世界の車窓から殺し屋日記3 マレーシア編
久里 琳
到着・初日 木曜日
第1話 スコール
朝に日本を発ってその日の
外は土砂降りが続く合間に落雷の音まで派手に轟き外に出るのを躊躇うほどだが、迎えに来てくれたポーリィさんは、ああこんなの、と手を振って、
「すぐ止むわ」
と事も無げに言った。
熱帯は来訪者を、その激しい天候で歓迎してくれているらしい。
彼女の言葉通り、車を走らせているうち雨は小降りになってきた。だが雨のおかげか道路は大渋滞だ。二車線の筈の道路には車列が四つ
ポーリィさんは
英国風の愛称を
マレーシアに華僑は多いが無論この国に住むのは彼らだけではない。主流はマレー人ともブミプトラとも呼ばれる在来の民族で、華僑が二十パーセント強在るほか、印僑(インド系の人々)が十パーセント弱を占める。三民族が同居する多民族国家なのだ。これがマレーシアの文化を豊かにし、社会や政治経済に多様性と複雑性を生んでいる。強みにも弱みにもなるその特徴を、如何に活かし如何に超克するかが、マレーシアの発展の行方を決める鍵になるだろう。
同時に
市街地を抜け海岸沿いの道に車を駐めて、人々で
雨が上がったばかりで、足下はまだ
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