千佳の冒険は『真夜中のスコール……』に繋がったの。

大創 淳

第十回 お題は「真夜中」


 ――そう。今はまさに真夜中のスコール。


 バックミラーから覗かれる、僕らの密会ドラマ。少しばかり、悪い子を演じているの。



 それが証拠に、僕はある男性と会っている。目の当たりにして……


「もっと傍においで。温めてあげるから」


「……ン、硬いの当たってる……それ、危なくないの?」


「すぐ慣れると思うよ。下が……濡れちゃってるね。このままじゃ、風邪ひいちゃうし」


 と、響く会話。鉄筋コンクリートの冷たさが染みてゆく。場所を変えるも、その男性に導かれるまま……スコールも、収まりを見せたのを見計らいながら、歩むの。


 そのバックミラーの所まで。そこは、もうお車。その男性が持ち主だから。……そうであるなら、続きは白い息が消える温かくなった車の中で。僕には彼氏がいるけど、濡れたままじゃ駄目だからって……見られちゃうの、僕の素肌……



 って、いいの? 覆面パトカーの中で?


「背に腹は代えられないでしょ? このままお家まで送ってあげるから、真夜中にジョギングは危ないから。もう少しで千佳ちかちゃん、怖いおじちゃんに連れてかれて、取り返しのつかないことになっちゃうところだったんだから。梨花りかちゃんが、千佳ちゃんがいないって連絡くれたから発見できたけど。もう駄目だよ、真夜中に出歩いちゃ」


 と、善一さんは言ったの。……そう。僕の叔父にあたる刑事さん。しかも近頃は『噂の刑事』となっていた。それに……さっきの硬いものは、棒は棒でも警棒。僕を守ってくれたものだ。少し怖かったけれど、もう大丈夫。……大丈夫。


 お家に帰れば梨花が、ヒシッと抱きしめたの、僕のこと。……叩かれると思っていたけど、とても優しかった。シャワーからお布団まで一緒にいてくれた。


 この度のお題の「真夜中」は……梨花と一緒。


 冷えた体を温める過程の中で……梨花と一緒に、また励んでゆくの。


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千佳の冒険は『真夜中のスコール……』に繋がったの。 大創 淳 @jun-0824

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