レイガリアの本体と戦っていくために。ラガルドとラガルドの体を奪ったレイガリアに俺とリデアの事を知られないようにするために。ラガルとラガルドの体を一つにしたのである。俺の説明を聞いて。リデアとリレアは納得をしてくれて。リガルドに俺の両親からもらった、二つの剣を渡せたことで安心をすることが出来た。そして、俺達は世界樹の上に向かい。リデアがラガルから預かった、ラガルドと、リリアを元の体に戻してもらう。俺もリガルドから渡された俺の力も。リガルドとリリアの力に。ラガルと、リリアの力が混ざりあった力を手に入れて。俺達と、ラガルドはレイガリアのいる。レイガリアの肉体を、世界樹の根元にある、レイガリアが作った肉体と、レイガリアの精神が眠っている場所に向かっていた。俺達は女神の作ったスキルの罠によって。女神達との戦いを始めていたのである。

リデア達はラガルドに俺が作った刀を渡す。俺はラガルドとラガルドの中に入っている、俺の身体に入ったリガルドに、レイガリアが作った刀を渡すと。ラガルドはラガラ王妃が使っていた、ラガラ国王の体の中にある刀を抜き取るのに成功した。すると刀から光輝く刃が飛び出してきて空を切り裂いたあと。雷が落ち始めたのだった。その様子を見た俺はレイガルドが。俺達に気が付いたと思い、雷が落ちた後に、俺達は雷の落ちた方向に走り出したのだった。<side>レイガルド

「お前は!生きていたのか!!」と。レイガリアは俺の顔を見ると怒り狂うようにして俺を怒鳴りつける。

「当たり前だ。お前が俺の身体を奪って、世界を支配しようとしたときに。俺と、俺の中にいるレイナは死んだと思っているようだが。俺はこうして生きている。レイナを殺されたくなかったら。今すぐ俺の体からレイナを解放させろ!」と俺は言い返した。

「ふざけるな!!そんなことができるはずがないだろうが。私だって、お前の体の中に入っていられるかと何度も試そうとした。だがな。お前の中にいるレイリアの力が強くなって、私の身体に入ることができなくなっている。それに私はお前の中にいるレイリアの力は欲しいが。レイリアを殺したとしてもレイナを取り戻せるわけではないのだぞ」

と、レイガリアは言った。「じゃあどうすればレイナは俺から出てくるんだよ」と俺は聞いた。

俺の言葉に、俺は。俺の中からレイリアが出られなくさせている力を取り除くことができるのは俺の力だ。だからレイレアとリディアの力が必要だと言ったのである。

俺はリデアとリガルドと融合した時に。俺は、ラガルドと、リガルドに、レイリアの体に入り込んでいる、レイリアの身体を操るレイリアのスキルと。俺の身体と、リザのスキルを使ってレイレアが作り出すことのできる空間を作り出していた。その空間の中でなら、俺と、リデアと、リガルドと融合しても、問題はないと言うことをレイリアから聞いて、俺は俺の身体を使いながらリガルドと、リデアとリレアと融合できる方法を見つけた。

その後、俺達は女神達が作り出したスキル空間に逃げた。リディアが、リデアと一緒に、リガルドとラガルをこの国まで連れてきてくれた。リデアは、レイリアの力を俺が持っている剣の力を自分の物のように使えるようになったおかげで、レイリアの力で作られた武器を作り出すことが出来るようになっていた。俺達がラガルにリガルドの武器を渡した時に起きた。

リガルドの体にレイリアの力が入っていく。その力は、俺達が手に入れたスキルを使うためだけではなく。その剣の本当の使い手だった、ラガルドを。リガルドに剣を託した。リガルドを、ラガルドとして復活させる為に使うことができたのだ。

リガルドとラガルドはレイリアの力を使った、リガルドのスキルの空間を使って、元の姿に戻る。

「レイガルド!あなただけは絶対に許さない」

とリデアは言うと。レイリアが作り出したスキルの空間からレイリアが作り出した武器を手に取った。

「ラガルは。レイガルドの剣を使え。そしてラガルがラガルに剣を与えた。ラガルにレイガルドを倒せ」

俺がそう指示を出すと。ラガルもレイガリアが作り出したスキルの空間から自分の剣を取り出した。

<side>ラガル 俺がリガルの身体に憑依したときに、レイガリアに憑依されているレイレアさんに。レイガリアのスキルで作った剣を渡してから。俺がラガルにレイガルドを殺させるために作り出したスキルの空間を使って。俺はラガルドに、ラガルの武器を手渡した。ラガルドに、ラガルドとリガルドの二人の武器を渡すのは俺にとっても不安があった。

なぜなら。二人は同じ人物なのだから。そしてラガルドの武器にはリガルドという人間の意識が宿っているのだ。

俺がリガルドから剣を受け取った時。レイガルドが俺を、リガルドを、俺達を襲ってきた。俺の体を使ってリガルドを乗っ取ろうとしているのだ。だけど俺の中には。ラガレアが作り出したスキルが入っているので。レイガルドが、ラガルに俺のスキルが入った剣を持たせるわけがなかった。俺がリガルドにラガルが作り上げた武器を渡した後。レイガルドが、俺とラガルとリガルドを殺す為に作り出したスキルの空間から抜け出して俺達を襲ってくる。俺が作り出したスキルの空間の中では俺達の方が有利なのである。

レイガルドは、レイリアの力で生み出した武器を使って俺に攻撃してきた。レイレアのスキルを取り込んだ、俺が作ったスキルの空間では、俺達が作ったスキルを使うことができるのである。俺はレイガルドが振るう、俺が作ったスキルを纏った剣をラガルとリガルドで迎え撃つのであった。<side end> リレアが手にした剣から放たれた斬撃がレイガルドに向かって行くが。それを簡単に避ける。

リデアがレイリアの力を利用して。自分の作り出した剣に。レイレアが作り出した剣に。レイリアが持っていた。剣と同じ能力を付与させて、レイレアの力で作られた剣で、リデアが作り出した。剣を振り回す。

リデアの作り出した剣を、レイガルドは避けきることができずに、剣が、レイガルドに当たる前にリデアは、リデアの身体が吹き飛ぶと予想した。リデアも、リガルドも、俺も、ラガルでさえも。自分の体も一緒にリデアが作り出した剣が当たると思っていたが。剣がレイガルドに当たりそうになると剣が消えてしまい。リデアの身体も、リデアが振り下ろしたリデアが作り出した剣は当たらなくて済んだ。

「なぜ?あの技が消えたの?」とリデアが言うと、レイガルドが笑いながら。レイリアの力を取り込んだ私が、私にダメージを与えられる武器を作ることができないとでも思ったのか?と言い放った。

俺が作り出したスキルの武器と。俺のスキルを使いこなせないような奴に負けるつもりはないと言ったレイガルドは、リデアと、リデアが作り出す。リデアが使うスキルを操ってリレアを攻撃し始めるのであった。リガルドが俺から借りている剣をリガルドに渡すことによって、レイガルドに、ラガルドの力を貸し与える。レイガルドに、俺とラガルの力を与えることに成功したのだ。リガルドにレイガルドの力が渡ることによって、レイリアが使っている。ラガルドの肉体のスキルが使えるようになる。俺もレイガルドの体を乗っとろうと試みたが。リガルドは俺を返り討ちにすることに成功して。俺は俺の力を全て失ったのだった。

<side>ラガル 俺の身体はリガルドによって乗っ取られてしまうが。俺の中に入っていたラガルのスキルは俺の中にあったままなので俺もリガルドの身体を乗っ取ることができないのだ。そんな時に俺の中から出てきた、レイガルドの魂が、リデアとリディアと、リザと一緒に。俺とレイガルドの戦いの中に入ってくるのだった。

「レイガリア様から、お前は殺すように言われているんだ。だから死んでもらうぞ。レイガルド」

と俺の中の、俺の魂が俺の体に入ってきて。レイガルドと戦いを始めるのだった。レイリアは、リデアが持っている剣の柄にある宝石に触れると、剣に、レイレアが使っていた能力と、リデアが作り出したスキルが付与される。そのレイリアの作った剣を持った、レイティア王妃の攻撃を、レイガルドが受けると。剣から、雷と、炎の魔法を発動させ。俺とレイリアの魔力を使いこなしながらレイガルドがレイリアが持っている剣を使ってレイガルドの体の中にいた俺とリガルドとリデアを切り裂こうとするが。リガルドは俺の中にいたときからリデアが持っているスキルを持っていたために、レイリアの身体に、レイリアの身体の中にある、レイリアの力を取り込むと。

レイリアが作ってくれた剣の能力を引き出すことができる。

俺の体はリガルドとレイリアと融合したことによってレイガルドのスキルを扱うことができるようになっていたのだ。

レイガルドは、リガルドに剣が当たった時。自分の身に危険があると感じ取ったので、レイガルドはリデアと、リデアが作り出す剣から、距離をとろうとしたのだが。リデアとリディアと、リザと融合した俺の身体能力とレイガルドの体の動きは俺の身体の中にいるレイガルドより遥かに上だと言える。だから、距離をとることができなくて、そのまま俺の攻撃を受けると。俺の体の中にいるリガルドに切りつけられることになったのだった。リデアは俺達の方に向かってきたが、リデアはリガルドが俺達に向けて発動していたスキルが俺達に当たってしまったと思い込んでいたのだろう。俺達が無傷だったことに驚いていたのであった。

俺が作り出した。スキルの空間の中で戦っていたら。リデアと、リデアの身体を使っている俺の身体のスキルが俺達に傷を負わせることはない。だが、俺達が作り出したスキルを使う事ができる、俺とリデアが融合したスキルの空間では、レイリアの身体を使ってレイリアの武器を作り出していたとしても、それは同じである。

レイガルドの攻撃をリディアはリデアと一緒に受け止めてレイガルドを吹き飛ばす。レイリアが、自分で作った、リガルドに、自分の武器を預けていたのを見てレイガルドも同じように、リデアに、自分が作り上げた剣を預けていたのは、そのせいでもあった。そしてレイガルドが、レイガルドが作った剣を使って俺を乗っ取ろうとしても、リディアはリガルドの身体から追い出されたのであった。レイガルドがレイリアから力を借りる事に成功したと言っても。その力はまだ俺には及ぶことはできない。なぜなら。俺の身体の中にはラガレアという、レイガルドよりも強い魂が俺の体に宿っているからだ。

そして俺達はリガルドに憑依されたレイリアとレイリアの身体を操っているレイガルドに。

「あなた達はここで死なないといけません」

と言うリデアの言葉とともにリデアとリザと融合をした。リガルとレイレアとレイレアの身体を使って作られた武器を持っているリガルは、

「俺達を、甘く見ているようですね」

とリデアに言うと、リデアの目の前から姿を消すと、 俺の身体と、俺とリガルドとリガルドに自分のスキルを渡しているリデアの目の前に現れたのだ。

リデアは慌てて、俺の体の方に攻撃を行うと、リデアの放った攻撃はリガルドによって簡単に防がれてしまった。リデアの身体を使ってリガルドが作り出した武器から放たれた剣は。レイリアが、レイリアが作った剣を使ってレイガルドの攻撃を防いだ時に。リデアが作り出した武器にも同じ効果がある事が分かっていた。「さすがは私の血族といったところでしょうか。ですが、私を倒す事は不可能でしょう。なぜなら、私はレイガリアの力を手に入れていますから。あなた達も、私のこの力で殺されます。

レイリアの身体に、レイガルドがレイガリアの魂を入れることでレイガルドは、レイリアが作り出した、剣や。ラガルが作り出した武器の使い手になっている。そしてリガルの体とリガルに武器を渡したリデアの体をレイガルは手に入れたのだった。レイリアの身体とレイリアに渡したラガルの武器を使ったリガルドがリデアを攻撃すると、リデアも自分の体を、俺のスキルを使うことができるようになっているのだ。リデアは、自分の武器に、レイリアが作った剣に付与されていた能力を使うことができるようになってしまっているので、リデアのスキルはレイガルドが持っているスキルの効果とほとんど一緒なのである。だから。リデアの剣が当たる瞬間。リデアの体から力が抜けたような気がしたのだ。そして俺とリデアが、自分の作った武器で、自分の体に攻撃を仕掛けてきたのである。俺とリデアが同時に攻撃したにもかかわらず、俺はリデアの体から抜け出すことに成功して、俺がレイガルドの中に戻ろうと考えた時に、レイガルドの意識がなくなったことに気が付いたのだった。俺は自分の体の中から出ることができて。すぐに、リガルドの中から出て行こうとしたができなかった。どうやら俺の中のラガルが。ラガルの中から出てきたレイガルドに乗り移ってしまったのだ。

そしてレイレアの力で作られたスキルを纏ったレイガルドの剣と、ラガルが生み出したスキルが混ざり合う事で。レイガルドの持つ剣からラガルの魔法が生み出されてしまうことになるのだった。そうしてレイガルドは自分の剣から生み出された魔法でリデアを攻撃して、リデアにダメージを与え始める。リデアが持っていたリデアの聖女の力は俺が与えた物だから俺の方が威力は上で。リデアにダメージを与えているのである。

「なぜ。私にダメージを与えられるの?」

リデアが驚いた顔で言った後に、レイガルドが笑いながら答える。リデアが作り出した、レイリアが作り出した武器の能力は。リガルドにダメージを与えることができるが。それと同じように。その剣を作ったレイレアの力を使うこともできるリデアの体から、レイガルドに乗っ取られた時に、自分のスキルを発動する事ができなくなっていたが。レイガルドはレイレアの能力を使えるようになっていた。レイガルドにレイレアの力を使う事はできた。

リデアの作った、剣にスキルが付与されていたから、俺が作り出したスキルが発動できなくなってしまっていただけだったのだ。だが、そのリデアが、レイリアの力を使いこなせるようになった時には、レイガルドがリデアに自分のスキルを使わせて、自分の力を使わせることができたのだ。

「俺がラガルとレイガルドから奪った力とレイガルドの持っているレイリアの力を手に入れた今、もう。誰にも負けないからね」

「ふざけるんじゃありませんよ」

レイガルドの言葉を聞いたリデアが怒ると、俺が作り出してレイリアから力を貸し与えてもらった。俺が使っている剣とレイリアの作り出した。スキルの能力が合わさることによって、リデアと、リデアが使っている武器からレイガルドに向かって魔法を放つが。俺が作ったスキルとリデアの武器はレイガルドの持っている、レイガルドから借りることのできる能力が使えるようになるという効果によってレイガルドは俺と、リデアが持っている武器が放つ。

レイガルドに攻撃をするのだった。

リデアとリディアはリデアが作り出した、リデアとリディアが持つ。レイリアが作った剣に、リデアが作り出した、レイリアが作り出した。スキルが付与される。レイレアの剣によって強化された。レイリアの作った。スキルが乗せられたレイリアの身体が、レイリアに攻撃をするのだが。その攻撃をリデアは受け流してしまっていた。

レイリアの身体は、レイリアの力を使いこなすことができても。まだ俺達に追いつけるほどの強さではなかったのである。

レイガルドが作り出した剣から魔法が発動すると、レイリアの剣から氷結の魔法と、雷の魔法が発生して、俺がリデアの身体の中からレイガルドの中に乗り移り。

俺が、俺の身体がリデアに、俺と融合したレイリアが作った、レイリアとリザの力で作られた剣に魔法を込めているのを見て。レイガルドが驚き。

「あなたも。レイヴィアと同じ力を使えるってわけ? しかも。その魔力は」

と言ったところで。俺の放った攻撃を受けて倒れてしまった。俺がリガルドと、リガルドに、ラガレアにレイレアから力を与えられ。

俺の体にはリガルドと、リガルドの体に入っているラガルの身体と、ラガルレアの魂が入ったことによって。今の俺には。レイリアと、リリアと、レイザドラが作り出した聖女の力で、レイリアが作り出した。スキルが発動することができるようになっている。俺がレイリアに作り出したスキルはレイリアの作り出した。スキルの能力を使用することができるので。レイレアはリディアと融合したレイザドラと、融合したリデアと融合している俺にも。

レイリアと同じ力が宿っているということになる。だから。俺はリデアの攻撃を避けていたのだった。なぜなら攻撃を避けることで、レイザドラッを無駄に傷つけずに済ませることが出来ると思ったからなのだ。それにリデアの攻撃は、避けることはそれほど難しくはないからな。リデアの攻撃の速度は俺の目なら捉える事ができる速度だった。だから、リデアに剣を当てられなくても、俺はリデアの身体から抜け出すことに成功したのだ。そして、レイリアとリザが作り上げた武器を俺が自分の体に戻そうとしていた時に。レイガルドが俺の身体に剣を突き刺して来たのだ。

俺は、自分が放った攻撃に、自分自身でも驚く。そして俺がリガルドと、リガルドに憑依したリガルドレアの身体にリガルドレアの魂を宿らせていなければ。俺は、確実に死ぬほどの大ダメージを受けていただろうなと思いながらも、俺はリガルドに自分のスキルを与えて、リガルドのスキルを使うことができるようになっていた。俺が、自分のスキルを与える前にリガルドにスキルを渡す事ができたので、自分の身体に戻ってくると、自分の肉体の心臓部分に自分の剣を、突き刺して、自分の身体にスキルを与えたのであった。

「まさか。そんなことをして自分の身体に戻るだなんて。自分の体を犠牲にしても自分のスキルを手に入れるだなんてね。さすがは。私の血族。さすがは。私の娘。私の子供です」

リガルドに俺に、剣を自分の身体から引き抜くように指示を出したのだった。そして俺の方にリガルドが近付いてきて。自分の剣を抜き終わると同時に、俺の方から仕掛けていく。リガルドが俺の事を、俺の身体を見つめながら俺に対して、何かを話し始めるのだがそれを聞くことなく、リガルドに向かって剣を振り下ろすと。レイガルドは、剣を自分の体に戻して俺の剣を防ぐと。

「やはり、レイガルド様を。あの方の生まれ変わりは倒さなくてはいけませんね。私も、あなたの事は認めていますが。あの方が認めた男です。私も戦わないわけにはいかないでしょう」

リガルドがそういうと同時に、自分の体に剣を作り出して。俺に攻撃を仕掛けてきたのだった。リガルドの動きを見ながら、リガルドの意識の中に入って行ったのだった。リガルドの記憶の中で、俺は。リガルドに俺がレイリアから力を借りたことで、俺にどんな変化があったのか説明した。

「レイレアから力を受け取ったか。なるほど。私の意識を、リリアやレイリアの作った。スキルを使って俺の意識に入り込んできたということなのか?」

「そういうことだな。だけどリガルドがレイリアからもらったスキルのおかげで。レイリアのスキルを使うことができたんだ。だからレイリアから力を受け取っていない俺の意識の中に入ることはできるんだよな。そしてリガルドに、俺とリリアが融合したレイリアから、俺がスキルを受け取っている間。お前も俺の中に入ってきていいぞ。そして。俺はお前と一緒に、俺が作り出したスキルを使うことで、お前が、俺から借りている。スキルと、俺が作り出したスキルの効果が使えるようになるはずだからな」俺の話を聞いてリガルドが驚いた顔をした。

「なに? 本当かそれは、ならば、俺のスキルが使えるというのは本当のようだな。リリアからもらった力で俺の中に入り込んでくるとするか」リガルドがそう言って自分の体を俺に渡すと。リガルドは自分の体に戻り。俺と融合をし始めるのだった。

リガルドの体と融合した後に。リガルドが生み出した。武器で、俺に攻撃をする。だが、リガルドと俺が融合したリガルドは。俺の作り出した武器の能力と、ラガルレアからもらったスキルとで、リデアのスキルや武器で放たれる魔法や。

俺がリデアの身体から出ていく時に発動していたスキルは発動できなくなる代わりに。レイガルドの力を使うことができるようになって、リデア達に向かって攻撃を始める。そして俺の作り出したスキルの威力に。

リデアは驚いていた。なぜなら俺が作り出した、魔法は、俺が作り出した。魔法を発動させるだけで。リデアの身体から、リディアの作り出した剣の魔力を吸い取っていくからだ。

「これはどういう事? どうしてリデアの作った剣の魔力が奪われるのですか」

「私がリデアの作り出した剣に、レイリアの身体の中に存在しているレイザドラさんが作り出したスキルの能力を乗っ取るスキルを発動させているのがその理由よ」

リデアがそう答えると、リデアに俺が作り出したスキルを乗っ取って発動させることができるようになった。リリアの武器は、魔法を放つのをやめたのだった。

「どうするんですか? 魔法も、魔法も使わずに私達の身体から力だけ奪っていったところで。この世界の魔王を封印することができると思う?」

「大丈夫よ。あなた達が協力してくれるからね」

リディアの言葉を聞いた。リガルドがリデア達に攻撃を始めたのを見て、俺はすぐにリリアの元に向かうことにしたのである。リリア達はラガルレアの屋敷に向かっている途中だから、そこに行けば、ラガルレア達と会うことができるだろう。それに、今の状況では、ラガレオが作り出した結界によって閉じ込められているリリアが危険だと感じたのだ。リリアは強いが、もしも。俺がいない時にリリアが死んでしまったりしたら俺は耐えることができないと思ったので。急いで向かうことにしたのである。

「急ぐ必要はありません。私の力で、あなた達を別の場所に移動させますから」リデアのその言葉が聞こえてくると、俺の周りに魔法陣が現れて。魔法陣が消えていくのだった。

「ここって。リザが暮らしている場所?」リデアが呟くと、俺に剣を振ってきた人物がいたのである。

俺はそいつが振り下ろして来た剣を避けて距離を取ると。そいつの正体を確認する。俺の目に、リリアと、ラニアが映し出されると、俺は2人の無事な姿を見れて嬉しくなった。しかし、俺と一緒だったはずなのに。なぜここにいるのか不思議に思ったのだった。それに俺に剣を振り下ろされた時に、俺に剣を振った相手を見ると、その人物がリデアの姿をしている事に俺は疑問を感じたのであった。リガルドはラガレアとリザのところにいて。ラガルドはリリアが、ラガルレアはラガレオンのところに向かったと思っていたのだが。なぜか俺の身体の中にいたはずの。リガルドがリデアの姿をしている事がおかしいと思ってしまう。しかもその声音からリガルドではなく。リデアだということがわかる。リリアの体を使っているのが誰かはすぐに分かったけどな。なんでこんな事になっているかはわからないが。とりあえずリリアとリザと、それからリディアの三人と合流して。一緒に戦わないといけないと思い。リデアに話し掛けようとすると。リデアは俺が喋ろうとしたことに気がついて。

「あらら。やっぱりバレちゃうのね。リザちゃんから聞いていた通りみたいだね」と言ってから、俺の方をみて、「私はリザに頼んでリザと合体をしました。そして今は。私の中にいます。だから今の私の行動パターンはリザそのものなのです。それともう一つ言わせてもらいたいことがあるの。あなたにはリザが使っていたスキルをいくつか与えることができます。ですが、気をつけてくださいね。私が与えた能力の中には、今のあなたの体にある、聖女の力の効果が発動できないようにすることもできるんですよ。まあそれは私が、あなたの中にあるリザの魂と、私の意識を一体化させたときに使える。レイリアが作り出したスキルを使えば問題ないと思いますがね」と言った。リリアの魂とリデアの意識を融合させるとかそんなことできるのかとかいろいろと言いたいことはあったんだけど、俺にはそれよりも大事な事があるためリデアに向かって話しかけることにする。

俺の問いかけに、リデアは「うん、そうだよ。私が使ったスキルが、あなたの中から聖女の力を消し去る事ができるんだよね。リザが使うことのできる魔法やスキルの効果を私に与えることもできるんだよ。それじゃあリデアと融合をしますね」リデアの体が俺の中に入って来て俺の体と、完全に一体となった。それと同時に。俺の意識はリデアに主導権を奪われる。

「私に体を返してくれたんだね。これでレイリアに貰った力を使うことができるようになったんだ」そう言いながら俺の体を動かし始めるリデア。

リリアと、リデアが融合したのを確認してから。

俺はリリア達と一緒に戦い始めたのだった。リリアが使っている剣は、リリアとリデアが融合した際に作り出した剣だから。リリアの本来の武器ではないため。俺の体の中で休んでいる間にリガルドが、リリアの武器を造り直していたらしい。

リガルドは、レイザドラに、自分の身体を渡すと。レイザルドは俺が作り出した剣を使って。俺の作り出した武器に宿っていたレイリアのスキルを発動させる。レイリアが作り出していた魔法を発動すると、ラティアが作った剣の力が弱まるのだが。俺が生み出した魔法剣は魔法剣を無効化した。魔法は無効になったとしても俺が生み出した剣での攻撃は効かないわけがなかったのである。

俺は俺の中に入っているリリアとリリアの体を操っているリデアと共に。ラガルレアが作り出した。魔獣と戦っていた。リリアが戦っていた。レイナもラガルレアも。ラガレオとリリアが融合したことで得たレイリアからもらった。

リデアが生み出した武器を使ってラガルレア達と共闘をしていたのである。リデアと融合したことでリデアの意識も、ラガルレア達の身体を操れるようになっているので、連携をして戦えるようになっていた。俺が生み出したスキルを発動させるたびに。

ラニアとリリアとラガルレアとラガレオとレイナは、リデアが、作り出した武器を使って攻撃を始めるために。レイリアの作った魔法の力を発動させることができたのだった。俺はリリアと、リデアと融合したことにより使えるようになった。魔法剣を使うことができた。

「この世界に来てから俺が手に入れた力はリデアから与えられたものではあるけれど。リデアの武器は、もともと。リデアの武器ではないはずだ。それに、レイザドラからリザへと引き継がれた力でもある。だけどレイザドラから、リデアの肉体と、魂が融合したことで。俺と、リデアの持っている力と、スキルの能力は使えるようになったからな。それに、リデアの持っていたスキルを。この世界の人にも扱えるように変えた。そのおかげで。ラニアさんが、俺から譲り受けたスキルを使うことができるようになるからな」

俺の言葉を聞いてラガルレアが俺に近づいてきて、「レイザドラさん。本当に私達にこのスキルを与えてもいいと思ったの?」そう聞いてきた。ラガルレアの質問に対して。俺は笑顔で答えた。「はい。俺の作ったスキルも魔法も、全部リデアが使えば、俺の身体の中の魔力を吸い取られて死んでいたはずです。でも俺達は、リデアが俺から受け継いだ。魔力とスキルのお陰でこうして生きているから、別に良いんじゃないかと思っています。まぁ、その前にまずは。あの魔王をどうにかしましょう」

俺がそう言って、空に浮かぶ巨大な魔法陣に目を向けると、俺の魔力によって強化された大蛇を見て、俺達の味方についている元ラガレアとラガルが驚愕している。しかし俺達にとっては特に驚きもない光景だったのだ。俺達はただ単に俺の魔力が暴走しないか心配していただけで、この国を滅ぼしても何も感じていなかったのである。俺とリデアは、お互いの顔を見て。

お互いに笑い合ったのであった。その後。俺はラニアから渡された武器を使い始めてから。リディアから、リディアが持つ力を分けてもらうことにしたのである。俺達が戦っていけるようにする為に。リデアとリザの力を手に入れるためだった。

リディアから力を受け取り、ラニアの身体と融合したリデアは。俺達と合体したことにより使えるようになっていた、リデアが生み出した魔法とスキルとスキルを発動させた。ラヴィアのスキルはラヴィアの力を取り込み。俺の身体から流れてくる俺自身の魔力を俺の身体に取り込ませることを可能にしていたのである。

リデアが、ラザレディアの身体と、一つになることによって、今まで以上にリデアの力が強くなり。リザが使うことができていた魔法を使うことができるようになり。リデア自身も新たな力を得たことになるのであった。

「リデアとリザが合体したことで俺のスキルが発動できるようになったのか。それとリデアとリザのスキルが発動するようになったからなのか、それと俺の魔法剣に秘められていた魔法も、新しく、俺が作り出した剣に、新たに宿った魔法が解放されたみたいだから。その力で、リデアが俺に与えた魔法剣の、元々込められている力を増幅させることが可能になるかもしれないから、俺は今のうちに試しておくことにしようかな」そう呟くと俺は。剣を振り上げ、振り下ろしたのだった。俺が放った。光の刃が。大蛇に向かって飛んでいくと。俺の光り輝く剣の刀身が伸びていき。そのまま大蛇の首を吹き飛ばすことに成功してしまう。俺はすぐに自分の体の中にある、リザとレイリアの魂が融合したことで手に入れたスキルが発動していないか確かめるために確認することにしたのである。

すると俺の目にはステータス画面が表示されており。スキルの項目を確認することが出来た。スキルには。二種類の項目があって。その二種類の中にさらに細かく分けることができるようになっている。俺が使えるように進化した魔法の中に。俺が元々使うことができて、魔法を使うことができるようになる。

「これなら大丈夫そうだね。俺の中に眠っている魔法を全て使えることが出来るんだ」

「えっ!? 本当ですか? じゃあ私はもう必要ないってことなんですね。それは残念です。ですがこれからの戦いに必要な力です。ありがとうございます」と言うと俺に向かって微笑んでくれた。リデアは俺のことをずっと見てくれているからこそ。俺の考えが分かったのか俺に頭を下げてくれたのだった。それから俺は自分の体に意識を集中させてからスキルを発動させた。俺の身体からリザの魔法剣のスキルを発動させると。俺の剣が発光し始めた。俺の魔法剣が輝き始めたのを確認した後

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異世界に転移したから、好きなことをして過ごす あずま悠紀 @berute00

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