第24話
テツさんにウォーターの魔道具を渡してから2週間。買い出しを兼ねたスライムの魔石確保を数回行い、結構な量の魔石を確保できた。
その魔石も継承で一つにまとめ、水属性(弱)の魔石を複数用意してある。
今回の実験は素材を追加して付与した場合と付与を重ね掛けした場合の確認だ。付与の重ね掛けは同じ付与を重ねることができることができるのかっていう問題もある。
早速水属性(弱)の魔石を贅沢に3つ手に持ち、茶こしに付与を行う。
「『付与:ウォーター』」
そう唱えると魔石は3つとも茶こしに吸い込まれていった。
「おぉぉ。本当に素材を追加して付与できた」
無事に付与ができたことを喜びつつ、茶こしをタンクにセットすると水属性(微弱)の魔石を乗せて発動を確認する。
魔石1個の時よりも明らかに勢いよく生み出された水は漏斗を伝ってタンクに落ちていく。
そのまましばらく放置してみるが、1リットル強ほどの水を生み出したところで止まった。
「魔石3つで1つの時の倍か。水を出す効率は上がったけど生産コストは跳ね上がったな。弱の魔石はベースにする微弱の魔石1つに10個の魔石をまとめるから11個必要。微弱の魔石は1個50円だから550円。3つで1650円か。そこに茶こしと漏斗代合わせて220円と必須じゃないけどタンク代も掛かるんだよな。50円の魔石一つで1リットル強の水が出せるのはコスパがいいけど元を取るには時間が掛かるな。仮に自分で使うんじゃなくて売りに出すんだとしたらいくらが適切だ?」
テツさんに相談することが増えてしまった。
「まぁひとまず材料の追加ができることは分かった。必須の材料をそのまま増やせば性能が上がると思ってよさそうだな」
それから必須以外の素材を追加する実験もして、ウォーターに風属性の魔石を混ぜて微炭酸水を出すウォーターの付与に成功した。
「炭酸水メーカー要らずだな。これなら火属性の素材を混ぜたらお湯が出たり、土属性を混ぜたら泥水になったりしそうだな」
素材追加の実験はひとまずここまでにして付与の重ね掛けに移る。
「とりあえず前に作った魔石一つ分のウォーターを付与した茶こしに同じ付与をしてみるか」
今まで使っていた茶こしを取り出して弱の魔石で付与を行うと問題なく魔石が吸い込まれていった。
それをタンクにセットして魔石を乗せると勢いよく水が生み出された。だが茶こしに乗せた魔石はこれまでよりも早く灰色に染まり、15分で水が止まってしまった。
「作れた水の量は変わらないな。15分で水が止まったってことは同じ魔法が2重に発動してたってことだよな。付与の重ね掛けは可能。時間効率が上がるだけで魔石の消費効率が上がるわけじゃないと」
さらに付与の実験を重ねて以下のことが分かった。
・ウォーターとウィンドは付与することができたことから違う種類付与でも重ね掛けができる。
ただし、重ねられる数は未検証。
・ウォーターとウィンドを重ねると水が出るし風も出た。特に付与した魔法が混ざるようなことはなさそうだ。
ただし、この発動の仕方だとファイアとウィンドを重ねるとファイアがウィンドで煽られて火力が上がるというような相乗効果が出そうだが火属性の魔石が無いので未検証。
・一つの物に付与した魔法は個別に発動できず、すべて発動してしまうようだ。
「そろそろボール系も試してみたいし、ボール系の重ね掛けも確認したいけど圧倒的に魔石が足らないな。数もそうだけど種類も風と水だけじゃあなぁ……。地属性はテツさんに言えば売ってもらえるだろうけど火属性のあてがないな。一度5階層を回ってみるか。それでだめなら魔石を買えるところを探さないと」
これからの方針を考えつつ、今日の実験は切り上げることにした。
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