「違い」が世界を豊かにしている。

『世界の車窓から殺し屋日記』シリーズの第三弾。
 お話の主人公である殺し屋が、各地での仕事を行いながら、その土地の料理を食べたり、歴史や文化、街の雰囲気なども紹介するという、旅の内容が兼ね備えられています。

 そして今回の仕事の土地はマレーシア。
 主人公が最初に降り立ったペナン島。ここでは香辛料の利いた風味のいい料理を食べつつ、その土地の歴史や文化などにも触れていきます。

 見どころは沢山ありますが、今回気になったのが「マレー人」「華僑」「タミル人」という三つの民族が生活しているという部分。歴史的背景や宗教、文化が違う彼らの生活を主人公の目を通して読むことで、「(国・歴史・文化・宗教・その他の)『違い』は世界を豊かにするけれど、争いの火種にもなってしまう」というのを改めて感じました。

 民族間の対立がなぜ起きるのか。他民族がともにどう暮らしているのか。
 表立っては言いにくい話にも触れてくださっており、読者には大きな学びがあると思います。
 旅をしながら、その地について知りたい方は読んでみてはいかがでしょうか。

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