転生者はチート能力隠してスローライフ希望

紅 蓮也

第0話 神様に殺され死にましたが、転生できるみたいです

 三枝凌馬は、四十代の働き盛りで、仕事は毎日忙しく大変だったが、四つ年上の美人な妻と二人の子供に恵まれ幸せ一杯だった。


「お父さん。連休取れてよかったね。久しぶりの家族旅行楽しみだよ」


 そう言ったのは、助手席に座る長女の華織だった。


 妻の紫織と次女の弥生は深夜の出発だったので、後部座席で寝ている。


 華織が言った通り、久しぶりき三日間の休みが取れたので、家族四人で旅行に出掛けることになった。


 深夜の空いている高速道路を俺が運転して車を走らせていると突然、目の前が光に包まれた。


「何だったんだ。さっきの……それにここはどこなんなだ?」


 気がつくと何もない真っ白な部屋にいた。

 そして周りを見ると近くに妻と娘二人が倒れていた。


「おい!三人共。起きろ。おい!」


「お父さん。何?まだ眠いんだけど」


「凌馬さん。私も眠いわ」


「お父さん。私たちどうなっちゃったの?」


 俺は、三人の体を揺すって起こした。

 妻と次女は寝ていたこともあり、まだ眠いと抗議してきた。


 起きて光に包まれたのを知っている長女は、周りを見渡し車の中ではないとわかり、自分達がどうなったのか聞いてきた。


「俺にもわからない」


 車が光に包まれて気がついたら真っ白な部屋に居たのだ。俺が説明してもらいたいくらいだ。


「大変、申し訳ありませんでした」


 突然、謝罪の言葉と共に土下座をしている全身、真っ白な服装の青年と怒った顔をしている真っ白な着物を着た女性が現れた。


「えっと……謝罪してくるってことは、現状の原因はあなたという事でいいのですかね?

 とりあえず、頭を上げて説明をしてもらえますか」


 いきなり謝罪されても意味がわからないので、謝罪してくるということは、光に包まれ、この部屋にいる原因は彼なのだろうから説明を求めた。


「はい」


 頭を上げた異世界の神様だという青年は、顔がアザだらけで腫れていた。


 正座したまま説明をし始めた青年によると、彼は異世界の神様で、怒っている女性は地球の神様らしい。

 ここは異世界の神様だという青年の部屋ということである。


 そして車が包まれた光は神様である彼が放った物であり、神の滅光というらしい。


 愚かな行為をしていた者に神罰として死を与える神のみが使える技で、その技を放とうとしたら、くしゃみをしてしまい、照準がずれて、異世界である地球の私たちの車に当ててしまい私たちは死んでしまったということらしい。


 地球の神様である女性は、異世界の神様である青年が自分が管理している地球の人間を殺し、迷惑をかけられたことに対して、怒鳴り込んできたて、彼の顔をボコボコに殴ったらしい。


 俺たち家族に謝罪する必要もあるので、俺たち家族は、異世界の神様である彼の部屋に招かれたということだ。


「それで……生き返らせて元に戻してもらうことは可能ですか?」


「それは不可能です」


 神様のミスにより突然家族四人で死んでしまったので生き返らせてもらえるか聞いてみたが無理だと地球の神様が答えてくれた。



「しかし異世界になりますが、私が管理する世界に転生させることはできます。

 勿論、迷惑をかけたお詫びに色々と転生特典をお付けします。

 若しくは、私が管理している世界は、ツクヨミ様が管理する地球と違い、神が不足しているので私の世界の神になってもらうことも可能です」



 地球で生き返って元の生活に戻ることはできないけど、異世界に転生するか異世界は神不足だから神になるか選択しろということか。


「異世界は、魔法とか使えたりするの?」


 妻である華織が異世界の神様に質問をした。


「はい。私の管理している世界は、神不足もあり地球より発展してないものなどもありますが、魔法が使え、ドラゴンなど魔獣も存在する世界です」


「じゃあ、私は転生するわ」


「私は神様になる」


「私も」


 妻は転生を二人の娘は神様になることを決めた。


「紫織と弥生は何で神様になることにしたんだ?」


 妻の華織は、異世界モノのラノベなどが好きなので魔法が使える世界に転生すること選ぶだろうと思っていたが、娘二人が神になるという選択理由がわからないので聞いてみた。


「私は、転生すると色々と転生特典付けてくれるみたいだけど、そうすると目立って面倒なトラブルに巻き込まれそうだからかな」



「私は、異世界モノのラノベや小説だとみんな転生しちゃうけど、選べるなら神様になるのもありかなって思ったのと神様のミスで死んじゃったけど、神不足で困っているなら手伝うのもありだと思ったからかな。

 あとお姉の言った理由に同意だね。実際に自分が転生するとなったらトラブルに巻き込まれるのは嫌だしね」



 紫織の言うとおり、特典はありがたいが普通の人が使えない魔法がつかえたりとか目立つだろうからトラブルには巻き込まれそうだな。


 弥生は華織に似て異世界モノのラノベ好きだから転生を選ぶと思ったが、死んだ原因である神様が困っているなら手伝いたいから神様になるなんて優しい子に育ったな。


 俺はどうするかな……


「よし決めた。俺は転生にする。そしてまた華織と出会い結婚して幸せな家族をつくる」


 悩んだ末に転生を選び、異世界に転生することにした。


「まあ!凌馬ったら……それもいいわね。でもお互いの転生先が遠く離れた国だったり、敵対国同士だったりするかもしれないわよ」


「敵対国同士だと難しいかもしれないが、離れているくらいなら必ず華織を見つけ出すさ」


「まあ!嬉しい。楽しみにしているわ」


「お二人が盛り上がっているところ済みませんが、同じ国に転生させることもできますよ」


「「それでお願いします」」


 俺たち夫婦は提案に声を揃えてそう答えた。


 だって同じ国に転生できるならその方が出会うのが簡単だろうからな。


 という事で俺たち夫婦は転生、娘二人は神様になることに決まった。


「凌馬、華織。このアホエルが迷惑を掛けたけど、転生して第二の人生を楽しんでね」


「ツクヨミ様。アホエルは酷いです。僕の名前はミカエルですよ」


「そちらの世界の創造神たちが引退して、筆頭天使長だったあなたが跡を継いだけど、継いで早々、異世界に迷惑掛けたんだからアホエルで十分よ」


「「お父さん。お母さん。転生しても幸せにね。私たちも二人が出会って結婚して、私たち家族みたいな幸せな家庭を築くのを楽しみに見守っているからね」


 地球の神様ツクヨミ様と私たち夫婦が転生する世界の神様であるミカエル様が言い合いをしている中、娘たちが俺たち夫婦にそう言ってくれた。


 神様となる娘たちが見ているのだ。絶対に幸せな家庭を築かねばと心に誓った。


「じゃあ凌馬さん、華織さん。転生させますね」


 ミカエル様がそう言うと私たち夫婦の体が光に包まれはじめ、視界が真っ白になった。

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