トリさんと契約して、魔法作家となったフェニックスの千佳。

大創 淳

第六回 お題は「焼き鳥が登場する物語」……ちょっとしたチート能力。


 ――それは、もしかしたら、世界で一番に小さな能力かもしれないと思えるの。



 その能力は、トリさんと契約した日から始まった。


 とある小説サイトの『書くと読む』……僕は、星野ほしの千佳ちかは、自らが執筆したものを世に広めることができる、その様な能力を。それはある意味、不死鳥のように蘇らせることのできる大いなる能力にも思えるの。きっと、そう、きっと……


 トリさんが焼き鳥になる、その魂は不死鳥へと通ずるの……


 その魂が、宿る。我が心、執筆へと駆り立てるのは、そういうことなのだろうか? その心を知るために、我はKACに挑んでいるのかもしれない。まるでまるで魔法少女になるための契約のように。トリさんは、可愛らしいマスコット。もしも着ぐるみがあるのなら、僕はその中に入ってみたい。或いはそれこそが変身した姿なのかもしれない。



 物語としてはね……


「僕と契約して、魔法作家になって悩める世の中を一緒に救ってほしいんだ」


 と、声を掛けられ……誰に? 周りを見渡すも人の形をしたものはなし。じゃあ、トリさんのようなマスコットが喋ったとでもいうの? サーッと血の気が引く僕……


 夏まで待てない怪談物語? そう思いながらも僕は声を掛ける、そのマスコットに。


「君は何? 世の中よりも今は、僕自身が悩みの渦中。小説家の世界は厳しいの、コンテストに中間も通らなくて。一作品だけではなく何作品も……そんな僕に何ができる?」


「なら、燃やしてあげるね、僕と一緒に不死鳥になって……」


 ……えっ? 次の瞬間燃えちゃうの。


 待ったなし。躊躇する余裕もなく、服は焼け溶けて露わになる裸体……僕という一人称でも、僕は女の子で、露わになる裸体は正真正銘な女の子で、恥ずかしさも超えた時、一体感を得た。その姿は、まさに焼き鳥。燃ゆるトリさんなの。すると漲る輝き。僕は不死鳥のように、そのやる気が蘇った。それが契約の証で、僕はKACに挑んでいる。


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トリさんと契約して、魔法作家となったフェニックスの千佳。 大創 淳 @jun-0824

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