第1話 転生先は公爵家でしたが、問題があるようです

 凌馬は、目を覚ますと母親であろう女性に抱かれ、おっぱいを吸っていた。


 おっぱいを飲みを終わるとキョロキョロして部屋を見回した。


 部屋もかなり広いし、母親もいい服を着ている。

 メイドなどの使用人もいるから貴族の家に生まれたのだろう。


 そんなことを考えているとお腹いっぱいになったことで、睡魔が襲ってきてそのまま寝てしまった。


 改めて目が覚めると部屋には自分以外に誰もいなかった。


 自力で起き上がったり、寝返りをうったりはまだできないが、物音も話し声も聞こえないので、俺が寝てしまったから皆、退室したのだろうと思ってそう結論づけた。


(やっとお目覚めですか)


 急に自分しか居ないはずなのに頭に声が響いてきた。

 自力で体を自由に動かせない俺は視界で見える範囲だけを確認したが誰も居ない。


(そうでしたね。赤ん坊はまだ自由に体を動かせませんからね。

 私、ミカエル神より凌馬様……現在はカイン様ですね。カイン様のサポートするよう命を受けております。サポート天使のリリーと申します)


 突然、目の前に真っ白な羽のある小さな人形サイズの天使が現れ、そう説明された。

 そして転生した俺の名前はカインらしい。


(サポート天使ってことは、知りたいことを教えてくれたりするのか?)


(はい。その通りです。因みに自然に使われていますが、カイン様が私とやり取りしているのは、念話というもので、声に出さなくても意志疎通が取れるものです)


 なるほどね。だから頭に響く感じなのか。

 能力的なものは、あとで確認すればいいチートであることは間違いないからな。

 まずは生まれた家についてだな。


(リリー、俺が生まれたこの家について教えてくれ。

 貴族だろうことはわかるんだけどな)


(かしこまりました。カイン様がお生まれになったこの家は、世界に七つある大国のうち最も力を持ち、繁栄しているアメストリリー王国にあるマーベルク公爵家です。

 カイル様はそのマーベルク公爵家の嫡子でございます)


 世界一の国の公爵家か。とてつもなく高位な家に生まれたもんだな。

 しかし嫡子ということは、跡取りだろう……前世一般人の社畜だからな。領地経営とか出来るわけないし、面倒臭いな。


(因みにマーベルク公爵家はどうなんだ?問題があったりする?)


 公爵家だから王家の血を引いている王位継承権を持っている。


 そして王になることが可能なので、王族に反旗を翻すつもりでいたりすると厄介だ。


 成功すればまだしも失敗したら、連座で俺まで処刑されることになる。


 折角、転生したのに処刑されて、第二の人生終了とか絶対に嫌だ。



(そうですね。カイン様の母親であるシシリーと使用人たちのお陰で、領地経営はかなりうまく行っておりますが、マーベルク公爵家の当主。カイン様の父親のユダ・フォン・マーベルクは、入り婿ですが王弟で謀反を起こし王位を狙おうと計画中ですね。

 今はマーベルク公爵派という派閥をつくり始めたところですね。

 謀反を起こすのは、計画では一〇年後くらいを予定しているようですが、能力的にイマイチなので失敗するでしょう)



 俺の転生先であるマーベルク公爵家について、サポート天使のリリーに教えてもらったが、領地経営は母親や使用人たちのお陰でかなりうまく行っているらしい。


 しかし王位に着くために謀反の計画を立てているかなり問題のあるな。

 しかも入り婿だけど王弟で、謀反も失敗ほぼ確定ってヤバすぎだろう。


(リリー、スキルとか使える魔法の属性とかステータスを隠蔽できたりするのか?)


(はい。隠蔽魔法を使えば可能です。でも鑑定スキルの上位スキルであるステータス看破を持つ者には隠蔽していてもバレます)


(因みに父親はそのスキル持ってないよな?)


(持っておりません。国王は持っておます)


 隠蔽できるのは助かる。あとは父親の前で魔法とか使わないようにしよう。

 なんなら魔法適正なしくらいまで隠蔽してしまおう。


 前世で幸せだったが、働き詰めだったから今世では、スローライフを送りたいんだよな。


 生まれた家にというか当主に問題もあるから、チート能力を隠し、弟をつくってもらって俺を公爵家の跡取りから外されるように仕向けよう。


 母親や使用人たちは有能だから弟の性格やでき次第だけど、父親を追い出しマーベルク公爵家は弟に任せよう。


 弟が父親と同じタイプなら母親と使用人たちを説得して、俺たちがマーベルク公爵家を出よう。


 とりあえず華織と一緒に幸せなスローライフのためにも連座で処刑だけは回避しないと、どうせ父親を説得することは不可能だろうからこの二つの案で行進めていこう。


 一〇年以内にうまくやらない連座で処刑がほぼ確定しているから頑張らねば。


 そして話を聞き終えた俺はステータスを確認してからステータスの隠蔽作業をした。





 ステータス


 名前:カイン・フォン・マーベルク


 年齢:〇歳


 魔法属性:(隠蔽中:全属性)


 スキル:(隠蔽中:ステータス看破、物理攻撃耐性、魔法耐性、状態異常耐性etc.)


 称号:マーベルク公爵家嫡子(隠蔽中:転生者、姉妹神の前世の父親、武器を極めし者、体術を極めし者、魔法を極めし者)

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転生者はチート能力隠してスローライフ希望 紅 蓮也 @-T2Ya-

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