その結果は? とあるキャンペーンで千佳と梨花は猫の手を借りることに。

大創 淳

第九回 お題は「猫の手を借りた結果」


 ――お昼は、梨花りかと向かい合わせでカップ麺。梨花は赤い狐、僕は緑の狸。



 そしてこの度のお題をチェックする。梨花も僕も同じタイミング。呼吸もピッタリにスマホを見た。……ムムム、というような表情。梨花もそうだけれど、僕もまた……


「ねえ千佳ちか、猫の手も借りたい……とは違うのね。猫の手を……だから」


「猫の手を、フムフム……猫の手をねえ」


 僕は、窓際に寄る。さっきから猫の鳴き声が聞こえていたから。……すると、どうだろう? 見えたのはね、とても大きな猫。何らかのイベント? 大きな猫は招き猫の趣、その隣にはガラポンで賑わう。集えるお客様の列。一等賞は何かな? と、出るお家。


 梨花も、僕も一緒。そのイベントは、本当に近くで行われている。


「あの、何のイベントですか?」と、訊いてみると、颯爽と答える、その大きな猫。


「猫の手を借りて、GOTOトラベルを当てようキャンペーンだよ」


 と、いう具合に。猫の大きさは、僕と梨花の身長を上回っていた。その声は、何処かで聞いたような声で、それでも「えっ、猫が喋った?」と、梨花を共通に驚きの声を放つ。


「うん、よろしい。良い反応だよ、二人とも」


「で、ガラポン回してくれるの?」


「そ、だよ。この度のお題、猫の手を借りた結果……さあ、どうなるか?」


 回す高速回転。ギュルルル……と、スクリューの回るような効果音が、この桜の森の満開な場に轟くの。カラン……と、出た玉は、赤玉。赤い玉、ということは、


「ジャ、ジャーン! な、何と一等賞だ。この強豪たちが集う執筆の場で、堂々たる一等賞を獲得した千佳ちゃん。猫の手を借りた結果は、スーパー銭湯の招待券の獲得だ」


「ねえ、猫さん、何で僕の名前を知ってるのかな? でも、ありがとね。この度のお題のネタ、共有してくれて。とても感謝してるよ、りんちゃん」――すると、頭部を脱ぐ猫さんは、素顔を見せた。そして物申すと「アハッ、わかっちゃったね。じゃあ明日、一緒に行こっ、『風神の湯』へ。三人で、梨花ちゃんも一緒に。それが凛の猫の手を借りた結果」



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その結果は? とあるキャンペーンで千佳と梨花は猫の手を借りることに。 大創 淳 @jun-0824

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