第5話
「前って何?好きな人と一緒に入れた時点でもうゴールでしょ?それ以外に何を目指すことがあるの?」
ヤンデレ。
どっかの素人が『一緒に二人で歩けなくなっちゃんじゃん』とか言っていたが、歩く必要なんてないだろ。
二人。
ただそれだけで、隣に自分が好きな人が居るだけで十分なんだよ。これ以上を求めちゃいけないんだよ。
ヤンデレは相手を愛し続けてふたりきりの幸せな生活を送れば良いんだよ。独りよがりの愛を与え続ければ良いんだよ。
既に最頂点なんだよ。これから二人で歩んでいく必要なんてないんだよ。ずっと永遠に停滞し続けていれば良いんだよ。それで良いんだよ。それ以上を求める必要性が一体どこに存在していると言うのだろうか。
「ハッ!!!」
僕の言葉を聞いて先風穂波が納得が言ったように頷く。
「じゃあ……足を切り落として……」
先風穂波がどこからともなく巨大なのこぎりを取り出す。
……ちょっと待って!?そののこぎりはどこから出したの???ヤンデレ特有の謎武装?
「あ、それは辞めて。痛いの嫌いだから。別に僕はここから出ていくつもりはないし。わざわざ斬り落とさなくてもいいでしょ?」
痛いのはノーサンキューである。
本で読んで、アニメでそのシーンを見ているのと、自分が実際にさせられるのは全然違う。
痛いのは嫌!!!
「そ、そうですか……」
「……おん」
僕は先風穂波の言葉に頷く。
「それで?夕食を作ってきてくれたんだよね?お腹空いたんだけど……」
「あぁ!はい!持ってきました」
先風穂波はおぼんに載せられたご飯をどこからともなく取り出す。
え?何……?四次元ポケットでも持っているの?
「では……どうぞ」
出された料理。
「おう……」
僕はそれを見て何とも言えない声を出す。
それはなんかこう……髪の毛とか見えていてなんかこう……ものすごくぐちゃぐちゃ。
決して美味しそうな見た目ではない……ヤンデレの料理と言えば、みたいなことがあるけど。
待って?これを食べたくはないよ?全然食欲がそそられないよ?僕……。
屁理屈だ……!屁理屈をこねて対抗しよう。というかそもそも料理に髪の毛入れる風習好きじゃないんだよね……。
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