『別人』

まだ、やれることがあると叫ぶ。だけど体は答えない。いや、答える気がない。社会は言い訳をくれる。それに身を委ねると人は、多分、死にたくなる。けれど少し耐えれば慣れて心地良くなる。しかし、その心地よさは、長くは続かない。いつしかまた、苦しみを覚え、また慣れる。繰り返してくうちに、限界は来る。その時、より苦しみにいる人を糧として生き始める。そうでしか生きれなくなる。これは、仕方がないことで、誰も咎められない。気づけばそうなっていた、その程度のものだ。仕方がないのだ。

まったく、なんとも人にふさわしい罪なんだ。しかし、この罪に生かされているのも事実である。

誰にも咎められないこの罪は、確実にその一歩を歪ませる。それでいいのだ。

ふとした時に、その罪に気づく。いや、気づいてしまう。誰しも、それに気づいた時には戻れないと感じてしまう。ほんとは飛べるしワープもできるのに。信念が、理想が、『自分』が、足枷となってその場にとどまらせる。これは、耐え難い苦痛のはずなのに、誰もが平然と生きている。そんな人たちを尊敬し、褒め称えたい。


私は、そうはなりたくない。

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