明けない夜はないとか星は夜に輝くとか言ってる奴に対しては正直うるせー馬鹿としか思わん

白川津 中々

 深夜0時を回ったところでノートPCを一端スリープ。


 欠伸を一つ、眠い。

 仕事から帰ってきて三時間、軽く食事をしてからずっと机に座ってキーボードをカタカタと鳴らしているが、さすがに限界が近くなってきた。休憩なしの12時間ぶっ続けで勤務してからの執筆。脳の動きが重い。酒を飲んだ次の日くらいに巡りが悪く、思考が右往左往と飛び散っていく。進んだのは2000字弱。てんで駄目。



 いったん一息入れよう。



 俺は薄いジャケットを羽織り外に出て、マンション近くにある自販機でホットカフェオレを買った。春の入り口、深夜の風はまだ寒く、ミルクと砂糖の甘みが染みる。


 ……


 無音の中で考えるのは明日の仕事について。できるだけ早く床に就きたいものだが、この進捗の悪さである。2時は過ぎるだろう。そうなると、眠気で業務が滞り、また休憩なしの残業でカバーして、帰ってからは深夜まで執筆するなんていうサイクルに陥ってしまう。憂鬱だ。


 

 なんで俺、小説書いてんだろ。



 カフェオレで暖を取りながら考える。

 夜はいつも自己否定ばかりで気が滅入る。さっさと寝てしまえばいいのに、話を書かなければ眠れない。金になるわけでもないのに、どうして俺は執筆など続けているのだろうか。夢? 真っ当な人間であればそんなもの捨てて、普通に暮らせるよう努力すべきだろう。くだらない幻を追うなど、無駄の一言でしか言い表せない。馬鹿丸出しだ。




 とはいえ……




「……ま、続き書くか」




 カフェオレを飲み干した俺は、そう呟いて部屋へと戻った。小説の続きを、夢の途中を紡ぐために。



 真夜中の空には、星が輝いている。

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