人類にとって最も恐ろしいのは――

この作品を拝読し、それは『時間』なのではないかという結論に至りました。
技術躍進で病気も争いもなくなったけれど、人の心というものは『時間』によって移ろってしまう。

それを端的に描き切ったのがこの作品です。
そこでカギとなるのが『アンチエイジング』だったりするわけですが、それでも主人公が地球に残してきた恋人の心は、時間によって変貌を遂げてしまう。

この作品はSFではありますが、「永遠の愛など存在しない」という一種の人生における格言的なものを提示していると思います。

飽くまで短編なので、可能ならばもっと主人公の心情変化(焦りとか戸惑いとか)が伝わってくるとより良かったのでは、などと思っております。