ありがとうKAC! ありがとうカクヨム! ありがとう読者の皆様! そして死ね俺
白川津 中々
■
三月三日。
二刀流。
大谷を意識したのか? 初っ端からメッセージ性を盛り込むのに苦労しそうなお題だった。参考とするため投稿作品を確認してみると、二刀流の剣士的な内容が多く、みんな存外直球で勝負するんだなぁと思った。個人的にファンタジーや時代物は苦手なので現代ドラマ『柏田と東海林のゲルニカ』を書く。無理やりお題に寄せていったような感じがしなくもない。
三月五日。
推し活。
これも難しいお題だった。ねぇよネタが。推しいないんだもん。
でもそこを想像で書くのが創作よねーって思いながら安易にソシャゲ系の話に落ち着く。『推しの見解が運営と完全に不一致で多分訴えたら勝てる』内容は凡夫。凡庸。一般的な考え。毒にも薬にもならない、別に面白いわけでも退屈なわけでもない話。なんだかなぁと思いながら投稿。ネタが浮かばないのを仕事のせいにして就寝。
三月十日。
第六感。
やっちまった。結局俺はこのパターンだ。毎度毎度同じやねん。内容が。引き出しの少なさ。これじゃ誰も救われねーよ。自己嫌悪自己嫌悪。でも、そこそこ面白かった、『最後に愛が勝つとはいうけどもじゃあ愛ってなんですか説明できますかアナタ』
ありがちな展開だけどね。
三月十三日。
お笑い/コメディ。
おいおいおいおい。マジかよと思った。
一回目に書いたやつがそのまま使えるじゃん。あとこれ、お笑い/コメディを題材にしたらいいのかお笑い/コメディ作品を書けばいいのか迷った。迷った挙句できあがったのが、『お前を笑っている人間を見て世界中が笑っているぞ』なんていうひねた暗いものだった。面白いのかこれ読んで。ま、俺は好きだけども、これもこれでありがちだなぁという感は否めない。まぁ、いいか……
三月十六日。
八十八歳。
え? 馬鹿ぁ?
なにこれ? なにをどう書けばいいの? 分かんない。何も分かんない。分かんないからなんかウィルスとか出したろと思って、したらなんかわけ分からんテンションで最後まで書いてもうて、もう、なにこれ? 意味分からんへん。タイトルも『21:00~21:57 THE・報道 広がる米呪。感染拡大は未だ止まらず。』てなんか社会派気取った自称アーティストのような感じになってもうたけど、ほんまに何も考えてへんかってん。もうアカンわこれ。
三月十七日。
焼き鳥。
公式キャラクターのトリさんを焼き殺す話が多いんだろうな~なんて思っていたが、そんな露悪的な事書くやつは多分だいたいセンスないだろうと思って(実際にそういう作品書いた人すみません悪気はないんです何なら作品読ませてください)書かなかった。代わりにちょっとギミックのある小噺めいた作品『焼き鳥屋で一人飲みながら会社の事を思い出して鬱々鬱々』を投稿。でもこんなネタ前回のKACでも書いたんだよな。
三月二十日。
出会いと別れ。
結構いい感じに鬱屈とした少年の青春が書けたような気がするけど作風が俺のまんまで面白みがない。あとストーリーにオチもないのでなんだかなぁと。まぁオチがない話を書くのは昔からなんだけど。でもタイトルは気に入っている。『響く校歌の合唱に俺の声は入っていない』なんか、詩的じゃない? 知らんけど。
三月二十二日。
私だけのヒーロー。
完全に独歩ちゃんじゃん。私のスーパーマンじゃん。ってわけで刃牙的な感じで書いたけどなんか中途半端になってしまった『誰でもよかったなどと言うつもりはない……やるなら、最強の男だ』読み返すと少し恥ずかしい。
三月二十四日。
猫の手を借りた結果。
これは自信作。途中で面倒くさくて色々端折ったけど個人的にKACで書いた中で一番好き。逆にこれがなんで評価されないんやって思ってる。『全然関係ないんだけども、猫の手も借りたいって言ったら「猫には足しかないじゃないですか」なんて笑われて、ちょ、お前マジかぁ……ってなった話する?』面白いやろ? ちなみに最初は追放物を書こうと思ったんだけどいつの間にかナンセンスになっていた。俺には無理だったよ……
三月二十六日。
真夜中。
なんか綺麗な感じで書いたけどこれも思い浮かばなかった。『明けない夜はないとか星は夜に輝くとか言ってる奴に対しては正直うるせー馬鹿としか思わん』お題的にはどんな内容でも書けそう感じだったけど、まぁ、書いてますよーみたいな人の日常を抜粋した感じ。実話ではない。
三月二十九日。
日記。
思いつかなかった。
いや、本当は思いついたんだけど、長くなりそうなのでやめた。だってもう日付変わるんだぜ? 休憩中、仕事終わりに幾つか書いてるし、もういっぱいいっぱいよ。明日も仕事あるし、なんか飲み会もあったような気がするし。というわけで、こんなものを書いた。いいのかこんなもの書いて。作家を目指しているくせにこんなものを世に出していいのか? いいわけないじゃん。じゃあどうして書いたの? 諦めてるからじゃないの? もうなんでもいいやって思っておざなりなもの書いただけじゃないの? そうだよね! だってどうせ無理じゃん! 心の中では諦めてんだろ俺! 俺が小説家になるなんてできっこないって! いつもいつも偉そうにしているくせに辛い事からは逃げてばかりで! その現実逃避の手段が小説ってだけじゃないか! 何かになりたくて! でもなれなくて! だから「作家を目指してます」って言い訳を作ってうだつの上がらない日常を生きてるんだろ! 情けない! いい加減にしろよお前! ちゃんと地に足付けて生きろよ! 同年代の奴は皆結婚してしっかり働いてるんだぞ! 家族のために! それを俺はなんだ! いつまでもいつまでも「あぁ、非正規つらいよ~」って! そんなのお前が決めた道だろうが! 嫌ならさっさと馬鹿な夢を追ってないで真っ当な仕事に就けるように努力するべきだろうが! 馬鹿! どうすんだよこれから! しっかり生きていくのかよ! それともこんな毎日をまだ続ける気なのかよ! もしそうなら……
そうなら……
俺はどうしよう。どうなるのだろう。書く事も分からず、書けるかも分からない。
分からないから、『ありがとうKAC! ありがとうカクヨム! ありがとう読者の皆様! そして死ね俺』は、ここで終わろう。
明日の俺よ、どうか、答えを教えてくれ。
ありがとうKAC! ありがとうカクヨム! ありがとう読者の皆様! そして死ね俺 白川津 中々 @taka1212384
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます