第4話

「んっ……」


 ガチャガチャ


「ほっ……」

 

 ガチャガチャ


「ふんす!」

 

 ガチャガチャ

 

「はぁー」

 

 僕は深々とため息をつく。

 なんとか頑張って手錠が外せないかどうか……粘っているのだけど……上手く行かない。

 ……ずっと腕を上に上げているの辛い。楽な態勢になりたい……面倒くさがり屋の引きこもりには楽な態勢以外で1時間も入れないの。


「入りますね」

 

 夕食を作りに行っていたが部屋の扉を開けて中へと入ってくる。

 ……ここに連れてこられたときにも思ったけど……なんでこいつは裸なのだろうか?

 僕は謎に全裸で歩き回っている先風穂波を見て疑問に思う。

 中学の頃街一番のヤリ◯ンと呼ばれていた僕は今更、裸程度では興奮しないけど。

 というか、先風穂波の体ものすごくきれいだな。今まで見てきた全裸の中で一番きれいだ。

 

「ご飯を持ってきましたよ」


「ねぇ、その前にこの手錠外してくれない?」


「え?」

 

 僕の言葉に先風穂波が固まる。そして……こちらへとハイライトのない視線を向けてくる。


「……なんで?繋がれていたくないのですか……?逃げ出すつもりなんじゃ……」


「疑いすぎだろ。そもそもこんな風に拉致監禁されても平然としている僕を見ろよ。逃げ出す人間に見えるか?単純に手錠があるせいでのんびり出来ないんだよ」

 

 こちとらニート志望の引きこもりだぞ?……ちょうど良さそうな寄生先から逃げ出すわけがないだろう。


「あぁ。そういうことですか。では今外しますね」

 

 全裸の先風穂波が近づいてくる。

 わー。すっごい。いい匂いがする。

 

「はい。これで大丈ですよ」

 

「ほっ……」

 

 鎖が外されて僕の両手が自由となる。

 おぉー……実に素晴らしい。両手が好きに動く。


「逃げ出さないでくださいね……?」

 

 解放された僕を見て先風穂波が心配するような視線を向けてくる。


「もちろんだよ」


「ここのマンションはうちのものです……簡単に逃げられないと思ってください……もし、逃げるようなことがあれば……二度とそんな愚かな真似をしないように両手、両足を斬り落とすしかありませんので……」


「おぉー」

 

 僕は先風穂波の言葉を聞いて、感嘆の声を漏らす。

 すごい、ガチのヤンデレじゃん。


「ですが、そんなことするのは不本意です……私は輪廻とともにこれから前へと進んでいきたいと思っていますので……」


「ァ?」

 

 僕は先風穂波の言葉に引っかかる。

 ……進んで行く?……一体、何処に?


「テメェ……ヤンデレを舐めているのか?」

 

 僕は先風穂波を睨みつけた。

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