「地球を襲う異星人と戦う」というテーマの話は映画等でも見かけますが、この作品のような切り口の物語はなかなかないのではないでしょうか。
本作では、どうあっても人類は滅亡します。もう確定事項です。
では、残された時間で何をするのか。
物語は、三本のストーリーが絡んで進行していきます。
異星人についての解析をする天才科学者のパート。
家族や友人に恵まれず、厳しい生活環境を強いられてきた男子中学生の過去パート。
そして、軍用車輌で北を目指して進む三人組のパート。
異星人の設定が非常に緻密で、説得力があります。少しも意思の疎通ができない。目的も分からない。ただただ蹂躙される恐怖がリアルです。
攻撃を受けた地球環境の変化も絶望的で、あぁもう本当に駄目なんだなという気分にさせられました。
そんな状況で何をするのか。何ができるのか。
クライマックスからラストにかけて、凄まじく熱い展開でした。
ぜひ、彼らの戦いを見届けてほしい。
すごく面白かったです!!
地球に近づく小惑星。とはいえ天体衝突なんて危険はなく、一部の天文マニアが注目するだけの存在。そのはずだった。しかしそれは、人類に終末を告げる悪魔の星だった。
徐々に地球に近づいてくる謎の天体と、その動向を探る科学者。
それから少し時間は進み、その天文から出てきた侵略兵器により滅亡の危機に瀕する人類と、そんな絶望的な状況の中で生きる少年、退助。
二つの時間軸から、未知の異星生命体に対する考察と脅威、そしてその対抗策を練る様子が書かれているのですが、その過程が非常に濃厚。
宇宙からの侵略者なんて今までフィクションでは数えきれないほど出てきましたが、それらがどんな生体をしていて、何の目的で侵略を行うかは、サラッと流されることも多かったです。
しかし本作の場合、そこを解き明かすというのが、話の主軸の一つ。
広い宇宙で、侵略者はなぜわざわざ地球にやって来て人類を襲うのか。そんなことをして彼らに何のメリットがあるのか。作中でも多くの人達が侵略者の正体や目的に対する予想や考察をしていますが、はたして真実は何なのか。これから本作を読む方々も、読者という立場で考えてみると、よりこの物語を楽しめるのではないかと思います。