第25話

重ね掛け実験から数日後、買い出しでダンジョンの外に出たついでに浜松町……もとい、波間松町駅の側にあるダンジョン協会本部にやってきた。


ダンジョンから出たドロップ品や宝箱の中身は併設された管理センターかダンジョン協会本部や各都道府県支部で購入可能だとテツさんに教えてもらった。


そして虎岩から一番近かったのがこのダンジョン協会本部だ。


ちなみにダンジョン産の物を買うときにはG、Hランクダンジョン産の物は条件なし、E、Fランクダンジョン産の物は身分証の提示が必須、それ以上のランクのダンジョン産の物はランクごとに許可証が必要になる。


俺は入り口の案内図で販売所の場所を確認するとまっすぐそちらに向かう。


販売所に着くとそこは銀行の窓口のようなカウンターとタブレットが置かれたテーブルが数十席置いてあるだけだった。


「すいません」


カウンターの奥で作業をしている人に声を掛けるとその人が体を起こして振り返った。


「いらっしゃいませ」

「Hランクダンジョンの魔石が買いたいんですけど」

「魔石のご購入ですね。ではあちらのテーブルのタブレットから商品をご確認いただき、席に置かれている用紙に商品番号と購入数を記入して、用紙をこちらにお持ちください」

「はい、分かりました」


すぐそばのテーブルに座り、タブレットを手に取るとすぐに画面がついてジャンルの選択画面が表示された。


「武器、防具、アクセサリー、ポーション……あった魔石」


スクロールしていくと魔石の項目があったので選択するとズラッと魔石の写真と商品番号、取れたダンジョン名、ダンジョンのランク、魔物の名前、サイズ、属性、在庫数が表示された。


ページ上部にあったフィルターでHランクのみ表示するようにフィルターを掛けると表示数がいっきに減った。


「へー、詰め合わせなんてあるのか」


一番最初に表示されたのはHランクダンジョンの魔石のランダム詰め合わせだった。


「まぁ、Hランクダンジョンの魔石は一般的には属性が付いてない扱いだし、どの魔物が落としたかにこだわらなければ似たり寄ったりみたいだからな。一応個別に買うより割安みたいだからこんなでもいいかもしれないけど予算オーバーだな」


詰め合わせは最低個数が魔石100個からで、値段が9500円となっていた。


そこから値段の安い順でソートを掛けると1個単位の商品が最初に表示されるようになった。


「とりあえず、倒した虎岩ダンジョンと同じモンスターの魔石はいらないな。できれば火属性がふくまれてそうなモンスターの魔石は……」


表示上は無属性になっているが、虎岩の魔石と同じでモンスターに火を連想させる要素があれば継承で微弱の属性が付いているのを確認できるはずだ。


画面をスクロールしながら見ていくと一つの魔石が目に留まった。


「レッサーウィルオウィスプ。ウィルオウィスプって人魂だったよな。これなら火属性が付いてるか?」


レッサーウィルオウィスプの魔石は1個100円だ。11個ならギリギリ予算内だ。


「今回はお試しだしな。これで火属性じゃなかったら今度はいろんな魔石を一つずつ買って確認してみるか」


用紙を取るとレッサーウィルオウィスプの魔石の商品番号と個数を11と記入してカウンターに持っていった。


「お願いします」

「お預かりします。……レッサーウィルオウィスプの魔石が11個ですね。用意しますのでこちらの番号札を持ってお掛けになってお待ちください」


それから無事魔石の購入を終えて、買い出しも済ませて虎岩ダンジョンに帰った。

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異世界に転生することになったんだが… タスク @task_15

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