あとがき
この作品は私の夫の実体験が元になっています。若い頃、俳優を目指していた夫は「もし自分が映画を撮るとしたらこんな話を撮りたい」と言っていたので、そのアイデアを私が貰う形でこの作品が完成しました。
夫は破天荒な父親の元で育ちました。三人兄弟の末っ子ですが、その中で顔も性格も一番父親に似ているそうです。父親は夫が若い頃に病気で急逝したので、私は会ったことがありません。しかし、夫から当時の話を聞き、かなり波乱万丈な人生を送っていた人だったんだなと思いました。父親に家族、親戚全員が振り回され散々な思いをしたそうです。そのため、父親が生きていた頃、一家はとても大変だったと言っていました。昴がトラウマになっていた暴力事件も実は夫の実体験です。(父親のお金の使い道など一部はフィクションですが)
また、夫は旧車(クラシックカー)が大好きで、作品のキーとなっている「黄色い車」も夫が現在所持している古い愛車がモデルとなっていて、私も助手席によく乗ります。1970年代に発売された希少価値のある車だそうです。(その他詳しいことはよく分かりませんが)一方、カーナビが案内する場所は私の思い出の場所がモデルとなっています。名前や細かいところは若干違いますが、峠と喫茶店は神奈川県、公園は北海道に存在しています。
夫は性格も歩んで来た道のりも私とは全く正反対の人です。夫の思い出話を聞いていると「本当にそんなことあるんだ」とか「そんな人がいるんだ」と信じられないことばかりでいつも驚かされます。特に暴力沙汰なんて私は体験したことがないのでリアリティのある描写にとても苦労しました。が、今後様々なジャンルの作品を書いていく上でとても勉強になったかなと思っています。(当たり前ですが、暴力を肯定している訳ではありません)
残念ながら新人賞には落選してしまった作品ですが、ここで日の目を見ることができて良かったです。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。
黄色い車が教えてくれたこと 星名雪子 @hoshinayukiko
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